説明

車両用冷凍サイクル装置

【課題】車両における第1、第2温度調整対象の温度調整に用いる第1、第2熱交換対象流体それぞれの温度を調整する車両用冷凍サイクル装置において、車両搭載性の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】車両における前席側空間に吹き出す前席側送風空気、および後席側空間に吹き出す後席側送風空気それぞれの温度を調整する車両用冷凍サイクル装置であって、高圧冷媒を前席側送風空気と熱交換させる室内凝縮器12と、低圧冷媒を前席側送風空気と熱交換させる室内蒸発器21と、高圧冷媒を後席側送風空気と熱交換させる第1熱交換部131、および低圧冷媒を前席側送風空気と熱交換させる第2熱交換部132を有する複合型熱交換器13とを含んで構成され、複合型熱交換器13の第1熱交換部131および第2熱交換部131は、後席側送風空気が高圧冷媒および低圧冷媒の双方と熱交換可能なように一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒と車両における温度調整対象の温度調整に用いる熱交換対象流体とを熱交換させて、温度調整対象の温度を調整可能な車両用冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、暖房専用の熱源を有していない、或いは暖房専用の熱源が不足する車両(例えば、電気自動車やハイブリッド車両)に適用される車両用冷凍サイクル装置では、サイクル中の冷媒の流れを切り替えることで、室内熱交換器を、冷房運転時に車室内に送風する車室内送風空気を冷却する蒸発器として機能させ、暖房運転時に車室内送風空気を加熱する放熱器として機能させる構成が提案されている。
【0003】
ところが、冷房運転から暖房運転へ切り替える際(室内熱交換器を蒸発器の機能から放熱器の機能へ切り替える際)、室内熱交換器の外表面に付着した水分が蒸発して、高い湿度の送風空気が車室内へ吹き出され、車室内の窓曇り等が発生し易くなるといった問題がある。
【0004】
これに対して、特許文献1では、サイクルにおける低圧冷媒を蒸発させる蒸発器、および高圧冷媒の熱を放熱する放熱器を、それぞれ車室内に送風する送風空気が流れるケーシング内に配置し、放熱器にて送風空気を加熱し、蒸発器にて送風空気を冷却するようにしている。つまり、特許文献1では、ケーシング内に送風空気を加熱する放熱器および送風空気を冷却する蒸発器を独立して設ける構成とすることで、冷房運転から暖房運転への切り替え時に、高い湿度の送風空気が車室内へ吹き出されることを抑制する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3538845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両用冷凍サイクル装置にて、車両における第1温度調整対象の温度調整に用いる第1熱交換対象流体の温度、および第1温度調整対象と異なる第2温度調整対象の温度調整に用いる第2熱交換対象流体の温度を調整する場合がある。
【0007】
例えば、車両用冷凍サイクル装置にて、車室内の前席側空間に送風する前席側送風空気の温度、および後席側空間に送風する後席側送風空気の温度を調整したり、車室内空間に送風する送風空気、および車両における作動機器を温度調整する熱媒体の温度を調整したりすることがある。
【0008】
この場合、車両用冷凍サイクル装置には、第1熱交換対象流体の温度を調整する第1の熱交換手段(蒸発器や放熱器)の他に、第2熱交換対象流体の温度を調整する第2の熱交換手段を設けることが必要となる。
【0009】
しかし、このような構成に対して特許文献1に記載の車両用空調装置を適用すると、第1の熱交換手段および第2の熱交換手段それぞれに対して、蒸発器および放熱器を独立して設ける必要があるため、車両用冷凍サイクル装置の配置スペースの確保が困難となり、車両搭載性が著しく悪化するといった問題がある。
【0010】
本発明は上記点に鑑みて、車両における第1、第2温度調整対象の温度調整に用いる第1、第2熱交換対象流体それぞれの温度を調整する車両用冷凍サイクル装置において、車両搭載性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両における第1、第2温度調整対象の温度調整に用いる第1、第2熱交換対象流体それぞれの温度を調整する車両用冷凍サイクル装置であって、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機(11)から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させる減圧手段(14、20)と、減圧手段(14、20)にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(21)と、冷媒が流入する第1、第2熱交換部(131、132)を有する複合型熱交換器(13)と、放熱器(12)および蒸発器(21)のうち少なくとも一方は、第1熱交換対象流体の温度を調整するために用いられ、複合型熱交換器(13)は、第2熱交換対象流体の温度を調整するために用いられ、第1熱交換部(131)は、サイクルにおける高圧冷媒を第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、第2熱交換部(132)は、サイクルにおける低圧冷媒を第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、さらに、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(132)は、第2熱交換対象流体が高圧冷媒および低圧冷媒の双方と熱交換可能に一体化されていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、第2熱交換対象流体の温度を加熱するための熱交換器、および冷却するための熱交換器を独立して設けることなく、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(132)が一体化された複合型熱交換器(13)にて第2熱交換対象流体の温度を調整することができるので、車両への搭載性の向上を図ることが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明では、車両における第1、第2温度調整対象の温度調整に用いる第1、第2熱交換対象流体それぞれの温度を調整する車両用冷凍サイクル装置であって、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、冷媒と第1熱交換対象流体とを熱交換させる第1利用側熱交換器(12)と、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(17)と、冷媒を減圧する減圧手段(14、20)と、冷媒を第1熱交換対象流体と熱交換させる第2利用側熱交換器(21)と、サイクルにおける冷媒流路を、第1利用側熱交換器(12)へ圧縮機(11)から吐出された高圧冷媒を流入させる冷媒流路、および第2利用側熱交換器(21)へ減圧手段(20)にて減圧された低圧冷媒を流入させる冷媒流路に切り替える冷媒流路切替手段(16、19、23a、24a)と、冷媒が流入する第1、第2熱交換部(131、132)を有する複合型熱交換器(13)と、を備え、複合型熱交換器(13)は、第2熱交換対象流体の温度を調整するために用いられ、第1熱交換部(131)は、高圧冷媒を第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、第2熱交換部(132)は、低圧冷媒を第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、さらに、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(131)は、第2熱交換対象流体が高圧冷媒および低圧冷媒の双方と熱交換可能に一体化されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、第2熱交換対象流体の温度を加熱するための熱交換器、および冷却するための熱交換器を独立して設けることなく、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(132)が一体化された複合型熱交換器(13)にて第2熱交換対象流体の温度を調整することができるので、車両への搭載性の向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の車両用冷凍サイクル装置において、複合型熱交換器(13)は、サイクル内において第1熱交換部(131)が第1利用側熱交換器(12)に対して並列に接続され、第2熱交換部(132)が第2利用側熱交換器(21)に対して並列に接続されていることを特徴とする
これによれば、第1熱交換部(12)にてサイクルにおける高圧冷媒と第2熱交換対象流体とを熱交換させると共に、第2熱交換部(21)にてサイクルにおける低圧冷媒と第2熱交換対象流体とを熱交換させる構成を具体的かつ容易に実現することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の車両用冷凍サイクル装置において、冷媒流路切替手段(16、19、23a、24a)は、第1運転モード時に、低圧冷媒を第2利用側熱交換器(21)および第2熱交換部(132)に流し、第2運転モード時に、高圧冷媒を第1利用側熱交換器(12)および第1熱交換部(131)に流し、第3運転モード時に、高圧冷媒を第1利用側熱交換器(12)および第1熱交換部(131)に流すと共に、低圧冷媒を第2利用側熱交換器(21)および第2熱交換部(132)に流すことを特徴とする。
【0017】
これによれば、冷媒流路切替手段(16、19、23a、24a)にて各運転モード時の冷媒流路を切り替えることで、第1、第2熱交換対象流体の温度を所望の温度に調整することが可能となる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置において、複合型熱交換器(13)は、第2熱交換対象流体に放熱させる伝熱促進部材(134)を有し、伝熱促進部材(134)は、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(132)で共用されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、複合型熱交換器(13)における高温冷媒と第2熱交換対象流体との熱交換、および低温冷媒と第2熱交換対象流体との熱交換の熱交換効率を向上させることができる。
【0020】
さらに、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(132)で伝熱促進部材(134)を共用する構成としているので、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(132)の一方で冷媒と第2熱交換対象流体と熱交換させる場合における伝熱面積を拡大させることができる。このため、同等の熱交換能力を有する複合型の熱交換器に比べて、複合型熱交換器(13)の体格を小型化することができ、車両搭載性を一層向上させることができる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の車両用冷凍サイクル装置において、第1熱交換部(131)は、高圧冷媒が流れる複数の高圧チューブ(131a)を有し、第2熱交換部(132)は、低圧冷媒が流れる複数の低圧チューブ(132a)を有し、複数の高圧チューブ(131a)のうち少なくとも1つは、複数の低圧チューブ(132a)の間に配置され、複数の高圧チューブ(131a)のうち少なくとも1つは、複数の低圧チューブ(132a)の間に配置され、複数の低圧チューブ(132a)のうち少なくとも1つは、複数の高圧チューブ(131a)の間に配置され、高圧チューブ(131a)および低圧チューブ(132a)は、互いに離間して配置され、高圧チューブ(131a)および低圧チューブ(132a)の間に、第2熱交換対象流体が流れる熱交換対象流体用通路(133)が形成され、伝熱促進部材(134)は、熱交換対象流体用通路(133)に配置されていることを特徴とする。
【0022】
これによれば、第1熱交換部(131)および第2熱交換部(132)とで伝熱促進部材(134)を共有する構成を具体的かつ容易に実現することができる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置において、第1熱交換部(131)に流入する高圧冷媒の流入量および第2熱交換部(132)に流入する低圧冷媒の流入量のうち少なくとも一方を調整する冷媒流量調整手段(23a、24a)を備えることを特徴とする。
【0024】
