車両用可動グリルシャッター
【課題】 搭載自由度の高い車両用可動グリルシャッターを提供すること。
【解決手段】 グリルシャッター1(車両用可動グリルシャッター)は、冷却空気をエンジンルーム2内へ取入れる為のグリル開口部6に設置され、第一支持軸21(第一支持軸)を備えた第一フィン11(第一フィン)と、グリル開口部6に設置され、第二支持軸22(第二支持軸)を備えた第二フィン12(第二フィン)と、第一フィン11を開閉駆動する第一出力軸32(第一出力軸)と第二フィン12を開閉駆動する第二出力軸35(第二出力軸)とを備え、第一フィン11と第二フィン12との間に配置されたアクチュエータ15(駆動源)と、第一支持軸21と第一出力軸32との間を連結する第一自在継手51(自在継手)と、第二支持軸22と第二出力軸35との間を連結する第二自在継手52(自在継手)と、から構成される。
【解決手段】 グリルシャッター1(車両用可動グリルシャッター)は、冷却空気をエンジンルーム2内へ取入れる為のグリル開口部6に設置され、第一支持軸21(第一支持軸)を備えた第一フィン11(第一フィン)と、グリル開口部6に設置され、第二支持軸22(第二支持軸)を備えた第二フィン12(第二フィン)と、第一フィン11を開閉駆動する第一出力軸32(第一出力軸)と第二フィン12を開閉駆動する第二出力軸35(第二出力軸)とを備え、第一フィン11と第二フィン12との間に配置されたアクチュエータ15(駆動源)と、第一支持軸21と第一出力軸32との間を連結する第一自在継手51(自在継手)と、第二支持軸22と第二出力軸35との間を連結する第二自在継手52(自在継手)と、から構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のグリル開口部に設置されたフィンを駆動源により駆動する車両用可動グリルシャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンルーム内のラジエータ、エンジン、トランスミッション等の過冷却による燃焼不良や効率低下の抑制と、高速走行時の空気抵抗の低減とによる燃費性能向上の為、冷却外気取入れグリル開口部を開閉する車両用可動グリルシャッターがある。例えば、グリル開口部が開閉可能となるように互いに連動アームで連結されたフィンの支持軸を回転自在に基枠に設置し、連動アームにピンと長穴を介して連結された駆動アームでリンク機構を構成し、アクチュエータ等の駆動装置が駆動アームを回転させることによってフィンを開閉するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−139519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、駆動源を挟んで車両左右方向に配置されたフィンの支持軸同士が同芯上に配置されている為、車両前方が曲面となっている車両に搭載する場合には曲面とフィンとの間にデッドスペースが生じ、グリルシャッターの搭載自由度が低下する問題がある。また、グリルシャッターの搭載自由度低下により、ボディ造形時に空力性能を考慮できない問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、車両前方の搭載自由度の高い車両用可動グリルシャッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、冷却空気をエンジンルーム内へ取入れる為のグリル開口部に設けられる車両用可動グリルシャッターであって、第一フィンと、前記グリル開口部の形状に沿うように、前記第一フィンの長手方向に所定の角度を持って設けられる第二フィンと、前記第一フィンと前記第二フィンとを開閉駆動する駆動源と、前記第一フィンと前記第二フィンとの間で、前記駆動源からの駆動力を前記第一フィンと前記第二フィンとに伝達する自在継手とを備える構成である。
【0007】
本発明の第2の課題解決手段は、前記第一フィンは、第一支持軸を有し、前記第二フィンは、第二支持軸を有し、前記駆動源は、前記第一フィンと前記第二フィンとの間に配置され、前記第一フィンを開閉駆動する第一出力軸と前記第二フィンを開閉駆動する第二出力軸とを有し、前記自在継手は、前記第一支持軸と前記第一出力軸との間及び前記第二支持軸と前記第二出力軸との間の少なくとも一方を連結する構成である。
【0008】
