説明

車両用ドア駆動制御検査装置、車両用ドア駆動制御検査方法および車両用ドア駆動制御検査プログラム

【課題】簡易な装置にて異常個所をフィールドで特定することが可能な車両用ドア駆動制御検査装置を提供する。
【解決手段】書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101に接続されたCPU1、4に対してデュアルポートRAM101に対する書き込み指令を行い、読み出しデータ受信手段203は、CPU1、4にてデュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信し、故障診断手段204は、書き込み指令手段202にて指令された書き込みデータと、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、デュアルポートRAM101の故障を診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドア駆動制御検査装置、車両用ドア駆動制御検査方法および車両用ドア駆動制御検査プログラムに関し、特に、複数のCPUに接続されたデュアルポートRAMの異常個所の検査方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両が運行サービスを行っている場合、車両が駅に到着すると、乗降客が乗降できるようにするために、車両用ドア駆動制御装置では、運転台からの指令を受けてドアを一斉に開閉させることが行われている(特許文献1)。
ここで、ドアを閉動作させる場合、物や人間などの物体がドアに挟まると、車掌がドアを開閉させたり、自動制御にて再開閉させたりすることが行われている。
【0003】
また、ドアの開閉状態を示すランプを設置したり、ドアの開閉位置の検出器や安全装置などからのセンサ信号を用いることで、ドアの誤動作を防止し、走行中にドアが開いたりしないようにするなどの安全対策がとられている。
このような制御はCPUにて行われているが、通常では冗長性を持たせるため、左右の車両用ドアはそれぞれ別個のCPUにて制御されている。また、車両用ドア駆動制御装置では、車両における他の機器とネットワークを介して接続するために、通信用のCPUが搭載されている場合もある。また、車両用ドアを動作させるモータ用の電源のために、車両用ドア駆動制御装置に供給されている電圧を昇圧する必要がある場合があり、このような処理にもCPUが使用されている。
【0004】
このように、車両用ドア駆動制御装置は、複数のCPUによって制御され、これらのCPU間では、デュアルポートRAMを介してデータ交換される。ここで、デュアルポートRAMの故障の態様として、アドレスバスやデータバスの半田接触不良などがある。そして、デュアルポートRAMの故障を検査するために、サーキットテスタなどの検査装置を用いて外部から信号入力を行う方法が採られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−180304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サーキットテスタなどの検査装置を用いてデュアルポートRAMの故障を検査する方法では、検査装置が大掛かりになるとともに、フィールドで行うことができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、簡易な装置にて異常個所をフィールドで特定することが可能な車両用ドア駆動制御検査装置、車両用ドア駆動制御検査方法および車両用ドア駆動制御検査プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の車両用ドア駆動制御検査装置によれば、デュアルポートRAMに接続されたCPUに対して前記デュアルポートRAMに対する書き込み指令を行う書き込み指令手段と、前記CPUにて前記デュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信する読み出しデータ受信手段と、前記書き込み指令手段にて指令された書き込みデータと、前記読み出しデータ受信手段にて受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、前記デュアルポートRAMの故障を診断する故障診断手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の車両用ドア駆動制御検査方法によれば、デュアルポートRAMに接続されたCPUに対して前記デュアルポートRAMに対する書き込み指令を行うステップと、前記CPUにて前記デュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記指令された書き込みデータと、前記受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、前記デュアルポートRAMの故障を診断するステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の車両用ドア駆動制御検査方法によれば、前記デュアルポートRAMの記憶領域全体をクリアするように前記CPUに対して指令するステップと、前記CPUにてクリアされたデュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記受信された読み出しデータに0以外のデータが含まれる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の車両用ドア駆動制御検査方法によれば、前記デュアルポートRAMの記憶領域全体に1を書き込むように前記CPUに対して指令するステップと、前記CPUにて1が書き込まれたデュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記受信された読み出しデータに1以外のデータが含まれる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の車両用ドア駆動制御検査方法によれば、前記デュアルポートRAMの指