説明

車両用シートの荷物固定構造

【課題】 外観意匠を損ねたり、専用の保管場所やポケットを設ける必要がある。
【解決手段】 シートクッション12の裏面前端に左右方向に分離した2つの環状型アンカーが設けるとともに、ゴムバンドから成形された一対の弾性ベルト20のそれぞれの端にフック20aが設けられる。そして、ベルト後端のフックをチャイルドシート設置のためにシートバック下端の左右に設けられたISO−FIX対応アンカー16に、前端のフックをシートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止し、一対のベルトをシートクッションの前後方向に互いに平行に張設してシートクッションとの間に荷物22を挟み込んで固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッション上に置かれる荷物を固定する車両用シートの荷物固定構造、特に、ISO−FIXタイプのチャイルドシートを設置可能とするISO−FIX対応アンカーを有する車両用シートにおける荷物固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に持ち込まれる荷物のうち、大きな荷物は後部のトランクルームの中に保管したり、リヤシートのシートバックを前倒ししてシートバックの背面などに置かれる。しかし、荷物を手元に置けば簡便であるため、トランクルームに保管するまでもない大きさの荷物は、アシスタントシートが空いていればアシスタントシート(正確には、アシスタントシートのシートクッション)に荷物を置かれる。また、リヤシートが空いていれば、リヤシートのシートバックを前倒しすることなく、リヤシート(正確には、リヤシートのシートクッション)に荷物を直接置かれる。
【0003】
荷物をアシスタントシート、リヤシートに拘束することなく置かれると、車両走行時の振動によって上下にガタついて運転の妨げになったり、車両の急発進、急停止などによって荷物がシート(アシスタントシート、リヤシート)から落下するおそれがある。
【0004】
そのため、荷物をシート上に拘束して固定する荷物の固定構造として、ネットを荷物に被せたり、ベルトで荷物を押さえてシートクッション上の荷物を拘束し、固定してシートクッション上での荷物のガタツキやシートクッションからの荷物の落下を防止する構成が提案されている。
【0005】
たとえば、特開平11−342794号公報では、アームレストにネットを保管し、アームレストから引き出したネットの引き出し端(先端)をシートクッションまたはシートバックの側面に設けた係止ピンに係止させて荷物にネットを被せ、荷物の動きを拘束、固定してシートクッション上の荷物のガタツキや落下を防止している。
【0006】
また、特開2001−191895号公報では、V字形状の2組の拘束ベルトをシートクッションの前端、後端から延ばし、それぞれのV字の頂点に設けたタング、バックルで連結可能となっている。前後の拘束ベルトは2本のベルト片からそれぞれ構成され、それぞれのベルト片はその一端がシートフレーム側に固定されるとともに、他端(自由端)がベルト止めを通ってV字の頂点のタングまたはバックルに係止され、その折り返しをベルト止め片に再度通されることによってその長さが調整可能となっている。そのため、たとえば、シートクッション上に載せた荷物の上でタング、バックルを連結してX字形状とした拘束ベルトのベルト片の長さを調整することにより、荷物をシートクッション上に拘束して固定できる。
【0007】
また、特開2004−203267号公報では、一端を固定したリトラクター付のベルト(拘束ベルト)の自由端にフックを設けるとともに、中間部にタングを設けている。そして、シートに装着されたシートベルトのバックルにタングを連結するとともに、フックをシートバックの前面下端や、シートスライド装置のロック解除の操作片(タオルバーのフロントバー)などに係合させて、ほぼV形状に延びたベルトで荷物をシートクッションに押さえつけている。この構成でも荷物をシートクッション上に拘束、固定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−342794号公報
【特許文献2】特開2001−191895号公報
【特許文献3】特開2004−203267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
荷物を固定するためのネットをアームレストに保管した特開平11−342794号公報の構成では、不使用時にはネットがアームレストに保管されるため、外観意匠を損なうことがない。しかしながら、蓋付の保管スペース(保管場所)をアームレストに設けなければならず、アームレストの構成が複雑化する。また、ネットは折り畳んで保管されるが、ネットの一端が保管スペース内に連結されているため、折り畳みが迅速に行えない。
【0010】
