説明

車両用ドアのドアミラー取付け構造

【課題】車体重量増を招くことなくピラー剛性の向上に寄与でき、かつドアミラーの取付け剛性を確保しつつウインドフレームの小型化を可能にできる車両用ドアのドアミラー取付け構造を提供する。
【解決手段】ヒンジサイドリインホース25のドア本体1a内に位置する部分は、前フランジ部25aと、ドアインナ側壁部25bとを有し、ヒンジサイドリインホース25のドア本体1aのベルトライン部Lから前フレーム部1d内に位置する部分は、締結フランジ部25cと、ドアアウタ側壁部25dと、さらにウインドフレーム側壁部25gを有し、ヒンジサイドリインホース25の前フレーム部1dに対応する部分には、補強部材26が配設され、該補強部材26とヒンジサイドリインホース25とにより上,下が閉塞された閉断面ボックス部27を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に配設されるドアのウインドフレームにドアミラーを取り付けるようにした車両用ドアのドアミラー取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、ドアミラーをフロントドアのウインドフレームに取り付ける場合がある。例えば、特許文献1には、ウインドフレーム(12)のドアインナ(2)に沿うように配置されたヒンジリインホース(3)と、ドアアウタ(1)に沿うように配置されたドアミラーリインホース(4)と、サッシュ(5)とで閉断面を形成し、ドアミラー(23)のボス部(23b)を車外側からドアアウタ及びドアミラーリインホースを貫通させてヒンジリインホースとドアインナとにボルト締め固定した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−154848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来構造のように、ウインドフレームの閉断面内のドアインナ側にドアミラーを取り付ける構造とした場合には、取付けスペースを確保するために前フレーム部の前後の断面幅を大きくする必要があり、ウインドフレーム全体が大型化するという問題がある。特に車両サイズに制約がある小型車の場合には、前フレーム部の前後幅が大きくなると運転席からの視認性が悪化することから、採用し難い構造である。
【0005】
ここで、車両サイズに制約がある小型車においては、前フレーム部の前後の断面幅をできるだけ小さくする観点から、ドアミラーの前部を前フレーム部のフランジ部に取り付け、後部を前フレーム部を貫通させずにドアアウタ側に直接取り付ける構造を採用する場合がある。
【0006】
このような構造を前記特許文献1に適用するためには、ドアアウタ側の取付け剛性を高めるためにドアミラーリインホースの板厚を大きくする必要があり、それだけ車体重量が増えることから、軽量化が望まれる小型車には採用し難い。
【0007】
一方、自動車においては、車両前方からの衝撃入力をフロントピラーの上方及び下方に分散して伝達させる構造とする場合がある。この場合、フロントピラーの後側に位置するフロントドアにおいてもピラー剛性の向上に寄与させることが望ましい。そのためにはヒンジリインホース全体の板厚をさらに大きくする必要があり、この点からも車体重量が増えるという問題が生じる。
【0008】
そこで本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、車体重量増を招くことなくピラー剛性の向上に寄与でき、かつドアミラーの取付け剛性を確保しつつウインドフレームの小型化を可能にできる車両用ドアのドアミラー取付け構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ドアインナパネルとドアアウタパネルとの外周フランジ部同士を結合してなる中空状のドア本体と、該ドア本体に一体形成されたウインドフレームとを有し、該ウインドフレームの前フレーム部に少なくとも前,後一対の前側,後側ドアミラー締結座を設け、該前側ドアミラー締結座を前記外周フランジ部に設定するとともに、前記後側ドアミラー締結座を前フレーム部の断面内の前記ドアアウタパネルに設定した車両用ドアのドアミラー取付け構造であって、前記ドア本体内には、該ドア本体の上下方向略全長に渡り、かつ前記前フレーム部内に延びるヒンジサイドリインホースが配設され、該ヒンジサイドリインホースの前記ドア本体内に位置する部分は、前記外周フランジ部に沿うように延びる前フランジ部と、該前フランジ部から前記ドアインナパネルに沿うように延びるドアインナ側壁部とを有し、前記ヒンジサイドリインホースの前記ドア本体のベルトライン部から前記前フレーム部内に位置する部分は、前記前フランジ部に続いて前記前側ドアミラー締結部に対向するよう延びる締結フランジ部と、前記ドアインナ側壁部から車外側に屈曲して前記ドアアウタパネルに沿って前記後側ドアミラー締結部に対向するよう延びるドアアウタ側壁部と、さらに該ドアアウタ側壁部から車内側に屈曲して前記ウインドフレームのドアインナパネルに沿うように延びるウインドフレーム側壁部とを有し、前記ヒンジサイドリインホースの前フレーム部に対応する部分には、前記ドアインナパネルに沿うように延びる補強部材が配設され、該補強部材と前記ヒンジサイドリインホースとにより上,下が閉塞された閉断面ボックス部を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るドアミラー取付け構造によれば、ヒンジサイドリインホースのドア本体内に位置する部分を、外周フランジ部に沿うように延びる前フランジ部と、該前フランジ部からドアインナパネルに沿うように延びるドアインナ側壁部とを有するものとし、また前記ヒンジサイドリインホースのベルトライン部から前フレーム部内に位置する部分を、前フランジ部に続いて前側ドアミラー締結部に対向するよう延びる締結フランジ部と、ドアインナ側壁部から車外側に屈曲してドアアウタパネルに沿って後側ドアミラー締結部に対向するよう延びるドアアウタ側壁部とを有するものとし、さらにドアアウタ側壁部から車内側に屈曲してウインドフレームのドアインナパネルに沿うように延びるウインドフレーム側壁部を有するものとし、前記ヒンジサイドリインホースの前フレーム部に対応する部分に、ドアインナパネルに沿うように延びる補強部材を配設し、該補強部材とヒンジサイドリインホースとにより上,下が閉塞された閉断面ボックス部を形成した。
【0011】
このように構成したので、十分な剛性を有するヒンジサイドリインホースを、前側ドアミラー締結部及び後側ドアミラー締結部の補強に併用することができ、車体重量増を招くことなく、ドアミラー取付け剛性を確保することができる。
【0012】
また前側ドアミラー締結部を前フレーム部の外周フランジ部に、後側ドアミラー締結部を前フレーム部の断面内のドアアウタパネルに設定したので、前フレーム部の断面内での締結数を低減できる分だけ前後の断面幅を小さくすることができ、それだけウインドフレームを小型化できる。これにより運転席からの視認性を高めることができ、ひいては小型車への採用が可能となる。
【0013】
本発明では、ヒンジサイドリインホースの前フレーム部に対応する部分を補強部材で覆うとともに、該補強部材とヒンジサイドリインホースとで閉断面ボックス部を形成したので、必要最小限の大きさの補強部材を設けるだけでドアミラー取付け部の剛性をより一層高めることができ、従来のヒンジリインホース全体の板厚を大きくする場合に比べて車体重量を低減できる。
【0014】
また前記閉断面ボックス部が形成された前フレーム部がピラー剛性の向上に寄与することとなり、前記補強部材を設けるだけで車両衝突時の入力をピラーに効率よく分散させて伝達することができる。
【0015】
このように前記ドア本体のベルトライン部から前フレーム部分の剛性を高めることができることから、高速走行時の負圧により前フレーム部が車外側に吸い出されて倒れたり,捩じれたりするのを抑制でき、さらには室内への遮音性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1による自動車のフロントドアの車外側から見た側面図である。
【図2】前記フロントドアの車内側から見た側面図である。
【図3】前記フロントドアの断面図(図2のIII-III線断面図)である。
【図4】前記フロントドアの断面図(図2のIV-IV線断面図)である。
【図5】前記フロントドアの断面図(図2のV-V線断面図)である。
【図6】前記フロントドアの断面図(図2のVI-VI線断面図)である。
【図7】前記フロントドアの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1ないし図7は、本発明の実施例1による車両用ドアのドアミラー取付け構造を説明するための図である。
【0019】
図において、1は自動車のドア開口に配設されたフロントドアを示している。このフロントドア1は、図6に示すように、ドア開口の前縁部を形成するフロントピラー2に上下一対のヒンジ部材3,3を介して開閉自在に支持されている。
【0020】
