説明

車両用サイドロック部構造

【課題】主に、成形の精度が出ないことによる不具合品の発生などを防止し得るようにする。
【解決手段】固定部6と、固定部6に対して開閉可能に取付けられたリッド部1との側面間に、サイドロック部5が設けられ、サイドロック部5が、固定部6の側面に形成されたロック用係止穴部7と、リッド部1の側面に幅方向8へ突出収納可能に取付けられて、ロック用係止穴部7に対し挿入係止可能なサイドロックレバー9とを有し、固定部6とリッド部1との側面間の部分に、リッド部1の幅方向8に対する位置規制が可能な位置規制部15が設けられた車両用サイドロック部構造であって、位置規制部15が、サイドロックレバー9に対して設けられるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用サイドロック部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルの助手席側の部分には、通常、グローブボックスなどの物入装置が設けられている。このグローブボックスは、例えば、箱状のグローブボックス本体と、このグローブボックス本体の乗員側や上面側などに設けられた開口部に対して、開閉可能に取付けられたリッド部(蓋体)とを備えている。なお、インストルメントパネルおよびグローブボックスは、通常、樹脂成形品などの樹脂製のものとされている。
【0003】
このようなグローブボックスには、リッド部のロック装置として、サイドロック部を備えたものが存在している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば、図5〜図7に示すように、上記したリッド部1は、裏面側意匠を構成するリッドインナ部材2と、表面側意匠を構成するリッドアウタ部材3とを有している。そして、リッドインナ部材2の内面側にリッドアウタ部材3を当接配置し、リッドインナ部材2とリッドアウタ部材3とを(リッドインナ部材2の)裏面側から図示しないネジを用いて締結固定することにより、両者を一体化させてリッド部1を組立てるようになっている。
【0005】
そして、上記したサイドロック部5は、上記したインストルメントパネルまたはグローブボックス本体などの固定部6(図7参照)と、この固定部6に対して開閉可能に取付けられたリッド部1との側面間に設けられている。このサイドロック部5は、固定部6の側面に形成されたロック用係止穴部7と、リッド部1の側面に幅方向8へ突出収納可能に取付けられて、ロック用係止穴部7に対し挿入係止可能なサイドロックレバー9とを有している。なお、固定部6は、グローブボックス本体の開口部、または、インストルメントパネルのグローブボックス本体を取付けるための開口部などの部分を指している。
【0006】
更に、サイドロック部5は、乗員が操作可能なロックノブ11と、このロックノブ11によってサイドロックレバー9を幅方向8へ移動可能なサイドロック機構部12とを有している。
【0007】
ここで、ロックノブ11は、サイドロック機構部12の手前面部分に対して操作可能に取付けられている。また、サイドロックレバー9は、左右一対設けられると共に、各内端部がサイドロック機構部12の両側部に対してそれぞれ取付けられ、互いに近接離反動されるようになっている。サイドロックレバー9およびサイドロック機構部12は、リッド部1の内部に収容配置されている、即ち、これらは、リッドインナ部材2とリッドアウタ部材3との間(この場合には、特に、図5中上部)に介装されている。また、ロックノブ11は、リッドアウタ部材3の部分に、乗員によって操作可能となるように取付けられている。この場合、ロックノブ11は、図5中、左上の位置に設置されている。これにより、左右一対のサイドロックレバー9は、左側が短く、右側が長くなるように、異なる長さで設けられている。
【0008】
そして、サイドロック機構部12によって、サイドロックレバー9は、ロックノブ11を手前に引張ると、各外端部がリッド部1の内部へ完全に収納され、ロックノブ11を離すと、リッド部1の側面に形成された貫通穴部13から、各外端部が幅方向8外方へ突出してロック用係止穴部7へ挿入係止され得るように構成されている。
【0009】
更に、図7に示すように、固定部6の側面とリッド部1の側面との間の部分には、リッド部1の幅方向8に対する位置規制が可能な位置規制部15が設けられている。
【0010】
この場合、位置規制部15は、固定部6の側面から内側方向へ向け一体的に突設されて、対向するリッド部1の側面に当接可能な位置規制リブ16(当てリブ)などとされている。
【0011】
このような構成によれば、リッド部1を開くことにより、グローブボックス本体に対する物の出し入れが可能となると共に、リッド部1を閉じることにより、グローブボックス本体の内部への物の収納、保管が可能となる。