ベルトで荷物をシートクッションに押し付ける構成では、不使用時でのベルトの保管や外観意匠が問題となる。たとえば、特開2001−191895号公報では、前後を保管するポケットをシートクッションの前後に設けており、シートクッションの構成が複雑化するおそれがある。また、シートクッション前端のポケットはその存在が目立ち、外観意匠の点から好ましくない。さらに、ベルトは、ベルトの長さが不適切だとを荷物を十分な力で拘束できず、荷物がシートクッションからずり落ちる可能性があるため、荷物の大きさ、形状に応じてベルトの長さを調整する必要があり、荷物の固定が迅速に行えない。
【0011】
これに対して、特開2004−203267号公報では、ベルト(拘束ベルト)をリトラクター付としているため、荷物の大きさ、形状に応じてベルトの長さ調整をする必要はなく、多様な大きさ、形状の荷物を十分な力のもとで迅速に固定でき、荷物の落下を十分に防止できる。しかし、シートクッションの側面に位置するとともに、ベルトはリトラクター付で不使用時には小さくまとまってさほど目立たないとはいえ、外観意匠の点から好ましくない。また、その側面にベルトがあるため、シートクッションの形状や幅寸法などが規制されるおそれがある。
【0012】
車両用シートに設置されるチャイルドシートとして、規格化されたISO−FIXタイプのチャイルドシートが知られており、チャイルドシートはその後端の左右に設けられたISO−FIXのフックを、シートバックの下端の左右に、または、シートバック下端の左右に設けられたISO−FIXのアンカー(クランプバー、ストライカー)、いわゆる、ISO−FIX対応アンカーに把持させることにより、シートクッション上に設置される。
【0013】
本発明ではISO−FIX対応アンカーの存在に注目し、チャイルドシートを設置しない場合に荷物の固定のためにISO−FIX対応アンカーを有効利用することとしている。
【0014】
すなわち、本発明は、外観意匠を損ねたり、専用の保管場所やポケットを設けることなく、チャイルドシートを設置しない場合にISO−FIX対応アンカーを有効利用して荷物をシートバック上に固定できる車両用シートの荷物固定構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る本発明によれば、シートクッションの裏面前端に左右方向に分離して少なくとも2つの係止部材を設け、伸縮性素材からなる固定部材の後端に2つのフックを、前端にシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数のフックをそれぞれ設け、後端のフックをチャイルドシート設置のためにシートバック下端の左右に設けられたISO−FIX対応アンカーに、前端のフックをシートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止し、固定部材をシートクッションの前後方向に張設してシートクッションとの間に荷物を挟み込んで固定する構成となっている。
【0016】
たとえば、固定部材はそれぞれの端にフックが設けられた一対の伸縮自在なベルトや、前端にシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数のフックを設けた伸縮自在な弾性布体、または伸縮性を持つネット素材で網目を成形した弾性ネットとされ、一対のベルト、弾性布体、弾性ネットをシートクッションの前後方向に張設してシートクッションとの間に荷物が挟み込まれ、固定される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る本発明では、固定部材が伸縮性素材から成形されているため、固定部材のフックをISO−FIX対応アンカー、シートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止するだけで固定部材がシートクッションの前後方向に張設されて荷物を固定部材、シートクッション間に挟み込むことができ、荷物をシートクッション上に迅速に固定できる。そして、荷物を固定部材によって適切な伸縮力(弾性)で拘束し、シートクッション上での荷物のガタツキやシートクッションからの荷物の落下を確実に防止できる。
【0018】
ISO−FIX対応アンカー、シートクッション裏面の係止部材にフックが係止されないその不使用時には、固定部材を拘束するものはなく、シートクッション上から除いてコンソールボックス、サイドドアのポケットなどの既存の保管場所に保管でき、専用の保管場所やポケットをシートバックに設ける必要がない。そのため、外観意匠を損なったり、シートクッションの形状や幅寸法などを規制することがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に係る荷物固定構造によって荷物が固定された車両用シートの前方からの斜視図を示す。
