説明

車両用ドアラッチ装置

【課題】チャイルドロック状態にあるときの空振り作動を円滑にすると共に、チャイルドロック状態を確実なものとする。
【解決手段】チャイルドプルーフロック切替レバー20は、ケーシング13に固定されるカバー14に摺動かつ回動可能に支持されると共にドアに設けられるパネル孔を通って外部に露出する操作部205を有し、インサイドレバー19と共に回動することによりインサイドレバー19の回動をオープンレバー11に伝達可能とするアンロック位置及びインサイドレバー19と共に回動不能でインサイドレバー19の回動をオープンレバー11に伝達不能とするロック位置に移動可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドプルーフロック機構を備えた車両用ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアラッチ装置において、チャイルドプルーフロック機構を備えたものとして、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1に開示された車両用ドアラッチ装置におけるチャイルドプルーフロック機構は、ドアの車内側に設けられるインサイドハンドルのドア開操作に基づいて回動するインサイドレバーを枢支するための回転軸に、ドアパネルに設けたパネル孔を通って外部に突出する操作部を有するチャイルドプルーフロック切替レバーに設けた長孔を、摺動かつ回動可能に嵌合することによって、操作部の手動操作に基づいて、チャイルドプルーフロック切替レバーが、インサイドハンドルのドア開操作をオープン部材に伝達可能とするアンロック位置及び伝達不能とするロック位置との間を直線的に変位するようにした構成を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3875472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載されている車両用ドアラッチ装置においては、チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置にある場合でも、インサイドハンドルのドア開操作に基づいて、チャイルドプルーフロック切替レバーがインサイドレバーと共にオープン方向へ回動するため、チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置にあるときのチャイルドロック状態において、円滑な空振り作動(インサイドレバーのオープン方向の回動をオープン部材に伝達不能とする作動)、及び確実なチャイルドロック状態を得る上で好ましくない。すなわち、円滑な空振り作動及び確実なチャイルドロック状態を得るには、インサイドハンドルのドア開操作に伴って作動する作動部分は出来る限り少ない方が好ましい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、チャイルドロック状態において、円滑な空振り作動及び確実なチャイルドロック状態を得られるようにした車両用ドアラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の車両用ドアラッチ装置は、車内に設けられるインサイドハンドルのドア開操作に基づいてオープン部材がラッチ解除作動することによりドアの開きを可能にする車両用ドアラッチ装置において、第1のベース部材に枢支され、前記インサイドハンドルのドア開操作に基づいて回動可能なインサイドレバーと、第2のベース部材に摺動かつ回動可能に支持されると共に前記ドアに設けられるパネル孔を通って外部に露出する操作部を有して、前記インサイドレバーと共に回動することにより前記インサイドレバーの回動を前記オープン部材に伝達可能とするアンロック位置及び前記インサイドレバーと共に回動不能で前記インサイドレバーの回動を前記オープン部材に伝達不能とするロック位置に移動可能なチャイルドプルーフロック切替レバーを備えたものとする。この構成によると、前記チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置にあるときのチャイルドロック状態においては、前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、前記インサイドレバーが回動しても何ら作動しないため、円滑な空振り作動が可能となると共に、チャイルドロック状態を確実にすることができる。
【0008】
さらに、前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、アンロック位置にあるとき、前記インサイドレバーと共に回動し得るように前記インサイドレバーに当接し、ロック位置にあるとき、前記インサイドレバーが回動しても前記インサイドレバーに当接不能な連係突部を有するものとする。この構成によると、チャイルドアンロック状態のとき、前記チャイルドプルーフロック切替レバーを前記インサイドレバーと共に回動可能とし、また、チャイルトロック状態のとき、前記インサイドレバーが回動しても、前記チャイルドプルーフロック切替レバーが回動しないようにすることができる。
