説明

車両用シート

【課題】リクライニング装置のロック解除に必要な操作ストロークに因らず、一定量のレバー操作によってリクライニング装置のロック解除を行えるようにする。
【解決手段】シートバックに設けられた肩口レバー7の操作によりケーブル7Aが牽引されてリクライニング装置5のロックが解除される車両用シートである。肩口レバー7からケーブル7Aを介してリクライニング装置5のロック解除の操作を行う解除アーム5Aへと動力が伝達される経路内には、入力された動力により互いに係合状態にある入力側の部材11が出力側の部材12との係合を外すように操作されて、出力側の部材12がバネ力により解除アーム5Aをリクライニング装置5のロックの解除に必要な所定の解除位置まで移動させるように出力操作する構成の解除機構10が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。詳しくは、シートバックに設けられた解除レバーの操作によりケーブルが牽引操作されてリクライニング装置のロックが解除される車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートにおいて、シートバックの肩口に設けた解除レバーの操作によりリクライニング装置のロックを解除して、シートバックを前倒しできる状態に切り換えるようになっているものがある(特許文献1参照)。上記解除レバーは、ケーブルによりリクライニング装置のロックの解除操作を行う解除アームと繋がれており、その引き上げ操作によってケーブルを介して解除アームを回転させてリクライニング装置のロックを解除する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−341700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、解除レバーは、リクライニング装置のロックが解除される位置まで解除アームを回すように引き上げ操作する必要があり、リクライニング装置のロック解除に必要な操作ストロークが長い場合に、その操作ストロークが長くなってしまうという問題がある。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、リクライニング装置のロック解除に必要な操作ストロークに因らず、一定量のレバー操作によってリクライニング装置のロック解除を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートは次の手段をとる。
第1の発明は、シートバックに設けられた解除レバーの操作によりケーブルが牽引されてリクライニング装置のロックが解除される車両用シートである。解除レバーからケーブルを介してリクライニング装置のロック解除の操作を行う解除アームへと動力が伝達される経路内には、入力された動力により互いに係合状態にある入力側の部材が出力側の部材との係合を外すように操作されて、出力側の部材がバネ力により解除アームをリクライニング装置のロックの解除に必要な所定の解除位置まで移動させるように出力操作する構成の解除機構が設けられている。
【0006】
この第1の発明によれば、解除レバーに必要な操作ストロークは、解除機構の入力側の部材を出力側の部材との係合から外す位置までの操作ストロークで済む。したがって、リクライニング装置のロック解除に必要な操作ストロークに因らず、解除レバーの一定量の操作によってリクライニング装置のロック解除を行うことができる。
【0007】
第2の発明は、上述した第1の発明において、解除機構は、その入力側の部材と出力側の部材との係合構造が、一方側の部材に設けられたピンが他方側の部材に設けられた係止溝内に入り込むことにより両者が係合し、解除レバーの操作によりピンが係止溝内から外されて両者の係合状態が外される構成よりなるものである。更に、解除機構は、解除レバーの操作によってリクライニング装置のロックが解除されてシートバックが前方側に倒し込まれた状態からシートバックが所定位置まで起こし上げられる操作により、このシートバックの動きに連動して動く戻し機構が出力側の部材を上記バネ力に抗して動作前の初期位置に戻し、この戻す操作によってピンが係止溝内に入り込んだ状態に復帰してリクライニング装置がロック状態に戻される構成となっている。
【0008】
この第2の発明によれば、解除レバーの操作によって前倒ししたシートバックを所定位置まで起こし上げる動作により、出力側の部材が戻し機構によって動作前の初期位置に戻されて、ピンが係止溝内に入り込んだ状態に復帰して入力側の部材と出力側の部材とが係合した状態に戻される。これにより、リクライニング装置がロックした状態(またはロックすることができる状態)に戻されて保持される。このように、シートバックを起こし上げる動作のみによってリクライニング装置をロックした状態(またはロックすることができる状態)に戻す機構を、上記解除機構に比較的簡単な構成によって具現化して組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の車両用シートの外観を示した斜視図である。