【図2】(A)は車両用シートの下方からの部分斜視図、(B)は車両用シートの部分側面図を示す。
【図3】(A−1)(A−2)は固定部材であるベルトの部分側面図、部分平面図、(B−1)〜(B−4)はシートクッション裏面の係止部材の種々な形態を示す。
【図4】本発明の他実施例に係る荷物固定構造によって荷物が固定された車両用シートの前方からの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
シートクッションの裏面前端に左右方向に分離して2つの係止部材を設けるとともに、弾性材からなる一対のベルトのそれぞれの端にフックが設けられる。そして、ベルト後端のフックをチャイルドシート設置のためにシートバック下端の左右に設けられたISO−FIX対応アンカーに、前端のフックをシートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止し、一対のベルトをシートクッションの前後方向に張設してシートクッションとの間に荷物を挟み込んで固定する。
【実施例】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係る荷物固定構造によって荷物が固定された車両用シートの前方からの斜視図、図2は(A)は車両用シートの下方からの部分斜視図、図2(B)は車両用シートの部分側面図をそれぞれ示す。
【0022】
図1に示すように、車両用シート10は、シートクッション12と、リクライニング装置によって前倒し可能にシートクッションの後端に設けられたシートバック14とを有して構成され、ヘッドレスト14hがシートバック上面に昇降可能に設けられている。シートクッション12、14の基本的な構造は周知であり、簡単に述べると、骨格となるフレーム(クッションフレーム、シートバックフレーム)にウレタンフォームなどの発泡成形材からなるシートパッドを載せ、通気性のあるトリムカバー12c、14cでシートパッド覆ってシートクッション、シートバックが形成されている。
【0023】
ここで、車両用シート10は、規格化されたISO−FIXタイプのチャイルドシートをシートクッション上に設置するように構成されている。すなわち、シートバックの下端前面に左右一対のISO−FIX対応アンカー16が露出して設けられており、チャイルドシート(図示しない)の後端の左右に設けられたISO−FIXのフックが、シートクッションのISO−FIX対応アンカーに把持されることにより、チャイルドシートがシートクッション上に設置される。ISO−FIX対応アンカー16は、従来のチャイルドシートにおいて使用されている公知のもの、たとえば特開2007−168581号公報に開示されているものと同種のものが利用でき、ISO−FIX対応アンカーはこの発明の趣旨でないため、その詳細な説明は省略する。
【0024】
本発明ではISO−FIX対応アンカー16の存在に注目し、チャイルドシートを設置しない場合に荷物の固定のためにISO−FIX対応アンカーを有効利用することとしている。そのために、図2(A)(B)に示すように、2つの係止部材18がシートクッションの裏面の前端に左右方向に分離して設けられている。ここで、シートクッション裏面の2つの係止部材18は、シートバック下端のISO−FIX対応アンカー16と対応する位置に設けられてISO−FIX対応アンカー間の間隔だけ離反されている。
【0025】
図3(A−1)(A−2)は固定部材であるベルトの部分側面図、部分平面図、図3(B−1)〜(B−4)はシートクッション裏面の係止部材の種々な形態を示す。
【0026】
係止部材18は、たとえば、クッションフレーム12fにボルト止めされた環状型アンカーとされ(図3(B−1)参照)、この係止部材(環状型アンカー)とチャイルドシート後端の門型のISO−FIX対応アンカー16との間に、伸縮性素材からなる固定部材20が張設されてシートクッション上に荷物22が固定される。
【0027】
固定部材20は、後端となるその一端に2つのフック20aを、前端となるその他端にシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数のフックをそれぞれ設けた、たとえば、ゴムバンドなどの伸縮性素材から成形された一対のベルト(弾性ベルト)から構成される。
【0028】
シートクッション上に置かれた荷物22の上で、弾性ベルト(固定部材)20の後端のフック20aをシートバック下端のISO−FIX対応アンカー16に、前端のフックをシートクッション裏面の環状型アンカー(係止部材)18にそれぞれ係止させて一対のベルトをシートクッション12の前後方向に互いに平行に張設すれば、図1に示すように、弾性ベルト、シートクッション間に荷物22が挟み込まれて固定される。
【0029】
