説明

車両用シートの格納装置

【課題】移乗する車いす用の拡大したスペースが得られるシートの格納装置とする。
【解決手段】セカンドシート10のシートクッション11の裏面にヒンジピンP1とP2を介してフロントレッグ30とリヤレッグ35が連結され、フロントレッグ下端の関節ブラケット31には前方フロアのベースブラケット20にヒンジピンP3で一端が連結されたリンク部材25の他端がヒンジピンP4で連結されている。使用位置ではリヤレッグ35下端と関節ブラケット31がキャッチロック50、50Aでフロア側にロックされる。格納時は各ロックを解除し、シートバック12とシートクッション11を順次前方へ倒し、リヤレッグ35をシートクッション裏面に沿うように畳む。それからシートクッションを持ち上げるとリンク部材25が立ち上がってヒンジピンP1が上昇するので、シートクッション11の下に車いす乗員の足先を差し込めるに充分な高さの空間が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いすでの移乗など車両の客室スペースを広くしたい場合にシートを折り畳んで格納する車両用シートの格納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車いすで移乗する車両として、客室(あるいは荷室)のフロアが比較的広いワゴン車が用いられ、フロントシート(運転席)より後のセカンドシートやサードシート等を折り畳み壁際に格納して車いすスペースを形成し、バックドア開口部から車いすに乗ったまま客室へ移乗することが行われている。
この種のワゴン車ではエンジンルームと客室を区画してバルクヘッドがフロントシートと客室の間に立ち上がっており、フロアのスペースはこのバルクヘッドで前端が規制されているのが一般である。
【0003】
車いす移乗に際して折り畳まれる従来のセカンドシートとして、例えば実開昭56−1839に開示されたものがある。
その第1図に示されたものは、シートクッションの前端部から延びる前脚の下端をフロアに回転可能にヒンジで連結し、格納に際してはシートバックをシートクッションに重なるように倒してから、ヒンジまわりにシートクッションとシートバックを前方へ回転させることにより、シートクッションとシートバックをフロア膨出部(バルクヘッド)沿いに位置させるものである。
【0004】
しかし、これでは重なったシートクッションとシートバックが車体前後方向に占めるスペースがまだ顕著であるため、その第2図のように、シートバックをバルクヘッド上にずらすことにより、その分だけバルクヘッドから客室内への張り出し量を低減させることが提案されている。
同様に、格納したときにシートバックあるいはさらにシートクッションまでバルクヘッド上にずらすようにしたセカンドシートの格納構造が、特開平10−264690号公報にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭56−1839号公報
【特許文献2】特開平10−264690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、実開昭56−1839のものでは、シートバックをずらすためにシートクッションとシートバック間の連結点がリクライニング機構を採用できないような位置にある一般とは異なる特別なヒンジ構造を採用せざるを得ないという問題がある。
また、特開平10−264690号公報のものは、シートバックおよびシートクッションの格納高さには限度があって、当該公報に図示のとおりバルクヘッドにシートバックおよびシートクッションを受け入れる凹部が必要となるから、バルクヘッドの形状にかかわらずどの車両においても実現できるというものではない。
【0007】
ところで、近時は多くの車いす利用者がグループで移動する機会も増えてきており、客室へ移乗する車いすが複数台になると、それぞれを直列や並列配置の組合せを工夫して移乗させることになる。
その際、多くの車いす移乗を可能にするために車いす自体の全長を短縮することは車いす利用者の普段の快適性を損なうことになるので、少しでもフロアスペースの拡大が望まれる。
スペースの拡大は車いすのほか長尺の貨物積載の場合にも望まれる。
【0008】
したがって、本発明は上記に鑑み、シートクッションとシートバックの連結構造に影響を与えることなく、またバルクヘッドの形状によってバルクヘッドの上をシートクッションやシートバックの格納位置とすることができない場合でも、移乗する車いすや貨物などを客室内で従来以上に前方へ位置させることができるようにした車両用シートの格納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明の車両用シートの格納装置は、シートクッションをその裏面の幅方向両端部でヒンジ点を介してそれぞれ脚部材に連結し、ヒンジ点を結ぶ線を回転軸としてシートクッションを客室内における側壁側へ回転させて折り畳み可能としたシートを備える車両において、シートクッションの所定の格納位置までヒンジ点を上昇させる上昇手段を有して、格納位置におけるシートクッションの下に所定高さの空間を形成するものとした。
【0010】
上昇手段としては、脚部材と当該脚部材より上記側壁側に設定した支点とに両端を回転可能に連結されるとともに、シートクッションの使用位置において脚部材の延び方向と交差するリンク部材を有して、このリンク部材を上記支点まわりに回転させて引き上げることにより脚部材を介してヒンジ点を上昇させることができる。
【0011】
あるいは、脚部材を可動部材として上下方向に伸縮する伸縮フレームを備えて、この伸縮フレームを伸長させることによりヒンジ点を上昇させることもできる。
さらには、脚部材としてのフロントレッグと、リヤレッグと、フロントレッグより側壁側に設定した支点に回転可能に連結されるとともにフロントレッグおよびリヤレッグに連結された第1リンクとを含むリンク機構を形成して、第1リンクを支点まわりに回転させて引き上げることにより、ヒンジ点を結ぶ線を回転軸としてシートクッションを側壁側へ回転させつつヒンジ点を上昇させるようにしてよい。
【発明の効果】
【0012】
格納位置におけるシートクッションの下に例えば車いす乗員の足先を差し込めるに充分な高さの空間を形成することができるので、足先を差し込める分だけ車両の客室に移乗した車いすのためのスペースが拡大される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例を示す側面図である。
【図2】第1の実施例のセカンドシートを右上後方から見た斜視図である。
【図3】シートクッション裏面のフロントブラケットおよびリヤブラケットを示す拡大図である。
【図4】キャッチロックの構成を示す図である。
【図5】ロック解除レバーを示す図である。
【図6】関節ブラケットを示す拡大斜視図である。
【図7】シートバックとシートクッションをダブルフォールドした状態を示す側面図である。
【図8】ダブルフォールド状態を右上後方から見た斜視図である。
【図9】格納状態を示す側面図である。
【図10】格納状態を右上後方から見た斜視図である。
【図11】第2の実施例を示す側面図である。
【図12】フロントブラケットを示す拡大斜視図である。
【図13】伸縮フレームの構成を示す縦断面図である。
【図14】伸縮フレームの構成を示す横断面図である。
【図15】ロック解除レバーを示す図である。
【図16】伸縮フレームの構成を示す斜視図である。
【図17】ダブルフォールド状態を示す側面図である。
【図18】格納状態を示す側面図である。
【図19】格納状態を右上後方から見た斜視図である。
【図20】第3の実施例を示す側面図である。
【図21】フロントレッグおよびリヤレッグの支持構造の分解斜視図である。
【図22】フロントレッグおよびリヤレッグとリンクの連結部を示す拡大断面図である。
【図23】格納途中の状態を示す側面図である。
【図24】格納状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を実施例により説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、第1の実施例について説明する。第1の実施例は、本発明を車両のセカンドシート(Second Seat)に適用したものである。
図1は、第1の実施例の側面図、図2はセカンドシートを右上後方から見た斜視図である。
セカンドシート10は、フロントシート(運転席)5の後方にバルクヘッド3を挟んで配置されている。なお、バルクヘッド3の上方には手すり4が車幅方向に張り渡してある。
セカンドシート10は、シートクッション11とシートバック12からなり、シートバック12はシートクッション11の後端部近傍を支点として回動可能で、図示省略のリクライニング装置で任意の角度に調整、ロックできる。図1は、セカンドシート10のシートクッション11が使用位置にあり、シートバック12を仮想線で示す使用位置から前倒しにした状態を示している。
