説明

車両用サンバイザ装置

【課題】乗員の体格によらず、顔により適切に照明を当てやすくなる車両用サンバイザ装置を得る。
【解決手段】照明灯3の可動部33をサンバイザ2の移動に連動して回動させる連動機構10を設けた。よって、サンバイザ2の回動量変化が連動機構10を介して照明灯3の可動部33に伝達されて、照明灯3の照射方向を変化させることができ、乗員Cの体格に拘わらず、顔Cfにより適切に照明をあてやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前席の前方かつ上方のルーフ部に、車幅方向に略沿う回動軸回りに回動可能なサンバイザを取り付け、このサンバイザを格納状態から回動軸回りに回しつつ下げることで使用状態(遮光状態)にできるようにした車両用サンバイザ装置がある。
【0003】
そして、この種の車両用サンバイザ装置として、開閉可能なフラップを有するバニティミラーを備え、フラップを開けることによりルーフ部に固定された照明灯を点灯し、閉じることにより照明灯を消灯するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特表2002−525237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の車両用サンバイザ装置では、照明灯がルーフ部に固定されていて照射方向が一定であるため、体格に応じて高低位置が異なる顔に対して、照明灯の照明を適切に当てるのが難しくなる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、乗員の体格によらず、顔により適切に照明を当てやすくなる車両用サンバイザ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、照明灯に水平方向に略沿う第二の回動軸回りに回動可能でその回動に応じて光の照射領域を移動させる可動部を設けるとともに、当該可動部を連動機構によってサンバイザの回動に連動させるようにしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サンバイザを移動させることによって照明灯の照射領域を移動させることができるため、乗員の体格によらず、顔により適切に照明を当てやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、FRは車両前方、UPは車両上方、WDは車幅方向をそれぞれ示す。また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)図1〜図6は、本実施形態にかかる車両用サンバイザ装置を示している。このうち、図1は、車両用サンバイザ装置の格納状態を示す模式図、図2は、体格が比較的大きい乗員がサンバイザ装置を使用する状態を示す模式図、図3は、体格が比較的小さい乗員がサンバイザ装置を使用する状態を示す模式図、図4は、サンバイザの背面に取り付けたバニティミラーの正面図、図5は、サンバイザ装置の分解斜視図、図6は、サンバイザ装置を模式的に示す側面図であって、(a)は、サンバイザを格納した状態、(b)は、体格が比較的大きい乗員がバニティミラーを使用する状態、(c)は、体格が比較的小さい乗員がバニティミラーを使用する状態を示す図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態にかかるサンバイザ装置1はサンバイザ2と照明灯3とを備えている。サンバイザ2は、ルーフ部5の運転席や助手席などの前席4の前方かつ上方となる位置(本実施形態ではルーフ部5の車両前端部)に、水平方向(本実施形態では車幅方向)に略沿う第一の回動軸Ax1回りに回動可能に取り付けてある。サンバイザ2は、所定厚みを持った略矩形板状に形成され、その一方の長辺側縁部2aに設けたシャフト6の中心軸としての第一の回動軸Ax1を中心として、図1中の円弧状の矢印Xに沿って往復回動可能となっている。このサンバイザ2は、第一の回動軸Ax1回りに上方に移動させることにより図1に示す格納状態になるとともに、第一の回動軸Ax1回りに下方に移動させることにより図2,図3に示す使用状態(遮光状態)となる。
【0011】
図4に示すように、サンバイザ2の背面2r側には、バニティミラー7を取り付けてある。なお、サンバイザ2の背面2r側とは、同図に示すように、サンバイザ2の使用状態で車両後方(乗員C側)となる面を指すものとする。バニティミラー7は、本実施形態では横長の略矩形板状に形成してある。なお、このバニティミラー7は図示しないカバーによって開閉可能に覆うように構成することが可能である。