すなわち、弾性ベルト20は伸縮性素材から成形されて伸縮自在であるため、ベルト端のフック20aをアンカー16、18にそれぞれ係止するだけで荷物22を弾性ベルト、シートクッション12間に弾性力のもとで挟み込むことができ、荷物を迅速に固定できる。そして、ベルト20の弾性力のもとでシートクッション上に荷物22を固定しているため、シートクッション上での荷物のガタツキやシートクッションからの荷物の落下が確実に防止される。
なお、一対の弾性ベルト20を互いに平行に張設する代わりに、交差してX字形状となるように張設してもよい。
【0030】
アンカー16、18にフック20aが係止されないその不使用時には、弾性ベルト20を拘束するものはなく、シートクッション上から除いてコンソールボックス、サイドドアのポケットなどの既存の保管場所に適宜保管でき、弾性ベルトのための専用の保管場所やポケットをシートクッションに設ける必要がない。そのため、シートクッションの外観意匠を損なったり、シートクッションの形状や幅寸法を規制するおそれがない。
【0031】
弾性ベルト前端のフック20aの係止されるシートクッション裏面の係止部材18は、実施例では環状型アンカーとなっているがフックが着脱自在に係止されるものであれば足り、環状型アンカーに限定されない。たとえば、係止部材18は、クッションフレーム12fにボルト止めされた門型アンカー、ヘッド付ピン、クッションフレームに形成された係止孔などとしてもよい(図3(B−2)〜図3(B−4)参照)。
【0032】
固定部材20は、伸縮性素材から成形されてシートクッション12上に荷物22を弾性力のもとで固定すれば足り、一対の弾性ベルトに限定されない。たとえば、ゴム素材から成形された布体(弾性布体)を固定部材としてもよい。
【0033】
図4は本発明の他実施例(実施例2)に係る荷物固定構造によって荷物が固定された車両用シートの前方からの斜視図を示す。ここで、上記実施例(実施例1)の構成部材と同じ機能を有する対応する構成部材には実施例1と同じ参照符号を付してその説明を省略し、実施例1と異なる実施例2の構成を主として以下に説明する。
【0034】
実施例2では、固定部材120は弾性素材、たとえばゴム素材から成形された布体(弾性布体;弾性クロス)とされ、後端となるその端を折り返して縫合することによって棒材120bが取付けられ、弾性布体から突出した棒材の端部に2つのフック120aが設けられている。棒材120bを木や樹脂の丸棒とすれば、フック120aのねじ端を棒材に螺着するだけでフックを棒材に取付けられる。
図示しないが、弾性布体(固定部材)120の前端となるその端にも棒材が縫合され、弾性布体から突出した棒材の端部に2つのフックが螺着されている。
【0035】
ゴム素材からなる弾性布体(固定部材)120の前後の端にフック120aを設けたこの構成においても、端のフック120aをアンカー16、18にそれぞれ係止するだけで荷物22を弾性力のもとで挟み込むことができ、荷物を迅速に固定でき、シートクッション上での荷物のガタツキやシートクッションからの荷物の落下が確実に防止される。
【0036】
また、その不使用時には、弾性布体120を拘束するものはなく、シートクッション上から除いてサイドドアのポケットなどの既存の保管場所に適宜保管でき、専用の保管場所やポケットをシートクッションに設ける必要がないため、シートクッションの外観意匠を損なったり、シートクッションの形状や幅寸法を規制するおそれがない。
弾性布体120を固定部材とする構成では、シートクッション上に固定される荷物の大きさ、形状に制限はなく、多様な大きさ、形状の荷物が固定できる。
【0037】
ここで、弾性布体120の前後の端に棒材120bを設け、弾性布体から突出した棒材の端部にフック120aが取付けているため、フックを避けて棒材を芯材として弾性布体が巻き取られ、弾性布体の保管が迅速に行える。
【0038】
なお、棒材120bを弾性布体120の前後の端に設けることなく、いずれか一端にのみ設けてもよい。また、棒材120bを弾性布体120のいずれの端にも設けないでフック120aを弾性布体に縫合すれば、弾性布体を小さく折り畳んで保管可能となり、保管場所の選択の自由度が増す。
【0039】
さらに、図示しないが、伸縮性を持つネット素材で網目を成形した弾性ネットを固定部材とし、その後端に2つのフックを、前端にシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数のフックをそれぞれ設けてもよい。弾性ネット(固定部材)は、その端に棒材を取り付けても、棒材を取り付けなくてもよい。
【0040】
この弾性ネット(固定部材)によっても、上記2つの実施例と同様に、荷物を迅速に固定でき、ガタツキや落下を確実に防止できるとともに、専用の保管場所やポケットをシートクッションに設ける必要がなく、シートクッションの外観意匠を損なったり、シートクッションの形状や幅寸法を規制するおそれがない。
【0041】