【図2】解除機構の初期状態を示した模式図である。
【図3】解除機構が解除操作された状態を示した模式図である。
【図4】戻し機構の構成を示した模式図である。
【図5】戻し機構により出力側の部材が初期位置に戻された状態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
始めに、実施例1の車両用シートの構成について、図1〜図5を用いて説明する。本実施例の車両用シートは、図1に示すように、シート本体1が、背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭部の支えとなるヘッドレスト4と、を備えて構成されている。上記シート本体1は、シートクッション3の左右両サイドの外側部と内側部とが、それぞれ樹脂製のシールドSHにより覆われた構成となっている。
【0012】
上記シートバック2は、その骨格を成すバックフレーム2Aの左右両サイドの下端部が、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライニング装置5を間に介して、シートクッション3の骨格を成すクッションフレーム3Aの左右両サイドの後端部と連結されている。上記各リクライニング装置5は、常時はシートバック2の背凭れ角度を固定した状態に保持されており、シートクッション3の乗降ドア側(外側)の側部に設けられた側部レバー6や、シートバック2の同側(外側)の肩口に設けられた肩口レバー7の引き上げ操作を行うことにより、その回転止め状態が解除されてシートバック2の背凭れ角度の固定状態を解除するようになっている。ここで、肩口レバー7が本発明の「解除レバー」に相当する。
【0013】
上記肩口レバー7は、ケーブル7A及びこのケーブル7Aに繋がれて操作される解除機構10を介して、リクライニング装置5のロック解除の操作を行う解除アーム5Aと繋がれており、その引き上げ操作によって、少ない操作ストロークで各リクライニング装置5の回転止め状態を解除することができるように構成されている。ここで、解除機構10は、シートクッション3の外側のサイド部に配設され、同サイド部のクッションフレーム3Aに連結されて設けられている。以下、上記解除機構10の構成について詳しく説明する。図2に示すように、解除機構10は、入力側の部材11と、出力側の部材12と、第1の操作リンク13と、第2の操作リンク14と、引張バネ15と、を備える。
【0014】
入力側の部材11は、回転軸11Aによりクッションフレーム3Aの外側のサイド部に回転可能に軸連結されており、上述した肩口レバー7(図1参照)から延びるケーブル7Aの端部と繋がれて、ケーブル7Aにより回転操作される構成とされている。この入力側の部材11は、クッションフレーム3Aとの間に掛着された図示しないバネ部材の附勢力によって常時は図示時計回り方向に回転附勢されており、ケーブル7Aにより回転操作される前の初期時には、その先端部に設けられたピン11Bを出力側の部材12に形成された係止溝12C内に落とし込んだ状態として、出力側の部材12の動きを規制した状態(出力側の部材12と係合した状態)となって保持されている。この入力側の部材11は、肩口レバー7(図1参照)が引き上げ操作されてケーブル7Aが牽引されることにより、図示反時計回り方向に回されて、ピン11Bを係止溝12C内から外し出すように操作される(図3参照)。この入力側の部材11は、上述した肩口レバー7(図1参照)の操作が解かれることにより、上述した図示しないバネ部材の附勢力によって、再び、ピン11Bを係止溝12C内に落とし込む図示時計回り方向に回転が戻されるようになっている。
【0015】
出力側の部材12は、図2に示すように、図示左右方向(シート前後方向)に延びる長尺状のリンク部材により形成されており、その図示左方側寄りのリンク部と右方側寄りのリンク部とにそれぞれリンク長方向に延びる長孔12A,12Bが形成されている。図示左方側のリンク部に形成された長孔12A内には、クッションフレーム3Aの外側のサイド部に固定されたスライドピン3A1が、長孔12Aの孔形状に沿ってスライド可能な状態に嵌め込まれて設けられている。また、図示右方側のリンク部に形成された長孔12B内には、後述する第1の操作リンク13に設けられたスライドピン13Bがスライド可能な状態に嵌め込まれて設けられている。
【0016】