これによれば、冷媒流量調整手段(23a、24a)にて第1熱交換部(131)における高圧冷媒と第2熱交換対象流体との熱交換量、および第2熱交換部(132)における低圧冷媒と第2熱交換対象流体との熱交換量の少なくとも一方を調整することができるので、複合型熱交換器(13)において第2熱交換対象流体の温度を所望の温度に調整することが可能となる。
【0025】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る車両用空調装置の全体構成図である。
【図2】第1実施形態に係る複合型熱交換器の外観斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る複合型熱交換器の分解斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る複合型熱交換器における高圧冷媒および低圧冷媒の流れを説明するための模式的な斜視図である。
【図5】アウターフィン周囲を流れる送風空気の温度分布を説明するための説明図である。
【図6】第2実施形態に係る車両用空調装置の全体構成図である。
【図7】第3実施形態に係る車両用空調装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の車両用冷凍サイクル装置10を、車室内に温度調整された空調風を吹き出す室内空調ユニットとして、車室内の前席側空間(第1温度調整対象)に向けて空調風を吹き出す前席側空調ユニット30および車室内の後席側空間(第2温度調整対象)に向けて空調風を吹き出す後席側空調ユニット40を備える車両用空調装置1に適用している。図1は、本実施形態の車両用空調装置1の全体構成図である。
【0029】
本実施形態の車両用空調装置1に適用される車両用冷凍サイクル装置10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)で構成されている。
【0030】
本実施形態の車両用冷凍サイクル装置10は、車室内における前席側空間および後席側空間に送風する空気を冷却および加熱する機能を果たす。つまり、車両用冷凍サイクル装置10は、冷媒流路を切り替えて、前席側空間および後席側空間に送風する送風空気(前席側送風空気および後席側送風空気)を加熱して車室内を暖房する暖房運転、および送風空気を冷却して車室内を冷房する冷房運転を実行できる。
【0031】
また、本実施形態の車両用冷凍サイクル装置10では、送風空気の除湿および温度調整する除湿暖房運転を実行することもできる。
【0032】
さらに、車両用冷凍サイクル装置10は、冷媒流路の切り替え等によって、前席側空間だけの空調を行うシングル運転(シングルモード)、および前席側空間および後席側空間の双方の空調を行うデュアル運転(デュアルモード)を実行できる。なお、図1では、デュアル運転にて冷房運転を実行した際の冷媒の流れを白抜き矢印、デュアル運転にて暖房運転を実行した際の冷媒の流れを黒矢印、およびデュアル運転にて除湿暖房運転を実行した際の冷媒の流れを白斜線矢印で示している。
【0033】
また、本実施形態の車両用冷凍サイクル装置10では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用しており、高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を越えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。この冷媒には、後述する圧縮機11を循環するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒と共にサイクルを循環している。
【0034】
圧縮機11は、エンジンルーム(図示略)内に配置されて、車両用冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機である。固定容量型圧縮機11aとしては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用することができる。
【0035】
電動モータ11bは、後述する制御装置(図示略)から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。そして、この回転数制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。従って、本実施形態では、電動モータ11bが圧縮機11の吐出能力変更手段を構成する。
【0036】
圧縮機11の吐出口側には、分岐部Aを介して室内凝縮器12の入口側、および後述する複合型熱交換器13の第1熱交換部131の入口側に接続されている。すなわち、複合型熱交換器13の第1熱交換部131は、サイクル内において室内凝縮器12と並列に接続されている。このため、室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131には、圧縮機11から吐出された冷媒が流入する。
【0037】
室内凝縮器12は、前席側空調ユニット30のケーシング31内に配置されて、その内部を流通する圧縮機吐出冷媒(高圧冷媒)と前席側送風空気とを熱交換させて、前席側送風空気を加熱する加熱用熱交換器(放熱器、第1利用側熱交換器)である。本実施形態では、前席側送風空気が第1熱交換対象流体に対応している。
【0038】
また、複合型熱交換器13は、後席側空調ユニット40のケーシング41内に配置されて、その内部を流通する冷媒と後席側送風空気とを熱交換させるものである。複合型熱交換器13は、車両用冷凍サイクル装置10の高圧冷媒を後席側送風空気と熱交換させる第1熱交換部131、および低圧冷媒と後席側送風空気とを熱交換させる第2熱交換部132を有する。本実施形態では、後席側送風空気が第2熱交換対象流体に対応している。なお、複合型熱交換器13の詳細構成については後述する。
【0039】
室内凝縮器12の出口側および複合型熱交換器13の出口側には、合流部Bを介して暖房運転時および除湿暖房運転時に複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した冷媒を減圧膨張させる第1減圧手段としての暖房用膨張弁14が接続されている。そして、暖房用膨張弁14の出口側には、後述する室外熱交換器17の入口側が接続されている。
【0040】
暖房用膨張弁14は、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。なお、暖房用膨張弁14は、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0041】
また、室内凝縮器12の出口側および複合型熱交換器13の出口側には、合流部Bを介して冷媒を暖房用膨張弁14を迂回させて室外熱交換器17側へ導くための膨張弁用迂回通路15が接続されている。
【0042】
この膨張弁用迂回通路15には、膨張弁用迂回通路15を開閉する開閉弁16が配置されている。開閉弁16は、後述する制御装置から出力される制御電圧によって、その開閉作動が制御される電磁弁である。
【0043】
また、冷媒が開閉弁16を通過する際に生ずる圧力損失は、暖房用膨張弁14を通過する際に生ずる圧力損失に対して極めて小さい。従って、室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した冷媒は、開閉弁16が開いている場合には膨張弁用迂回通路15を介して室外熱交換器17の入口側へ流入し、開閉弁16が閉じている場合には暖房用膨張弁14を介して室外熱交換器17の入口側へ流入する。
【0044】
このように、開閉弁16は、車両用冷凍サイクル装置10の冷媒流路を切り替えることができる。従って、本実施形態の開閉弁16は、冷媒流路切替手段としての機能を果たす。なお、開閉弁16に変えて、室内凝縮器12の出口側および複合型熱交換器13の出口側と暖房用膨張弁14入口側とを接続する冷媒流路、および室内凝縮器12の出口側および複合型熱交換器13の出口側と膨張弁用迂回通路15入口側とを接続する冷媒流路を切り替える電気式の三方弁等を設ける構成としてもよい。
【0045】
室外熱交換器17は、内部を流通する冷媒と送風ファン18から送風された外気とを熱交換させるものである。この室外熱交換器17は、エンジンルーム内に配置されて、暖房運転時には、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能し、冷房運転時には、高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する熱交換器である。なお、室外熱交換器17は、除湿暖房運転時に、暖房用膨張弁14の絞り開度に応じて蒸発器として機能したり、放熱器として機能したりする。
【0046】
送風ファン18は、後述する制御装置から出力される制御電圧によって回転数(外気の送風空気量)が制御される電動式送風機である。なお、送風ファン18は、室外熱交換器17に向けて外気を送風する外気送風手段を構成している。
【0047】
室外熱交換器17の出口側には、電気式の三方弁19が接続されている。この三方弁19は、後述する制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御されるものである。
【0048】
より具体的には、三方弁19は、冷房運転時および除湿暖房運転時に室外熱交換器17出口側と後述する冷房用膨張弁20入口側とを接続する冷媒流路に切り替え、暖房運転時に室外熱交換器17出口側と後述するアキュムレータ22とを接続する冷媒流路に切り替える。なお、三方弁19は、上述の開閉弁16と共に冷媒流路切替手段としての機能を果たす。
【0049】
冷房用膨張弁20は、冷媒運転時および除湿暖房運転時に室外熱交換器17から流出した冷媒を減圧膨張させる第2減圧手段であり、その基本構成は、上述の暖房用膨張弁14と同様である。
【0050】
冷房用膨張弁20の出口側には、分岐部Cを介して室内蒸発器21の入口側および複合型熱交換器13の第2熱交換部132の入口側に接続されている。すなわち、複合型熱交換器13の第2熱交換部132は、サイクル内において室内蒸発器21と並列に接続されている。このため、室内蒸発器21および複合型熱交換器13の第2熱交換部132には、冷房用膨張弁20にて減圧膨張された低圧冷媒が流入する。
【0051】
室内蒸発器21は、前席側空調ユニット30のケーシング31内に配置されて、その内部を流通する低圧冷媒と送風機32から送風された車室内送風空気とを熱交換させて、車室内送風空気を冷却する冷却用熱交換器(蒸発器、第2利用側熱交換器)である。なお、室内蒸発器21は、ケーシング31内において室内凝縮器12の空気流れ上流側に配置されている。
【0052】
室内蒸発器21の出口側および複合型熱交換器13の第2熱交換部132の出口側には、合流部Dを介してアキュムレータ22の入口側が接続されている。アキュムレータ22は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を蓄える気液分離器である。アキュムレータ22の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。従って、アキュムレータ22は、圧縮機11に液相冷媒が吸入されることを抑制し、圧縮機11における液圧縮を防止する機能を果たす。
【0053】
ここで、車両用冷凍サイクル装置10における分岐部Aから複合型熱交換器13の第1熱交換部131の入口側へ至る冷媒通路23には、第1熱交換部131に流入する高圧冷媒の流入量を調整する第1流量調整弁23aが配置されている。この第1流量調整弁23aは、第1熱交換部131に流入する高圧冷媒の流入量を調整する冷媒流量調整手段として機能する。なお、第1流量調整弁23aは、後述する制御装置から出力される制御信号(制御電圧)によって、その作動が制御される。
【0054】
また、本実施形態の第1流量調整弁23aは、分岐部Aから複合型熱交換器13の第1熱交換部131の入口側に至る冷媒通路23を全閉する全閉機能を有している。このため、第1流量調整弁23aが冷媒通路23を開いている場合には、分岐部Aを流れる冷媒が複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流れ、第1流量調整弁23aが冷媒通路23を閉じている場合には、分岐部Aを流れる冷媒が第1熱交換部131を迂回して流れる。
【0055】
このように、第1流量調整弁23aは、車両用冷凍サイクル装置10の冷媒流路を切り替えることができる。従って、本実施形態の第1流量調整弁23aは、冷媒流路切替手段としての機能を果たす。
【0056】
また、車両用冷凍サイクル装置10における分岐部Cから複合型熱交換器13の第2熱交換部132の入口側に至る冷媒通路24には、第2熱交換部132に流入する低圧冷媒の流入量を調整する第2流量調整弁24aが配置されている。
【0057】
この第2流量調整弁24aは、第2熱交換部132に流入する低圧冷媒の流入量を調整する冷媒流量調整手段として機能する。なお、第2流量調整弁24aは、後述する制御装置から出力される制御信号(制御電圧)によって、その作動が制御される。
