説明

車両用シート

【課題】後席車両窓からの車両外の景観を見え易いようにしながら、車両の室内のスペースを拡げるようにシートの配置を横置きから縦置きに変更するにあたってスムーズに配置変更可能とする。
【解決手段】クッションフレームの車両幅方向外側部分を回動の支点とするように配設される回動軸71は、自動車10の室内フロアF側からとなるベース61にて支持されている。この回動軸71は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置に配置変更する際に、車両幅方向内側に向けてスライド移動可能になっている。この車両幅方向内側に向けた回動軸71のスライド移動により、自動車10の室内11を区画する自動車10の種々のボデー構造の干渉を受けることなく、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置に配置変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の室内に設置される車両用シートに関し、詳しくは座席として使用しない場合に車両の室内のスペースを拡げるようにシートの配置を変更可能に構成される車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の室内には、車両運転席の後側の車両後席として、車両用シートが設置されている。このような車両用シートには、座席として使用しない場合に車両の室内のスペースを拡げるようにシートの配置を変更可能に構成されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。開示される車両用シートは、乗員が着座する通常使用状態おいては、着座可能にシートクッションが配置され、さらに背凭れ可能にシートバックが配置される。このように着座可能となる車両用シートは、座席として使用しない場合には、シートクッションに重畳するようにシートバックを倒し込むことができるようになっている。このようにシートクッションとシートバックとを重畳させた状態では、通常シート位置となる横置きから縦置きとなるスペースアップ位置に配置を変更することができるようになっている。つまり、このような車両用シートは、座席として使用しない場合には、横置きから縦置きに配置を変更して、車両の室内のスペースを拡げることができるようになっている。このように車両用シートの配置が変更できると、車両の室内における幅方向のスペースを確保することができるようになり、室内への荷物の積込みに有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−126742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したように縦置きに配置を変更した車両用シートは、横置きに比して上下方向となる縦方向の嵩張りが増すこととなる。このため、この縦置きに配置された車両用シートの上側部分は、後席側の配置される車両窓(以下、『後席車両窓』という)を遮ってしまう。そうすると、この後席車両窓から車両外の景観が見え難くなってしまい、乗員にとって興趣の欠けるものとなってしまう。そこで、このような縦置きに配置を変更した車両用シートの背丈を低くするために、縦置きに配置位置を変更した車両用シート下部の支持位置を、より下側となる室内フロアにて支持するように構成することが考えられている。
【0005】
しかしながら、上記したような車両用シートを、より下側となる室内フロアにて支持させようとすると、例えばタイヤハウス等の室内フロアの突き出し形状や、室内のサイド部分を区画する車両ボデー等が、横置きから縦置きに配置変更させる際の車両用シートの回動を邪魔することがあり、この車両用シートの横置きから縦置きへの配置変更をスムーズに行えないという問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、車両用シートにおいて、後席車両窓からの車両外の景観を見え易いようにしながら、座席として使用しない場合に車両の室内のスペースを拡げるようにシートの配置を横置き(シート通常位置)から縦置き(スペースアップ位置)に変更するにあたってスムーズに配置変更可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって本発明に係る車両用シートは次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係る車両用シートは、前倒しされることによりシートクッションと重ねて畳むことができるシートバックを具備し、該シートクッションに該シートバックを重ねた状態で該シートクッションの車両幅方向外側部分を回動の支点にして畳まれたシートを上げるように回動させて、シート通常位置から起立させ且つ車両幅方向外側に寄せるスペースアップ位置に配置変更可能に構成される車両用シートであって、前記シートクッションの車両幅方向外側部分を回動の支点とするように配設される回動軸は、前記シート通常位置から前記スペースアップ位置に配置変更するのに連動して、車両幅方向内側に向けてスライド移動できるように車両の室内フロア側に支持されており、前記シートクッションと車両の該室内フロア側との間には、該シートクッションと車両の該室内フロア側との両者を互いに連結する連結部材が配設されていることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係る車両用シートによれば、シートクッションの回動軸は、車両の室内フロア側に支持されているので、室内の最下端に設定される室内フロアに対して車両用シートを設置することができる。これによって、車両用シートの配設位置を下げることができて、シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更した場合でも車両外の景観を後席車両窓から見え易いようにできる。さらに第1の発明に係る車両用シートによれば、シートクッションの回動軸は、シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更するのに連動して、車両幅方向内側に向けてスライド移動できるようになっているので、車両の室内を区画する車両の種々のボデー構造からの干渉をシートクッションが受けることがないように、該シートクッションをスライド移動させながら回動させることができる。これによって、車両用シートをシート通常位置からスペースアップ位置に配置変更するにあたってスムーズに配置変更することができる。