【0016】
セカンドシート10のシートクッション11の裏面には、左右(車両幅方向)両端部のそれぞれ前部にフロントブラケット15、後部にリヤブラケット16、そしてフロントブラケット15とリヤブラケット16の間にレバーブラケット14が設けられている。また、シートクッション11裏面における左右方向中央部で後部寄りには後述するロック解除レバー70A(後掲の図7、8、10参照)が設けられている。
フロントブラケット15およびレバーブラケット14はシートクッション11の裏面内部に配された不図示のフレームにそれぞれ結合固定されている。フロントブラケット15とリヤブラケット16は車両の前後軸と平行な直線上に整列していてもよいし、ずれていてもよい。
【0017】
シートクッション11はその後端に、不図示の内部フレームに結合した左右方向に延びる一直線のパイプ17を備え、パイプ17の両端にリヤブラケット16、16が結合している。
パイプ17の中間部には、左右対称に離間した位置にストラップ通し穴を有するストラップ取付片18が後方に向けて設けてある。
【0018】
フロントブラケット15には、フロントレッグ30が前後方向に延びる垂直面内で回転可能にヒンジピンP1で連結されている。
なお、移乗させる車いす用のスペース拡大のためには、左右のフロントレッグ30間および後述するリンク部材25間の間隔は移乗させる車いすの幅サイズより大きく、最小でも車いすの左右のフットレストをカバーする寸法より大きいものとする。
フロントレッグ30はその先端(下端)に関節ブラケット31を備え、中間にフックブラケット33を備えている。
【0019】
フロントブラケット15は、上方から見た図3の(a)に示すように、前方に開口したボックス型で、底壁15aにフロントレッグ30を通す切り欠き15cを備え、セカンドシート10が使用位置にあってフロントレッグ30が垂直状態のとき、切り欠き15cの奥端縁がフロントレッグ30に当接するように設定してある。これにより、フロントレッグ30がシートクッション11に対して相対的に後方へ倒れない、換言すればシートクッション11が前方へ移動しないようになっている。
【0020】
さらに、図1に示すように、シートクッション11のレバーブラケット14にはフックレバー8の一端が支持され、他端のフック部8aがフロントレッグ30のフックブラケット33に係止されて、フロントレッグ30がシートクッション11に対して相対的に前方へ倒れない、換言すればシートクッション11が後方へ移動しないようになっている。
すなわち、フロントブラケット15における切り欠き15cの設定と、フックレバー8とにより、シートクッション11の使用位置が保持されている。
図3の(a)において15dはヒンジピンP1を通すピン孔である。
ヒンジピンP1は、とくに図示しないが、ヘッドと両側壁のピン孔15dを貫通する軸部とを有し、軸部の先端にナットを締め付けて抜け止めされる。後述する他のヒンジピンも特記しない限り同様である。
フロントブラケット15にはピン孔15dの前上方に後述するストッパピン15eが設けてある。
【0021】
リヤブラケット16にはリヤレッグ35が連結されている。リヤレッグ35は1本のパイプ材をコ字形に曲げて形成され、水平連結部36の両端から左右の脚部37、37が直角方向に延びているもので、各脚部37の先端がリヤブラケット16にヒンジピンP2で連結され、回転可能となっている。
リヤブラケット16は後壁16aから前方に延びる側壁16bを備えた断面コ字形で、図3の(b)の断面図に示すように、セカンドシート10が使用位置にあってリヤレッグ35の脚部37が垂直状態のとき、当該脚部37の後面に当接するストッパピン16eを有している。このストッパピン16eもシートクッションが前方へ移動しないよう規制するのに寄与する。
【0022】
水平連結部36は左右の脚部37につながる曲がり部を除いて直線状である。リヤレッグ35は、水平連結部36における両端部近傍の直線部分にキャッチロック50を備えている。キャッチロック50は後述するストライカ受け口54を先端にして水平連結部36から下方(脚部37と平行)に向けて延びている。
【0023】
図4はキャッチロック50の構成を示す図である。(a)はロック状態の正面図、(b)は(a)におけるA−A部断面図、(c)は解放状態の正面図である。
キャッチロック50は、主要部材としてベース51と、キャッチャ55と、ロックレバー60と、引張りスプリング65とからなる。
ベース51は平坦面の主部52と、主部52を挟む両側で立ち上がった側壁53(53a、53b)とを備える。
主部52の側壁53間の中央部には側壁53に沿った方向に向いたストライカ受け口54が形成されている。ストライカ受け口54は奥端が後述するストライカロッド47の径に略整合するサイズを有し、開口に向かって弧状で末広がりとなっている。
【0024】
キャッチャ55は主部52から立ち上がる軸59に支持され、ロック位置と解放位置の間を回転可能となっている。図4の(a)はキャッチャ55がロック位置にある状態を示している。軸59はストライカ受け口54から一方の側壁53a側に寄った位置に設定されている。
主部52には解放位置にきたときのキャッチャ55を保持するストッパ66が設けてある。
キャッチャ55は主部52のストライカ受け口54を横切る方向に開口する保持口56を有している。保持口56も、ストライカ受け口54と同様に、奥端がストライカロッド47の径に略整合するサイズを有し、開口に向かって弧状で末広がりとなっている。
【0025】
ロックレバー60は他方の側壁53b側に寄った位置で主部52から立ち上がる軸63に回転可能に支持されてストライカ受け口54の開口とは反対方向に延びるとともに、キャッチャ55側へ突出する爪突起61を備えている。
一方、キャッチャ55は保持口56の開口に隣接する外周縁にロックレバー60の爪突起61と係合可能な切欠き凹部57を備えている。
キャッチャ55における軸59を挟んで保持口56とは反対側に設けたピン58と、ロックレバー60における軸から離間した中間位置に設けたピン62との間に、引張りスプリング65が設けられて、図4の(a)の正面図において、キャッチャ55は時計方向、ロックレバー60は反時計方向に付勢されている。
【0026】
ベース51の側壁53bには後述するケーブル75のアウタケーブル76を固定するケーブル取付部67が設けられ、アウタケーブル76から延びるインナケーブル77がロックレバー60の先端に連結されるようになっている。
図4の(b)に示すように、側壁53a、53b間はカバー68で覆われる。とくに図示しないが、カバー68も主部52と整合させたストライカ受け口54を備える。
【0027】
ロック状態において、(a)に示すように、ロックレバー60の爪突起61がキャッチャ55の切欠き凹部57に係合するとともに、キャッチャ55の保持口56がストライカ受け口54の開口方向に対して直角方向を向き、ストライカロッド47を保持している。
つぎに、引張りスプリング65に抗してロックレバー60を時計方向に回動させると、図4の(c)に示すように、ロックレバー60の爪突起61とキャッチャ55の切欠き凹部57との係合が外れる。この結果、引張りスプリング65に付勢されたキャッチャ55が時計方向に回転し、キャッチャ55の保持口56がストライカ受け口54に重なって開く位置に来ると、ストライカロッド47はストライカ受け口54から脱して解放される。
【0028】
このあとロックレバー60を解放すると、その爪突起61はキャッチャ55の切欠き凹部57を外れた外周縁に当接する。そしてキャッチャ55はその外周縁がベース51のストッパ66に当接して更なる回転を規制され、保持口56がストライカ受け口54に開いたままの解放状態を維持することになる。
【0029】
また、とくに図示しないが、図4の(c)の解放状態においてストライカロッド47を外方からストライカ受け口54に押し込んでいくと、ストライカロッド47が保持口56の側縁を押してキャッチャ55を反時計方向に回転させる。
これにより、保持口56がストライカ受け口54の方向から離れるように傾いてゆき、ストライカ受け口54の開口方向に対して直角方向に至ったときに、キャッチャ55の切欠き凹部57がロックレバー60の爪突起61と対応する位置に来て両者が係合し、図4の(a)のロック状態となる。
【0030】
リヤレッグ35の水平連結部36の中央上部にはロック解除レバー70が設置され、左右のキャッチロック50とケーブル75で連結されている。
図5の(a)に示すように、ロック解除レバー70は、水平連結部36に溶接で固定されたベースボックス71に設けた軸72に支持され、左右の脚部37に挟まれた空間内で回転可能となっている。
