説明

車両用前照灯装置

【課題】運転者または歩行者の少なくとも一方に注意喚起をさせることができるように路肩方向への光の照射制御が容易にできる車両用前照灯装置を提供する。
【解決手段】車両用前照灯装置10は、路肩方向へ光を照射可能な付加ビーム用灯具ユニット20と光の一部を路肩方向へ照射可能なハイビーム用灯具ユニット18と、これらの光源による光の照射を制御する前照灯装置制御部56と、を備える。前照灯装置制御部56は、路肩で想定される歩行者の大きさと光源から歩行者までの距離とに基づいて決まる第1付加ビーム配光パターンと第2付加ビーム配光パターンFHを形成するように光源の照射制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯装置、特に路肩方向に対する車両用前照灯の照射制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する場合、路肩から横断しようとする歩行者等に注意を払う必要がある。特に夜間の走行では、迅速かつ適切に歩行者等の存在を運転者に知らしめる必要がある。夜間走行では、車両用前照灯装置により自車走行車線の前方を中心とする配光パターンを形成するように光の照射が行われる。車両用前照灯装置としては自車前方に車両や歩行者などが存在せずグレアを考慮することなく照明できる場合に使用するハイビームと、自車前方に車両や歩行者などが存在する場合に使用が好ましいロービームを備える。ハイビームの場合は光の照射範囲が広く、路肩における歩行者等の存在を運転者に早い段階で知らしめることができる。その反面、自車前方の車両や歩行者等にグレアを与えてしまう可能性があるので常時点灯は好ましくない。一方、ロービームの場合、自車前方の車両や歩行者等にグレアを与えることが抑制できるもののハイビーム点灯時よりは光の照射範囲が狭いため、ハイビームの点灯時よりは視認範囲が狭くなる。
【0003】
そこで、夜間走行において運転者に歩行者の存在を適切かつ迅速に知らしめるべく、例えば人検出手段により人が検出されると、検出された人の方向に照明手段の照射方向を調節して点灯させる夜間歩行者報知装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−205950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載された技術は、歩行者を検出した場合に照明手段の照射方向を調節して歩行者にスポット照明ができるので運転者に歩行者の存在を知らしめることが容易にできる。しかし、人の検出の度に照射方向の調整制御が行われるので、走行中の照射制御が複雑であった。また、このようなスポット照明を行う場合も歩行者には強いグレアを与えないように配慮することが望ましいが、照射方向の制御中に同時にグレアを防止するような制御は制御をさらに複雑にする原因になっていた。
【0005】
車両と歩行者との関係を考えた場合、車両が歩行者に接近するときに当該歩行者と車両の接触が回避できればよい。つまり、路肩から自車線に出て来る可能性のある歩行者等の存在を運転者に早急に知らしめて接触を回避できるような余裕を持った運転操作ができるようにするか、車両が接近する状況において歩行者が自車線に出て来ることを踏みとどまるように車両の存在を知らしめるようにできればよいとの認識に発明者らは至った。つまり、路肩方向へ適切な照明ができれば運転者または歩行者の少なくとも一方に注意喚起が可能になり車両と歩行者等との接触が回避できる可能性が増大できると考えた。そして、このように照射対象を路肩方向に絞る場合には照射制御の簡略化の余地があると発明者らは認識するに至った。
【0006】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、運転者または歩行者の少なくとも一方に注意喚起をさせることができるように路肩方向への光の照射制御が容易にできる車両用前照灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置では、路肩方向へ光を照射可能な光源と、前記光源による光の照射を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記路肩で想定される歩行者の大きさと前記光源から前記歩行者までの距離とに基づいて決まる配光パターンを形成するように前記光源の照射制御を行うことを特徴とする。
【0008】
路肩で想定される歩行者の大きさは、運転者から路肩の歩行者を見たときの見かけの大きさである。したがって、歩行者までの距離が近い場合大きく見え、歩行者までの距離が遠くなるほど小さく見える。つまり、形成される配光パターンは遠くの位置に対応する部分ほど鉛直方向の長さが短くなる略三角形形状とすることができる。また、路肩で想定される歩行者とは、路肩方向へ照射する配光パターの形状の基準となるものであるが、配光パターンが実際に照射する対象は、歩行者のみならず自転車などの車両に乗った人間でもよい。
【0009】
この態様によれば、車両を基準にして当該車両の近い位置に存在する歩行者等から遠い位置に存在する歩行者等まで適切に照明して、歩行者等の存在を際立たせる配光パターンを形成できる。この配光パターンは路肩方向へ照射する固定の配光パターンであり、その配光パターンにより路肩に沿って存在する歩行者等を近位置から遠位置に至るまで照射することができる。その結果、容易な照射制御により運転者に路肩の歩行者等の存在を知らしめて運転操作に余裕を与えることが可能になり安全性の向上に寄与できる。
【0010】
また、上記態様において、前記制御手段は、前記配光パターンとして前記路肩で想定される歩行者の顔より下の部分を照射する配光パターンを形成するようにしてもよい。配光パターンにおける照射上限位置を路肩で想定される歩行者の顔の下、つまり首の位置に設定すれば、車両に対し近位置から遠位置に至るまで歩行者の顔に光が照射されてしまうことを抑制できる。その結果、歩行者等にグレアを与えることなく運転者に歩行者等の存在を適切に知らしめることができる。また、配光パターンの形状及び照射位置を固定にできるので車両用前照灯装置の照射制御が容易になる。
【0011】
また、上記態様において、前記制御手段は、前記配光パターンとして前記路肩で想定される歩行者の顔の部分を照射する配光パターンを形成するようにしてもよい。配光パターンによる照射の光を路肩で想定される歩行者の顔に当てることにより当該歩行者に車両の接近を容易に知らしめて、歩行者に注意喚起させることができる。このとき、歩行者等に強い不快感を抱かせるグレアが与えられることは好ましくないが、ある程度のまぶしさを伴わせて車両の接近を認知させることができる眼前照度とすることが望ましい。したがって、歩行者の顔を照明する場合は、例えばハイビームとロービームの中間程度の光度で照射とすることが好ましい。この場合、歩行者の顔には継続的に光を照射してもよいし、明暗が繰り返される間欠的な光を照射してもよい。光を間欠的に顔に照射する場合、継続的な照射に比べてちらつき感を歩行者に与えることができるので強く注意喚起させることができる。その結果、車両が接近する状況で横断が適切か否かを判断させ易くできる。なお、歩行者の顔に光を照射する場合、主として歩行者側に注意喚起させることが目的となるが、運転者においても顔で反射した光が確認し易くなるので、運転者に歩行者の存在を知らしめる効果も生じる。
【0012】