本発明の第3の課題解決手段は、前記自在継手は、前記第一支持軸の一端及び前記第二支持軸の一端に2面幅凹部を形成し、前記第一出力軸の一端及び前記第二出力軸の一端に前記2面幅凹部と嵌合する2面幅凸部を形成し、該2面幅凸部及び前記2面幅凹部の少なくともいずれか一方にクラウニング面を形成する構成であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の課題解決手段は、前記駆動源は、モータを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の課題解決手段は、前記第一フィンと前記第二フィンと前記駆動源とは、基枠に搭載されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の課題解決手段は、前記基枠は、前記第一支持軸を保持する第一軸保持部と、前記第二支持軸を保持する第二軸保持部と、を備え、前記第一軸保持部は、前記第一出力軸の軸線に対してオフセットして配置され、前記第二軸保持部は、前記第二出力軸の軸線に対してオフセットして配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第7の課題解決手段は、前記第一フィンと前記第二フィンとの間には、駆動源からの駆動力により前記第一フィンと前記第二フィンとを同期して開閉駆動するロッドが設けられ、前記自在継手は、前記第一フィンと前記ロッドとの間及び前記第二フィンと前記ロッドとの間の少なくとも何れか一方に設けられる構成である。
【0013】
本発明の第8の課題解決手段は、前記第一フィンは、第一アームを有し、前記第二フィンは、第二アームを有し、前記ロッドは、前記第一アームとクリアランスを持って係合する第一軸と前記第二アームとクリアランスを持って係合し前記第一軸と所定の前記角度を成す第二軸とを有し、前記自在継手は、前記第一アームと前記第一軸又は前記第二アームと前記第二軸とから構成される。
【0014】
本発明の第9の課題解決手段は、前記駆動源は、駆動アームを有し、前記ロッドは、前記駆動アームとクリアランスを持って係合する駆動軸を有し、前記自在継手は、前記駆動アームと前記駆動軸とから構成される。
【0015】
本発明の第9の課題解決手段は、当該車両用可動グリルシャッターは、車両の一意匠部材を構成するグリル枠と一体に構成され、該グリル枠は、前記第一フィン及び前記第二フィンを回動自在に支持する支持部と、前記駆動源が配設される駆動源配設部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用可動グリルシャッターでは、第一フィンと第二フィンとの間に、駆動源からの駆動力を第一フィンと第二フィンとに伝達する自在継手を設けることで、第一フィンと第二フィンとをグリル開口部の形状に沿うように、第一フィンの長手方向に所定の角度を持って設けることが可能になる。よって、ボディ形状に合わせてグリルシャッターを配置してデッドスペースを縮小できるため、グリルシャッターの装着により燃費性能を向上しつつ、歩行者保護やクラッシャブルゾーンの為の空間を確保でき、安全性を向上できる。さらに、グリルシャッターの搭載自由度が向上し空力性能を考慮したボディ造形が可能となるため、空力性能を向上できる。さらに、グリル開口部に直接第一フィンと第二フィンとを取り付けるような配置が可能になる。
【0017】
また、第一支持軸と第一出力軸との間及び第二支持軸と第二出力軸との間の少なくとも一方を自在継手で連結することにより、駆動源を挟んだ第一フィン及び第二フィンをボディ形状に沿って首振り自在に設置できる。
【0018】
また、2面幅凸部又は2面幅凹部にクラウニングを施すことにより各支持軸と各出力軸との交差角を吸収する為、首振り機構の部品を他に必要としない簡略化した自在継手を構成できる。
【0019】
また、第一フィンと第二フィンとは、モータにより開閉駆動される為、開閉を自動化できる。
【0020】
また、第一フィンと第二フィンと駆動源とを基枠に搭載してアッセンブリ化できる為、車両へのグリルシャッターの組付性が向上する。
【0021】
また、第一軸保持部と第二軸保持部とは、第一出力軸の軸線と第二出力軸の軸線とに対してオフセットして配置される為、第一フィンと第二フィンとは、オフセットした分だけ屈曲して配置される。そのため、ボディ形状に沿ってグリルシャッターを搭載することができる。
【0022】