【0012】
照明灯3は、本実施形態では、ルーフ部5の運転席や助手席などの前席4の前方かつ上方となる位置で、サンバイザ2より後方の比較的近傍となる位置に、取り付けてある。この照明灯3は周囲を全体的に照らすのではなく、図2,図3等に示すように、スポットライトのように限定的な照射領域Lを有しており、主として乗員Cの顔Cfを効率良く照らすようになっている。なお、本実施形態では、図1に示すように、サンバイザ2をルーフ部5に沿って格納した状態では、当該サンバイザ2によって照明灯3が覆われるようにして、美観の向上を図っている。
【0013】
本実施形態では、図1に示すように、照明灯3による照射光の指向性を高めるため、ランプ31の裏側(乗員Cとは反対側)に凹面や放物面となる反射板32を配置し、この反射板32で反射した光を特定の方向(本実施形態では乗員Cの顔Cf方向)に向けて集中的に照射するようになっている。
【0014】
また、照明灯3は、ルーフ部5に取り付けられた図示しない本体部と、この本体部に水平方向(本実施形態では車幅方向)に略沿う第二の回動軸Ax2回りに回動可能に支持された可動部33と、を有しており、当該可動部33の回動に応じて光の照射領域を上下に移動できるようにしてある。この第二の回動軸Ax2は、本実施形態では、第一の回動軸Ax1と略平行に延伸しており、第一の回動軸Ax1の後方に設定してある。なお、本実施形態では、可動部33を、ランプ31と反射板32とを一体化した部分として構成してあるが、ランプや反射板等は固定しておき、光の出射口を設けた可動カバーを可動部として構成することも可能である。また、可動部33は、ルーフ部5に固定したブラケット等の支持部材に、回動可能に取り付けることができる。また、第一の回動軸Ax1および第二の回動軸Ax2ともに実質的な回動の軸心を示しており、シャフト等の中心軸であることは必須ではない。
【0015】
そして、本実施形態では、図5に示すように、可動部33をサンバイザ2の回動に連動させて動かす連動機構10を設けてある。具体的には、連動機構10は、サンバイザ2のシャフト6に連動して出力回転部としての出力ドラム111を有するサンバイザ側ギアセット11と、可動部33に連動して入力回転部としての入力ドラム121を有する照明灯側ギアセット12と、それら出力ドラム111と入力ドラム121とに跨って周回して回転伝達する無端ベルト13と、を備えている。
【0016】
サンバイザ側ギアセット11は、サンバイザ2の回動部21にシャフト6と同軸となるように固定した第1のギア112と、この第1のギア112に噛合する第2のギア113と、この第2のギア113に同軸に結合した上述の出力ドラム111と、を含んでいる。照明灯側ギアセット12は、照明灯3の可動部33に結合した第3のギア122と、この第3のギア122に噛合する第4のギア123と、この第4のギア123に同軸に結合した上述の入力ドラム121と、を含んでいる。そして、出力ドラム111と入力ドラム121とを所定間隔をもって対向配置し、それら両ドラム111,121間に上述の無端ベルト13を周回させてある。
【0017】
したがって、サンバイザ2をシャフト6を中心として回動させると、その回動は、連動機構10に含まれる第1のギア112および第2のギア113を介して出力ドラム111に伝達される。出力ドラム111の回転は無端ベルト13を介して入力ドラム121に伝達され、さらに、その入力ドラム121の回転は第4のギア123および第3のギア122を介して可動部33に伝達されて、照明灯3の反射板32を回動することになる。
【0018】
このとき、本実施形態では、図6に示すように、サンバイザ2の回動方向と反射板32の回動方向とは、同一方向となる。つまり、図6(c)に示すように、サンバイザ2を乗員の手指等で同図(b)の状態から車両前方に向けて図中時計回り方向(矢印a方向)に回動させると、第1のギア112は図中時計回り方向(矢印b方向)に回動し、第2のギア113は図中反時計回り方向(矢印c方向)に回動する。これにより、第4のギア123は無端ベルト13を介して同方向(矢印d方向)に回動し、第3のギア122はそれとは反対に図中時計回り方向(矢印e方向)に回動して、反射板32を同方向、つまり、サンバイザ2と同じ図中時計回り方向に回動する。すなわち、連動機構10は、サンバイザ2を下方に移動させるにつれて、照射領域Lを下方に移動させる。
【0019】