【0012】
そして、サイドロック機構部12を上記したように操作することにより、リッド部1を閉じた状態に保持したり、或いは、ロック状態を解除してリッド部1を開くことが可能となる。
【0013】
なお、サイドロック機構部12は、図6に示すように、グローブボックス本体の内方への張出量が無いまたは小さくて済むため、グローブボックス本体の容量をより大きく確保できるという利点を有しており、近年、採用が増加する傾向にある。
【0014】
そして、上記した位置規制部15を設けたことにより、閉時に、リッド部1の幅方向8に対する位置規制を行うことができる。これにより、車両振動などによってリッド部1がガタ付くことによる低級音の発生を、効果的に防止することができる。
【0015】
この際、位置規制部15を、上記した位置規制リブ16(当てリブ)とすることにより、位置規制リブ16がリッド部1の側面に当たることで、固定部6の側面でリッド部1を直接押えるように機能することになる。
【特許文献1】特開2003−13647
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記車両用サイドロック部構造には、以下のような問題があった。
【0017】
即ち、グローブボックスは、通常、樹脂成形品であるが、樹脂成形品には、バラ付きなく高精度に成形するのが難しいという欠点が有ることが知られている。
【0018】
そのため、位置規制リブ16とリッド部1の側面との間に、(設計許容値よりも)大きな隙間ができてしまったような場合には、十分な位置規制効果が得られなくなるため、例えば、悪路走行時などに、車両振動による打音(低級音)が発生する不具合品になってしまう。
【0019】
反対に、位置規制リブ16とリッド部1の側面との間に、(設計許容値よりも)小さな隙間ができたり、隙間が無くなったりしたような場合には、位置規制リブ16とリッド部1の側面との間に干渉などが生じるため、リッド部1の開閉の操作力が大きく(重く)なったり、干渉によって開閉ができなくなったりする不具合品になってしまう。
【0020】
このように、固定部6の側面に設けた位置規制リブ16で、リッド部1を直接押える構造には、不具合品の発生を避けることができないという問題があった。
【0021】
そして、このような成形の精度が出ないことによる不具合品の発生の問題は、グローブボックスを大型化するために、リッド部1の面積を大きくする必要がある場合などに、最も顕著に現れるため、グローブボックスの大型化を困難にする一因ともなっている。
【0022】
なお、上記した以外にも、本発明に至る過程で新たな問題やその他の問題などが発生することも考えられるが、そのようなものについては、本発明の実施例の中で説明することによって、この欄での記載に代えることができるものとする。但し、必要な場合には、この欄に流用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、固定部と、該固定部に対して開閉可能に取付けられたリッド部との側面間に、サイドロック部が設けられ、該サイドロック部が、固定部の側面に形成されたロック用係止穴部と、リッド部の側面に幅方向へ突出収納可能に取付けられて、前記ロック用係止穴部に対し挿入係止可能なサイドロックレバーとを有し、前記固定部とリッド部との側面間の部分に、リッド部の幅方向に対する位置規制が可能な位置規制部が設けられた車両用サイドロック部構造において、前記位置規制部が、前記サイドロックレバーに対して設けられたことを特徴としている。
【0024】
請求項2に記載された発明は、上記において、前記サイドロックレバーに設けられた位置規制部と、固定部の側面との間に防音材が設けられたことを特徴としている。
【0025】
なお、上記は、それぞれ、所要の作用効果を発揮するための必要最小限の構成であり、上記構成の詳細や、上記されていない構成については、それぞれ自由度を有しているのは勿論である。そして、上記構成の記載から読取ることが可能な事項については、特に具体的に記載されていない場合であっても、その範囲内に含まれるのは勿論である。また、上記以外の構成を追加した場合には、追加した構成による作用効果が加わることになるのは勿論である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、リッド部に設置されたサイドロックレバーに設けられている位置規制部が固定部に当ることにより、閉時に、リッド部の幅方向に対する位置規制を間接的に行わせることができる。これにより、車両振動などによってリッド部がガタ付くことによる低級音の発生を、効果的に防止することができる。また、固定部やリッド部などの比較的大きな部品に対して極く小さな位置規制部を設けるのではなく、比較的小さな部品であるサイドロックレバーに対して同じような大きさの位置規制部を設けるようにしたことにより、成形の精度の問題や、成形の精度が出ないことによる不具合品の発生の問題を回避することができ、例えば、低級音が発生するという不具合や、リッド部の開閉の操作力が大きく(重く)なったり、干渉によって開閉ができなくなったりするという不具合などをなくして、確実に作動させる(位置規制部を行わせる)ようにすることができる。更に、上記により、不具合品をなくすことができるので、グローブボックスなどの大型化も可能となる。