また、第一フィンと第二フィンとの間にロッドを設け、自在継手を第一フィンとロッドとの間及び第二フィンとロッドとの間の少なくとも何れか一方に設けることで、第一フィンと第二フィンとをグリル開口部の形状に沿うように所定の角度を持って設けても、自在継手を介してロッドにより第一フィンと第二フィンとを同期して開閉駆動できる。
【0023】
また、第一アームと第一軸、第二アームと第二軸とはクリアランスを持って係合する構成のため、第一アームが描く軌跡と第二アームが描く軌跡が同一面上になくても、クリアランスが角度の変化を吸収するため、第一フィンと第二フィンとを同期して開閉駆動できる。
【0024】
また、駆動源は駆動アームを有し、ロッドは駆動アームとクリアランスを持って係合する駆動軸を有し、自在継手は駆動アームと駆動軸とから構成されるため、駆動源の取り付け角度・位置の自由度が向上する。
【0025】
また、各フィンを支持するための支持部と駆動源を配設するための駆動源配設部とをグリル枠に設けることにより、フィンや駆動源を支持・配設するための専用の部材を設ける必要がなくなり、部品点数の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係るグリルシャッターのエンジンルーム内への配設態様を概略的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係るグリルシャッターの全体構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るグリルシャッターの平面を示す説明図である。
【図4】第1実施形態に係る第一自在継手の正面方向の部分断面図である。
【図5】第1実施形態に係る第一自在継手の平面方向の部分断面図である。
【図6】第1実施形態に係る第一自在継手の側面方向の部分断面図である。
【図7】第1実施形態に係るアクチュエータの内部の構成を示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係るグリルシャッターが取り付くグリル開口部の斜視図である。
【図9】第2実施形態に係るグリルシャッターの分解斜視図である。
【図10】第2実施形態に係るグリルシャッターの斜視図である。
【図11】第2実施形態に係るグリルシャッターが開駆動した場合の左側アームと左側軸、右側アームと右側軸、駆動アームと駆動軸、の係合部詳細を示す斜視図である。
【図12】第2実施形態に係るグリルシャッターが閉駆動した場合の左側アームと左側軸、右側アームと右側軸、駆動アームと駆動軸、の係合部詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るグリルシャッター1(車両用可動グリルシャッター)のエンジンルーム2内への配設態様を概略的に示す断面図である。図2は本発明の第1実施形態に係るグリルシャッター1の全体構成を示す分解斜視図である。図3は本発明の第1実施形態に係るグリルシャッター1の平面を示す説明図である。
【0029】
エンジンルーム2にはエンジン冷却水を冷却する為のラジエータ3が配置され、ラジエータ3は、車体ボディ4に取付けられている。ラジエータ3の前方下方及びバンパー5の下方にグリル開口部6が設けられ、このグリル開口部6にグリルシャッター1が配設されている。
【0030】
図2に併せ示すように、グリルシャッター1は、グリル開口部6に設置される基枠7と、基枠7にそれぞれ取付けられる複数(ここでは4つ)のフィン(第一フィン11、第二フィン12、第三フィン13、第四フィン14)及びアクチュエータ15(駆動源)とを備えている。図2に示すように、基枠7(基枠)は車両幅方向に延びる長尺状をなすとともに、延在方向中央部7aが最も車両前方側に位置し、両延在方向端部7b,7cが延在方向中央部7aよりも車両後方側にオフセットした位置に位置するよう屈曲形成される。また、延在方向中央部7aにはアクチュエータ15が取付けられるアクチュエータ取付部16が設けられ、その両側にそれぞれ第一〜第四フィン11〜14が取付けられる4箇所のフィン取付部17〜20が設けられている。なお、第1実施形態では、フィン取付部17〜20は、アクチュエータ取付部16の両側においてそれぞれ2つずつ上下に並設されている。
【0031】
