説明

車両用ドアラッチ装置

【課題】ボディ及びケーシング間の防水性を向上させる。
【解決手段】ドアラッチ装置1は、インナパネルに固定される噛合ユニット2と、噛合ユニット2に取付けられる操作ユニット3を備える。操作ユニット3はケーシング10を有している。ケーシング10は、ボディ6の上面、前面及び車外側側面を覆うボディ覆い部101を形成しており、ボディ6の上面を覆う上壁101aに、ケーシング10の上部から流下してくる水のボディ6の第1露出面及び第2露出面62がある方への流下を阻止可能な防水壁部103を一体的に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水性の向上を図った車両用ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアラッチ装置においては、例えば、特許文献1に記載されているように、車体側のストライカと係合可能なラッチ及び当該ラッチに係合可能なラチェットを含む噛合手段を収容するボディと、モータ及び当該モータの駆動により噛合手段の係合状態を解除可能とするアンロック状態及び解除不能とするロック状態に切替可能な操作構成部品を収容したケーシングとを備える。ボディは、ドアの閉鎖時にストライカが進入するストライカ進入溝を形成し、ケーシングは、ボディのストライカ進入溝が設けられた面以外の面を覆うようにボディに取り付けられ、モータ、検知スイッチ等の電気部品及び可動部分への雨水の付着を防止する。
【0003】
さらに、ボディ及びケーシング間の防水性を高めるため、ケーシングから露出しているボディの露出面にはシール部材が貼着される。このシール部材は、ドアラッチ装置がドア内に取り付けられた状態において、ボディの露出面及びドアのインナパネル間に密接することで、ボディの露出面及びケーシング間の隙間を閉塞する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−37497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような従来の車両用ドアラッチ装置においては、ボディの露出面及びケーシング間の隙間をシール部材により閉塞しているものの、ドア内に浸入した雨水がケーシングの表面を伝わってシール部材上に滞留し、冬期においては滞留した雨水が凍結する虞がある。このような状態が発生すると、シール部材にしみ込んだ雨水が溶けると、その雨水がボディの露出面側へ流下してボディ及びーシング間の隙間に浸入する虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、雨水のボディの露出面及びケーシング間の隙間への流下を阻止することによって、ボディ及びケーシング間の防水性を向上させた車両用ドアラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明における技術的手段は、ドア内に固定され、前記ドアのインナパネルに対向する第1露出面及び当該第1露出面に略直角な第2露出面に車体側のストライカが進入可能なストライカ進入溝を有するボディと、前記ボディ内に設けられ、前記ストライカ進入溝に進入する前記ストライカに係合可能な噛合手段と、前記ボディに取り付けられ、前記ボディの第1、2露出面を露出させて前記第1、2露出面以外の領域を覆うと共に、前記第1露出面に平行な面を有して車内側を向く側が開口する部品収容部を有するケーシングと、前記ケーシングの部品収容部に設けられ、電気駆動源により前記噛合手段の係合状態を解除可能とするアンロック状態及び解除不能とするロック状態に切替可能な操作構成部品と、前記ケーシングに固定され、前記部品収容部を閉塞するカバーとを備え、前記ケーシングにおける前記ボディの上面を覆う上壁に、前記ケーシングの上部から流下してくる水の前記ボディの第1、2露出面がある方への流下を阻止可能な防水壁部を一体的に設けることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記カバーに、前記カバーから露出している前記ボディの第1露出面よりも上方にあって、前記カバーの上部から流下してくる水を前記第2露出面へ向かう方向と反対方向へ誘導し得るように傾斜する誘導庇部を設ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ケーシングに一体的に設けた防水壁部によって、ケーシングの上部から流下してくる雨水がボディの露出面及びケーシング間の隙間へ流下しないように阻止されるため、ボディ及びケーシング間の防水性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係わるドアラッチ装置の車内側の後方斜視図である。