【0009】
さらに、前記第2のベース部材に、前記インサイドレバーの回転面に対向する直線状のガイド部を設け、前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、前記ガイド部に摺動かつ回動可能に支持される。この構成によると、前記チャイルドプルーフロック切替レバーを、前記第2のベース部材に簡単な構成で支持することができる。
【0010】
さらに、前記ガイド部は、前記インサイドレバーの回転中心に対向する部分及び前記回転中心から外れた部分を有し、前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、アンロック位置にあるとき、前記インサイドレバーの回転中心に対向する部分に回動可能に保持されるものとする。この構成によると、前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、アンロック位置において前記インサイドレバーと同軸上で前記インサイドレバーと共に円滑に回動することができる。
【0011】
さらに、前記チャイルドプルーフロック切替レバーの操作部を、前記チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置で前記インサイドレバーと共に回動するとき、前記ガイド部の長手方向に沿うように移動する部分に設けたものとする。または、前記チャイルドプルーフロック切替レバーの操作部を、前記チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置で前記インサイドレバーと共に回動するときの前記チャイルドプルーフロック切替レバーの回転中心に設けたものとする。この構成によると、前者においては、前記操作部の移動を許容するためのドアに設けられるパネル孔を直線状とすることができ、見栄えの向上を図ることができる。後者においては、前者よりもパネル孔をより小さくすることができる。
【0012】
さらに、前記第2のベース部材に、前記チャイルドプルーフロック切替レバーに弾性的に当接することにより、前記チャイルドプルーフロック切替レバーをアンロック位置及びロック位置に弾性保持可能な弾性部を設けたものとする。この構成によると、前記チャイルドプルーフロック切替レバーを簡単な構成でもって、アンロック位置及びロック位置に保持することができる。
【0013】
さらに、前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、ロック位置にあるとき、前記第2のベース部材に当接することにより、回動が阻止されるものとする。この構成によると、前記チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置でのオープン方向への回動阻止されるため、ロック状態をより確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置にあるとき、チャイルドプルーフロック切替レバーはインサイドレバーと共に回動しないため、チャイルドロック状態において円滑な空振り作動が可能になると共に、確実なチャイルドロック状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係わるドアラッチ装置の正面図である。
【図2】同じくドアラッチ装置の分解斜視図である。
【図3】ロックレバー、オープンリンクがアンロック位置、チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置にあるときのドアラッチ装置における内部構造を示す正面図である。
【図4】ロックレバー、オープンリンクがロック位置、チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置にあるときのドアラッチ装置における内部構造を示す正面図である。
【図5】ロックレバー、オープンリンクがアンロック位置、チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置にある状態でインサイドハンドルがドア開操作されたときの要部の拡大正面図である。
【図6】ロックレバー、オープンリンクがアンロック位置、チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置にあるときの要部の拡大正面図である。
【図7】ロックレバー、オープンリンクがアンロック位置、チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置にある状態でインサイドハンドルがドア開操作されたときの要部の拡大正面図である。