【0058】
また、本実施形態の第2流量調整弁24aは、分岐部Cから複合型熱交換器13の第2熱交換部132の入口側に至る冷媒通路24を全閉する全閉機能を有している。このため、第2流量調整弁24aが冷媒通路24を開いている場合には、分岐部Cを流れる冷媒が複合型熱交換器13の第2熱交換部132に流れ、第2流量調整弁24aが冷媒通路24を閉じている場合には、分岐部Cを流れる冷媒が第2熱交換部132を迂回して流れる。
【0059】
このように、第2流量調整弁24aは、車両用冷凍サイクル装置10の冷媒流路を切り替えることができる。従って、本実施形態の第2流量調整弁24aは、冷媒流路切替手段としての機能を果たす。
【0060】
次に、前席側空調ユニット30、および後席側空調ユニット40について説明する。まず、前席側空調ユニット30は、車室内の前席側を空調するように車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、上述の室内蒸発器21および室内凝縮器12等を収容したものである。
【0061】
ケーシング31は、前席側送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置33が配置されている。
【0062】
内外気切替装置33には、ケーシング31内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口が形成されている。さらに、内外気切替装置33の内部には、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドアが配置されている。
【0063】
内外気切替装置33の空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して導入された空気を車室内に向けて送風する送風機32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)32aを電動モータ32bにて駆動する電動送風機であって、後述する制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
【0064】
送風機32の空気流れ下流側には、車室内送風空気を冷却する室内蒸発器21が配置されている。そして、室内蒸発器21の空気流れ下流側には、車室内送風空気を加熱する室内凝縮器12が配置されている。
【0065】
さらに、室内蒸発器21の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の空気流れ上流側には、室内蒸発器21通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量割合を調整するエアミックスドア34が配置されている。また、室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて高圧冷媒によって加熱された車室内送風空気と、室内凝縮器12を迂回して加熱されていない車室内送風空気とを混合させる混合空間35が設けられている。
【0066】
従って、冷房運転時において、エアミックスドア34が室内凝縮器12を通過させる風量の割合を調整することによって、混合空間35にて混合された空調風の温度が調整される。つまり、エアミックスドア34は、車室内へ送風される空調風の温度を調整する温度調整手段を構成している。なお、エアミックスドア34は、制御装置から出力される制御信号によって作動が制御されるサーボモータ(図示略)によって駆動される。
【0067】
また、ケーシング31の送風空気流れ最下流側には、エアミックスドア34にて温度調整された空調風を、第1温度調整対象である前席側空間に吹き出す吹出口(図示略)が配置されている。具体的には、吹出口としては、前席側乗員の上半身へ空調風を吹き出すフェイス吹出口、前席側乗員の足元へ空調風を吹き出すフット吹出口、および車両前面窓ガラス内側面へ空調風を吹き出すデフロスタ吹出口が設けられている。
【0068】
さらに、フェイス吹出口、フット吹出口、およびデフロスタ吹出口の送風空気流れ上流側には、フェイス吹出口の開口面積を調整するフェイスドア(図示略)、フット吹出口の開口面積を調整するフットドア(図示略)、およびデフロスタ吹出口の開口面積を調整するデフロスタドア(図示略)が配置されている。
【0069】
これらのフェイスドア、フットドア、およびデフロスタドアは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して、後述する制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御されるサーボモータ(図示略)によって駆動される。
【0070】
次に、後席側空調ユニット40について説明する。この後席側空調ユニット40は車室内の後席側を空調するように車室内の後部側等に配置されている。後席側空調ユニット40は、外殻を形成するケーシング41内に、上述の複合型熱交換器13等を収容したものである。
【0071】
ケーシング41は、後席側送風空気の空気通路を形成しており、その基本構成は、前席側空調ユニット30のケーシング31と同様である。
【0072】
ケーシング41内の送風空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)を吸入して送風する送風機42が配置されている。この送風機42は、遠心多翼ファン(シロッコファン)42aを電動モータ42bにて駆動する電動送風機であって、後述する制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
【0073】
送風機42の空気流れ下流側には、複合型熱交換器13が配置されている。そして、ケーシング41の送風空気流れ最下流側には、複合型熱交換器13にて温度調整された空調風を、第2温度対象である後席側空間へ吹き出す吹出口(図示略)が配置されている。具体的には、吹出口としては、後席側乗員の上半身へ空調風を吹き出すフェイス吹出口、後席側乗員の足元へ空調風を吹き出すフット吹出口が設けられている。
【0074】
そして、フェイス吹出口、およびフット吹出口の送風空気流れ上流側には、フェイス吹出口の開口面積を調整するフェイスドア(図示略)、およびフット吹出口の開口面積を調整するフットドア(図示略)が配置されている。これらのフェイスドア、およびフットドアは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して、後述する制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御されるサーボモータ(図示略)によって駆動される。
【0075】
ここで、本実施形態の複合型熱交換器13の詳細構成について図2〜図4に基づいて説明する。図2は、本実施形態に係る複合型熱交換器13の外観斜視図であり、図3は、本実施形態に係る複合型熱交換器13の分解斜視図である。また、図4は、本実施形態に係る複合型熱交換器13における高圧冷媒および低圧冷媒の流れを説明するための模式的な斜視図である。
【0076】
本実施形態の複合型熱交換器13は、第2熱交換対象流体である後席側送風空気が高圧冷媒および低圧冷媒の双方と熱交換可能なように、第1熱交換部131および第2熱交換部132が一体化されたものである。
【0077】
第1熱交換部131および第2熱交換部132それぞれは、内部に冷媒を流通させる複数のチューブ131a、132a、当該複数のチューブ131a、132aの両端側に配置されて冷媒の集合あるいは分配を行う一対の集合分配用のタンク131b、132b等を有する、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器として構成されている。
【0078】
より具体的には、第1熱交換部131は、高圧冷媒が流れる複数の高圧チューブ131a、および高圧チューブ131aの長手方向に対して直交する方向に延びて高圧チューブ131a内を流れる高圧冷媒の集合あるいは分配を行う高圧側ヘッダタンク部131bを有し、高圧チューブ131aを流れる高圧冷媒と高圧チューブ131aの周囲を流れる車室内送風空気とを熱交換させて、車室内送風空気を加熱する加熱用の熱交換部である。
【0079】
一方、第2熱交換部132は、高圧冷媒よりも温度の低い低圧冷媒が流れる複数の低圧チューブ132a、および低圧チューブ132aの長手方向に対して直交する方向に延びて低圧チューブ132a内を流れる低圧冷媒の集合あるいは分配を行う低圧側ヘッダタンク部132bを有し、低圧チューブ132aを流れる低圧冷媒と低圧チューブ132aの周囲を流れる車室内送風空気とを熱交換させて、車室内送風空気を冷却(除湿)する冷却用の熱交換部である。
【0080】
高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aは、その長手方向に直交する断面形状が扁平形状となる扁平チューブで構成されて、伝熱性に優れる金属(アルミニウム合金等)で形成されている。
【0081】
本実施形態の高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aは、それぞれ送風機32からの送風空気の流れ方向Xに沿って2列配置されている。そして、本実施形態の高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aは、その外表面の平坦面同士が互いに平行、かつ、所定の間隔をあけて離間した状態で交互に配置されている。すなわち、高圧チューブ131aは、低圧チューブ132aの間に配置され、逆に、低圧チューブ132aは、高圧チューブ131aの間に配置されている。
【0082】
そして、高圧チューブ131aと低圧チューブ132aとの間に形成される空間は、車室内送風空気が流通する送風空気通路(熱交換対象流体用通路)133を構成している。つまり、高圧チューブ131aの外周および低圧チューブ132aの外周には、車室内送風空気が流通する送風空気通路133が形成されている。
【0083】
さらに、送風空気通路133には、第1熱交換部131における高圧冷媒と車室内送風空気との熱交換、および第2熱交換部132における低圧冷媒と車室内送風空気との熱交換を促進する伝熱促進手段としてアウターフィン134が配置されている。アウターフィン134は、対向する高圧チューブ131aの外表面および低圧チューブ132aの外表面に接合された状態で配置されている。
【0084】
なお、本実施形態の複合型熱交換器13は、第1熱交換部131における高圧冷媒と車室内送風空気との熱交換面積と、第2熱交換部132における低圧冷媒と車室内送風空気との熱交換面積とが同等となるように構成されている。
【0085】
また、高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aは、高圧側ヘッダタンク部131bと低圧側ヘッダタンク部132bとの間に配置されている。具体的には、高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aの長手方向一端側に高圧側ヘッダタンク部131bが配置され、高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aの長手方向他端側に低圧側ヘッダタンク部132bが配置されている。
【0086】
図3に示すように、高圧側ヘッダタンク131bは、2列に配置された各チューブ131a、132aに接続される高圧側接続プレート131c、高圧側接続プレート131cに固定された高圧側中間プレート131d、および高圧側タンク形成部材131eを有している。
【0087】
高圧側中間プレート131dには、高圧側接続プレート131cが固定されることによって、高圧側接続プレート131cとの間に、2列の低圧チューブ132a同士を互いに連通する複数の空間を有する複数の凹み部131fが形成されている。
【0088】
また、高圧側中間プレート131dにおける高圧チューブ131aに対応する部位には、その表裏を貫通する貫通穴が形成され、当該貫通穴に高圧チューブ131aが嵌挿されている。なお、高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aの高圧側ヘッダタンク部131b側の端部では、高圧チューブ131aが、低圧チューブ132aよりも高圧側タンク形成部材131e側に突出している。
【0089】
高圧側タンク形成部材131eは、高圧側接続プレート131cおよび高圧側中間プレート131dに固定されることによって、その内部に高圧冷媒を集合させる集合空間131g、および高圧冷媒を分配する分配空間131hを形成する。具体的には、高圧側タンク形成部材131eは、平板金属にプレス加工を施すことにより、その長手方向から見たときに二山状(W字状)に形成される。
【0090】
そして、高圧側タンク形成部材131eの二山状の中央部が、高圧側中間プレート131dに接合されることで、集合空間131gおよび分配空間131hが区画されている。なお、本実施形態では、送風空気の流れ方向Xの風下側に集合空間131gが配置され、風下側に分配空間131hが配置されている。
