説明

車両用ランプシステム

【課題】 ランプ偏向制御を行う機能を有するランプにレンズ汚れやバルブ切れ等の異常を検出するセンサーを設けた場合に、信号ラインを増やすことなく異常を車体側の制御装置で検出できるようにする。
【解決手段】 光の照射範囲を変更可能なランプLHLと、ランプを駆動して照射範囲を変更させる駆動手段4,5と、駆動手段4,5に対して信号ラインSSL,LSLを介して伝送する信号により駆動手段4,5を駆動制御する制御手段11,12と、信号ラインを伝送される信号を検出して駆動手段の異常を検出する駆動手段異常検出手段13とを備え、ランプにおける種々の異常を検出するランプ異常検出手段6,7を設け、ランプ異常検出手段6,7は異常を検出したときに駆動手段4,5を異常状態に設定し、駆動手段異常検出手段13は信号ラインSSL.LSLを伝送される信号からランプの異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両の前照灯(ヘッドランプ)に適用して好適なランプシステムに関し、特にランプを制御するための信号ラインを介してランプの異常を検出することが可能な車両用ランプシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドランプ等のように走行に必要な照明を行うランプでは、ランプの異常を検出するセンサーを設けて運転者に警告を行うようにしたランプシステムが提案されている。例えば、ランプの光源としてのバルブや発光ダイオードが発光しない場合、あるいはランプのレンズが泥等により汚れたような場合に正常な照明ができなくなり、交通安全の点で問題があるが、このようなランプの異常は運転席にいる運転者は気がつきにくいため、異常を検出して運転者に警告するようにしている。例えば、特許文献1のようにランプにレンズ汚れ検出センサーを設け、あるいは特許文献2のようにバルブ切れ等のバルブ異常検出センサーを設け、これらセンサーの出力によって警告表示を行うようにしたものが提案されている。
【0003】
また、近年のヘッドランプは、ランプユニットの照射光軸をステアリングホイールの舵角の変化に応じて左右方向に偏向制御するスイブル装置や、車体のピッチ角(車体の前部が上下方向に傾斜する角度)の変化に応じて上下方向に偏向制御するレベリング装置が設けられているが、これらの装置において異常が生じた場合にも正常な照明が確保できなくなる。そのため、特許文献3ではオートレベリング装置の異常を検出して警告を行っているが、この場合にランプと車体側制御装置との間を接続する制御信号ラインの数を増大することがないように、レベリング装置のアクチュエータを駆動するための制御信号ラインの状態を監視することで異常の検出を行っている。
【特許文献1】特開昭60−1542号公報
【特許文献2】特開平2−15597号公報
【特許文献3】特開2006−56436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3の技術では、レベリング装置を制御するための制御信号を送受する制御信号ラインの状態を監視するため、レベリング装置の異常を検出する際に検出用の独立した信号ラインを設ける必要はなく、構成の複雑化を回避することは可能である。しかし、この特許文献3のランプにさらに特許文献1のようなレンズ汚れ検出センサーや特許文献2のようなバルブ異常検出センサーをランプに配設した場合には、これらの検出信号を警告装置に出力させるためには専用の信号ラインが必要になる。特にこれら2種類のセンサーを装備したランプでは信号ラインの本数が増大し、ランプと車体側制御装置とを接続する配線が複雑なものになる。信号ラインの本数を増やすことなくランプの各異常を検出するセンサーの検出信号を出力するようにするために、例えば、信号の多重化伝送技術を利用して制御信号ラインにレベリング装置の制御信号と各検出センサーの検出信号とを多重化することも考えられるが、その場合にはランプと車体側制御装置にそれぞれ信号の多重化回路や分離回路が必要になり、ランプや車体側制御装置の構造が複雑、かつコスト高になってしまう。
【0005】