ロック解除レバー70側では、各ケーブル75のインナケーブル77がロック解除レバー70の回転中心(軸72)を挟んだ対称位置に連結され、アウタケーブル76はベースボックス71に設けたケーブル取付部78に固定されている。
キャッチロック50側では、前述のように、アウタケーブル76がキャッチロック50のベース51に設けたケーブル取付部67に固定され、インナケーブル77がロックレバー60の先端に連結されている。
【0031】
図5の(b)に示すように、ロック解除レバー70を水平連結部36に略沿った初期位置から手で引き上げて回動させると、インナケーブル77が引張られてキャッチロック50のロックレバー60がキャッチャ55から離れる方向に回動して、爪突起61がキャッチャ55の切欠き凹部57との係合から外れ、キャッチロック50のロックが解除される。
なお、ロック解除レバー70から手を放して解放すればキャッチロック50における引張りスプリング65によりインナケーブル77が引き戻されるが、さらにロック解除レバー70側にもロック解除レバー70を初期位置へ付勢するリターンスプリングを設けてもよい。
また、セカンドシートの使用位置において、リヤレッグ35の水平連結部36は後方に隣接するサードシート(Third Seat)の着座者の足に踏まれる位置になるので、とくに図示はしないがキャッチロック50やロック解除レバー70のベースボックス71、あるいはその間を結ぶケーブル75を隠すカバーを水平連結部36にそって取り付けて足との接触を防止することができる。
【0032】
図1、図2に戻って、セカンドシート10が配置される客室の基礎床1には、
リヤレッグ35のキャッチロック50に対応するリヤストライカ45が設置されている。
なお、ここで基礎床とは、車体構造部材としてのフロアを指している。
リヤストライカ45はボックス46の内部に前後方向に配置したストライカロッド47を備えて構成され、ボックス46の上壁にストライカロッド47を臨める矩形の長穴48を形成してある。長穴48のサイズはリヤレッグ35のキャッチロック50が進入可能に設定してある。本実施例ではボックス46をリヤレッグ35の左右方向長さに対応する長いサイズとして、内部に左右双方のキャッチロック50に対応する2本のストライカロッド47を備えるようにしてある。
【0033】
また、フロントレッグ30の関節ブラケット31は前方に開口したボックス型で、関節ブラケット31もその後壁にキャッチロック50Aを備えている。
フロントレッグ30のキャッチロック50Aはリヤレッグ35のキャッチロック50と外観形状、サイズが異なるが、そのロック機構の原理は同一であり、詳細説明は省略して内部構造にかかる参照番号についてはキャッチロック50のものと同じ参照番号を用いる。
キャッチロック50Aもそのストライカ受け口54を下方に向けている。そして、基礎床1にはフロントレッグ30のキャッチロック50Aに対応するフロントストライカ40が設置されている。
【0034】
フロントストライカ40は左右独立しているが、リヤストライカ45と同様に、ボックス41の内部に前後方向に配置したストライカロッド42を備えて構成され、ボックス41の上壁にストライカロッド42を臨める矩形の長穴43を形成してある。長穴43のサイズはキャッチロック50Aが進入可能に設定してある。
なお、セカンドシート10が使用位置にあるとき、キャッチロック50Aがストライカロッド42と係合して、キャッチロック50がリヤストライカ45とロック状態として、フロントレッグ30とリヤレッグ35の脚部37とはそれぞれ垂直姿勢にあるように設定してある。
【0035】
フロントレッグ30のキャッチロック50Aのためのロック解除レバー70Aは、シートクッション11の裏面に配置されている。ロック解除レバー70Aは、リヤレッグ35のキャッチロック50用と同構造で、ベースボックス71Aに設けた軸周りに支持されてシートクッション11の裏面にそった面内で回転可能となっており、アウタケーブルとインナケーブルとからなるケーブル75Aで左右のキャッチロック50Aと接続されている。ベースボックス71Aはシートクッション11の裏面内部のフレームに結合固定されている。
【0036】
基礎床1にはまた、フロントストライカ40の前方にボックス状のベースブラケット20が設置されている。ベースブラケット20には前後方向に延びる垂直面内で回転可能にリンク部材25の一端がヒンジピンP3で連結され、リンク部材25の他端はフロントレッグ30先端の関節ブラケット31に回転可能にヒンジピンP4で連結されている。
図6は関節ブラケット31を前方から見た拡大斜視図である。関節ブラケット31は底壁31aにリンク部材25を通す切り欠き31cを備え、フロントレッグ30とリンク部材25が一直線状態となったとき、切り欠き31cの奥端縁がリンク部材25に当接するように設定してある。
なお、図6には関節ブラケット31の後壁に設けたキャッチロック50Aの図示を省略している。
ベースブラケット20の上壁から後壁にかけてもリンク部材25を通過させる切欠き穴24が形成してある。
【0037】
客室フロアは基礎床1との間に間隔を設けてサービスフロア2を形成しており、サービスフロア2はベースブラケット20および各ストライカ40、45の上壁と面一、または上壁に重なるように設定され、各上壁に重なる場合には当然に、ストライカの長穴43、48やベースブラケット20の切欠き穴24と整合する穴を有する。
なお、図2および後掲の図8にはサービスフロア2の図示を省いている。
また、サービスフロア2における左右のベースブラケット20とフロントストライカ40の間はそれぞれ基礎床1を底壁として車両前後方向に延びる溝6(図10参照)となっている。
【0038】
図1に示した使用位置の状態において、リンク部材25とフロントレッグ30は関節ブラケット31部分で略直角に折れた関係にある。
リンク部材25の中間位置とフロントレッグ30の中間位置の間には、それぞれに設けた支持ブラケット26、32(図8参照)に両端を連結して、伸長方向の付勢力を出力するガスステー28が設けてある。
また、リンク部材25の先端(関節ブラケット31側)近傍には、フロントストライカ40のストライカロッド42と同径で下方に延びるロッドピン27が溶接で固定され、リンク部材25とフロントレッグ30を一直線状に延ばしたときにロッドピン27がキャッチロック50Aにおけるストライカ受け口54の奥端に位置するように設定してある。
【0039】
以上のように構成されたセカンドシート10は、使用状態においては、フロントレッグ30のキャッチロック50Aがフロントストライカ40(のストライカロッド42)と係合してロック状態にあり、リヤレッグ35のキャッチロック50がリヤストライカ45(のストライカロッド47)と係合してロック状態にある。
そして、車いすでの移乗など客室スペースを広くしたい場合には、折り畳んで跳ね上げることができる。以下、その要領について説明する。
【0040】
まず図1の姿勢に保持され、フロントレッグ30およびリヤレッグ35の各キャッチロック50A、50がロックしている状態から、まず、フックレバー8をフロントレッグ30のフックブラケット33から外す。そして、リヤレッグ35に設置してあるロック解除レバー70を引いてリヤレッグ35のキャッチロック50のロックを解除し、シートクッション11の後部を持ち上げる。
これにより、シートクッション11とシートバック12はフロントブラケット15のヒンジピンP1を支点に前方へ回転して、前後に重なった縦姿勢となる。図7はこの状態を示す側面図、図8は右上後方から見た斜視図である。
【0041】
セカンドシート10の使用状態からはまずシートバック12を倒し、さらにシートクッション11を跳ね上げたいわゆるダブルフォールディングにより、シートバック12の上部およびシートクッション11の前部が下位置、シートバック12の下部およびシートクッション11の後部が上位置となっている。
リヤレッグ35は自重でリヤブラケット16のヒンジピンP2を支点にして回転し、シートクッション11の裏面に沿って垂れ下がり、折り畳み状態となる。
なお、リヤブラケット16に図3の(b)に示すようなストッパピン16fを設けて、リヤレッグ35の折り畳み角度を規制するようにしてもよい。
また、フロントブラケット15のストッパピン15eがフロントレッグ30の前面に当接して、シートクッション11の裏面が垂直姿勢を保持するようになっている。
【0042】
つぎに、シートクッション11裏面に設置したロック解除レバー70Aを引くと、フロントレッグ30のキャッチロック50Aとフロントストライカ40とのロックが解除されるので、下位置となっているシートクッション11の前部に手を掛けて持ち上げる。
