説明

車両用前照灯

【課題】従来の車両用前照灯では、左右方向のスペースが大きくかつ上下方向のスペースが小さい収納スペースに適していない。
【解決手段】この発明は、カットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンLPを車両の前方に照射するプロジェクタランプユニット2と、プロジェクタランプユニット2を保持する保持部材3と、保持部材3のうちプロジェクタランプユニット2の光軸Z−Zに対して左右の位置に配置されている補助半導体型光源4、および、補助半導体型光源4からの光をすれ違い用配光パターンLPに対して左右に拡散された拡散配光パターンWPとして車両の前方に反射させる補助リフレクタ5と、を備える。この結果、この発明は、左右方向のスペースが大きくかつ上下方向のスペースが小さい収納スペースに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源としてたとえばLEDなどの半導体型光源を使用する車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、この従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、半導体型光源を光源としてカットオフラインを有する主配光パターンを照射するプロジェクタランプユニットと、プロジェクタランプユニットを保持する保持部材と、保持部材のうちプロジェクタランプユニットの光軸に対して下の位置に配置されている補助半導体型光源と、保持部材のうちプロジェクタランプユニットの光軸に対して下の位置に配置されていて、補助半導体型光源からの光を主配光パターンに対して左右に拡散された拡散配光パターンとして車両の前方に反射させる補助反射面を有する補助リフレクタと、を備えるものである。
【0003】
以下、従来の車両用前照灯の作用について説明する。プロジェクタランプユニットの半導体型光源および補助半導体型光源を点灯発光させる。すると、プロジェクタランプユニットからカットオフラインを有する主配光パターンが車両の前方に照射され、一方、補助半導体型光源からの光が補助反射面で拡散配光パターンとして車両の前方に反射する。これにより、カットオフラインを有する主配光パターンと、その主配光パターンに対して左右に拡散されている拡散配光パターンとが得られる。
【0004】
ところが、従来の車両用前照灯は、補助半導体型光源および補助反射面が保持部材のうちプロジェクタランプユニットの光軸に対して下の位置に配置されているので、左右方向の寸法を小さくすることができるが、上下方向の寸法が大きくなる。このために、従来の車両用前照灯は、左右方向のスペースが小さくかつ上下方向のスペースが大きい収納スペースの場合には適しているが、左右方向のスペースが大きくかつ上下方向のスペースが小さい収納スペースの場合には適していない。
【0005】
【特許文献1】特開2006−134810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用前照灯では、左右方向のスペースが大きくかつ上下方向のスペースが小さい収納スペースに適していないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源を光源としてカットオフラインを有する主配光パターンを車両の前方に照射するプロジェクタランプユニットと、プロジェクタランプユニットを保持する保持部材と、保持部材のうちプロジェクタランプユニットの光軸に対して左右の位置に配置されている補助半導体型光源と、保持部材のうちプロジェクタランプユニットの光軸に対して左右の位置に配置されていて補助半導体型光源からの光を主配光パターンに対して左右に拡散された拡散配光パターンとして車両の前方に反射させる補助反射面を有する補助リフレクタと、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、補助半導体型光源が主配光パターンの照射方向に対して反対方向に傾斜した状態で配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、前記の課題を解決するための手段により、プロジェクタランプユニットの半導体型光源および補助半導体型光源を点灯発光させると、プロジェクタランプユニットからカットオフラインを有する主配光パターンが車両の前方に照射され、一方、補助半導体型光源からの光が補助反射面で拡散配光パターンとして車両の前方に反射する。これにより、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、カットオフラインを有する主配光パターンと、その主配光パターンに対して左右に拡散されている拡散配光パターンとが得られる。
【0010】
特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、補助半導体型光源および補助反射面がプロジェクタランプユニットの光軸に対して左右に位置するので、左右方向の寸法が大きくなるが、上下方向の寸法を小さくすることができる。このために、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、左右方向のスペースが大きくかつ上下方向のスペースが小さい収納スペースの場合に適している。
