車両用ドア
【課題】サイドシルの外側面を別部材で覆う構造を採用する場合に、乗員の乗降性を良好にするとともに、重量の増加及び部品点数の増加を抑制し、さらに、車両の見栄えを良好にする。
【解決手段】車室内側に配置されるインナパネル10と、車外側に配置されるアウタパネル20とを備え、車両の側部に配設される車両用ドア1である。アウタパネル20の少なくとも下側部分は、樹脂材料を成形してなる樹脂部22で構成されている。樹脂部22は、車両の下部側方において前後方向に延びるサイドシルSの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルSの下部と重なるように形成されている。
【解決手段】車室内側に配置されるインナパネル10と、車外側に配置されるアウタパネル20とを備え、車両の側部に配設される車両用ドア1である。アウタパネル20の少なくとも下側部分は、樹脂材料を成形してなる樹脂部22で構成されている。樹脂部22は、車両の下部側方において前後方向に延びるサイドシルSの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルSの下部と重なるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けられるドアの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用ドアは、車室側のインナパネルと車外側のアウタパネルとを組み合わせて構成されている。これらインナパネル及びアウタパネルの一部または全部を樹脂材料で成形することが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、車両用ドアにおいて、板状のドアガーニッシュを備えたものがある。このドアガーニッシュは、樹脂材料で成形されており、アウタパネル外面の下側部分に、該アウタパネルを覆うようにファスナ等を用いて取り付けられている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
また、車両は、フロアパネルの側部に沿って前後方向に延びるサイドシルを備えている。サイドシルには、サイドシルガーニッシュが取り付けられる場合がある。サイドシルガーニッシュは、サイドシルの外側面を覆い、サイドシルに沿って前後方向に延びる形状となっている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−12526号公報
【特許文献2】特開2003−170741号公報
【特許文献3】特開2005−104376号公報
【特許文献4】特開2005−306183号公報
【特許文献5】特開2009−1062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献4のドアガーニッシュを備えた車両用ドアは、ドアガーニッシュがアウタパネルを覆うように取り付けられているので、ドアの下側部分は、アウタパネルとドアガーニッシュとの二重構造となる。この二重構造はドアの強度向上等に殆ど貢献せず、単なる飾りのためだけの構造であるが、この構造によってドアの重量増を招く。また、ドアガーニッシュを設ける場合には、取付用のファスナ等が必要になり、部品点数及び重量が増加する。
【0007】
また、特許文献5のサイドシルガーニッシュを設ける場合には、車両の部品点数が増加し、重量も増加する。さらに、サイドシルガーニッシュは、サイドシルの外面を覆うものであるので、サイドシルガーニッシュを取り付けることは、サイドシルが車幅方向に分厚くなることと等しい。サイドシルが分厚くなると、乗員が乗降する際にシートと車外空間との間隔が広がることになり、乗降性が悪化するという問題がある。
【0008】
また、特許文献4のドアガーニッシュや特許文献5のサイドシルガーニッシュは、ドアとは別の塗装工程を経た後、ドアやサイドシルに取り付けられるので、車両の外板色との色の差が出易いという問題もある。
【0009】
さらに、特許文献5のように、一般の車両では、ドアの下縁部はサイドシルの上下方向中間部に位置しているので、車両の側面視でドアの下縁部とサイドシルとの間には隙間ができ、車両の見栄えが好ましくないことが考えられる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サイドシルの外側面を別部材で覆う構造を採用する場合に、乗員の乗降性を良好にするとともに、重量の増加及び部品点数の増加を抑制し、さらに、車両の見栄えを良好にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、アウタパネルの少なくとも一部を樹脂材料で成形し、この樹脂部を、サイドシルの外側面を覆うように下方へ延ばすようにした。
【0012】
第1の発明は、車室内側に配置されるインナパネルと、車外側に配置されるアウタパネルとを備え、車両の側部に配設される車両用ドアにおいて、上記アウタパネルの少なくとも下側部分は、樹脂材料を成形してなる樹脂部で構成され、上記樹脂部は、車両の下部側方において前後方向に延びるサイドシルの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルの下部と重なるまで下方へ延びていることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、アウタパネルの下側部分を樹脂材料からなる樹脂部としたので、この樹脂部にドアガーニッシュの機能を持たせることができ、ドアの外側部分を二重構造にせずに済む。また、樹脂部でサイドシルを覆うようにしたことで、サイドシルガーニッシュが不要になる。これらのことにより、部品点数が減少するとともに、軽量化が図られる。
【0014】
また、サイドシルガーニッシュが不要になることで、特許文献5のものに比べてサイドシルが車幅方向に薄くなったのと等しくなり、乗員の乗降性が向上する。
【0015】
また、樹脂部はドアの一部を構成するものなので、ドアの他の部分や車体と同時に塗装することが可能になり、車両の外板色との色が合い易くなる。
【0016】
さらに、樹脂部がサイドシルを覆うまで下方へ延びているので、側面視でドアの下縁部とサイドシルとの隙間がなくなる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、インナパネルは金属材で構成され、アウタパネルの上側部分は、上記インナパネルを構成する金属材よりも比重の小さい金属材で構成され、樹脂部は、上記アウタパネルの上側部分と上記インナパネルとに結合されることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、アウタパネルの上側部分が軽量になるので、ドアの軽量化が可能になる。さらに、本発明では、アウタパネルの上側部分とインナパネルとで電位差が異なることになるので、接触させると電食の懸念があるが、アウタパネルの上側部分とインナパネルとの間に樹脂部が介在することになり、これにより、電食が防止される。
【0019】
第3の発明は、第1または2の発明において、インナパネルは、サイドシルの下部まで延び、樹脂部の下部と上記インナパネルの下部とが結合されていることを特徴とするを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、樹脂部が下方へ延びていることによる剛性の低下が抑制される。
【0021】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、樹脂部には、アウタパネルの上側部分よりも車外側へ突出するドアプロテクター部が一体成形されていることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、ドアの傷付き防止のためのドアプロテクターを部品点数の増加を招くことなく設けることが可能になる。
【0023】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、樹脂部の下部には、サイドシルの下方へ延びる延出部が設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、サイドシルの下面が樹脂部の延出部によって覆われることになる。これにより、サイドシルの外側面が汚れにくくなり、乗員の衣服の汚れが防止され、また、走行中に跳ね上げられた小石等がサイドシルに当たりにくくなり、騒音の低減が可能になる。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によれば、アウタパネルの少なくとも下側部分を樹脂部とし、この樹脂部を、サイドシルの外側面を覆うように下方へ延ばしたことで、ドアガーニッシュ及びサイドシルガーニッシュが不要になり、部品点数を削減して低コスト化を図ることができるとともに、軽量を図ることができる。また、サイドシルガーニッシュが不要になることで、乗員の乗降性を向上できる。しかも、樹脂部と車両の外板色との色が合い易くなり、また、側面視でドアの下縁部とサイドシルとの隙間が無く、すっきりとした印象を与えることができ、これらのことにより見栄えを向上できる。
【0026】
第2の発明によれば、アウタパネルの上側部分を比重の小さい金属材で構成してドアをより一層軽量化する場合に、樹脂部を利用して電食を防止できる。
【0027】
第3の発明によれば、インナパネルを下方へ延ばして樹脂部の下部と結合したので、樹脂部の剛性を確保することができる。
【0028】
第4の発明によれば、ドアプロテクター部を低コストで設けることができる。
【0029】
第5の発明によれば、樹脂部の下部にサイドシルの下方へ延びる延出部を設けたので、乗員の衣服の汚れを防止できるとともに、走行時に跳ね上げられた小石等による騒音の発生を抑制して車内の静粛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両用ドアの側面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図1におけるV−V線断面図である。
【図6】図1におけるVI−VI線断面図である。
【図7】実施形態1の変形例1にかかるアウタパネルの金属部と樹脂部との結合構造を示す断面図である。
【図8】実施形態1の変形例2にかかる図7相当図である。
【図9】実施形態1の変形例3にかかる図5相当図である。
【図10】実施形態1の変形例4にかかる図6相当図である。
【図11】実施形態1の変形例5にかかる図6相当図である。
【図12】実施形態1の変形例6にかかる図6相当図である。
【図13】実施形態2にかかる車両用ドアの下部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる車両用ドア1の側面図である。この車両用ドア1は、乗用自動車の左側前部に取り付けられる前ドアである。
【0033】
車両用ドア1の構造を説明する前に、この車両の下部構造について図2に基づいて説明する。
【0034】
車両の下部には、フロアパネルFPの左右両縁部において車両前後方向に延びるサイドシルSがそれぞれ設けられている(図2には左側のもののみ示す)。サイドシルSは、フロアパネルFP側に配置されるサイドシルインナパネルSiと、車外側に配置されるサイドシルアウタパネルSoと、サイドシルインナパネルSi及びサイドシルアウタパネルSoの間に配置されるサイドシルレインフォースメントSrとを備え、閉断面構造となっている。サイドシルインナパネルSi、サイドシルアウタパネルSo及びサイドシルレインフォースメントSrは、サイドシルSの上部及び下部において互いに接合されている。
【0035】
また、フロアパネルFPの下方には、フロアパネルFPの下面を覆うアンダーカバーYが設けられている。
【0036】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
【0037】
上記車両用ドア1は、図1に示すように、ドア本体2と、サッシュ3とを備えている。図2に示すように、ドア本体2は、車室側に配置されるインナパネル10と、車外側に配置されるアウタパネル20とを備えている。
【0038】
図1に示すように、サッシュ3の下端部はドア本体2に固定されている。サッシュ3は、ドア本体2のインナパネル10の上縁部とアウタパネル20の上縁部との間を昇降するウインドガラスG(図1にのみ示す)を保持するように構成されている。
【0039】
図2に示すように、ドア本体2のインナパネル10とアウタパネル20との間には、空間が設けられており、この空間がドア袋部Rとされている。ドア袋部Rには、ウインドガラスGの他、ウインドガラスGの昇降装置(図示せず)等が収容されるようになっている。
【0040】
インナパネル10は、鋼板をプレス成形してなるものであり、上下方向に延びている。インナパネル10の上下方向中央部には、車室内外方向に貫通する貫通孔11が形成されている。インナパネル10の上部におけるドア袋部R側の面には、インナ側ベルトラインレインフォースメント12が設けられている。このインナ側ベルトラインレインフォースメント12は、鋼板をプレス成形してなるものであり、ドア本体2の前端部から後端部に亘って延びている。インナ側ベルトラインレインフォースメント12の上端部がインナパネル10の上端部に接合され、また、インナ側ベルトラインレインフォースメント12の下端部がインナパネル10の貫通孔11上縁部近傍に接合されている。
【0041】
インナパネル10は、サイドシルSの上端部よりも下方へ延びている。インナパネル10のサイドシルSよりも上側部分の車幅方向の位置は、サイドシルSの外側面よりも車室内側に位置しており、サイドシルSの車幅方向中間部に対応する位置となっている。
【0042】
インナパネル10におけるサイドシルSの上端部よりも下側部分(側面視でサイドシルSと重なる部分)には、車外側へ向けて膨出する膨出部13が形成されている。膨出部13は、インナパネル10の前端部から後端部に亘って形成されている。膨出部13の上面部13aは、サイドシルSの上面部に沿うように車外側へ延びている。膨出部13の膨出方向の先端面部13bは、サイドシルSの外側面に沿うように上下方向に延びている。膨出部13の下面部13cは、下側へ行くほど車室側に位置するように傾斜して延び、その下縁部は略鉛直に延びている。
【0043】
インナパネル10の下縁部の高さは、サイドシルSの下端部の高さと略同じか、サイドシルSの下端部の高さよりも若干高く設定されている。
【0044】
膨出部13の先端面部13bには、上下方向の中央部近傍にアウタパネル20を結合するための上側孔部13dが車室内外方向に貫通するように形成されている。また、膨出部13の下面部13cの下端部には、アウタパネル20を結合するための下側孔部13eが車室内外方向に貫通するように形成されている。
【0045】
また、インナパネル10の車室側の面は、トリム30(図2に下部のみ示す)で覆われている。
【0046】
アウタパネル20は、上下異種材料で構成されている。すなわち、アウタパネル20の上側部分は、アルミニウム合金製の板材(金属材)をプレス成形してなる金属部21とされ、アウタパネル20の下側部分は、樹脂材料を射出成形してなる樹脂部22とされている。樹脂部22を構成する材料としては、車両の塗装時の加熱に耐え得る耐熱性を有する樹脂材が好ましく、例えば、ポリアミドやポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。また、樹脂部22の成形方法は射出成形法に限られるものではなく、各種成形法を用いることができる。樹脂部22は金属板のプレス成形に比べて成形自由度が高く、複雑な形状も成形できる。
【0047】
アウタパネル20の下側部分を樹脂部22としたことで、ドアガーニッシュの機能を持たせることができる。
【0048】
金属部21の上部におけるドア袋部R側の面には、アウタ側ベルトラインレインフォースメント23が設けられている。このアウタ側ベルトラインレインフォースメント23は、アルミニウム合金製の板材をプレス成形してなるものであり、ドア本体2の前端部から後端部に亘って延びている。アウタ側ベルトラインレインフォースメント23の上端部がアウタパネル20の上端部に接合され、また、アウタ側ベルトラインレインフォースメント23の下端部はアウタパネル20に接着剤24により接合されている。
【0049】
金属部21の下縁部には、ドア袋部R側へ向けて略水平に折り曲げられた上側フランジ21aが形成されている。この上側フランジ21aは金属部21の前端部から後端部に亘って延びている。上側フランジ21aには、上下方向に貫通する複数の上側孔部21bが前後方向に所定の間隔をあけて形成されている。
【0050】
樹脂部22は、サイドシルSの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルSの下部と重なるまで下方へ延びている。具体的には、樹脂部22の下縁部の高さは、サイドシルSの下縁部の高さと略同じか、サイドシルSの下縁部よりも若干低く設定されている。これにより、側面視でサイドシルSの上端部から下端部までが樹脂部22により覆われた状態となり、サイドシルSの全体が見えなくなる。
【0051】
尚、樹脂部22の下縁部の高さは、サイドシルSの下縁部の高さよりも数mm〜10mm程度高く設定してもよく、この程度の高さの差であれば、側面から見たときにサイドシルSが殆ど見えない。
【0052】
このように樹脂部22の下端部の高さを設定しているため、樹脂部22は、サイドシルガーニッシュの機能も有することになる。
【0053】
樹脂部22の上縁部には、ドア袋部R側へ向けて略水平に突出する下側フランジ22aが形成されている。この下側フランジ22aは、上記上側フランジ21aに沿って樹脂部22の前端部から後端部に亘って延びている。下側フランジ22aには、上記上側孔部21bと一致する下側孔部22bが形成されている。
【0054】
上側孔部21b及び下側孔部22bには、ファスナFが嵌入され、このファスナFによって金属部21の下縁部と樹脂部22の上縁部とが結合される。
【0055】
樹脂部22の上縁部近傍の外面には、金属部21よりも車外側へ突出するドアプロテクター部25が一体成形されている。このドアプロテクター部25は、アウタパネル20を保護するためのものであり、図1に示すように、前端部から後端部に亘って連続して延びている。
【0056】
樹脂部22のドアプロテクター部25よりも下側部分は、下側へ行くほど車室側に位置するように緩やかに湾曲して延びている。そして、樹脂部22の下部近傍には、車室側へ窪んで前後方向に延びる凹条部26が形成されている。この凹条部26は、側面視でサイドシルSに重なる位置にある。
【0057】
樹脂部22のドア袋部R側の面には、インナパネル10に結合される結合部28が一体成形されている。結合部28は、ドア袋部Rへ向けて突出する箱状に形成されている。結合部28の突出方向の先端面部28aは、インナパネル10の膨出部13の先端面部13bに沿うように形成されている。この結合部28の先端面部28aには、膨出部13の上側孔部13dと一致する孔部28bが車室内外方向に貫通するように形成されている。
【0058】
膨出部13の上側孔部13d及び結合部28の孔部28bには、ファスナFが嵌入され、このファスナFによって樹脂部22の下側とインナパネル10の下側とが結合される。
【0059】
樹脂部22の凹条部26よりも下側は、サイドシルSの下方へ向けて延びるように湾曲形成されている。そして、樹脂部22の下縁部には、サイドシルSの下面を覆うように車幅内方へ略水平に延びる延出部29が形成されている。この延出部29の上面には、上方へ突出して前後方向に延びる板部29aが形成されている。板部29aには、インナパネル10の下側孔部13eと一致する孔部29bが形成されている。
【0060】
インナパネル10の下側孔部13e及び板部29aの孔部29bには、サイドシルS側からネジ41が挿入される。このネジ41にナット40を螺合させることによって樹脂部22の下縁部とインナパネル10の下縁部近傍とが結合される。
【0061】
また、図3に示すように、インナパネル10の前縁部とアウタパネル20の金属部21の前縁部とはヘミング加工により接合されている。同様に、図4に示すように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の金属部21の後縁部とはヘミング加工により接合されている。
【0062】
また、図5に示すように、インナパネル10の前縁部とアウタパネル20の樹脂部22の前縁部とは、ネジ50及びナット51により締結されている。すなわち、樹脂部22の前縁部には、水平方向の断面が後側に開放するコ字状断面とされた取付部31が形成されている。この取付部31には、孔部31aが形成されている。一方、インナパネル10の前縁部には、孔部31aと一致する孔部10aが形成されている。これら孔部31a、10aにネジ50を挿入し、ネジ50にナット51を螺合させることで、インナパネル10の前縁部と樹脂部22の前縁部とが結合される。
【0063】
また、図6に示すように、インナパネル10の後縁部には孔部10eが形成され、アウタパネル20の樹脂部22の後縁部には孔部22eが形成されている。孔部10e,22eにネジ50を挿入し、このネジ50にナット51を螺合させることにより、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部とが結合される。インナパネル10の後縁部の結合部分及びアウタパネル20の樹脂部22の後縁部の結合部分は、車室内外方向に延びており、樹脂部22の結合部分がインナパネル10の結合部分の後側に配置されている。
【0064】
次に、上記のように構成された車両用ドア10の製造要領について説明する。まず、車両の外板色に塗装する前のインナパネル10とアウタパネル20の金属部21とをヘミング加工により結合しておく。そして、インナパネル10及び金属部21にのみ防錆のための電着塗装を施す。このとき、アウタパネル20の樹脂部22が無いので、インナパネル10及び金属部21の全体に完全に塗料を付着させることができる。これにより、防錆効果が高まる。
【0065】
その後、外板色の塗装工程に移る。その前に、アウタパネル20の樹脂部22を、例えば、上端部のみインナパネル10にファスナFで仮に付けておき、樹脂部22の下部はインナパネル10に結合させないようにしておく。尚、このとき、樹脂部22を吊り下げておいてもよい。
【0066】
そして、この車両用ドア1の中間製造品(図示せず)を車体と共に塗装ラインで塗装する。これにより、車体の外板と、車両用ドア1のアウタパネル20の金属部21及び樹脂部22とを同ラインで同時に塗装できるので色が合い易い。また、塗装時には、インナパネル10とアウタパネル20とが加熱され、このとき、インナパネル10と樹脂部22との線膨張係数の差によって膨張度合いが異なるが、インナパネル10と樹脂部22との下側は結合されていないので、両者に無理な力がかかりにくくなる。
【0067】
塗装後、インナパネル10とアウタパネル20の樹脂部22とを結合することで、車両用ドア1が得られる。この車両用ドア1は、アウタパネル20の金属部21がインナパネル10を構成する材料よりも比重が小さいので軽量である。
【0068】
また、車両用ドア1の下端部には雨水や洗車時の水等が付着して溜まり易いが、この実施形態では、アルミニウム合金製の金属部21と鋼板製のインナパネル10とが下側部分において接触しないように樹脂部22が設けられているので、電食が抑制される。
【0069】
上記のように構成された車両用ドア1を車両に取り付けると、図2に示すように、サイドシルSを外側方から覆い、また、樹脂部22の延出部29によってサイドシルSの下面が覆われる。
【0070】
このようにサイドシルSを覆う形状であるため、側面視でドア1の下縁部とサイドシルSとの間に隙間が無く、すっきりとした印象を与えることができる。
【0071】
また、走行中、例えば、タイヤが小石等を跳ね上げた場合には、延出部29が形成されていることにより、小石等がサイドシルSに直接当たるのを抑制することが可能になる。これにより、騒音が低減される。
【0072】
また、サイドシルSが下面まで覆われているので、サイドシルSの外側面の汚れが抑制される。これにより、乗員の衣服がサイドシルSに触れた際に、衣服の汚れが防止される。
【0073】
また、車両用ドア1を開けた状態では、サイドシルガーニッシュが無い状態になるので、従来例のものに比べてサイドシルSが車幅方向に薄くなったのと等しく、よって、乗員の乗降性が向上する。
【0074】
以上説明したように、この実施形態1にかかる車両用ドア1は、アウタパネル20の下側部分を樹脂部22としたので、この樹脂部22にドアガーニッシュの機能を持たせることができ、ドア1の外側部分を二重構造にせずに済む。また、樹脂部22でサイドシルSを覆うようにしたことで、サイドシルガーニッシュが不要になる。これらのことにより、部品点数を減少できるとともに、軽量化を図ることができる。また、サイドシルガーニッシュが不要になることで、サイドシルSが車幅方向に薄くなったのと等しくなり、乗員の乗降性を向上できる。
【0075】
また、樹脂部22はドア1の一部を構成するものなので、ドア1の他の部分や車体と同時に塗装することができる。これにより、車両の外板色とドア1の色とが合い易くなる。さらに、樹脂部22がサイドシルSを覆うまで下方へ延びているので、側面視でドア1の下縁部とサイドシルSとの隙間が無く、すっきりとした印象を与えることができる。これらのことにより、見栄えを良好にできる。
【0076】
また、アウタパネル20の金属部21を鋼板よりも比重の小さいアルミニウム合金製としてドア1をより一層軽量化できる。そして、樹脂部22を、アウタパネル20の金属部21とインナパネル10とに結合されるものとしたので、樹脂部22を利用して電食を防止できる。
【0077】
また、インナパネル10を下方へ延ばして樹脂部22の下部と結合したので、樹脂部22の剛性を確保することができる。
【0078】
また、ドアプロテクター部25を樹脂部22に一体成形したので、ドアプロテクター部25を低コストで設けることができる。
【0079】
また、樹脂部22の下部にサイドシルSの下方へ延びる延出部29を設けたので、乗員の衣服の汚れを防止できるとともに、走行時に跳ね上げられた小石等による騒音の発生を抑制して車内の静粛性を高めることができる。
【0080】
尚、アウタパネル20の金属部21と樹脂部22との結合構造は上記した構造に限られるものではなく、例えば、図7に示す変形例1のように上側フランジ21aと下側フランジ22aとを傾斜させてもよいし、また、図8に示す変形例2のように上側フランジ21aと下側フランジ22aとを略鉛直に延びるようにしてもよい。
【0081】
図7の変形例1の上側フランジ21a及び下側フランジ22aは、車室側へ向かって下降傾斜している。
【0082】
また、ファスナとしては、図8の変形例2に示すようなファスナF2を使用してもよく、このファスナF2は、上側フランジ21aと下側フランジ22aとの間に隙間を設けることができるようになっている。
【0083】
また、図9に示す変形例3のように、インナパネル10の前縁部とアウタパネル20の樹脂部22の前縁部とをファスナFにより結合してもよい。
【0084】
また、図10に示す変形例4のように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部とをファスナFにより結合してもよい。
【0085】
また、図11に示す変形例5のように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部とをネジ50及びナット51により結合する場合に、結合部分を前後方向に延びる板状に形成してもよい。
【0086】
また、図12に示す変形例6のように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部の接合部分を車室内外方向に延びるようにする場合に、インナパネル10の結合部分を樹脂部22の結合部分の後側に配置し、ファスナFにより結合するようにしてもよい。
【0087】
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2にかかる車両用ドア1の下部の断面図である。この実施形態2の車両用ドア1は、実施形態1のものに比べて、アウタパネル20の樹脂部22の上下寸法が短く設定されている。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0088】
すなわち、樹脂部22の上縁部の高さは、サイドシルSの上端部の高さと略一致している。
【0089】
また、金属部21の下縁部は、サイドシルSの上端部よりも下方まで延びており、膨出部13に沿うように上下方向に延びている。金属部21の下縁部には、膨出部13の上側孔部13dに一致する孔部22dが形成されている。
【0090】
金属部21の下縁部と膨出部13との間には、スペーサ60が配置されている。このスペーサ60は樹脂製であり、金属部21とインナパネル10とを絶縁するためのものである。スペーサ60は、塗装工程が終わった後に組み付けられる。
【0091】
したがって、この実施形態2にかかる車両用ドア1は、実施形態1と同様に、アウタパネル20の下側部分を樹脂部22としたので、部品点数を減少できるとともに、軽量化を図ることができる。また、サイドシルガーニッシュが不要になり、乗員の乗降性を向上できる。
【0092】
また、樹脂部22をドア1の他の部分や車体と同時に塗装することができるので、車両の外板色とドアの色とが合い易くなり、また、側面視でドア1の下縁部とサイドシルSとの隙間がなくなり、すっきりとした印象を与えることができる。これらのことにより、見栄えを良好にできる。
【0093】
尚、上記実施形態1、2では、車両用ドア1が前側の左ドアである場合について説明したが、本発明は、前側の右ドア、後側の左右両ドアに適用することも可能であり、また、スライドドアにも適用することもできる。
【0094】
また、樹脂部22の大きさは、上記した大きさに限られるものではなく、ドア1の上端部近傍まで延びる大きなものであってもよい。また、アウタパネル20の全体を樹脂部としてもよい。
【0095】
また、各部材の材料は上記に限られるものではない。
【0096】
また、インナパネル10とアウタパネル20との結合、金属部21と樹脂部22との結合部分は、例えば、リベット、ボルト、タッピングスクリュー等を用いて結合してもよく、締結部材を用いる結合構造であれば特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように、本発明にかかる車両用ドアは、例えば自動車の側部に配設されるドアとして適している。
【符号の説明】
【0098】
1 車両用ドア
2 ドア本体
3 サッシュ
10 インナパネル
20 アウタパネル
21 金属部
22 樹脂部
25 ドアプロテクター部
29 延出部
FP フロアパネル
R ドア袋部
S サイドシル
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けられるドアの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用ドアは、車室側のインナパネルと車外側のアウタパネルとを組み合わせて構成されている。これらインナパネル及びアウタパネルの一部または全部を樹脂材料で成形することが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、車両用ドアにおいて、板状のドアガーニッシュを備えたものがある。このドアガーニッシュは、樹脂材料で成形されており、アウタパネル外面の下側部分に、該アウタパネルを覆うようにファスナ等を用いて取り付けられている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
また、車両は、フロアパネルの側部に沿って前後方向に延びるサイドシルを備えている。サイドシルには、サイドシルガーニッシュが取り付けられる場合がある。サイドシルガーニッシュは、サイドシルの外側面を覆い、サイドシルに沿って前後方向に延びる形状となっている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−12526号公報
【特許文献2】特開2003−170741号公報
【特許文献3】特開2005−104376号公報
【特許文献4】特開2005−306183号公報
【特許文献5】特開2009−1062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献4のドアガーニッシュを備えた車両用ドアは、ドアガーニッシュがアウタパネルを覆うように取り付けられているので、ドアの下側部分は、アウタパネルとドアガーニッシュとの二重構造となる。この二重構造はドアの強度向上等に殆ど貢献せず、単なる飾りのためだけの構造であるが、この構造によってドアの重量増を招く。また、ドアガーニッシュを設ける場合には、取付用のファスナ等が必要になり、部品点数及び重量が増加する。
【0007】
また、特許文献5のサイドシルガーニッシュを設ける場合には、車両の部品点数が増加し、重量も増加する。さらに、サイドシルガーニッシュは、サイドシルの外面を覆うものであるので、サイドシルガーニッシュを取り付けることは、サイドシルが車幅方向に分厚くなることと等しい。サイドシルが分厚くなると、乗員が乗降する際にシートと車外空間との間隔が広がることになり、乗降性が悪化するという問題がある。
【0008】
また、特許文献4のドアガーニッシュや特許文献5のサイドシルガーニッシュは、ドアとは別の塗装工程を経た後、ドアやサイドシルに取り付けられるので、車両の外板色との色の差が出易いという問題もある。
【0009】
さらに、特許文献5のように、一般の車両では、ドアの下縁部はサイドシルの上下方向中間部に位置しているので、車両の側面視でドアの下縁部とサイドシルとの間には隙間ができ、車両の見栄えが好ましくないことが考えられる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サイドシルの外側面を別部材で覆う構造を採用する場合に、乗員の乗降性を良好にするとともに、重量の増加及び部品点数の増加を抑制し、さらに、車両の見栄えを良好にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、アウタパネルの少なくとも一部を樹脂材料で成形し、この樹脂部を、サイドシルの外側面を覆うように下方へ延ばすようにした。
【0012】
第1の発明は、車室内側に配置されるインナパネルと、車外側に配置されるアウタパネルとを備え、車両の側部に配設される車両用ドアにおいて、上記アウタパネルの少なくとも下側部分は、樹脂材料を成形してなる樹脂部で構成され、上記樹脂部は、車両の下部側方において前後方向に延びるサイドシルの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルの下部と重なるまで下方へ延びていることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、アウタパネルの下側部分を樹脂材料からなる樹脂部としたので、この樹脂部にドアガーニッシュの機能を持たせることができ、ドアの外側部分を二重構造にせずに済む。また、樹脂部でサイドシルを覆うようにしたことで、サイドシルガーニッシュが不要になる。これらのことにより、部品点数が減少するとともに、軽量化が図られる。
【0014】
また、サイドシルガーニッシュが不要になることで、特許文献5のものに比べてサイドシルが車幅方向に薄くなったのと等しくなり、乗員の乗降性が向上する。
【0015】
また、樹脂部はドアの一部を構成するものなので、ドアの他の部分や車体と同時に塗装することが可能になり、車両の外板色との色が合い易くなる。
【0016】
さらに、樹脂部がサイドシルを覆うまで下方へ延びているので、側面視でドアの下縁部とサイドシルとの隙間がなくなる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、インナパネルは金属材で構成され、アウタパネルの上側部分は、上記インナパネルを構成する金属材よりも比重の小さい金属材で構成され、樹脂部は、上記アウタパネルの上側部分と上記インナパネルとに結合されることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、アウタパネルの上側部分が軽量になるので、ドアの軽量化が可能になる。さらに、本発明では、アウタパネルの上側部分とインナパネルとで電位差が異なることになるので、接触させると電食の懸念があるが、アウタパネルの上側部分とインナパネルとの間に樹脂部が介在することになり、これにより、電食が防止される。
【0019】
第3の発明は、第1または2の発明において、インナパネルは、サイドシルの下部まで延び、樹脂部の下部と上記インナパネルの下部とが結合されていることを特徴とするを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、樹脂部が下方へ延びていることによる剛性の低下が抑制される。
【0021】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、樹脂部には、アウタパネルの上側部分よりも車外側へ突出するドアプロテクター部が一体成形されていることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、ドアの傷付き防止のためのドアプロテクターを部品点数の増加を招くことなく設けることが可能になる。
【0023】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、樹脂部の下部には、サイドシルの下方へ延びる延出部が設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、サイドシルの下面が樹脂部の延出部によって覆われることになる。これにより、サイドシルの外側面が汚れにくくなり、乗員の衣服の汚れが防止され、また、走行中に跳ね上げられた小石等がサイドシルに当たりにくくなり、騒音の低減が可能になる。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によれば、アウタパネルの少なくとも下側部分を樹脂部とし、この樹脂部を、サイドシルの外側面を覆うように下方へ延ばしたことで、ドアガーニッシュ及びサイドシルガーニッシュが不要になり、部品点数を削減して低コスト化を図ることができるとともに、軽量を図ることができる。また、サイドシルガーニッシュが不要になることで、乗員の乗降性を向上できる。しかも、樹脂部と車両の外板色との色が合い易くなり、また、側面視でドアの下縁部とサイドシルとの隙間が無く、すっきりとした印象を与えることができ、これらのことにより見栄えを向上できる。
【0026】
第2の発明によれば、アウタパネルの上側部分を比重の小さい金属材で構成してドアをより一層軽量化する場合に、樹脂部を利用して電食を防止できる。
【0027】
第3の発明によれば、インナパネルを下方へ延ばして樹脂部の下部と結合したので、樹脂部の剛性を確保することができる。
【0028】
第4の発明によれば、ドアプロテクター部を低コストで設けることができる。
【0029】
第5の発明によれば、樹脂部の下部にサイドシルの下方へ延びる延出部を設けたので、乗員の衣服の汚れを防止できるとともに、走行時に跳ね上げられた小石等による騒音の発生を抑制して車内の静粛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両用ドアの側面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図1におけるV−V線断面図である。
【図6】図1におけるVI−VI線断面図である。
【図7】実施形態1の変形例1にかかるアウタパネルの金属部と樹脂部との結合構造を示す断面図である。
【図8】実施形態1の変形例2にかかる図7相当図である。
【図9】実施形態1の変形例3にかかる図5相当図である。
【図10】実施形態1の変形例4にかかる図6相当図である。
【図11】実施形態1の変形例5にかかる図6相当図である。
【図12】実施形態1の変形例6にかかる図6相当図である。
【図13】実施形態2にかかる車両用ドアの下部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる車両用ドア1の側面図である。この車両用ドア1は、乗用自動車の左側前部に取り付けられる前ドアである。
【0033】
車両用ドア1の構造を説明する前に、この車両の下部構造について図2に基づいて説明する。
【0034】
車両の下部には、フロアパネルFPの左右両縁部において車両前後方向に延びるサイドシルSがそれぞれ設けられている(図2には左側のもののみ示す)。サイドシルSは、フロアパネルFP側に配置されるサイドシルインナパネルSiと、車外側に配置されるサイドシルアウタパネルSoと、サイドシルインナパネルSi及びサイドシルアウタパネルSoの間に配置されるサイドシルレインフォースメントSrとを備え、閉断面構造となっている。サイドシルインナパネルSi、サイドシルアウタパネルSo及びサイドシルレインフォースメントSrは、サイドシルSの上部及び下部において互いに接合されている。
【0035】
また、フロアパネルFPの下方には、フロアパネルFPの下面を覆うアンダーカバーYが設けられている。
【0036】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
【0037】
上記車両用ドア1は、図1に示すように、ドア本体2と、サッシュ3とを備えている。図2に示すように、ドア本体2は、車室側に配置されるインナパネル10と、車外側に配置されるアウタパネル20とを備えている。
【0038】
図1に示すように、サッシュ3の下端部はドア本体2に固定されている。サッシュ3は、ドア本体2のインナパネル10の上縁部とアウタパネル20の上縁部との間を昇降するウインドガラスG(図1にのみ示す)を保持するように構成されている。
【0039】
図2に示すように、ドア本体2のインナパネル10とアウタパネル20との間には、空間が設けられており、この空間がドア袋部Rとされている。ドア袋部Rには、ウインドガラスGの他、ウインドガラスGの昇降装置(図示せず)等が収容されるようになっている。
【0040】
インナパネル10は、鋼板をプレス成形してなるものであり、上下方向に延びている。インナパネル10の上下方向中央部には、車室内外方向に貫通する貫通孔11が形成されている。インナパネル10の上部におけるドア袋部R側の面には、インナ側ベルトラインレインフォースメント12が設けられている。このインナ側ベルトラインレインフォースメント12は、鋼板をプレス成形してなるものであり、ドア本体2の前端部から後端部に亘って延びている。インナ側ベルトラインレインフォースメント12の上端部がインナパネル10の上端部に接合され、また、インナ側ベルトラインレインフォースメント12の下端部がインナパネル10の貫通孔11上縁部近傍に接合されている。
【0041】
インナパネル10は、サイドシルSの上端部よりも下方へ延びている。インナパネル10のサイドシルSよりも上側部分の車幅方向の位置は、サイドシルSの外側面よりも車室内側に位置しており、サイドシルSの車幅方向中間部に対応する位置となっている。
【0042】
インナパネル10におけるサイドシルSの上端部よりも下側部分(側面視でサイドシルSと重なる部分)には、車外側へ向けて膨出する膨出部13が形成されている。膨出部13は、インナパネル10の前端部から後端部に亘って形成されている。膨出部13の上面部13aは、サイドシルSの上面部に沿うように車外側へ延びている。膨出部13の膨出方向の先端面部13bは、サイドシルSの外側面に沿うように上下方向に延びている。膨出部13の下面部13cは、下側へ行くほど車室側に位置するように傾斜して延び、その下縁部は略鉛直に延びている。
【0043】
インナパネル10の下縁部の高さは、サイドシルSの下端部の高さと略同じか、サイドシルSの下端部の高さよりも若干高く設定されている。
【0044】
膨出部13の先端面部13bには、上下方向の中央部近傍にアウタパネル20を結合するための上側孔部13dが車室内外方向に貫通するように形成されている。また、膨出部13の下面部13cの下端部には、アウタパネル20を結合するための下側孔部13eが車室内外方向に貫通するように形成されている。
【0045】
また、インナパネル10の車室側の面は、トリム30(図2に下部のみ示す)で覆われている。
【0046】
アウタパネル20は、上下異種材料で構成されている。すなわち、アウタパネル20の上側部分は、アルミニウム合金製の板材(金属材)をプレス成形してなる金属部21とされ、アウタパネル20の下側部分は、樹脂材料を射出成形してなる樹脂部22とされている。樹脂部22を構成する材料としては、車両の塗装時の加熱に耐え得る耐熱性を有する樹脂材が好ましく、例えば、ポリアミドやポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。また、樹脂部22の成形方法は射出成形法に限られるものではなく、各種成形法を用いることができる。樹脂部22は金属板のプレス成形に比べて成形自由度が高く、複雑な形状も成形できる。
【0047】
アウタパネル20の下側部分を樹脂部22としたことで、ドアガーニッシュの機能を持たせることができる。
【0048】
金属部21の上部におけるドア袋部R側の面には、アウタ側ベルトラインレインフォースメント23が設けられている。このアウタ側ベルトラインレインフォースメント23は、アルミニウム合金製の板材をプレス成形してなるものであり、ドア本体2の前端部から後端部に亘って延びている。アウタ側ベルトラインレインフォースメント23の上端部がアウタパネル20の上端部に接合され、また、アウタ側ベルトラインレインフォースメント23の下端部はアウタパネル20に接着剤24により接合されている。
【0049】
金属部21の下縁部には、ドア袋部R側へ向けて略水平に折り曲げられた上側フランジ21aが形成されている。この上側フランジ21aは金属部21の前端部から後端部に亘って延びている。上側フランジ21aには、上下方向に貫通する複数の上側孔部21bが前後方向に所定の間隔をあけて形成されている。
【0050】
樹脂部22は、サイドシルSの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルSの下部と重なるまで下方へ延びている。具体的には、樹脂部22の下縁部の高さは、サイドシルSの下縁部の高さと略同じか、サイドシルSの下縁部よりも若干低く設定されている。これにより、側面視でサイドシルSの上端部から下端部までが樹脂部22により覆われた状態となり、サイドシルSの全体が見えなくなる。
【0051】
尚、樹脂部22の下縁部の高さは、サイドシルSの下縁部の高さよりも数mm〜10mm程度高く設定してもよく、この程度の高さの差であれば、側面から見たときにサイドシルSが殆ど見えない。
【0052】
このように樹脂部22の下端部の高さを設定しているため、樹脂部22は、サイドシルガーニッシュの機能も有することになる。
【0053】
樹脂部22の上縁部には、ドア袋部R側へ向けて略水平に突出する下側フランジ22aが形成されている。この下側フランジ22aは、上記上側フランジ21aに沿って樹脂部22の前端部から後端部に亘って延びている。下側フランジ22aには、上記上側孔部21bと一致する下側孔部22bが形成されている。
【0054】
上側孔部21b及び下側孔部22bには、ファスナFが嵌入され、このファスナFによって金属部21の下縁部と樹脂部22の上縁部とが結合される。
【0055】
樹脂部22の上縁部近傍の外面には、金属部21よりも車外側へ突出するドアプロテクター部25が一体成形されている。このドアプロテクター部25は、アウタパネル20を保護するためのものであり、図1に示すように、前端部から後端部に亘って連続して延びている。
【0056】
樹脂部22のドアプロテクター部25よりも下側部分は、下側へ行くほど車室側に位置するように緩やかに湾曲して延びている。そして、樹脂部22の下部近傍には、車室側へ窪んで前後方向に延びる凹条部26が形成されている。この凹条部26は、側面視でサイドシルSに重なる位置にある。
【0057】
樹脂部22のドア袋部R側の面には、インナパネル10に結合される結合部28が一体成形されている。結合部28は、ドア袋部Rへ向けて突出する箱状に形成されている。結合部28の突出方向の先端面部28aは、インナパネル10の膨出部13の先端面部13bに沿うように形成されている。この結合部28の先端面部28aには、膨出部13の上側孔部13dと一致する孔部28bが車室内外方向に貫通するように形成されている。
【0058】
膨出部13の上側孔部13d及び結合部28の孔部28bには、ファスナFが嵌入され、このファスナFによって樹脂部22の下側とインナパネル10の下側とが結合される。
【0059】
樹脂部22の凹条部26よりも下側は、サイドシルSの下方へ向けて延びるように湾曲形成されている。そして、樹脂部22の下縁部には、サイドシルSの下面を覆うように車幅内方へ略水平に延びる延出部29が形成されている。この延出部29の上面には、上方へ突出して前後方向に延びる板部29aが形成されている。板部29aには、インナパネル10の下側孔部13eと一致する孔部29bが形成されている。
【0060】
インナパネル10の下側孔部13e及び板部29aの孔部29bには、サイドシルS側からネジ41が挿入される。このネジ41にナット40を螺合させることによって樹脂部22の下縁部とインナパネル10の下縁部近傍とが結合される。
【0061】
また、図3に示すように、インナパネル10の前縁部とアウタパネル20の金属部21の前縁部とはヘミング加工により接合されている。同様に、図4に示すように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の金属部21の後縁部とはヘミング加工により接合されている。
【0062】
また、図5に示すように、インナパネル10の前縁部とアウタパネル20の樹脂部22の前縁部とは、ネジ50及びナット51により締結されている。すなわち、樹脂部22の前縁部には、水平方向の断面が後側に開放するコ字状断面とされた取付部31が形成されている。この取付部31には、孔部31aが形成されている。一方、インナパネル10の前縁部には、孔部31aと一致する孔部10aが形成されている。これら孔部31a、10aにネジ50を挿入し、ネジ50にナット51を螺合させることで、インナパネル10の前縁部と樹脂部22の前縁部とが結合される。
【0063】
また、図6に示すように、インナパネル10の後縁部には孔部10eが形成され、アウタパネル20の樹脂部22の後縁部には孔部22eが形成されている。孔部10e,22eにネジ50を挿入し、このネジ50にナット51を螺合させることにより、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部とが結合される。インナパネル10の後縁部の結合部分及びアウタパネル20の樹脂部22の後縁部の結合部分は、車室内外方向に延びており、樹脂部22の結合部分がインナパネル10の結合部分の後側に配置されている。
【0064】
次に、上記のように構成された車両用ドア10の製造要領について説明する。まず、車両の外板色に塗装する前のインナパネル10とアウタパネル20の金属部21とをヘミング加工により結合しておく。そして、インナパネル10及び金属部21にのみ防錆のための電着塗装を施す。このとき、アウタパネル20の樹脂部22が無いので、インナパネル10及び金属部21の全体に完全に塗料を付着させることができる。これにより、防錆効果が高まる。
【0065】
その後、外板色の塗装工程に移る。その前に、アウタパネル20の樹脂部22を、例えば、上端部のみインナパネル10にファスナFで仮に付けておき、樹脂部22の下部はインナパネル10に結合させないようにしておく。尚、このとき、樹脂部22を吊り下げておいてもよい。
【0066】
そして、この車両用ドア1の中間製造品(図示せず)を車体と共に塗装ラインで塗装する。これにより、車体の外板と、車両用ドア1のアウタパネル20の金属部21及び樹脂部22とを同ラインで同時に塗装できるので色が合い易い。また、塗装時には、インナパネル10とアウタパネル20とが加熱され、このとき、インナパネル10と樹脂部22との線膨張係数の差によって膨張度合いが異なるが、インナパネル10と樹脂部22との下側は結合されていないので、両者に無理な力がかかりにくくなる。
【0067】
塗装後、インナパネル10とアウタパネル20の樹脂部22とを結合することで、車両用ドア1が得られる。この車両用ドア1は、アウタパネル20の金属部21がインナパネル10を構成する材料よりも比重が小さいので軽量である。
【0068】
また、車両用ドア1の下端部には雨水や洗車時の水等が付着して溜まり易いが、この実施形態では、アルミニウム合金製の金属部21と鋼板製のインナパネル10とが下側部分において接触しないように樹脂部22が設けられているので、電食が抑制される。
【0069】
上記のように構成された車両用ドア1を車両に取り付けると、図2に示すように、サイドシルSを外側方から覆い、また、樹脂部22の延出部29によってサイドシルSの下面が覆われる。
【0070】
このようにサイドシルSを覆う形状であるため、側面視でドア1の下縁部とサイドシルSとの間に隙間が無く、すっきりとした印象を与えることができる。
【0071】
また、走行中、例えば、タイヤが小石等を跳ね上げた場合には、延出部29が形成されていることにより、小石等がサイドシルSに直接当たるのを抑制することが可能になる。これにより、騒音が低減される。
【0072】
また、サイドシルSが下面まで覆われているので、サイドシルSの外側面の汚れが抑制される。これにより、乗員の衣服がサイドシルSに触れた際に、衣服の汚れが防止される。
【0073】
また、車両用ドア1を開けた状態では、サイドシルガーニッシュが無い状態になるので、従来例のものに比べてサイドシルSが車幅方向に薄くなったのと等しく、よって、乗員の乗降性が向上する。
【0074】
以上説明したように、この実施形態1にかかる車両用ドア1は、アウタパネル20の下側部分を樹脂部22としたので、この樹脂部22にドアガーニッシュの機能を持たせることができ、ドア1の外側部分を二重構造にせずに済む。また、樹脂部22でサイドシルSを覆うようにしたことで、サイドシルガーニッシュが不要になる。これらのことにより、部品点数を減少できるとともに、軽量化を図ることができる。また、サイドシルガーニッシュが不要になることで、サイドシルSが車幅方向に薄くなったのと等しくなり、乗員の乗降性を向上できる。
【0075】
また、樹脂部22はドア1の一部を構成するものなので、ドア1の他の部分や車体と同時に塗装することができる。これにより、車両の外板色とドア1の色とが合い易くなる。さらに、樹脂部22がサイドシルSを覆うまで下方へ延びているので、側面視でドア1の下縁部とサイドシルSとの隙間が無く、すっきりとした印象を与えることができる。これらのことにより、見栄えを良好にできる。
【0076】
また、アウタパネル20の金属部21を鋼板よりも比重の小さいアルミニウム合金製としてドア1をより一層軽量化できる。そして、樹脂部22を、アウタパネル20の金属部21とインナパネル10とに結合されるものとしたので、樹脂部22を利用して電食を防止できる。
【0077】
また、インナパネル10を下方へ延ばして樹脂部22の下部と結合したので、樹脂部22の剛性を確保することができる。
【0078】
また、ドアプロテクター部25を樹脂部22に一体成形したので、ドアプロテクター部25を低コストで設けることができる。
【0079】
また、樹脂部22の下部にサイドシルSの下方へ延びる延出部29を設けたので、乗員の衣服の汚れを防止できるとともに、走行時に跳ね上げられた小石等による騒音の発生を抑制して車内の静粛性を高めることができる。
【0080】
尚、アウタパネル20の金属部21と樹脂部22との結合構造は上記した構造に限られるものではなく、例えば、図7に示す変形例1のように上側フランジ21aと下側フランジ22aとを傾斜させてもよいし、また、図8に示す変形例2のように上側フランジ21aと下側フランジ22aとを略鉛直に延びるようにしてもよい。
【0081】
図7の変形例1の上側フランジ21a及び下側フランジ22aは、車室側へ向かって下降傾斜している。
【0082】
また、ファスナとしては、図8の変形例2に示すようなファスナF2を使用してもよく、このファスナF2は、上側フランジ21aと下側フランジ22aとの間に隙間を設けることができるようになっている。
【0083】
また、図9に示す変形例3のように、インナパネル10の前縁部とアウタパネル20の樹脂部22の前縁部とをファスナFにより結合してもよい。
【0084】
また、図10に示す変形例4のように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部とをファスナFにより結合してもよい。
【0085】
また、図11に示す変形例5のように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部とをネジ50及びナット51により結合する場合に、結合部分を前後方向に延びる板状に形成してもよい。
【0086】
また、図12に示す変形例6のように、インナパネル10の後縁部とアウタパネル20の樹脂部22の後縁部の接合部分を車室内外方向に延びるようにする場合に、インナパネル10の結合部分を樹脂部22の結合部分の後側に配置し、ファスナFにより結合するようにしてもよい。
【0087】
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2にかかる車両用ドア1の下部の断面図である。この実施形態2の車両用ドア1は、実施形態1のものに比べて、アウタパネル20の樹脂部22の上下寸法が短く設定されている。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0088】
すなわち、樹脂部22の上縁部の高さは、サイドシルSの上端部の高さと略一致している。
【0089】
また、金属部21の下縁部は、サイドシルSの上端部よりも下方まで延びており、膨出部13に沿うように上下方向に延びている。金属部21の下縁部には、膨出部13の上側孔部13dに一致する孔部22dが形成されている。
【0090】
金属部21の下縁部と膨出部13との間には、スペーサ60が配置されている。このスペーサ60は樹脂製であり、金属部21とインナパネル10とを絶縁するためのものである。スペーサ60は、塗装工程が終わった後に組み付けられる。
【0091】
したがって、この実施形態2にかかる車両用ドア1は、実施形態1と同様に、アウタパネル20の下側部分を樹脂部22としたので、部品点数を減少できるとともに、軽量化を図ることができる。また、サイドシルガーニッシュが不要になり、乗員の乗降性を向上できる。
【0092】
また、樹脂部22をドア1の他の部分や車体と同時に塗装することができるので、車両の外板色とドアの色とが合い易くなり、また、側面視でドア1の下縁部とサイドシルSとの隙間がなくなり、すっきりとした印象を与えることができる。これらのことにより、見栄えを良好にできる。
【0093】
尚、上記実施形態1、2では、車両用ドア1が前側の左ドアである場合について説明したが、本発明は、前側の右ドア、後側の左右両ドアに適用することも可能であり、また、スライドドアにも適用することもできる。
【0094】
また、樹脂部22の大きさは、上記した大きさに限られるものではなく、ドア1の上端部近傍まで延びる大きなものであってもよい。また、アウタパネル20の全体を樹脂部としてもよい。
【0095】
また、各部材の材料は上記に限られるものではない。
【0096】
また、インナパネル10とアウタパネル20との結合、金属部21と樹脂部22との結合部分は、例えば、リベット、ボルト、タッピングスクリュー等を用いて結合してもよく、締結部材を用いる結合構造であれば特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように、本発明にかかる車両用ドアは、例えば自動車の側部に配設されるドアとして適している。
【符号の説明】
【0098】
1 車両用ドア
2 ドア本体
3 サッシュ
10 インナパネル
20 アウタパネル
21 金属部
22 樹脂部
25 ドアプロテクター部
29 延出部
FP フロアパネル
R ドア袋部
S サイドシル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内側に配置されるインナパネルと、
車外側に配置されるアウタパネルとを備え、
車両の側部に配設される車両用ドアにおいて、
上記アウタパネルの少なくとも下側部分は、樹脂材料を成形してなる樹脂部で構成され、
上記樹脂部は、車両の下部側方において前後方向に延びるサイドシルの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルの下部と重なるまで下方へ延びていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアにおいて、
インナパネルは金属材で構成され、
アウタパネルの上側部分は、上記インナパネルを構成する金属材よりも比重の小さい金属材で構成され、
樹脂部は、上記アウタパネルの上側部分と上記インナパネルとに結合されることを特徴とする車両用ドア。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用ドアにおいて、
インナパネルは、サイドシルの下部まで延び、
樹脂部の下部と上記インナパネルの下部とが結合されていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用ドアにおいて、
樹脂部には、アウタパネルの上側部分よりも車外側へ突出するドアプロテクター部が一体成形されていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用ドアにおいて、
樹脂部の下部には、サイドシルの下方へ延びる延出部が設けられていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項1】
車室内側に配置されるインナパネルと、
車外側に配置されるアウタパネルとを備え、
車両の側部に配設される車両用ドアにおいて、
上記アウタパネルの少なくとも下側部分は、樹脂材料を成形してなる樹脂部で構成され、
上記樹脂部は、車両の下部側方において前後方向に延びるサイドシルの外側面を覆うように、側面視で該サイドシルの下部と重なるまで下方へ延びていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアにおいて、
インナパネルは金属材で構成され、
アウタパネルの上側部分は、上記インナパネルを構成する金属材よりも比重の小さい金属材で構成され、
樹脂部は、上記アウタパネルの上側部分と上記インナパネルとに結合されることを特徴とする車両用ドア。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用ドアにおいて、
インナパネルは、サイドシルの下部まで延び、
樹脂部の下部と上記インナパネルの下部とが結合されていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用ドアにおいて、
樹脂部には、アウタパネルの上側部分よりも車外側へ突出するドアプロテクター部が一体成形されていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用ドアにおいて、
樹脂部の下部には、サイドシルの下方へ延びる延出部が設けられていることを特徴とする車両用ドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−25263(P2012−25263A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165268(P2010−165268)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000135999)株式会社ヒロテック (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000135999)株式会社ヒロテック (62)
【Fターム(参考)】
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