説明

車両用制御システム

【課題】車両用キーに「モード」という概念を取り入れることにより、乗員の利便性を向上させる。
【解決手段】車両用制御システムは、車載機器10と電子キー20(車両用キー)を備える。電子キー20には、乗員が電子キー20を直接携帯している場合に設定される人モード(第1のモード)と、持ち物を介して間接的に携帯している場合に設定される荷物モード(第2のモード)とに択一的に切り替え可能なモード切替SW26(モード切替手段)が設けられる。車載機器10の車両用制御部11(制御手段)は、モード切替SW26において人モードが設定されている場合と荷物モードが設定されている場合とでブザー51(制御機器、報知手段)、制御ドア43(制御機器、開閉体)等への制御態様を異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御システムに関し、特に車両用キーをユーザーが直接携帯している時と、鞄等の荷物に入れて携帯している時とで、制御機器への制御態様を異ならせることにより、ユーザーに対する利便性を向上させるようにした車両用制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用キーとして例えば電子キーを使用する現行の車両用制御システムでは、車両用キーにおいて「モード」という概念がなく、電子キーは人が直接携帯するという考えの下、車両を基準として予め定められたエリアに電子キーが検出されるか否かによって、車両ドアの開閉、エンジン始動等の許可を行っている。なお、上記したような電子キーシステムにおいて、車両に搭載される制御装置に、通常モードと省電力モードとに択一的に切り替え可能なモード切替スイッチを設け、ユーザーが省電力モードを設定することにより、車両のバッテリ上がりを防止するようにした技術は知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−037396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した電子キーを鞄の中に入れたまま車両ドアを解錠してエンジンを始動させたり、複数の電子キーを登録しておき、電子キーの一つを鞄や荷物と一緒に車内に放置したりする場合が多くなってきた。この場合、現行の車両用制御システムにおいて、車内にある電子キーの機能を有効化しておく考え方と無効化する考え方とがある。前者の考え方によれば、車内に人が居る場合にその人が警報装置等を作動させることなく車外に出られる一方で、その電子キーを用いた車両の盗難を防止しにくいという問題がある。これとは逆に、後者の考え方によれば、車内にある電子キーを用いた車両の盗難は防止できるものの、車内に居る人が車外へ出ようとしたときに警報装置等が作動してしまうという問題があり、いずれの考え方を採用しても不都合な点が多い。
【0005】
本発明は、上記課題に対処するためになされたものであり、その目的は、車両用キーに「モード」という概念を取り入れることにより、上記不都合な点を解消してユーザーの利便性を向上させ得る車両用制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車両用制御システムは、
予め登録されたデータを無線送信可能な車両用キーと、
車両に搭載され、車両用キーが無線送信したデータを無線受信可能な受信機と、
車両に搭載され、受信機が無線受信したデータに基づいて車載機器を制御する制御手段と、を備え、
車両用キーには、乗員が該車両用キーを直接携帯している場合に設定される第1のモードと、持ち物を介して間接的に携帯している場合に設定される第2のモードとに択一的に切り替え可能なモード切替手段が設けられ、車両用キーは、モード切替手段で設定されたモードを示すデータを受信機に無線送信可能とされ、制御手段は、モード切替手段において第1のモードが設定されている場合と第2のモードが設定されている場合とで制御機器への制御態様を異ならせることを特徴とする。ここで、車両用キーには、例えば車両ドアを自動あるいは半自動でロック又はアンロックし、さらに車両に設けられた始動スイッチを押圧操作することでエンジンを始動可能とする電子キー(キーレスシステム用キー)や、車両ドアをロック又はアンロックする入力操作部と、イグニッションスイッチに挿し込むメカキー部とを備えたワイヤレスキー(リモートキーレスシステム用リモートキー)等が含まれる。
【0007】
本発明の車両用制御システムでは、車両用キーに、該車両用キーを乗員が直接携帯している場合に設定される第1のモードと、持ち物を介して間接的に携帯している場合に設定される第2のモードとに択一的に切り替え可能なモード切替手段が設けられている。
【0008】