本発明の目的は、スイブル制御やレベリング制御等のランプ偏向制御を行う機能を有するランプにレンズ汚れやバルブ切れ等の異常を検出する検出手段を設けた場合に、これらの検出手段において異常を検出したときに信号ラインを増やすことなく車体側の制御装置において異常を検出することを可能にした車両用ランプシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光の照射範囲を変更可能なランプと、ランプを駆動して照射範囲を変更させる駆動手段と、駆動手段に信号ラインを介して接続され、当該信号ラインを伝送する信号により駆動手段を駆動制御する制御手段と、信号ラインを伝送される信号を検出して駆動手段の異常を検出する駆動手段異常検出手段とを備える車両用ランプシステムであって、ランプにおける種々の異常を検出するランプ異常検出手段を備え、ランプ異常検出手段は異常を検出したときに駆動手段を異常状態に設定する構成とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ランプ異常検出手段はランプにおける異常を検出すると当該ランプを駆動する駆動手段を異常状態に設定する。駆動手段が異常状態になるとこれに接続されている信号ラインを伝送される信号を監視している駆動手段異常検出手段が駆動手段の異常を検出する。これにより、ランプ異常検出手段で検出した異常の信号を伝送する専用の信号ラインを配設することなくランプにおいて異常が生じたことを駆動手段異常検出手段において認識することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、駆動手段はランプの光照射光軸を左右に偏向動作させるスイブル装置又は上下に偏向動作させるレベリング装置の少なくとも一方であり、ランプ異常検出手段はランプのバルブ切れやバルブ寿命を検出するバルブ異常検出手段、又はレンズを含む光学系の汚れ等の異常を検出する光学系異常検出手段の少なくとも一つである。したがって、バルブ切れやバルブ寿命に至ったとき、あるいはランプの光学系の汚れを検出したときにスイブル装置やレベリング装置の動作が強制的に停止されて異常状態になり、この異常状態は信号ラインを介して駆動手段異常検出手段によって検出される。また、駆動手段異常検出手段は制御手段と一体に構成される。これにより、信号ラインを増設することなく車両の車体側に設けられた制御手段においてランプにおける異常を検出することが可能になる。
【実施例1】
【0009】
次に、本発明の実施例1を説明する。図1は本発明を自動車の左右のヘッドランプに適用した実施例1の全体構成を示す概念図である。左右のヘッドランプLHL,RHLは左右が対称な構造であり、ここでは左側ヘッドランプLHLの内部の概略構成を示している。左側ヘッドランプLHLはランプボディ21と、このランプボディ21の前面に配設した透明カバー22とでランプハウジング2が構成されており、このランプハウジング2内にランプユニット3が内装されている。このランプユニット3はスイブル駆動装置4とレベリング駆動装置5によってランプ光軸Lxが左右方向と上下方向にそれぞれ偏向制御できるようになっている。ここでは、ランプユニット3はブラケット32に集光型ランプ31を左右方向に回動可能に支持しており、スイブル駆動装置(スイブルアクチュエータ)4によってその回動位置が変化され、ランプ光軸Lxを左右方向の所定の角度範囲θhで偏向させて照射範囲を変化させるようになっている。また、前記ブラケット32は前記ランプボディ21に対して上下方向に傾動可能に支持されており、レベリング駆動装置(レベリングアクチュエータ)5によって上下方向の回動位置が変化され、このブラケット32の傾動に伴って集光型ランプ31のランプ光軸Lxを上下方向に所定の角度範囲θvで偏向させて照射範囲を変化させるようになっている。これらのスイブル駆動装置4とレベリング駆動装置5は自動車の車体側に設けた照射範囲制御装置1に電源ラインDL及び信号ラインSSL,LSLによって接続されており、詳細は後述するが、この照射範囲制御装置1によってスイブル制御とレベリングが制御が行われるとともに、ヘッドランプLHLにおける異常を検出するように構成されている。右側ヘッドランプRHLについても同じであるので以降の説明は省略する。
【0010】
図2は左側ヘッドランプLHLの一部を破断した断面図であり、前記集光型ランプ31は円筒状のスリーブ311とレンズ312とリフレクタ313で構成され、リフレクタ313の内部に光源として放電バルブ314が配設されている。この放電バルブ314を点灯させるための点灯回路ユニット8が前記ランプハウジング2内の前記ブラケット32の下側に配設され、前記放電バルブ314に電気接続されている。前記集光型ランプ31は上下に設けた支持片315によって前記ブラケット32に左右方向に回動可能に支持され、特に下側ではスイブル駆動装置4の回転出力軸41に連結されて回転駆動されるようになっている。前記ブラケット32は上側の2本のエイミングスクリュ51,52(図1参照)と下側のレベリング駆動装置5によって進退移動されるエイミングロッド53によりランプボディ21に支持されており、これらの調整によって上下方向に傾動可能とされている。
【0011】