【0011】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、補助半導体型光源および補助反射面がプロジェクタランプユニットの光軸に対して左右に位置するので、補助半導体型光源および補助反射面がプロジェクタランプユニットの光軸に対して下に位置する従来の車両用前照灯と比較して、補助反射面の設計製造が簡単であり、かつ、拡散配光パターンの設計制御が簡単であり、カットオフラインを有する主配光パターンに対して左右に拡散されている拡散配光パターンを簡単にかつ正確に配光制御することができる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、補助半導体型光源が主配光パターンの照射方向に対して反対方向に傾斜した状態で配置されているので、補助半導体型光源を主配光パターンの照射方向と平行に配置した車両用前照灯と比較して、補助反射面を有する補助リフレクタを主配光パターンの照射方向に対して反対方向に後退させることができ、かつ、左右の補助リフレクタを寄せ合わせることができる。これにより、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、補助半導体型光源を主配光パターンの照射方向と平行に配置した車両用前照灯と比較して、主配光パターンの照射方向の寸法、および、左右方向の寸法を小さくすることができ、さらに小型化(コンパクト化) を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明にかかる車両用前照灯の実施例のうちの2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用前照灯を車両に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例1】
【0014】
図1〜図13は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用前照灯の構成について説明する。図1において、符号1は、この実施例1における車両用前照灯である。前記車両用前照灯1は、プロジェクタランプユニット2と、保持部材3と、補助半導体型光源4と、補助リフレクタ5と、図示しない自動車用前照灯のランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0015】
前記プロジェクタランプユニット2および前記保持部材3および前記補助半導体型光源4および前記補助リフレクタ5は、ランプユニットを構成する。1個もしくは複数個の前記ランプユニットは、自動車用前照灯の前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。
【0016】
前記プロジェクタランプユニット2は、プロジェクタタイプのランプユニットからなり、半導体型光源6と、リフレクタ7と、シェード8と、投影レンズ9と、前記保持部材3と、から構成されている。
【0017】
前記保持部材3は、たとえば、樹脂や金属性ダイカストなどの熱伝導率が高い材料からなる。前記保持部材3は、図4〜図9に示すように、直方体形状をなすブロック部10と、平板形状をなす2本のアーム部11と、から構成されている。前記2本のアーム部11は、前記ブロック部10の前面と左右両側面とのなす左右両角部から前方に末広がりにすなわち傾斜した状態で一体に突設されている。前記ブロック部10は、フィン形状として、ヒートシンク部材と兼用しても良い。
【0018】
前記半導体型光源6および前記補助半導体型光源4は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例1ではLED)を使用する。前記半導体型光源6は、図1、図4〜図9に示すように、四角形の基板12と、前記基板12の一面に固定された微小な直方体形状の光源チップ(半導体チップ)の発光体(図示せず)と、前記発光体を覆う半球形状の光透過部材(レンズ)13と、から構成されている。前記半導体型光源6および前記補助半導体型光源4は、前記保持部材3にそれぞれ固定されている。
【0019】
すなわち、前記半導体型光源6は、前記ブロック部10の上面のほぼ中央に固定されている。また、前記補助半導体型光源4は、左右の前記アーム部11の後傾斜面のほぼ中央にそれぞれ固定されている。この結果、前記補助半導体型光源4は、前記保持部材3のうち前記プロジェクタランプユニット2の光軸Z−Zに対して左右の位置に、かつ、カットオフラインCLを有する主配光パターン、たとえば、すれ違い用配光パターンLPの照射方向(前方向)に対して反対方向(後方向)に傾斜した状態で配置されている。
【0020】
前記リフレクタ7は、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。また、前記リフレクタ7は、図1、図3、図4、図9、図10に示すように、前側部分が半円形に開口し、かつ、下側部分が開口し、一方、前側部分から中央部分(上側部分)を経て後側部分までが閉塞している。前記リフレクタ7は、前記保持部材3の前記ブロック部10の上面に固定されている。前記リフレクタ7の閉塞部の凹内面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて反射面14が設けられている。
【0021】