これにより、車両用キーが例えば車内にあるとき、モード切替手段において第1のモードが設定されている場合、すなわち乗員が直接携帯している場合は、その車両用キーを用いた操作を有効状態に維持する(車両用キーを用いた操作を許可する)ことで乗員の便宜を図る一方で、モード切替手段において第2のモードが設定されている場合、すなわち乗員が間接的に携帯している場合(車両用キーが荷物と一緒にある等と推定できる場合)は、その車両用キーを用いた操作を無効化する(車両用キーを用いた操作を禁止する)ことで該車両用キーを用いた車両の盗難を良好に防止することができる。
【0009】
この場合、制御手段は、駐車状態で車両用キーが車内で検出された後に車外で検出された場合に、車両用キーのモード切替手段において第2のモードが設定されていることを条件として、制御機器としての報知手段を報知制御するように構成することができる。
【0010】
モード切替手段において第2のモードが設定されているときに、車両用キーが車内から車外で検出された場合は、車両用キーが乗員の意に反して車外に持ち出されたものと推定することができる。したがってこの場合は、報知手段を報知制御して、例えば自動的に警報、通報を行わせるように構成することで、セキュリティを向上させることができる。
【0011】
また、制御手段は、車両用キーが車外にあり、かつ、車両から所定の距離以内で検出された場合に、車両用キーのモード切替手段において第2のモードが設定されていることを条件として、制御機器としての開閉体を駆動制御するように構成することができる。ここで、開閉体とは、例えばパワースライドドア、パワーバックドア等の制御ドアに加えてパワーウインドゥ等、制御手段により自動的に開作動される制御機器を意味する。
【0012】
モード切替手段において第2のモードが設定されているときに、車両用キーが車外において車両から所定の距離以内で検出されるようになった場合は、例えば乗員が荷物を持ち、手がふさがった状態で車両に戻って来たものと推定することができる。したがってこの場合は、パワースライドドア、パワーバックドア等の制御ドアを駆動制御して、例えば自動的に解錠、開作動させるように構成することで、乗員の利便性を向上させることができる。
【0013】
また、制御手段は、駐車状態で車両用キーが車内にあり、車両用キーのモード切替手段において第2のモードが設定され、かつ、車両ドアがロック状態からアンロック状態に切り替えられたことを条件として、制御機器としての報知手段を報知制御するように構成することができる。
【0014】
駐車状態で車両用キーが車内にあり、モード切替手段において第2のモードが設定されているときに、車両ドアがロック状態からアンロック状態に切り替えられた場合は、第三者により車両ドアが解錠されたものと推定することができる。したがってこの場合は、報知手段を報知制御して、例えば自動的に警報、通報を行わせるように構成することで、セキュリティを向上させることができる。
【0015】
この場合、制御手段は、駐車状態で車両用キーが車内にあり、かつ、車両用キーのモード切替手段において第1のモードが設定されている場合は、報知手段の報知制御を禁止する構成にするとよい。
【0016】
駐車状態で車両ドアがロック状態からアンロック状態に切り替えられた場合でも、車両用キーが車内にあり、モード切替手段において第1のモードが設定されている場合は、車内に居る乗員により車両ドアが解錠されたものと推定することができる。したがってこの場合は、報知手段の報知制御を禁止するように構成することで、車内に居る乗員の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電子キーを含む本発明の車両用制御システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係り、図1の車両用制御部により実行される制御プログラムを示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例2に係り、図1の車両用制御部により実行される制御プログラムを示すフローチャート。
【図4】本発明の実施例3に係り、図1の車両用制御部により実行される制御プログラムを示すフローチャート。
【図5】本発明の実施例4に係り、図1の車両用制御部により実行される制御プログラムを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、車載機器10と電子キー20を含んで構成される本発明の車両用制御システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