前記集光型ランプ31には前記放電バルブ314に通流する電流を検出し、検出した電流に基づいて放電バルブ314で放電が行われているか否かを判定し、この判定結果から放電バルブ314の異常を検出して所定のバルブ異常信号を出力するバルブ異常センサー6が設けられている。例えば、放電バルブ314が正常に発光する際の電流を基準電流とし、放電バルブ314に所定の電圧を印加したときに検出した検出電流が基準電流よりも小さいときを放電バルブ314の異常として検出する。このバルブ異常センサー6は本発明におけるバルブ異常検出手段として構成される。また、このバルブ異常センサー6は放電バルブ314の点灯時間を積算して当該放電バルブ314の寿命が残り少なくなったときにバルブ異常であると検出するセンサーであってもよい。
【0012】
前記ランプハウジング2内には集光型ランプ31の周囲領域を覆い隠す疑似リフレクタとしてのエクステンション23が配設されており、当該エクステンション23の下部領域の一部には小径の窓24が開口され、この窓24に望むエクステンション23の下側に前記集光型ランプ31のレンズ312に対向するようにフォトリフレクタ構成のレンズ汚れセンサー7が設けられている。このレンズ汚れセンサー7は、図示は省略するが例えばLED(発光ダイオード)から光を出射してレンズ312に投射し、当該レンズ312で反射された光をPD(フォトダイオード)で受光し、その受光量からレンズ312の表面の汚れを検出するように構成されている。例えば、受光した光のレベルが基準値よりも低いときにレンズ312が汚れておりレンズ312に異常が生じていると検出する。このレンズ汚れセンサー7は本発明の光学系異常検出手段として構成される。
【0013】
そして、これらバルブ異常センサー6とレンズ汚れセンサー7、すなわちバルブ異常検出手段と光学系異常検出手段は、それぞれ異常を検出したときには前記スイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置5の少なくとも一方、ここではスイブル駆動装置4に所定の信号を出力し、当該スイブル駆動装置4の正常な動作を強制的に停止させるように構成されている。例えば、異常を検出したときにスイブル駆動装置4に供給される駆動用の電源ラインの電位を遮断し、あるいは正常電位よりも低下させ、スイブル駆動装置4の動作を強制的に停止するように構成されている。
【0014】
図3に示すように、前記スイブル駆動装置4とレベリング駆動装置5は車体側に設けた制御装置としての照射範囲制御装置1のスイブル制御部11とレベリング制御部12にそれぞれ電源ラインDLとスイブル信号ラインSSLとレベリング信号ラインLSLを介して接続されており、特に両信号ラインSSL,LSLを通して照射範囲制御装置1から送信されてくる制御信号によりスイブル駆動装置4の制御とレベリング駆動装置5の制御が行われ、集光型ランプ31のランプ光軸、すなわちランプユニット3のランプ光軸を左右、上下に偏向制御し、ヘッドランプの照射範囲を制御する。照射範囲制御装置1には、自動車のステアリング操舵の回動角である舵角のデータを検出する舵角センサーS1と、自動車の走行速度及びその際の加減速である車速のデータを検出する車速センサーS2と、同じく加減速のデータを検出する加減速センサーS3と、自動車の前輪と後輪の少なくとも一方の車軸高さのデータを検出する車高センサーS4とが接続され、各センサーS1〜S4で検出したデータが入力されるようになっている。また、他のデータとして、ナビゲーション装置Nから得られる自動車の走行先の道路情報等のデータも入力されるようになっている。
【0015】
この照射範囲制御装置1は、前記各センサーS1〜S4とナビゲーション装置Nからの各データに基づいてスイブル制御部11とレベリング制御部12がそれぞれ所要の演算を行って制御信号を生成し、この制御信号を信号ラインSSL,LSLを介して前記スイブル駆動装置4とレベリング駆動装置5に伝送することでこれらを制御してランプユニット3を左右方向及び上下方向にそれぞれ偏向制御する。また、この照射範囲制御装置1には前記各信号ラインSSL,LSLを通して伝送される前述の制御信号を常時監視してスイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置5の異常を検出する駆動手段異常検出部13が設けられている。この駆動手段異常検出部13では、監視している制御信号が異常となったとき、例えば信号ラインSSL,LSLの電位が正常な電位とは大きく外れた電位になったことを検出した場合に、スイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置5に異常が発生したと検出し、異常を検出したときには運転者が認識可能な箇所に配置されている警報部Aに向けてランプ異常信号を出力する。警報部Aはこのランプ異常信号を受けて所定の警報動作を行い、運転者が警報を確認することによってランプにおける異常の発生を認識できるようになっている。