【0009】
第2の発明に係る車両用シートは、前記第1の発明に係る車両用シートにおいて、前記連結部材は、前記シート通常位置から前記スペースアップ位置に配置を変更するにあたり伸縮可能に構成され、前記連結部材の最大伸張時の長さは、前記回動軸が車両幅方向内側に向けてスライド移動せずに、畳まれた前記シート通常位置のシートを上げるように回動させて前記スペースアップ位置まで起立させた場合の長さよりも短い長さに設定されていることを特徴とする。
さらに詳しく言えば、この第2の発明に係る車両用シートは、前記第1の発明に係る車両用シートにおいて、前記連結部材の最大伸張時の長さは、前記回動軸が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合における、シートクッションがスペースアップ位置へ回動する際に最初に車両側面部材に当接する回動位置状態での長さよりは長いが、シートクッションが直立した回動位置状態での長さよりは短く設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
この第2の発明に係る車両用シートによれば、連結部材の最大伸張時の長さは、回動軸が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合における、シートクッションがスペースアップ位置へ回動する際に最初に車両側面部材に当接する回動位置状態での長さよりは長いので、例えば車両の室内を区画する車両側壁ボデー構造からの干渉を受けた場合に、シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更するのに連動してシートクッションの回動軸を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。また、この第2の発明に係る車両用シートによれば、連結部材の最大伸張時の長さは、回動軸が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合における、シートクッションが直立した回動位置状態での長さよりは短いので、シートクッションが直立した回動位置状態となるのに連動してシートクッションの回動軸を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。もって、シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更するに際しての、シートクッションの回動軸を車両幅方向内側に向けたスライド移動の連動を、よりスムーズなものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明に係る車両用シートによれば、シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更した場合でも、車両外の景観を後席車両窓から見え易いようにできながら、この配置変更もスムーズに行える。
第2の発明に係る車両用シートによれば、シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更するに際しての、シートクッションの回動軸を車両幅方向内側に向けたスライド移動の連動を、よりスムーズなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】着席可能状態の左右両側の後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図2】前倒しした重畳状態の左右両側の後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図3】回動してスペースアップ位置に切り替わろうとする左側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図4】スペースアップ位置となった左側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図5】回動してスペースアップ位置に切り替わろうとする右側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図6】スペースアップ位置となった右側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図7】前倒しした重畳状態の左右両側の後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図8】スペースアップ位置となった左右両側の後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図9】車両幅方向内側に向けてスライド移動するためのスライド構造を模式的に示す斜視図である。
【図10】シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更するに際しての一時停止位置となる右側後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図11】スペースアップ位置となる右側後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図12】図7および図8の車両後席の変形例を模式的に示す背面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る車両用シートを実施するための形態としての後席シートについて説明する。なお、この後席シートを説明するにあたっては、この後席シートを模式的に図示する図1〜図12を参照しながら説明するものとする。すなわち、図1〜図6に示す符号15は、車両としての自動車10の室内11に設置されるものであり、車両運転席の後側に設置される車両後席である。なお、この車両として自動車は、運転席が右側に設定される、いわゆる右ハンドル自動車である。また、図1〜図6に示す車両後席15には、図7および図8にて示して後に説明するロック機構75(ストライカ76、ロック機構本体77)および伸縮可能連結部材80に関する図示は省略してある。