車載機器10の車両用制御部11(ECU)は、CPU,ROM,RAM,入出力部(I/O)等を主要部品としたマイクロコンピュータで構成されている。車両用制御部11は、ROMに記憶されている図2の制御プログラムを繰り返し実行する。メモリ12には、電子キー20に固有のIDデータが予め登録されていて、車両用制御部11が受信データとメモリ12内のデータとを照合する(認証)。
【0021】
車両用制御部11には、アンテナ及び周知の変調回路部(図示省略)を含んでなる発信機13,14(室外及び室内)と、チューナ及び周知の復調回路部(図示省略)を含んでなる受信機15(UHF受信機)とが接続されている。
【0022】
発信機13(室外)は、車両の運転席、助手席及び左右後部座席の乗降用ドア、並びにトランク(あるいはバックドア)に設けられている。乗降用ドア及びトランクが本発明の車両ドアに相当する。発信機13は、例えば各ドアのハンドル部に内蔵されており、その周囲に定期的に問い合わせ信号(リクエスト信号)を送信する。この問い合わせ信号は、各ドアから70cm〜1m程度の予め定められたキー応答エリア(ドアロックエリア、検知エリア)内にのみ届くようその出力が調整されている。これにより、キー応答エリア内に存在する電子キー20だけが、この問い合わせ信号を受信することができる。
【0023】
発信機14(室内)は、例えば室内に設けられており、車室内に定期的に問い合わせ信号を送信する。この問い合わせ信号は、車室内にて予め定められたキー応答エリア内にのみ届くようその出力が調整されている。これにより、キー応答エリア内に存在する電子キー20だけが、この問い合わせ信号を受信することができる。
【0024】
受信機15は、例えば車両ピラー部に組み込まれており、各キー応答エリア内の電子キー20からの応答信号を復号し、車両用制御部11に送る。
【0025】
車両用制御部11には、ドアロックSW、ドアアンロックSW、エンジンSWなどの各種SW31が接続されるとともに、車内LAN100を介してドアロック制御部41等の各制御部が相互に通信可能に接続されている。
【0026】
SW31のうちドアロックSWは、例えば各ドアのハンドル部に設けられている。ドアロックSWは、例えば押しボタン式のメカニカルスイッチ、静電容量式のタッチセンサなどで構成されており、そのオン信号を車両用制御部11に送信する。これを受け車両用制御部11は、電子キー20のID認証を行うことを条件として、ドアロック制御部41を介してドアロック機構42をロック状態に切り替える。
【0027】
SW31のうちドアアンロックSWは、例えば運転席ドアのハンドル部に設けられている。ドアアンロックSWは、例えば押しボタン式のメカニカルスイッチ、静電容量式のタッチセンサなどで構成されており、そのオン信号を車両用制御部11に送信する。これを受け車両用制御部11は、電子キー20のID認証を行うことを条件として、ドアロック制御部41を介してドアロック機構42をロック解除状態に切り替える。なお、ドアアンロックSWは、各ドアに個別に設けてもよい。
【0028】
SW31のうちエンジンSWは、例えば押しボタン式のメカニカルスイッチで構成されており、そのオン信号を車両用制御部11に送信する。これを受け車両用制御部11は、電子キー20のID認証を行うことを条件として、エンジン制御部(図示省略)を介してエンジンを始動させる。車両用制御部11が本発明の制御手段に相当する。
【0029】
電子キー20は、車載機器10からの問い合わせ信号を受信可能、又は電子キー20に固有のIDデータ等を送信可能な携帯型無線装置としての機能を果たすものであり、周知の変調回路部を有する送信部21(UHF送信部)、周知の復調回路部を有する受信部22(LF受信部)、キー用制御部24、メモリ25及びモード切替SW26を備えている。
【0030】
キー用制御部24は、CPU,ROM,RAM,入出力部(I/O)等を主要部品としたマイクロコンピュータで構成されており、メモリ25に記憶されているIDデータを送信部21を介して車載機器10の受信機15に送信する。
【0031】
モード切替SW26は、乗員が電子キー20を直接携帯している場合に設定される人モード(第1のモード)と、鞄、荷物等の持ち物を介して間接的に携帯している場合に設定される荷物モード(第2のモード)とに択一的に切り替え可能な例えば押しボタン式のスイッチであり、オン操作毎にモードが交互に切り替わるようになっている。キー用制御部24は、メモリ25に記憶されているIDデータに加えて、モード切替SW26で設定されているモードを送信部21を介して車載機器10の受信機15に送信する。
【0032】
次に、上記のように構成された実施例1の作動を図2の制御プログラムに基づいて説明する。この実施例1では、電子キー20が複数(例えば2個)登録されており、そのうちの1個を運転者が所持し、他の1個が車内に置かれた状態を前提としている。そして現在、車両は駐車状態で、かつ車両ドアがロック状態にあり、例えば車両に設けられた侵入センサ(図示省略)により侵入者が検出された場合には、車両用制御部11が自車両に設けられたブザー51(制御機器、報知手段)を吹鳴する警報措置を講ずるとともに、外部のサービスセンターに通報する警戒モードが設定されている。