【図8】要部の拡大斜視図である。
【図9】チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置にあるときの要部の拡大正面図である。
【図10】チャイルドプルーフロック切替レバーがロック位置にあるときの要部の拡大正面図である。
【図11】図9におけるXI−XI線断面図である。
【図12】カバーの要部の斜視図である。
【図13】チャイルドプルーフロック切替レバーの正面図である。
【図14】チャイルドプルーフロック切替レバーの平面図である。
【図15】チャイルドプルーフロック切替レバーの背面図である。
【図16】チャイルドプルーフロック切替レバーの作動説明図である。
【図17】他の実施例におけるチャイルドプルーフロック切替レバーの作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、ドアラッチ装置1の車内側から見た正面図を示す。ドアラッチ装置1は、自動車のリヤドア(以下、ドアと記す)内の後端部に取り付けられ、ドアを閉鎖状態に保持するための噛合ユニット2と、噛合ユニット2に取り付けられる操作ユニット3とを備える。
【0017】
図2に示すように、噛合ユニット2は、ドア内にボルト(図示略)により固定される合成樹脂製のボディ4と、ボディ4の後側(図2において上側)の開口を閉塞する金属製のカバープレート5と、ボディ4とカバープレート5間に前後方向(図2において上下方向)を向くラッチ軸6により枢支されドアの閉鎖時に車体側に固着されたストライカ(図示略)と係合可能なラッチ7と、ボディ4とカバープレート5間に前後方向を向くラチェット軸8により枢支されラッチ7に係脱可能なラチェット9と、ボディ4の前面側(図2において下側)に固定される金属製のバックプレート10と、ボディ4とバックプレート10間にラチェット9と同軸上に枢支されラチェット9と一体的に回動可能なオープン部材を形成するオープンレバー11とを含む。
【0018】
ドアが閉じられると、車体側のストライカは、車内側からボディ4及びカバープレート5に設けられたストライカ進入溝41及び51内に進入してラッチ7に係合する。ラッチ7は、ラッチ軸6に巻装されたスプリング71の付勢力に抗してラッチ軸6を中心に回動し、ラチェット9は、ラチェット9の下方に支持されたスプリング12の付勢力によりラッチ7に係合し、ラッチ7の回動を阻止してドアを閉鎖状態に保持する。
【0019】
図2〜4に示すように、操作ユニット3は、第1のベース部材を形成するケーシング13及び第2のベース部材を形成するカバー14と、正逆回転可能なモータ15と、ウォームホイール16と、ロックレバー17と、オープンリンク18と、インサイドレバー19と、チャイルドプルーフロック切替レバー20と、アウトサイドレバー21とを備える。なお、図3、4は、噛合ユニット2及び操作ユニット3の内部構造を明示するため、ボディ4及びカバー14を省略している。
【0020】
ケーシング13は、平面視ほぼL字状をなしてボディ4の前面に取り付けられる。カバー14は、ケーシング13の車内側を向く開口を閉塞するようにケーシング13に固定される。
【0021】
カバー14の下部には、チャイルドプルーフロック切替レバー20を支持するためのガイド部141が設けられる。ガイド部141は、インサイドレバー19の回転面に沿うように前後方向へ直線状で、かつ車内側が開口する長溝により形成される。さらに、カバー14におけるガイド部141の前方には、チャイルドプルーフロック切替レバー20が後述のアンロック位置にあるとき、チャイルドプルーフロック切替レバー20のオープン方向(図1において時計方向)への回動を許容するための逃げ孔144が設けられる。
【0022】
ガイド部141は、特に図11、12に明示されるように、車内側の開口1411と、底面部1412と、底面部1412に対向する天井面部1413と、開口1411に対向する側壁部1414とを含み、側壁部1412がインサイドレバー19をケーシング13に枢支するための車内側を向く軸部133の軸線方向と対向するように設けられる。これにより、ガイド部141は、インサイドレバー19の回転面に対向し、かつインサイドレバー19の回転中心と合致する部分(ガイド部141の後部)と、回転中心から外れた部分(ガイド部141の前部)とを有するように形成される。ガイド部141の底面部1412、天井面部1413及び側壁部1414により囲まれる空間には、チャイルドプルーフロック切替レバー20の後述のスライダ部204が摺動可能に挿入される。なお、開口1411の下縁は、底面部1412よりも若干上方へ突出し、また同じく上縁は、天井面部1413よりも若干下方へ突出する。
【0023】