また、図1〜図6に示す車両後席15は、座席として使用する場合の通常のシートの配置構成となるシート通常位置から、座席として使用しない場合に自動車10の室内11のスペースを拡げるようにシート配置構成となるスペースアップ位置(T2)に配置を変更するまでを、シート通常位置(T1)から順を追って図示している。
【0014】
すなわち、図1は、シート通常位置(T1)となる着席可能状態の左右両側の後席シート20,40を示す斜視図である。図2は、シート通常位置(T1)となる前倒しした重畳状態の左右両側の後席シート20,40を示す斜視図である。図3は、回動してスペースアップ位置(T2)に切り替わろうとする右側後席シート20を示す斜視図である。図4は、スペースアップ位置(T2)となった右側後席シート20を示す斜視図である。図5は、回動してスペースアップ位置(T2)に切り替わろうとする左側後席シート40を示す斜視図である。図6は、スペースアップ位置(T2)となった左側後席シート40を示す斜視図である。なお、このシート通常位置(T1)は、いわゆるシートの配置の横置きを意味しており、またスペースアップ位置(T2)は、いわゆるシートの配置の縦置きを意味している。
また、図7は、シート通常位置(T1)となる前倒しした重畳状態の左右両側の後席シート20,40を示す後席背面視図である。図8は、スペースアップ位置(T2)となった左右両側の後席シート20,40を示す後席背面視図である。図9は、車両幅方向内側に向けてスライド移動するためのスライド支持構造60を示す斜視図である。
なお、これら右側後席シート20および左側後席シート40における、上下前後左右に関する方向の規定は全図に記載のとおりである。また、これら右側後席シート20と左側後席シート40とが互いに対向する側を車両内側と規定し、これとは反対側の右側後席シート20と左側後席シート40との外側を車両外側と規定するものとする。
【0015】
図示される車両後席15は、前後2列にて構成される所謂2列目シートである。この車両後席15は、2つの後席シートとなる右側後席シート20および左側後席シート40を、車両幅方向となる左右方向で並べることにより構成される。言い換えれば、車両幅方向右側には右側後席シート20が配設され、右側後席シート20に対して左側に隣接する車両幅方向左側には左側後席シート40が配設される。このように左右方向の車両幅方向に並べられた右側後席シート20および左側後席シート40により、車両後席15をなすものとなっている。また図7および図8に示すように、これら右側後席シート20および左側後席シート40の車両外側は、自動車10の内部と外部とを区画する車両ドアパネルPが設けられたものとなっている。なお、この車両後席15を構成する右側後席シート20および左側後席シートのうち右側後席シート20が、本発明に係る車両用シートとして例示されるものである。
図1〜図6にも示すように、右側後席シート20および左側後席シート40は、一般的な車両用シートと同様、乗員が着座する座としてのシートクッション21,41と、着座した乗員の背凭れとなるシートバック25,45とを備える。ここで、右側後席シート20および左側後席シート40のシートバック25,45は、シートクッション21の不図示のクッションフレームにて支持され、前倒し可能に構成される。具体的には、これら右側後席シート20および左側後席シート40のシートバック25,45は、前倒しされることにより図1に示す状態から図2に示す状態へと移行するようになっている。この場合、これらのシートバック25,45は、シートクッション21,41と重ねられるように配置されるものとなっており、シートクッション21,41とシートバック25,45とにより二重の重畳状態にて畳まれた状態となる。
【0016】
ところで、右側後席シート20および左側後席シート40は、自動車10の床面をなす室内フロアFに対して、スライド支持構造60を介して設置されるものとなっている。つまり、車両の室内11の床面を構成する室内フロアF上には、スライド支持構造60が室内フロアFに一体固定されて設置されている。これに対して、右側後席シート20および左側後席シート40は、このスライド支持構造60により、室内フロアFに対して左右方向の車両幅方向でスライド移動可能に支持されている。
ここで、これら右側後席シート20および左側後席シート40は、左右方向の車両幅方向で並べられることにより構成されるシートアレンジ構造となっている。このように互いに隣接配置される右側後席シート20および左側後席シート40の互いの間(車両内側)には、指1本が入るか入らないかの隙間しか形成されていない。つまり、右側後席シート20および左側後席シート40の対向する内側面同士は互いに面接触するほど、隣接配置される右側後席シート20および左側後席シート40は近接して配置されている。
【0017】