これにより、リンク部材25がフロントレッグ30下端の関節ブラケット31に引かれて立ち上がり、フロントレッグ30と一直線になる方向に変位する。この際、リンク部材25とフロントレッグ30の間に設けたガスステー28がこの変位を助力するので、持ち上げ作業が楽である。
また、リンク部材25とフロントレッグ30が一直線に近づくにつれて、リンク部材25に設けたロッドピン27が関節ブラケット31のキャッチロック50Aにおけるストライカ受け口54に入ってゆく。
【0043】
図9はリンク部材25とフロントレッグ30が一直線になって立ち上がって、セカンドシート10が格納位置に到達した状態を示す側面図、図10は右上後方から見た斜視図である。
リンク部材25とフロントレッグ30が一直線になったとき、ロッドピン27がストライカ受け口54の奥端に達して、キャッチロック50Aがロッドピン27と係合しロック状態となる。これにより、この後リンク部材25とフロントレッグ30の一直線状態が保持される。
そして、シートクッション11のパイプ17に設けたストラップ取付片18に一端を接続したストラップ19の他端を手すり4につなぐことにより、シートバック12がバルクヘッド3に押し付けられてガタなどのない格納状態が保持される。
【0044】
セカンドシート10はダブルフォルディングされた上、さらにリンク部材25の長さ分だけ上方に持ち上げられているため、図9に仮想線で示すように、車いす110のフットレスト111やフットレスト上の車いす乗員Mの足を何らの障害なしにシートクッション11あるいはシートバック12の下まで差し入れることができる。
ベースブラケット20、フロントストライカ40およびリヤストライカ45等は溝6内に位置して、サービスフロア2上は平坦面となっているので、これらも乗員や車いすの移動に対して障害とならない。
【0045】
一方、セカンドシート10の使用位置への展開は上記した手順を逆に行えばよい。フロントレッグ30およびリヤレッグ35の基礎床1への固定は、対応するフロントストライカ40およびリヤストライカ45の長穴43、48にキャッチロック50A、50を押し込むだけで自動的にロックされるから作業が簡単である。
【0046】
本実施例においては、図1の側面図におけるヒンジピンP1の位置が発明における第1のヒンジ点に該当し、ヒンジピンP2の位置が第2のヒンジ点に該当する。
フロントレッグ30が発明における脚部材に、バルクヘッド3のセカンドシート10bに面した壁面が客室内における側壁に、ベースブラケット20におけるヒンジピンP3が脚部材より側壁側に設定した支点にそれぞれ該当する。
また、リンク部材25をヒンジピンP3まわりに回転させることによりフロントレッグ30の下端を持ち上げ、その結果フロントレッグ30上端をフロントブラケット15に連結するヒンジピンP1位置を上昇させる構成が発明における上昇手段に相当する。
ガスステー28が発明における付勢手段に該当し、ロッドピン27とキャッチロック50Aとで保持手段を構成している。
【0047】
本実施例は以上のように構成され、シートクッション11をその裏面の幅方向両端部で第1のヒンジ点であるヒンジピンP1を介してそれぞれフロントレッグ30に連結し、左右のヒンジピンP1を結ぶ線を回転軸としてシートクッション11を客室内におけるバルクヘッド3側へ回転させて折り畳み可能としたセカンドシート10を備える車両において、ヒンジピンP1、したがってこれに連なるシートクッション11をさらに所定の格納位置まで上昇させるようにして、格納位置におけるシートクッション11の下に車いす乗員Mの足先が差し込めるに充分な高さの空間を形成するようにしたので、移乗した車いすのためのスペースが足先を差し込める分だけ拡大される。
【0048】
ヒンジピンP1はシートクッション11の前部に設けたフロントブラケット15に用いてフロントレッグ30を連結し、第2のヒンジ点であるヒンジピンP2はシートクッション11の後部に設けたリヤブラケット16に用いてリヤレッグ35を連結しており、シートクッション11は前部のヒンジピンP1まわりに回転するから、回転後のシートクッション11の下に高い空間が得られる。
【0049】
また、シートクッション11を上昇させるため、リンク部材25の一端をヒンジピンP4を介してフロントレッグ30に、他端をヒンジピンP3を介して前方のバルクヘッド3側に設定したベースブラケット20にそれぞれ回転可能に連結し、リンク部材25をヒンジピンP3まわりに回転させることによりフロントレッグ30を介してヒンジピンP1位置を上昇させる。
リンク部材25の回転につれて、ヒンジピンP4側が上昇するとともに、同時にバルクヘッド3側へ接近していくので、シートクッション11やシートバック12を極限までバルクヘッド3に寄せることができ、車いす110のためのスペースがとくに拡大される。
【0050】
リンク部材25はフロントレッグ30下端の関節ブラケット31に連結されて、セカンドシート10の使用状態においてリンク部材25とフロントレッグ30の延び方向が交差しており、両者の各中間位置の間に伸長方向の付勢力を出力するガスステー28が連結してあるので、シートクッション11の上昇を助力して格納操作が容易である。
【0051】
リンク部材25にロッドピン27を設け、フロントレッグ30にはその関節ブラケット31にキャッチロック50Aを設けて、リンク部材25とフロントレッグ30が一直線になって格納位置に至ったときにロックするものとしているので、そのシートクッション11を上昇させた状態を保持することができる。
なお、ロッドピン27をフロントレッグ30側に設け、キャッチロック50Aをリンク部材25側に設けてもよい。
【0052】
使用位置でのフロントレッグ30やリヤレッグ35のロックにはキャッチロック50A、50を用い、それぞれのストライカ受け口54が開口に向かって末広がりとなっているので、ストライカロッド42、47との位置合わせに手間がかからない。
また、フロントレッグ30のキャッチロック50Aのロック解除を行うときはシートクッション11が前方へ倒されてその裏面が立ち上がっており、当該裏面に左右のキャッチロック50Aを解除するロック解除レバー70Aが設置してあるので、ロック解除操作が容易である。
【実施例2】
【0053】
つぎに、第2の実施例について説明する。本実施例は、第1の実施例におけるフロントレッグ30およびリンク部材25の代わりに、伸縮フレームを用いたものである。
図11は、第2の実施例の側面図である。
セカンドシート10Aは第1の実施例のものと同じシートクッション11とシートバック12を有する。図11は、シートクッション11が使用位置にあり、シートバック12は前倒しにした状態を示している。
【0054】
セカンドシート10Aのシートクッション11の裏面には、左右(車両幅方向)両端部にそれぞれ前部にフロントブラケット15Aが、後部にリヤブラケット16が設けられている。また、シートクッション11裏面における左右方向中央部で後部寄りには第1の実施例のロック解除レバー70Aに代わってロック解除レバー70B(後掲の図15、図19参照)が設けられている。
リヤブラケット16はシートクッション11後端のパイプ17の両端に結合固定されている。
【0055】
図12はフロントブラケット15Aの斜視図である。
フロントブラケット15Aは断面コ字形で底壁15aを上にしてシートクッション11の裏面内部に配された不図示のフレームに結合固定される。
側壁15bには、後述する伸縮フレーム80の内フレーム90と連結するヒンジピンP5(図18参照)を通すピン孔15dを備えている。また、ピン孔15dの前上方には、シートクッション11をその裏面が垂直になるまで回転させたときに内フレーム90の前壁と当接するようにストッパピン15eが設けてある。
フロントブラケット15Aとリヤブラケット16は車両の前後軸と平行な直線上に整列していてもよいし、ずれていてもよい。
【0056】
基礎床1には、フロントブラケット15Aに対応して伸縮フレーム80が立ち上がっている。
伸縮フレーム80は、基礎床1に固定された外フレーム81と、外フレーム81内に配置されて上下方向に移動可能な内フレーム90を備えており、フロントブラケット15Aがこの内フレーム90の上端にヒンジピンP5により連結されてシートクッション11が回転可能となっている。
伸縮フレーム80の詳細は追って説明する。
【0057】
リヤブラケット16にリヤレッグ35がヒンジピンP2で連結されている点は第1の実施例と同じである。
基礎床1には、リヤレッグ35のキャッチロック50に対応するリヤストライカ45が設置されており、リヤレッグ35の水平連結部36に設けたロック解除レバー70を操作することにより、キャッチロック50によるロックを解除することができる。
【0058】
つぎに伸縮フレーム80の詳細について説明する。
図13は伸縮フレーム80の縦断面図、図14の(a)は図13におけるB−B部断面図、(b)はC−C部断面図である。