また、出力側の部材12の図示左方側のリンク部の端部上面には、上述した入力側の部材11に設けられたピン11Bを落とし込んで係合させることのできる凹状の係止溝12Cが形成されている。また、出力側の部材12の図示左右方向の中央部には、上方側に突出した形の掛部12Dが形成されている。そして、この掛部12Dとクッションフレーム3Aの外側のサイド部に形成された掛部3A2との間には、引張バネ15が掛着されている。これにより、出力側の部材12は、上記引張バネ15のバネ附勢力によって、常時図示左方向に移動するように附勢された状態とされている。しかし、上記出力側の部材12は、その前述した肩口レバー7(図1参照)が引き上げ操作される前の初期時には、入力側の部材11に設けられたピン11Bがその係止溝12C内に落とし込まれて係止された状態として、その附勢による図示左方側への移動が規制された状態に保持されている。
【0017】
上記出力側の部材12は、前述した肩口レバー7(図1参照)の引き上げ操作が行われて、入力側の部材11がケーブル7Aにより図示反時計回り方向に回されることにより、ピン11Bが係止溝12C内から外し出されて、その移動規制された状態(入力側の部材11との係合状態)が解除される。これにより、出力側の部材12は、上述した図示左方側の長孔12A内に設けられたスライドピン3A1に沿ってその形状を滑らせるようにして、引張バネ15の附勢力によって図示左方側へと移動操作される(図3参照)。
【0018】
第1の操作リンク13は、図2に示すように、L字状のリンク部材により形成されており、L字の節となる部分が回転軸13Aによりクッションフレーム3Aの外側のサイド部に回転可能に軸連結されて設けられている。この第1の操作リンク13は、その図示下方側に向かって延びるリンク部にスライドピン13Bが設けられており、このスライドピン13Bは、出力側の部材12の図示右方側のリンク部に形成された長孔12B内に嵌め込まれて設けられている。これにより、第1の操作リンク13は、出力側の部材12が引張バネ15のバネ附勢力によって図示左方側へ移動操作される動きに伴って、図示時計回り方向に回転操作されるようになっている(図3参照)。
【0019】
第2の操作リンク14は、図1〜図2に示すように、図示上下方向(シート高さ方向)に延びる長尺状のリンク部材により形成されている。この第2の操作リンク14は、その図示下端部が、連結ピン14Aにより、上述した第1の操作リンク13の図2の右方側に向かって延びるリンク部と回転可能に軸連結されており、その図示上端部(図1参照)が、連結ピン14Bにより、上述したリクライニング装置5のロック解除の操作を行う解除アーム5Aと回転可能に軸連結されている。これにより、第2の操作リンク14は、図3に示すように、上述した出力側の部材12が引張バネ15のバネ附勢力によって図示左方側へと移動操作されて、第1の操作リンク13が図示時計回り方向に回転操作されることにより、この第1の操作リンク13によって図示下方側へと引き下げられるように操作されて、解除アーム5A(図1参照)を図示時計回り方向に回転操作して、リクライニング装置5のロックを解除するようになっている。
【0020】
ここで、図1を参照して、解除アーム5Aは、図示外側サイドに配されたリクライニング装置5の中心部に挿通された操作軸5Bに一体的に連結されて設けられており、常時は操作軸5Bが図示しないバネ部材の附勢力によってリクライニング装置5をロック作動させた状態とする回転位置にて、その回転位置が保持された状態となっている。そして、解除アーム5Aは、上述した肩口レバー7の操作によって、上記解除機構10の第2の操作リンク14により下方側に引き下げられるように回転操作されることにより、操作軸5Bを上記図示しないバネ部材の附勢力に抗した方向に回転操作して、リクライニング装置5のロックを解除するようになっている。なお、各リクライニング装置5は、互いの操作軸5Bが図示しないロッドによって一体に連結されており、互いのロック・解除の作動操作が同期して行われるようになっている。
【0021】
ここで、図2〜図3に示すように、前述した出力側の部材12は、その入力側の部材11との係合が外されることにより、引張バネ15のバネ附勢力によって図示左方側へと移動操作される構成となっており、例えば、長孔12Aの長さ設定を変えることによって、そのバネ附勢力により操作される最大移動量を自由に調整することができるようになっている。したがって、上記出力側の部材12が、リクライニング装置5(図1参照)のロックを解除するのに必要なストロークだけ引張バネ15のバネ附勢力によって移動することができるように設定されることにより、出力側の部材12と入力側の部材11との係合状態を外すだけの少ない操作ストロークによって、リクライニング装置5(図1参照)のロックを解除することができる。すなわち、リクライニング装置5のロックを解除するために必要な操作ストロークが長く設定されているか否かに拘らず、常に、肩口レバー7に必要とされる操作ストロークは、入力側の部材11のピン11Bを出力側の部材12の係止溝12C内から外し出すだけの少ない操作ストロークで済むようになる。