これに対して図7に示すように、右側後席シート20の車両外側となる右側箇所には、車両ドアパネルPとの間に空間S1が設けられている。この空間S1は、後に詳述する右側後席シート20を図7に示すシート通常位置(T1)から図8に示すスペースアップ位置(T2)に配置を変更するために、左側後席シート40との間の図7に示す回動スペースS3を形成するためのものである。具体的には、この空間S1を埋めるように右側後席シート20を車両幅方向右側にスライド移動させると、このスライド移動により右側後席シート20と左側後席シート40との間には、図7に示す回動スペースS3が形成されることとなる。この回動スペースS3により、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて起立させるにあたって、左側後席シート40に干渉されることなくシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に回動させることができる。この空間S1は、右側後席シート20を回動させる前に車両幅方向外側に予めスライド移動させるための本発明に係る空間に相当する。ちなみに、図7に示すように、左側後席シート40の車両外側となる左側箇所にも、この上記した空間S1との均衡を保つために、車両ドアパネルPとの間に空間S2が設けられている。
【0018】
次に、右側後席シート20の設置構成について詳細に説明する。右側後席シート20は、上記したように、室内フロアFに一体固定されて設置されるスライド支持構造60により、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するのに連動して、車両幅方向内外側に向けてスライド移動できるように車両の室内フロアFに支持されるものとなっている。具体的には、スライド支持構造60は、図9にも示すように、室内フロアFに固定設置されるベース61と、このベース61にて支持される2つのレール構造65,65とを備える。ベース61は、図1等に示すように室内フロアFに固定設置されている。また、このベース61の前後左右位置には、内部に設置される2つのレール構造65,65を目隠しするように側壁状をなすカバー体62が設けられている。また、このベース61の内部には、前後方向にて適宜の距離を隔てて位置される2つレール構造65,65が配設されている。これらのレール構造65,65は、図示するとおり、左右方向の車幅方向にて延びるように形成されている。また、この2つレール構造65,65は、ベース61に対して配設されるものとなっているが、図7等にも示すように、この2つレール構造65,65が配設される高さ位置は、車両フロアFの床面と略同一面上に位置するまで下げられた高さ位置にて設定されている。
【0019】
このレール構造65は、図9に示すように、広く利用されるスライドレールの構造と同様、ロアレール66とアッパレール67とを具備して構成される。すなわち、ロアレール66は、上記したベース61と一体化するように固定設置されている。また、アッパレール67は、このロアレール66に対して不図示の支持ローラ等を介してスライド移動可能に嵌め合わされた構造を有する。つまり、アッパレール67は、ロアレール66に対して、スムーズにスライド移動可能に取り付けられている。ここで、このアッパレール67の上面には、回動軸71を支持する支持ブラケット68が一体固定されている。なお、この回動軸71についての図示は、この回動軸71をなすための軸線を模した形式により図示されている。ここで、支持ブラケット68は、次に説明する回動軸71を支持する軸受けとして機能するものである。具体的には、支持ブラケット68は、略L字形をなして形成されており、下部がアッパレール67に固定支持され、上部がアッパレール67の上側に突き出されるように形成されている。この支持ブラケット68の上部は、次に説明する右側後席シート20の回動軸71の軸受けとなる部分であり、次に説明する回動軸71を、左右方向の車幅方向にてスライド移動可能に室内フロアF側から支持されている。
【0020】
次に、右側後席シート20の回動軸71について説明する。右側後席シート20の回動軸71は、座席として使用しない場合の自動車10の室内11のスペースを拡げるために、この右側後席シート20の回動を軸支持する軸支持部材として機能する。つまり、この回動軸71は、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点として設定される。このため、この右側後席シート20は、この回動軸71を回動の支点とし、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態で、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向内側部分を上側に上げるように起立回動可能となっている。つまり、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態のクッションフレーム(不図示)は、この回動軸71を回動の支点として、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に、配置の変更が可能となっている。このように、右側後席シート20の配置が、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に変更されると、この右側後席シート20を座席として使用しない場合に、自動車10の室内11の空きスペースを纏めるように拡げることができる。
【0021】
ここで、回動軸71は、上記した支持ブラケット68による軸受け機能により支持されている。このため、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点とするように、クッションフレーム(不図示)と一体化して配設される回動軸71は、この右側後席シート20がシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更するにあたって、支持ブラケット68を一体化するレール構造65により、この回動軸71を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。つまり、図3に示す状態から図4に示す状態に移行するにあたって、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を直角に起立させるが、この際に、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を起立回動させるための支点となる回動軸71は、車両幅方向内側に向けてスライド移動できるようになっている。