第一フィン11は幅方向に延びる直線状の第一支持軸21とフィン部11aとが一体に形成されており、同様に、第二フィン12は幅方向に延びる直線状の第二支持軸22とフィン部12aとが、第三フィン13は幅方向に延びる直線状の第三支持軸23とフィン部13aとが、第四フィン14は幅方向に延びる直線状の第四支持軸24とフィン部14aとが、それぞれ一体に形成されている。なお、第1実施形態においては、第一フィン11及び第三フィン13が特許請求の範囲における「第一フィン」に相当し、第二フィン12及び第四フィン14が特許請求の範囲における「第二フィン」に相当する。また、第一支持軸21及び第三支持軸23が特許請求の範囲における「第一支持軸」に相当し、第二支持軸22及び第四支持軸24が特許請求の範囲における「第二支持軸」に相当する。
【0032】
図2に示すように、基枠7における一方(図2示右方向)の延在方向端部7bには第一フィン軸保持部25(第一軸保持部)と第三フィン軸保持部26(第一軸保持部)とが設けられ、他方(図2示左方向)の延在方向端部7cには第二フィン軸保持部27(第二軸保持部)と第四フィン軸保持部28(第二軸保持部)とが設けられている。一方、アクチュエータ15の右側面31には第一出力軸32(第一出力軸)と第三出力軸33(第一出力軸)とが設けられ、アクチュエータ15の左側面34には第二出力軸35(第二出力軸)と第四出力軸36(第二出力軸)とが設けられている。
【0033】
第一フィン11における第一支持軸21の一方の先端部である第一軸先端部41は第一フィン軸保持部25に嵌合して保持され、他方の先端部である第一軸根元部42は第一出力軸32に嵌合し保持される。第二フィン12における第二支持軸22の一方の先端部である第二軸先端部43は第二フィン軸保持部27に嵌合して保持され、他方の先端部である第二軸根元部44は第二出力軸35に嵌合し保持される。同様に、第三フィン13における第三支持軸23の一方の先端部である第三軸先端部45及び他方の先端部である第三軸根元部46、第四フィン14における第四支持軸24の一方の先端部である第四軸先端部47及び他方の先端部である第四軸根元部48も、それぞれ対応するフィン軸保持部26,28及び出力軸33,36に嵌合して保持される。そして、例えば図1に示すように、第一フィン11(第二フィン12)と第三フィン13(第四フィン14)とは対称に開閉するよう対向配置される。
【0034】
図3に示すように、アクチュエータ15の第一出力軸32は、軸線方向が第一フィン11の第一支持軸21の軸線方向と交差し、第一軸根元部42と嵌合することにより第一自在継手51(自在継手)を構成する。アクチュエータ15の第二出力軸35は、軸線方向が第二フィン12の第二支持軸22の軸線方向と交差し、第二軸根元部44と嵌合することにより第二自在継手52(自在継手)を構成する。また、第一フィン軸保持部25に保持される第一軸先端部41は、第一出力軸32の軸線に対して車両後方側にオフセットして配置され、第二フィン軸保持部26に保持される第二軸先端部43は、第二出力軸35の軸線に対して車両後方側にオフセットして配置される。その結果、第一フィン11と第二フィン12とは、アクチュエータ15を挟んでボディ形状に沿って逆V字状に屈曲して配置される。そして、このように組付けられたグリルシャッター1は、車体ボディ4との間に空間53を空けた状態でエンジンルーム2内に配設される。詳しくは、グリルシャッター1の前方位置には車体ボディ4の一部品として構成されるフロントアンダーグリルが配設され、そのフロントアンダーグリルとの間に空間53を空けた状態でグリルシャッター1がエンジンルーム2内に配設される。
【0035】
図4、図5、図6は本発明の第1実施形態に係る第一自在継手51のそれぞれ正面方向の部分断面図、平面方向の部分断面図、側面方向の部分断面図である。なお、第二自在継手52、図示しない第三自在継手及び第四自在継手も同様の構造であり、ここでの説明を割愛する。第一出力軸32の先端には第一2面幅凸部54(2面幅凸部)が形成され、第一軸根元部42に形成された第一2面幅凹部55(2面幅凹部)に嵌合し、第一出力軸32と交差する第一支持軸21を保持する。第一2面幅凸部54には、それぞれ凸曲面からなる第一上面56(クラウニング面)、第一下面57(クラウニング面)及び第一前面58(クラウニング面)が形成され、第一2面幅凸部54は先端に向かって肉厚が薄くなるよう形成されている。また、図4及び図5に示すように、第一2面幅凹部55は、第一2面幅凸部54が嵌合された状態において、第一上面56と対向する第一壁面55a、第一下面57と対向する第二壁面55b、及び第一前面58と対向する第三壁面55cをそれぞれ有し、各壁面55a〜55cは平面状をなしている。また、第一2面幅凹部55の奥面55dは、第一2面幅凹部55に第一2面幅凸部54が嵌合された状態において、第一2面幅凸部54の先端面54aとの間に間隙が生じるよう設定されている。このため、第一上面56、第一下面57及び第一前面58と、各壁面55a〜55cとの間には、第一出力軸32と第一支持軸21との相対的な傾動(首振り)を許容する間隙が設けられた状態となり、こうした第一2面幅凸部54と第一2面幅凹部55とにより第一自在継手51が構成される。したがって、第一自在継手51の最大外径は、第一軸根元部42の外径と同一となる。
【0036】
図7は本発明の第1実施形態に係るアクチュエータ15の内部の構成を示す説明図である。モータ60(モータ)の出力軸にウォームギヤ61が設置され、ウォームホイール62と噛合っている。ウォームホイール62と第一ピニオン63とは同軸上に一体成型され、第一ピニオン63はギヤ64と噛合う。ギヤ64と第二ピニオン65とは同軸上に一体成型され、第二ピニオン65はセクタギヤ66と噛合う。セクタギヤ66と第二出力ギヤ67とは同軸上に一体成型され、第二出力ギヤ67は、第一出力ギヤ68と噛合う。第一出力ギヤ68はウォームホイール62、ギヤ64、セクタギヤ66を挟んで回転軸方向に一対設置され、それぞれの第一出力ギヤ68は、第一出力軸32及び第二出力軸35と一体成型される。第一出力軸32及び第二出力軸35の先端に第一2面幅凸部54及び図示しない第二2面幅凸部が形成される。第三出力軸33と第四出力軸36は、第二出力ギヤ67とセクタギヤ66を挟んで一体成型され、それぞれの先端には第三2面幅凸部69(2面幅凸部)及び図示しない第四2面幅凸部がそれぞれ成型される。
【0037】
また、モータ60、ウォームギヤ61、ウォームホイール62、第一ピニオン63、ギヤ64、第二ピニオン65、セクタギヤ66、第二出力ギヤ67及び第一出力ギヤ68は、ハウジング71に収容されて、アクチュエータ15を構成する。
【0038】
モータ60の駆動力は、ウォームギヤ61、ウォームホイール62、第一ピニオン63、ギヤ64、第二ピニオン65、セクタギヤ66を介して第二出力ギヤ67を回転させる。さらにモータ60の駆動力は、第二出力ギヤ67を介して第一出力ギヤ68を第二出力ギヤ67と反対方向に回転させる。第一出力ギヤ68及び第二出力ギヤ67の回転により、第一出力軸32及び第二出力軸35と、第三出力軸33及び第四出力軸36とは、それぞれ反対方向に回転する。
【0039】
第一出力軸32の第一2面幅凸部54は、第一2面幅凹部55との接触面がクラウニング面である第一上面56、第一下面57及び第一前面58から構成されている為、第一出力軸32は、第一支持軸21と首振り自在に嵌合する。第一出力軸32と交差する第一支持軸21は、首振り角度を吸収しつつ第一出力軸32と同期して回転し、第一フィン11を開閉動作する。第二出力軸35、第三出力軸33及び第四出力軸36も同様に回転して、第二フィン12、第三フィン13及び第四フィン14を開閉動作する。第一フィン11及び第二フィン12の先端と第三フィン13及び第四フィン14の先端とは対称な一対の動作軌跡81、82を描きつつ同期して開閉動作し、全開時に第一フィン11及び第二フィン12と第三フィン13及び第四フィン14は対向配置される。
【0040】
本発明のグリルシャッター1では、第一支持軸21と第一出力軸32との間及び第二支持軸22と第二出力軸35との間を首振り自在に係合することにより、第一フィン11及び第二フィン12を車体ボディ4に沿って配置でき、グリルシャッター1の搭載自由度を向上できる。また、グリルシャッター1の装着により高速走行時の過冷却と空気抵抗とを低減し燃費性能を向上しつつも、デッドスペースとなる空間53を縮小することにより、歩行者保護やクラッシャブルゾーンに使用できるスペースの確保が容易となる為、安全性を向上できる。さらに、グリルシャッター1の搭載自由度が向上し空力性能を考慮したボディ造形が可能となるため、空力性能を向上できる。
【0041】
各自在継手51、52は首振り自在であり、各出力軸32、35は、ボディ形状ごとに異なる諸元のかさ歯車又は食違い軸歯車を用いて向きを変える必要がない為、ボディ形状の異なる車種でアクチュエータ15及び各フィン11、12等を共通化できる。また、各支持軸21、22と各出力軸32、35とを必ずしも同芯に配置する必要がなくなる為、ボディ形状の造形自由度を向上できる。さらに、各支持軸21、22と各出力軸32、35との芯ずれを許容できるため、基枠7及び各フィン11、12等の加工精度を緩和できる。第三フィン13及び第四フィン14にも同様の効果がある。