外フレーム81は横断面が矩形で、前壁81a内面には上下方向にレール85が設けられている。レール85は、断面コ字形でその両側壁85bの端縁は互いに接近する内方へ折れたフランジ85cとなっており、レール85内で側壁85b上を転動する2つのローラ93が内フレーム90の前壁90aからそれぞれ延びる軸92に支持されている。フランジ85cはローラ93の抜け止めとなっている。
【0059】
2つのローラ93は上下方向に離間して設けられ、これにより内フレーム90は左右方向に倒れない。また外フレーム81の側壁81bの内面には内フレーム90の前後方向位置を保持するためのガイドレール86が設けてある。これにより、内フレーム90は垂直姿勢を保持して外フレーム81と平行にスライド可能となっている。
内フレーム90の前壁90aには、ローラ93に挟まれた中間位置にピンガイド94が設けられ、ロックピン95を保持している。
これらのローラ93およびロックピン95は内フレーム90の下部に配置してある。
【0060】
ロックピン95は当該ロックピンと前壁90aの間に配置されたコイルスプリング96によりピンガイド94から突出方向に付勢されているとともに、ロック解除レバー70Bから延びるケーブル75Bのインナケーブル77に接続されている。
ロック解除レバー70Bは、図15に拡大して示すように、シートクッション11の裏面に設けた外枠73内に横長の形態で配置されている。外枠73は左右の縦部材73aに上下方向の溝74を備え、ロック解除レバー70Bの左右両端が溝74内をスライドして上下方向に移動可能となっている。
【0061】
2本のケーブル75Bの各アウタケーブル76bの一端が外枠73の下部材73b中央に設けたケーブル取付部83cに固定され、インナケーブル77bの一端が下部材73bを貫通してロック解除レバー70Bに連結される。2本のケーブル75Bはシートクッション11裏面における前端近傍で左右に分かれてフロントブラケット15Aへ向かう。
【0062】
そして、図13に示されるように、各ケーブル75Bのアウタケーブル76bの他端は内フレーム90の上端に設けたケーブル取付部97に固定され、インナケーブル77bは内フレーム90内を下方へ向かい、ロックピン95に対応する高さ位置において左右の側壁90b間に掛渡したローラピン98で前方へ方向転換して、ロックピン95に連結される。
自由状態においてロックピン95はコイルスプリング96によりピンガイド94から外方へ突出しており、ロック解除レバー70Bを引き上げることによりインナケーブル77bがロックピン95をピンガイド94内へ退避させる。
【0063】
シートクッション11の使用状態において、ロックピン95はピンガイド94から突出し、外フレーム81の下部に前壁81aおよびレール85の底壁85aを貫通して形成された第1のロック穴83aに進入して、これにより内フレーム90はダウン位置にあって上下方向スライド不可にロックされる。
外フレーム81の底部と内フレーム90の中間位置との間には、それぞれに設けた支持ブラケットに両端を連結して、伸長方向の付勢力を出力するガスステー28Aが設けてある。
【0064】
外フレーム81の前壁81aの上部には、当該前壁81aおよびレール85を貫通する第2のロック穴83bが形成してあり、内フレーム90が外フレーム81に対して上方にスライドした所定位置(アップ位置)においてロックピン95が進入可能に設定されている。
図16は内フレーム90を外フレーム81から途中まで引き上げた状態の伸縮フレーム80の斜視図である。
外フレーム81の前壁81a上部には、シートクッション11を回転させたときフロントブラケット15Aの側壁15bとの干渉を避けるため、スリット87が形成してある。
【0065】
左右の内フレーム90の上下方向中間部には左右に張り渡した連結フレーム材99の各端部が溶接結合されて、内フレーム90同士の剛性を高めている。また、左右の外フレーム81の互いに対向する内側の側壁81bには、連結フレーム材99を通過させる切欠き84が形成してある。
なお、仮想線はシートクッション11をその裏面が垂直になるまで回転させたときのフロントブラケット15Aを示している。
【0066】
基礎床1との間に間隔を設けて、ストライカ45の上壁と面一、または上壁に重なるサービスフロア2を形成している点を含めて、その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0067】
以上のように構成されたセカンドシート10Aは、使用状態においては、伸縮フレーム80のロックピン95が外フレーム81の第1のロック穴83aに進入して、フロントブラケット15Aに連結された内フレーム90がダウン位置にロックされ、リヤレッグ35のキャッチロック50がリヤストライカ45(のストライカロッド47)と係合してロック状態にある。
そして、車いすでの移乗など客室スペースを広くしたい場合には、折り畳んで跳ね上げることができる。以下、その要領について説明する。
【0068】
まず図11の姿勢に保持され、伸縮フレーム80の内フレーム90がダウン位置でロックされ、リヤレッグ35のキャッチロック50がリヤストライカ45とロックしている状態から、リヤレッグ35に設置してあるロック解除レバー70を引いてリヤレッグ35のキャッチロック50のロックを解除し、シートクッション11の後部を持ち上げる。
これにより、シートクッション11とシートバック12はフロントブラケット15AのヒンジピンP5を支点に前方へ回転して、ダブルフォールド状態で前後に重なった縦姿勢となる。図17はこの状態を示す側面図である。
【0069】
リヤレッグ35は自重でリヤブラケット16のヒンジピンP2を支点にして回転し、シートクッション11の裏面に沿って垂れ下がり、折り畳み状態となる。
なお、リヤブラケット16に図3の(b)に示すようなストッパピン16eを設けて、リヤレッグ35の折り畳み角度を規制するようにしてもよい。
また、フロントブラケット15Aのストッパピン15eが内フレーム90の前面(前壁90a)に当接して、シートクッション11の裏面が垂直姿勢を保持するようになっている。
【0070】
つぎに、シートクッション11の裏面に設置したロック解除レバー70Bを引き上げると、内フレーム90のピンガイド94から突出していたロックピン95が第1のロック穴83aから退避してロックが解除されるので、下位置となっているシートクッション11の前部に手を掛けて持ち上げる。
これにより、内フレーム90がフロントブラケット15Aに引き上げられてダウン位置から上方へ変位する。この際、外フレーム81と内フレーム90の間に設けたガスステー28Aがこの変位を助力するので、持ち上げ作業が楽である。
内フレーム90がアップ位置まで上昇すると、ロックピン95が第2のロック穴83bに対向するので、第2のロック穴83bに進入してロックされ、セカンドシート10Aの格納位置となる。
【0071】
図18はセカンドシート10Aが格納位置に到達した状態を示す側面図、図19は右上後方から見た斜視図である。
図18においてセカンドシート10Aにはその自重により反時計方向のモーメントが作用するので、フロントブラケット15Aのストッパピン15eが内フレーム90の前面に当接して、この上昇した格納状態においてもシートクッション11はその裏面が垂直の姿勢を保持する。
さらには、第1の実施例と同様に、シートクッション11のパイプ17に設けたストラップ取付片18に一端を接続したストラップ19の他端を手すり4につなぐことにより、一層確実に格納状態を保持することもできる。
【0072】
セカンドシート10Aはダブルフォルディングされた上、さらに伸縮フレーム80により上方に持ち上げられているため、図18に仮想線で示すように、第1の実施例と同様、車いす110のフットレスト111やフットレスト上の車いす乗員Mの足を何らの障害なしにシートクッション11あるいはシートバック12の下まで差し入れることができる。
【0073】
一方、この格納状態からセカンドシート10Aの使用状態への展開は、まずロック解除レバー70Bを引き上げてロックピン95を第2のロック穴83bから退避させてロックを解除して、それからセカンドシート10Aを押下げる。
これにより、伸縮フレーム80では内フレーム90が下降して、ダウン位置に至ると、ロックピン95が第1のロック穴83aに対向するので、第1のロック穴83aに進入してロックされる。
その後、シートクッション11をフロントブラケット15AのヒンジピンP5まわりに後方へ倒しながら、リヤレッグ35をシートクッション11裏面から立ち下げて、リヤストライカ45の長穴48にリヤレッグ35のキャッチロック50を押し込むとそのままロックされるから作業が簡単である。
シートバック12を立ち上げればセカンドシート10Aの使用状態となる。
【0074】