【0091】
また、高圧側タンク形成部材131eの長手方向一端側には、分配空間131hへ高圧冷媒を流入させる高圧側流入配管13aが接続されると共に、集合空間131gから高圧冷媒を流出させる高圧側流出配管13bが接続されている。さらに、高圧側タンク形成部材131eの長手方向他端側は、閉塞部材により閉塞されている。
【0092】
一方、低圧側ヘッダタンク部132bは、高圧側ヘッダタンク部131bと基本的構成が同様であり、各チューブ131a、132aに接続される低圧側接続プレート132c、低圧側接続プレート132cに固定された低圧側中間プレート132d、および低圧側タンク形成部材132eを有している。
【0093】
そして、低圧側中間プレート132dには、低圧側接続プレート132cが固定されることによって、低圧側接続プレート132cとの間に、2列の高圧チューブ131a同士を互いに連通する複数の空間を有する複数の凹み部132fが形成されている。
【0094】
また、低圧側中間プレート132dにおける低圧チューブ132aに対応する部位には、その表裏を貫通する貫通穴が形成され、当該貫通穴に低圧チューブ132aが嵌挿されている。なお、高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aの低圧側ヘッダタンク部132b側の端部では、低圧チューブ132aが、高圧チューブ131aよりも低圧側タンク形成部材132e側に突出している。
【0095】
低圧側タンク形成部材132eは、低圧側接続プレート132cおよび低圧側中間プレート132dに固定されることによって、その内部に低圧冷媒を集合させる集合空間132g、および低圧冷媒を分配する分配空間132hを形成する。具体的には、低圧側タンク形成部材132eは、高圧側タンク形成部材131eと同様に、その長手方向から見たときに二山状(W字状)に形成される。
【0096】
そして、低圧側タンク形成部材132eの二山状の中央部が、低圧側中間プレート132dに接合されることで、集合空間132gおよび分配空間132hが区画されている。なお、本実施形態では、送風空気の流れ方向Xの風上側に集合空間132gが配置され、風下側に分配空間132hが配置されている。
【0097】
また、低圧側タンク形成部材132eの長手方向一端側には、分配空間132hへ低圧冷媒を流入させる低圧側流入配管13cが接続されると共に、集合空間132gから低圧冷媒を流出させる低圧側流出配管13dが接続されている。さらに、低圧側タンク形成部材132eの長手方向他端側は、閉塞部材により閉塞されている。
【0098】
このように構成される本実施形態の複合型熱交換器13では、図4の実線矢印で示すように、高圧側流入配管13aを介して高圧側ヘッダタンク部131bの分配空間131hから流入した高圧冷媒が、2列に並べられた高圧チューブ131aのうち、外気流れ方向の風上側の各高圧チューブ131aへ流入する。
【0099】
そして、外気流れ方向の風上側の各高圧チューブ131aから流出した高圧冷媒が、低圧側ヘッダタンク部132bの低圧側接続プレート132cと低圧側中間プレート132dとの間に形成された空間を介して、外気流れ方向の風下側の各高圧チューブ131aへ流入する。
【0100】
さらに、外気流れ方向の風下側に配置された各高圧チューブ131aから流出した高圧冷媒が、高圧側ヘッダタンク部131bの集合空間131gにて集合し、高圧側流出配管13bから流出する。つまり、本実施形態の複合型熱交換器13では、高圧側流入配管13aから流入した高圧冷媒が、風上側の各高圧チューブ131a→低圧側ヘッダタンク部132b→風下側の各高圧チューブ131aの順にUターンして、高圧側流出配管13bへ流出する。
【0101】
同様に、低圧側流入配管13cから流入した低圧冷媒は、図4の破線矢印で示すように、風下側の各低圧チューブ132a→高圧側ヘッダタンク部131b→風上側の各低圧チューブ132aの順にUターンして、低圧側流出配管13dへ流出する。
【0102】
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。本実施形態の制御装置(図示略)は、CPU、ROM、およびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された圧縮機11等の各種制御機器の作動を制御する。
【0103】
また、制御装置の入力側には、車室内温度を検出する内気センサ、外気温を検出する外気センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、室内蒸発器21の吹出空気温度を検出する蒸発器温度センサ、室内凝縮器12に流入する高圧冷媒の温度を検出する高圧側温度センサ、高圧冷媒の圧力を検出する高圧側圧力センサ、室内蒸発器21に流入する低圧冷媒の温度を検出する低圧側温度センサ、低圧冷媒の圧力を検出する低圧側圧力センサ等のセンサ群が接続されている。
【0104】
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル(図示略)に接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた操作スイッチとしては、車両用空調装置の作動スイッチ、前席側空間の目標温度を設定する車室内温度設定スイッチ、冷房運転、暖房運転、および除湿運転を選択する運転モード設定スイッチ、前席側空間の空調だけを行うシングルモード、および前席側空間および後席側空間の双方の空調を行うデュアルモードを選択する空調空間設定スイッチ等が設けられている。
【0105】
なお、制御装置は、圧縮機11の電動モータ11b等の制御機器を制御する制御手段が一体に構成され、これらを制御するものであるが、本実施形態では、制御装置のうち、各制御機器の作動を制御するための構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御機器の制御手段として機能する。
【0106】
例えば、冷媒流路切替手段を構成する開閉弁16、三方弁19、および第1、第2流量調整弁23a、24aの作動を制御する構成が切替制御手段として機能し、冷媒流量調整手段を構成する第1、第2流量調整弁23a、24aの作動を制御する構成が冷媒流量制御手段として機能する。
【0107】
次に、上述のように構成される本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、暖房運転、冷房運転に加えて、除湿暖房運転を実行することができる。なお、暖房運転、冷房運転、および除湿暖房運転のいずれの運転を実行するかは、操作パネルの運転モード設定スイッチの操作信号に応じて決定される。また、本実施形態の車両用空調装置1では、操作パネルの空調空間設定スイッチの操作信号に応じてシングル運転(シングルモード)、およびデュアル運転(デュアルモード)のいずれかを実行することができる。
(a)冷房運転(第1運転モード時)
冷房運転は、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、操作パネルの運転モード設定スイッチにて冷房運転モードが選択されると開始される。
【0108】
冷房運転時には、制御装置が、開閉弁16を開くと共に、三方弁19を室外熱交換器17の出口側と冷房用膨張弁20の入口側とを接続する冷媒流路に切り替え、さらに、第1流量調整弁23aにて冷媒通路23を閉じる(全閉)。また、シングルモード時には、第2流量調整弁24aにて冷媒通路24を閉じ(全閉)、デュアルモード時には、第2流量調整弁24aにて冷媒通路24を開く(絞り状態)。これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒(高圧冷媒)が、図1の白抜き矢印に示すように流れる(デュアルモード)。
【0109】
冷房運転時の冷媒流路に切り替えた後、制御装置が、上述のセンサ群の検出信号や操作パネルの操作信号を読み込む。そして、読み込んだ検出信号や操作信号に応じて、車室内へ吹き出す空気の目標温度である目標吹出温度TAOを算出し、当該目標吹出温度TAO、各センサの検出信号、操作パネルの各スイッチの操作信号に基づいて、制御装置の出力側に接続された各制御機器の作動状態(例えば、制御信号)を決定する。
【0110】
例えば、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器21の目標蒸発器吹出温度TEOを決定する。そして、目標蒸発器吹出温度TEOと蒸発器温度センサによって検出された室内蒸発器21の吹出空気温度との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器21の吹出空気温度が目標蒸発器吹出温度TEOに近づくように圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号が決定される。
【0111】
また、冷房用膨張弁20に出力される制御信号については、冷房用膨張弁20に流入する冷媒の過冷却度が、COPを最大値に近づくように予め決定された目標過冷却度に近づくように決定される。
【0112】
また、前席側空調ユニット30のエアミックスドア34のサーボモータに出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を閉塞するように決定される。
【0113】
また、後席側空調ユニット40の送風機42に出力される制御信号については、空調空間設定スイッチにてシングルモードが設定されている場合に、送風機42の送風量がゼロ(作動停止)になるように決定され、デュアルモードが設定されている場合に、送風機42の送風量が目標吹出温度TAOに応じた目標送風量となるように決定される。なお、後席側空調ユニット40の送風機42に出力される制御信号については、他の運転(暖房運転および除湿暖房運転)でも同様である。
【0114】
また、デュアルモード時における後席側空調ユニット40の第2流量調整弁24aに出力される制御信号については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、複合型熱交換器13からの吹出空気の温度が、乗員が所望する温度となるように決定される。
【0115】
そして、目標吹出温度TAO等により決定された制御信号等を各種制御機器へ出力する。その後、操作パネルによって車両用空調装置1の作動停止が要求されるまで、所定の制御周期毎に、上述の検出信号および操作信号の読み込み→目標吹出温度TAOの算出→各制御機器の作動状態の決定→各制御機器の制御といった制御ルーチンが繰り返される。なお、このような制御ルーチンは、基本的には他の運転モード(暖房および除湿暖房)が設定された場合にも同様に行われる。
【0116】
これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒(高圧冷媒)が、室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入する。この際、エアミックスドア34にて室内凝縮器12の空気通路が閉鎖されているので、室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、送風機32から送風された前席側送風空気に放熱することなく流出する。
【0117】
室内凝縮器12から流出した高圧冷媒は、暖房用膨張弁14を迂回して膨張弁用迂回通路15に流れ、当該膨張弁用迂回通路15を介して、室外熱交換器17に流入する。室外熱交換器17へ流入した高圧冷媒は、送風ファン18から送風された外気に放熱する。
【0118】
室外熱交換器17から流出した高圧冷媒は、三方弁19を介して冷房用膨張弁20に流入して低圧冷媒となるまで減圧膨張される。そして、冷房用膨張弁20にて減圧された低圧冷媒は、シングルモード時に室内蒸発器21に流入し、デュアルモード時に分岐部Cを介して室内蒸発器21および複合型熱交換器13の第2熱交換部132の双方に流入する。なお、シングルモード時には、第2流量調整弁24aにて冷媒通路24を閉じているので、冷房用膨張弁20にて減圧された低圧冷媒は、複合型熱交換器13の第2熱交換部132に流入することなく室内蒸発器21だけに流入する。
【0119】
室内蒸発器21に流入した低圧冷媒は、送風機32から送風される前席側送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、前席側送風空気が冷却される。
【0120】
また、デュアルモード時において複合型熱交換器13の第2熱交換部132に流入した低圧冷媒は、送風機42から送風される後席側送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、デュアルモード時には後席側送風空気が冷却される。
【0121】
室内蒸発器21から流出した冷媒および複合型熱交換器13の第2熱交換部132から流出した冷媒は、合流部Dにて合流してアキュムレータ22に流入して気液分離される。そして、アキュムレータ22にて分離された気相冷媒が圧縮機11に吸入されて、再び圧縮される。