前記反射面14は、前記リフレクタ7のうち中央部分(上側部分)から後側部分にかけての閉塞部の凹内面に設けられている。前記反射面14は、収束型の楕円反射面である。すなわち、前記反射面14は、楕円を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記の楕円を基本とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面とは、図4の垂直断面が楕円をなし、かつ、図示しない水平断面が放物線ないし変形放物線をなす反射面からなるものである。前記反射面14は、第1焦点と、第2焦点と、光軸Z−Zと、を有する。前記第2焦点は、水平断面上の焦線、すなわち、上(平面)から見て両端が前側に位置し中央が後側に位置するような湾曲した焦線となる。前記リフレクタ7の前記反射面14の第1焦点もしくはその近傍には、前記半導体型光源6の前記発光体が位置する。なお、前記反射面14は、第1焦点と第2焦点と光軸とを有する単なる回転楕円面からなる反射面であっても良い。この場合、第2焦点は、焦線ではなく焦点となる。前記リフレクタ7の前記反射面14は、前記半導体型光源6からの光L1を反射させるものである。
【0022】
前記リフレクタ7の下側開口部の縁には、水平板部15が一体に設けられている。前記水平板部15は、前記保持部材3の前記ブロック部10の上面を覆う程度の大きさをなす。前記水平板部15の前部の左右両角部には、水平棒部16が前方に末広がりに一体に突設されている。前記水平棒部16は、前記保持部材3の前記アーム部11の上面に載置される。前記水平棒部16の前部には、円環状のリム部17が一体に設けられている。
【0023】
前記シェード8は、図4、図6〜図8、図10に示すように、前記保持部材3の前記ブロック部10の前面と上面とのなす角部に一体に設けられている。前記保持部材3の前記ブロック部10の上面の前半分には、四角形の凹部18が設けられていて、前記凹部18の前側の壁部が前記シェード8を構成するものである。前記シェード8の縁には、エッジ19が設けられている。前記エッジ19は、上水平エッジと、斜めエッジと、下水平エッジと、からなる。前記シェード8のエッジ19は、前記リフレクタ7の前記反射面14の第2焦点もしくはその近傍に位置する。
【0024】
前記シェード8は、前記半導体型光源6からの光であって、前記リフレクタ7の前記反射面14からの反射光の一部を遮蔽して、残りの反射光でカットオフラインCLを有する主配光パターン、たとえば、すれ違い用配光パターンLPを形成するものである。前記シェード8のエッジ19は、前記すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCLを形成するものである。すなわち、上水平エッジは下水平カットオフラインを、斜めエッジは斜めカットオフラインを、下水平エッジは上水平カットオフラインを、それぞれ形成するものである。
【0025】
前記投影レンズ9は、図1〜図5、図7〜図10に示すように、前記保持部材3の前記アーム部11の先端部(前端部)と前記リム部17に固定されている。前記投影レンズ9は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ9の前方側(外部側)は、凸非球面をなし、前記投影レンズ9の後方側(前記半導体型光源6側)は、平非球面(平面)をなすものである。なお、前記投影レンズ9の前方側は、曲率が大きい(曲率半径が小さい)凸非球面をなし、前記投影レンズ9の後方側は、曲率が小さい(曲率半径が大きい)凸非球面をなすものであってもよい。このような投影レンズ9を使用することにより、前記投影レンズ9の焦点距離が小さくなるので、その分、この実施例1における車両用前照灯1の前記投影レンズ9の光軸方向Z−Zの寸法がコンパクトとなる。
【0026】
前記投影レンズ9は、前側焦点(前記半導体型光源6側の焦点)および後側焦点(外部側の焦点)と、前記前側焦点と前記後側焦点とを結ぶ光軸とを有する。前記リフレクタ7の前記反射面14の光軸Z−Zと前記投影レンズ9の光軸とは、一致(ほぼ一致も含む)する。前記投影レンズ9の前側焦点は、レンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)である。前記投影レンズ9の前記レンズ焦点は、前記リフレクタ7の前記反射面14の第2焦点もしくはその近傍に位置する。なお、前記半導体型光源6からの光は、高い熱を持たないので、前記投影レンズ9として樹脂製のレンズを使用することができる。前記投影レンズ9は、この例ではアクリルを使用する。前記投影レンズ9は、前記カットオフラインCLを有する前記すれ違い用配光パターンLPを前方(車両の前方)に投影(照射)するものである。
【0027】
前記補助リフレクタ5は、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。また、前記補助リフレクタ5は、図1〜図3、図5、図8〜図10に示すように、回転放物面の一部の曲面形状をなす反射部20と、平面形状をなす固定部21と、から構成されている。前記補助リフレクタ5の前記固定部21は、前記保持部材3の前記ブロック部10の左右両側面の後半分の箇所に固定されている。この結果、前記補助リフレクタ5は、前記保持部材3のうち前記プロジェクタランプユニット2の光軸Z−Zに対して左右の位置に配置されている。
【0028】