また、上記態様において、前記制御手段は、前記配光パターンとして、運転者に歩行者の存在を知らしめるための第1配光パターンと、第1配光パターンとは異なる配光パターンであって、歩行者に車両の接近を知らしめるための第2配光パターンとを形成するようにしてもよい。この態様によれば、それぞれ目的に適した配光パターンを容易に形成できる。例えば、第1配光パターンを継続的な光が歩行者に照射される配光パターンとすれば、運転者に歩行者等の存在を知らしめる効果が強まる。一方、第2配光パターンを例えば間欠的な光が歩行者等に照射される配光パターンとすれば、歩行者等の車両接近に対する注意喚起を強めることができる。
【0013】
また、上記態様において、前記制御手段は、前走車が存在しない場合に前記配光パターンによる路肩方向への照射を行うようにしてもよい。つまり、前走車がいないときには、歩行者の存在に拘わらず積極的に路肩方向に光を照射する。その結果、歩行者等の有無に関わらず路肩方向に関して運転者の視認性の向上が図れる。また、歩行者等は遠方位置から車両を認知し易くなるので、車両が接近する状況において横断しべきか否かを適切に判断させることができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置では、路肩方向へ光を照射可能な光源と、前記光源による光の照射を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、路肩上の各点において地上所定高の範囲を照らす配光パターンを形成するように前記光源の照射制御を行うことを特徴とする。
【0015】
路肩上の各点において地上所定高の範囲は例えば、路肩に存在する歩行者の見かけの大きさに対応する範囲とすることができる。この態様によれば、運転者の路肩方向の視認性を向上させることができる。また、路肩方向へ向ける配光パターンは固定形状のものを所定位置に形成するだけでよいので車両用前照灯装置の照射制御が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用前照灯装置によれば、運転者または歩行者の少なくとも一方に注意喚起をさせることができる路肩方向への光の照射制御を容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態の車両用前照灯装置は、路肩方向へ光を照射可能な光源と、この光源による光の照射を制御する制御手段と、を備えている。制御手段は、路肩で想定される歩行者の大きさと光源から歩行者までの距離とに基づいて決まる配光パターンを形成するように光源の照射制御を行う。本実施形態において、路肩方向に照射される配光パターンは、運転者に歩行者等の存在を知らしめるための第1配光パターンと、第1配光パターンとは異なる配光パターンであって、歩行者等に車両の接近を知らしめるための第2配光パターンとを形成する。路肩で想定される歩行者の大きさは、運転者から路肩の歩行者を見たときの見かけの大きさである。したがって、歩行者までの距離が近い場合大きく見え、歩行者までの距離が遠くなるほど小さく見える。つまり、形成される配光パターンは遠い位置に対応する部分ほど鉛直方向の長さが短くなる略三角形形状となる。このとき配光パターンの形成の基準となる歩行者の大きさとは、成人身長をほぼカバーできる範囲とすることが可能で、例えば160cm〜200cmの中から選択することできる。また、光源から歩行者までの距離は、例えば一般道路の法定速度である60km/hで走行した場合に歩行者を確認したとき安全に回避できる距離とすることが可能で、例えば50m〜90mの中から選択することができる。路肩で想定される歩行者の大きさと光源から歩行者までの距離を決めれば、配光パターンの形状は一義的に決めることができる。
【0019】
なお、本実施形態において、路肩には、走行車線両脇の部分の他、歩道、自転車専用道路等を含むものとする。また、路肩方向へ照射される配光パターンの形状は、路肩で想定される歩行者の大きさとその想定される歩行者までの距離で規定されるものであるが、実際にこの配光パターンの照射の対象は歩行者のみならず自転車などの車両に乗った人間でもよい。
【0020】
路肩方向へ光を照射可能な光源としては、ハイビーム用の光源の一部を用いてもよいし、ロービーム用の光源の一部を用いてもよい。また、ハイビーム用光源及びロービーム用光源とは異なる専用の付加光源を用いてもよい。光源は、ハロゲンランプやディスチャージランプ、半導体発光素子など種々のタイプを採用できる。また、制御手段は光源のオン・オフ制御をするのみでもよいし、オン・オフ制御に加え光量制御をしてもよい。
【0021】
図1は、本実施形態の車両用前照灯装置10の構成概念図である。図1に示すように、車両用前照灯装置10はランプボディ12と、透明カバー14とで略密閉空間を形成し、内部に1つのロービーム用灯具ユニット16と1つのハイビーム用灯具ユニット18と、1つの付加ビーム用灯具ユニット20を配置している。本実施形態の場合、一例として各灯具ユニットをそれぞれ1つずつ配置した例を示しているが、必要な光量や車両用前照灯装置10のデザイン等に応じて適宜変更可能である。
【0022】
とことで、車両が走行する道路において、前方例えば25mの位置に設定される鉛直線Vと水平線Hを含む仮想鉛直スクリーンを考える。各灯具ユニットの形成する照射領域は、この仮想鉛直スクリーン上で配光パターンとして投影されることになる。ロービーム用灯具ユニット16、ハイビーム用灯具ユニット18、付加ビーム用灯具ユニット20により形成される具体的な配光パターンは後述する。
【0023】
ロービーム用灯具ユニット16は、回転放物面等を基準に形成されたリフレクタ22を有する、いわゆるパラボラ型の灯具ユニットである。図1の場合、ロービーム用灯具ユニット16はハイビーム用灯具ユニット18より車両外側に配置されている。前照灯の光源として、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LED、ネオン管、レーザ光源などが使用可能である。本実施形態では、一例としてハロゲンランプで構成されるバルブ24を示す。バルブ24は、リフレクタ22の略中央に形成された開口部に勘合固定されると共に、ランプボディ12によって支持されている。なお、ロービーム用灯具ユニット16は光軸調整機構(図示省略)を備えてもよく、車両の姿勢に応じて光軸調整ができるようにされてもよい。バルブ24の前方にはシェード26が配置されている。シェード26はバルブ24から前方への直接光をカットする機能を有し、対向車や先行車、歩行者等に不快感を伴うまぶしさ(グレア)を与える原因を排除している。シェード26は例えばブラケットなどの支持部材を用いてリフレクタ22に固定することができる。また、シェード26を配置する代わりにバルブ24の先端部に表面処理を施しマスクを形成してシェード26と同等の機能を持たせてもよい。
【0024】
なお、ロービーム用灯具ユニット16の場合、配光の上限を限定する明瞭な明暗境界線、いわゆるカットオフラインが設けられる。このカットオフラインは、当該カットオフラインから下方は明るく、カットオフラインの上方は暗いという境界線を意味する。カットオフラインは、例えば、車幅方向の右側で光軸を横切る水平線より下側で水平に延びる右側部分と、車幅方向の左側で右側部分よりやや上方の位置を水平に延びる左側部分とが、左上がりに傾斜した中央部分によって連結された形状を有する。なお、中央部分の傾斜角度は、例えば45°である。図1に示すようなパラボラ型の灯具ユニットの場合、バルブ24の内部にカットオフオフライン形成用のシェードを内蔵することができる。また、光源の前方に凸レンズを有するプロジェクタ型と称される灯具ユニットの場合、リフレクタと、凸レンズの間に、カットオフライン形成用のシェードを配置して、シェードの先端形状を仮想鉛直スクリーン上に投影することができる。
【0025】
