説明

車両用ホイール

【課題】より効果的に軽量化及び剛性の向上を実現する車両用ホイールを提供することを目的とする。
【解決手段】スポークと、リムとを有する車両用ホイールであって、前記スポークは、当該車両用ホイールのホイールディスク中心部から前記リムの内周面まで延長され、さらに、前記リムのアウターリム部からインナーリム部に沿って前記リムよりも断面の太い補強用梁として延長されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両において用いられる車両用ホイールには種々の材質、構造のものがあるが、その代表的なものとしてアルミホイールが知られている。これは、車両の軽量化及び外観の意匠性の向上等のためである。
【0003】
このような車両用ホイールについては、その軽量化及び剛性の向上等を目的として各種発明がなされてきている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両用ホイールのホイールディスクの回転中心部から放射状に延長されるスポークが、タイヤ支持リムのフロント部分を前方から被覆し得る所謂オーバーヘッド状態として、ホイールディスクのボスから放射対称型に延長された複数本のスポークであるように構成された自動車用ホイールが開示されている。また、特許文献2には、少なくとも1つの中空室内において金属の材料から成る残留コアが設けられている様式のホイールにおいて、コアがホイールのホイールリム耳部の領域において、ホイールリム及びホイールリムスターによって形成された一方の側面に向かって開いている環状室内に設けられたホイールが開示されている。
【特許文献1】特開2001−47804号公報
【特許文献2】特表2003−502198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術に係る車両用ホイールでも、その剛性の向上のためには車両用ホイールの周方向に一様に断面積を大きくする必要があり、その結果重量が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて、この問題を解消するために発明されたものであり、より効果的に軽量化及び剛性の向上を実現する車両用ホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明における車両用ホイールは、スポークと、リムとを有する車両用ホイールであって、前記スポークは、当該車両用ホイールのホイールディスク中心部から前記リムの内周面まで延長され、さらに、前記リムのアウターリム部からインナーリム部に沿って前記リムよりも断面の太い補強用梁として延長されるように構成することができる。
【0008】
また、上記の目的を達成するために、本発明における前記補強用梁は、前記リムの車軸側の面又はタイヤ側の面に接着されて形成される、或いは、前記リムと一体的に形成されるように構成することができる。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、本発明における前記リムは、樹脂素材により被覆されるように構成することができる。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明における前記補強用梁は、前記リムのアウターリム部からインナーリム部に向かうに従って該補強用梁の断面が細くなるように構成されることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より効果的に軽量化及び剛性の向上を実現する車両用ホイールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
(車両用ホイールの例)
図1は、実施形態1における車両用ホイールの概略斜視図である。図2は、実施形態1における車両用ホイールの概略断面図である。図3は、図2のA−A’線についての概略断面図の例である。
【0014】
図1に示す車両用ホイール1は、円筒状のリム(リム部)2と、ホイールディスク3と、複数のスポーク4等とを有する構成である。なお、本実施形態における車両用ホイール1はアルミ一体型ホイールであるものとして説明を行う。
【0015】
リム2は、タイヤが取り付けられる部分である。車両用ホイール1を車体に取り付ける際の車幅方向内側(車両内側)に向けて円筒状に延びるインナーリム部21及び車幅方向外側(車両外側)に向けて円筒状に延びるアウターリム部22を含む(図2参照)。ここで、インナーリム部21とは、当該車両用ホイール1が3ピースホイールである場合のいわゆるインナーリムに相当する部分、又はインナーフランジを広義の意味で指している。同様に、アウターリム部22とは、当該車両用ホイール1が3ピースホイールである場合のいわゆるアウターリムに相当する部分、又はアウターフランジを広義の意味で指している。
【0016】