ここで、図2に示すように、体格が比較的大きい乗員Cの場合には、顔Cfの位置が比較的高位置となり、その乗員Cがバニティミラー7で顔Cfを見る場合はサンバイザ2の前方への回動量は比較的小さくなる。一方、図3に示すように、体格が比較的小さい乗員Cの場合には、顔Cfの位置が比較的低位置となり、その乗員Cがバニティミラー7で顔Cfを見る場合はサンバイザ2の前方への回動量は比較的大きくなる。
【0020】
したがって、図2,図6(b)に示す、体格が比較的大きい乗員Cがバニティミラー7で顔Cfを見る状態に比べて、図3,図6(c)に示す、体格が比較的小さい乗員Cがバニティミラー7で顔Cfを見る状態では、サンバイザ2とともに可動部33を前方により大きく回動させる必要がある。この点、本実施形態では、上記連動機構10を設けたため、体格が比較的小さい乗員Cがサンバイザ2を前方により大きく回動させると、照明灯3の可動部33も図中時計回り方向により大きく回動して、照明灯3の照射領域Lを体格が比較的小さい乗員Cの顔Cfに向けて下げることができる。なお、サンバイザ2、可動部33、および照射領域Lは、回動部分や移動部分の摩擦抵抗によって、図2,図3の位置や、図2および図3の間の位置に、適宜に静止して設定できるようになっている。
【0021】
ところで、本実施形態では、サンバイザ側ギアセット11および照明灯側ギアセット12は、特定の回動領域でのみ、ギア112,113,122,123が作動(回転)するようになっている。つまり、ギアセット11のギア112,113、ならびにギアセット12のギア122,123は、外周の一部のみに部分的に歯112a,113a,122a,123aを形成し、外周の他の一部には歯112a,113a,122a,123aを形成しない非形成区間112b,113b,122b,123bを設けた所謂セクタギアとして形成してある。特に、サンバイザ2側のギアセット11は、それぞれの歯112a,113aが相互に噛合する回動領域のみで対応するギア112とギア113が係合(噛合)して、サンバイザ2の回動を照明灯3の可動部33に伝達するとともに、それ以外の回動領域、すなわち、非形成区間112b,113b同士が対向する回動領域では、ギア112とギア113は相互に係合せず、サンバイザ2の回動は可動部33には伝達されないように構成してある。すなわち、本実施形態では、ギアセット11が本発明の係合機構20に相当し、ギア112が係合機構20の係合部かつ主動歯車、ギア113が係合機構20の係合部かる従動歯車に相当する。なお、ギアセット12のギア122,123にも、同様の非形成区間122b,123bが形成されているものの、これらギア122,123同士は、図6の(a)〜(c)に示すように、常に係合(噛合)した状態となっている。
【0022】
そして、本実施形態では、図1に示すサンバイザ2の格納状態から図2に示すサンバイザ2の回動位置までの回動領域では、係合機構20としてのギアセット11は非係合状態となり、サンバイザ2が図2に示す回動位置まで回動したときにギアセット11が相互に係合して係合状態となって、それより下方では、係合状態が維持されるように構成されている。すなわち、サンバイザ2を格納状態から下方に移動させて図2に示す体格が比較的大きい乗員Cに対応した回動位置に到達して始めて連動機構10が作動することになり、その作動を開始する回動位置で照明灯3の照射領域Lは、体格が比較的大きい乗員Cの顔Cfを照らすように予め初期設定してある。
【0023】
また、本実施形態では、図4に示すように、バニティミラー7に乗員Cの目線位置を合わせる目印7Pを設けてある。目印7Pは、バニティミラー7の上下方向中央部よりも若干上方に位置した1本の横線Lnとしてある。そして、乗員Cが顔Cfをバニティミラー7に写す際に、目の位置を目印7Pに合わせることにより、サンバイザ2ならびにこれに連動する照明灯3の可動部33を適正な回動位置にセットすることができる。
【0024】
かかる構成では、前席4に着座した乗員Cが、自分の顔Cfをバニティミラー7に写す際には、格納状態にあるサンバイザ2を第一の回動軸Ax1回りに下方に移動させて使用状態とする。このとき、サンバイザ2の回動が連動機構10を介して照明灯3の可動部33に伝達されるため、乗員Cはサンバイザ2を動かすだけで照明灯3の照射領域Lを上下に移動することができる。本実施形態では、サンバイザ2は、回動部分と固定部分との摩擦抵抗等により、適宜な位置で静止させることができるようになっており、連動機構10による連動状態が維持されて、照明灯3の可動部33および照射領域Lも適宜な位置で静止させることができるようになっている。
【0025】