【図2】同じくドアラッチ装置の車外側の前方斜視図である。
【図3】同じくドアラッチ装置の車外側の一部分解後方斜視図である。
【図4】同じくドアラッチ装置の後面図である。
【図5】同じくドアラッチ装置の車内側側面図である。
【図6】同じくドアラッチ装置の車外側側面図である。
【図7】同じくドアラッチ装置の分解斜視図である。
【図8】ロック状態における操作ユニットの車内側側面図である。
【図9】アンロック状態における操作ユニットの車内側側面図である。
【図10】ドアラッチ装置の車外側の要部拡大分解前方斜視図である。
【図11】ドアラッチ装置の車内側の要部拡大分解前方斜視図である。
【図12】ドアラッチ装置の車内側の要部拡大前方側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、図4における左方を「車内側」とし、右方を「車外側」とし、図面奥側を「前方」とし、図面手前側を「後方」とする。
【0012】
図1〜図7に示すように、本実施形態に係わるドアラッチ装置1は、フロントドア(以下、ドアと記す)における車内側を形成するインナパネルDにおける後端パネルD1の内面に複数のボルト7により固定される噛合ユニット2と、噛合ユニット2に取り付けられる操作ユニット3とを備える。
【0013】
噛合ユニット2は、複数のボルト7により後端パネルD1に固定される合成樹脂製のボディ本体部4及び当該ボディ本体部4の後側に固定される金属製のカバープレート部5を含むボディ6を備える。
【0014】
ボディ本体部4及びカバープレート5間の収容空間部、すなわちボディ6内には、車体側に固着されたストライカ(図示略)と係合することによってドアを閉鎖状態に保持可能な噛合手段が収容され、インナパネルDの内面に対向する車内側側面(本発明に係わる第1露出面)61及び車内側側面61に略直角に連続し後端パネルD1の内面に対向する後面(本発明に係わる第2露出面)62には、ドアの閉鎖時にストライカが進入可能なストライカ進入溝63が設けられる。
【0015】
噛合手段は、ボディ6内に前後方向の軸81により枢支されストライカと係合可能なラッチ8と、ボディ6内に前後方向を向く軸91により枢支されラッチ8に係脱可能なラチェット9とを含み、ドアが閉じられると、ストライカがストライカ進入溝63に進入してラッチ8に係合すると共に、ラチェット9がラッチ8に対してその開き方向への回動を阻止する方向に係合することによって、ドアを閉鎖状態に拘束する。また、ボディ6の前面側には、ラチェット9と一体的に回動可能なオープンレバー92が支持される。
【0016】
操作ユニット3は、ボディ6に固定される平面視略L字状の合成樹脂製のケーシング10と、ケーシング10における後述の部品収容部102内に設置される後述の操作構成部品と、ケーシング10の部品収容部102を閉塞する合成樹脂製のカバー11と、ケーシング10内への雨水浸入を防止するための合成樹脂製のウォータプルーフカバー12とを備える。
【0017】
ケーシング10は、ボディ6の車内側側面61及び後面62を露出させてボディ6の上面、前面及び車外側側面(本発明に係わる第1、2露出面以外の面)を覆うボディ覆い部101と、ボディ6の車内側側面61に平行な面を有して車内側を向く側が開口する部品収容部102とを一体的に形成してなり、部品収容部102内に設置される操作構成部品は、カバー11によって閉塞される。
【0018】