本実施形態の場合、ロービーム用灯具ユニット16より車両内側にはハイビーム用灯具ユニット18が配置されている。ハイビーム用灯具ユニット18から照射される光により仮想鉛直スクリーン上に所定の配光パターンを形成する。
【0026】
ハイビーム用灯具ユニット18は、投影レンズ28、バルブ30、リフレクタ32を含んで構成される。本実施形態の場合、通常のハイビーム用灯具ユニット18では存在しない付加ビーム用シェード34を含む。付加ビーム用シェード34は路肩方向へ照射される後述する第1配光パターンを形成する。付加ビーム用シェード34の具体的な形状や駆動機構は後述する。なお、ハイビーム用灯具ユニット18は、第1配光パターンを形成する機能を有するので、付加ビーム兼用灯具ユニットと呼ぶこともできる。
【0027】
投影レンズ28は、車両前後方向に延びる光軸上に配置され、バルブ30は、投影レンズ28の後方焦点を含む焦点面である後方焦点面よりも後方側に配置される。投影レンズ28、バルブ30、リフレクタ32、付加ビーム用シェード34を動作させる駆動機構等は、ホルダ36に支持され図示を省略したブラケットによりランプボディ12に固定されている。なお、ハイビーム用灯具ユニット18は光軸調整を行う光軸調整機構を備えてもよい。投影レンズ28は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。
【0028】
ハイビーム用灯具ユニット18のバルブ30もロービーム用灯具ユニット16と同様に、例えば白熱球やハロゲンランプ、放電球、LED、ネオン管、レーザ光源などが使用可能である。本実施形態では、一例としてハロゲンランプを用いる例を示す。バルブ30は、リフレクタ32の略中央に位置するようにホルダ36の側面から横差し配置され、光をリフレクタ32で効率的に反射できるようにしている。
【0029】
本実施形態の場合、ハイビーム用灯具ユニット18より車両内側に付加ビーム用灯具ユニット20が配置されている。付加ビーム用灯具ユニット20は、投影レンズ38、ホルダ40を含んで構成される。ホルダ40は、前端部分に投影レンズ38を保持し、後端部分に放熱板42と接続された素子基板44を支持している。素子基板44上には、1つまたは複数の発光素子が配置されている。付加ビーム用灯具ユニット20は、路肩方向へ照射される後述する第2配光パターンを形成する。付加ビーム用灯具ユニット20が形成する配光パターンの形状や形成方法は後述する。
【0030】
この他、車両用前照灯装置10には、前照灯の正面からの見栄えを向上するためのエクステンション46が配置されている。エクステンション46はロービーム用灯具ユニット16、ハイビーム用灯具ユニット18及び付加ビーム用灯具ユニット20とランプボディ12との隙間を覆い隠すように配置される略箱型の部材であり、その表面は反射面とされることが多い。
【0031】
図2は、車両を正面から見た場合に車両左側に配置される車両用前照灯装置10の正面図である。車両右側に配置される車両用前照灯装置は、図2の構成とは線対称の配置となる。左右の車両用前照灯装置10のロービーム用灯具ユニット16及びハイビーム用灯具ユニット18で形成される左右の配光パターンは合成されロービーム及びハイビームを形成する。一方、ハイビーム用灯具ユニット18で形成する第1配光パターン及び付加ビーム用灯具ユニット20で形成する第2配光パターンは、右路肩方向照射用と左路肩方向照射用とで使い分けされる。したがって、歩行者等の存在する路肩方向のみの付加ビームを照射できるように照射制御が独立的に行われる。左右別々に付加ビームを照射することにより歩行者等の存在する方向を運転者に認知させやすくするという効果がある。
【0032】
図3は、ハイビーム用灯具ユニット18の内部に配置され第1配光パターンを形成する付加ビーム用シェード34の形状を説明する説明図である。図3の付加ビーム用シェード34は右路肩方向に第1配光パターンを形成するもので、開口部48を通過した光の像が凸レンズである投影レンズ28により反転して右路肩方向に投影される。ハイビーム用灯具ユニット18で形成する第1配光パターンは、運転者に歩行者の存在を知らしめるためのパターンである。したがって、歩行者のいずれかの部分に光を照射できればよいが、運転者に歩行者の存在を知らしめるために歩行者にグレアを与えることは望ましくない。そのため、第1配光パターンは、歩行者にグレアを与えることなくできだけ多くの体表面に光を照射することが望ましい。つまり、第1配光パターンは、路肩で想定される歩行者の顔より下の部分を照射するようにすることが好ましい。例えば、右路肩に存在する身長170cmの歩行者が車両前方90mから50mに接近する間に運転者に当該歩行者を認知させように第1配光パターンを形成する場合を考える。この場合、車両に最も近い照射位置に対応する開口部48の垂直辺48aの長さ、つまり開口部高さは、身長から顔の縦方向の平均長さ、例えば20cmを差し引いた150cmと車両前方距離50mにより決定することすることができる。この垂直辺48aを基準に路肩上で50mより先の各点に対応する開口部高さも決定することが可能で、図3に示すような略三角形状を決定することができる。
【0033】
図4(a)、図4(b)は、図3の付加ビーム用シェード34の非動作状態及びその時形成される配光パターンの形状を説明する説明図であり、図4(c)、図4(d)は、付加ビーム用シェード34の駆動状態及びその時形成される配光パターンの形状を説明する説明図である。付加ビーム用シェード34は、アクチュエータ50によって駆動して、バルブ30からの光を投影レンズ28に通過させるか、光の一部を遮って第1配光パターンを形成するかを切り換える。アクチュエータ50は例えば、ソレノイド駆動によりロッド50aが出没するアクチュエータであり、ソレノイドの非通電時には図示しないスプリングなどの復帰部材により突出位置に自動復帰する。したがって、アクチュエータ50や制御系に不具合が生じた場合には、付加ビーム用シェード34は非動作位置に自動的に戻り、本来のハイビーム用灯具ユニット18の機能が確実に利用できるようになっている。また、ソレノイドの通電時には図示しないスプリングなどの復帰部材の付勢力に抗して没入位置に移動する。
【0034】
図4(a)は、アクチュエータ50がオフされ付加ビーム用シェード34が光遮蔽位置から退避した状態である。つまり、ハイビームの照射状態である。バルブ30から放射される光は、リフレクタ32で反射し付加ビーム用シェード34で遮られることなく投影レンズ28に入射されて、図4(b)に示すように仮想鉛直スクリーン上に略楕円のハイビーム配光パターンPHを形成する。
【0035】
一方、図4(c)は、アクチュエータ50がオンされ付加ビーム用シェード34が退避位置から光遮蔽位置に移動した状態である。つまり、第1配光パターンによる第1付加ビーム照射状態である。バルブ30から放射される光はリフレクタ32で反射する。そして、反射光の一部が付加ビーム用シェード34の開口部48を通過して投影レンズ28に入射される。その結果、図4(d)に示すように仮想鉛直スクリーン上の路肩方向に略三角形状の第1付加ビーム配光パターンFH1を形成する。
【0036】
なお、アクチュエータ50の駆動方式は適宜変更可能であり、例えば、モータ駆動のアクチュエータでもよい。また、付加ビーム用シェード34の代わりに液晶フィルタなどのように選択的に光の通過を制御できる部材を配置してもよい。この場合、機械的に部材の進退制御を行うアクチュエータが不要になりハイビーム用灯具ユニット18の構成を簡略化することができる。
【0037】