したがって、本実施形態によれば、サンバイザ2の角度と照射領域Lの角度との初期設定を適切に行っておくことにより、乗員Cがバニティミラー7に顔Cfを映し出すようにサンバイザ2の位置を動かして調整することで、顔Cfを照らす位置に照明灯3の照射領域Lを移動させることができる。すなわち、本実施形態によれば、乗員Cの体格に拘わらず、その顔Cfにより適切に照明をあてやすくなる。そして、可動部33とサンバイザ2とを別個に操作する場合に比べて、手間を省くことができるという利点もある。
【0026】
また、本実施形態では、連動機構10を、サンバイザ2を下方に移動させるにつれて、照射領域Lを下方に移動させるものとして構成した。体格が比較的大きい乗員Cの場合、顔Cfの位置が比較的高い位置となるため、サンバイザ2および可動部33を相互に平行な第一の回動軸Ax1および第二の回動軸Ax2回りに上方の格納位置から下方に回動させる構成の場合には、それらの回動量はいずれも比較的小さくなる。一方、体格が比較的小さい乗員Cの場合、顔Cfの位置が比較的低い位置となるため、それらの回動量はいずれも比較的大きくなる。したがって、本実施形態のように、サンバイザ2を下方に移動させるにつれて、照射領域Lを下方に移動させるように構成することで、体格に拘わらず、顔Cfを適切に照らす構成を比較的簡単に構築することができる。
【0027】
また、本実施形態では、連動機構10は、相互に係合する係合部としてのギア112および被係合部としてのギア113を有する係合機構20としてのギアセット11を含み、この係合機構20を、サンバイザ2の移動に応じてギア112と113とが係合する係合状態とギア112とギア113との係合が解除される非係合状態とが切り替わるように構成し、照明灯3の可動部33が、係合状態でサンバイザ2に連動可能となり、非係合状態では連動不能となるようにした。よって、連動しない状態を設定することができるようになる分、双方の回動範囲の全域で連動させる場合に比べて、サンバイザ2の回動範囲と照明灯3の可動部33の回動範囲との設定の自由度を高めることができる。
【0028】
また、本実施形態では、係合機構としてのギアセット11を、サンバイザ2が上方に位置するときには非係合状態にあり、かつサンバイザ2の下方への移動に伴ってギア112がギア113に係合する位置まで動いて係合状態が得られるように構成した。よって、サンバイザ2のバニティミラー7を使用しない上方の回動範囲では、可動部33を連動させないようにして、サンバイザ2を動かす際にかかる負荷を小さくすることができる。
【0029】
また、本実施形態では、係合機構としてのギアセット11は、主動歯車としてのギア112と従動歯車としてのギア113とを有し、ギア112およびギア113のうち少なくともいずれか一方(本実施形態では双方)の外周に歯112a,113aを形成しない非形成区間112b,113bを設け、係合状態を、ギア112とギア113とが噛合する状態として得るとともに、非係合状態を非形成区間112b,113bが他方と対向する状態として得るようにした。よって、係合機構を、ギア112,113を利用して、比較的簡素な構成として得ることができる。また、ギア112,113に減速比や増速比を設定することで、サンバイザ2の回動量に対する可動部33の回動量を変化させることができ、これにより回動角度の調整をより精度良く行える場合もある。
【0030】
また、本実施形態では、バニティミラー7に、乗員Cの目線位置を合わせる目印7Pを設けた。よって、この目印7Pが目安となって、乗員Cはサンバイザ2をより適切な角度に調整しやすくなる。なお、バニティミラー7の目印7Pは、図4に示す横線Lには限定されず、図7に示すように、乗員Cの両目に対応して設定した楕円形や円形などの2つの分離した囲い部Eとして設けてもよい。
【0031】
(第2実施形態)図8、図9は本発明の第2実施形態を示している。このうち、図8はサンバイザ装置の分解斜視図、図9は(a)にサンバイザを格納した状態と、(b)に体格が比較的大きい乗員がバニティミラーを使用する状態と、(c)に体格が比較的小さい乗員がバニティミラーを使用する状態と、をそれぞれ側面方向から示すサンバイザ装置の模式図である。
【0032】
本実施形態のサンバイザ装置1Aは、照明灯3の可動部33をサンバイザ2の回動に連動させて動かす連動機構10Aを備えている。ただし、本実施形態では、連動機構10Aは、ロッド16を含むリンク機構として構成してある。具体的には、サンバイザ2の第一の回動軸Ax1回りにサンバイザ2とともに回動する出力片141と、出力片141に回動連結部143を介して回動可能に結合された係合部としての突出片142と、照明灯3の可動部33に結合されて可動部33を第二の回動軸Ax2回りに回動させる入力片151と、長手方向一端側で回動連結部152を介して入力片151に回動可能に結合されるとともに、長手方向他方側に被係合部としての切欠部161が形成されたロッド16と、を備え、突出片142が切欠部161に受容されて相互に係合された係合状態で、出力片141の回動が、突出片142からロッド16の直線運動に変換され、さらに入力片151の回動に変換されるようになっている。すなわち、本実施形態では、連動機構10Aは、係合部としての突出片142と、被係合部としての切欠部161(を有するロッド16)とを含む係合機構20Aを含んでいる。