主に図7〜図9に示されるように、ケーシング10に設置される操作構成部品は、ドアの車外側(アウタパネル)に設けられるキーシリンダ(図示略)の操作に基づいて作動可能なキーレバー13及びサブキーレバー14、外部電源(図示略)及び外部の制御回路装置(図示略)に電気的に接続される接続端子群15、正逆回転可能なモータ16、モータ16の回転軸に止着されたウォーム161に噛合するウォームホイール17、各種操作によってロック位置及びアンロック位置に回動可能なロックレバー18及びサブロックレバー19、サブロックレバー19の回動位置を検出可能な検出スイッチ20、サブキーレバー14の作動を検出可能な検出スイッチ21、ロックレバー18と共に作動可能な第1、2リフトレバー23、24、ドアの車内側に設けられるインサイドハンドル(図示略)の操作に基づいて作動可能なインサイドレバー25等を含む。さらに、ケーシング10の下部には、ドアの車外側に設けられるアウトサイドハンドル(図示略)の操作に基づいて作動可能なアウトサイドレバー22が設けられる。なお、図8は、ケーシング10の部品収容部102内に設置される操作構成部品を明示するため、カバー11を省略した状態を示す。
【0019】
キーレバー13は、ケーシング10の部品収容部102における最上部に設けられ車外側へ円筒状に突出する支持部1021内に回動可能に支持され、キーシリンダのキー操作に基づいて、図8、9に示すニュートラル位置からロック方向(反時計方向)及びアンロック方向(時計方向)へ所定角度回動する。
【0020】
サブキーレバー14、ウォームホイール17、ロックレバー18、サブロックレバー19及びインサイドレバー25は、部品収容部102に設けられた車内方向を向く支軸102a、102b、102c、102a及び102dにそれぞれ回動可能に支持され、また、アウトサイドレバー22は、ボディ覆い部101の下部に設けられた後方を向く支軸102eに回動可能に支持される。
【0021】
図8、9に示されるように、キーレバー13の下部の突部131は、サブキーレバー14の長孔141に連結される。これにより、キーレバー13の回動は、サブキーレバー14に伝達され、サブキーレバー14はキーレバー13と共に図8、9に示すニュートラル位置からロック方向(時計方向)及びアンロック方向(反時計方向)へ回動する。
【0022】
サブロックレバー19は、サブキーレバー14と同軸上に回動可能に支持され、サブキーレバー14がキーレバー13と共に中立位置からロック方向またはアンロック方向へ回動すると、サブキーレバー14の係合部142または143がサブロックレバー19の突部191に当接することによって、図8に示すロック位置または図9に示すアンロック位置に回動する。なお、サブロックレバー19がロックレバー18と共にロック位置及びアンロック位置へ作動した場合には、サブロックレバー19の作動は、ニュートラル位置にあるサブキーレバー14及びキーレバー13には伝達されない。
【0023】
ロックレバー18は、上端部がサブロックレバー19の長孔192に連結されると共に、下端部の連結部183がドアの車内側に設けられるロックノブ(図示略)に操作力伝達部材26を介して連結されることにより、キーシリンダ、ロックノブの操作及びモータ16の駆動に基づいて図8に示すロック位置及びロック位置から時計方向へ所定角度回動した図9に示すアンロック位置に回動する。
【0024】
ロックレバー18は、ウォームホイール17の一方の回転面に設けられた第1係合突部171、172に当接可能な第1係合アーム181と、ウォームホイール17の他方の回転面に設けられた第2係合突部173、174に当接可能な第2係合アーム182とを有する。なお、ウォームホイール17の第2係合突部173、174は、第1係合突部171、172と対称位置に設けられるため、図示の便宜上、符号のみを示す。
【0025】
図8に示すロック状態において、モータ16の駆動によりウォームホイール17が反時計方向へ回動すると、第1係合突部172が第1係合アーム181に当接し、ロックレバー18はロック位置からアンロック位置へ回動する。また、図9に示すアンロック状態において、モータ16の駆動によりウォームホイール17が時計方向へ回動すると、第2係合突部173が第2係合アーム182に当接し、ロックレバー18はアンロック位置からロック位置へ回動する。
【0026】
アウトサイドレバー22は、車内側の作動端部221に第1、2リフトレバー23、24の下部が所定角度前後方向へ揺動可能に連結され、また、車外側端部の連結部222に操作力伝達部材(図示略)を介してアウトサイドハンドルに連結されることにより、アウトサイドハンドルのオープン操作に基づいて、待機位置(例えば図4参照)から作動端部221が上方へ移動するオープン方向(図4において時計方向)へ所定角度回動する。