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むように前記CPUに対して指令するステップと、前記CPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記受信された読み出しデータが前記指定されたデータと異なる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の車両用ドア駆動制御検査方法によれば、前記デュアルポートRAMの指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むように第1のCPUに対して指令するステップと、前記第1のCPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから第2のCPUにて読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記受信された読み出しデータが前記指定されたデータと異なる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載の車両用ドア駆動制御検査方法によれば、前記デュアルポートRAMの指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むように第1のCPUに対して指令するステップと、前記第1のCPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから前記第1のCPUにて読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記第1のCPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから第2のCPUにて読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記第1のCPUにて読み出された読み出しデータと、前記第2のCPUにて読み出された読み出しデータとが異なる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8記載の車両用ドア駆動制御検査プログラムによれば、デュアルポートRAMに接続されたCPUに対して前記デュアルポートRAMに対する書き込み指令を行うステップと、前記CPUにて前記デュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、前記指令された書き込みデータと、前記受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、前記デュアルポートRAMの故障を診断するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、パーソナルコンピュータ上に搭載されたソフトウェアからデュアルポートRAMの検査の指令を行わせることができ、車両用ドア駆動制御装置のメモリの制約を受けることなく、大きなソフトウェアを実行することができる。このため、サーキットテスタなどの大掛かりな検査装置を用いることなく、複数のCPUに接続されたデュアルポートRAMの異常個所を検査することが可能となり、簡易な装置にて異常個所をフィールドで特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置が適用される車両用ドア駆動制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の車両用ドア駆動制御装置に用いられるCPUとデュアルポートRAMとの接続例を示すブロック図である。
【図3】図2のデュアルポートRAMにおけるメモリ構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置とCPUとの接続例を示すブロック図である。
【図5】図4の車両用ドア駆動制御検査装置、CPUおよびデュアルポートRAM間のデータの流れを示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置および車両用ドア駆動制御検査方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置が適用される車両用ドア駆動制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、鉄道車両には、乗降客が乗降に使用する左右のドア1a、1b、左右のドア1a、1bをそれぞれ個別に駆動するリニアモータ2a、2b、左右のドア1a、1bとリニアモータ2a、2bとをそれぞれ連結する連結部3a、3b、左右のドア1a、1bをそれぞれロックする施錠装置4a、4b、左右のドア1a、1bの位置をそれぞれ検出する位置検出部5a、5b、左右のドア1a、1bの駆動制御を個別に行うドア駆動制御装置10が設けられている。
【0018】
ここで、ドア駆動制御装置10には、運転台から出力される動作指令に基づいて速度指令値を算出する運転指令演算器11、位置検出部5から出力される位置検出値に基づいて速度検出値を算出する速度演算器12、位置検出部5から出力される位置検出値に基づいて左右のドア1a、1bの位置を演算する位置演算器13、位置検出部5から出力される位置検出値に基づいて左右のドア1a、1bの異常を検出する異常検出器14および運転指令演算器11から出力される速度指令値に基づいてリニアモータ2a、2bを駆動制御する電力変換器15、車両内ネットワークを介してドア1a、1bの制御状態を上位装置に伝送する通信インターフェース6が設けられている。
【0019】
そして、乗務員がドア1を開く場合、乗務員が運転台を操作することにより、開指令が運転指令演算器11に出力され、乗務員がドア1を閉じる場合、乗務員が運転台を操作することにより、閉指令が運転指令演算器11に出力される。また、位置検出部5a、5bにてそれぞれ検出された左右のドア1a、1bの位置検出値は速度演算器12に出力され、速度演算器12にて速度検出値に変換された後、運転指令演算器11に出力される。
【0020】
