説明

車両用マッサージ機

【課題】車両の空きスペースを有効に活用して、車両の前席に着座している着座者の下肢部をマッサージする。
【解決手段】車両5のダッシュボード51の下部において運転席52との境界となる第1の側壁部53に設置され助手席50に着座している着座者PのふくらはぎP1に圧力を加える第1の押圧部1と、車両5のダッシュボード51の下部において助手席50の前方空間55を挟んで第1の側壁部53に対向する第2の側壁部54に設置され着座者PのふくらはぎP1に圧力を加える第2の押圧部2とを備える。第1の押圧部1と第2の押圧部2とは、着座者Pによる操作部4へのオン操作がされると、給排気装置3から空気が給排気されて膨張と収縮を繰り返すことによって、着座者PのふくらはぎP1をマッサージする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に着座している着座者の下肢部をマッサージする車両用マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用マッサージ機として、以下のような構成のシート型のマッサージ機が知られている(例えば特許文献1参照)。従来の車両用マッサージ機は、車両の後部座席の床面上に取り付けられる座部と、座部の後部に設けられた背もたれ部と、座部の前端に一体に設けられて着座者のふくらはぎを載せることができるふくらはぎ載部と、ふくらはぎ載部の内部に設けられたマッサージ部とを備えるものである。マッサージ部は、ふくらはぎをマッサージするように設けられたエアバッグが膨張と収縮を繰り返すことによって、ふくらはぎをマッサージする。
【特許文献1】特開2000−253961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の車両用マッサージ機を座席として取り付けると、ふくらはぎ載部が座部の前端に一体に設けられているため、座席自体が大型化する。その結果、従来の車両用マッサージ機を、前席との間隔が比較的広い後部座席に設置することはできるものの、ダッシュボードがあって空きスペースが少ない前席(運転席および助手席)に設置することは難しかった。このため、車両の前席に着座している着座者は、下肢部のマッサージを受けることができなかった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的は、車両の空きスペースを有効に活用して、車両の前席に着座している着座者の下肢部をマッサージすることができる車両用マッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、車両の前席に着座している着座者の下肢部をマッサージする車両用マッサージ機であって、前記車両のダッシュボードの下部において隣の席との境界となる第1の側壁部に設置され前記着座者の下肢部に対して圧力変化を与える第1の施療手段と、前記車両のダッシュボードの下部において前記前席の前方空間を挟んで前記第1の側壁部に対向する第2の側壁部に設置され前記着座者の下肢部に対して圧力変化を与える第2の施療手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の施療手段は前記第1の側壁部に収納され、前記第2の施療手段は前記第2の側壁部に収納されることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、空気の給排気を繰り返す給排気手段を備え、前記第1の施療手段および前記第2の施療手段は、それぞれ前記給排気手段によって内部の空気が給排気されると膨張と収縮を繰り返すエアバッグであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、第1の施療手段と第2の施療手段とがそれぞれ車両の側壁部に設置されることによって、車両の空きスペースを有効に活用して、車両の前席に着座している着座者の下肢部をマッサージすることができる。また、第1の施療手段と第2の施療手段とがそれぞれ車両の側壁部に設置されることによって、着座者の下肢部をマッサージする手段が座部の前端に一体に設けられる場合に比べて、扉を開いたときに乗降口のスペースが狭くならず、乗り降りするときに邪魔にならない。
【0009】
請求項2の発明によれば、車両用マッサージ機の未使用時に第1の施療手段と第2の施療手段とを車両の側壁部に収納することができるので、着座者に対して第1の施療手段と第2の施療手段とが邪魔にならない。
【0010】