本実施例においては、図18の側面図におけるヒンジピンP5の位置が発明における第1のヒンジ点に該当し、ヒンジピンP2の位置が第2のヒンジ点に該当する。
内フレーム90が発明における脚部材に、バルクヘッド3のセカンドシート10Aに面した壁面が客室内における側壁にそれぞれ該当する。
外フレーム81と内フレーム90からなる伸縮フレーム80が発明における上昇手段に該当し、外フレーム81と内フレーム90の間に設けたガスステー28Aが付勢手段に該当する。
【0075】
第2の実施例は以上のように構成され、シートクッション11をその裏面の幅方向両端部でヒンジピンP5を介して伸縮フレーム80の内フレーム90に連結し、左右のヒンジピンP5を結ぶ線を回転軸としてシートクッション11を客室内におけるバルクヘッド3側へ回転させて折り畳み可能としたセカンドシート10Aを備える車両において、ヒンジピンP5、したがってこれに連なるシートクッション11をさらに所定の格納位置まで上昇させるようにして、格納位置におけるシートクッション11の下に車いす乗員Mの足先が差し込めるに充分な高さの空間を形成するようにしたので、移乗した車いすのためのスペースが足先を差し込める分だけ拡大される。
【0076】
ヒンジピンP5はシートクッション11の前部に設けたフロントブラケット15Aに用いて内フレーム90を連結し、ヒンジピンP2はシートクッション11の後部に設けたリヤブラケット16に用いてリヤレッグ35を連結しており、シートクッション11は前部のヒンジピンP5まわりに回転するから、回転後のシートクッション11の下に高い空間が得られる。
【0077】
また、シートクッション11を上昇させるために、ヒンジピンP5で連結している内フレーム90を可動部材として、上下方向に伸縮する伸縮フレーム80を備えているので、高い剛性をもって格納位置へ持ち上げることができる。
そして、伸縮フレーム80は内フレーム90を収容する外フレーム81を有し、内フレーム90に外方へ突出するように付勢されたロックピン95を備えて、格納位置までヒンジピンP5を上昇させたときロックピン95が外フレーム81に設けたロック穴83bに進入することによりその上昇させた状態を保持するので、自動的にロックがなされ、格納状態が確実に維持される。
さらに、内フレーム90と外フレーム81の間には、伸長方向の付勢力を出力するガスステー28Aが連結してあるので、シートクッション11の上昇を助力して格納操作が容易である。
【0078】
また、外フレーム81に対する内フレーム90のロック解除を行うときはシートクッション11が前方へ倒されて裏面が立ち上がっており、当該裏面に左右のロックピン95をロック穴83aあるいは83bから抜くためのロック解除レバー70Bが設置してあるので、使用位置から持ち上げる際および格納位置から降ろす際のロック解除操作が容易である。
また、使用位置へ展開したときのロックも格納位置に至ったときと同じく自動的に行われる。
【実施例3】
【0079】
第3の実施例は、フロントシートと客室フロアの間のバルクヘッド上に余裕空間がある場合に適したものである。
セカンドシート10Bは第1の実施例のものと同じシートクッション11とシートバック12を有する。
図20は第3の実施例を示す側面図で、セカンドシート10Bのシートバック12を仮想線で示す使用位置から前倒しにした状態を示す。図21はセカンドシート10Bのフロントレッグ30Aおよびリヤレッグ35Aの支持構造の左側部分の分解斜視図である。
セカンドシート10Bのシートクッション11には左右両端部の裏面に前後方向に延びるクッションフレーム100が固定されている。クッションフレーム100は横断面が逆L字形で一辺が垂直になっており、この垂直辺のセカンドシート10Bに関して外側面にフロントレッグ30A、リヤレッグ35Aが連結される。
【0080】
客室の基礎床1に、バルクヘッド3Aの根元に近接してベースブラケット20Aが設置されるとともに、セカンドシート10Bのシートクッション11後部に対応する位置には、キャッチロック50Bが設置されている。キャッチロック50Bは先のキャッチロック50と同じ基本構造を有し、リヤレッグ35Aの後述するストライカロッドを兼ねるロッドピンP10を受け入れ可能にストライカ受け口54を上方に向けている。
そして、キャッチロック50Bの前方に位置してレバーベース71Bが設置されている。レバーベース71Bにはキャッチロック50Bのロックレバー60と連結ロッド69で連結されたロック解除レバー70Cが回動可能に支持されている。
【0081】
左右それぞれのクッションフレーム100の前端にはフロントレッグ30AがヒンジピンP6で回転可能に連結され、クッションフレーム100の後端にはリヤレッグ35AがヒンジピンP7で回転可能に連結されている。フロントレッグ30Aおよびリヤレッグ35Aはそれぞれ断面が矩形の板状である。
【0082】
ベースブラケット20Aは横断面が上方に開口したコ字形をなしており、第1リンク101と第2リンク102の各一端がそれぞれ回転可能にヒンジピンP8、P11で連結される。
フロントレッグ30Aの先端(下端)は第1リンク101の中間と第2リンク102の先端にそれぞれヒンジピンP9、P12で連結され、リヤレッグ35Aの先端(下端)は第1リンク101の先端にロッドピンP10で連結されている。
第1リンク101および第2リンク102も断面が矩形の板状である。
なお、リヤレッグ35Aと第1リンク101を連結するロッドピンP10は前述のようにストライカロッドを兼ねる。
【0083】
ベースブラケット20Aにおいて第1リンク101と第2リンク102を連結するヒンジピンP8とP11は、図20の側面図において垂直な線上に上下に並んでいる。
セカンドシート10Bの使用状態において、第1リンク101が上、第2リンク102が下で互いに平行に並んで基礎床1に沿って水平に延びており、フロントレッグ30Aとリヤレッグ35Aはそれぞれ垂直姿勢となっている。したがって、フロントレッグ30Aにおける第1リンク101と第2リンク102とに連結するヒンジピンP9、P12間の距離はベースブラケット20AにおけるヒンジピンP8、P11間の距離と同一になっている。
これにより、クッションフレーム100、フロントレッグ30A、リヤレッグ35A、第1リンク101、第2リンク102およびベースブラケット20Aでリンク機構R(図23参照)が構成され、クッションフレーム100、第1リンク101、フロントレッグ30Aおよびリヤレッグ35A間に平行4辺形を形成する。
【0084】
第1リンク101をベースブラケット20Aに連結するヒンジピンP8まわりには、第1リンク101を図20中反時計方向、すなわち第1リンク101を立ち上げる方向に付勢するスプリング104が付設されている。スプリング104の一端はベースブラケット20A側に係止され、他端は第1リンク101に設けた係止ピン103に係止されている。
【0085】
図22の(a)は図20におけるD−D部断面図、(b)は図20におけるE−E部断面図、(c)は後掲の図23におけるF−F部断面図である。
(a)に示すように、ベースブラケット20Aは側壁20oと側壁20i間の内側に第1リンク101と第2リンク102を支持している。
すなわち、セカンドシート10Bの外側寄りの側壁20oには上部にヒンジピンP8が第1リンク101を連結している。ヒンジピンP8はベースブラケット20A内側からその軸部Pbを第1リンク101および側壁20oに貫通させて、側壁20oの外側に延び、スプリング104を貫通してナットPcにより抜け止めされ、そのヘッドPaと側壁20oの間に第1リンク101を保持している。
【0086】
セカンドシート10Bの内側寄りの側壁20iには下部にヒンジピンP11が第2リンク102を連結している。ヒンジピンP11はベースブラケット20A内側からその軸部を第2リンク102および側壁20iに貫通させて、側壁20iの外側でナットにより抜け止めされ、そのヘッドと側壁20iの間に第2リンク102を保持している。
なお、必要に応じて側壁20iにはヒンジピンP8(のヘッド)を通す作業穴、側壁20iにはヒンジピンP11を通す作業穴を設ける。
【0087】
互いに離間した側壁20o、20iにそれぞれ沿うように支持された第1リンク101と第2リンク102の間には、図22の(a)における左右方向にフロントレッグ30Aの板厚に対応する間隙を設定してある。
図22の(b)に示すように、第1リンク101はセカンドシート10Bに関してフロントレッグ30Aの外側面に重ねて連結され、第2リンク102はフロントレッグ30Aの内側面に重ねて連結されている。したがって、セカンドシート10Bの使用位置において、上方から見たときにも第1リンク101と第2リンク102は互いに平行に延びるとともに、フロントレッグ30Aを挟んでいる。