そして、運転指令演算器11は、開指令または閉指令などの動作指令に基づいて速度指令値を算出し、その速度指令値および速度演算器12から出力された速度検出値に基づいて電流指令値を算出し、電力変換器15に出力する。そして、電力変換器15は、運転指令演算器11から出力される電流指令値に基づいて、リニアモータ2a、2bを駆動制御することにより、車両に設置された全ての左右のドア1a、1bを一斉に開動作させたり、閉動作させたりすることができる。なお、運転指令演算器11は、通信インターフェース6または外部ワイヤを介して指令を受けることで左右のドア1a、1bの開閉動作を行うことができる。
【0021】
ここで、ドア駆動制御装置10には、左右のドア1a、1bをそれぞれ駆動制御する別個のCPUが設けられ、車両ネットワークを介してシリアル接続された各機器を制御する通信用のCPUも別個に搭載されている。そして、これらのCPUはデュアルポートRAMを介して接続され、デュアルポートRAMを介してこれらのCPU間でデータ交換できるようにすることで、これらの複数のCPUは協調して動作できるように構成されている。
【0022】
図2は、図1の車両用ドア駆動制御装置に用いられるCPUとデュアルポートRAMとの接続例を示すブロック図である。
図2において、デュアルポートRAM101には、複数のアドレスバスBA1、BA1´および複数のデータバスBD1、BD1´が設けられ、CPU1は複数のアドレスバスBA1および複数のデータバスBD1をそれぞれ介してデュアルポートRAM101に接続され、CPU4は複数のアドレスバスBA1´および複数のデータバスBD1´をそれぞれ介してデュアルポートRAM101に接続されている。
【0023】
また、デュアルポートRAM102には、複数のアドレスバスBA2、BA2´および複数のデータバスBD2、BD2´が設けられ、CPU2は複数のアドレスバスBA2および複数のデータバスBD2をそれぞれ介してデュアルポートRAM102に接続され、CPU4は複数のアドレスバスBA2´および複数のデータバスBD2´をそれぞれ介してデュアルポートRAM102に接続されている。
【0024】
また、デュアルポートRAM103には、複数のアドレスバスBA3、BA3´および複数のデータバスBD3、BD3´が設けられ、CPU3は複数のアドレスバスBA3および複数のデータバスBD3をそれぞれ介してデュアルポートRAM103に接続され、CPU4は複数のアドレスバスBA3´および複数のデータバスBD3´をそれぞれ介してデュアルポートRAM103に接続されている。
【0025】
図3は、図2のデュアルポートRAMにおけるメモリ構成を示す図である。
図3において、デュアルポートRAM101〜103では、各領域ごとにアドレスが割り当てられている。
そして、通常では、電源投入時にセルフテストなどでデュアルポートRAM101〜103に対して簡単な書き込みチェックおよび読み出しチェックが行われる。また、デュアルポートRAM101〜103の不具合が起こった場合、修理を行うために、デュアルポートRAM101〜103のアドレスバスおよびデータバスの異常個所を知る必要がある。例えば、デュアルポートRAM101〜103本体が故障しているのか、デュアルポートRAM101〜103のアドレスバスおよびデータバスの接続不良なのかを見分ける必要がある。
【0026】
このため、本実施形態では、ドア駆動制御装置10のCPU1〜4にパーソナルコンピュータを接続し、パーソナルコンピュータ上に搭載されたソフトウェアからCPU1〜4にデュアルポートRAM101〜103の検査を行うように指令することで、複数のCPU1〜4に接続されたデュアルポートRAM101〜103の異常個所を検査することができる。ここで、パーソナルコンピュータをドア駆動制御装置10のCPU1〜4に接続する方法としては、ドア駆動制御装置10にメンテナンス用に設けられたシリアルインターフェースを用いることができる。なお、シリアルインターフェースとしては、例えば、RS−232Cなどの方式を用いることができる。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置とCPUとの接続例を示すブロック図である。
図4において、CPU1、4はデュアルポートRAM101に接続され、CPU1、4には、シリアル通信線K1、K2をそれぞれ介してパーソナルコンピュータ201に接続されている。
【0028】
ここで、パーソナルコンピュータ201には、書き込み指令手段202、読み出しデータ受信手段203および故障診断手段204が設けられている。書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101に接続されたCPU1、4に対してデュアルポートRAM101に対する書き込み指令を行うことができる。読み出しデータ受信手段203は、CPU1、4にてデュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信することができる。故障診断手段204は、書き込み指令手段202にて指令された書き込みデータと、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、デュアルポートRAM101の故障を診断することができる。
【0029】
図5は、図4の車両用ドア駆動制御検査装置、CPUおよびデュアルポートRAM間のデータの流れを示すブロック図である。
図5において、書き込み指令手段202は、開始アドレス、終了アドレスおよび書き込みデータをCPU1に送り、デュアルポートRAM101の開始アドレスおよび終了アドレスで特定される領域に書き込みデータを書き込むようにCPU1に指令する(P1)。
【0030】
そして、CPU1は、書き込み指令手段202からの書き込み指令を受けると、書き込み指令手段202から指定された開始アドレスおよび終了アドレスで特定される領域に書き込みデータを書き込む(P2、P3)。そして、CPU1は、書き込み指令手段202から指定された開始アドレスおよび終了アドレスで特定される領域からデータを読み出し(P4)、読み出しデータ受信手段203は、CPU1にて読み出された読み出しデータを受信する(P5)。そして、故障診断手段204は、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータと、書き込み指令手段202にて指定された書き込みデータとを比較し、受信手段203にて受信された読み出しデータが、書き込み指令手段202にて指定された書き込みデータと異なる場合、デュアルポートRAM101に異常があると判断することができる。