【0033】
車内に置かれた電子キー20は、発信機14からの問い合わせ信号に応じてIDデータ、モード切替SW26で設定されたモードを含むデータを車載機器10に送信する。車両用制御部11は、電子キー20からデータを受信すると(S11:YES)、受信したIDデータをメモリ12に予め登録されているマスターIDデータ(マスターIDコード)と照合する。
【0034】
車両用制御部11は、IDデータの照合が一致(認証受理)し、かつ、モード切替SW26において荷物モードが設定されていると判定すると(S12:YES)、車両が現在、警戒モードに設定されているかを判定する(S13)。この場合、車両が駐車状態(エンジンが停止状態でシフトがパーキング位置)にあり、車両ドアがすべてロック状態にあれば、警戒モードに設定されていると判定する。警戒モードに設定されている場合(S13:YES)、電子キー20の検出位置が車内であれば(S14:NO)、この制御プログラムの実行を終了する。以後、電子キー20の検出位置が車内である限り、ステップS11〜S14の処理が繰り返し実行される。
【0035】
ステップS11〜S14の処理が繰り返し実行されている状態から、電子キー20の検出位置が車外になると(S14:YES)、車両用制御部11は、ブザー51(制御機器、報知手段)を吹鳴するとともに、外部のサービスセンターに通報する(S15)。荷物モードは、電子キー20が荷物と一緒に車内に置かれる場合に設定されるモードであるため、車内で検出されている状態から車外で検出されるようになったということは、電子キー20が車外に持ち出されたことを意味する。したがってこの場合は、ブザー51の吹鳴及び外部への通報を行うことにより、荷物の盗難等を防止することができる。
【0036】
一方、車内に運転者以外の乗員が残っており、モード切替SW26において人モードが設定されている場合は、車両用制御部11がモード切替SW26において人モードが設定されていると判定し(S12:NO)、この制御プログラムの実行を終了する。したがってこの場合は、車内の乗員が車外へ出ても、ブザー51の吹鳴及び外部への通報が行われないので、乗員の利便性を向上させることができる。
【実施例2】
【0037】
上記実施例1では、車両が予め警戒モードに設定されていることを要件としたが、これに限らず、例えば以下の実施例2に示すように、車両が警戒モードに設定されていなくても本発明を実施することができる。この実施例2では、車両用制御部11が図2の制御プログラムに加えて又は代えて、例えば図3の制御プログラムを実行するように構成されている。その他の構成は上記実施例1と同じである。
【0038】
次に、実施例2の作動を図3の制御プログラムに基づいて説明する。この実施例2においても、電子キー20が複数(例えば2個)登録されており、そのうちの1個を運転者が所持し、他の1個が車内に置かれた状態を前提としている。
【0039】
車内に置かれた電子キー20は、発信機14からの問い合わせ信号に応じてIDデータ、モード切替SW26で設定されたモードを含むデータを車載機器10に送信する。車両用制御部11は、電子キー20からデータを受信すると(S21:YES)、受信したIDデータをメモリ12に予め登録されているマスターIDデータ(マスターIDコード)と照合する。
【0040】
車両用制御部11は、IDデータの照合が一致(認証受理)し、かつ、モード切替SW26において荷物モードが設定されていると判定すると(S22:YES)、車両ドアがロック状態からアンロック状態に切り替えられたか否かを判定する(S23)。アンロック状態に切り替えられた場合(S23:YES)、その切り替え動作が他の電子キー20による場合は(S24:YES)、この制御プログラムの実行を終了する。
【0041】
これに対しアンロック状態へ切り替えられた場合であって(S23:YES)、その切り替え動作が他の電子キー20によらない場合は(S24:NO)、車両用制御部11は、ブザー51を吹鳴するとともに、外部のサービスセンターに通報する(S25)。モード切替SW26において荷物モードが設定されているときに、他の電子キー20によることなく車両ドアがロック状態からアンロック状態に切り替えられた場合は、車内へ不正な侵入行為があったものと推定することができる。したがってこの場合は、ブザー51の吹鳴及び外部への通報を行うことにより、車両や荷物の盗難等を防止することができる。
【0042】