図5は、仮想鉛直スクリーン上においてハイビーム用灯具ユニット18により形成される第1付加ビーム配光パターンFH1とロービーム用灯具ユニット16によって形成されるロービーム配光パターンLHによる照射状態を説明する説明図である。ロービーム配光パターンLHによる照射により車両前方の路面を主とした照明が確保され適切な運転を補助する。また、第1付加ビーム配光パターンFH1による照射により車両前方右路肩方向をロービーム配光パターンLHの照明よりは明るく照明し、右路肩方向に歩行者等が存在する場合、その存在を早期の段階で運転者に認知させて注意を喚起する。このとき、第1付加ビーム配光パターンFH1は、路肩で想定される歩行者Mの顔より下の部分に光を照射するので、運転者に歩行者Mの存在を知らしめるために行う照明で歩行者Mにグレアを与えてしまうことが抑制できる。
【0038】
本実施形態の車両用前照灯装置10は、図1、図2に示すように、第1配光パターンとは異なる配光パターンであって、歩行者に車両の接近を知らしめるための第2配光パターンを形成する付加ビーム用灯具ユニット20を備える。第2配光パターンは、歩行者に車両の接近を知らしめるための照明を行うため、路肩で想定される歩行者の顔の部分に意図的に光を照射する配光パターンである。ただし、この第2配光パターンにより歩行者が強い不快感を抱くグレアが与えられることは好ましくないので、歩行者に車両の接近を認知させることができる程度の光度とすることが望ましい。例えばハイビームとロービームの中間程度の光度で歩行者の顔を照明することが好ましい。この場合、歩行者の顔には継続的に光を照射してもよいし、明暗が繰り返される間欠的な光を照射してもよい。光を間欠的に顔に照射することでちらつき感を歩行者に与えることができるので、継続的な照射に比べ歩行者に強く注意喚起させることができる。その結果、歩行者は横断が適切か否かを判断し易くなる。
【0039】
図6(a)、図6(b)は、付加ビーム用灯具ユニット20の概略構成を示す。歩行者に車両の接近を知らしめるための第2配光パターンは、歩行者の顔の部分に光が照射できればよいので、配光パターンの形状は、第1配光パターンに比べ厳密にする必要はない。したがって、第2配光パターンの形状は、単純な矩形などにすることも可能である。この場合、例えば、図5(a)に示すように付加ビーム用灯具ユニット20の投影レンズ38を自由曲面レンズとして発光体52からの光を所望の方向に射出させ第2配光パターンの形状や照射位置を簡易的に決めるようにできる。図5(b)は、投影レンズ38を用いず、多段のステップリフレクタ54を用いて発光体52からの光を所望の方向に放射した例である。この場合、ステップリフレクタ54のステップ部分の形状によって、第2配光パターンの形状や照射位置を簡易的に決めることができる。第2配光パターンの照射する位置は、第2配光パターンの下部辺が第1配光パターンの上部辺と接する位置、または一部重複する位置とすることができる。なお、前述したように歩行者の顔に対して継続的に光を照射する場合、第2配光パターンを形成する光源は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LED、ネオン管、レーザ光源などが使用可能である。また、明暗が繰り返されるように間欠的な照射を行う場合、点滅制御が容易なLEDを使用することができる。
【0040】
図7は、仮想鉛直スクリーン上におけるハイビーム用灯具ユニット18により形成される第1付加ビーム配光パターンFH1と、付加ビーム用灯具ユニット20により形成される第2付加ビーム配光パターンFH2と、ロービーム用灯具ユニット16によって形成されるロービーム配光パターンLHによる照射状態を説明する説明図である。ロービーム配光パターンLHによる照射により車両前方の路面を主とした照明が確保され適切な運転を補助する。また、第1付加ビーム配光パターンFH1による照射により車両前方右路肩方向をロービーム配光パターンLHの照明よりは明るく照明し、右路肩方向に歩行者が存在する場合は、その存在を早期の段階で運転者に認知させて注意を喚起する。また、第2付加ビーム配光パターンFH2による照射により車両前方右路肩に存在する歩行者Mの顔部分を照明する。したがって、第2付加ビーム配光パターンFH2の照射を受けた歩行者Mは早期の段階で自分に接近する車両に対して注意喚起がなされる。その結果、横断が適当か否かの判断を適切に行わせることが可能になる。
【0041】
図8は、上述のように構成される車両用前照灯装置10の前照灯装置制御部と車両側の車両制御部の構成を説明する機能ブロック図である。車両用前照灯装置10の前照灯装置制御部56は、車両58に搭載された車両制御部60の指示に従って電源回路62の制御を行いロービーム用灯具ユニット16、ハイビーム用灯具ユニット18、付加ビーム用灯具ユニット20のバルブやLEDの点灯制御を行う。また、前照灯装置制御部56は、車両58に搭載された車両制御部60の指示に従ってアクチュエータ駆動部64を駆動して付加ビーム用シェード34を動作させる。
【0042】
本実施形態の場合、路肩に歩行者Mが存在する場合、運転者に歩行者Mの存在を知らしめるための第1配光パターンの照射を行い、歩行者Mに車両の接近を知らしめるために第1配光パターンとは異なる第2配光パターンの照射を自動で行う。このような照射制御を可能にするため、車両制御部60は、歩行者Mの認識手段として例えばステレオカメラなどのカメラ66から提供される画像データを用いる。カメラ66の撮影領域は仮想鉛直スクリーンの領域と一致している。撮影画像中の路肩部分に予め保持している歩行者等を示す特徴点を含む画像が存在する場合、車両制御部60は路肩に歩行者Mが存在すると判定する。そして、歩行者Mに付加ビームを照射する照射制御を行うように前照灯装置制御部56に情報を提供する。前照灯装置制御部56は、アクチュエータ駆動部64を駆動して、付加ビーム用シェード34を図4(c)で示す位置に移動させると共に、電源回路62を制御してハイビーム用灯具ユニット18を点灯させて第1付加ビーム配光パターンFH1を形成する。また、付加ビーム用灯具ユニット20を点灯させて第2付加ビーム配光パターンFH2を形成する。その結果、図7に示すように第1付加ビーム配光パターンFH1により運転者に歩行者の存在を知らしめることができる。また、第2付加ビーム配光パターンFH2により歩行者に車両の接近を知らしめることができる。
【0043】
なお、路肩に歩行者Mが存在するか否かを検出する検出手段は適宜変更可能であり、カメラ66に代えてミリ波レーダや赤外線レーダなど他の検出手段を用いてもよい。また、各種通信手段を用いて歩行者等を検出してもよい。例えば、先行車や対向車と車車間通信を行うことにより、自車の前方の路肩に歩行者等が存在するか否か検出するようにしてもよい。また、路肩に埋め込まれたセンサや道路周辺の配置されたセンサなどにより路肩に歩行者等が存在することが検出できるシステムがある場合、これらのシステムと路車間通信を行うことにより、自車の前方の路肩に歩行者等が存在するか否か検出するようにしてもよい。また、歩行者等の携帯する電子タグや携帯端末などからの信号を利用して路肩に歩行者等が存在することが検出できるシステムがある場合、これらのシステムと歩車間通信を行うことにより、自車の前方の路肩に歩行者等が存在するか否か検出するようにしてもよい。これらの検出手段は、それぞれ単独で利用してよいし、組み合わせて利用してもよい。
【0044】
上述した例において、第1付加ビーム配光パターンFH1及び第2付加ビーム配光パターンFH2はカメラ66等により路肩に歩行者Mが存在するときに照射される場合を説明した。別の例としては、カメラ66等により前走車が存在しないことが確認できた場合に、第1付加ビーム配光パターンFH1及び第2付加ビーム配光パターンFH2を照射するようにしてもよい。つまり、前走車がいないときには、歩行者Mの存在に拘わらず積極的に路肩方向に光を照射する。その結果、歩行者Mの有無に関わらず路肩方向の運転者の視認性の向上が図れる。また、もし歩行者Mが存在する場合、その歩行者Mは遠方位置から車両を認知することができるので、横断してよいか否か適切に判断させることができる。