【0122】
以上の如く、冷房運転時には、室内蒸発器21にて所望の温度に冷却された前席側送風空気を前席側空間に吹き出すことで、車室内の前席側空間の冷房を実現することができる。さらに、デュアルモード時には、複合型熱交換器13の第2熱交換部132にて所望の温度に冷却された後席側送風空気を後席側空間に吹き出すことで、車室内の後席側空間の冷房を実現することができる。
【0123】
ここで、冷房運転時における「高圧冷媒」は、圧縮機11の吐出口側から冷房用膨張弁20の入口側に至る冷媒流路に存する冷媒を意味し、「低圧冷媒」は、冷房用膨張弁20の出口側から圧縮機11の吸入口側に至る冷媒流路に存する冷媒を意味する。
(b)暖房運転(第2運転モード時)
暖房運転は、操作パネルの運転モード設定スイッチにて暖房運転モードが選択されると開始される。
【0124】
暖房運転時には、制御装置が、開閉弁16を閉じると共に、三方弁19を室外熱交換器17の出口側とアキュムレータ22の入口側とを接続する冷媒流路に切り替え、さらに、第2流量調整弁24aにて冷媒通路24を閉じる(全閉)。また、シングルモード時には、第1流量調整弁23aにて冷媒通路23を閉じ(全閉)、デュアルモード時には、第1流量調整弁23aにて冷媒通路23を開く(絞り状態)。これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒(高圧冷媒)が、図1の黒矢印に示すように流れる(デュアルモード)。
【0125】
暖房運転時の冷媒流路に切り替えた後、制御装置が、その出力側に接続された各制御機器の作動状態(例えば、制御信号)を決定し、決定した制御信号等を各種制御機器へ出力する。
【0126】
例えば、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、室内凝縮器12の目標凝縮器吹出温度TCOを決定する。そして、目標凝縮器吹出温度TCOと高圧側温度センサによって検出された室内凝縮器12に流入する高圧冷媒の温度との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器21の吹出空気温度が目標凝縮器吹出温度TCOに近づくように圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号が決定される。
【0127】
また、暖房用膨張弁14に出力される制御信号については、暖房用膨張弁14に流入する冷媒の過冷却度が、COPを最大値に近づくように予め決定された目標過冷却度に近づくように決定される。
【0128】
また、前席側空調ユニット30のエアミックスドア34のサーボモータに出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を全開するように決定される。
【0129】
また、デュアルモード時における後席側空調ユニット40の第1流量調整弁23aに出力される制御信号については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、複合型熱交換器13からの吹出空気の温度が、乗員が所望する温度となるように決定される。
【0130】
これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒(高圧冷媒)が、シングルモード時に室内凝縮器12に流入し、デュアルモード時に分岐部Aを介して室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131の双方に流入する。この際、エアミックスドア34にて室内凝縮器12の空気通路が開放されているので、室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、送風機32から送風された前席側送風空気と熱交換して放熱する。これにより、前席側送風空気が加熱される。
【0131】
また、デュアルモード時において複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入した高圧冷媒は、送風機42から送風される後席側送風空気と熱交換して放熱する。これにより、デュアルモード時には後席側送風空気が加熱される。
【0132】
室内凝縮器12から流出した高圧冷媒および複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した高圧冷媒は、合流部Bにて合流して暖房用膨張弁14に流入し、低圧冷媒となるまで減圧膨張される。そして、暖房用膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器17に流入する。室外熱交換器17へ流入した低圧冷媒は、送風ファン18から送風された外気から吸熱して蒸発する。
【0133】
室外熱交換器17から流出した低圧冷媒は、三方弁19を介してアキュムレータ22に流入して気液分離される。そして、アキュムレータ22にて分離された気相冷媒が圧縮機11に吸入されて、再び圧縮される。
【0134】
以上の如く、暖房運転時には、室内凝縮器12にて所望の温度に加熱された前席側送風空気を前席側空間に吹き出すことで、車室内の前席側空間の暖房を実現することができる。さらに、デュアルモード時には、複合型熱交換器13の第1熱交換部131にて所望の温度に加熱された後席側送風空気を後席側空間に吹き出すことで、車室内の後席側空間の暖房を実現することができる。
【0135】
ここで、暖房運転時における「高圧冷媒」は、圧縮機11の吐出口側から暖房用膨張弁14の入口側に至る冷媒流路に存する冷媒を意味し、「低圧冷媒」は、暖房用膨張弁14の出口側から圧縮機11の吸入口側に至る冷媒流路に存する冷媒を意味する。
(c)除湿暖房運転(第3運転モード時)
除湿暖房運転は、操作パネルの運転モード設定スイッチにて除湿暖房運転モードが選択されると開始される。なお、除湿暖房運転は、運転モード設定スイッチによる除湿暖房運転モードの選択以外に限らず、暖房運転時に車室内の相対湿度に基づいて除湿の要否を判定し、当該判定結果に応じて自動的に開始するようにしてもよい。
【0136】
除湿暖房運転時には、制御装置が、開閉弁16を閉じると共に、三方弁19を室外熱交換器17の出口側と冷房用膨張弁20の入口側とを接続する冷媒流路に切り替える。さらに、シングルモード時には、第1、第2流量調整弁23a、24aにて各冷媒通路23、24を閉じ(全閉)、デュアルモード時には、第1、第2流量調整弁23a、24aにて各冷媒通路23、24を開く(絞り状態)。これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒(高圧冷媒)が、図1の白斜線矢印に示すように流れる(デュアルモード)。
【0137】
除湿暖房運転時の冷媒流路に切り替えた後、制御装置が、その出力側に接続された各制御機器の作動状態(例えば、制御信号)を決定し、決定した制御信号等を各種制御機器へ出力する。
【0138】
例えば、前席側空調ユニット30のエアミックスドア34のサーボモータに出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を全開するように決定される。
【0139】
また、デュアルモード時における後席側空調ユニット40の第1、第2流量調整弁23a、24aに出力される制御信号については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、複合型熱交換器13からの吹出空気の温度が、乗員が所望する温度となるように決定される。
【0140】
また、暖房用膨張弁14および冷房用膨張弁20に出力される制御信号については、車室内設定温度と外気温との温度差に応じて、暖房用膨張弁14および冷房用膨張弁20の絞り開度が決定される。例えば、暖房用膨張弁14および冷房用膨張弁20に出力される制御信号は、目標吹出温度TAOの上昇に応じて、以下に示す第1〜第4除湿暖房運転といった4段階の運転モードとなるように決定される。
(c−1)第1除湿暖房運転
第1除湿暖房運転では、暖房用膨張弁14を全開状態とし、冷房用膨張弁20を絞り状態とする。従って、サイクル構成としては、上述の冷房運転と全く同様となるものの、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を全開にしているため、圧縮機11から吐出された冷媒は、サイクル内を以下のように循環する。
【0141】
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒は、シングルモード時に室内凝縮器12に流入し、デュアルモード時に分岐部Aを介して室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131へ流入する。なお、シングルモード時には、第1流量調整弁23aにて冷媒通路23を閉じているので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒は、複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入することなく室内凝縮器12だけに流入する。
【0142】
室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、室内蒸発器21にて冷却された除湿された前席側送風空気と熱交換して放熱する。これにより、前席側送風空気が加熱される。
【0143】
また、デュアルモード時において複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入した高圧冷媒は、送風機42から送風される後席側送風空気と熱交換して放熱する。これにより、デュアルモード時には後席側送風空気が加熱される。
【0144】
室内凝縮器12から流出した高圧冷媒および複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した高圧冷媒は、暖房用膨張弁14にて減圧されることなく、室外熱交換器17に流入する。そして、室外熱交換器17に流入した冷媒は、冷房用膨張弁20にて減圧膨張される。
【0145】
冷房用膨張弁20にて減圧された低圧冷媒は、シングルモード時に室内蒸発器21に流入し、デュアルモード時に分岐部Cを介して室内蒸発器21および複合型熱交換器13の第2熱交換部132の双方に流入する。なお、シングルモード時には、第2流量調整弁24aにて冷媒通路24を閉じているので、冷房用膨張弁20にて減圧された低圧冷媒は、複合型熱交換器13の第2熱交換部132に流入することなく室内蒸発器21だけに流入する。
【0146】
室内蒸発器21に流入した低圧冷媒は、送風機32から送風される前席側送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、前席側送風空気が冷却される。
【0147】
また、デュアルモード時において複合型熱交換器13の第2熱交換部132に流入した低圧冷媒は、送風機42から送風される後席側送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、デュアルモード時には後席側送風空気が冷却される。
【0148】
以上の如く、第1除湿暖房運転時には、前席側空調ユニット30の室内蒸発器21にて冷却され除湿された前席側送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内の前席側空間に吹き出すことができる。これにより、車室内における前席側空間の除湿暖房を実現することができる。
【0149】
また、デュアルモード時には、複合型熱交換器13において、第1熱交換部131にて高圧冷媒と後席側送風空気との熱交換により後席側送風空気が加熱されると共に、第2熱交換部132にて低圧冷媒と後席側送風空気との熱交換により後席側送風空気が冷却されて除湿される。
【0150】
ここで、図5は、アウターフィン134周囲を流れる送風空気の温度分布を説明するための説明図である。図5の(a)は、複合型熱交換器13の各チューブ131a、132aの長手方向断面図であり、(b)は、アウターフィン134周囲を流れる送風空気の温度分布を示す温度分布図である。
【0151】
図5に示すように、複合型熱交換器13における送風空気通路133を流れる空気は、高圧チューブ131aの外表面付近(放熱領域)で高圧チューブ131aを流れる高圧冷媒により加熱されて昇温し、低圧チューブ132aの外表面付近(吸熱領域)で低圧チューブ132aを流れる低圧冷媒により冷却されて除湿される。つまり、複合型熱交換器13では、高温冷媒により加熱されると共に低圧冷媒により除湿された空気が流出する。
【0152】
このように、デュアルモード時において、除湿暖房運転を実行した場合、後席側送風空気を後席側空調ユニット40の複合型熱交換器13にて加熱すると共に除湿して、車室内の後席側空間に吹き出すことができる。これにより、車室内における後席側空間の除湿暖房を実現することができる。
(c−2)第2除湿暖房運転