【0022】
そして、上記操作によってリクライニング装置5のロックが解除されることにより、シートバック2はその背凭れ角度の固定が解かれて、前方側へ倒し込むことのできる状態となる。ここで、図1に示すように、上記シートバック2とシートクッション3との左右両サイドの連結部には、シートバック2を常時前方側へ倒し込む方向にバネ附勢するバネ部材SPが掛着されている。これにより、シートバック2は、その背凭れ角度の固定状態が解かれることにより、上記バネ部材SPの附勢力によって前方側へ倒し込まれるようになっている。
【0023】
ところで、図3に示すように、上述した解除機構10の入力側の部材11は、肩口レバー7の操作によって出力側の部材12との係合が外されることにより、出力側の部材12が引張バネ15のバネ附勢力によって図示左方側へと移動するために、肩口レバー7の操作がその後にやめられても、ピン11Bが係止溝12C内には入り込まず出力側の部材12の上面に乗り上がった状態となって保持されるようになっている。しかし、上記入力側の部材11は、上述したシートバック2が前方側に倒し込まれた状態から元の起立した姿勢位置に戻される操作によって、出力側の部材12が図4において後述する戻し機構20の作動によって入力側の部材11との係合が外される前の初期位置(図5の状態)に戻されることで、ピン11Bが係止溝12C内に入り込んで、再び出力側の部材12の附勢による図示左方側への移動を規制した状態に戻されるようになっている。以下、この戻し機構20の構成について詳しく説明する。
【0024】
図4に示すように、戻し機構20は、L字状のリンク部材により形成された解除リンク21と、解除リンク21と前述した出力側の部材12(図2〜図3参照)の掛部12Dとを繋ぐ解除ケーブル22と、を有する。解除リンク21は、そのL字の節となる部分が回転軸21Aによりクッションフレーム3Aの外側のサイド部に回転可能に軸連結されて設けられている。この解除リンク21は、その図示上方側に向かって延びるリンク部にキックピン21Bが設けられている。このキックピン21Bは、シートバック2を前倒しした位置から元の起立した姿勢位置に起こし上げる操作によって、シートバック2のバックフレーム2Aに突出して設けられた蹴部2A1によって押し蹴られる格好で押動されるようになっている。そして、この押動により、解除リンク21が図示反時計回り方向に回されて、解除ケーブル22が牽引操作され、図5に示すように、解除ケーブル22に繋がれた出力側の部材12が図示右方側に引張り込まれて初期位置に戻される。
【0025】
そして、この戻し操作により、出力側の部材12に形成された長孔12Bが、第1の操作リンク13のスライドピン13Bに対して図示右方側へスライドした状態となる。ここで、上述したリクライニング装置5(図1参照)は、シートバック2が直立した姿勢となる角度位置から前方側に倒し込まれる角度領域内では、解除アーム5Aが下方側へ押し下げられた状態が解除されても、前述した図示しないバネ附勢力によってロック状態に戻される作動が途中で阻止されて解除状態に保たれる構成(フリーゾーンの設定された構成)となっている。
【0026】
これにより、シートバック2が直立した姿勢となるまでの起こし上げによっては、解除アーム5Aに繋がれた第1の操作リンク13及び第2の操作リンク14(図5参照)の姿勢は固定された状態に保たれるため、この固定姿勢の第1の操作リンク13のスライドピン13Bに対して戻し機構20により出力側の部材12の長孔12Bが図示右方側へスライドして初期位置に戻されて、入力側の部材11により係止されるようになっている。
【0027】
そして、その後に、シートバック2(図1参照)が直立姿勢となる位置まで起こし上げられることにより、リクライニング装置5が図示しないバネ附勢力によってロック状態に戻され、これに伴って、図5に示すように、第2の操作リンク14及び第1の操作リンク13もそのスライドピン13Bを出力側の部材12の長孔12B内を図示右方側へスライドさせながら初期位置へと戻される。このように、図4において前述した戻し機構20は、シートバック2の起こし上げが直立姿勢に到達する前の段階の位置(本発明の所定位置に相当する。)で、解除リンク21が蹴部2A1によって押し蹴られ、図5に示すように、出力側の部材12を初期位置に戻し込んで入力側の部材11と係止させた初期位置の状態に戻す構成となっている。なお、図4に示した戻し機構20は、シートバック2を起立させた使用位置から前倒れさせる動きに対しては、解除リンク21が蹴部2A1によって押し蹴られても、解除ケーブル22を撓ませることによってこの動きを逃がすため、シートバック2を前倒しした位置から起こし上げる動作時にのみ、解除ケーブル22を牽引操作するように構成されている。
【0028】