ホイールディスク3は、同ホイールディスク3に形成されたセンターボア31及び複数のボルト穴32により当該車両用ホイール1を車両の車軸に取り付けると共に、リム2を同ホイールディスク3の外周で支える部分である。
【0017】
スポーク4は、ホイールディスク3の一部分であり、ホイールディスク3の中心部(軸部)から外周部(リム2の内周面)まで放射状に延びて当該車両用ホイール1を支える鋼線や棒状の部分である。本実施形態1によれば、このスポーク4の一端はホイールディスク3の中心部に固定されるものの、他端は外周部(リム2の内周面)からさらにアウターリム部22からインナーリム部21に沿って延長される(渡される)構成となっている。図1及び図2では、スポーク4は、リム2の車軸側の面においてアウターリム部22からインナーリム部21に沿って延長されている。
【0018】
この場合にインナーリム部21とアウターリム部22との間に延長されるスポーク4は、図2のように、リム2よりも断面が太い(幅が厚い)梁(以下、「補強用梁」とする)であるように構成される。そうすると、例えば図2のA−A’線についての断面では、図3に示されるようにリム2の車軸側の面にリム2より断面の太いスポーク4が接着して形成されるようになる。このように構成されたリム2及びスポーク4により、剛性及び強度を十分に確保することができる。
【0019】
また、このように構成することにより、リム2は、インナーリム部21とアウターリム部22との間の形状を従前のものに保ったまま、リム2の梁と梁の間の中間部については従来と比して薄くすることができる。そのため、リム2とホイールディスク3の溶接接合部の剛性及び強度を十分に確保できると共に体積を小さくさせて軽量化を図ることができる。
【0020】
しかしながら、リム2を薄くしすぎると、成型時にアルミ溶湯が細部まで入りにくい問題がある。そのため、スポーク4を延長させて形成された補強用梁と補強用梁との間のリム2を例えば薄い樹脂素材等のアルミと比して軽量な別素材で形成することもできる。これにより、当該車両用ホイール1の更なる軽量化を図ることができる。
【0021】
なお、図2のように、スポーク4を延長させて形成された補強用梁をアウターリム部22からインナーリム部21に向かうに従ってだんだん細くするように構成することによって更なる軽量化を図ることもできる。また、リム2のタイヤ側の面を周方向に薄い樹脂素材等で覆うことにより、タイヤの気密性を確保するように構成することがより望ましい。
【0022】
[第2の実施形態]
前述の実施形態1では、図1のように、スポーク4は、リム2の車軸側の面においてアウターリム部22からインナーリム部21に沿って延長されていた。ここでは、スポーク4は、リム2のタイヤ側の面において同様に延長される形態について説明を行う。
【0023】
(車両用ホイールの例)
図4は、実施形態2における車両用ホイールに関する説明のための図である。図4(a)は、実施形態2における車両用ホイールの概略斜視図である。図4(b)は、車両用ホイールの周方向における概略断面図の例である。
【0024】
図4(a)に示す車両用ホイール1を構成するリム2、ホイールディスク3、センターボア31、ボルト穴32は前述の実施形態1と同様であるとしてここでは説明を省略し、スポーク4について説明を補足する。
【0025】
スポーク4は、前述の実施形態1と同様に、ホイールディスク3の一部分であり、ホイールディスク3の中心部(軸部)から外周部(リム2の内周面)まで放射状に延びて当該車両用ホイール1を支える鋼線や棒状の部分である。本実施形態2によれば、このスポーク4の一端はホイールディスク3の中心部に固定されるものの、他端は外周部(リム2の内周面)からさらにアウターリム部22からインナーリム部21に沿って延長される(渡される)構成となっている。図4(a)では、スポーク4は、リム2のタイヤ側の面においてアウターリム部22からインナーリム部21に沿って延長されている。
【0026】
この場合にインナーリム部21とアウターリム部22との間に延長されるスポーク4は、前述の実施形態1と同様に、リム2よりも断面が太い(幅が厚い)補強用梁であるように構成されることができる。そうすると、例えば車両用ホイール1の周方向における断面では、図4(b)に示されるように、リム2のタイヤ側の面にリム2より断面の太いスポーク4が接着して形成されるようになる。このように構成されたリム2及びスポーク4により、剛性及び強度を十分に確保することができる。また、車両用ホイール1におけるリム2の車軸側のスペースを確保できるため、このスペースに配設されるブレーキディスクの大型化等にも対応可能になる。
【0027】
しかしながら、リム2を薄くしすぎると、成型時にアルミ溶湯が細部まで入りにくい問題がある。そのため、スポーク4を延長させて形成された補強用梁と補強用梁との間のリム2を例えば薄い樹脂素材等のアルミと比して軽量な別素材で形成することもできる。これにより、当該車両用ホイール1の更なる軽量化を図ることができる。
【0028】
