説明

車両用ドアトリム

【課題】アームレストに対して上方から荷重が作用した際の剛性を高くするとともに、側突時には容易に変形可能なアームレストを備えた車両用ドアトリムを提供する。
【解決手段】トリムボード20と、トリムボード20に形成されたアームレスト取付用開口部23に組み付けられるアームレスト40と、を備えたドアトリム11であって、トリムボード20には、アームレスト40を支持する立設片30が設けられ、アームレスト40には、立設片30に支持される突出片50が設けられ、立設片30は、突出片50を車室外側に案内可能な構成とされることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアトリムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアトリムには、乗員が腕を載せるためのアームレストが設けられている。このようなアームレストは、車両の衝突時(主に側面からの側突時)には、車幅方向において、容易に変形する(例えば、潰れる)ことが要求される。これは、側突時に乗員がアームレストに衝突した際に、アームレストが容易に変形することで、乗員が受ける衝撃を小さくするためである。側突時に容易に変形する構成としたアームレストの一例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のアームレストにおいては、アームレストを構成する壁部に切欠溝部が形成されており、側突時にアームレストが容易に変形する構成としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−006123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成においては、アームレストを構成する壁部に切欠溝部を形成することで、アームレストに腕が載置された場合など、アームレストに上方から荷重が作用した際の剛性の低下が懸念される。また、アームレストが荷重を繰り返し受けることで、応力が集中しやすい切欠溝部付近においては、白化が生じる事態も懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、アームレストに対して上方から荷重が作用した際の剛性を高くするとともに、側突時には容易に変形可能なアームレストを備えた車両用ドアトリムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用ドアトリムは、トリムボードと、前記トリムボードに形成されたアームレスト取付用開口部に組み付けられるアームレストと、を備えた車両用ドアトリムであって、前記トリムボードには、前記アームレストを支持する支持部が設けられ、前記アームレストには、前記支持部に支持される被支持部が設けられ、前記支持部は、前記被支持部を車室外側に案内可能な構成とされることに特徴を有する。
【0007】
本発明においては、アームレストの被支持部が、トリムボードの支持部に支持される構成とされる。これにより、アームレストに上方から荷重が作用した際には、支持部によって被支持部を支持することができ、アームレストの剛性をより高くすることができる。
【0008】
さらに、支持部は、被支持部を車室外側に案内可能な構成とされる。これにより、側突時において、アームレストが車室内側から荷重を受け、アームレストがトリムボードに対して車室外側に相対移動する際には、被支持部が支持部に対して車室外側に案内されることで、被支持部が支持部に対して、車室外側へ相対移動することとなる。つまり、被支持部の車室外側への移動が規制され、アームレストの変形を妨げる事態を抑制できる。このため、側突時には、アームレストを確実に変形させることができ、側突時に乗客が受ける衝撃を軽減することができる。
【0009】
上記構成において、前記被支持部は、前記アームレストにおける車両前後方向の両端部のうち、少なくとも一端部から突出される突出部とされ、前記支持部は、前記トリムボードから、車室外側に向かって立設される立設部とされ、前記立設部は、前記突出部を支持するものとすることができる。
【0010】
被支持部をアームレストにおける車両前後方向の一端部から突出される突出部とし、支持部をトリムボードにおける車室外側の面から、車室外側に向かって立設される立設部とすることで、立設部が突出部を車室外側に案内可能な構成とすることができる。このように、アームレストの車両前後方向の一端部に突出部及び立設部を設けるといった比較的簡易な構成で、被支持部及び支持部を実現することができ、好適である。また、応力が集中しやすいアームレストの車両前後方向の一端部を支持できる。
【0011】