【0027】
インサイドレバー25は、下端部の連結部251にインサイドハンドルの操作力を伝達可能なケーブル等の操作力伝達部材27が連結されることにより、インサイドハンドルのオープン操作に基づいて、図8、9に示す待機位置からオープン方向(時計方向)へ所定角度回動する。
【0028】
インサイドレバー25には、オープン方向へ回動した際、アウトサイドレバー22に設けられた被解除当接部223に下方から当接可能な解除当接部252が設けられる。これにより、インサイドレバー25が待機位置からオープン方向へ回動すると、解除当接部252が被解除当接部223に下側から当接し、アウトサイドレバー22も待機位置からオープン方向へ回動する。
【0029】
第1、2リフトレバー23、24は、それぞれの下端部がアウトサイドレバー22の作動端部221に枢嵌されることによって作動端部221を中心に前後方向へ所定角度回動可能に支持されると共に、第1リフトレバー23の側面に設けられた上下方向の長溝231には、ロックレバー18の上端に設けられた突部184が上下方向へ摺動可能に係合される。
【0030】
第2リフトレバー24は、第1リフトレバー23と第2リフトレバー24との間に作用するばね28の付勢力の範囲内で第1リフトレバー23と一体的に作動する。
【0031】
ロックレバー18がロック位置からアンロック位置、またはその逆へ回動すると、第1、2リフトレバー23、24は、アウトサイドレバー22の作動端部221を中心に揺動して、図8に示すロック位置から図9に示すアンロック位置、またはその逆へ移動する。また、アウトサイドレバー22が待機位置からオープン方向へ回動すると、第1、2リフトレバー23、24は、ロックレバー18がアンロック位置にあるときにはアンロック位置からオープン方向(上方)へ移動し、第2リフトレバー24に設けられた解除部241がオープンレバー92に下方から当接することによりオープンレバー92を介してラチェット9をラッチ8から離脱するオープン方向へ回動させてドアを開けることができる。しかし、ロックレバー18がロック位置にあるロック状態において、ロック位置にある第1、2リフトレバー23、24がオープン方向へ移動しても解除部241がオープンレバー92に対して空振りしてラチェット9をオープン方向へ回動させることができないため、ドアを開けることはできない。
【0032】
次に、ケーシング10、カバー11及びウォータプルーフカバー12について説明する。
ケーシング10におけるボディ覆い部101は、ボディ6の車内側側面61及び後面62を露出させ、前面、上、下面及び車外側側面を覆う形状である。部品収容部102は、ボディ覆い部101の車内側の端部に略直角に連設され、例えば図6から理解できるように、側面視においてボディ覆い部101よりも上下方向に長い形状であって、ボディ6の上面を覆うボディ覆い部101の上壁101aの真上の最上部には、前述した支持部1021が形成される。
【0033】
図3、10に明示されるように、ボディ覆い部101における上壁101aの後端及び上壁101aに略直角に繋がる部品収容部102の垂直外側面の後端には、ボディ覆い部10の上壁101aに対しては上方、部品収容部102の垂直外側面に対しては車外側へそれぞれ突出する防水壁部103が設けられる。
【0034】
さらに、図2、3、6、10に明示されるように、部品収容部102の垂直外側面にあって、防水壁部103から前方へ若干離間した部位には、車外側へ突出する上下方向の誘導壁部104が設けられる。これにより、防水壁部103及び誘導壁部104間には、最上部のウォータプルーフカバー12から流下してくる雨水をボディ覆い部101の上壁101a上に誘導可能な誘導路105が形成される。なお、誘導壁部104の上端は、支持部1021の下部外周面に連設される。
【0035】
主に図11、12に明示されるように、カバー11の垂直面にあって、ボディ6の車内側側面61の略上半分の周囲には、車内側へ突出する誘導庇部111が設けられる。誘導庇部111は、カバー11の上部表面を伝わって流下してきる雨水がボディ6の車内側側面61及びカバー11間の隙間に浸入しないように、雨水をカバー11の表面を伝わせて前方へ誘導し得るように前下り傾斜に形成される。これにより、カバー11の上部表面を伝わって流下してきる雨水のボディ6の車内側側面61及びカバー11間の隙間への浸入を阻止することができる。