なお、前述の実施形態1と同様に、スポーク4を延長させて形成された補強用梁をアウターリム部22からインナーリム部21に向かうに従ってだんだん細くするように構成することによって更なる軽量化を図ることもできる。また、リム2のタイヤ側の面又はリム2の補強用梁と補強用梁の間におけるタイヤ側の面を周方向に薄い樹脂素材等で覆うことにより、タイヤの気密性を確保するように構成することがより望ましい。
【0029】
[第3の実施形態]
前述の実施形態1及び2では、図1又は図4のように、スポーク4は、リム2の車軸側(或いはタイヤ側)の面においてインナーリム部21からアウターリム部22に沿って延長されていた。ここでは、スポーク4が、リム2と一体的に形成される形態について説明を行う。
【0030】
(車両用ホイールの例)
図5は、実施形態3における車両用ホイールに関する説明のための図である。図5(a)は、実施形態3における車両用ホイールの概略斜視図である。図5(b)は、車両用ホイールの周方向における概略断面図の例である。
【0031】
図5(a)に示す車両用ホイール1を構成するリム2、ホイールディスク3、センターボア31、ボルト穴32は前述の実施形態1と同様であるとしてここでは説明を省略し、スポーク4について説明を補足する。
【0032】
スポーク4は、前述の実施形態1と同様に、ホイールディスク3の一部分であり、ホイールディスク3の中心部(軸部)から外周部(リム2の内周面)まで放射状に延びて当該車両用ホイール1を支える鋼線や棒状の部分である。本実施形態3によれば、このスポーク4の一端はホイールディスク3の中心部に固定されるものの、他端は外周部(リム2の内周面)からさらにアウターリム部22からインナーリム部21に沿って延長される(渡される)構成となっている。図5(a)では、スポーク4は、リム2と一体的に形成されてアウターリム部22からインナーリム部21に沿って延長されている。
【0033】
この場合にインナーリム部21とアウターリム部22との間に延長されるスポーク4は、前述の実施形態1と同様に、リム2よりも断面が太い(幅が厚い)補強用梁であるように構成されることができる。そうすると、例えば車両用ホイール1の周方向における断面では、図5(b)に示されるように、リム2の車軸側及びタイヤ側の面にリム2より断面の太いスポーク4が形成されるようになる。このように一体的に形成されたリム2及びスポーク4により、剛性及び強度を十分に確保することができる。
【0034】
また、前述の実施形態1と同様に、スポーク4を延長させて形成された補強用梁をアウターリム部22からインナーリム部21に向かうに従ってだんだん細くするように構成することによって更なる軽量化を図ることもできる。
【0035】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記各実施形態にあげたその他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態1における車両用ホイールの概略斜視図である。
【図2】実施形態1における車両用ホイールの概略断面図である。
【図3】図2のA−A’線についての概略断面図の例である。
【図4】実施形態2における車両用ホイールに関する説明のための図である。
【図5】実施形態3における車両用ホイールに関する説明のための図である。
【符号の説明】
【0037】
1 車両用ホイール
2 リム部
3 ホイールディスク
4 スポーク
21 インナーリム部
22 アウターリム部
31 センターボア
32 ボルト穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポークと、リムとを有する車両用ホイールであって、
前記スポークは、当該車両用ホイールのホイールディスク中心部から前記リムの内周面まで延長され、さらに、前記リムのアウターリム部からインナーリム部に沿って前記リムよりも断面の太い補強用梁として延長されることを特徴とする車両用ホイール。
【請求項2】
前記補強用梁は、前記リムの車軸側の面又はタイヤ側の面に接着されて形成される、或いは、前記リムと一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
【請求項3】
前記リムは、前記補強用梁と他の前記補強用梁との間については軽量素材により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ホイール。
【請求項4】
前記補強用梁は、前記リムのアウターリム部からインナーリム部に向かうに従って該補強用梁の断面が細くなるように構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用ホイール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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