一方、車内に運転者以外の乗員が残っており、モード切替SW26において人モードが設定されている場合は、車両用制御部11がモード切替SW26において人モードが設定されていると判定し(S22:NO)、この制御プログラムの実行を終了する。したがってこの場合は、上記実施例1と同様、車内の乗員が車外へ出ても、ブザー51の吹鳴及び外部への通報が行われないので、乗員の利便性を向上させることができる。
【実施例3】
【0043】
上記実施例1及び2では、車内にある電子キー20のモード切替SW26が荷物モードに切り替えられているときに、車内への侵入行為があったものと推定できる場合は、ブザー51を吹鳴し、また外部へ通報することにより、セキュリティの向上を図るように構成したが、これに限らず、例えば以下の実施例3に示すように、本発明を実施することができる。この実施例3では、車両用制御部11が図2、図3の制御プログラムに加えて又は代えて、例えば図4の制御プログラムを実行するように構成されている。その他の構成は上記実施例1と同じである。
【0044】
次に、実施例3の作動を図4の制御プログラムに基づいて説明する。この実施例3においても、電子キー20が複数(例えば2個)登録されており、そのうちの1個を運転者が所持し、他の1個が車内に置かれた状態を前提としている。
【0045】
車内に置かれた電子キー20は、発信機14からの問い合わせ信号に応じてIDデータ、モード切替SW26で設定されたモードを含むデータを車載機器10に送信する。車両用制御部11は、電子キー20からデータを受信すると(S31:YES)、受信したIDデータをメモリ12に予め登録されているマスターIDデータ(マスターIDコード)と照合する。
【0046】
車両用制御部11は、IDデータの照合が一致(認証受理)し、かつ、モード切替SW26において荷物モードが設定されていると判定すると(S32:YES)、電子キー20が車内エリアで検出されたか否かを判定する(S33)。電子キー20が車内エリアで検出された場合は(S33:YES)、その電子キー20を用いた操作を無効化する(S34)。これにより、車内の電子キー20による車両の盗難を良好に防止することができる。
【0047】
一方、車内に運転者以外の乗員が残っており、モード切替SW26において人モードが設定されている場合は、車両用制御部11がモード切替SW26において人モードが設定されていると判定し(S32:NO)、この制御プログラムの実行を終了する。したがって、この場合は、車内の電子キー20を用いた操作が認められるので、乗員の利便性を向上させることができる。
【実施例4】
【0048】
上記実施例1〜3では、電子キー20が複数(例えば2個)登録され、そのうちの1個が車内に置かれた状態を前提としたが、このような前提に限らず、例えば以下の実施例4に示すように、電子キー20が1個用いられる場合でも本発明を実施することができる。この実施例4では、車両用制御部11が図2〜4の制御プログラムに加えて又は代えて、例えば図5の制御プログラムを実行するように構成されている。また、図1にて破線で示すように、ドアロック機構42に関連して、自動開作動可能なパワースライドドア(PSD)及びパワーバックドア(PBD)からなる制御ドア43(制御機器、開閉体)や、自動開作動可能なパワーウインドゥ44(P/W)(制御機器、開閉体)が設けられている。
【0049】
具体的には、車両用制御部11がドアロック制御部41にドアアンロック制御信号及びドア開作動信号を送信した場合に、ドアロック制御部41がドアロック機構42を駆動してロック状態にあるドアをアンロックした後、制御ドア43を開作動させ、あるいはパワーウインドゥ44を開作動させるように構成されている。その他の構成は上記実施例1と同じである。
【0050】
次に、上記のように構成された実施例4の作動を図5の制御プログラムに基づいて説明する。車外にある電子キー20は、発信機13からの問い合わせ信号に応じてIDデータ、モード切替SW26で設定されたモードを含むデータを車載機器10に送信する。車両用制御部11は、電子キー20からデータを受信すると(S41:YES)、受信したIDデータをメモリ12に予め登録されているマスターIDデータ(マスターIDコード)と照合する。
【0051】
車両用制御部11は、IDデータの照合が一致(認証受理)し、かつ、モード切替SW26において荷物モードが設定されていると判定すると(S42:YES)、電子キー20が車両から所定の距離以内の車外エリアで検出されたか否かを判定する(S43)。電子キー20が車外エリアで検出された場合は(S43:YES)、制御ドア43がロック状態からアンロック状態に切り替わり、さらに開作動するようにドアロック制御部41を制御する(S44)。あるいはパワーウインドゥ44が開作動するようにドアロック制御部41を制御する(S44)。
【0052】