これにより、第1リンク101と第2リンク102は、それぞれのヒンジピンP8、P11を軸として相対回転するとき、回転面が異なるので互いに干渉することがない。
【0088】
また、第1リンク101とリヤレッグ35Aを連結するロッドピンP10は、図22の(c)に示すように、キャッチロック50Bと係合するためストライカロッドとして機能する所定長さのロッド部105を備えている。
なお、ヒンジピンP6、P7、P10、P12等はリンク機構Rを変形させて後述する格納位置に至った際に当該ヒンジピンが連結する部材に重なる部材と干渉しないように、それぞれヘッドPaをピン孔まわりに形成した凹部に沈めて重なり面から突出しないようになっている。
【0089】
図20の状態で、セカンドシート10Bのシートクッション11とバルクヘッド3Aの間には着座した乗員の脚部を収容するに充分な空間が形成されている。
客室フロアは基礎床1との間に間隔を設けてサービスフロア2を形成しており、サービスフロア2は左右の第1リンク101、第2リンク102およびキャッチロック50Bを収容するように、基礎床1を底壁とする2本の溝6A(図23参照)を備える。 ベースブラケット20A、第1リンク101、第2リンク102、キャッチロック50B、ロック解除レバー70Cを支持するレバーベース71Bおよび連結ロッド69はこの溝6A内に位置しており、これらがわずかにサービスフロア2面上に臨む場合があるとしても、シートクッション11の下に位置するロック解除レバー70Cを除いては実質的にサービスフロア2の面上に突出しない。
【0090】
リヤレッグ30A下端に位置するロッドピンP10(のロッド部105)をキャッチロック50Bのストライカ受け口54に押し込むことによりロックされ、図20に示すシートクッション11の使用位置が保持される。
【0091】
このセカンドシート10Bも、車いすでの移乗など客室スペースを広くしたい場合に跳ね上げることができる。以下、その要領について説明する。
まず図1の姿勢で、キャッチロック50Bがリヤレッグ35AのロッドピンP10をロックしている状態から、まず、フロアに設置してあるロック解除レバー70Cを引いてキャッチロック50Bのロックを解除する。
これにより、シートクッション11の後部に手を掛けて持ち上げると、セカンドシート10Bはスプリング104の補助付勢力を受けて軽く跳ね上がる。
【0092】
そして、図23に示すように、リンク機構Rにより、フロントレッグ30Aとリヤレッグ35Aは垂直姿勢のまま上方へ移動し、クッションフレーム100したがってシートクッション11は前下がりに傾斜していく。
途中までセカンドシート10Bが上がったら、第1リンク101等にも手を添えてベースブラケット20A部を回転中心として矢示のように前上方へ回転させることができ、最終的に、図24に示すように、第1リンク101、第2リンク102、フロントレッグ30A、リヤレッグ35Aおよびクッションフレーム100が垂直の一直線状に並んだ格納位置となる。
とくに図示しないが、第1の実施例などと同様に、ストラップでシートクッション11を手すりにつないだり、あるいは第1リンク101、第2リンク102を近接するバルクヘッド3Aにつないで、この格納状態を保持することができる。
【0093】
本実施例においては、図20の側面図におけるヒンジピンP6の位置が発明における第1のヒンジ点に該当し、ヒンジピンP7の位置が第2のヒンジ点に該当する。
フロントレッグ30Aが発明における脚部材に、バルクヘッド3Aのセカンドシート10Bに面した壁面が客室内における側壁に、そして、ベースブラケット20AにおけるヒンジピンP8がフロントレッグより側壁側に設定した支点にそれぞれ該当する。
また、リンク機構Rが上昇手段を構成し、スプリング104が付勢手段に該当する。
【0094】
第3の実施例は以上のように構成され、シートクッション11をその裏面の幅方向両端部でヒンジピンP6を介してフロントレッグ30Aに連結し、左右のヒンジピンP6を結ぶ線を回転軸としてシートクッション11を客室内におけるバルクヘッド3A側へ回転させて折り畳み可能としたセカンドシート10Bを備える車両において、ヒンジピンP6、したがってこれに連なるシートクッション11をさらに所定の格納位置まで上昇させるようにして、格納位置におけるシートクッション11の下に車いす乗員Mの足先が差し込めるに充分な高さの空間を形成するようにしたので、足先が差し込める分だけ移乗した車いすのためのスペースが拡大される。
【0095】
ヒンジピンP6はシートクッション11に取り付けたクッションフレーム100の前部においてフロントレッグ30Aを連結し、ヒンジピンP7はクッションフレーム100の後部においてリヤレッグ35Aを連結しており、シートクッション11は前部のヒンジピンP6まわりに回転するから、回転後のシートクッション11の下に高い空間が得られる。
【0096】
シートクッション11をさらに上昇させるために、フロントレッグ30Aと、リヤレッグ35Aと、フロントレッグ30Aより前方のバルクヘッド3A側に設定したベースブラケット20AにヒンジピンP8を介して回転可能に連結されるとともにフロントレッグ30Aおよびリヤレッグ35Aに連結された第1リンク101とを含むリンク機構Rを形成している。これにより、第1リンク101をヒンジピンP8まわりに回転させて引き上げることにより、ヒンジピンP6を結ぶ線を回転軸としてシートクッション11をバルクヘッド3A側へ回転させつつヒンジピンP6位置を上昇させる。
【0097】
そして、リンク機構Rは、第1リンク101をヒンジピンP6とヒンジピンP7を結ぶ線に平行とし、フロントレッグ30Aとリヤレッグ35Aを互いに平行とし、フロントレッグ30Aと連結しかつ第1リンク101と平行を保持する第2リンク102を有するので、フロントレッグ30A、リヤレッグ35A、第1リンク101および第2リンク102が一直線に重なるまで回転させて格納位置とすることができ、格納位置においてリンク機構Rが簡素で細い集合体形状に収まる。
さらに、リンク機構Rにより、格納位置におけるヒンジピンP6の高さは、使用位置での高さよりも、そしてフロントレッグ30Aと第1リンク101の連結点(ヒンジピンP9)とヒンジピンP8間の距離よりも、顕著に大きくなるので、車いす110のフットレスト111やフットレスト上の車いす乗員Mの足を何らの障害なしにシートクッション11あるいはシートバック12の下でバルクヘッド3A直近まで前方へ進めることができる。
その上、ヒンジピンP8(ベースブラケット20A)をバルクヘッド3A近傍に設定することにより、バルクヘッドの形状にかかわらずシートクッションやシートバックの格納位置をバルクヘッドの上方に設定することも可能となる。
したがって、一直線に細まったリンク機構Rを残して、移乗する車いすのためのスペースを最大限に広げることができる。
【0098】
リンク機構Rには第1リンク101が立ち上がる方向に付勢するスプリング104が付設されているので、格納操作が容易である。
とくに、スプリング104は渦巻き型で、その作用端を第1リンク101の係止ピン103に係止させてヒンジピンP8まわりに配置されているので、場所をとらずコンパクトに構成される。
【0099】
なお、第1、第3の実施例では、セカンドシート10、10Bの使用位置においてフロントレッグ30、30Aとリヤレッグ35、35Aがいずれも着座乗員の荷重支持の点で好ましい垂直姿勢としたが、これに限定されず、任意に使用位置での姿勢を設定することができる。
第2の実施例の伸縮フレーム80とリヤレッグ35も同様である。
また、各実施例において、同じく使用位置でのシートクッション11の裏面が水平の姿勢にあるものとしたが、これも傾斜姿勢に設定してもよい。
さらに、格納位置についてもシートクッション11の裏面が垂直姿勢になるものとしたが、これも周囲の状況に応じて任意に設定することができるものである。
【0100】
また、フロントレッグ、リヤレッグおよびこれらと連結されるリンク等の形状も実施例に図示したものに限定されず、動作に影響を与えない条件で、円形パイプや板状に限らず、角形パイプ、アングル材、その他の成型品等を任意に採用することができる。
また、実施の形態ではストラップ取付片18がシートクッション11のパイプ17の中間部に設けてあるものとしたが、ストラップ取付片はパイプに設けるかわりにシートクッション裏面内部のフレームから延ばしてもよい。
さらに、第1、第2の実施例ではリヤブラケット16をパイプ17に結合されたものとしたが、シートクッションの裏面内部のフレームに結合してもよい。
【0101】
なお、実施の形態はいずれも着座姿勢が前向きのセカンドシートに適用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、着座姿勢が後向きのシートや、横向きとなるサイドシートなどにも適用可能で、折りたたんで格納するシートに適用して有効である。