ガイド部141における開口1411の下縁には、上下方向に弾性変形可能な上向き凸状の薄肉の弾性部142が設けられる。弾性部142は、その真下に孔部143を設けることで弾性変形可能となる。なお、ガイド部141の後ろ向きの開口は、カバー14をケーシング13に固定することで、ケーシング13の下部に設けた壁部131により閉鎖される。これにより、チャイルドプルーフロック切替レバー20は、ガイド部141から外れることはない。
【0024】
なお、本実施形態においては、ガイド部141を直線状の長溝により形成したが、これに代えて、前後方向へ直線状の長孔または切欠き孔により形成しても良い。
【0025】
アウトサイドレバー21は、ケーシング13の後方を向く面(図2において上方を向く面)の下部に後方へ突出する軸部132により枢支されるとともに、車外側端部に設けられる車外連結部211には上下方向を向く操作力伝達部材(図示略)を介して、ドアの車外側に設けられるドア開操作用のアウトサイドハンドルが連結される。これにより、アウトサイドハンドルがドア開操作されると、アウトサイドレバー21は、軸部132の周りに配設されるスプリング22の付勢力に抗して、初期位置(車内側端部212が図3、4に示す位置にあるときの位置)からオープン方向(図3、4において車内側端部212が上方へ移動する方向)へ所定角度回動する。さらに、アウトサイドレバー21における車内側端部212の下方には、チャイルドプルーフロック切替レバー20の後述のアンロック位置にあるとき後述の連係突部206が下方から当接可能な被オープン作用部213が設けられる。
【0026】
ロックレバー17は、ケーシング13とカバー14間に車内外方向を向く軸部134により枢支されるとともに、ドアの車内側に設けられるロックノブの手動操作及びモータ15の動力に基づいて、アンロック位置(例えば図3参照)とアンロック位置から反時計方向へ所定角度回動したロック位置(図4参照)間を回動可能で、ケーシング13に支持されたスプリング24の付勢力によってアンロック位置及びロック位置に弾性保持される。なお、ケーシング13には、ロックレバー17をアンロック位置及びロック位置にそれぞれ停止させるためのストッパ(図示略)が設けられる。
【0027】
ロックレバー17の前方斜め下方へ延出する部分に設けられた連結部171には、ロックノブの操作力を入力するため、ロックノブに連結されたケーブル等により形成される操作力伝達部材25の端部が連結される。
【0028】
さらに、ロックレバー17には、上方へ延出する作動アーム部172の側面にあって、オープンリンク18に設けられた上下方向のガイド溝181に摺動可能に係合する突部173と、ロックレバー17の回転中心から遠心方向へ延出する第1、2係合アーム部174、175が設けられる。
【0029】
ウォームホイール16は、ケーシング13とカバー14間に車内外方向を向く軸部135により枢支されるとともに、モータ15の回転軸に止着されたウォーム151に噛合することにより、モータ15の動力により正逆転する。
【0030】
ウォームホイール16の一方の回転面(カバー14に対向する面)には、ロックレバー17の第1係合アーム部174に当接可能な1対の第1係合突部161、161が設けられ、また、同じく一方の面と反対側の他方の回転面(ケーシング13に対向する面)には、第2係合アーム部175に当接可能な1対の第2係合突部(図示略)が設けられる。
【0031】
図3に示すように、ロックレバー17がアンロック位置にあるとき、車内に設けられた操作スイッチまたは携帯用の操作スイッチがロック操作され、モータ15が回転しウォームホイール16がロック方向(図3において時計方向)へ回動すると、上側に位置している第1係合突部161が第1係合アーム部174に対して回動方向に当接する。これにより、ロックレバー17は、ロック方向(図3において反時計方向)へ回動して図4に示すロック位置に停止する。
【0032】
図4に示すように、ロックレバー17がロック位置にあるとき、操作スイッチがアンロック操作されると、モータ15の回転によって、ウォームホイール16はアンロック方向(図4において反時計方向)へ回動し、第2係合突部が第2係合アーム部175に対してその回動方向に当接する。これにより、ロックレバー17は、アンロック方向(図4において時計方向)へ回動してアンロック位置に停止する。
【0033】
オープンリンク18は、下部に設けた鼓状の支持孔182がアウトサイドレバー21の車内側端部212に前後方向へ揺動可能に係合されるとともに、上下方向のガイド溝181にロックレバー17の突部173が上下方向へ摺動可能に係合されることにより、ロックレバー17のアンロック位置及びロック位置への移動に従動し車内側端部212を中心にアンロック位置(図3参照)及びロック位置(図4参照)に揺動するとともに、アウトサイドレバー21のオープン方向への回動に基づいてオープン方向(上方)へ移動する。
【0034】