【0027】
請求項2の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、サイドロックレバーに設けられた位置規制部と、固定部の側面との間に設けた防音材により、過大な車両振動に対しても、より確実に低級音の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、主に、成形の精度が出ないことなどによる不具合品の発生を防止することを目的としている。
【0029】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0030】
なお、以下の実施例は、上記した背景技術や発明が解決しようとする課題などと密接な関係があるので、必要が生じた場合には、互いに、記載を流用したり、必要な修正を伴って流用したりすることができるものとする。
【実施例】
【0031】
図1〜図4は、この発明の実施例およびその変形例などを示すものである。
【0032】
なお、基本的な構成については、図5、図6を用いて説明したものとほぼ同様なので、必要に応じてこれらの図面を参照すると共に、これらに対する記載を以てこの実施例の説明とすることができる。この際、同一ないし均等な部分については、同一の符号を付すようにしている。但し、構成の異なる部分については、図1〜図4に拠るものとする。
【0033】
「構成」 まず、構成について説明する。
【0034】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルの助手席側の部分には、通常、グローブボックスなどの物入装置が設けられている。このグローブボックスは、例えば、箱状のグローブボックス本体と、このグローブボックス本体の乗員側や上面側などに設けられた開口部に対して、開閉可能に取付けられたリッド部(蓋体)とを備えている。なお、インストルメントパネルおよびグローブボックスは、通常、樹脂成形品などの樹脂製のものとされている。
【0035】
このようなグローブボックスに対し、リッド部のロック装置として、サイドロック部を備えるようにする。
【0036】
例えば、図1〜図4のいずれか、および、図5、図6に示すように、上記したリッド部1は、裏面側意匠を構成するリッドインナ部材2と、表面側意匠を構成するリッドアウタ部材3とを有している。そして、リッドインナ部材2の内面側にリッドアウタ部材3を当接配置し、リッドインナ部材2とリッドアウタ部材3とを(リッドインナ部材2の)裏面側から図示しないネジを用いて締結固定することにより、両者を一体化させてリッド部1を組立てるようになっている。
【0037】
そして、上記したサイドロック部5は、上記したインストルメントパネルまたはグローブボックス本体などの固定部6(図1〜図4のいずれか参照)と、この固定部6に対して開閉可能に取付けられたリッド部1との側面間に設けられている。このサイドロック部5は、固定部6の側面に形成されたロック用係止穴部7と、リッド部1の側面に幅方向8へ突出収納可能に取付けられて、ロック用係止穴部7に対し挿入係止可能なサイドロックレバー9とを有している。なお、固定部6は、グローブボックス本体の開口部、または、インストルメントパネルのグローブボックス本体を取付けるための開口部などの部分を指している。
【0038】
更に、サイドロック部5は、乗員が操作可能なロックノブ11と、このロックノブ11によってサイドロックレバー9を幅方向8へ移動可能なサイドロック機構部12とを有している。
【0039】
ここで、ロックノブ11は、サイドロック機構部12の手前面部分に対して操作可能に取付けられている。また、サイドロックレバー9は、左右一対設けられると共に、各内端部がサイドロック機構部12の両側部に対してそれぞれ取付けられ、互いに近接離反動されるようになっている。サイドロックレバー9およびサイドロック機構部12は、リッド部1の内部に収容配置されている、即ち、これらは、リッドインナ部材2とリッドアウタ部材3との間(この場合には、特に、図5中上部)に介装されている。また、ロックノブ11は、リッドアウタ部材3の部分に、乗員によって操作可能となるように取付けられている。この場合、ロックノブ11は、図5中、左上の位置に設置されている。これにより、左右一対のサイドロックレバー9は、左側が短く、右側が長くなるように、異なる長さで設けられている。