【0022】
一方、上記した右側後席シート20には、この右側後席シート20がシート通常位置(T1)に配置されている場合に、このシート通常位置(T1)を固定保持しておくためのロック機構75が設けられている。このロック機構75は、本発明に係る固定保持手段に相当するものであり、広く利用されるロック機構と同様に、ストライカ76とロック機構本体77とを具備して構成される。ストライカ76は上記した右側後席シート20のクッションフレーム(不図示)に一体的に配設されており、ロック機構本体77は上記したスライド支持構造60のベース61に一体的に配設されている。このため、このストライカ76がロック機構本体77にてロックされると、右側後席シート20はシート通常位置(T1)にて固定保持されることとなる。なお、この実施の形態のロック機構75のロック機構本体77は、スライド支持構造60のベース61に一体的に配設されるものであった。しかしながら、このロック機構本体77は、上記したレール構造65のアッパレール67の形状を延長し、このように延長したアッパレール67に対して一体的に配設されるものであってもよい。このようにロック機構本体77をアッパレール67に一体的に配設すると、上記した右側後席シート20は、シート通常位置(T1)を維持した状態で、室内フロアFに対して左右方向の車両幅方向でスライド移動できるようになる。
【0023】
また、上記した右側後席シート20は、ロック機構本体77によるストライカ76のロックが解除されると、それまで固定保持されていたシート通常位置(T1)の右側後席シート20の配置は、このシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に自動的に変更されるようになっている。すなわち、この右側後席シート20には、常時、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて回動するように、起立回動およびスライド移動を含む回動付勢手段としての伸縮可能連結部材80が配設されている。つまり、伸縮可能連結部材80は、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて、起立回動させるとともに車両幅方向右側に向けてスライド移動させる。具体的には、この伸縮可能連結部材80は、圧縮ガスの膨張力を利用して伸張方向にて付勢するガスシリンダ(ガスダンパー)により構成され、伸張方向への付勢力によりシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けた回動付勢(上記した起立回動およびスライド移動を含む)をする。
【0024】
図10は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するに際しての一時停止位置となる右側後席シート20を模式的に示す背面視図である。つまり、図10は、シートクッション21がスペースアップ位置(T2)に回動する際に最初に車両側面部材となる車両ドアパネルPに当接した状態を示している。また、図11は、スペースアップ位置(T2)となる右側後席シート20を模式的に示す背面視図である。なお、図10および図11では、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)への配置変更と、回動軸71のスライド移動との連動性を分かり易くするために、レール構造65のアッパレール67を見え易く図示している。
この伸縮可能連結部材80は、本発明に係る連結部材に相当する部材であり、シートクッション21と自動車10の室内フロアF側との間に配設されるものであり、これらシートクッション21と自動車10の室内フロアF側との両者を互いに連結するものである。このため、この伸縮可能連結部材80の基端81は、室内フロアFに固定設置されるベース61に対して回動可能に固定支持されており、伸縮可能連結部材80の先端82は、シートクッション21(クッションフレーム(不図示))に対して回動可能に固定支持されている。ここで、伸縮可能連結部材80は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更するにあたり伸縮可能に構成されている。
【0025】
ところで、この伸縮可能連結部材80は、上記したように伸張方向に付勢する機能を有しながら、次のような長さに条件設定されている。すなわち、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合におけるシートクッション21がスペースアップ位置(T2)へ回動する際に最初に車両側面部材となる車両ドアパネルPに当接する回動位置状態での長さより長い長さに、さらに回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合におけるシートクッション21が直立した回動位置状態での長さより短い長さに、設定されている。
また、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、図10にて示す状態で最大伸張時となるのが最も好ましい。つまり、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合におけるシートクッション21がスペースアップ位置(T2)へ回動する際に最初に車両側面部材となる車両ドアパネルPに当接する回動位置状態での長さと同じ長さになる場合である。
つまり、上記した伸縮可能連結部材80は、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて、起立回動させるとともに車両幅方向右側に向けてスライド移動させる付勢力を発生する機能と、上記した長さの条件設定によって起立回動および車両幅方向右側に向けたスライド移動のガイドする機能とを有する。なお、本発明に係る連結部材の要件としては、このような両者の機能のうち、上記した長さの条件設定によって起立回動および車両幅方向右側に向けたスライド移動のガイドする機能を具備すれば足りるものとなっている。