【0045】
また、車両制御部60は、車両58に搭載されているシグナルスイッチ68やナビゲーションシステム70などからの情報も取得可能であり、車両58の走行状態や事故多発地点情報などに応じて、第1付加ビーム配光パターンFH1、第2付加ビーム配光パターンFH2の照射を制御してもよい。
【0046】
例えば、車両制御部60はシグナルスイッチ68からの情報に基づき車両が右折または左折しようとしていることを検出した場合、右折または左折する方向の第1付加ビーム配光パターンFH1または第2付加ビーム配光パターンFH2を照射するようにしてもよい。第1付加ビーム配光パターンFH1の照射により運転者に交差点付近に横断しようとする歩行者が存在するか否か確かめるように注意喚起させることができる。また、第2付加ビーム配光パターンFH2を照射することにより、もし歩行者が存在する場合、その歩行者に車両の存在を知らしめることができる。特に左折の場合、歩行者に左折車両に注意を払わせ安全な位置に退避するように促すことができる。
【0047】
また、車両制御部60がナビゲーションシステム70から事故多発地点が近い旨の情報を取得した場合、歩行者の有無や前走車の有無に関わらず第1付加ビーム配光パターンFH1及び第2付加ビーム配光パターンFH2を照射してもよい。この場合も運転者及び歩行者にお互いの存在を確認するように促すことができる。
【0048】
なお、車両制御部60には、運転者が操作するライトスイッチ72が接続されている。ライトスイッチ72はロービーム用灯具ユニット16のオン/オフ及び、ロービーム用灯具ユニット16の点灯時におけるハイビーム用灯具ユニット18のオン/オフを手動で行うスイッチである。車両制御部60はライトスイッチ72の操作に拘わらず車両58の周囲状況に応じて自動的に第1付加ビーム配光パターンFH1及び第2付加ビーム配光パターンFH2の照射制御を行うようにしてもよい。例えば、前照灯の点灯が必要ない明るいときでも、第1付加ビーム配光パターンFH1や第2付加ビーム配光パターンFH2を照射することにより運転者や歩行者等にお互いの存在を知らしめることができる。
【0049】
図9は、自車の周囲状況に応じた第1付加ビーム配光パターンFH1及び第2付加ビーム配光パターンFH2の照射形態を説明する説明図である。
【0050】
(a)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により先行車及び対向車など自車の周囲に車両が存在しないことを検出した場合である。車両制御部60は前照灯装置制御部56に車両の周囲に車両が存在しないことを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、電源回路62により左右のハイビーム用灯具ユニット18を点灯させる。この場合、前照灯装置制御部56はアクチュエータ駆動部64に対し制御信号を供給しない。したがって、左右の付加ビーム用シェード34は初期位置である退避位置に移動した状態になっているので、左右のハイビーム用灯具ユニット18でハイビーム配光パターンPHを形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として車両前方の広範囲照明が実現できる。その結果、運転者の前方視界を向上させることができるとともに、前方に歩行者が現れた場合には、その存在を迅速に運転者に知らしめる照明が実現できる。
【0051】
(b)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により先行車を検出した場合である。先行車が自車の前方例えば30m以内に存在する場合、左路肩方向にもし歩行者等がいた場合、その歩行者等は先行車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として右路肩方向の視認性を向上させる照射制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に先行車が存在することを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、右側照射用のアクチュエータ駆動部64を制御し右側路肩照射用の付加ビーム用シェード34を光遮蔽位置に移動させると共に、電源回路62により右側路肩照射用にハイビーム用灯具ユニット18を点灯させて右側路肩用の第1付加ビーム配光パターンFH1を形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として自車の近前方と右路肩方向の照明が実現できる。その結果、先行車にグレアを与えることを抑制すると共に右路肩方向に歩行者等が存在する場合、その存在を運転者に迅速に認知させる照明が実現できる。
【0052】
(c)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により先行車を検出し、さらに右路肩方向に歩行者を検出した場合である。先行車が自車の前方例えば30m以内に存在する場合、左路肩方向にもし歩行者がいた場合、その歩行者は先行車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として右路肩方向の歩行者に関する照射制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に先行車があり右路肩に歩行者がいることを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、右側照射用のアクチュエータ駆動部64を制御し右側路肩照射用の付加ビーム用シェード34を光遮蔽位置に移動させると共に、電源回路62により右側路肩照射用にハイビーム用灯具ユニット18を点灯させて右側路肩照射用の第1付加ビーム配光パターンFH1を形成する。さらに、電源回路62は右側路肩照射用に付加ビーム用灯具ユニット20も点灯させ右側路肩照射用の第2付加ビーム配光パターンFH2を形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として自車の近前方と右路肩方向の照明が実現できる。その結果、先行車にグレアを与えることを抑制すると共に右路肩方向の歩行者等の存在を迅速に運転者に認知させると共に、右側路肩の歩行者等に対しても車両の接近を迅速に認知させる照明が実現できる。
【0053】
(d)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により対向車を検出した場合である。対向車が自車の前方例えば50m以内に存在する場合、右路肩方向にもし歩行者等がいた場合、その歩行者は対向車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として左路肩方向の視認性を向上させる制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に対向車が存在することを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、左側照射用のアクチュエータ駆動部64を制御し左側路肩照射用の付加ビーム用シェード34を光遮蔽位置に移動させると共に、電源回路62により左側路肩照射用にハイビーム用灯具ユニット18を点灯させて左側路肩用の第1付加ビーム配光パターンFH1を形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として自車の近前方と左路肩方向の照明が実現できる。その結果、対向車にグレアを与えることを抑制すると共に左路肩方向に歩行者が存在する場合、その存在を運転者に迅速に認知させる照明が実現できる。