また、前記被支持部は、前記アームレストにおける車両前後方向の両端部にそれぞれ設けられており、前記支持部は、前記被支持部の各々に対応して、前記アームレスト取付用開口部の周端部に設けられているものとすることができる。
【0012】
各支持部によって、アームレストにおいて応力が集中しやすい車両前後方向の両端部に設けられた各被支持部を支持可能とすることで、アームレストをより安定して支持することができる。また、側突時には、各支持部によって各被支持部が車室外側にそれぞれ案内される。これにより、アームレストを、その車両前後方向の全長に亘って、確実に変形させることができる。
【0013】
また、前記アームレストのアーム載置面の車幅方向における一端には、前記トリムボードの延設面に沿って延びる板部が設けられ、前記支持部は、前記トリムボードから、車室外側に向かって突設される突設部とされ、前記板部は、前記突設部に支持される前記被支持部であるものとすることができる。
【0014】
また、前記アームレストのアーム載置面の車幅方向における両端には、前記トリムボードの延設面に沿って延びる延設部がそれぞれ設けられ、前記延設部の各々は、前記トリムボードにおける前記アームレスト取付用開口部の周端部に対して、それぞれ取り付けられているものとすることができる。
【0015】
このように、各延設部がトリムボードにおけるアームレスト取付用開口部の周端部に対して、それぞれ取り付けられている構成とすれば、側突の初期段階においては、アームレストがトリムボードに対して車室外側に相対移動する事態を抑制できる。これにより、側突時の初期荷重、つまり、乗員とアームレストとが衝突した瞬間に作用する荷重をアームレストひいては、トリムボード全体で受けることができ、乗員への衝撃をより軽減することができる。
【0016】
そして、側突の初期段階以降においては、アームレストに作用する荷重が所定荷重を超えた時点で、延設部が変形する。これに伴って、被支持部が支持部に対して車室外側に案内され、被支持部が支持部に対して相対的に車室外側に移動することとなる。つまり、側突の初期段階以降においては、被支持部の車室外側への移動が規制される事態を抑制でき、アームレストを確実に変形させることができるため、側突時の衝撃を軽減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アームレストに対して上方から荷重が作用した際の剛性を高くするとともに、側突時には容易に変形可能なアームレストを備えた車両用ドアトリムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両用ドアトリムを示す斜視図
【図2】図1の車両用ドアトリムを示す分解斜視図
【図3】図1のアームレストを車室外側から視た斜視図
【図4】突出片及び立設片を示す断面図(図3のA−A線で切断した図)
【図5】本発明の実施形態2に係るアームレストを車室外側から視た斜視図
【図6】図5のアームレストを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。本実施形態では、車両ドアに取り付けられるドアトリム11(車両用ドアトリム)を例示する。図1は、ドアトリム11を示す斜視図である。図2は、ドアトリム11を示す分解斜視図である。
【0020】
ドアトリム11は、車体パネル(図示せず)の車室内側に対して、例えばクリップ(図示せず)などを介して取り付けられている。ドアトリム11は、図1及び図2に示すように、トリムボード20、スピーカ12、スイッチベース13、EA材14、ボード部材15、アームレスト40を備えている。トリムボード20は、例えば、合成樹脂材料、あるいは合成樹脂材料に天然繊維(ケナフなど)を混合した材料等を板状に成形することで構成されている。
【0021】
スイッチベース13は、トリムボード20の段部25に形成されたスイッチベース取付用開口部21に取り付けられている。なお、スイッチベース13には、スイッチ操作部(図示せず)を収容可能なスイッチ収容部13A及びプルハンドル部13Bが設けられている。EA(Energy Absorption)材14は、トリムボード20の裏面(車室外側の面)に取り付けられるもので、車両の衝突時における衝撃を吸収可能な構成となっている。
【0022】
ボード部材15は、オーナメント16及びドアポケット17を有しており、トリムボード20に形成されたボード部材取付用開口部22に対して、車室外側から取り付けられている。また、ボード部材15には、インサイドドアハンドル(図示せず)を収容するためのインサイドドアハンドル取付用開口部15Aと、プルハンドル部13Bを取付可能なプルハンドル取付用開口部15Bが形成されている。
【0023】