この上,下のヒンジ部材3は、前記フロントピラー2にボルト締め固定されたピラーヒンジ部3aと、前記フロントドア1にボルト締め固定されたドアヒンジ部3bとをヒンジピン3cにより回動可能に連結した構造を有する。
【0021】
前記フロントピラー2は、断面ハット形状のピラーアウタパネル6と平板状のピラーインナパネル7との間に断面ハット形状のピラーリインホース8を配設し、これらの前,後フランジ部2a,2b同士を結合した概略構造を有する。
【0022】
前記フロントピラー2には、車両前後方向に延びる角筒状のエプロンメンバ10の後端部10aが結合されている。このエプロンメンバ10は、フロントドア1のベルトライン部Lと略同じ高さに配置され、かつ上側のヒンジ部材3に前後方向に重なるように配置されている。
【0023】
これにより車両衝突時の前方からの入力は、エプロンメンバ10からフロントピラー2に伝達され、該フロントピラー2の前半部を座屈変形させつつピラーリインホース8を介してフロントピラー1の上方,下方に分散して伝達するようになっている。
【0024】
前記フロントドア1は、ドアインナパネル13とドアアウタパネル14との外周フランジ部13a,14aの外縁部同士をヘミング結合してなる中空状のドア本体1aと、該ドア本体1aに一体形成されたウインドフレール1bとからなるプレスドアタイプのものである。前記ウインドフレーム1bは横断面大略矩形の筒状をなしている。前記ドア本体1aの上縁部が前記ベルトライン部Lとなっている。
【0025】
前記ドア本体1aとウインドフレーム1bとでウインド開口1cが形成されており、該ドア本体1a内には、前記ウインド開口1cを開閉する窓ガラス15が昇降可能に配設されている。
【0026】
前記ウインドフレーム1bは、ドア本体1aの前端部から略垂直をなすよう上方に延びる前フレーム部1dと、該前フレーム部1dの上端に続いて後斜め上方に延びる横フレーム部1eと、該横フレーム部1eの後端からドア本体1aの後端部に向かって下方に延びる後フレーム部1fとを有する。
【0027】
前記ウインドフレーム1bの内側開口1b′には、前記窓ガラス15を昇降自在に支持する断面コ字形状のサッシュ16が配設され、該サッシュ16はドア本体1a内に延びている。このサッシュ16には、ウインドフレーム1bと窓ガラス15との間をシールするガラスラン17が装着されている。
【0028】
前記ドアアウタパネル14は、大略平板状をなしている。また前記ドアインナパネル13は、外周フランジ部13aから車内側に屈曲して延びる前縦壁13bと、該前縦壁13bから後方に屈曲して延びる内側壁13cとを有する。この内側壁13cの車内側にはドアトリム18が配設されている。
【0029】
前記ウインドフレーム1bの前フレーム部1dには、ドアミラー20が取り付けられている。このドアミラー20は、前記前フレーム部1dにこれの外側面を覆うよう配設されたベース部23と、該ベース部23に配置された取付け基部20aと、該取付け基部20aに走行時位置と格納時位置との間で回動可能に支持されたミラー本体20bとを有し、該ミラー本体20bには反射鏡(不図示)が角度調整可能に配設されている。
【0030】
前記前フレーム部1dには、前後一対の前側,後側ドアミラー締結座a,bが形成され、該後側ドアミラー締結部bの上側には1つの上側ドアミラー締結座cが形成されている。
【0031】
前記ドアアウタパネル14及び後述するヒンジサイドリインホース25の各ドアミラー締結座a〜cに対応した部位には、それぞれボルト孔a′,b′,c′が形成され、前記ドアミラー20の取付け基部20aの各ボルト孔a′〜c′に対応した部位には、それぞれナット22,22,22がインサート成形されている。
【0032】
前記前側ドアミラー締結座aは、前記前フレーム部1dの外周フランジ部13a,14aに設定されており、後側ドアミラー締結座b及び上側ドアミラー締結座cは、前フレーム部1dの断面内の前記ドアアウタパネル14に設定されている。
【0033】
そして前記ドアミラー20は、各ボルト21を車内側からボルト孔a′〜c′に挿入し、取付け基部20aのナット22にねじ込むことにより前フレーム部1dに締結固定されており、詳細には以下の構造を有する。
【0034】
前記ドア本体1a内には、前述のヒンジサイドリインホース25が配設されている。このヒンジサイドリインホース25は、ドア本体1aの上下方向略全長に渡り、さらに該ドア本体1aから前記前フレーム部1d内を通って横フレーム部1eの中途部まで延びる長さを有する。
【0035】