【0026】
このように構成される右側後席シート20によれば、ロック機構本体77によるストライカ76のロックが解除されると、伸縮可能連結部材80からの回動付勢を受けることによって、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に右側後席シート20の配置を変更しようと回動することとなる。そうすると、図10に示す状態となって、スペースアップ位置(T2)に向けて起立回動しようとする右側後席シート20が車両ドアパネルPに当接することとなる。この際、伸縮可能連結部材80の伸張した長さが最大伸張の長さとなっている場合には、右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に向けた起立回動は、ここで一時停止することとなる。そして、ユーザが右側後席シート20を回動付勢すると、図10に示す状態から図11に示す状態に移行するように、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更しつつ、これに連動して車両幅方向内側に向けてアッパレール67がスライド移動することとなる。なお、図10に示す状態となった際、伸縮可能連結部材80の伸張した長さが最大伸張の長さよりも短い場合には、右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に向けた起立回動は一時停止することなく起立回動を続けて、図10に示す状態から図11に示す状態に移行するように、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更しつつ、これに連動して車両幅方向内側に向けてアッパレール67がスライド移動することとなる。
【0027】
また、左側後席シート40の設置構成についても、上記した右側後席シート20と略同一の設置構成にて室内フロアFに設置されている。すなわち、左側後席シート40は、スライド支持構造60により室内フロアFに対して左右方向の車両幅方向でスライド移動可能に支持されている。このため、左側後席シート40も、上記した右側後席シート20と略同様に起立回動およびスライド移動を含む回動付勢がされており、図7に示すシート通常位置(T1)から図8に示すスペースアップ位置(T2)に配置を変更することができるようになっている。このため、この左側後席シート40の設置構成において上記した右側後席シート20の設置構成と略同一に構成される箇所については、上記した右側後席シート20の設置構成を説明する際に付した図示符号に対して末尾に‘n’を付加することにより説明を省略する。このようにして、左側後席シート40も、支持ブラケット68nによる軸受け機能により支持される回動軸71nを支点にして、シート通常位置(T1)のスペースアップ位置(T2)に配置を変更することができる。
【0028】
具体的には、この左側後席シート40は、ロック機構本体77nによるストライカ76nのロック解除されると、回動付勢スプリング80nにより、シートバック45をシートクッション41に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて、起立回動させるとともに車両幅方向右側に向けてスライド移動させる。なお、この左側後席シート40の回動付勢スプリング80nは、上記した右側後席シート20の伸縮可能連結部材80とは異なり、この左側後席シート40の回動軸71nに沿って配設されるスパイラルスプリングにより構成され、このスパイラルスプリングの付勢力によりシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けた回動付勢をする。また、左側後席シート40の支持ブラケット68nを一体固定するアッパレール67nを嵌め合わせるロアレール66nは、上記した右側後席シート20の支持ブラケット68を一体固定するアッパレール67を嵌め合わせるロアレール66を延在させたことによる一部材にて構成される。
【0029】
ここで、この左側後席シート40のスペースアップ位置(T2)は、図8等に示すように右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に対して隣接する位置に設定されている。このため、この左側後席シート40は、右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に隣接するまで、車両幅方向右側に向けてスライド移動するようになっている。このようにして、左側後席シート40も、回動軸71nを回動の支点として、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に、配置の変更が可能となっている。もって、右側後席シート20および左側後席シート40の双方の配置が、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に変更されると、これら右側後席シート20および左側後席シート40を座席として使用しない場合に、自動車10の室内11の空きスペースを纏めるように拡げることができる。つまり、互いにスペースアップ位置(T2)となる右側後席シート20および左側後席シート40は、自動車10の室内11に車両幅方向片側となる右側(運転席側)に偏らせられたものとなる。
【0030】