次に、第1除湿暖房運転の実行中に、目標吹出温度TAOが予め定めた第1基準温度よりも高くなった際には、第2除湿暖房運転が実行される。
【0153】
第2除湿暖房運転では、暖房用膨張弁14を絞り状態とし、冷房用膨張弁20の絞り開度を第1除湿暖房運転よりも増加させた絞り状態とする。これにより、圧縮機11から吐出された冷媒は、サイクル内を以下のように循環する。
【0154】
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒は、第1除湿暖房運転時と同様に、シングルモード時に室内凝縮器12に流入し、デュアルモード時に分岐部Aを介して室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131へ流入する。室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、室内蒸発器21にて冷却された除湿された前席側送風空気と熱交換して放熱する。また、デュアルモード時において複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入した高圧冷媒は、送風機42から送風される後席側送風空気と熱交換して放熱する。
【0155】
室内凝縮器12から流出した高圧冷媒および複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した高圧冷媒は、絞り状態となっている暖房用膨張弁14にて中間圧冷媒となるまで減圧膨張される。暖房用膨張弁14にて減圧された中間圧冷媒は、室外熱交換器17に流入して、送風ファン18から送風された外気と熱交換して放熱する。以降の冷媒の流れは第1除湿暖房と同様である。
【0156】
以上の如く、第2除湿暖房運転では、第1除湿暖房運転時と同様に、室内蒸発器21にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内の前席側空間へ吹き出すことができる。これにより、車室内の前席側空間の除湿暖房を実現することができる。
【0157】
また、デュアルモード時には、第1除湿暖房運転時と同様に、後席側送風空気を後席側空調ユニット40の複合型熱交換器13にて加熱すると共に除湿して、車室内の後席側空間に吹き出すことができる。これにより、車室内の後席側空間の除湿暖房を実現することができる。
【0158】
この際、第2除湿暖房運転では、暖房用膨張弁14を絞り状態としているので、第1除湿暖房運転時に対して、室外熱交換器17へ流入する冷媒の温度を低下させることができる。従って、室外熱交換器17における冷媒の温度と外気温との温度差を縮小して、室外熱交換器17における冷媒の放熱量を低減できる。その結果、室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131における冷媒の放熱量を増加させることができるので、第1除湿暖房モードよりも室内凝縮器12および複合型熱交換器13から吹き出される温度を上昇させることができる。
(c−3)第3除湿暖房運転
次に、第2除湿暖房運転の実行中に、目標吹出温度TAOが予め定めた第2基準温度よりも高くなった際には、第3除湿暖房運転が実行される。
【0159】
第3除湿暖房運転では、暖房用膨張弁14の絞り開度を第2除湿暖房時よりも縮小させた絞り状態とし、冷房用膨張弁20の絞り開度を第2除湿暖房運転時よりも増加させる。これにより、圧縮機11から吐出された冷媒は、サイクル内を以下のように循環する。
【0160】
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒は、第1、第2除湿暖房運転時と同様に、シングルモード時に室内凝縮器12に流入し、デュアルモード時に分岐部Aを介して室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131へ流入する。室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、室内蒸発器21にて冷却された除湿された前席側送風空気と熱交換して放熱する。また、デュアルモード時において複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入した高圧冷媒は、送風機42から送風される後席側送風空気と熱交換して放熱する。
【0161】
室内凝縮器12から流出した高圧冷媒および複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した高圧冷媒は、絞り状態となっている暖房用膨張弁14にて外気温よりも低い中間圧冷媒となるまで減圧膨張される。暖房用膨張弁14にて減圧された中間圧冷媒は、室外熱交換器17に流入して、送風ファン18から送風された外気と熱交換して吸熱する。さらに、室外熱交換器17から流出した冷媒は、冷房用膨張弁20にて減圧される。以降の冷媒の流れは第1除湿暖房運転時と同様である。
【0162】
以上の如く、第3除湿暖房運転では、第1、第2除湿暖房運転時と同様に、室内蒸発器21にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内の前席側空間へ吹き出すことができる。これにより、車室内の前席側空間の除湿暖房を実現することができる。
【0163】
また、デュアルモード時には、第1、第2除湿暖房運転時と同様に、後席側送風空気を後席側空調ユニット40の複合型熱交換器13にて加熱すると共に除湿して、車室内の後席側空間に吹き出すことができる。これにより、車室内の後席側空間の除湿暖房を実現することができる。
【0164】
この際、第3除湿暖房モードでは、暖房用膨張弁14の絞り開度を縮小させることによって、室外熱交換器17を蒸発器として作用させているので、第2除湿暖房モードに対して、室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131における冷媒の放熱量を増加させることができる。その結果、第2除湿暖房モードよりも室内凝縮器12および複合型熱交換器13から吹き出される温度を上昇させることができる。
(c−4)第4除湿暖房運転
次に、第3除湿暖房運転の実行中に、目標吹出温度TAOが予め定めた第3基準温度よりも高くなった際には、第4除湿暖房運転が実行される。第4除湿暖房運転では、暖房用膨張弁14の絞り開度を第3除湿暖房運転時よりも縮小させた絞り状態とし、冷房用膨張弁20を全開状態とする。これにより、圧縮機11から吐出された冷媒は、サイクル内を以下のように循環する。
【0165】
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒は、第1〜第3除湿暖房運転時と同様に、シングルモード時に室内凝縮器12に流入し、デュアルモード時に分岐部Aを介して室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131へ流入する。室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、室内蒸発器21にて冷却された除湿された前席側送風空気と熱交換して放熱する。また、デュアルモード時において複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入した高圧冷媒は、送風機42から送風される後席側送風空気と熱交換して放熱する。
【0166】
室内凝縮器12から流出した高圧冷媒および複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した高圧冷媒は、絞り状態となっている暖房用膨張弁14にて外気温よりも低い低圧冷媒となるまで減圧膨張される。暖房用膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器17に流入して、送風ファン18から送風された外気と熱交換して吸熱する。
【0167】
そして、室外熱交換器17から流出した低圧冷媒は、冷房用膨張弁20が全開状態となっているので、減圧されることなくシングルモード時に室内蒸発器21に流入し、デュアルモード時に分岐部Cを介して室内蒸発器21および複合型熱交換器13の第2熱交換部132に流入する。以降の流れは第1除湿暖房運転時と同様である。
【0168】
以上の如く、第4除湿暖房運転では、第1〜第3除湿暖房運転時と同様に、第1、第2除湿暖房運転時と同様に、室内蒸発器21にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内の前席側空間へ吹き出すことができる。これにより、車室内の前席側空間の除湿暖房を実現することができる。
【0169】
また、デュアルモード時には、第1〜第3除湿暖房運転時と同様に、後席側送風空気を後席側空調ユニット40の複合型熱交換器13にて加熱すると共に除湿して、車室内の後席側空間に吹き出すことができる。これにより、車室内の後席側空間の除湿暖房を実現することができる。
【0170】
この際、第4除湿暖房運転では、第3除湿暖房運転と同様に、室外熱交換器17を蒸発器として作用させるとともに、第3除湿暖房運転よりも暖房用膨張弁14の絞り開度を縮小させているので、室外熱交換器17における冷媒蒸発温度を低下させることができる。従って、第4除湿暖房モードよりも室外熱交換器17における冷媒の温度と外気温との温度差を拡大させて、室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131における冷媒の放熱量を増加させることができる。その結果、第3除湿暖房運転時よりも室内凝縮器12および複合型熱交換器13から吹き出される温度を上昇させることができる。
【0171】
ここで、除湿暖房運転時における「高圧冷媒」は、圧縮機11の吐出口側から暖房用膨張弁14の入口側に至る冷媒流路に存する冷媒を意味し、「低圧冷媒」は、冷房用膨張弁20の出口側から圧縮機11の吸入口側に至る冷媒流路に存する冷媒を意味する。
【0172】
以上説明した本実施形態の車両用空調装置1では、上述の如く、車両用冷凍サイクル装置10の冷媒流路を切り替えることによって、種々のサイクル構成を実現して、車室内の前席側空間および後席側空間の適切な冷房、暖房および除湿暖房を実現できる。
【0173】
特に、本実施形態の後席側空調ユニット40では、複合型熱交換器13といった単一の熱交換器にて、後席側空間(第2温度調整対象)に吹き出す後席側送風空気(第2熱交換対象流体)を温度調整することができるので、車両用冷凍サイクル装置10の車両への搭載性の向上を図ることが可能となる。
【0174】
加えて、複合型熱交換器13では、エアミックスドア等を備えることなく、後席側送風空気の温度を調整することができるため、車両への搭載性の更なる向上を図ることが可能となる。
【0175】
また、本実施形態の複合型熱交換器13は、サイクル内において第1熱交換部131を室内凝縮器12に対して並列に接続すると共に、第2熱交換部132を室内蒸発器21に対して並列に接続するといった具体的かつ容易な構成によって実現することができる。
【0176】
また、本実施形態の複合型熱交換器13は、伝熱促進部材であるアウターフィン134を第1熱交換部131の高圧チューブ131aと第2熱交換部132の高圧チューブ132aとの間の送風空気通路133に配置することで、アウターフィン134を各熱交換部131、132で共用する構成としている。
【0177】
このため、複合型熱交換器13における高温冷媒と後席側送風空気との熱交換、および低温冷媒と後席側送風空間との熱交換の熱交換効率を向上させることができる。
【0178】
例えば、暖房運転時のように、複合型熱交換器13の第1熱交換部131にて高圧冷媒と後席側送風空気と熱交換させる場合、アウターフィン134の全域を高圧冷媒の有する熱量を放熱するために利用することができるので、実質的に放熱可能面積を拡大させることができる。
【0179】
また、冷房運転時のように、複合型熱交換器13の第2熱交換部132にて低圧冷媒と後席側送風空気と熱交換させる場合、アウターフィン134の全域を後席側送風空気の有する熱量を低圧冷媒に吸熱するために利用することができるので、実質的に吸熱可能面積を拡大させることができる。
【0180】
このように、本実施形態の複合型熱交換器13は、冷房運転時および暖房運転時における伝熱面積を実質的に拡大させることができるので、同等の熱交換能力を有する熱交換器に比べて、複合型熱交換器13の体格を小型化することができ、車両搭載性を一層向上させることができる。
【0181】
また、除湿暖房運転時のように、複合型熱交換器13の各熱交換部131、132にて高圧冷媒および低圧冷媒と後席側送風空気と熱交換させる場合、高圧チューブ131aを流れる高圧冷媒の温度および低圧チューブ132aを流れる低圧冷媒の温度の変化に応じて、アウターフィン134における放熱に利用できる放熱領域(有効面積)が変化する。
【0182】
例えば、第1除湿暖房運転時のように高圧チューブ131aに比較的温度の低い高圧冷媒が流れる場合、アウターフィン134における放熱に利用できる放熱領域(有効面積)が小さくなる。一方、第4除湿暖房運転時のように高圧チューブ131aに比較的温度の高い高圧冷媒が流れる場合、アウターフィン134における放熱に利用できる放熱領域(有効面積)が大きくなる。