前記ヒンジサイドリインホース25のドア本体1a内に位置する部分は、前記外周フランジ部13a,14aに沿って上下方向に延びる前フランジ部25a,25aと、該前フランジ部25aから前記ドアインナパネル13の前縦壁13b及び内側壁13cに沿って延びるドアインナ側壁部25bとを有する。
【0036】
このドアインナ側壁部25bには、上,下ヒンジ取付け座25h,25hが形成されており、該ヒンジ取付け座25hと前記ドアインナパネル13の前縦壁13bとの重ね合わせ部に前記ドアヒンジ部3bがボルト締め固定されている。
【0037】
前記ヒンジサイドリインホース25のドア本体1aのベルトライン部Lから前フレーム部1d内に位置する部分は、前記前フランジ部25aに続いて前側ドアミラー締結部aに対向するよう延びる締結フランジ部25cと、前記ドアインナ側壁部25bから車外側に屈曲して前記ドアアウタパネル14に沿って後側ドアミラー締結部b及び上側ドアミラー締結部cに対向するよう延びるドアアウタ側壁部25dとを有する。
【0038】
このようにして前記ドアミラー20は、ヒンジサイドリインホース25とともにドアアウタパネル14に共締め固定されている。
【0039】
前記ドアアウタ側壁部25dの後縁には車内側に屈曲して延びる後フランジ部25eが形成されており、該後フランジ部25eと前記ドアアウタパネル14とで内側開口1b′が形成されている。
【0040】
また前記ドアアウタ側壁部25dの後側ドアミラー締結部bと上側ドアミラー締結部cとの間の部分には、車内側に突出する凸部25fが形成されている。
【0041】
前記ヒンジサイドリインホース25の前フレーム部1dから横フレーム部1eの中途部に位置する部分は、前記ドアアウタ側壁部25dから車内側に屈曲して前記ドアインナパネル13に沿うように延びるウインドフレーム側壁部25gを有する。
【0042】
前記ヒンジサイドリインホース25の前フレーム部1dに対応する部分には、該ヒンジサイドリインホース25より板厚の厚い補強部材26が配設されている。
【0043】
この補強部材26は、前記ドアインナ側壁部25bからドアアウタ側壁部25dを含むウインドフレーム側壁部25gまでの間を覆うように配設されている。
【0044】
前記補強部材26は、前記締結フランジ部25cに対向する前縁部26aと、該前縁部26aから車内側に屈曲してドアインナパネル13の前縦壁13bに対向するよう延びる前壁部26bと、該前壁部26bから後方に屈曲して内側壁13cに対向するよう延びる内壁部26cと、該内壁部26cに続いて後方に突出する後縁部26dとを有する。
【0045】
前記補強部材26は、これの前縁部26a及び後縁部26dを前記ヒンジサイドリインホース25の締結フランジ部25c及び後フランジ部25eにスポット溶接することによりヒンジサイドリインホース25に結合されている(図2の×印参照)。前記内壁部26cの後側,上側ドアミラー締結座b,cに望む部分にはボルト挿通孔26e,26eが形成されている。
【0046】
前記補強部材26とヒンジサイドリインホース25とにより、上,下が閉塞された閉断面ボックス部27が形成されている。この閉断面ボックス部27は、前フレーム部1dの上下方向全長に渡る長さを有する。また閉断面ボックス部27内に後側,上側ドアミラー締結部b,cが位置している。
【0047】
本実施例によれば、ヒンジサイドリインホース25の、ドア本体1a内に位置する部分を、外周フランジ部13a,14aに沿って延びる前フランジ部25aと、該前フランジ部25aからドアインナパネル14に沿って延びるドアインナ側壁部25bとを有するものとし、また前記ヒンジサイドリインホース25のベルトライン部Lから前フレーム部1d内に位置する部分を、前フランジ部25aに続いて前側ドアミラー締結部aに対向するよう延びる締結フランジ部25cと、前記ドアインナ側壁部25bから車外側に屈曲してドアアウタパネル14に沿って後側,上側ドアミラー締結部b,cに対向するよう延びるドアアウタ側壁部25dとを有するものとし、さらに該ドアアウタ側壁部25dから車内側に屈曲して横フレーム部1eのドアインナパネル13に沿って延びるウインドフレーム側壁部25gを有するものとし、前記ヒンジサイドリインホース25の前フレーム部1dに対応する部分に該ヒンジサイドリインホース25より板厚の厚い補強部材26を配設し、該補強部材26と前記ヒンジサイドリインホース25とにより上,下が閉塞された閉断面ボックス部27を形成した。
【0048】
このように構成したので、ヒンジ部材3を取り付けるための十分な剛性を有するヒンジサイドリインホース25を有効利用して前側,後側ドアミラー締結部a,b及び上側ドアミラー締結部cの補強に併用することができ、車体重量増を招くことなく、ドアミラー取付け剛性を確保することができる。