上記したように構成された右側後席シート20によれば次の作用効果を奏することができる。すなわち、上記した右側後席シート20によれば、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点とするように配設される回動軸71は、自動車10の室内フロアF側からとなるベース61にて支持されている。このため、室内11の最下端に設定される室内フロアFに対して右側後席シート20を設置することができる。これによって、右側後席シート20の配設位置を下げることができて、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更した場合でも車両外の景観を後席車両窓から見え易いようにできる。さらに上記した右側後席シート20によれば、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点とするように配設される回動軸71は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更する際に、車両幅方向内側に向けてスライド移動可能になっているので、自動車10の室内11を区画する自動車10の種々のボデー構造の干渉を受けることなくスライド移動させることができる。これによって、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するにあたってスムーズに配置変更することができる。
【0031】
上記した右側後席シート20によれば、シートクッション21の回動軸71は、自動車10の室内フロアF側に支持されているので、室内11の最下端に設定される室内フロアFに対して右側後席シート20を設置することができる。これによって、右側後席シート20の配設位置を下げることができて、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更した場合でも車両外の景観を後席車両窓から見え易いようにできる。さらに上記した右側後席シート20によれば、シートクッション21の回動軸71は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するのに連動して、車両幅方向内側に向けてスライド移動できるようになっているので、自動車10の室内11を区画する自動車10の種々のボデー構造となる車両ドアパネルPからの干渉をシートクッション21が受けることがないように、該シートクッション21をスライド移動させながら回動させることができる。これによって、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するにあたってスムーズに配置変更することができる。
【0032】
また、上記した右側後席シート20によれば、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、図10に示す回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合における、シートクッション21がスペースアップ位置(T2)へ回動する際に最初に車両ドアパネルP(車両側面部材)に当接する回動位置状態での長さよりは長いので、例えば自動車10の室内11を区画する車両ドアパネルPからの干渉を受けた場合に、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するのに連動してシートクッション21の回動軸71を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。
また、上記した右側後席シート20によれば、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、図10に示す回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合における、シートクッション21が直立した回動位置状態での長さよりは短いので、シートクッション21が直立した回動位置状態となるのに連動してシートクッション21の回動軸71を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。もって、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するに際しての、シートクッション21の回動軸71を車両幅方向内側に向けたスライド移動の連動を、よりスムーズなものとすることができる。
【0033】
また、上記した右側後席シート20によれば、車両幅方向外側には回動の前に車両幅方向外側に予めスライド移動させるための空間S1が設けられているので、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に回動させるにあたって、予め車両幅方向外側にスライド移動させることによって回動スペースS3を車両幅方向内側に形成することができる。これによって、この回動スペースS3により、車両幅方向内側に隣接する左側後席シート40からの回動に関する干渉を回避することができて、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するにあたってスムーズに回動させることができるようになる。
また、上記したようにシートアレンジ構造をなす車両後席15によれば、スペースアップ位置(T2)とする際の右側後席シート20および左側後席シート40のそれぞれは、車両幅方向同側となる右側に向けてスライド移動できるように車両フロアFに設置されているので、これら右側後席シート20および左側後席シート40のそれぞれを自動車10の室内11の車両幅方向片側となる右側に偏らせておくことができる。これによって、車両後席15を偏らせて配置する車両幅方向片側とは反対側の左側の場所には、荷物を積み込むためのスペースを形成することができる。これによって、自動車10の幅方向右側に荷物を積み込むためのスペースを纏めて確保することができて、積込み荷物の形状に対する積込みスペースの応用度を高めることができる。
【0034】
なお、本発明に係る車両用シートにあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、適宜個所を変更して構成されるものであってよい。