次にアームレスト40の構成について説明する。アームレスト40は、全体として、車両前後方向(図1の左右方向)に延びる形状をなしており、トリムボード20の段部25に形成されたアームレスト取付用開口部23に嵌合する形で車室外側から組み付けられている。なお、アームレスト40は、スイッチベース13に対して車両後側に配されている。
【0024】
アームレスト40は、図1及び図3に示すように、水平方向に延びるとともに平面視略方形状をなす本体部41を備えている。本体部41の上面は、乗員が例えば腕や肘などを載置するためのアーム載置面41Aとされる。また、アームレスト40は、図3に示すように、本体部41(アーム載置面41A)における車室外側の周端(車幅方向における一端)からトリムボード20の車室外側の面20B(トリムボードの延設面)に沿って上方に延びる上板部42と、本体部41における車室内側の周端(車幅方向における他端)からトリムボード20の車室外側の面20B(トリムボードの延設面)に沿って下方に延びる下板部43(板部、被支持部)と、を備えている。
【0025】
アームレスト40がトリムボード20に組み付けられた状態では、図1に示すように、アームレスト40のアーム載置面41A及び下板部43の表面が、トリムボード20の表面とそれぞれ面一をなす構成となっている。また、本体部41における車両前後方向における両端には、図3に示すように、下方に延びる側壁部45A,45Bがそれぞれ形成されている。
【0026】
なお、本実施形態のアームレスト40は、本体部41の車幅方向の長さL1が、車両後方に向かうにつれて小さくなる形状をなしている。つまり、アームレスト40を構成する側壁部45A,45Bのうち、車両前側の側壁部45Aに比して、車両後側の側壁部45Bの車幅方向の長さが小さいものとされる。
【0027】
トリムボード20の車室外側の面20Bにおいてアームレスト取付用開口部23の周端部には、車室外側に向かって突出する取付用ボス24が複数設けられている。アームレスト40の上板部42及び下板部43(アームレストのアーム載置面の車幅方向における両端)において、各取付用ボス24に対応する箇所には、延設部46がそれぞれ形成されている。
【0028】
各延設部46は、トリムボード20の車室外側の面20B(トリムボードの延設面)に沿って延びる形状をなしている。各延設部46には、車幅方向に貫通された貫通孔46Aが形成されている。各貫通孔46Aには、図3に示すように、各取付用ボス24が挿通可能となっている。
【0029】
各取付用ボス24が各貫通孔46Aに挿通された後、超音波溶着などの溶着手段によって、各取付用ボス24の先端部は溶着(熱カシメ)される。これにより、延設部46の各々が、トリムボード20におけるアームレスト取付用開口部23の周端部に対して、それぞれ取り付けられる構成となっている。
【0030】
アームレスト40における車両前側の側壁部45A(アームレストにおける車両前後方向の両端部のうち、一端部)には、車両前側(図3の右側、アームレスト40の外側)に突出される突出片50(被支持部、突出部)が形成されている。一方、トリムボード20には、突出片50を支持可能な立設片30(支持部、立設部)が形成されている。
【0031】
トリムボード20の段部25における下面25Aには、図3及び図4に示すように、断面視略U字状をなすリブ27が下方に突き出す形で形成されている。立設片30は、図4に示すように、リブ27における車室外側の面27A(トリムボードにおける車室外側の面)から、車室外側に向けて立設されている。
【0032】
立設片30は、図3及び図4に示すように、突出片50の下方に配されており、水平方向に沿って延びる第1片部31と、鉛直方向に沿って延びる第2片部32を主体に構成されている。なお、図4においては、第2片部32を2点鎖線で図示してある。
【0033】
突出片50は、図3に示すように、側壁部45Aにおいて、車幅方向の中央部に配されている。また、突出片50は、図4に示すように、上方に開口された略U形状をなしている。これにより、突出片50が例えば、平板状をなしている構成と比較して、その剛性を高くすることができる。
【0034】
突出片50の下面50Aは、立設片30(第1片部31及び第2片部32)の上面31A,32Aに当接されている。これにより、第1片部31の上面31A及び第2片部32の上面32A(立設部の上面)によって、突出片50の下面50A(突出部の下面)が支持される構成となっている。
【0035】
また、アームレスト40が車室内側(側方)から荷重を受け、ドアトリム11に対して、アームレスト40が車室外側に相対移動する際には、立設片30の上面31A,32Aに沿って突出片50が車室外側に移動可能な構成となっている。つまり、立設片30は、突出片50を車室外側(図4の右側)に案内可能な構成とされる。
【0036】