【0183】
このように、各チューブ131a、132aを流れる冷媒の温度に応じて、アウターフィン134における放熱に利用できる放熱領域が適切に変化することになるので、高圧冷媒と後席側送風空気との間の適切な熱交換、および低圧冷媒と後席側送風空気との間の適切な熱交換を実現することが可能となる。
【0184】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態の車両用空調装置1の全体構成図である。なお、本実施形態を含む以下の実施形態では、第1実施形態と同等または均等な構成については同一符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化して説明する。
【0185】
本実施形態では、第1実施形態における後席側空調ユニット40を、車載バッテリ5の温度を調整するバッテリ温度調整ユニット60に変更している。なお、車両用冷凍サイクル10の基本構成は第1実施形態と同様である。
【0186】
バッテリ温度調整ユニット60は、バッテリ温度調整ユニット60は車室内の後席の背面側やトランクルーム内等に配置されている。バッテリ温度調整ユニット60は、外殻を形成するケーシング61内に、第1実施形態と同様の複合型熱交換器13、および車載バッテリ5等を収容したものである。
【0187】
ケーシング61は、車載バッテリ5を配置したバッテリ配置空間(第2温度調整対象)に送風する送風空気(バッテリ送風空気)の空気通路を形成しており、その基本構成は、第1実施形態の後席側空調ユニット40のケーシング41と同様である。なお、本実施形態では、バッテリ送風空気が第2熱交換対象流体に対応している。
【0188】
ケーシング61内の送風空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)を吸入して送風する送風機62が配置されている。この送風機62は、第1実施形態の後席側空調ユニット40の送風機42と同様に、遠心多翼ファン62aを電動モータ62bにて駆動する電動送風機である。そして、送風機62の空気流れ下流側には、複合型熱交換器13が配置されている。そして、複合型熱交換器13の送風空気流れ下流側には、車載バッテリ5が配置されている。
【0189】
車載バッテリ5は、車載された各種電気機器に供給する電力を蓄える蓄電手段であり、所定の温度帯にて作動(充放電)させる必要がある。例えば、車載バッテリ5は、バッテリ温度が所定の下限温度以下となる際に作動(充放電)させると本来の機能が発揮できず、バッテリ温度が所定の上限温度以上となる際に作動させると急速に劣化することがある。なお、車載バッテリ5には、バッテリ温度を検出するバッテリ温度センサ(図示略)が設けられ、バッテリ温度センサの検出信号が制御装置に出力される。
【0190】
次に、上述のように構成される本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、室内空調ユニット30による冷房運転時に車載バッテリ5を冷却するバッテリ冷却運転を実行することができ、暖房運転時にバッテリ加熱運転を実行することができる。なお、室内空調ユニット30における冷房運転、暖房運転、および除湿暖房運転については、第1実施形態の作動と同様であるため、その説明を省略する。
(a)バッテリ冷却運転
バッテリ冷却運転は、例えば、バッテリ温度センサにより検出された車載バッテリ5の温度が所定の第1基準温度よりも高い温度である場合に実行される。
【0191】
バッテリ冷却運転では、車両用冷凍サイクル装置10を第1実施形態で説明した冷房運転時と同様の冷媒流路に切り替えると共に、さらに、第1流量調整弁23aにて冷媒通路23を閉じる(全閉)と共に、第2流量調整弁24aにて冷媒通路24を開く(絞り状態)。これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、図6の白抜き矢印に示すように流れる。
【0192】
冷媒流路を切り替えた後、制御装置が、上述のセンサ群の検出信号や操作パネルの操作信号に応じて、車載バッテリ5に吹き出すバッテリ送風空気のバッテリ目標温度を算出し、当該バッテリ目標温度、各センサの検出信号、操作パネルの各スイッチの操作信号に基づいて、制御装置の出力側に接続された各制御機器の作動状態を決定する。
【0193】
例えば、第2流量調整弁24aに出力される制御信号については、複合型熱交換器13の第2熱交換部132へ流入する冷媒の流入量が、複合型熱交換器13からの吹出空気温度がバッテリ目標温度に近づくように決定される。具体的には、複合型熱交換器13からの吹出空気温度とバッテリ目標温度との偏差の増大に伴って、複合型熱交換器13の第2熱交換部132へ流入する冷媒の流入量が増加するように決定される。
【0194】
これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒(高圧冷媒)が、室内凝縮器12→膨張弁用迂回通路15→室外熱交換器17→冷房用膨張弁20へと流れる。そして、冷房用膨張弁20にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器21および複合型熱交換器13の第2熱交換部132の双方に流入する。
【0195】
そして、複合型熱交換器13の第2熱交換部132に流入した低圧冷媒は、送風機62から送風されるバッテリ送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、バッテリ送風空気が冷却される。
【0196】
室内蒸発器21から流出した冷媒および複合型熱交換器13の第2熱交換部132から流出した冷媒は、合流部Dにて合流してアキュムレータ22に流入して気液分離される。そして、アキュムレータ22にて分離された気相冷媒が圧縮機11に吸入されて、再び圧縮される。
【0197】
以上の如く、バッテリ冷却運転時には、複合型熱交換器13の第2熱交換部132にて冷却されたバッテリ送風空気をバッテリ配置空間に吹き出し、車載バッテリ5の周囲の温度を低下させることで、車載バッテリ5の冷却を実現することができる。
(b)バッテリ加熱運転
バッテリ加熱運転は、例えば、バッテリ温度センサにより検出された車載バッテリ5の温度が所定の第2基準温度(<第1基準温度)よりも低い温度である場合に実行される。
【0198】
バッテリ加熱運転では、車両用冷凍サイクル装置10を第1実施形態で説明した暖房運転時と同様の冷媒流路に切り替えると共に、さらに、第1流量調整弁23aにて冷媒通路23を開く(絞り状態)と共に、第2流量調整弁24aにて冷媒通路24を閉じる(全閉)。これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒(高圧冷媒)が、図6の黒矢印に示すように流れる。
【0199】
そして、第1流量調整弁23aに出力される制御信号については、複合型熱交換器13の第1熱交換部131へ流入する冷媒の流入量が、複合型熱交換器13からの吹出空気温度がバッテリ目標温度に近づくように決定される。例えば、複合型熱交換器13からの吹出空気温度とバッテリ目標温度との偏差の増大に伴って、複合型熱交換器13の第1熱交換部131へ流入する冷媒の流入量が増加するように決定される。
【0200】
これにより、車両用冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131の双方に流入する。そして、複合型熱交換器13の第1熱交換部131に流入した高圧冷媒は、送風機62から送風されるバッテリ送風空気に放熱する。これにより、バッテリ送風空気が加熱される。
【0201】
室内凝縮器12および複合型熱交換器13の第1熱交換部131から流出した冷媒は、合流部Bを介して、暖房用膨張弁14→室外熱交換器17→アキュムレータ22へと流れる。そして、アキュムレータ22にて分離された気相冷媒が圧縮機11に吸入されて、再び圧縮される。
【0202】
以上の如く、バッテリ加熱運転時には、複合型熱交換器13の第1熱交換部131にて加熱されたバッテリ送風空気をバッテリ配置空間に吹き出し、車載バッテリ5の周囲の温度を上昇させることで、車載バッテリ5の加熱を実現することができる。
【0203】
以上説明した本実施形態の車両用空調装置1によれば、上述の如く、車両用冷凍サイクル装置10の冷媒流路を切り替えることによって、種々のサイクル構成を実現して、車室内空間(第1温度調整対象)の適切な温度調整および車載バッテリ5の適切な温度調整を実現できる。
【0204】
特に、本実施形態のバッテリ温度調整ユニット60では、複合型熱交換器13といった単一の熱交換器にて、車載バッテリ5に吹き出すバッテリ送風空気(第2熱交換対象流体)を温度調整することができるので、車両用冷凍サイクル装置10の車両への搭載性の向上を図ることが可能となる。
【0205】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態の車両用空調装置1の全体構成図である。
【0206】
上述の第2実施形態では、バッテリ温度調整ユニット60にてバッテリ配置空間に送風するバッテリ送風空気の温度を調整することで、車載バッテリ5の温度を調整する構成としている。
【0207】
これに対して、本実施形態では、ブラインを循環させるブライン循環回路70を設け、複合型熱交換器13にてブラインを温度調整し、温度調整されたブラインを用いて車載バッテリ5の温度調整を行う。本実施形態では、車載バッテリ5が第2温度調整対象に対応し、ブラインが第2熱交換対象流体に対応している。なお、ブラインとしては、エチレングリコール水溶液等を採用することができる。
【0208】
本実施形態の複合型熱交換器13としては、第1熱交換部131の高圧チューブ131aと第2熱交換部132の低圧チューブ132aとの間にブラインが流通するブライン通路を設け、当該ブライン通路にブラインを流すことで、高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aの双方に流れる冷媒とブラインとを熱交換させる構成とする。
【0209】
ブライン循環回路70は、車載バッテリ5の内部に形成されたブライン通路に、ブラインを流通させて車載バッテリ5の温度を調整する熱媒体循環回路である。このブライン循環回路70には、ブラインポンプ71、ブラインの温度を検出するブライン温度センサ72、電気式の三方弁73、ブラインと送風ファン(図示略)から送風された外気とを熱交換させて、ブラインの有する熱を外気に放熱させる放熱器75、放熱器75を迂回させてブラインを流すバイパス通路74等が配置されている。
【0210】
ブラインポンプ71は、ブライン循環回路70において、ブラインを車載バッテリ5の内部に形成されたブライン通路へ圧送する電動式のポンプであり、制御装置から出力される制御信号によって回転数(流量)が制御される。
【0211】
ブライン温度センサ72は、車載バッテリ5のブライン通路の出口側に配置され、車載バッテリ5から流出したブラインの温度を検出する温度検出手段であり、その検出信号を制御装置に出力する。なお、ブライン循環回路70におけるブライン温度センサ72のブライン流れ下流側には、分岐部Eを介して複合型熱交換器13のブライン通路の入口側、および三方弁73の入口側の双方に接続されている。
【0212】
三方弁73は、分岐部Eの一方の出口側と放熱器75の入口側とを接続するブライン流路、および分岐部Eの一方の出口側とバイパス通路74とを接続するブライン流路を切り替えるブライン流路切替手段としての機能を果たす。
【0213】
つまり、本実施形態のブライン循環回路70では、ブラインポンプ71→車載バッテリ5→複合型熱交換器13のブライン通路および放熱器75→ブラインポンプ71の順にブラインを循環させるブライン流路と、ブラインポンプ71→車載バッテリ5→複合型熱交換器13のブライン通路およびバイパス通路74→ブラインポンプ71の順にブラインを循環させるブライン流路とを切り替えることができる。なお、ブライン循環回路70の三方弁73は、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0214】
次に、上述のように構成される本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、第2実施形態と同様に、車載バッテリ5を冷却するバッテリ冷却運転、およびバッテリ加熱運転を実行することができる。
(a)バッテリ冷却運転
バッテリ冷却運転は、例えば、バッテリ温度センサにより検出された車載バッテリ5の温度が所定の第1基準温度より高い温度である場合に実行される。
【0215】
本実施形態のバッテリ冷却運転では、車載バッテリ5のバッテリ目標温度が外気温よりも高い場合、車両用冷凍サイクル装置10を作動させず、ブライン循環回路70の三方弁73を分岐部Eの出口側と放熱器75の入口側とを接続するブライン流路に切り替える。
【0216】