このように、本実施例の車両用シートによれば、肩口レバー7に必要な操作ストロークは、解除機構10の入力側の部材11を出力側の部材12との係合から外す位置までの操作ストロークで済む。したがって、リクライニング装置5のロック解除に必要な操作ストロークに因らず、肩口レバー7の一定量の操作によってリクライニング装置5のロック解除を行うことができる。また、肩口レバー7の操作によって前倒ししたシートバック2を所定位置まで起こし上げる動作により、出力側の部材12が戻し機構20によって動作前の初期位置に戻されて、ピン11Bが係止溝12C内に入り込んだ状態に復帰して入力側の部材11と出力側の部材12とが係合した状態に戻される。これにより、リクライニング装置5がロックすることができる状態(フリーゾーンから抜ければバネ附勢力により自然とロックする状態)に戻されて保持される。このように、シートバック2を起こし上げる動作のみによってリクライニング装置5をロックすることができる状態に戻す機構を、上記解除機構10に比較的簡単な構成によって具現化して組み込むことができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、上記実施例では、本発明の「解除レバー」に相当するものとして、シートバック2の肩口に設けられた肩口レバー7を例示したが、解除レバーは、シートバック2の側部等の他の部位に設けられるものであってもよい。また、上記実施例では、本発明の「解除機構」に相当する構成として、肩口レバー7(解除レバー)、ケーブル7A、解除機構10、及びリクライニング装置5のロック解除の操作を行う解除アーム5Aの順に並んで動力伝達経路が構成されたものを例示したが、解除機構とケーブルとが入れ替わって配されたもの、または解除機構と解除アームとの間に更に別のケーブルが介在して配された構成とされたものなど、解除機構は、解除レバーから解除アームへと動力が伝達される経路内のいずれかに介在して設けられるものであればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 シート本体
2 シートバック
2A バックフレーム
2A1 蹴部
3 シートクッション
3A クッションフレーム
3A1 スライドピン
3A2 掛部
4 ヘッドレスト
5 リクライニング装置
5A 解除アーム
5B 操作軸
6 側部レバー
7 肩口レバー(解除レバー)
7A ケーブル
10 解除機構
11 入力側の部材
11A 回転軸
11B ピン
12 出力側の部材
12A 長孔
12B 長孔
12C 係止溝
12D 掛部
13 第1の操作リンク
13A 回転軸
13B スライドピン
14 第2の操作リンク
14A 連結ピン
14B 連結ピン
15 引張バネ
20 戻し機構
21 解除リンク
21A 回転軸
21B キックピン
22 解除ケーブル
SP バネ部材
SH シールド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックに設けられた解除レバーの操作によりケーブルが牽引されてリクライニング装置のロックが解除される車両用シートであって、
前記解除レバーから前記ケーブルを介して前記リクライニング装置のロック解除の操作を行う解除アームへと動力が伝達される経路内には、入力された動力により互いに係合状態にある入力側の部材が出力側の部材との係合を外すように操作されて前記出力側の部材がバネ力により前記解除アームを前記リクライニング装置のロックの解除に必要な所定の解除位置まで移動させるように出力操作する構成の解除機構が設けられていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記解除機構は、その前記入力側の部材と前記出力側の部材との係合構造が、一方側の部材に設けられたピンが他方側の部材に設けられた係止溝内に入り込むことにより両者が係合し、前記解除レバーの操作により前記ピンが前記係止溝内から外されて両者の係合状態が外される構成よりなり、更に、前記解除機構は、前記解除レバーの操作によって前記リクライニング装置のロックが解除されて前記シートバックが前方側に倒し込まれた状態から該シートバックが所定位置まで起こし上げられる操作により、該シートバックの動きに連動して動く戻し機構が前記出力側の部材を前記バネ力に抗して動作前の初期位置に戻し、この戻す操作によって前記ピンが前記係止溝内に入り込んだ状態に復帰して前記リクライニング装置がロック状態に戻される構成となっていることを特徴とする車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−139253(P2012−139253A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291989(P2010−291989)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】