【0054】
(e)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により対向車を検出し、さらに左路肩方向に歩行者を検出した場合である。対向車が自車の前方例えば50m以内に存在する場合、右路肩方向にもし歩行者がいた場合、その歩行者は対向車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として左路肩方向の歩行者に関する照射制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に対向車が存在することを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、左側照射用のアクチュエータ駆動部64を制御し左側路肩照射用の付加ビーム用シェード34を光遮蔽位置に移動させると共に、電源回路62により左側路肩照射用にハイビーム用灯具ユニット18を点灯させて左側路肩用の第1付加ビーム配光パターンFH1を形成する。さらに、電源回路62は左側路肩照射用に付加ビーム用灯具ユニット20も点灯させ左側路肩照射用の第2付加ビーム配光パターンFH2を形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として自車の近前方と左路肩方向の照明が実現できる。その結果、対向車にグレアを与えることを抑制すると共に左路肩方向の歩行者等の存在を迅速に運転者に認知させると共に、左側路肩の歩行者等に対しても車両の接近を迅速に認知させる照明が実現できる。
【0055】
(f)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により先行車及び対向車を検出した場合である。先行車が自車の前方例えば30m以内に存在し対向車が自車の前方例えば50m以内に存在する場合、左路肩方向または右路肩方向にもし歩行者がいた場合、その歩行者は先行車や対向車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として自車の近前方の照射制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に先行車及び対向車があることを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、左右のロービーム用灯具ユニット16のみを点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、ハイビーム用灯具ユニット18、付加ビーム用灯具ユニット20は点灯しないので、合成配光として自車の近前方のみの照明が実現できる。
【0056】
なお、上述の説明では、歩行者に強いグレアを与えない程度の光度で付加ビーム用灯具ユニット20を継続的に発光させる例を示したが、付加ビーム用灯具ユニット20を点滅制御してもよい。
【0057】
また、第1付加ビーム配光パターンFH1と第2付加ビーム配光パターンFH2とを別々の光源を用いて形成することにより、それぞれの用途に適した照明形態を実現できる。例えば、第1付加ビーム配光パターンFH1を継続的な光が歩行者に照射される配光パターンとすれば、運転者に歩行者等の視認性が向上してその存在を知らしめる効果が強まる。一方、第2付加ビーム配光パターンFH2を間欠的な光が歩行者等に照射される配光パターンとすれば、歩行者等が受ける光はちらついたものとなり車両接近に対する注意喚起を強めることができる。
【0058】
なお、図9に示す例は一例であり、この他にも車両周囲の状況や運転者の操作により各配光パターンの組合せを変えてもよい。例えば、左右の路肩方向に付加ビーム配光パターンを同時に照射してもよい。この場合、左右の路肩に関して注意喚起ができるので、歩行者の認知性や車両の認知性を優先させた認知性優先モードとすることができる。また、ロービーム配光パターンLHを照射せずに、第1付加ビーム配光パターンFH1や第2付加ビーム配光パターンFH2を照射してもよい。この場合、昼間の走行において歩行者の認知性や車両の認知性を向上させる昼間照射モードとすることができる。特に昼間に第2付加ビーム配光パターンFH2のみの照射を行うことにより歩行者に接近車両の存在を早期に知らしめることができる。
【0059】
上述した例では、ハイビーム用灯具ユニット18と付加ビーム用灯具ユニット20の2種類の灯具ユニットの配光パターンを合成して付加ビームの配光パターンを形成する場合を説明した。図10の例では、ハイビーム用灯具ユニット18のみで第1付加ビーム配光パターンFH1及び第2付加ビーム配光パターンFH2を形成する例を説明する。図10は、車両を正面から見た場合に車両左側に配置される車両用前照灯装置100の正面図である。車両右側に配置される車両用前照灯装置は、図10の構成とは線対称の配置となる。ロービーム用灯具ユニット102及びハイビーム用灯具ユニット104は、左右の車両用前照灯装置100で形成される配光パターンを合成してロービーム及びハイビームを形成する。一方、ハイビーム用灯具ユニット104の機能を用いて形成する付加ビームは、ハイビーム用灯具ユニット104内部に配置される付加ビーム用シェードによって第1付加ビーム配光パターンFH1と第2付加ビーム配光パターンFH2を併せた配光パターンを形成する。付加ビームパターンは右路肩方向照射用と左路肩方向照射用とで使い分けされる。したがって、歩行者等の存在する路肩方向のみ付加ビームを照射するような照射制御が独立的に実行される。左右別々に付加ビームを照射することにより歩行者等の存在する方向を運転者に認知させやすくするという効果がある。
【0060】
図11は、図10において、ハイビーム用灯具ユニット104の内部に配置され第1配光パターン及び第2配光パターンを併せて形成する付加ビーム用シェード106の形状を説明する説明図である。図11の付加ビーム用シェード106は、図3の付加ビーム用シェード34と開口部の形状が異なるのみで他の機能は同じであり、図4に示すアクチュエータ50によって同様に光遮蔽位置と退避位置との間を移動可能である。付加ビーム用シェード106は右路肩方向に第1配光パターン及び第2配光パターンを形成するもので、開口部108を通過した光の像が凸レンズである投影レンズ28により反転して右路肩方向に投影される。
【0061】