また、図3に示すように、トリムボード20の車室外側の面20Bにおいて、下板部43の下方には、車室外側に向かって突き出す下板支持部26(突設部、支持部)が形成されている。下板支持部26は、アームレスト40が上方から荷重を受けた際に、下板部43の下面に当接することで下板部43を支持可能な構成となっている。また、アームレスト40が車室内側(側方)から荷重を受け、ドアトリム11に対してアームレスト40が車室外側に相対移動する際には、下板支持部26は、下板部43を車室外側に案内可能な構成とされる。
【0037】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態においては、アームレスト40の突出片50(被支持部)が、トリムボード20の立設片30(支持部)に支持可能な構成とされる。これにより、例えば、アームレスト40のアーム載置面41Aに乗員が肘を載せた場合など、アームレスト40に上方から荷重が作用した際に、立設片30によって突出片50を支持することができ、アームレスト40の剛性をより高くすることができる。
【0038】
さらに、立設片30は、突出片50を車室外側に案内可能な構成とされる。これにより、側突時において、アームレスト40が車室内側から荷重を受けた際には、アームレスト40がトリムボード20に対して車室外側に相対移動、ひいては、突出片50が立設片30に対して、車室外側へ相対移動することとなる。なお、図4においては、立設片30に対して、車室外側へ相対移動した状態の突出片50を2点鎖線で示している。
【0039】
その結果、突出片50が立設片30の上方から外れた位置に変位することとなる。つまり、本実施形態においては、突出片50の立設片30に対する変位が規制されて、アームレスト40の変形が妨げられる事態を抑制できる。このため、側突時には、アームレストを確実に変形させることができ、側突時に乗客が受ける衝撃を軽減することができる。
【0040】
仮に、側突時に、突出片50が立設片30に支持された状態が維持され、立設片30によって突出片50の車室外側への移動が規制されてしまうと、例えば、アームレスト40の本体部41が、本体部41の裏側に形成されたスリットS(車両前後方向に延びるスリット、図3参照)を起点に中折れすることが妨げられ、アームレスト40が変形しにくくなる。この点、本実施形態では、側突時において、突出片50が立設片30に対して車室外側に相対移動し、立設片30の上方から外れた位置に変位することができるため、アームレスト40の変形を妨げる事態を抑制できる。
【0041】
なお、本実施形態のアームレスト40は、本体部41の車幅方向の長さL1が、車両後方に向かうにつれて小さくなる形状をなしている。このような構成では、アームレスト40が上方から荷重を受けた際には、車幅方向の長さL1が相対的に大きい車両前側が撓みやすくなる。
【0042】
このため、アームレスト40を構成する側壁部45A,45Bのうち、車両前側に位置する側壁部45Aに突出片50を設ける構成とした。このように、突出片50をアームレスト40の車両前後方向におけるいずれか一方にのみ設ける場合は、アームレスト40において車幅方向の長さL1が大きい側の端部、すなわち、上方からの荷重に対して、より撓みやすい側の端部に突出片50(被支持部)を設けることで、アームレスト40の剛性をより高くすることができ、好適である。
【0043】
上記構成において、突出片50は、アームレスト40における車両前後方向の両端部のうち、少なくとも一端部から突出されるものとされ、立設片30は、リブ27における車室外側の面27A(トリムボード20における車室外側の面)から、車室外側に向かって立設されるものとされ、立設片30の上面31A,32Aは、突出片50の下面50Aを支持可能な構成とされる。
【0044】
被支持部をアームレスト40における車両前後方向の一端部から突出される突出片50とし、支持部をトリムボード20における車室外側の面から、車室外側に向かって立設される立設片30とすることで、立設片30が突出片50を車室外側に案内可能な構成とすることができる。このように、アームレスト40の車両前後方向の一端部に突出片50及び立設片30を設けるといった比較的簡易な構成で、被支持部及び支持部を実現することができ、好適である。また、応力が集中しやすいアームレスト40の車両前後方向の一端部を支持することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、アームレスト40の側壁部45Aから、突出片50を突出させ、この突出片50を立設片30によって支持可能とする構成とした。このような構成とすれば、例えば、側壁部45Aを立設片30によって直接支持する構成と比較して、トリムボード20にアームレスト40を組み付ける際に、アームレスト40の側壁部45Aと立設片30とが干渉する事態を抑制でき、組み付けに係る作業性を良好なものとすることができる。