【0033】
図9(a)に示す格納状態から、図9(b)に示すように、サンバイザ2を下方に移動(回動)させて使用状態にすると、出力片141および突出片142もサンバイザ2とともに回動して、突出片142が切欠部161に係合する係合状態となる。本実施形態では、図9(b)に示す回動位置で、照明灯3が体格が比較的大きい乗員Cの顔Cfを照らすように予め初期設定してある。
【0034】
また、体格が比較的小さい乗員Cがバニティミラー7で顔Cfを見るときは、図9(b)の初期状態から図9(c)の状態にサンバイザ2を前方に移動(回動)させることになる。このとき、連動機構10Aでは、出力片141の第一の回動軸Ax1回りの図9(c)中時計回り方向の回動が、ロッド16の図9(c)中右方向への直進運動に変換され、さらに入力片151の第二の回動軸Ax2回りの回動に変換されて、可動部33すなわち照射領域Lが下方に移動(回動)する。
【0035】
以上の本実施形態によれば、サンバイザ2の角度と照射領域Lの角度との初期設定を適切に行っておくことにより、乗員Cがバニティミラー7に顔Cfを映し出すようにサンバイザ2の位置を動かして調整することで、顔Cfを照らす位置に照明灯3の照射領域Lを移動させることができる。すなわち、本実施形態によっても、乗員Cの体格に拘わらず、その顔Cfにより適切に照明をあてやすくなる。そして、可動部33とサンバイザ2とを別個に操作する場合に比べて、手間を省くことができるという利点もある。
【0036】
また、本実施形態でも、連動機構10Aを、サンバイザ2を下方に移動させるにつれて、照射領域Lを下方に移動させるものとして構成した。すなわち、サンバイザ2を下方に移動させるにつれて、照射領域Lを下方に移動させるように構成することで、体格に拘わらず、顔Cfを適切に照らす構成を比較的簡単に構築することができる。
【0037】
また、本実施形態でも、連動機構10Aに係合機構20Aを含めることで、照明灯3の可動部33が、係合状態でサンバイザ2に連動可能となり、非係合状態では連動不能となるようにした。よって、連動しない状態を設定することができるようになる分、双方の回動範囲の全域で連動させる場合に比べて、サンバイザ2の回動範囲と照明灯3の可動部33の回動範囲との設定の自由度を高めることができる。
【0038】
そして、もちろん本実施形態にあっても、バニティミラー7には、図4や図7に示す目印7Pを設けることが好ましい。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、照明灯をサンバイザに対して車両後方に取り付けたが、照明灯とサンバイザとの相対的な位置関係はこれには限定されず、照明灯をサンバイザの側方(例えばルーフ前縁部の車幅方向中央部など)に配置したり、サンバイザに一体的に取り付けたりしてもよい。
【0040】
また、第一の回動軸と第二の回動軸との相対的な位置関係も上記実施形態には限定されない。さらに、第一の回動軸および第二の回動軸は、相互に平行になることも必須ではなく、例えば、照明灯がサンバイザの側方に設置されるような場合には、これら回動軸同士が所謂ねじれの位置となったり、交差したりすることもある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるサンバイザ装置の格納状態を示す模式図である。
【図2】体格が比較的大きい乗員が本発明の第1実施形態にかかるサンバイザ装置を使用する状態を示す模式図である。