【0016】
この構成によれば、図4に動作のフローチャートを示すように、照射範囲制御装置1のスイブル制御部11とレベリング制御部12は各センサーS1〜S4やナビゲーション装置Nからのデータに基づいて自動の走行に伴うランプユニット3の適正な光軸方向を演算し、この演算に基づいて制御信号を信号ラインSSL,LSLを介して伝送し、スイブル駆動装置4とレベリング駆動装置5を制御する。これにより、集光型ランプ31のランプ光軸は左右、上下に偏向動作され、光照射範囲が所望の方向に変更制御される(S101)。このとき、駆動手段異常検出部13は信号ラインSSL,LSLを伝送される制御信号を常時監視しており(S102)、制御信号が正常な場合にはスイブル制御とレベリング制御を継続する(S103)。制御信号の異常を検出したとき、すなわち、スイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置5において異常が発生したときには、駆動手段異常検出部13は異常を検出すると直ちに警報部Aにランプ異常信号を出力する。これにより、警報部Aは警報動作を行い、警報を確認した運転者はランプに異常が生じたことを認識する(S104)。したがって、運転者は直ちにヘッドランプの点検、修理を行ない、あるいは直ぐに異常に対処できない場合には、スイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置5に異常が生じていることを認識しながら運転を行うことで交通安全性が確保される。
【0017】
一方、スイブル駆動装置4やレベリング駆動装置5が正常な場合でも、バルブ異常検出手段6でバルブ314の発光不良等の異常を検出したとき、又は光学系異常検出手段7においてレンズ312の汚れ等の異常を検出したときには(S105)、これらの異常検出手段6,7は所定の信号をスイブル駆動装置4に入力し、スイブル駆動装置4を強制的に異常な状態にする(S106)。例えば、スイブル駆動装置4に供給されている電源の電位を低下してスイブル駆動装置4の正常な動作を強制的に停止する。この場合、安全確保のためにスイブル駆動装置4が停止したときにはランプユニット3のランプ光軸Lxが自車の直進方向を向いて停止するように構成しておくことが好ましい。これにより、スイブル駆動装置4は異常な状態になり、このスイブル駆動装置4に接続されている信号ラインSSLを伝送される制御信号が異常とされるため、当該制御信号を監視している駆動手段異常検出部13は次のフローサイクルにおいてスイブル駆動装置4に異常が生じたことを検出する。したがって、ステップS102でスイブル駆動装置4の異常を検出した場合と同様に警報部Aにランプ異常信号を出力し、これに伴って警報部Aは警報動作を行い、警報を確認した運転者はランプに異常が生じたことを認識することになる(S104)。
【0018】
このようにランプにおいてバルブ異常や光学系異常を検出した場合に、スイブル駆動装置4での動作を強制的に停止する等してスイブル駆動装置4を異常状態に設定することで、バルブ異常又は光学系異常のいずれの場合でもスイブル駆動装置4を監視している駆動手段異常検出部13において異常を検出し、警報部Aにおいてランプ異常を示す警報を発するようになる。換言すれば、スイブル駆動装置4を備えているランプにおいては、スイブル駆動装置4を制御するための既存の信号ラインSSLを利用してスイブル駆動装置4の異常を検出することができるのみならず、当該信号ラインSSLを利用してバルブ異常や光学系異常をも検出することができるようになる。そのため、バルブ異常や光学系異常を検出するための専用の信号ラインは不要になり、信号ライン数の増加を防いでシステムの構成の複雑化が防止できる。また、照射範囲制御装置1においてもバルブ異常や光学系異常を検出して警報を発生させるための独立した検出部や警報部を新たに設ける必要もなく、システム構成がさらに複雑化することもない。
【0019】
実施例1ではバルブ異常や光学系異常を検出した場合には、照射範囲制御装置1の駆動手段異常検出部13ではスイブル駆動装置4が異常になったときと同じ異常信号を検出するので、照射範囲制御装置1ではスイブル駆動装置が異常なのか、それともバルブ又は光学系が異常なのかが判定できず、異常箇所を特定することができない。したがって、異常の警報も一義的なものとなり運転者においてもいずれにおいて異常が生じたかを認識することはできない。しかし、運転者にしてみればヘッドランプに異常が生じていることは事実であるので、警報が発せられたヘッドランプを検証することで異常が生じている部位を特定することができ、適正な対処が可能になる。少なくとも、運転者が異常に気がつかない場合に比べれば交通安全の面で極めて有効なものになる。