【0046】
また、アームレスト40のアーム載置面41Aの車幅方向における一端には、トリムボード20の車室外側の面20B(トリムボードの延設面)に沿って延びる下板部43が設けられ、トリムボード20から、車室外側に向かって突設される下板支持部26(突設部)を有し、下板部43は、下板支持部26に支持される構成とされる。
【0047】
また、アームレスト40のアーム載置面41Aの車幅方向における両端には、トリムボード20の車室外側の面20B(トリムボードの延設面)に沿って延びる延設部46がそれぞれ設けられ、延設部46の各々は、トリムボード20におけるアームレスト取付用開口部23の周端部に設けられた取付用ボス24の各々に対して、それぞれ取り付けられている。
【0048】
このように、各延設部46がトリムボード20の各取付用ボス24に対して、それぞれ取り付けられている構成とすれば、側突の初期段階においては、アームレスト40がトリムボード20に対して車室外側に相対移動する事態を抑制できる。これにより、側突時の初期荷重、つまり、乗員とアームレストとが衝突した瞬間に作用する荷重をアームレスト40ひいては、トリムボード20全体で受けることができ、乗員への衝撃をより軽減することができる。
【0049】
そして、側突の初期段階以降においては、アームレスト40に作用する荷重が所定荷重を超えた時点で、延設部46が変形する。これに伴って、突出片50が立設片30に対して車室外側に案内され、突出片50が立設片30に対して相対的に車室外側に移動することとなる。つまり、側突の初期段階以降においては、突出片50の車室外側への移動が規制される事態を抑制でき、アームレスト40を確実に変形させることができるため、側突時の衝撃を軽減することができる。
【0050】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5及び図6によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態においては、アームレストの構成が上記実施形態とは相違する。具体的には、上記実施形態においては、突出片50がアームレスト40における車両前側の端部(車両前後方向の一端部)に設けられた構成を例示した。
【0051】
これに対して、本実施形態のアームレスト140においては、図5及び図6に示すように、突出片50(被支持部)が車両前後方向の両端部(側壁部45A,145B)にそれぞれ設けられている。また、トリムボード20におけるアームレスト取付用開口部23の周端部には、各突出片50に対応して、立設片30がそれぞれ設けられている。これにより、各立設片30によって各突出片50をそれぞれ支持可能な構成となっている。
【0052】
なお、本実施形態においては、アームレスト140における車幅方向の長さが、車両前後方向において同一なものとされる。このため、上板部142及び側壁部145Bの形状が、上記実施形態の上板部42及び側壁部45Bの形状とは異なっている。具体的には、上板部142は車両前後方向に沿って延びる形状をなしており、側壁部145Bは、車幅方向において、側壁部45Aと同じ長さとなっている。
【0053】
本実施形態のように、各立設片30によって、アームレスト140における応力が集中しやすい車両前後方向の両端部に設けられた各突出片50を支持可能とすることで、アームレスト140をより安定して支持することができる。また、側突時には、各立設片30によって各突出片50が車室外側にそれぞれ案内される。これにより、アームレスト140を、その車両前後方向の全長に亘って、確実に変形させることができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0055】
(1)上記実施形態においては、被支持部として突出片50、下板部43を例示し、支持部として立設片30、下板支持部26を例示したが、被支持部及び支持部の構成は、これらに限定されず適宜変更可能である。例えば、被支持部及び支持部を柱状などとしてもよい。また、アームレスト40を構成する壁部(側壁部45Aなど)を被支持部とし、立設片によってこれを支持する構成としてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態においては、突出片50と立設片30とが当接している構成を例示したが、これに限定されない。立設片30は、突出片50を支持する構成であればよい。例えば、突出片50と立設片30との間にわずかに隙間が空いていてもよく、アームレスト40に対して上方から荷重が作用し、突出片50が下方に変位することで、立設片30に当接する結果、支持される構成であってもよい。