【0049】
また前側ドアミラー締結部aを前フレーム部1dの外周フランジ部13a,14aに形成するとともに、後側ドアミラー締結部bを前フレーム部1dの閉断面ボックス部27内のドアアウタパネル14に設定したので、前フレーム部1dの閉断面ボックス部27での締結を1つにすることができ、それだけ前フレーム部1dの前後の断面幅を小さくすることができ、ウインドフレーム1b全体を小型化できる。これにより運転席からの視認性を高めることができ、ひいては小型車への採用が可能となる。
【0050】
本実施例では、前記ヒンジサイドリインホース25の前フレーム部1dに対応する部分に補強部材26を配設し、該補強部材26とヒンジサイドリインホース25とで閉断面ボックス部27を形成したので、前フレーム部1dの上下長さに対応した必要最小限の大きさの補強部材26を設けるだけでドアミラー取付け部の剛性をより一層高めることができ、従来のヒンジリインホース全体の板厚を大きくする場合に比べて車体重量を低減できる。
【0051】
また前記閉断面ボックス部27が形成された前フレーム部1dがフロントピラー12の剛性の向上に寄与することとなり、前記補強部材26を設けるだけで車両衝突時の入力をフロントピラー2に効率よく分散させて伝達することができる。
【0052】
このように本実施例では、前記ドア本体1aのベルトライン部Lから前フレーム部1dにおける剛性を高めることができることから、高速走行時の負圧により前フレーム部1dが車外側に吸い出されて倒れたり,捩じれたりするのを抑制でき、さらには室内への遮音性を高めることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 フロントドア
1a ドア本体
1b ウインドフレーム
1d 前フレーム部
13 ドアインナパネル
13a 外周フランジ部
14 ドアアウタパネル
14a 外周フランジ部
20 ドアミラー
25 ヒンジサイドリインホース
25a 前フランジ部
25b ドアインナ側壁部
25c 締結フランジ部
25d ドアアウタ側壁部
25g ウインドフレーム側壁部
26 補強部材
27 閉断面ボックス部
a 前側ドアミラー締結座
b 後側ドアミラー締結座
L ベルトライン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアインナパネルとドアアウタパネルとの外周フランジ部同士を結合してなる中空状のドア本体と、該ドア本体に一体形成されたウインドフレームとを有し、
該ウインドフレームの前フレーム部に少なくとも前,後一対の前側,後側ドアミラー締結座を設け、
該前側ドアミラー締結座を前記外周フランジ部に設定するとともに、前記後側ドアミラー締結座を前フレーム部の断面内の前記ドアアウタパネルに設定した車両用ドアのドアミラー取付け構造であって、
前記ドア本体内には、該ドア本体の上下方向略全長に渡り、かつ前記前フレーム部内に延びるヒンジサイドリインホースが配設され、
該ヒンジサイドリインホースの前記ドア本体内に位置する部分は、前記外周フランジ部に沿うように延びる前フランジ部と、該前フランジ部から前記ドアインナパネルに沿うように延びるドアインナ側壁部とを有し、
前記ヒンジサイドリインホースの前記ドア本体のベルトライン部から前記前フレーム部内に位置する部分は、前記前フランジ部に続いて前記前側ドアミラー締結部に対向するよう延びる締結フランジ部と、前記ドアインナ側壁部から車外側に屈曲して前記ドアアウタパネルに沿って前記後側ドアミラー締結部に対向するよう延びるドアアウタ側壁部と、さらに該ドアアウタ側壁部から車内側に屈曲して前記ウインドフレームのドアインナパネルに沿うように延びるウインドフレーム側壁部とを有し、
前記ヒンジサイドリインホースの前フレーム部に対応する部分には、前記ドアインナパネルに沿うように延びる補強部材が配設され、該補強部材と前記ヒンジサイドリインホースとにより上,下が閉塞された閉断面ボックス部を形成した
ことを特徴とする車両用ドアのドアミラー取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−171569(P2012−171569A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38080(P2011−38080)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】