オープンリンク18の上下方向の中央後部には、オープンリンク18がアンロック位置からオープン方向へ移動したとき、オープンレバー11の回動部111に下方から当接可能な解除部183が設けられる。
【0035】
オープンリンク18の解除部183は、オープンリンク18がアンロック位置にあるときには回動部111の真下に位置にし、また、ロック位置にあるときには回動部分111の前方斜め下方に位置する。
【0036】
図3に示すように、ロックレバー17及びオープンリンク18がアンロック位置にあり、かつアウトサイドレバー21が初期位置(車内側端部212が図3、4に示す位置)にある状態から、アウトサイドレバー21がオープン方向へ回動しオープンリンク18がアンロック位置からオープン方向へ移動すると、解除部183がオープンレバー11の回動部111に下方から当接する。これにより、オープンレバー11は、オープン方向へ回動し、ラチェット9がラッチ7から離脱してドアの開きが可能になる。
【0037】
また、図4に示すように、ロックレバー17及びオープンリンク18がロック位置にある状態から、アウトサイドレバー21のオープン方向への回動に基づいて、オープンリンク18がロック位置からオープン方向へ移動しても、解除部183はオープンレバー11の回動部111の前方を横切るように移動して回動部111に対して空振りするため、オープンレバー11はオープン方向へ回動せず、ドアを開けることはできない。
【0038】
インサイドレバー19は、ケーシング13におけるカバー14のガイド部141に対向する部分にある車内側へ突出する軸部133により枢支されるとともに、下部に設けられる連結部192には、ドアの車内側に設けられるドア開操作用のインサイドハンドルの操作力を伝達可能なケーブル等により形成される操作力伝達部材23が連結され、インサイドハンドルの開操作に基づいて、初期位置(図3、4参照)からオープン方向(図3、4において時計方向)へ所定角度回動する。軸部133に対向するカバー14の側壁部1414は、車内側からボルト26により軸部133の先端に固定される。
【0039】
インサイドレバー19には、チャイルドプルーフロック切替レバー20がアンロック位置にあるとき、チャイルドプルーフロック切替レバー20の連係突部206を介してアウトサイドレバー21の被オープン作用部213に当接可能なオープン作用部191が設けられる。
【0040】
図13〜15は、チャイルドプルーフロック切替レバー20の正面図、平面図、背面図をそれぞれ示す。チャイルドプルーフロック切替レバー20は、扁平な基部201と、基部201から前方へ延出するアーム部202と、基部201の裏面側(車外側)に突設される円形軸部203と、円形軸部203の車外側の先端に設けられるスライド部204と、基部201の表面側(車内側)に設けられ車内側へ突出する操作部205と、アーム部202の先端裏面にあって、車外側へ突出する連係突部206とを有し、円形軸部203がカバー14におけるガイド部141の開口1411、またスライダ部204が底面部1412と天井面部1413間にそれぞれ前後方向に摺動可能に嵌め込まれることにより、ケーシング14の弾性部142の弾性力に抗して図1、3〜5及び図9に示すアンロック位置と、図6〜8及び図10に示すロック位置に直線的に変位可能に支持される。
【0041】
なお、以下の説明においては、チャイルドプルーフロック切替レバー20がアンロック位置にあるときをチャイルドアンロック状態とし、また、同じくロック位置にあるときをチャイルドロック状態と表現することもある。
【0042】
スライダ部204は、特に図15から理解できるように、ガイド部141の天井面部1413に摺接する上縁が上向きの山形状、またガイド部141の底面部1412に摺接する下縁が下向きの山形状の形状に形成される。これにより、スライダ部204がガイド部141の底面部1412と天井面部1413間に挿入されることにより、チャイルドプルーフロック切替レバー20は、待機位置(アーム部202が斜め下方を向く位置)から円形軸部204を中心にオープン方向(アーム部202が上方へ移動する方向)へ所定角度回動可能であるが、オープン方向と反対方向へは回動できないようにガイド部141に支持される。但し、チャイルドプルーフロック切替レバー20がロック位置にある場合には、連係突部206がカバー14における逃げ孔144の前側に設けた阻止部145に当接可能な位置となることで、チャイルドプルーフロック切替レバー20のオープン方向への回動は阻止される。
【0043】
操作部205は、ドアを開けた状態で手動操作ができるように、ドアのインナパネルに設けられるパネル孔27(図16参照)から突出すると共に、チャイルドプルーフロック切替レバー20がアンロック位置において待機位置からオープン方向へ回動する際、ガイド部141の長手方向に沿って後方へ変位するように、基部201の上部に設けられる。これにより、図16に明示されるように、チャイルドプルーフロック切替レバー20がアンロック位置にあるときの操作部205の位置205A、同じくロック位置にあるときの操作部205の位置205B及び同じくロック位置において待機位置からオープン方向へ回動したときの操作部205の位置205Cは、前後方向、すなわちガイド部141の長手方向に沿ってほぼ直線で連なる。この結果、操作部205の移動を許容するためのドアのパネル孔27を直線状とすることができ見栄えを良くすることができる。