請求項3の発明によれば、急停車などの急激な衝撃が加わったときに、それぞれエアバッグである第1の施療手段と第2の施療手段とによって着座者への衝撃を緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明の実施形態に係る車両用マッサージ機の構成について説明する。図1は、本実施形態の概略構成を示す。本実施形態の車両用マッサージ機は、図1に示すように、車両5の助手席50に着座している着座者PのふくらはぎP1をマッサージするものであり、それぞれエアバッグである第1の押圧部1および第2の押圧部2と、第1の押圧部1および第2の押圧部2に対して空気の給排気を繰り返す給排気装置3と、着座者Pによって車両用マッサージ機のオンオフ操作が行われる操作部4とを備える。
【0012】
第1の押圧部1は、車両5のダッシュボード(インスツルメンツパネル)51の下部において運転席52との境界となる第1の側壁部53に、この第1の側壁部53から左方に突出して設置されている。
【0013】
第2の押圧部2は、車両5のダッシュボード51の下部において助手席50の前方空間(ダッシュボード51の下部空間)55を挟んで第1の側壁部53に対向する第2の側壁部54に、この第2の側壁部54から右方に突出して設置されている。
【0014】
第1の押圧部1および第2の押圧部2である各エアバッグは、給排気装置3から空気が供給されると膨張する一方、給排気装置3によって内部の空気が排気されると収縮する。各エアバッグが給排気装置3によって内部の空気が給排気されて膨張と収縮を繰り返すことによって、第1の押圧部1は、着座者Pの右足のふくらはぎや脛の筋肉に対して圧力変化を与え、第2の押圧部2は、着座者Pの左足のふくらはぎP1や脛の筋肉に対して圧力変化を与える。つまり、本実施形態の車両用マッサージ機は、第1の押圧部1および第2の押圧部2による圧力変化によって、着座者PのふくらはぎP1や脛の筋肉をマッサージする。第1の押圧部1は、本発明の第1の施療手段に相当する。また、第2の押圧部2は、本発明の第2の施療手段に相当する。
【0015】
なお、各エアバッグは、エアバッグを保護するためにカバー(図示せず)で覆われていてもよい。
【0016】
車両5において、第1の側壁部53の内部には、第1の押圧部1を収納可能とする収納スペース(図示せず)が形成されている。また、第2の側壁部54の内部には、第2の押圧部2を収納可能とする収納スペース(図示せず)が形成されている。着座者Pが車両用マッサージ機を使用しないときは、第1の押圧部1は第1の側壁部53に収納され、第2の押圧部2は第2の側壁部54に収納される。
【0017】
給排気装置3は、空気の給気と排気を繰り返すエアポンプ(図示せず)と、操作部4から入力された設定信号に基づいてエアポンプを制御する制御部(図示せず)とを備え、着座者Pの邪魔にならない場所に設置されている。第1の押圧部1と第2の押圧部2のそれぞれと給排気装置3との間には、エアホース31,32が接続されている。
【0018】
操作部4は、リモコン型のものであり、前面に設けられた複数の操作ボタン40,40・・・が着座者Pに操作されることによって、操作された操作ボタン40に対応する設定信号を給排気装置3に送信する。設定信号としては、少なくとも、車両用マッサージ機をオンにするためのオン信号と、車両用マッサージ機をオフにするためのオフ信号とがある。操作部4は、給排気装置3への設定信号の送信を、操作部4と給排気装置3とを接続したケーブルを用いて行ってもよいし、ケーブルを用いずにワイヤレス通信で行ってもよい。
【0019】
次に、本実施形態に係る車両用マッサージ機の動作について説明する。助手席50に着座している着座者Pは、車両用マッサージ機を使用する場合、第1の側壁部53に収納されている第1の押圧部1と、第2の側壁部54に収納されている第2の押圧部2とをそれぞれ外側に出して、第1の押圧部1と第2の押圧部2とにふくらはぎP1や脛の筋肉を当てる。続いて、着座者Pは操作部4を用いて車両用マッサージ機をオンにする。給排気装置3は、オン信号が入力されると、それぞれエアバッグである第1の押圧部1と第2の押圧部2とに対して、空気の給排気を繰り返す。第1の押圧部1と第2の押圧部2は、空気が供給されると膨張し、空気が排気されると収縮する。第1の押圧部1と第2の押圧部2とによる膨張と収縮の繰り返しによって、着座者PのふくらはぎP1や脛の筋肉はマッサージされる。
【0020】
その後、車両用マッサージ機の使用を終了する場合、着座者Pは操作部4を用いて車両用マッサージ機をオフにする。第1の押圧部1と第2の押圧部2が邪魔なときは、着座者Pは、第1の押圧部1を第1の側壁部53に収納し、第2の押圧部2を第2の側壁部54に収納することができる。
【0021】
以上、本実施形態によれば、第1の押圧部1と第2の押圧部2とがそれぞれ車両5の側壁部53,54に設置されることによって、車両5の空きスペース(前方空間55)を有効に活用して、車両5の助手席50に着座している着座者PのふくらはぎP1や脛の筋肉をマッサージすることができる。
【0022】