また、課題として例示した移乗する車いすのためのスペース拡大のためには、目的とする拡大空間の幅も車いすの例えばフットレストをカバーする大きさが必要で、2人掛け以上のシートが本発明の適用対象となる。しかし、スペース拡大の要求は車いす用に限らず、幅広ではないが長尺の貨物積載のためのスペース拡大が要求される場合など、比較的小幅の1人用シートにも本発明は適用されるものである。
【符号の説明】
【0102】
1 基礎床
2 サービスフロア
3、3A バルクヘッド
4 手すり
5 フロントシート
6、6A 溝
8 フックレバー
8a フック部
10、10A、10B セカンドシート
11 シートクッション
12 シートバック
14 レバーブラケット
15、15A フロントブラケット
15a 底壁
15b 側壁
15c 切り欠き
15d ピン孔
15e ストッパピン
16 リヤブラケット
16a 後壁
16b 側壁
16e ストッパピン
17 パイプ
18 ストラップ取付片
19 ストラップ
20、20A ベースブラケット
20o、20i 側壁
20a 上壁
20b 後壁
24 切欠き穴
25 リンク部材
26、32 支持ブラケット
27 ロッドピン
28、28A ガスステー
30、30A フロントレッグ
31 関節ブラケット
33 フックブラケット
35、35A リヤレッグ
36 水平連結部
37 脚部
38 水平連結フレーム
40 フロントストライカ
41 ボックス
42 ストライカロッド
43 長穴
45 リヤストライカ
46 ボックス
47 ストライカロッド
48 長穴
50、50A、50B キャッチロック
51 ベース
52 主部
53a、53b 側壁
54 ストライカ受け口
55 キャッチャ
56 保持口
57 切欠き凹部
58、62 ピン
59 軸
60 ロックレバー
61 爪突起
63 軸
65 引張りスプリング
66 ストッパ
67 ケーブル取付部
68 カバー
69 連結ロッド
70、70A、70B、70C ロック解除レバー
71、71A ベースボックス
71B レバーベース
72 軸
73 外枠
73a 縦部材
73b 下部材
74 溝
75、75A、75B ケーブル
76、76b アウタケーブル
77、77b インナケーブル
78 ケーブル取付部
80 伸縮フレーム
81 外フレーム
81a 前壁
81b 側壁
83a 第1のロック穴
83b 第2のロック穴
84 切欠き
85 レール
85a 底壁
85b 側壁
85c フランジ
86 ガイドレール
87 スリット
90 内フレーム
90a 前壁
90b 側壁
91 ピン孔
92 軸
93 ローラ
94 ピンガイド
95 ロックピン
96 コイルスプリング
97 ケーブル取付部
98 ローラピン
99 連結フレーム材
100 クッションフレーム
101 第1リンク
102 第2リンク
103 係止ピン
104 スプリング
105 ロッド部
110 車いす
111 フットレスト
M 車いす乗員
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P11、P12 ヒンジピン
P10 ロッドピン
Pa ヘッド
Pb 軸部
Pc ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションをその裏面の幅方向両端部で第1のヒンジ点を介してそれぞれ脚部材に連結し、前記ヒンジ点を結ぶ線を回転軸としてシートクッションを客室内における側壁側へ回転させて折り畳み可能としたシートを備える車両において、
シートクッションの所定の格納位置まで前記第1のヒンジ点を上昇させる上昇手段を有して、
格納位置におけるシートクッションの下に所定高さの空間を形成することを特徴とする車両用シートの格納装置。
【請求項2】
前記第1のヒンジ点がシートクッションの前部に設けられるとともに、シートクッションの後部に第2のヒンジ点が設けられ、
前記脚部材がフロントレッグであり、
前記第2のヒンジ点を介してリヤレッグがシートクッションに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項3】
前記上昇手段は、前記脚部材と当該脚部材より前記側壁側に設定した支点とに両端を回転可能に連結されたリンク部材を有し、
リンク部材と脚部材の延び方向が互いに交差しており、
該リンク部材を前記支点まわりに回転させて引き上げることにより前記脚部材を介して前記第1のヒンジ点を上昇させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項4】
前記リンク部材は前記脚部材の下端に連結されており、
前記リンク部材と脚部材の各中間位置の間に伸長方向の付勢力を出力する付勢手段が連結してあることを特徴とする請求項3に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項5】
前記リンク部材と脚部材の間には、前記格納位置まで第1のヒンジ点を上昇させた状態を保持する保持手段を設けてあることを特徴とする請求項3または4に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項6】
前記保持手段は、前記リンク部材と脚部材の一方に設けたロッドピンと、リンク部材と脚部材の他方に設けられて前記ロッドピンをロックするキャッチロックとからなることを特徴とする請求項5に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項7】
前記上昇手段は、前記脚部材を可動部材として上下方向に伸縮する伸縮フレームであり、
該伸縮フレームを伸長させることにより前記第1のヒンジ点を上昇させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項8】
前記伸縮フレームは前記脚部材を収容する外フレームを有し、
前記脚部材に外方へ突出するように付勢されたロックピンを備え、
前記外フレームには、前記格納位置まで第1のヒンジ点を上昇させたとき前記ロックピンに対向するロック穴が設けられて、
該ロック穴に前記ロックピンが進入することにより第1のヒンジ点を上昇させた状態を保持することを特徴とする請求項7に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項9】
前記脚部材と外フレームの間には、伸長方向の付勢力を出力する付勢手段が連結してあることを特徴とする請求項7または8に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項10】
前記付勢手段がガスステーであることを特徴とする請求項4または9に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項11】
前記上昇手段は、前記フロントレッグと、前記リヤレッグと、前記フロントレッグより前記側壁側に設定した支点に回転可能に連結されるとともに前記フロントレッグおよびリヤレッグに連結された第1リンクとを含むリンク機構であり、
前記第1リンクを前記支点まわりに回転させて引き上げることにより、
前記第1のヒンジ点を結ぶ線を回転軸としてシートクッションを前記側壁側へ回転させつつ前記第1のヒンジ点を上昇させることを特徴とする請求項2に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項12】
前記リンク機構は、前記第1リンクを前記第1のヒンジ点と第2のヒンジ点を結ぶ線に平行とし、前記フロントレッグとリヤレッグを互いに平行とし、前記フロントレッグと連結しかつ前記第1リンクと平行を保持する第2リンクを有することを特徴とする請求項11に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項13】
前記リンク機構には、第1リンクが立ち上がる方向に付勢する付勢手段が付設してあることを特徴とする請求項11または12に記載の車両用シートの格納装置。
【請求項14】
前記付勢手段が、前記支点まわりに配置されて前記第1リンクに作用端を係止させた渦巻きスプリングであることを特徴とする請求項13に記載の車両用シートの格納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−225004(P2011−225004A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93700(P2010−93700)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000128544)株式会社オーテックジャパン (183)
【Fターム(参考)】