【0036】
各図に示されるように、ウォータプルーフカバー12は、ケーシング10における部品収容部102及びカバー11間の隙間を閉塞するものであって、部品収容部102及びカバー11の上面全域及び上面近傍の垂直面を被覆する上側被覆部121と、ボディ覆い部101の上壁101aよりも上方の部品収容部102及びカバー11の後面及び当該後面近傍の垂直面を被覆する後側被覆部122と、部品収容部102及びカバー11の前面の略上半分及び当該前面近傍の垂直面を被覆する前側被覆部123とを一体的に形成して成り、適所に設けた嵌合孔126がケーシング10及びカバー11の外側面に設けた突部106、112にそれぞれ係合することによってケーシング10及びカバー11の上部を挟み込むように固定される。
【0037】
ウォータプルーフカバー12の上側被覆部121は、前方下り傾斜すると共に、上面及び車外側の面には、上下方向の複数のリブ状の突条部127が設けられる。この突条部127は、ウォータプルーフカバー12の上面に流下した雨水をケーシング10の車外側を向く面へ流下させる作用を有する。
【0038】
ウォータプルーフカバー12の前側被覆部123は、下端部が部品収容部102の前部寄りに配置される電気部品のモータ16よりも下方になるように延設される。また、同じく後側被覆部122は、図3に示すように、ケーシング10及びカバー11との接合部Tを被覆すると共に、下端部がボディ覆い部101の上壁101a上に密接するように下方へ延設される。
【0039】
ウォータプルーフカバー12の後側被覆部122における車外側側部には、ケーシング10の防水壁部103と相似形をなして防水壁部103を被覆する防水壁被覆部124が設けられる。また、同じく車内側側部には、カバー11の誘導庇部111の上部を被覆する誘導庇被覆部125が設けられる。なお、ウォータプルーフカバー12は、防水壁被覆部124及び誘導庇被覆部125がケーシング10及びカバー11の表面にそれぞれ密接するように取り付けられる。
【0040】
上述構成により、本実施形態においては、ドア内に浸入した雨水のうち、ウォータプルーフカバー12の頂上部(ケーシング10の支持部1021の真上)から車外側へ流下する雨水は、図2に矢印で示すように、ケーシング10の誘導路105により誘導されボディ覆い部101の上壁101a上に流下する。上壁101aの水平な面に一旦溜まった雨水は、ウォータプルーフカバー12の防水壁被覆部124によって、上壁101aからボディ覆い部101から露出しているボディ6の後面62への流下は阻止され、ボディ覆い部101の表面を伝わってケーシング10の下部へ流下してケーシング10の下端から落下する。この場合、上壁101aに溜まった雨水が、例えケーシング10及びウォータプルーフカバー12間の隙間から防水壁被覆部124内へ浸入したとしても、防水壁被覆部124内には、ケーシング10に一体的に設けられた防水壁部103が存在するため、この防水壁部103によって、防水壁被覆部124内に浸入した雨水のボディ6の後面62への流下をより確実に阻止することができる。これにより、ケーシング10のボディ覆い部101及びボディ6の後面62間の上部隙間からの雨水浸入を阻止することができる。
【0041】
また、ウォータプルーフカバー12の頂上部から車内側へ流下する雨水は、図12に矢印で示すように、カバー11の上部表面を伝わってウォータプルーフカバー12の誘導庇被覆部125上に流下する。この結果、誘導庇被覆部125により流下した雨水は、カバー11及びカバー11から露出しているボディ6の車内側側面61の上部隙間に浸入しないように、誘導庇被覆部125及び誘導庇部111によりボディ6の車内側側面61の上部周囲に沿ってボディ6の前方斜め下方へ誘導されてカバー11の下端から落下する。この場合、雨水が例えカバー11及びウォータプルーフカバー12間の隙間から誘導庇被覆部125内へ浸入したとしても、誘導庇被覆部125内には、カバー11に一体的に設けられた誘導庇部111が存在するため、この誘導庇部111によって、誘導庇被覆部125内に浸入した雨水のボディ6の車内側側面61への流下をより確実に阻止することができる。これにより、カバー11及びボディ6の車内側側面61間の上部隙間からの雨水浸入を阻止することができる。