また、本実施形態によれば、着座者Pが長時間連続して着座していると、下肢部の血流が悪くなり、下肢部がむくんだり、血栓が生じたりする場合があるが、このような場合に車両用マッサージ機を適宜使用することによって、下肢部に刺激を与えることができるので、下肢部の血流をよくし、むくみを取り除いたり、血栓の発生を未然に防ぐことができる。
【0023】
さらに、本実施形態によれば、第1の押圧部1と第2の押圧部2とがそれぞれ車両5の側壁部53,54に設置されることによって、着座者PのふくらはぎP1をマッサージする手段が座部の前端に一体に設けられる場合に比べて、扉を開いたときに乗降口のスペースが狭くならず、乗り降りするときに邪魔にならない。
【0024】
また、本実施形態によれば、車両用マッサージ機の未使用時に第1の押圧部1と第2の押圧部2とを車両5の側壁部53,54に収納することができるので、着座者Pに対して第1の押圧部1と第2の押圧部2とが邪魔にならない。
【0025】
さらに、本実施形態によれば、急停車などの急激な衝撃が加わったときに、それぞれエアバッグである第1の押圧部1と第2の押圧部2とによって着座者Pへの衝撃を緩和することができる。
【0026】
なお、本実施形態では第2の押圧部2を第2の側壁部54に取り付けているが、本実施形態の変形例として、第2の押圧部2を第2の側壁部54ではなく、ドアトリム56に取り付けてもよい。
【0027】
また、本実施形態では第1の押圧部1と第2の押圧部2とを助手席50の前方空間55に取り付けているが、第1の押圧部1と第2の押圧部2の取付位置は、ダッシュボード51が前方に存在する前席の前方空間であればよい。したがって、本実施形態の変形例として、第1の押圧部1と第2の押圧部2とを運転席52の前方空間57に取り付けてもよい。ただし、第1の押圧部1と第2の押圧部2とを運転席52の前方空間57に設置する場合、安全面の点から、運転手が運転中に車両用マッサージ機を使用できないようにしておく必要がある。
【0028】
さらに、本実施形態では着座者Pのふくらはぎや脛の筋肉をマッサージするように第1の押圧部1と第2の押圧部2とが設置されているが、マッサージ箇所は着座者Pの下肢部のいずれかの部位であればよい。下肢部の他の箇所をマッサージする場合、マッサージ箇所に合わせて、側壁部53,54における第1の押圧部1および第2の押圧部2の設置場所を決定する。
【0029】
また、車両用マッサージ機は、エアバッグの膨張と収縮の繰り返しによって着脱者Pの下肢部をマッサージするものには限定されない。車両用マッサージ機の他の例として、着座者Pの下肢部に振動を与える振動手段を備えるものであってもよい。さらに、他の例として、凹凸が形成されたローラーを備え、このローラーを自転させて着座者Pの下肢部を押圧するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態1の概略構成であって、(a)が車内前方の前面図、(b)が車内前方の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 第1の押圧部
2 第2の押圧部
3 給排気装置
4 操作部
5 車両
50 助手席
51 ダッシュボード
52 運転席
53 第1の側壁部
54 第2の側壁部
55 前方空間
P 着座者
P1 ふくらはぎ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前席に着座している着座者の下肢部をマッサージする車両用マッサージ機であって、
前記車両のダッシュボードの下部において隣の席との境界となる第1の側壁部に設置され前記着座者の下肢部に対して圧力変化を与える第1の施療手段と、
前記車両のダッシュボードの下部において前記前席の前方空間を挟んで前記第1の側壁部に対向する第2の側壁部に設置され前記着座者の下肢部に対して圧力変化を与える第2の施療手段と
を備えることを特徴とする車両用マッサージ機。
【請求項2】
前記第1の施療手段は前記第1の側壁部に収納され、前記第2の施療手段は前記第2の側壁部に収納されることを特徴とする請求項1記載の車両用マッサージ機。
【請求項3】
空気の給排気を繰り返す給排気手段を備え、
前記第1の施療手段および前記第2の施療手段は、それぞれ前記給排気手段によって内部の空気が給排気されると膨張と収縮を繰り返すエアバッグである
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用マッサージ機。

【図1】
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【公開番号】特開2010−99409(P2010−99409A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275909(P2008−275909)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】