【0040】
そして、サイドロック機構部12内にはバネ等の弾性部材が収納されており、サイドロックレバーが常時突出方向(外方)へ弾性付勢されていることにより、サイドロックレバー9は、ロックノブ11を手前に引張ると、各外端部がリッド部1の内部へ完全に収納され、ロックノブ11を離すと、リッド部1の側面に形成された貫通穴部13から、各外端部が幅方向8外方へ突出してロック用係止穴部7へ挿入係止され得るように構成されている。
【0041】
更に、図1〜図4のいずれかに示すように、固定部6の側面とリッド部1の側面との間の部分には、リッド部1の幅方向8に対する位置規制が可能な位置規制部15が設けられている。
【0042】
なお、以上の構成は、上記した従来例のものとほぼ同様である。
【0043】
更に、補足説明をすると、この場合、リッドインナ部材2は、面部2aと、この面部2aの周縁部に、内面側(リッドアウタ部材3側)へ向けてほぼ面直に屈曲形成されたフランジ部2bとを有している。同様に、リッドアウタ部材3は、面部3aと、この面部3aの周縁部に、内面側(リッドインナ部材2側)へ向けてほぼ面直に屈曲形成されたフランジ部3bとを有している。そして、リッドインナ部材2とリッドアウタ部材3とは、互いの周縁部のフランジ部2b,3bを嵌合させることによって組合わされるように構成されている。ここでは、リッドアウタ部材3のフランジ部3bが外側に配置され、リッドインナ部材2のフランジ部2bが内側に配置されるようになっている。
【0044】
そして、リッドインナ部材2には、図5中上部に幅方向8へ延びる部分的な段差部2cが設けられ、この段差部2cの内面側に、サイドロックレバー9やサイドロック機構部12などが収容設置されている。そして、この段差部2cの側面部分に、上記した貫通穴部13が形成されるようになっている。また、この段差部2cにより、リッド部1の上部は、平面視で、裏面側へ突出するほぼ凸形状を呈している。そして、固定部6の上部も、対応する位置に対応する大きさ、形状の段差部6cを有することにより、リッド部1の凸形状の部分を受ける凹形状を呈している。そして、上記したロック用係止穴部7は、この段差部6cの、貫通穴部13と対応する上側の側面部分に形成されている。
【0045】
更に、各サイドロックレバー9は、サイドロック機構部12の位置と、ロック用係止穴部7および貫通穴部13の位置との間の、リッド部1の厚み方向に対する位置ズレ(オフセット状態)に対応させる必要から、中間部に屈曲部9aを有する屈曲形状などとされている。
【0046】
また、図1〜図4のいずれかに示すように、サイドロックレバー9の各外端部は、リッド部1の表面側に位置する側面部分が幅方向8へ延びる係止面9bとされ、リッド部1の裏面側に位置する側面部分が幅方向8に対して先細状に傾斜する傾斜面9cとされている。
【0047】
この係止面9bは、ロック用係止穴部7の対応する縁部に係止されて、リッド部1の表面側への移動(開作動)を規制するものとして機能する。一方、傾斜面9cは、サイドロックレバー9の各外端部のロック用係止穴部7への挿入を案内するガイドテーパとして機能すると共に、開状態のリッド部1を強制的に裏面側へ押込んだ時に、サイドロック機構部12の付勢力に抗して、サイドロックレバー9の各外端部を内側へ引込めてロックが掛るようにする押込斜面として機能する。この場合、サイドロック機構部12は、サイドロックレバー9を突出方向へ常時付勢している。
【0048】
なお、この場合のリッド部1の幅方向8は、車幅方向とほぼ対応している。また、リッド部1を閉じた状態では、リッド部1と固定部6との間(側面間や、リッド部1の裏面側と固定部6との間など)は、完全に密着されるのではなく、若干の隙間が形成されることになる。
【0049】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えている。
【0050】
(1)図1〜図4のいずれかに示すように、位置規制部15が、サイドロックレバー9に対して設けられるようにする。
【0051】
この場合、位置規制部15は、サイドロックレバー9の各外端部近傍の側面部分に一体的に突設されて、固定部6のロック用係止穴部7周辺の側面部分に当接可能な位置規制リブ21(当てリブ)などとされる。位置規制リブ21は、係止面9bおよび傾斜面9cと隣接して、これらの機能を妨げないような内側の位置に設けられる。位置規制リブ21は、ほぼ面直方向へ向けて突設される。位置規制リブ21は、その外端面が、固定部6の対向する側面部分(当接部分)などに対する当接部22となる。なお、位置規制リブ21を設けたことに伴い、貫通穴部13は、少なくとも、位置規制リブ21をも通し得る大きさおよび形状に拡大する(拡大貫通穴部13a)。