【図3】体格が比較的小さい乗員が本発明の第1実施形態にかかるサンバイザ装置を使用する状態を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるサンバイザ装置のサンバイザの背面に取り付けたバニティミラーの正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかるサンバイザ装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかるサンバイザ装置を模式的に示す側面図であって、(a)は、サンバイザを格納した状態、(b)は、体格が比較的大きい乗員がバニティミラーを使用する状態、(c)は、体格が比較的小さい乗員がバニティミラーを使用する状態を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例にかかるサンバイザ装置のサンバイザの背面に取り付けたバニティミラーの正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるサンバイザ装置の分解斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかるサンバイザ装置を模式的に示す側面図であって、(a)は、サンバイザを格納した状態、(b)は、体格が比較的大きい乗員がバニティミラーを使用する状態、(c)は、体格が比較的小さい乗員がバニティミラーを使用する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1,1A サンバイザ装置
2 サンバイザ
3 照明灯
5 ルーフ部
7 バニティミラー
7P 目印
10,10A 連動機構
11 サンバイザ側ギアセット(係合機構)
20,20A 係合機構
33 可動部
112 第1のギア(主動歯車、係合部)
112a,113a,122a,123a 歯
112b,113b,122b,123b 非形成区間
113 第2のギア(従動歯車、被係合部)
142 突出片(係合部)
161 切欠部(被係合部)
Ax1 第一の回動軸
Ax2 第二の回動軸
C 乗員
Cf 顔
E 囲い部(目印)
Ln 横線(目印)
L 照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフ部に水平方向に略沿う第一の回動軸回りに回動可能に取り付けられて当該第一の回動軸回りに上方に移動させることにより格納状態になるとともに下方に移動させることにより使用状態になるバニティミラー付きのサンバイザと、前記ルーフ部に取り付けられた照明灯と、を備えた車両用サンバイザ装置において、
前記照明灯は、水平方向に略沿う第二の回動軸回りに回動可能に設けられてその回動に応じて光の照射領域を移動させる可動部を有し、
前記可動部を前記サンバイザに連動させる連動機構を設けたことを特徴とする車両用サンバイザ装置。
【請求項2】
前記連動機構は、前記サンバイザを下方に移動させるにつれて、前記照射領域を下方に移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザ装置。
【請求項3】
前記連動機構は、相互に係合する係合部および被係合部を有する係合機構を含み、
前記係合機構は、前記サンバイザの移動に応じて前記係合部と前記被係合部とが係合する係合状態と係合部と被係合部との係合が解除される非係合状態とが切り替わるように構成され、
前記可動部が、前記係合状態で前記サンバイザに連動可能となり、前記非係合状態では連動不能となるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用サンバイザ装置。
【請求項4】
前記係合機構を、前記サンバイザが上方に位置するときには前記非係合状態にあり、かつ前記サンバイザの下方への移動に伴って前記係合部が前記被係合部に係合する位置まで動いて前記係合状態が得られるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の車両用サンバイザ装置。
【請求項5】
前記係合機構は、前記係合部としての主動歯車と、前記被係合部としての従動歯車とを有し、
前記主動歯車および前記従動歯車のうち少なくともいずれか一方の外周に歯を形成しない非形成区間を設け、
前記係合状態を前記主動歯車と前記従動歯車とが噛合する状態として得るとともに、前記非係合状態を前記非形成区間が他方と対向する状態として得るようにしたことを特徴とする請求項3または4に記載の車両用サンバイザ装置。
【請求項6】
前記バニティミラーに、乗員の目線位置を合わせる目印を設けたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の車両用サンバイザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−76572(P2010−76572A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246567(P2008−246567)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】