【0031】
また、書き込み指令手段202は、開始アドレス、終了アドレスおよび書き込みデータをCPU1に送り、デュアルポートRAM101の開始アドレスおよび終了アドレスで特定される領域に書き込みデータを書き込むようにCPU2に指令する(P6)。
そして、CPU2は、書き込み指令手段202からの書き込み指令を受けると、書き込み指令手段202から指定された開始アドレスおよび終了アドレスで特定される領域に書き込みデータを書き込む(P7)。そして、CPU2は、書き込み指令手段202から指定された開始アドレスおよび終了アドレスで特定される領域からデータを読み出し(P8)、読み出しデータ受信手段203は、CPU2にて読み出された読み出しデータを受信する(P9)。そして、故障診断手段204は、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータと、書き込み指令手段202にて指定された書き込みデータとを比較し、受信手段203にて受信された読み出しデータが、書き込み指令手段202にて指定された書き込みデータと異なる場合、デュアルポートRAM101に異常があると判断することができる。
【0032】
あるいは、書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101にデータを書き込むようにCPU1に指令し、読み出しデータ受信手段203は、CPU1にて書き込まれたデータをデュアルポートRAM101から読み出すように、CPU2に指令することができる。そして、故障診断手段204は、CPU1に書き込むように指令した書き込みデータが、CPU2に読み出すように指令した読み出しデータと異なる場合、デュアルポートRAM101に異常があると判断することができる。
【0033】
あるいは、書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101にデータを書き込むようにCPU1に指令し、読み出しデータ受信手段203は、CPU1にて書き込まれたデータをデュアルポートRAM101から読み出すように、CPU1、2の双方に指令することができる。そして、故障診断手段204は、CPU1、2の双方に読み出すように指令した読み出しデータが互いの異なる場合、デュアルポートRAM101に異常があると判断することができる。
【0034】
これにより、パーソナルコンピュータ201上に搭載されたソフトウェアからデュアルポートRAM101の検査の指令を行わせることができ、ドア駆動制御装置10のメモリの制約を受けることなく、大きなソフトウェアを実行することができる。このため、サーキットテスタなどの大掛かりな検査装置を用いることなく、複数のCPU1、4に接続されたデュアルポートRAM101の異常個所を検査することが可能となり、簡易な装置にて異常個所をフィールドで特定することが可能となる。
【0035】
図6〜図10は、本発明の一実施形態に係る車両用ドア駆動制御検査装置の動作を示すフローチャートである。なお、この動作は、故障検出モードに入った時に図5のパーソナルコンピュータ201上で起動され、通常動作時には起動されないようにすることができる。
図6において、図5の書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101の全クリア指令をCPU1に対して行うと、CPU1は、デュアルポートRAM101の全クリアを行う(ステップS11)。
【0036】
次に、CPU1は、デュアルポートRAM101からアドレス全範囲のデータを読み出し(ステップS12)、その読み出しデータをパーソナルコンピュータ201に送ることで、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信する(ステップS13)。
そして、故障診断手段204は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータがすべて0であるかどうかを判断し(ステップS14)、すべて0である場合には、ステップS15に進む。
【0037】
そして、ステップS15において、図5の書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101の記憶領域全体にビット単位で1を書き込むようにCPU1に指令すると、CPU1は、デュアルポートRAM101の記憶領域全体にビット単位で1を書き込む(ステップS15)。
次に、CPU1は、デュアルポートRAM101からアドレス全範囲のデータを読み出し(ステップS16)、その読み出しデータをパーソナルコンピュータ201に送ることで、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信する(ステップS17)。
【0038】
そして、故障診断手段204は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータがすべてビット単位で1であるかどうかを判断し(ステップS18)、すべてビット単位で1である場合には、ステップS19に進む。
そして、ステップS19において、図5の書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101の全クリア指令をCPU1に対して行うと、CPU1は、デュアルポートRAM101の全クリアを行う(ステップS19)。
【0039】
次に、図5の書き込み指令手段202は、書き込みデータを2から1づつインクリメントさせ、書き込みデータが256になったら書き込みデータを2に初期化して再び1づつインクリメントさせるという手順を繰り返しながら、デュアルポートRAM101の先頭アドレスから書き込むようにCPU1に指令すると、CPU1は、書き込み指令手段202から指定された書き込みデータをデュアルポートRAM101の先頭アドレスから順次書き込む(ステップS20〜S27)。