図11に示す開口部108の形状は、図3に示す開口部48の略三角形状部108aの一辺に一定の間隔で繰り返しパターンを形成する櫛形形状部108bが設けられている。この櫛形形状部108bに光を当てることにより、明暗が繰り返される配光パターンを形成できる。付加ビーム用シェード106により、ハイビーム用灯具ユニット104の照射する光の一部を遮ることにより、図12に示すように第1付加ビーム配光パターンFH1の部分と第2付加ビーム配光パターンFH2の部分が合体された付加ビーム配光パターンFHが形成できる。第1付加ビーム配光パターンFH1の部分及び第2付加ビーム配光パターンFH2の部分は図6で説明した付加ビーム配光パターンFHと同様に、第1付加ビーム配光パターンFH1の部分が歩行者の顔から下の部分に照射され、第2付加ビーム配光パターンFH2の部分が歩行者の顔の部分に照射されるようにする。歩行者に対し車両が接近する場合、その車両の移動速度が大きいので、櫛形形状部108bで形成される第2付加ビーム配光パターンFH2の部分は明暗が連続的に歩行者の顔に当たることになる。その結果、歩行者には、光源が所定周期で点滅しているように見える。このように、光を間欠的に顔に照射することで、継続的な照射に比べ歩行者に強く注意喚起させることができて、横断が適切か否かを判断させ易くできる。なお、図11に示す付加ビーム用シェード106を用いることにより、光源を点滅制御することなく歩行者に強く注記喚起させることができる。このような照射を行うことにより第1付加ビーム配光パターンFH1の部分により運転者に歩行者の存在を知らしめるための光の照射が実現できる。また、第2付加ビーム配光パターンFH2の部分により歩行者に車両の接近を知らしめる光の照射が実現できる。また、1つの付加ビーム用シェード106の形状で第1付加ビーム配光パターンFH1の部分と第2付加ビーム配光パターンFH2の部分が形成できると共に、点滅制御と同様の光の照射ができるので照射制御が簡略化できる。また、専用の付加ビーム用灯具ユニット20が省略できるので、車両用前照灯装置100を容易に小型化することができる。
【0062】
図13は、付加ビーム用シェード106を用いた場合に、自車の周囲状況に応じた付加ビーム配光パターンFHとハイビーム及びロービームの照射形態を説明する説明図である。なお、付加ビーム用シェード106を用いる場合の前照灯装置制御部の機能ブロック図は、図8に示す前照灯装置制御部の機能ブロック図から付加ビーム用灯具ユニット20が省略されのみで、他の構成は図3に示す構成と略同一である。
【0063】
(a)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により先行車及び対向車など自車の周囲に車両が存在しないことを検出した場合である。車両制御部60は前照灯装置制御部56に車両の周囲に車両が存在しないことを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、電源回路62により左右のハイビーム用灯具ユニット18を点灯させる。この場合、前照灯装置制御部56はアクチュエータ駆動部64に対し制御信号を供給しない。したがって、左右の付加ビーム用シェード106は初期位置である退避位置に移動した状態になっているので、左右のハイビーム用灯具ユニット18でハイビーム配光パターンPHを形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として車両前方の広範囲照明が実現できる。その結果、運転者の前方視界を向上させることができるとともに、前方に歩行者が現れた場合には、その存在を迅速に運転者に知らしめる照明が実現できる。
【0064】
(b)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により先行車を検出した場合である。先行車が自車の前方例えば30m以内に存在する場合、左路肩方向にもし歩行者等がいた場合、その歩行者等は先行車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として右路肩方向の視認性を向上させる照射制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に先行車が存在することを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、右側照射用のアクチュエータ駆動部64を制御し右側路肩照射用の付加ビーム用シェード106を光遮蔽位置に移動させる。そして、電源回路62により右側路肩照射用にハイビーム用灯具ユニット18を点灯させて右側路肩用の付加ビーム配光パターンFH(第1付加ビーム配光パターンFH1の部分+第2付加ビーム配光パターンFH2の部分)を形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として自車の近前方と右路肩方向の照明が実現できる。その結果、先行車にグレアを与えることを抑制すると共に右路肩方向の歩行者を運転者に迅速に認知させる照明が実現できる。また、もし、右路肩に歩行者が存在する場合には、第2付加ビーム配光パターンFH2の部分によって、車両の接近を歩行者に知らしめることができる。
【0065】
(c)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により対向車を検出された場合である。対向車が自車の前方例えば50m以内に存在する場合、右路肩方向にもし歩行者がいた場合、その歩行者は対向車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として左路肩方向の視認性を向上させる制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に対向車が存在することを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、左側照射用のアクチュエータ駆動部64を制御し左側路肩照射用の付加ビーム用シェード106を光遮蔽位置に移動させる。そして、電源回路62により左側路肩照射用にハイビーム用灯具ユニット18を点灯させて左側路肩用の付加ビーム配光パターンFH(第1付加ビーム配光パターンFH1の部分+第2付加ビーム配光パターンFH2の部分)を形成する。また、左右のロービーム用灯具ユニット16を点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、合成配光として自車の近前方と左路肩方向の照明が実現できる。その結果、対向車にグレアを与えることを抑制すると共に左路肩方向の歩行者を迅速に認知できる照明を実現できる。もし、左路肩に歩行者が存在する場合には、第2付加ビーム配光パターンFH2の部分によって、車両の接近を歩行者に知らしめることができる。
【0066】
(d)は車両制御部60がライトスイッチ72がオンされた状況で、カメラ66からの情報により先行車及び対向車を検出した場合である。先行車が自車の前方例えば30m以内に存在し対向車が自車の前方例えば50m以内に存在する場合、左路肩方向または右路肩方向にもし歩行者がいた場合、その歩行者は先行車や対向車の認知により横断をとどまると考えられるので、自車では、主として自車の近前方の照射制御を実行する。車両制御部60は前照灯装置制御部56に先行車及び対向車があることを示す情報を提供する。前照灯装置制御部56は、左右のロービーム用灯具ユニット16のみを点灯させてロービーム配光パターンLHを形成する。つまり、ハイビーム用灯具ユニット18は点灯しないので、合成配光として自車の近前方のみの照明が実現できる。
【0067】
なお、付加ビーム用シェード106の開口部108における櫛形形状部108bの全域に均一の光を当てて第2付加ビーム配光パターンFH2の部分を形成する場合、歩行者における眼前照度は車両から遠いほど低くなる。しかし、第2付加ビーム配光パターンFHの部分による光が歩行者に照射された場合には歩行者と車両との相対距離に拘わらず同等の感覚で車両の存在を知らしめるようにすることが望ましい。そこで、第2付加ビーム配光パターンFH2の部分において、車両に最も近い位置における歩行者の顔面照度を基準にして、車両から遠ざかるに連れて眼前照度が高くなるようにする。この場合、例えば、図4(c)に示すリフレクタ32で車両に近い部分を照射する光を反射する部分と遠い部分を照射する光を反射する部分とで自由曲面の形状を変化させることにより光度に変化を付けることができる。このように、第2付加ビーム配光パターンFH2の部分で照射する光の光度を変化させることにより、車両が徐々に歩行者に接近する場合でも、歩行者に極端に強いグレアを与えることなく、かつ遠方の車両を迅速に認知させるような照明を行うことができる。