【0042】
さらに、図12に示すように、ウォータプルーフカバー12を取り付けた後、2点鎖線で示すシール部材Sをボディ6(車内側側面61及び後面62)とウォータプルーフカバー12(後側被覆部122、防水壁被覆部124及び誘導庇被覆部125の下部)とに跨るように貼着することによって、ボディ6及びウォータプルーフカバー12間の隙間を確実に閉塞することができ、雨水浸入をより確実に防止することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(a)ウォータプルーフカバー12を省略して実施する。
(b)防水壁部103及び誘導庇部111の形状をケーシング10及びボディ6の形状に応じて適宜変更する。
【符号の説明】
【0044】
1 ドアラッチ装置
2 噛合ユニット
3 操作ユニット
4 ボディ本体部
5 カバープレート部
6 ボディ
7 ボルト
8 ラッチ
9 ラチェット
10 ケーシング
11 カバー
12 ウォータプルーフカバー
13 キーレバー
14 サブキーレバー
15 接続端子群
16 モータ
17 ウォームホイール
18 ロックレバー
19 サブロックレバー
20、21 検出スイッチ
22 アウトサイドレバー
23 第1リフトレバー
24 第2リフトレバー
25 インサイドレバー
26 操作力伝達部材
27 操作力伝達部材
28 ばね
61 車内側側面(第1露出面)
62 後面(第2露出面)
63 ストライカ進入溝
81 軸
91 軸
92 オープンレバー
101 ボディ覆い部
101a 上壁
102 部品収容部
102a 支軸
102b 支軸
102c 支軸
102d 支軸
102e 支軸
1021 支持部
103 防水壁部
104 誘導壁部
105 誘導路
106 突部
111 誘導庇部
112 突部
121 上側被覆部
122 後側被覆部
123 前側被覆部
124 防水壁被覆部
125 誘導庇被覆部
126 嵌合孔
127 突条部
131 突部
141 長孔
142、143 係合部
161 ウォーム
171、172 第1係合突部
173、174 第2係合突部
181 第1係合アーム
182 第2係合アーム
183 連結部
184 突部
191 突部
192 長孔
221 作動端部
222 連結部
223 被解除当接部
231 長孔
241 解除部
251 連結部
252 解除当接部
D インナパネル
D1 後端パネル
S シール部材
T 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア内に固定され、前記ドアのインナパネルに対向する第1露出面及び当該第1露出面に略直角な第2露出面に車体側のストライカが進入可能なストライカ進入溝を有するボディと、
前記ボディ内に設けられ、前記ストライカ進入溝に進入する前記ストライカに係合可能な噛合手段と、
前記ボディに取り付けられ、前記ボディの第1、2露出面を露出させて前記第1、2露出面以外の領域を覆うと共に、前記第1露出面に平行な面を有して車内側を向く側が開口する部品収容部を有するケーシングと、
前記ケーシングの部品収容部に設けられ、電気駆動源により前記噛合手段の係合状態を解除可能とするアンロック状態及び解除不能とするロック状態に切替可能な操作構成部品と、
前記ケーシングに固定され、前記部品収容部を閉塞するカバーとを備え、
前記ケーシングにおける前記ボディの上面を覆う上壁に、前記ケーシングの上部から流下してくる水の前記ボディの第1、2露出面がある方への流下を阻止可能な防水壁部を一体的に設けたことを特徴とする車両用ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記カバーに、前記カバーから露出している前記ボディの第1露出面よりも上方にあって、前記カバーの上部から流下してくる水を前記第2露出面へ向かう方向と反対方向へ誘導し得るように傾斜する誘導庇部を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアラッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate