説明

車両用ペダルの製造方法

【課題】車両用ペダルの意匠面の見栄えが悪くなるのを防止又は抑制しつつ、車両用ペダルの剛性を向上させる。
【解決手段】二色成型による成型品であるアクセルペダル300では、あえてペダル本体部310の表面310Aにヒケ314が生じるようにリブ312の幅及び厚み等を大きくすることで、ヒケが生じないように構成された場合と比較し、ペダル本体部310の剛性を高めている。更に、ヒケ314が生じたペダル本体部310の表面310A側に、踏込部320を射出成型で形成することで、ヒケ314が見えなくなると共に、意匠面300Aにはヒケが生じない又はヒケが生じても非常に小さくすることができる。よって、アクセルペダル300の意匠面300Aの見栄えを悪くなるのを防止又は抑制しつつ、アクセルペダル300の剛性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ペダルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の加速ペダル装置は、ガソリンエンジンでは混合機の吸入量を調節しエンジンの回転数を調整する装置とされ、ディーゼルエンジンでは燃料の噴射量を調節しエンジンの回転数を調整する装置とされている。
【0003】
このような車両の加速ペダル装置は、加速ペダルの取り付け構造により、ダッシュパネルに垂れ下がって設けられるペンダントタイプ(Pendant type)と、フロアパネルに設けられるオルガンタイプ(Organ type)と、が知られている。
【0004】
特許文献1のオルガンタイプの車両用アクセルペダルを構成するアクセルペダルパットは、合成樹脂材よりなり、断面コ字状をなして左右に肉厚の側壁部を有すると共に、それらの内側に長手方向及び斜め方向に各々複数本の補強用リブを一体に成形することによって、可及的に軽量でありながら、しかも十分に剛性が高いものとなるように構成されている(特許文献1を参照)。
【0005】
しかし、車両用ペダルの剛性を更に高めるために、例えば、意匠面と反対側の裏面に形成されたリブの幅や厚みを大きくすると、意匠面にヒケが発生し、見栄えが悪くなる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−270343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、車両用ペダルの意匠面の見栄えが悪くなるのを防止又は抑制しつつ、車両用ペダルの剛性を向上させることが望まれている。
【0008】
本発明は、上記を考慮し、車両用ペダルの意匠面の見栄えが悪くなるのを防止又は抑制しつつ、車両用ペダルの剛性を向上させることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、運転者が踏み込む車両用ペダルを構成し、一方側に向けて突出するリブが形成された樹脂製の本体部を射出成型する本体部成型工程と、前記車両用ペダルの意匠面を有する樹脂製の踏込部を、前記本体部の他方側に射出成型する踏込部成型工程と、有し、前記本体部は、前記本体部成型工程において、前記他方側における前記リブに対応する部位にヒケが発生するように構成されている。
【0010】
請求項1の発明では、射出成型によって他方側におけるリブに対応する部位にヒケが発生するように、本体部が構成されている。言い換えると、本体部は、例えばリブの幅や厚みを大きくしヒケが発生する構成とすることで、ヒケが発生しない構成と比較し、剛性を向上させている。
【0011】
しかし、本体部の剛性を大きくしヒケが発生する構成としても、本体部のヒケが発生した他方側に射出成型された踏込部が意匠面を構成している。よって、本端部のヒケが踏込部で隠れて見えなくなる。また、意匠面を構成する踏込部をヒケが発生しない構成、又はヒケが発生してもヒケが目立たない構成とすることで、意匠面の見栄えが悪くなることが防止又は抑制される。
【0012】
このように、車両用ペダルの本体部に、あえてヒケが発生する幅や厚みのリブを形成すると共に、本端部におけるヒケが発生した他方側に意匠面を構成する踏込部を射出成型することで、車両用ペダルの意匠面の見栄えが悪くなるのが防止又は抑制されつつ、剛性が向上する。
【0013】
請求項2の発明は、前記踏込部の前記意匠面には、前記他方側に向けて突出する凸部が形成されている。
【0014】
請求項2の発明では、踏込部の意匠面には形成された凸部によって、踏込部の剛性が向上する。
【0015】
請求項3の発明は、前記凸部の板厚方向の断面形状は、ハット形状とされている。
【0016】
請求項3の発明では、踏込部の意匠面に形成された凸部は、断面ハット形状とすることで、踏込部の板厚が一定となり、意匠面(踏込面)にヒケが発生しくい構成となる。
【0017】
請求項4の発明は、前記踏込部は、前記本体部よりも肉厚が薄く構成されている。
【0018】
請求項4の発明では、踏込部を本体部よりも肉厚を薄くすることで、本体部の剛性を確保しつつ、踏込部の意匠面(踏込面)がソフト化される。
【0019】
請求項5の発明は、前記踏込部は、前記本体部よりも硬度が低い樹脂で構成されている。
【0020】
請求項5の発明では、踏込部を本体部よりも硬度が低い樹脂とすることで、本体部の剛性を確保しつつ、踏込部の意匠面(踏込面)がソフト化される。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、本体部と踏込部とが二色成型で射出成型されていないで場合と比較し、車両用ペダルの意匠面の見栄えが悪くなるのを防止又は抑制しつつ、車両用ペダルの剛性を向上させることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、踏込部の意匠面に凸部が形成されていない構成と比較し、踏込部の剛性を向上させることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、凸部が断面ハット形状でない構成と比較し、意匠面(踏込面)のヒケの発生を、より容易に防止又は抑制することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、踏込部の肉厚が本体部の肉厚と同じが厚い場合と比較し、意匠面(踏込面)をソフト化することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、踏込部を構成する樹脂の硬度が本体部を構成する樹脂と硬度と同じが踏込部の方が高い構成と比較し、踏込部の意匠面(踏込面)をソフト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ペダルの製造方法によって製造されたアクセルペダルを有する加速ペダル装置のオルガンペダル部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用ペダルの製造方法によって製造されたアクセルペダルを有する加速ペダル装置を車両幅方向外側から内側に向かって見た側面図である。
【図3】図1及び図2のG−G線に沿った断面を模式的に示すアクセルペダルの断面図である。
【図4】図3に示すアクセルペダルの、(A)は踏込部の断面図であり、(B)はペダル本体部の断面図である。
【図5】第一変形例のアクセルペダルを示す図3に対応する断面図である。
【図6】第二変形例のアクセルペダルを示す図3に対応する断面図である。
【図7】第三変形例のアクセルペダルを示す図3に対応する断面図である。
【図8】本発明が適用されていないアクセルペダルを示す図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図8を用いて、本発明における車両用ペダルの製造方法について説明する。なお、各図において図中の矢印UPは車両上方側を示し、矢印FRは車両前側を示し、矢印OUTは車両幅方向外側を示す。
【0028】
<加速ペダル装置の全体構成>
まず、図1及び図2に示す本発明における車両用ペダルの製造方法を適用した製造されたアクセルペダル300を有する加速ペダル装置100の全体構成について説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、エンジンの回転数を調整する加速ペダル装置100は、車両のフロア部に固定されたボデー側ブラケット50に取り付けられている。また、加速ペダル装置100は、ペダルアームハウジング110(図2を参照)とオルガンペダル部150とを有していている。
【0030】
図2に示すように、ペダルアームハウジング110は、運転席下部のダッシュパネル20に取り付けられたセンサー部112と、センサー部112に上端部が回転軸114を介して回転可能に設けられたペダルロッド116と、を有している。
【0031】
ペダルロッド116は棒状部材を適宜屈曲させることにより形成されており、略車両上下方向に沿って配設されている。なお、ペダルロッド116は、センサー部112に設けられた付勢手段(図示略)によって、図2における時計回り方向(矢印A方向)に回転付勢されている。
【0032】
オルガンペダル部150は、ペダルブラケット200と本発明の車両用ペダルの製造方法が適用されて製造されたアクセルペダル300とを有している。アクセルペダル300は、略車両前後方向を板厚方向とし、略車両上下方向を長辺方向として配置された略矩形板状(パッド)とされている。なお、アクセルペダル300の詳細な構造は後述する。
【0033】
アクセルペダル300とペダルブラケット200とは、アクセルペダル300の下端部に設けられ車両幅方向に沿って肉薄とされたインテグラルヒンジ190によって、一体的に構成されている。よって、アクセルペダル300はペダルブラケット200に対してインテグラルヒンジ190を回転中心として車両前後方向に回転可能に構成されている。
【0034】
図1及び図2に示すように、アクセルペダル300が回転可能に設けられたペダルブラケット200は、車両のフロア部に固定されたボデー側ブラケット50に取り付けられている。
【0035】
ボデー側ブラケット50は、車両幅方向に見ると上側凸状のハット形状とされている。なお、ボデー側ブラケット50のフランジ部53、55が車両のフロア部(図示略)に固定されている。そして、ボデー側ブラケット50の上端部52に、フロアカーペット30を間に挟んで、オルガンペダル部150のペダルブラケット200が取り付けられている。また、このペダルブラケット200の上にカバー70が取り付けられている。
【0036】
図1に示すように、前述したペダルアームハウジング110のペダルロッド116の下端部には、車両幅方向両外側に延出するシャフト118が設けられている。これらのシャフト118は、オルガンペダル部150のアクセルペダル300の上端部に設けられた連結部160に連結されている。
【0037】
連結部160は、アクセルペダル300の車両前方側の裏面300Bに設けられた側面視略溝形状の固定部164と摺動板162とを有し、固定部164と摺動板162との間にペダルロッド116のシャフト118が挿通されている。これにより、ペダルロッド116とアクセルペダル300とが相対回転するように構成されている。
【0038】
このような構成により、オルガンタイプの加速ペダル装置100は、図2に示されたアクセルペダル300の初期状態(踏込む前の状態)から、運転者(ドライバ)がアクセルペダル300を矢印F方向(車両前方斜め下方向)に踏み込むと、アクセルペダル300に連結されたペダルロッド116が、センサー部112の付勢手段(図示略)の付勢力に抗してペダルロッド116が反時計回り方向(図2の矢印B方向)へ回転する。そして、ペダルロッド116の回転量をセンサー部112が検知し、図示しないエンジンのスロットルバルブの開度が変更されるように構成されている。
【0039】
<加速ペダル装置のアクセルペダル>
つぎに、本発明の車両用ペダルの製造方法が適用されて製造されたアクセルペダル300について説明する。
【0040】
図1に示すように、アクセルペダル300は、前述したように、略車両前後方向を板厚方向とし、略車両上下方向を長辺方向として配置された略矩形板状(パッド状)とされている。また、アクセルペダル300は、合成樹脂材を射出成型にすることよって形成された成型品とされている。なお、後述するようにアクセルペダル300は、二色成型による成型品とされている。
【0041】
図1及び図2に示すように、アクセルペダル300は、車両前方側の面が、運転者(ドライバ)が踏み込む踏込面であると共に車室内側に面する意匠面となっている。なお、以降この面を「意匠面300A」又は「意匠面(踏込面300A)」と記載し、この面と反対側(車両後方側)の面を「裏面300B」と記載する。
【0042】
図3に示すように、アクセルペダル300は、車両幅方向に沿った略水平断面は、略H字状をなし左右に肉厚の側壁部302を有すると共に、側壁部302の内側における意匠面300Aと裏面300Bとに、複数のリブ312と凸部322とが形成されている。
【0043】
本実施形態においては、裏面300Bのリブ312は、略車両後方側に向かって突出し、略車両上下方向に沿って、車両幅方向に間隔をあけて並列に形成されている。
【0044】
また、本実施形態においては、意匠面300Aの凸部322は、略車両前方側に向かって突出し、裏面300Bのリブ312と同じ位置及び幅で形成されている。つまり、凸部322は略車両上下方向に沿ったリブ状とされ、車両幅方向に間隔をあけて並列に形成されている(凸部322は図2も参照)。
【0045】
そして、アクセルペダル300は、裏面300Bを構成するペダル本体部310(図4(B)参照)と、意匠面(踏込面)300Aを構成する踏込部320(図4(A))と、が一体となって射出成型されている。すなわち、アクセルペダル300は、二色成型によって、ペダル本体部310と踏込部320とが一体成型されている。
【0046】
<加速ペダル装置のアクセルペダルの製造方法及び構造>
つぎに、アクセルペダル300の製造方法(二色成型)及び構造について、図4を用いて説明する。
【0047】
アクセルペダル300は、二色成形(ダブルモールド)によって、一次側となるペダル本体部310を成形してから、同一金型内で二次側となる踏込部320を一次側と一体で成形する。なお、二色成型(ダブルモールド)は、既存技術であるので、詳しい説明や図示は省略する。
【0048】
まず、図4(B)に示すペダル本体部310を射出成型によって形成する。
【0049】
このとき、ペダル本体部310のリブ312が形成された裏面300Bと反対側の表面310Aにおけるリブ312と対応する部位には、ヒケ(凹痕)314(詳細は後述する)が生じる。つまり、ペダル本体部310の表面310Aにヒケ314が発生する程度にリブ312の幅W及び厚みL等を大きく(厚く)した構造とされている
【0050】
つぎに、このようにペダル本体部310の表面310Aにヒケ314が生じたペダル本体部310の表面310A側に、図4(A)に示す踏込部320を射出成型で形成する。これによりペダル本体部310の表面310Aのヒケ314には、踏込部320の裏面320Bから突出する突出部324で充填される。
【0051】
踏込部320は、意匠面300Aにはヒケが生じない、又はヒケが生じたとしても目立たない構造とされている。なお、意匠面300Aにヒケが生じない、又はヒケが生じたとして目立たない構造とすることは、既存の技術を採用することで、容易に実現することができる。
【0052】
ここで、図4(A)では、判りやすくするため踏込部320が単体で図示されている。しかし、実際には、上述したように、踏込部320は、ペダル本体部310の表面310A側に射出成型で形成されるので、踏込部320が単体で存在することはない。
【0053】
<作用及び効果>
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0054】
まず、射出成形におけるヒケについて説明する。射出成型では、溶解した樹脂材料を金型内に射出して製品を形作る方法とされている。金型内に樹脂材料が射出され冷えると樹脂材料が収縮する。このため成型品の表面に、凹み、所謂ヒケ(凹痕)が生じることがある。そして、樹脂材料の厚みの有る部位ほど収縮、すなわちヒケが生じやすいとされている。
【0055】
つぎに、図8を用いて、本発明が適用されていない比較例としての一体成型されたアクセルペダル900について説明する。
【0056】
アクセルペダル900の剛性を高めるために、裏面900Bに、本実施形態と同様の幅W及び厚みLの大きいリブ312を形成すると、裏面900Bと反対側の意匠面300Aにおけるリブ312に対応する部位にヒケ(凹痕)326が生じる。よって、アクセルペダル900の見栄えが悪くなる。別の言い方をするとアクセルペダル900の外観の品位が損なわれる。
【0057】
このように、本発明が適用されていない比較例としてのアクセルペダル900(図8参照)では、意匠面300Aにヒケが生じないように、裏面300Bに形成するリブの幅W及び厚みL等を設定する必要があり、アクセルペダル900の剛性の向上には限界があった。別の観点から説明すると、アクセルペダル900は、意匠面900Aにヒケが生じるので、本実施形態と同様のリブ312を形成することが困難である。
【0058】
これに対して、本実施形態の二色成型による成型品であるアクセルペダル300では、あえてペダル本体部310の表面310Aにヒケ314が生じるようにリブ312の幅W及び厚みL等を大きくすることで、ヒケが生じないように構成された場合と比較し、ペダル本体部310の剛性を高めている。
【0059】
更に、ヒケ314が生じたペダル本体部310の表面310A側に、踏込部320を射出成型で形成することで、ヒケ314が見えなくなると共に、意匠面300Aにはヒケが生じない又はヒケが生じても目立たないようにすることができる。したがって、アクセルペダル300の意匠面300Aの見栄えを悪くなるのを防止又は抑制しつつ、アクセルペダル300の剛性が向上する。
【0060】
別の観点から説明すると、アクセルペダル300の剛性はペダル本体310で確保され、アクセルペダル300の意匠面300Aの品位は踏込部320で確保されている。すなわち剛性の確保と品位の確保との機能を分離させると共に、これらの機能を有するペダル本体部310と踏込部320とが二色成型によって一体成型されている。
【0061】
<変形例>
つぎに本実施形態の変形例について説明する。
【0062】
「第一変形例」
上記実施形態のアクセルペダル300では、ペダル本体部310と踏込部320とは同じ肉厚で構成されていた。
【0063】
これに対して、図5に示す第一変形例のアクセルペダル400は、ペダル本体部310の肉厚よりも踏込部420の肉厚の方が小さくなるように構成されている。
【0064】
また、肉厚に応じて踏込部420の凸部422の幅も小さくなっている。なお、本変形例では、リブ312間に相当する部位にも凸部422が形成されている。
【0065】
このように、第一変形例のアクセルペダル400は、ペダル本体部310の肉厚よりも踏込部420の肉厚の方が小さく構成されているので、アクセルペダル400の意匠面(踏込面)400Aのヒケが更に発生しにくい構造となっている。
【0066】
また、ペダル本体部310の肉厚よりも踏込部420の肉厚の方が小さく構成されているので、剛性を確保しつつ、意匠面(踏込面)400Aがソフト化されている。したがって、運転者がアクセルペダル400を踏み込む際の操作性がアクセルペダル300よりも向上する。
【0067】
なお、二色成型とすることで、このようにペダル本体部310の肉厚と踏込部420の肉厚とを容易に成形性に影響を与えることなく、或いは成型性への影響を小さくして、射出成型することがきる。
【0068】
「第二変形例」
図6に示す第二変形例のアクセルペダル500は、ペダル本体部510と踏込部520とで構成されている。
【0069】
踏込部520は、リブ312間を掛け渡すように構成されている。踏込部520の凸部522は、リブ312間に形成され、外側に向かって凸状の断面ハット形状とされている。言い換えると、凸部52の板厚方向の断面形状は、ハット形状となっている。また、ペダル本体部510の肉厚よりも踏込部520の肉厚の方が小さい。
【0070】
このように、第二変形例のアクセルペダル500は、ペダル本体部510の肉厚よりも踏込部520の肉厚の方が小さく構成されている。更に、凸部522は断面ハット形状とされ、凸部522と他の部位との板厚(肉厚)が一定となるように構成されている。
【0071】
よって、アクセルペダル500の意匠面(踏込面)500Aのヒケが更に発生しにくい構造となっている。
【0072】
また、前述したように、ペダル本体部510の肉厚よりも踏込部520の肉厚の方が小さく構成されている。また、踏込部520の凸部522はリブ312間に形成された断面ハット形状とされている。つまり、ペダル本体部510のリブ312間に相当する部位に踏込部520の凸部522が形成されている。よって、凸部522にかかる荷重がリブ312に直接伝達されない。したがって、アクセルペダル500の意匠面(踏込面)500Aが、ソフト化されている。
【0073】
よって、アクセルペダル500の剛性を確保しつつ、意匠面(踏込面)500Aがソフト化されている。したがって、運転者がアクセルペダル500を踏み込む際の操作性が、アクセルペダル300よりも向上する。
【0074】
「第三変形例」
上記実施形態のアクセルペダル300は、同じ樹脂材料でペダル本体部310と踏込部320とが構成されている。
【0075】
これに対して、図7に示す第三変形例のアクセルペダル600は、樹脂材料Hでペダル本体部610が構成され、樹脂材料Hよりも軟らかい樹脂材料Sで踏込部620が構成されている。
【0076】
なお、「軟らかい」とは、硬度(硬さ)が低いと言い換えることができる。また、本変形例では、樹脂材料Hの硬度(硬さ)と樹脂材料Sの硬度(硬さ)は、ビッカース硬さで比較している。しかし、ビッカース硬さ以外の指標で比較してもよい。
【0077】
このように第三変形例のアクセルペダル600は、ペダル本体部610を構成する樹脂材料Hよりも軟らかい樹脂材料Sで踏込部620が構成されているので、アクセルペダル600の意匠面(踏込面)600Aが、ソフト化されている。
【0078】
また、上記実施形態のアクセルペダル600では、ペダル本体部310のリブ312と踏込部320の凸部322とは、同じ位置に形成されていた(図3を参照)。
【0079】
これに対して、図7に示す第三変形例のアクセルペダル600は、ペダル本体部610のリブ312間に相当する部位に踏込部620の凸部622が形成されている。
【0080】
よって、凸部622にかかる荷重がリブ312に直接伝達されないので、凸部622がリブ312の上にある構造と比べ、アクセルペダル600の意匠面(踏込面)600Aが、ソフト化されている。
【0081】
このように、アクセルペダル600の意匠面(踏込面)600Aが、ソフト化されているので、運転者がアクセルペダル600を踏み込む際の操作性が向上する。
【0082】
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されない。
【0083】
上述の実施形態、及び第一変形例、第二変形例、第三変形例は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【0084】
例えば、上記実施形態及び第一変形例、第二変形例においても、第三変形例と同様に、樹脂材料Hでペダル本体部310、410、510が構成され、樹脂材料Hよりも軟らかい樹脂材料Sで踏込部320、420、520が構成されていてもよい。
【0085】
また、上記実施形態及び変形例では、リブ312及び凸部322、422、522、622は、いずれも略車両上下方向(長手方向)に沿って形成され、車両幅方向に間隔をあけて並列に形成されていたが、これに限定されない。例えば、リブ及び凸部は、車両幅方向に沿って形成され、略車両幅上下方向(長手方向)に間隔をあけて並列に形成されていてもよい。また、略車両上下方向(長手方向)に対して斜め方向に形成されていてもよい。更に、これらが組み合わされた構成、例えば、格子状に形成されていてもよい。
【0086】
また、リブと凸部とが異なる形状であってもよい。例えば、リブ312は、格子状とされ、凸部は略車両上下方向(長手方向)に沿って車両幅方向に間隔をあけて並列に形成されていてもよい。
【0087】
また、凸部はリブ状でなくてもよい。例えば、ブロック状であってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、オルガンタイプの加速ペダル装置100のアクセルペダル300、400、500、600に、本発明を適用したが、これに限定されない。ダッシュパネルに垂れ下がって設けられるペンダントタイプのアクセルペダルにも本発明を適用することができる。更に、アクセルペダル以外の他の車両用ペダルにも本発明を適用することができる。例えば、ブレーキペダルにも本発明を適用することができる。
【0089】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
【符号の説明】
【0090】
300 アクセルペダル(車両用ペダル)
300A 意匠面
310 ペダル本体部(本体部)
312 リブ
314 ヒケ
320 踏込部
322 凸部
400 アクセルペダル(車両用ペダル)
400A 意匠面
410 ペダル本体部(本体部)
420 踏込部
422 凸部
500 アクセルペダル(車両用ペダル)
500A 意匠面
510 ペダル本体部(本体部)
520 踏込部
522 凸部
500 アクセルペダル(車両用ペダル)
500A 意匠面
510 ペダル本体部(本体部)
520 踏込部
522 凸部
600 アクセルペダル(車両用ペダル)
600A 意匠面
610 ペダル本体部(本体部)
620 踏込部
622 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が踏み込む車両用ペダルを構成し、一方側に向けて突出するリブが形成された樹脂製の本体部を射出成型する本体部成型工程と、
前記車両用ペダルの意匠面を有する樹脂製の踏込部を、前記本体部の他方側に射出成型する踏込部成型工程と、
有し、
前記本体部は、前記本体部成型工程において、前記他方側における前記リブに対応する部位にヒケが発生するように構成されている、
車両用ペダルの製造方法。
【請求項2】
前記踏込部の前記意匠面には、前記他方側に向けて突出する凸部が形成されている、
請求項1に記載の車両用ペダルの製造方法。
【請求項3】
前記凸部の板厚方向の断面形状は、ハット形状とされている、
請求項2に記載の車両用ペダルの製造方法。
【請求項4】
前記踏込部は、前記本体部よりも肉厚が薄く構成されている、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用ペダルの製造方法。
【請求項5】
前記踏込部は、前記本体部よりも硬度の低い樹脂で構成されている、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用ペダルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−113560(P2012−113560A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262803(P2010−262803)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】