【0057】
(3)アームレスト40,140の形状は、上記実施形態で例示した形状に限定されず、適宜変更可能である。
【0058】
(4)上記実施形態においては、アームレスト40の延設部46をトリムボード20のアームレスト取付用開口部23の周端部に取り付ける手段として、熱カシメを例示したが、これに限定されない。例えば、延設部46をビスなどでアームレスト取付用開口部23の周端部に取り付ける構成としてもよい。また、トリムボード20に対するアームレスト40の取付手段として、例えば、爪嵌合など様々な取付手段を用いることができる。
【0059】
(5)被支持部は、上述した突出片50のように、アームレスト40と一体的に形成されたものに限定されず、アームレスト40と別部品であってもよい。また、支持部は、上述した立設片30のように、トリムボード20と一体的に形成されたものに限定されず、トリムボード20と別部品であってもよい。
【0060】
(6)上記実施形態1では、アームレスト40を変形させるために、スリットSを設ける構成としたが、この構成に限らず、本体部40の基材厚さを薄くしたり、本体部40に開口部を設けることで、アームレスト40を変形しやすくする構成としてもよい。また、上記実施形態2のように、本体部40の裏面に何も形成せず、アームレスト40を側突時に変形させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
11…ドアトリム(車両用ドアトリム)、20…トリムボード、20B…車室外側の面(トリムボードの延設面)、23…アームレスト取付用開口部、26…下板支持部(突設部)、
27A…リブにおける車室外側の面(トリムボードにおける車室外側の面)、30…立設片(支持部、立設部)、31A…立設片の上面(立設部の上面)、32A…立設片の上面(立設部の上面)、40,140…アームレスト、41A…アーム載置面、43…下板部(板部)、
45A…側壁部(アームレストにおける車両前後方向の両端部のうちの一端部)、46…延設部、50…突出片(被支持部、突出部)、50A…突出片の下面(突出部の下面)、145B…側壁部(アームレストにおける車両前後方向の両端部のうちの他端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリムボードと、前記トリムボードに形成されたアームレスト取付用開口部に組み付けられるアームレストと、を備えた車両用ドアトリムであって、
前記トリムボードには、前記アームレストを支持する支持部が設けられ、
前記アームレストには、前記支持部に支持される被支持部が設けられ、
前記支持部は、前記被支持部を車室外側に案内可能な構成とされることを特徴とする車両用ドアトリム。
【請求項2】
前記被支持部は、前記アームレストにおける車両前後方向の両端部のうち、少なくとも一端部から突出される突出部とされ、
前記支持部は、前記トリムボードから、車室外側に向かって立設される立設部とされ、
前記立設部は、前記突出部を支持することを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアトリム。
【請求項3】
前記被支持部は、前記アームレストにおける車両前後方向の両端部にそれぞれ設けられており、
前記支持部は、前記被支持部の各々に対応して、前記アームレスト取付用開口部の周端部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ドアトリム。
【請求項4】
前記アームレストのアーム載置面の車幅方向における一端には、前記トリムボードの延設面に沿って延びる板部が設けられ、
前記支持部は、前記トリムボードから、車室外側に向かって突設される突設部とされ、
前記板部は、前記突設部に支持される前記被支持部であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアトリム。
【請求項5】
前記アームレストのアーム載置面の車幅方向における両端には、前記トリムボードの延設面に沿って延びる延設部がそれぞれ設けられ、
前記延設部の各々は、前記トリムボードにおける前記アームレスト取付用開口部の周端部に対して、それぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用ドアトリム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232634(P2012−232634A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101298(P2011−101298)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】