前記補助リフレクタ5の前記反射部20の内面(前記補助半導体型光源4と対向する面)には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて補助反射面22が設けられている。前記補助反射面22は、発散(拡散)型の放物線反射面である。すなわち、前記補助反射面22は、放物線を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記の放物線を基本とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面とは、図5の水平断面が変形放物線をなし、かつ、図示しない垂直断面が放物線ないし変形放物線をなす反射面からなるものである。前記補助反射面22は、焦点(図示せず)と、光軸(図示せず)と、を有する。前記補助リフレクタ5の前記補助反射面22の焦点もしくはその近傍には、前記補助半導体型光源4の前記発光体が位置する。なお、前記補助反射面22は、焦点と光軸とを有する単なる回転放物面からなる反射面であっても良い。前記補助リフレクタ5の前記補助反射面22は、前記補助半導体型光源4からの光L2を反射させて、前記すれ違い用配光パターンLPに対して左右に拡散された拡散配光パターンWPとして車両の前方に反射させるものである。
【0029】
前記反射面14および前記補助反射面22は、自由曲面(NURBS曲面)の反射面からなる。前記反射面14の自由曲面(NURBS曲面)および前記補助反射面22の自由曲面(NURBS曲面)は、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform RaTional B-Spline Surface)である。
【0030】
この実施例1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0031】
車両用前照灯1の半導体型光源6の発光体および補助半導体型光源4の発光体を点灯発光させる。すると、半導体型光源6の発光体から光L1(図4中の実線矢印にて示す)が放射される。半導体型光源6からの光L1の一部は、リフレクタ7の反射面14で反射される。この反射光は、反射面14の第2焦点に収束(集中)する。第2焦点に収束する反射光の一部は、シェード8によりカットオフされる。シェード8によりカットオフされなかった反射光L1は、投影レンズ9を透過して、図11に示すように、上縁にカットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0032】
また、補助半導体型光源4の発光体から光L2(図5中の実線矢印にて示す)が放射される。補助半導体型光源4からの光L2は、補助リフレクタ5の補助反射面22で反射される。この反射光は、投影レンズ9の左右両側を通過して、図12に示すように、すれ違い用配光パターンLPに対して左右に拡散された拡散配光パターンWPとして車両の前方に照射される。そして、図13に示すように、すれ違い用配光パターンLPと拡散配光パターンWPとが合成されて車両の前方に照射される。
【0033】
この実施例1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0034】
この実施例1における車両用前照灯1は、補助半導体型光源4および補助リフレクタ5の補助反射面22がプロジェクタランプユニット2の光軸Z−Zに対して左右に位置するので、左右方向の寸法が大きくなるが、上下方向の寸法を小さくすることができる。このために、この実施例1における車両用前照灯1は、左右方向のスペースが大きくかつ上下方向のスペースが小さい収納スペースの場合に適している。
【0035】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1は、補助半導体型光源4および補助リフレクタ5の補助反射面22がプロジェクタランプユニット2の光軸Z−Zに対して左右に位置するので、補助半導体型光源および補助反射面がプロジェクタランプユニットの光軸に対して下に位置する従来の車両用前照灯と比較して、補助反射面22の設計製造が簡単であり、かつ、拡散配光パターンWPの設計制御が簡単であり、カットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンLPに対して左右に拡散されている拡散配光パターンWPを簡単にかつ正確に配光制御することができる。
【0036】
また、この実施例1における車両用前照灯1は、補助半導体型光源4が保持部材3のアーム部11の背面に、すれ違い用配光パターンLPの照射方向(前方向)に対して反対方向(後方向)に傾斜した状態で配置されているので、補助半導体型光源4をすれ違い用配光パターンLPの照射方向(前後方向)と平行に配置した車両用前照灯1A(図14参照)と比較して、補助反射面22を有する補助リフレクタ5をすれ違い用配光パターンLPの照射方向(前方向)に対して反対方向(後方向)に後退させることができ、かつ、左右の補助反射面22を有する補助リフレクタ5を寄せ合わせることができる。これにより、この実施例1における車両用前照灯1は、補助半導体型光源4をすれ違い用配光パターンLPの照射方向(前後方向)と平行に配置した車両用前照灯1A(図14参照)と比較して、すれ違い用配光パターンLPの照射方向(前後方向)の寸法をT分小さくすることができ、また、左右方向の寸法をW2からW1を引いた分(W2−W1)小さくすることができ、さらに小型化(コンパクト化) を図ることができる。
【実施例2】
【0037】