例えば、次に説明する図12に示すような変形例が考えられる。図12は、図7および図8の車両後席15の変形例となる車両後席15Bを模式的に示す背面視図である。すなわち、上記した車両後席15の左側後席シート40は、図7および図8に示すように支持ブラケット68nによる軸受け機能により支持される回動軸71nを支点にして、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更することができるようになっていた。ところが、図12に示す車両後席15Bの左側後席シート40は、この回動する支点を上記したスライド支持構造60のベース61に設けて、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更することができるようになっている。具体的には、左側後席シート40の回動支点は、略L字形をなすブラケット状の回動部材68Bにより形成されている。この回動部材68Bは、一端(図示符号68B1)側がスライド支持構造60のベース61に回動可能に軸支持されており、他端(図示符号68B2)側がクッションフレーム(不図示)に回動可能に軸支持されている。これによって、この回動部材68Bの一端(図示符号68B1)側を回動支点にして回動部材68Bを回動させることにより、左側後席シート40は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更することができるようになっている。このように左側後席シート40を構成した場合には、この左側後席シート40の設置構成について簡単化することができる。
【0035】
また、上記した実施の形態にあっては、本発明に係る車両用シートとして、所謂2列目シートの右側後席シート20の構成を例示することにより説明するものであった。しかしながら、本発明に係る車両用シートとしては、このような2列目シートの右側後席シート20の例示に限定されることなく、所謂2列目シートの左側後席シート40の構成にて例示されるものであってもよい。さらに言えば、本発明に係る車両用シートとしては、所謂3列目シートが上記した実施の形態のように構成されるものであってもよく、車両後席として構成されるものであればよいものである。
また、上記した実施の形態にあっては、スペースアップ位置(T2)とする際の右側後席シート20および左側後席シート40のそれぞれは、車両幅方向同側となる右側に向けてスライド移動できるように車両フロアFに設置されるものとなっていた。しかしながら、本発明に係るスペースアップ位置とする際の車両用シートのそれぞれのスライド移動方向としては、車両幅方向でそれぞれ異なる向きに設定されるものであってもよい。さらに言えば、右側後席シート20および左側後席シート40のそれぞれを、車両幅方向同側となる左側に向けてスライド移動できるように車両フロアFに設置してもよい。
また、上記した実施の形態にあっては、本発明に係る連結部材に相当する部材として、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更するにあたり伸縮可能に構成される伸縮可能連結部材80を例示して説明するものであった。しかしながら、本発明に係る連結部材は、これに限定されることなく、次のように構成されるものであってもよい。すなわち、上記した伸縮可能連結部材80に代替する部材としては、例えば、弛んだり張ったりすることができるワイヤーのような部材にて構成することができる。このようなワイヤーのような部材で、本発明に係る連結部材を構成した場合には、上記したシート通常位置(T1)では弛ませて配設させる構成となる。また、上記した伸縮可能連結部材80に代替する部材としては、例えば、高い剛性の棒状部材にて構成することもできる。このような高い剛性の棒状部材で、本発明に係る連結部材を構成した場合には、シート通常位置(T1)では、棒状部材が連結される基端箇所あるいは先端箇所にて長孔により遊嵌されて連結する構成となる。
【符号の説明】
【0036】
10 自動車(車両)
11 室内
15,15B 車両後席
20 右側後席シート(車両用シート)
40 左側後席シート
21,41 シートクッション
25,45 シートバック
60 スライド支持構造
61 ベース
62 カバー体
65 レール構造
66,66n ロアレール
67,67n アッパレール
68,68n 支持ブラケット
71,71n 回動軸
75,75n ロック機構
76,76n ストライカ
77,77n ロック機構本体
80 伸縮可能連結部材(連結部材)
80n 回動付勢スプリング
F 室内フロア
P 車両ドアパネル(車両側面部材)
S1,S2 空間
S3 回動スペース
T1 シート通常位置
T2 スペースアップ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前倒しされることによりシートクッションと重ねて畳むことができるシートバックを具備し、該シートクッションに該シートバックを重ねた状態で該シートクッションの車両幅方向外側部分を回動の支点にして畳まれたシートを上げるように回動させて、シート通常位置から起立させ且つ車両幅方向外側に寄せるスペースアップ位置に配置変更可能に構成される車両用シートであって、
前記シートクッションの車両幅方向外側部分を回動の支点とするように配設される回動軸は、前記シート通常位置から前記スペースアップ位置に配置変更するのに連動して、車両幅方向内側に向けてスライド移動できるように車両の室内フロア側に支持されており、
前記シートクッションと車両の該室内フロア側との間には、該シートクッションと車両の該室内フロア側との両者を互いに連結する連結部材が配設されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記連結部材は、前記シート通常位置から前記スペースアップ位置に配置を変更するにあたり伸縮可能に構成され、
前記連結部材の最大伸張時の長さは、前記回動軸が車両幅方向内側に向けてスライド移動せずに、畳まれた前記シート通常位置のシートを上げるように回動させて前記スペースアップ位置まで起立させた場合の長さよりも短い長さに設定されていることを特徴とする車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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