なお、ISO−FIX対応アンカー16が2つであるため、固定部材後端のフックは2つとされるが、シートクッションの裏面前端に設けられる係止部材は2つに限定されず3つ以上設けてもよく、固定部材前端のフックはシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数だけ設けられる。
【0042】
上記のように、本発明によれば、固定部材が伸縮性素材から成形されているため、固定部材のフックをISO−FIX対応アンカー、シートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止するだけで荷物をシートクッション上に迅速に固定でき、シートクッション上での荷物のガタツキやシートクッションからの落下を確実に防止できる。
また、不使用時には、固定部材を拘束するものはなく、コンソールボックス、サイドドアのポケットなどの既存の保管場所に保管でき、専用の保管場所やポケットをシートバックに設ける必要がないため、外観意匠を損なったり、シートクッションの形状や幅寸法などを規制することがない。
【0043】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何ら限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造などの施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ISO−FIX対応アンカーを備えた乗用車などの車両用シートに通常応用されるが、ISO−FIX対応アンカーを備えた電車、航空機などの車両用シートにも応用できる。
【符号の説明】
【0045】
10 車両用シート
12 シートクッション
12f シートフレーム
14 シートバック
16 ISO−FIX対応アンカー
18 シートクッション裏面の係止部材
20,120 固定部材(弾性ベルト、弾性布体、弾性ネット)
20a,120a フック
22 荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションの裏面前端に左右方向に分離して少なくとも2つの係止部材を設け、伸縮性素材からなる固定部材の後端に2つのフックを、前端にシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数のフックをそれぞれ設け、後端のフックをチャイルドシート設置のためにシートバック下端の左右に設けられたISO−FIX対応アンカーに、前端のフックをシートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止し、固定部材をシートクッションの前後方向に張設してシートクッションとの間に荷物を挟み込んで固定する車両用シートの荷物固定構造。
【請求項2】
固定部材はそれぞれの端にフックが設けられた一対の伸縮自在なベルトとされ、シートクッション裏面の係止部材は2つで、ベルト後端のフックをISO−FIX対応アンカーに、前端のフックをシートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止して一対のベルトをシートクッションの前後方向に張設する請求項1記載の車両用シートの荷物固定構造。
【請求項3】
固定部材は、その後端に2つのフックを、前端にシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数のフックをそれぞれ設けた伸縮自在な弾性布体とされ、弾性布体の後端のフックをISO−FIX対応アンカーに、前端のフックをシートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止して弾性布体をシートクッションの前後方向に張設する請求項1記載の車両用シートの荷物固定構造。
【請求項4】
弾性布体の後端に巻き取り用の棒材を取付けるとともにクロス体の後端のフックを弾性布体から突出した棒材の端部に設けてフックを避けて弾性布体が棒材に巻き取り可能とした請求項3記載の車両用シートの荷物固定構造。
【請求項5】
固定部材は、その後端に2つのフックを、前端にシートクッション裏面の係止部材の数に対応した数のフックをそれぞれ設けた伸縮性を持つネット素材で網目を成形した弾性ネットとされ、弾性ネットの後端のフックをISO−FIX対応アンカーに、前端のフックをシートクッション裏面の係止部材にそれぞれ係止して弾性ネットをシートクッションの前後方向に張設する請求項1記載の車両用シートの荷物固定構造。
【請求項6】
シートクッションの裏面の係止部材は、シートクッションフレームに取付けられた環状型アンカー、門型アンカー、ヘッド付ピン、シートクッションフレームに形成された係止孔のいずれかである請求項1〜4のいずれか記載の車両用シートの荷物固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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