【0020】
ここで、実施例1ではバルブ異常や光学系異常を検出した場合にスイブル駆動装置4の動作を強制的に停止させているが、ヘッドランプにはレベリング駆動装置5も備えられているので、バルブ異常や光学系異常を検出したときにレベリング駆動装置5の動作を強制的に停止させ、レベリング駆動装置5に接続されている信号ラインLSLを伝送される制御信号を駆動手段異常検出部13において監視して異常を検出するように構成してもよい。また、本発明は実施例1のようにスイブル駆動装置4とレベリング駆動装置5の両方を備えるヘッドランプに適用されるものではなく、ランプ内にスイブル駆動装置又はレベリング駆動装置のいずれか一方のみを備え、これらの駆動装置において異常が生じたときに照射範囲制御装置において異常を検出して警報を発する構成のランプシステムであれば本発明を同様に適用できる。さらに、ランプ内にバルブ異常検出手段6と光学系異常検出手段7の少なくとも一方の異常検出手段、あるいはこれらとは異なる他のランプ内の異常を検出する異常検出手段を備えるランプについても本発明を同様に適用することができる。さらに、実施例1では説明を判り易くするためにスイブル信号ラインSSLとレベリング信号ラインLSLとを独立した信号ラインで構成した例を示しているが、制御信号を多重化して1本の信号ラインでスイブル制御とレベリング制御を行う場合でも本発明を適用することが可能である。
【0021】
実施例1では、バルブ異常検出手段6と光学系異常検出手段7は、それぞれ異常を検出したときにスイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置7の動作を強制的に停止させているが、バルブ異常又は光学系異常を検出したときにはスイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置5に接続されている各信号ラインSSL,LSLの制御信号を強制的に異常な状態にしてスイブル駆動装置4又はレベリング駆動装置5の動作を停止させるようにし、これと同時に駆動手段異常検出部13において当該信号ラインSSL,LSLの制御信号の異常状態からスイブル駆動装置4やレベリング駆動装置5での異常を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明システムの全体構成を示す概念構成図である。
【図2】ヘッドランプの断面構成を示す図である。
【図3】システムの全体構成を示すブロック図である。
【図4】動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
1 照射範囲制御装置
2 ランプハウジング
3 ランプユニット
4 スイブル駆動装置
5 レベリング駆動装置
6 バルブ異常検出手段
7 光学系異常検出手段
11 スイブル制御部
12 レベリング制御部
13 駆動手段異常検出部
31 集光型ランプ
SSL スイブル信号ライン
LSL レベリング信号ライン
DL 電源ライン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の照射範囲を変更可能なランプと、前記ランプを駆動して照射範囲を変更させる駆動手段と、前記駆動手段に信号ラインを介して接続され、当該信号ラインを伝送する信号により前記駆動手段を駆動制御する制御手段と、前記信号ラインを伝送される信号を検出して前記駆動手段の異常を検出する駆動手段異常検出手段とを備える車両用ランプシステムであって、前記ランプにおける種々の異常を検出するランプ異常検出手段を備え、前記ランプ異常検出手段は異常を検出したときに前記駆動手段を異常状態に設定する構成であることを特徴とする車両用ランプシステム。
【請求項2】
前記駆動手段はランプの光照射光軸を左右に偏向動作させるスイブル装置又は上下に偏向動作させるレベリング装置の少なくとも一方であり、前記ランプ異常検出手段はランプにおけるバルブ切れやバルブ寿命を検出するバルブ異常検出手段又はランプのレンズを含む光学系の汚れ等の異常を検出する光学系異常検出手段の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプシステム。
【請求項3】
前記駆動手段異常検出手段は前記制御手段と一体に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプシステム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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