【0052】
例えば、図1の場合、位置規制リブ21は、リッド部1の表面側の側面部分に設けられる。また、図3の場合、位置規制リブ21は、リッド部1の裏面側の側面部分に設けられる。なお、図2、図4については、図1のものと同様とされている。これらの各位置規制リブ21は、平面視ほぼ矩形の突起状を呈している。
【0053】
(2)図2〜図4のいずれかに示すように、上記において、サイドロックレバー9に設けられた位置規制部15と、固定部6の側面との間に、打音の発生を防止可能な防音材25が設けられるようにする。
【0054】
この場合、防音材25には、ラバー部材26,27などの弾性部材を用いるようにしている。
【0055】
例えば、図2の場合、防音材25として、位置規制リブ21の外周を覆うように、(薄肉)キャップ状に形成されたラバー部材26が嵌着固定されている。なお、(薄肉)キャップ状のラバー部材26を位置規制リブ21に外嵌したことに伴い、貫通穴部13は、拡大貫通穴部13aから更に拡大して、ラバー部材26を含めた位置規制リブ21を通し得る大きさおよび形状となるようにする(拡大貫通穴部13b)。
【0056】
また、図3の場合、防音材25として、固定部6における、位置規制リブ21の当接部22に対する当接部分などに、ラバー部材27などの弾性部材が、内方へ突出された状態で取付けられている。このラバー部材27は、固定部6の当接部分に形成した取付用穴部28に、挿入係止されるラバー差込部品などとされている。なお、ラバー部材27を取付けたことに伴い、固定部6の当接部分は領域が拡大されるので、位置規制リブ21および、貫通穴部13は、上記に対して更に、拡大されることになる(拡大位置規制リブ21aおよび拡大貫通穴部13c)。なお、図4については、図2のものと同様とされている。
【0057】
(3)更に、上記において、補助的な位置規制部31を設けるようにしても良い。
【0058】
例えば、図1〜図3の場合(この場合には、図2を例としている)に、図4に示すように、補助的な位置規制部31として、固定部6の側面から内側方向へ向け一体的に突設されて、リッド部1の側面に当接可能な、図7の位置規制リブ16と同様の、位置規制用補助リブ32(当てリブ)などを設けて、位置規制部15の位置規制リブ21と併用させるようにすることができる。この位置規制用補助リブ32は、特に図示しないが、リッド部1の側面から外側方へ向け一体的に突設されて、固定部6の側面に当接可能なものとすることもできる。但し、この位置規制用補助リブ32は、あくまでも上記した位置規制リブ21に対する補助的なものであるため、図7の位置規制リブ16と同じに設定にするのではなく、それよりも若干突出量が少ない、小さ目のものとなるように構成する。
【0059】
「作用」 次に、この実施例の作用について説明する。
【0060】
リッド部1を開くことにより、グローブボックス本体に対する物の出し入れが可能となると共に、リッド部1を閉じることにより、グローブボックス本体の内部への物の収納、保管が可能となる。
【0061】
そして、サイドロック機構部12を上記したように操作することにより、リッド部1を閉じた状態に保持したり、或いは、ロック状態を解除してリッド部1を開くことが可能となる。
【0062】
なお、サイドロック機構部12は、図6に示すように、グローブボックス本体の内方への張出量が無いまたは小さくて済むため、グローブボックス本体の容量をより大きく確保できるという利点を有しており、近年、採用が増加する傾向にある。
【0063】
そして、上記した位置規制部15を設けたことにより、閉時に、リッド部1の幅方向8に対する位置規制を行うことができる。これにより、車両振動などによってリッド部1がガタ付くことによる低級音の発生を、効果的に防止することができる。
【0064】
そして、この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0065】
(1)固定部6と、固定部6に対して開閉可能に取付けられたリッド部1との側面間に、サイドロック部5が設けられ、サイドロック部5が、固定部6の側面に形成されたロック用係止穴部7と、リッド部1の側面に幅方向8へ突出収納可能に取付けられて、ロック用係止穴部7に対し挿入係止可能なサイドロックレバー9とを有し、固定部6とリッド部1との側面間の部分に、リッド部1の幅方向8に対する位置規制が可能な位置規制部15が設けられた車両用サイドロック部構造において、位置規制部15が、サイドロックレバー9に対して設けられたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0066】