【0040】
次に、CPU1は、デュアルポートRAM101からすべてのデータを読み出し(ステップS28)、その読み出しデータをパーソナルコンピュータ201に送ることで、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信する(ステップS29)。
そして、故障診断手段204は、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータが、書き込み指令手段202にて指令された書き込みデータと一致するかどうかを判断し(ステップS30)、すべてのデータが一致する場合には、ステップS31に進む。
【0041】
次に、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101からすべてのデータを読み出すようにCPU2に指令し、CPU2は、デュアルポートRAM101からすべてのデータを読み出す(ステップS31)。そして、CPU2は、その読み出しデータをパーソナルコンピュータ201に送ることで、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信する(ステップS32)。
【0042】
そして、故障診断手段204は、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータが、書き込み指令手段202にて指令された書き込みデータと一致するかどうかを判断し(ステップS33)、すべてのデータが一致する場合には、ステップS34に進む。
そして、ステップS34において、図5の書き込み指令手段202は、デュアルポートRAM101の全クリア指令をCPU1に対して行うと、CPU1は、デュアルポートRAM101の全クリアを行う(ステップS34)。
【0043】
次に、図5の書き込み指令手段202は、書き込みデータを−2から1づつディクリメントさせ、書き込みデータが−256になったら書き込みデータを−2に初期化して再び1づつディクリメントさせるという手順を繰り返しながら、デュアルポートRAM101の先頭アドレスから書き込むようにCPU1に指令すると、CPU1は、書き込み指令手段202から指定された書き込みデータをデュアルポートRAM101の先頭アドレスから順次書き込む(ステップS35〜S42)。
【0044】
次に、CPU1は、デュアルポートRAM101からすべてのデータを読み出し(ステップS43)、その読み出しデータをパーソナルコンピュータ201に送ることで、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信する(ステップS44)。
そして、故障診断手段204は、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータが、書き込み指令手段202にて指令された書き込みデータと一致するかどうかを判断し(ステップS45)、すべてのデータが一致する場合には、ステップS46に進む。
【0045】
次に、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101からすべてのデータを読み出すようにCPU2に指令し、CPU2は、デュアルポートRAM101からすべてのデータを読み出す(ステップS46)。そして、CPU2は、その読み出しデータをパーソナルコンピュータ201に送ることで、読み出しデータ受信手段203は、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータを受信する(ステップS47)。
【0046】
そして、故障診断手段204は、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータが、書き込み指令手段202にて指令された書き込みデータと一致するかどうかを判断し(ステップS48)、すべてのデータが一致する場合には、処理を終了する。
一方、ステップS14において、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータがすべて0であるという条件を満たさない場合、全てのアドレスの全てのビットが1かどうかを判断する(ステップS49)。そして、全てのアドレスの全てのビットが1の場合、パーソナルコンピュータ201の画面上にストローブ信号異常および全体的なハンダのチェックを促す旨を表示する。
【0047】
一方、ステップS49において、デュアルポートRAM101の全てのアドレスの全てのビットが1であるという条件を満たさない場合、全てのアドレスにおいて読み出しデータの特定のビット位置のみが1かどうかを判断する(ステップS50)。そして、全てのアドレスにおいて読み出しデータの特定のビット位置のみが1の場合、異常と思われるデータバスのビットをパーソナルコンピュータ201の画面上に表示する(ステップS52)。
【0048】
一方、ステップS50において、全てのアドレスにおいて読み出しデータの特定のビット位置のみが1という条件を満たさない場合、該当アドレスと異常のあるデータをパーソナルコンピュータ201の画面上に表示する(ステップS51)。
一方、ステップS18において、デュアルポートRAM101から読み出された読み出しデータがすべてビット単位で1でない場合、全てのアドレスにおいて読み出しデータの特定のビット位置のみが0かどうかを判断する(ステップS55)。そして、全てのアドレスにおいて読み出しデータの特定のビット位置のみが0の場合、異常と思われるデータバスのビットをパーソナルコンピュータ201の画面上に表示する(ステップS57)。
【0049】
一方、ステップS55において、全てのアドレスにおいて読み出しデータの特定のビット位置のみが0という条件を満たさない場合、該当アドレスと異常のあるデータをパーソナルコンピュータ201の画面上に表示する(ステップS56)。
一方、ステップS30、S33、S45、S48において、読み出しデータ受信手段203にて受信された読み出しデータが、書き込み指令手段202にて指令された書き込みデータと一致しない場合、異常と思われるデータバスのビットをパーソナルコンピュータ201の画面上に表示する(ステップS58)。