【0044】
また、図17に示す他の実施例のように、チャイルドプルーフロック切替レバー20の操作部207を、円形軸部203の中心上に設けた場合には、チャイルドプルーフロック切替レバー20がアンロック位置20Aにおいて待機位置からオープン方向へ回動しても、操作部207は、その位置で回転するだけで、実質的に位置が変位しないようにすることができる。このようにすると、操作部207の移動を許容するためのドアパネルのパネル孔28をより小さくすることができ、より見栄え向上を図ることができる。
【0045】
図3に示すように、ロックレバー17、オープンリンク18がアンロック位置にあって、かつチャイルドアンロック状態の場合には、チャイルドプルーフロック切替レバー20の基部201は、図9に示すように、ガイド部141の後部分にあって、円形軸部203は、インサイドレバー19の回転中心である軸部133の軸心と合致した位置に保持され、連係突部206は、インサイドレバー19のオープン作用部191とアウトサイドレバー21の被オープン作用部213間に進入する。
【0046】
上述の状態において、図5に示すように、インサイドハンドルのドア開操作に基づいて、インサイドレバー19が軸部133を中心に待機位置(図3に示す位置)からオープン方向へ回動すると、オープン作用部191が連係突部206に当接することにより、チャイルドプルーフロック切替レバー20は、円形軸部203を中心に時計方向(オープン方向)へ回動し、当該回動は連係突部206が被オープン作用部213に当接することでアウトサイドレバー21及びオープンリンク18を介してオープンレバー11に伝達される。このチャイルドアンロック状態では、インサイドレバー19とチャイルドプルーフロック切替レバー20とは、同一中心軸回りに回動するため、両レバー19、20共、円滑に回動することができる。この結果、インサイドハンドルのドア開操作に基づいてドアを円滑に開けることができる。
【0047】
図6に示すように、ロックレバー17、オープンリンク18はアンロック位置にあって、チャイルドロック状態の場合には、チャイルドプルーフロック切替レバー20の基部201は、図10に示すようにガイド部141の前部分にあって、円形軸部203は、インサイドレバー19の回転中心である軸部133の軸心から外れた位置に保持され、連係突部206は、インサイドレバー19のオープン作用部191とアウトサイドレバー21の被オープン作用部213間から退避する。これにより、図7に示すように、インサイドハンドルのドア開操作に基づいて、インサイドレバー19が待機位置(図6に示す位置)からオープン方向へ回動しても、オープン作用部191が連係突部206に対して空振りし、チャイルドプルーフロック切替レバー20は回動しない。よって、インサイドレバー19の回動は、オープンレバー11には伝達されない。
【0048】
以上により、本実施形態においては、チャイルドプルーフロック切替レバー20を、カバー14に摺動かつ回動可能に支持し、インサイドレバー19と共に回動することによりインサイドレバー19の回動をオープンレバー11に伝達可能とするアンロック位置及びインサイドレバー19と共に回動不能でインサイドレバー19の回動をオープンレバー11に伝達不能とするロック位置に移動可能とすることによって、チャイルドロック状態のときには、チャイルドプルーフロック切替レバー20は、インサイドレバー19が回動しても何ら作動しない。これにより、チャイルドロック状態においては、インサイドレバー19の回動がオープンレバー11に伝達されない空振り作動が円滑に行われると共に、チャイルドロック状態を確実なものとすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 ドアラッチ装置
2 噛合ユニット
3 操作ユニット
4 ボディ
5 カバープレート
6 ラッチ軸
7 ラッチ
8 ラチェット軸
9 ラチェット
10 バックプレート
11 オープンレバー(オープン部材)
12 スプリング
13 ケーシング(第1のベース部材)
14 カバー(第2のベース部材)
15 モータ
16 ウォームホイール
17 ロックレバー
18 オープンリンク
19 インサイドレバー
20 チャイルドプルーフロック切替レバー
21 アウトサイドレバー
22 スプリング
23 操作力伝達部材
24 スプリング
25 操作力伝達部材
26 ボルト
27、28 パネル孔
41、51 ストライカ進入溝
71 スプリング