これにより、ブライン循環回路70では、図7の実線矢印で示すように、ブラインポンプ71から圧送されたブラインが、車載バッテリ5→複合型熱交換器13のブライン通路および放熱器75→ブラインポンプ71の順に循環する。
【0217】
この際、車載バッテリ5の内部に形成されたブライン通路には、放熱器75にて冷却されたブラインが流通し、当該ブラインが車載バッテリ5から吸熱することで、車載バッテリ5が冷却される。
【0218】
また、バッテリ冷却運転では、車載バッテリ5のバッテリ目標温度が外気温以下の場合、車両用冷凍サイクル装置10を第2実施形態のバッテリ冷却運転時と同様の冷媒流路に切り替えると共に、ブライン循環回路70の三方弁73を分岐部Eの出口側と放熱器75の入口側とを接続するブライン流路に切り替える。
【0219】
そして、第2流量調整弁24aに出力される制御信号については、複合型熱交換器13の第2熱交換部132へ流入する冷媒の流入量が、ブライン温度センサ72の検出値に応じて決定される。例えば、ブライン温度センサ72の検出値とバッテリ目標温度との偏差の増大に応じて複合型熱交換器13の第2熱交換部132へ流入する冷媒の流入量が増加するように決定される。
【0220】
これにより、ブライン循環回路70では、図7の実線矢印で示すように、ブラインポンプ71から圧送されたブラインが、車載バッテリ5→複合型熱交換器13のブライン通路および放熱器75→ブラインポンプ71の順に循環する。
【0221】
この際、車載バッテリ5の内部に形成されたブライン通路には、複合型熱交換器13の第2熱交換部132にて冷却されたブラインが流通し、当該ブラインが車載バッテリ5から吸熱することで、車載バッテリ5が冷却される。
【0222】
以上の如く、バッテリ冷却運転時には、放熱器75にて冷却されたブライン、または、複合型熱交換器13の第1熱交換部131にて冷却されたブラインを車載バッテリ5の内部に形成されたブライン通路へ流入させることで、車載バッテリ5の冷却を実現することができる。
(b)バッテリ加熱運転
バッテリ加熱運転は、例えば、バッテリ温度センサにより検出された車載バッテリ5の温度が所定の第2基準温度(<第1基準温度)よりも低い温度である場合に実行される。
【0223】
本実施形態のバッテリ加熱運転では、車両用冷凍サイクル装置10を第2実施形態で説明したバッテリ加熱運転時と同様の冷媒流路に切り替えると共に、ブライン循環回路70の三方弁73を分岐部Eの出口側とバイパス通路74の入口側とを接続するブライン流路に切り替える。
【0224】
これにより、ブライン循環回路70では、図7の破線矢印で示すように、ブラインポンプ71から圧送されたブラインが、車載バッテリ5→複合型熱交換器13のブライン通路およびバイパス通路74→ブラインポンプ71の順に循環する。
【0225】
この際、車載バッテリ5の内部に形成されたブライン通路には、複合型熱交換器13の第1熱交換部131にて加熱されたブラインが流通し、当該ブラインの有する熱が車載バッテリ5に放熱されることで、車載バッテリ5が加熱される。
【0226】
以上の如く、バッテリ加熱運転時には、複合型熱交換器13の第1熱交換部131にて加熱されたブラインを車載バッテリ5の内部に形成されたブライン通路へ流入させることで、車載バッテリ5の加熱を実現することができる。
【0227】
以上説明した本実施形態の車両用空調装置1では、上述した第2実施形態の車両用空調装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0228】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0229】
(1)上述の各実施形態では、分岐部Aと複合型熱交換器13の第1熱交換部131との間の冷媒通路23、および分岐部Cと複合型熱交換器13の第2熱交換部132との間の冷媒通路24に第1、第2流量調整弁23a、24aを設ける構成としているが、これに限定されない。例えば、第1温度調整対象と第2温度調整対象との目標温度が同様の温度帯となる場合、第1、第2流量調整弁23a、24aを廃したり、第1、第2流量調整弁23a、24aを単なる開閉弁に変更したりしてもよい。
【0230】
(2)上述の各実施形態では、複合型熱交換器13の具体的な構成を詳述したが、複合型熱交換器13は、少なくとも、冷凍サイクルの高圧冷媒および低圧冷媒と第2熱交換対象流体とが熱交換可能に一体化されている構成であれば、他の熱交換器を採用してもよい。
【0231】
(3)上述の各実施形態で説明したように、複合型熱交換器13に伝熱促進部材としてのアウターフィン134を設けることが好ましいが、これに限定されず、複合型熱交換器13にアウターフィン134を設けない構成としてもよい。
【0232】
(4)上述の実施形態では、複合型熱交換器13全域において高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aを交互に配置する構成としているが、これに限定されず、複合型熱交換器13の一部において高圧チューブ131aおよび低圧チューブ132aを交互に配置する構成としてもよい。
【0233】
(5)上述の実施形態では、第1実施形態にて車室内の前席側空間(第1温度調整対象)と後席側空間(第2温度調整対象)の温度を調整し、第2、第3実施形態にて車室内空間(第1温度調整対象)と車載バッテリ(第2温度調整対象)5等の温度を調整する例につて説明したが、これに限定されず、温度調整が必要な他の空間や作動機器を第1、第2温度調整対象としてもよい。
【0234】
(6)上述の実施形態では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用した例を説明したが冷媒の種類はこれに限定されない。例えば、二酸化炭素等の自然冷媒や炭化水素系冷媒等を採用してもよい。
【符号の説明】
【0235】
11 圧縮機
12 室内凝縮器(放熱器、第1利用側熱交換器)
13 複合型熱交換器
131 第1熱交換部
131a 高圧チューブ
132 第2熱交換部
132a 低圧チューブ
133 送風空気通路(熱交換対象流体用通路)
134 アウターフィン(伝熱促進部材)
14 暖房用膨張弁(減圧手段)
16 開閉弁(冷媒流路切替手段)
17 室外熱交換器
19 三方弁(冷媒流路切替手段)
20 冷房用膨張弁(減圧手段)
21 室内蒸発器(蒸発器、第2利用側熱交換器)
23a 第1流量調整弁(冷媒流路切替手段、冷媒流量調整手段)
24a 第2流量調整弁(冷媒流路切替手段、冷媒流量調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における第1、第2温度調整対象の温度調整に用いる第1、第2熱交換対象流体それぞれの温度を調整する車両用冷凍サイクル装置であって、
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
前記圧縮機(11)から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、
前記放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させる減圧手段(14、20)と、
前記減圧手段(14、20)にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(21)と、
冷媒が流入する第1、第2熱交換部(131、132)を有する複合型熱交換器(13)と、
前記放熱器(12)および前記蒸発器(21)のうち少なくとも一方は、前記第1熱交換対象流体の温度を調整するために用いられ、
前記複合型熱交換器(13)は、前記第2熱交換対象流体の温度を調整するために用いられ、
前記第1熱交換部(131)は、サイクルにおける高圧冷媒を前記第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、
前記第2熱交換部(132)は、サイクルにおける低圧冷媒を前記第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、
さらに、前記第1熱交換部(131)および前記第2熱交換部(132)は、前記第2熱交換対象流体が前記高圧冷媒および前記低圧冷媒の双方と熱交換可能に一体化されていることを特徴とする車両用冷凍サイクル装置。
【請求項2】
車両における第1、第2温度調整対象の温度調整に用いる第1、第2熱交換対象流体それぞれの温度を調整する車両用冷凍サイクル装置であって、
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
冷媒と前記第1熱交換対象流体とを熱交換させる第1利用側熱交換器(12)と、
冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(17)と、
冷媒を減圧する減圧手段(14、20)と、
冷媒を前記第1熱交換対象流体と熱交換させる第2利用側熱交換器(21)と、
サイクルにおける冷媒流路を、前記第1利用側熱交換器(12)へ前記圧縮機(11)から吐出された高圧冷媒を流入させる冷媒流路、および前記第2利用側熱交換器(21)へ前記減圧手段(20)にて減圧された低圧冷媒を流入させる冷媒流路に切り替える冷媒流路切替手段(16、19、23a、24a)と、
冷媒が流入する第1、第2熱交換部(131、132)を有する複合型熱交換器(13)と、を備え、
前記複合型熱交換器(13)は、前記第2熱交換対象流体の温度を調整するために用いられ、
前記第1熱交換部(131)は、前記高圧冷媒を前記第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、
前記第2熱交換部(132)は、前記低圧冷媒を前記第2熱交換対象流体と熱交換可能に構成され、
さらに、前記第1熱交換部(131)および前記第2熱交換部(131)は、前記第2熱交換対象流体が前記高圧冷媒および前記低圧冷媒の双方と熱交換可能に一体化されていることを特徴とする車両用冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記複合型熱交換器(13)は、サイクル内において前記第1熱交換部(131)が前記第1利用側熱交換器(12)に対して並列に接続され、前記第2熱交換部(132)が前記第2利用側熱交換器(21)に対して並列に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記冷媒流路切替手段(16、19、23a、24a)は、
第1運転モード時に、前記低圧冷媒を前記第2利用側熱交換器(21)および前記第2熱交換部(132)に流し、
第2運転モード時に、前記高圧冷媒を前記第1利用側熱交換器(12)および前記第1熱交換部(131)に流し、
第3運転モード時に、前記高圧冷媒を前記第1利用側熱交換器(12)および前記第1熱交換部(131)に流すと共に、前記低圧冷媒を前記第2利用側熱交換器(21)および前記第2熱交換部(132)に流すことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記複合型熱交換器(13)は、前記第2熱交換対象流体に放熱させる伝熱促進部材(134)を有し、
前記伝熱促進部材(134)は、前記第1熱交換部(131)および前記第2熱交換部(132)で共用されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記第1熱交換部(131)は、前記高圧冷媒が流れる複数の高圧チューブ(131a)を有し、
前記第2熱交換部(132)は、前記低圧冷媒が流れる複数の低圧チューブ(132a)を有し、
前記複数の高圧チューブ(131a)のうち少なくとも1つは、前記複数の低圧チューブ(132a)の間に配置され、
前記複数の高圧チューブ(131a)のうち少なくとも1つは、前記複数の低圧チューブ(132a)の間に配置され、
前記複数の低圧チューブ(132a)のうち少なくとも1つは、前記複数の高圧チューブ(131a)の間に配置され、
前記高圧チューブ(131a)および前記低圧チューブ(132a)は、互いに離間して配置され、前記高圧チューブ(131a)および前記低圧チューブ(132a)の間に、前記第2熱交換対象流体が流れる熱交換対象流体用通路(133)が形成され、
前記伝熱促進部材(134)は、前記熱交換対象流体用通路(133)に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記第1熱交換部(131)に流入する前記高圧冷媒の流入量および前記第2熱交換部(132)に流入する前記低圧冷媒の流入量のうち少なくとも一方を調整する冷媒流量調整手段(23a、24a)を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−207890(P2012−207890A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75534(P2011−75534)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】