【符号の説明】
【0050】
1〜4 CPU
101〜103 デュアルポートRAM
1a、1b 車両用ドア
2a、2b リニアモータ
3a、3b 連結部
4a、4b 施錠装置
5a、5b 位置検出部
6 通信インターフェース
10 ドア駆動制御装置
11 運転指令演算器
12 速度演算器
13 位置演算器
14 異常検出器
15 電力変換器
20 運転台
21 表示部
201 パーソナルコンピュータ
202 書き込み指令手段
203 読み出しデータ受信手段
204 故障診断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルポートRAMに接続されたCPUに対して前記デュアルポートRAMに対する書き込み指令を行う書き込み指令手段と、
前記CPUにて前記デュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信する読み出しデータ受信手段と、
前記書き込み指令手段にて指令された書き込みデータと、前記読み出しデータ受信手段にて受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、前記デュアルポートRAMの故障を診断する故障診断手段とを備えることを特徴とする車両用ドア駆動制御検査装置。
【請求項2】
デュアルポートRAMに接続されたCPUに対して前記デュアルポートRAMに対する書き込み指令を行うステップと、
前記CPUにて前記デュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記指令された書き込みデータと、前記受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、前記デュアルポートRAMの故障を診断するステップとを備えることを特徴とする車両用ドア駆動制御検査方法。
【請求項3】
前記デュアルポートRAMの記憶領域全体をクリアするように前記CPUに対して指令するステップと、
前記CPUにてクリアされたデュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記受信された読み出しデータに0以外のデータが含まれる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア駆動制御検査方法。
【請求項4】
前記デュアルポートRAMの記憶領域全体に1を書き込むように前記CPUに対して指令するステップと、
前記CPUにて1が書き込まれたデュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記受信された読み出しデータに1以外のデータが含まれる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア駆動制御検査方法。
【請求項5】
前記デュアルポートRAMの指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むように前記CPUに対して指令するステップと、
前記CPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記受信された読み出しデータが前記指定されたデータと異なる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア駆動制御検査方法。
【請求項6】
前記デュアルポートRAMの指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むように第1のCPUに対して指令するステップと、
前記第1のCPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから第2のCPUにて読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記受信された読み出しデータが前記指定されたデータと異なる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア駆動制御検査方法。
【請求項7】
前記デュアルポートRAMの指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むように第1のCPUに対して指令するステップと、
前記第1のCPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから前記第1のCPUにて読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記第1のCPUにてデータが書き込まれたデュアルポートRAMの前記指定されたアドレスから第2のCPUにて読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記第1のCPUにて読み出された読み出しデータと、前記第2のCPUにて読み出された読み出しデータとが異なる場合、前記デュアルポートRAMに異常があると判断するステップとを備えることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア駆動制御検査方法。
【請求項8】
デュアルポートRAMに接続されたCPUに対して前記デュアルポートRAMに対する書き込み指令を行うステップと、
前記CPUにて前記デュアルポートRAMから読み出された読み出しデータを受信するステップと、
前記指令された書き込みデータと、前記受信された読み出しデータとの比較結果に基づいて、前記デュアルポートRAMの故障を診断するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする車両用ドア駆動制御検査プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−194858(P2012−194858A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59122(P2011−59122)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】