111 回動部
131 壁部
132 軸部
133 軸部
134 軸部
135 軸部
141 ガイド部
142 弾性部
143 孔部
144 逃げ孔
145 阻止部
151 ウォーム
161 第1係合突部
171 連結部
172 作動アーム部
173 突部
174 第1係合アーム部
175 第2係合アーム部
181 ガイド溝
182 支持孔
183 解除部
191 オープン作用部
192 連結部
201 基部
202 アーム部
203 円形軸部
204 スライダ部
205 操作部
206 連係突部
211 車外連結部
212 車内側端部
213 被オープン作用部
1411 開口
1412 底面部
1413 天井面部
1414 側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内に設けられるインサイドハンドルのドア開操作に基づいてオープン部材がラッチ解除作動することによりドアの開きを可能にする車両用ドアラッチ装置において、
第1のベース部材に枢支され、前記インサイドハンドルのドア開操作に基づいて回動可能なインサイドレバーと、
第2のベース部材に摺動かつ回動可能に支持されると共に前記ドアに設けられるパネル孔を通って外部に露出する操作部を有して、前記インサイドレバーと共に回動することにより前記インサイドレバーの回動を前記オープン部材に伝達可能とするアンロック位置及び前記インサイドレバーと共に回動不能で前記インサイドレバーの回動を前記オープン部材に伝達不能とするロック位置に移動可能なチャイルドプルーフロック切替レバーを備えたことを特徴とする車両用ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、アンロック位置にあるとき、前記インサイドレバーと共に回動し得るように前記インサイドレバーに当接し、ロック位置にあるとき、前記インサイドレバーが回動しても前記インサイドレバーに当接不能な連係突部を有することを特徴とする請求項1記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項3】
前記第2のベース部材に、前記インサイドレバーの回転面に対向する直線状のガイド部を設け、
前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、前記ガイド部に摺動かつ回動可能に支持されることを特徴とする請求項1または2記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記インサイドレバーの回転中心に対向する部分及び前記回転中心から外れた部分を有し、
前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、アンロック位置にあるとき、前記インサイドレバーの回転中心に対向する部分に回動可能に保持されることを特徴とする請求項3記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項5】
前記チャイルドプルーフロック切替レバーの操作部を、前記チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置で前記インサイドレバーと共に回動するとき、前記ガイド部の長手方向に沿うように移動する部分に設けたことを特徴とする請求項4記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項6】
前記チャイルドプルーフロック切替レバーの操作部を、前記チャイルドプルーフロック切替レバーがアンロック位置で前記インサイドレバーと共に回動するときの前記チャイルドプルーフロック切替レバーの回転中心に設けたことを特徴とする請求項4記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項7】
前記第2のベース部材に、前記チャイルドプルーフロック切替レバーに弾性的に当接することにより、前記チャイルドプルーフロック切替レバーをアンロック位置及びロック位置に弾性保持可能な弾性部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項8】
前記チャイルドプルーフロック切替レバーは、ロック位置にあるとき、前記第2のベース部材に当接することにより、回動が阻止されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−67541(P2012−67541A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214746(P2010−214746)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000148896)三井金属アクト株式会社 (127)
【Fターム(参考)】