即ち、リッド部1に設置されたサイドロックレバー9に設けられている位置規制部15が閉時に固定部6に常時弾性付勢されていることにより、リッド部1の幅方向8に対する位置規制を間接的に行わせることができる。これにより、車両振動などによってリッド部1がガタ付くことによる低級音の発生を、効果的に防止することができる。尚、位置規制部15が固定部6に弾性付勢されていることにより、両側の固定部間の幅寸法がばらついても吸収することができ、リッド部の位置規制を確実に行うことができる。さらに開閉操作時には、サイドロックレバー9は引込んだ状態となるため、操作力への影響はない。また、固定部6やリッド部1などの比較的大きな部品に対して極く小さな位置規制部15を設けるのではなく、比較的小さな部品であるサイドロックレバー9に対して同じような大きさの位置規制部15を設けるようにしたことにより、成形の精度の問題や、成形の精度が出ないことによる不具合品の発生の問題を回避することができ、例えば、低級音が発生するという不具合や、リッド部1の開閉の操作力が大きく(重く)なったり、干渉によって開閉ができなくなったりするという不具合などをなくして、確実に作動させる(位置規制部15を行わせる)ようにすることができる。更に、上記により、不具合品をなくすことができるので、グローブボックスなどの大型化も可能となる。なお、位置規制部15は、サイドロック機構部12(の付勢力)によって支えられることになる。
【0067】
(2)上記において、サイドロックレバー9に設けられた位置規制部15と、固定部6の側面との間に防音材25が設けられたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、サイドロックレバー9に設けられた位置規制部15と、固定部6の側面との間に設けた防音材25により、過大な車両振動に対しても、より確実に低級音の発生を防止することが可能となる。
【0068】
(3)更に、上記において、補助的な位置規制部31を設けたことにより、サイドロック機構部12の付勢力を大きく上回るような過大な車両振動に対しても、より確実に低級音の発生を防止させ得るようにすることが可能となる。
【0069】
この際、補助的な位置規制部31を、上記した位置規制用補助リブ32(当てリブ)とすることにより、位置規制用補助リブ32がリッド部1(または固定部6)の側面に当たることで、固定部6(またはリッド部1)の側面でリッド部1を直接押えるように機能することになる。位置規制用補助リブ32は、主たる位置規制部15に対して補助的に設けられるものであるので、成形の精度の問題に対しては、緩くなるように設定することが可能である。
【0070】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例にかかる車両用サイドロック部構造の部分拡大断面図である。
【図2】図1の変形例の部分拡大断面図である。
【図3】図1の他の変形例の部分拡大断面図である。
【図4】図1の別の変形例の部分拡大断面図である。
【図5】従来例および実施例にかかる車両用サイドロック部構造の分解斜視図である。
【図6】図5のリッド部の断面図である。
【図7】従来例にかかる図6の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 リッド部
5 サイドロック部
6 固定部
7 ロック用係止穴部
8 幅方向
9 サイドロックレバー
15 位置規制部
25 防音材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、該固定部に対して開閉可能に取付けられたリッド部との側面間に、サイドロック部が設けられ、
該サイドロック部が、固定部の側面に形成されたロック用係止穴部と、リッド部の側面に幅方向へ突出収納可能に取付けられて、前記ロック用係止穴部に対し挿入係止可能なサイドロックレバーとを有し、
前記固定部とリッド部との側面間の部分に、リッド部の幅方向に対する位置規制が可能な位置規制部が設けられた車両用サイドロック部構造において、
前記位置規制部が、前記サイドロックレバーに対して設けられたことを特徴とする車両用サイドロック部構造。
【請求項2】
前記サイドロックレバーに設けられた位置規制部と、固定部の側面との間に防音材が設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両用サイドロック部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−255812(P2009−255812A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108857(P2008−108857)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】