車外にある電子キー20が車両に近づいたときに、モード切替SW26において荷物モードが設定されている場合は、乗員が荷物を持っているものと推定することができる。したがってこの場合は、制御ドア43及び/又はパワーウインドゥ44を自動開作動させることにより、乗員の利便性を向上させることができる。
【0053】
一方、モード切替SW26において人モードが設定されている場合は、車両用制御部11は、モード切替SW26において人モードが設定されていると判定し(S42:NO)、この制御プログラムの実行を終了する。モード切替SW26において人モードが設定されている場合は、戻って来た乗員の手が空いているものと推定できるため、制御ドア43を自動開作動させないこととした。
【0054】
なお、制御ドア43を構成するパワーバックドア(PBD)を自動開作動させるに際して、例えばシフトバイワイヤシステムを採用する車両では、電子的にシフトをパーキング位置からドライブ位置に切り替え、さらにはエンジンを始動させることが可能であるため、パワーバックドア(PBD)を開けやすくするために、車両を僅かだけ前進させるように構成することも可能である。
【0055】
(変形例)
上記実施例1〜4では、車両用キーとして電子キー20を用いた場合について説明したが、例えば図1にて破線で示すように、車両ドアをロック又はアンロックする入力操作部27と、イグニッションスイッチに挿し込むメカキー部(図示省略)とを備え、車載機器10との間でデータの送受信が可能なワイヤレスキー(リモートキーレスシステム用のリモートキー)においても、電子キー20を用いる場合と同様にして本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 車載機器
11 車両用制御部(制御手段)
13,14 発信機
15 受信機
20 電子キー(車両用キー)
26 モード切替SW(モード切替手段)
41 ドアロック制御部
42 ドアロック機構
43 制御ドア(制御機器、開閉体)
44 パワーウインドゥ(制御機器、開閉体)
51 ブザー(制御機器、報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録されたデータを無線送信可能な車両用キーと、
車両に搭載され、前記車両用キーが無線送信したデータを無線受信可能な受信機と、
車両に搭載され、前記受信機が無線受信したデータに基づいて制御機器を制御する制御手段と、を備え、
前記車両用キーには、乗員が該車両用キーを直接携帯している場合に設定される第1のモードと、持ち物を介して間接的に携帯している場合に設定される第2のモードとに択一的に切り替え可能なモード切替手段が設けられ、前記車両用キーは、前記モード切替手段で設定されたモードを示すデータを前記受信機に無線送信可能とされ、前記制御手段は、前記モード切替手段において前記第1のモードが設定されている場合と前記第2のモードが設定されている場合とで前記制御機器への制御態様を異ならせることを特徴とする車両用制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、駐車状態で前記車両用キーが車内で検出された後に車外で検出された場合に、前記車両用キーのモード切替手段において前記第2のモードが設定されていることを条件として、前記制御機器としての報知手段を報知制御する請求項1に記載の車両用制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車両用キーが車外にあり、かつ、車両から所定の距離以内で検出された場合に、前記車両用キーのモード切替手段において前記第2のモードが設定されていることを条件として、前記制御機器としての開閉体を駆動制御する請求項1に記載の車両用制御システム。
【請求項4】
前記制御手段は、駐車状態で前記車両用キーが車内にあり、前記車両用キーのモード切替手段において前記第2のモードが設定され、かつ、車両ドアがロック状態からアンロック状態に切り替えられたことを条件として、前記制御機器としての報知手段を報知制御する請求項1に記載の車両用制御システム。
【請求項5】
前記制御手段は、駐車状態で前記車両用キーが車内にあり、かつ、前記車両用キーのモード切替手段において前記第1のモードが設定されている場合は、前記報知手段の報知制御を禁止する請求項4に記載の車両用制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83090(P2013−83090A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223696(P2011−223696)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】