【0068】
なお、図13に示す例は一例であり、この他にも車両周囲の状況や運転者の操作により各配光パターンの組合せを変えてもよい。例えば、左右の路肩方向に付加ビーム配光パターンFHを同時に照射してもよい。この場合、左右の路肩に関して注意喚起ができるので、歩行者の認知性や車両の認知性を優先させた認知性優先モードとすることができる。また、ロービーム配光パターンLHを照射せずに、付加ビーム配光パターンFHを照射してもよい。この場合、昼間の走行において歩行者の認知性や車両の認知性を向上させる昼間照射モードとすることができる。
【0069】
上述した図2の説明では、第2付加ビーム配光パターンFH2が付加ビーム用灯具ユニット20によって形成される例を説明したが、図14に示すように第2付加ビーム配光パターンPH2を形成する機構をロービーム用灯具ユニット16に持たせることもできる。
【0070】
図14に示すように、ロービーム用灯具ユニット110においてロービーム照射用の光源112から放射される光はリフレクタ114によって反射され、前方の投影レンズ116へ向けて入射する。そして、ロービーム配光パターンを形成する。また、投影レンズ116の後方位置には、第2付加ビーム配光パターンFH2用の光源118とその光を反射するリフレクタ120が例えば2セット配置されている。この光源118とリフレクタ120によって照射させる光は、右路肩方向または左路肩方向へ向けられる第2付加ビーム配光パターンFH2を形成する。光源118は例えばLEDで構成することができる。したがって、歩行者に強いグレアを与えない程度の継続的な光照射を行うことができる。また、点滅制御するようにしてもよい。このように、第2付加ビーム配光パターンFH2を形成する機能をロービーム用灯具ユニット110に持たせることにより、車両用前照灯装置の小型化に寄与できる。また、車両用前照灯装置のデザインの自由度向上にも寄与できる。なお、図14においては、ロービームのカットオフラインを形成するシェードは図示を省略している。
【0071】
上述した実施形態で示した第1付加ビーム配光パターンFH1、第2付加ビーム配光パターンFH2の形状は一例であり、路肩で想定される歩行者の大きさと光源から歩行者までの距離とに基づいて決まる配光パターンであれば、適宜変更可能であり、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0072】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態の車両用前照灯装置の構成概念図である。
【図2】図1の車両用前照灯装置の正面図である。
【図3】本実施形態の車両用前照灯装置のハイビーム用灯具ユニットにおいて、第1付加ビーム配光パターンを形成する付加ビーム用シェードの正面図である。
【図4】図3の付加ビーム用シェードの非動作状態及びその時の配光パターンと付加ビーム用シェードの動作状態及びその時の配光パターンを説明する説明図である。
【図5】仮想鉛直スクリーン上においてハイビーム用灯具ユニットにより形成される第1付加ビーム配光パターンとロービーム用灯具ユニットによって形成されるロービーム配光パターンによる照射状態を説明する説明図である。
【図6】本実施形態の車両用前照灯装置における付加ビーム用灯具ユニットの概略構成を説明する説明図である。
【図7】仮想鉛直スクリーン上におけるハイビーム用灯具ユニットにより形成される第1付加ビーム配光パターンと、付加ビーム用灯具ユニットにより形成される第2付加ビーム配光パターンと、ロービーム用灯具ユニットによって形成されるロービーム配光パターンによる照射状態を説明する説明図である。
【図8】本実施形態の車両用前照灯装置の前照灯装置制御部と車両側の車両制御部の構成を説明する機能ブロック図である。
【図9】自車の周囲状況に応じた第1付加ビーム配光パターン及び第2付加ビーム配光パターンの照射形態を説明する説明図である。
【図10】ハイビーム用灯具ユニットのみで第1付加ビーム配光パターン及び第2付加ビーム配光パターンを形成する場合の車両用前照灯装置の正面図である。
【図11】本実施形態の車両用前照灯装置において、第1配光パターン及び第2配光パターンを併せて形成する付加ビーム用シェードにおける開口部の形状を説明する説明図である。
【図12】図11の付加ビーム用シェードで形成される付加ビーム配光パターンを説明する説明図である。
【図13】図11の付加ビーム用シェードで形成される付加ビーム用シェードを用いた場合に、自車の周囲状況に応じた付加ビーム配光パターンとハイビーム及びロービームの照射形態を説明する説明図である。
【図14】ロービーム用灯具ユニットに第2付加ビーム配光パターンを形成する光源及びリフレクタを配置する例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0074】
10 車両用前照灯装置、 16 ロービーム用灯具ユニット、 18 ハイビーム用灯具ユニット、 20 付加ビーム用灯具ユニット、 34 付加ビーム用シェード、 48 開口部、 50 アクチュエータ、 58 車両、 60 車両制御部、 62 電源回路、 64 アクチュエータ駆動部、 66 カメラ、 68 シグナルスイッチ、 70 ナビゲーションシステム、 72 ライトスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路肩方向へ光を照射可能な光源と、
前記光源による光の照射を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記路肩で想定される歩行者の大きさと前記光源から前記歩行者までの距離とに基づいて決まる配光パターンを形成するように前記光源の照射制御を行うことを特徴とする車両用前照灯装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記配光パターンとして前記路肩で想定される歩行者の顔より下の部分を照射する配光パターンを形成することを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記配光パターンとして前記路肩で想定される歩行者の顔の部分を照射する配光パターンを形成することを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記配光パターンとして、運転者に歩行者の存在を知らしめるための第1配光パターンと、第1配光パターンとは異なる配光パターンであって、歩行者に車両の接近を知らしめるための第2配光パターンとを形成することを特徴と請求項1記載の車両用前照灯装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前走車が存在しない場合に前記配光パターンによる路肩方向への照射を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
【請求項6】
路肩方向へ光を照射可能な光源と、
前記光源による光の照射を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、路肩上の各点において地上所定高の範囲を照らす配光パターンを形成するように前記光源の照射制御を行うことを特徴とする車両用前照灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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