図14は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示す。図中、図1〜図13とどう符号は、同一のものを示す。以下、この実施例2における車両用前照灯1Aについて説明する。この実施例2における車両用前照灯1Aは、補助半導体型光源4がすれ違い用配光パターンLPの照射方向(前後方向)と平行に配置されているものである。
【0038】
すなわち、プロジェクタランプユニット2Aの保持部材3Aの左右のアーム部11Aがプロジェクタランプユニット2Aの光軸Z−Zと平行に設けられている。このプロジェクタランプユニット2Aの光軸Z−Zと平行な左右のアーム部11Aの外面には、補助半導体型光源4がすれ違い用配光パターンLPの照射方向(前後方向)と平行に配置されている。また、左右のアーム部11Aには、左右の補助リフレクタ5Aが固定されている。
【0039】
この実施例2における車両用前照灯1Aは、前記の実施例1における車両用前照灯1と比較して、すれ違い用配光パターンLPの照射方向(前後方向)の寸法がT分大きく、かつ、左右方向の寸法がW2からW1を引いた分(W2−W1)大きいが、その他においては、前記の実施例1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0040】
以下、前記の実施例1以外の例について説明する。前記の実施例1においては、カットオフラインCLを有する配光パターンとしてすれ違い用配光パターンLPである。ところが、この発明においては、カットオフラインを有する配光パターンとして高速道路用配光パターンとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明にかかる車両用前照灯の実施例1を示す平面図であって、図2におけるI矢視図である。
【図2】同じく、車両用前照灯を示す正面図であって、図1におけるII矢視図である。
【図3】同じく、車両用前照灯を示す側面図であって、図1におけるIII矢視図である。
【図4】同じく、車両用前照灯を示す断面図であって、図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】同じく、車両用前照灯を示す断面図であって、図2におけるV−V線断面図である。
【図6】同じく、保持部材と補助半導体型光源を示す斜視図である。
【図7】同じく、保持部材と補助半導体型光源および投影レンズを示す斜視図である。
【図8】同じく、保持部材と補助半導体型光源および投影レンズおよび補助リフレクタを示す斜視図である。
【図9】同じく、保持部材と補助半導体型光源および投影レンズおよび補助リフレクタおよびリフレクタを示す後方側の斜視図である。
【図10】同じく、保持部材と補助半導体型光源および投影レンズおよび補助リフレクタおよびリフレクタを示す前方側の斜視図である。
【図11】同じく、すれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図12】同じく、拡散配光パターンを示す説明図である。
【図13】同じく、すれ違い用配光パターンと拡散配光パターンとを示す説明図である。
【図14】この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1、1A 車両用前照灯
2、2A プロジェクタランプユニット
3、3A 保持部材
4 補助半導体型光源
5、5A 補助リフレクタ
6 半導体型光源
7 リフレクタ
8 シェード
9 投影レンズ
10 ブロック部
11、11A アーム部
12 基板
13 光透過部
14 反射面
15 水平板部
16 水平棒部
17 リム部
18 凹部
19 エッジ
20 反射部
21 固定部
22 補助反射面
CL カットオフライン
LP すれ違い用配光パターン
WP 拡散配光パターン
Z−Z 光軸
L1 半導体型光源からの光
L2 補助半導体型光源からの光
W1 左右の補助リフレクタ5の左右方向の寸法
W2 左右の補助リフレクタ5Aの左右方向の寸法
T 投影レンズから補助リフレクタ5までの前後方向の寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として半導体型光源を使用する車両用前照灯において、
半導体型光源を光源としてカットオフラインを有する主配光パターンを車両の前方に照射するプロジェクタランプユニットと、
前記プロジェクタランプユニットを保持する保持部材と、
前記保持部材のうち前記プロジェクタランプユニットの光軸に対して左右の位置に配置されている補助半導体型光源と、
前記保持部材のうち前記プロジェクタランプユニットの光軸に対して左右の位置に配置されていて、前記補助半導体型光源からの光を前記主配光パターンに対して左右に拡散された拡散配光パターンとして車両の前方に反射させる補助反射面を有する補助リフレクタと、
を備える、ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記補助半導体型光源は、前記主配光パターンの照射方向に対して反対方向に傾斜した状態で配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−73432(P2010−73432A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238246(P2008−238246)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】