【0042】
また、第一2面幅凸部54をクラウニング面である第一上面56、第一下面57及び第一前面58で構成し、第一支持軸21と第一出力軸32との交差角を吸収する為、首振り機構の部品を他に必要とせず、第一自在継手51の構成部品点数を削減し構造を簡略できる。また、第一自在継手51の最大外径は第一軸根元部42の外径と同一となる為、第一自在継手を小径化できる。第二自在継手52、第三自在継手、第四自在継手も同様である。その結果、第一出力軸32と第三出力軸33との軸間距離、第二出力軸35と第四出力軸36との軸間距離をそれぞれ短縮でき、グリルシャッター1を小型化できる。
【0043】
また、各フィン11〜14は、モータ60により開閉駆動される為、アクチュエータ15を小型化できるだけでなく制御性が向上し、車室内からの遠隔操作による開閉が可能となる。また、モータ60に汎用品を適用でき各車種で共通化できる為、コストを低減できる。さらに、冷却水温、潤滑油温、エンジン負荷や車両速度等をモニタリングし、各種冷却ポンプ、サーモバルブ開閉、空調温度等の制御と連携することにより、冷却系の統合制御によるヒートマネジメントが可能となり、燃費を向上できる。
【0044】
また、アクチュエータ15及び各フィン11〜14を基枠7の各取付部16,17〜20に取付けるだけでアッセンブリ化したグリルシャッター1を構成することができ、車両に対する高い組付性を得ることができる。
【0045】
また、第一フィン軸保持部25と第二フィン軸保持部27とは、第一出力軸32の軸線と第二出力軸35の軸線とに対して車両後方にオフセットして配置される為、第一フィン11と第二フィン12とは、オフセットした分だけ屈曲して配置される。そのため、ボディ形状に沿って所望の方向へ向けてグリルシャッター1を搭載することができる。
【0046】
第1実施形態の自在継手では、出力軸先端に凸形状が形成され支持軸先端に凹形状が形成される構成であるが、出力軸先端に凹形状が形成され支持軸先端に凸形状が形成される構成であってもよく、凹形状にクラウニング面が形成される構成であってもよい。クラウニング面で構成された凹凸の組合せで自在継手を構成しているが、クラウニングされたスプラインにより自在継手を構成してもよく、蛇腹等のフレキシブルチューブ又は、ゴムやばね等の弾性体で自在継手を構成してもよい。また、クロスジョイントやボールジョイント等を使用してもよい。
【0047】
また、第1実施形態のグリルシャッターでは、車両左右方向と上下方向とに対象となるように4枚のフィンを備える構成であるが、2枚又は6枚等のフィンを備える構成としてもよく、左右又は上下に非対称となる構成であってもよい。オフセット方向も車両前後方向だけではなく、ボディ形状に対応して上下方向あるいは他の方向であってもよい。さらに、第1実施形態の駆動源は、モータを備える構成であるが、流体圧ピストン又は他の動力源であってもよく、手動であってもよい。また、第1実施形態の動力伝達機構は歯車であるが、リンク機構、カム機構あるいはネジ機構等であってもよい。
【0048】
また、第1実施形態では、グリルシャッターをエンジン車のラジエータ冷却空気取入口であるグリル開口部の開閉に適用しているが、電動車両に使用されるモータジェネレータ、インバーター、二次電池、燃料電池等の熱源の冷却空気取入口の開閉に適用してもよく、排気管やブレーキ等の他の熱源の冷却空気取入口の開閉に適用してもよい。
【0049】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係るグリルシャッター101の斜視図である。グリルシャッター101は、左右方向(長手方向)になだらかな曲面形状を呈し、フロントアンダーグリルを構成するグリル枠103と一体に構成されている。グリルシャッター101は、図1に示した前記グリル開口部6に組み付き、図示しないラジエータへの冷却外気取入れを制御する構成である。グリル枠103には複数の開口102が設けられ、図8に示すようにグリル枠103の一面が意匠面103aを構成している。そして、グリルシャッター101がグリル開口部6に組み付けられた状態においては、該意匠面103aが車両外部に露出する。
【0050】
図9は、グリルシャッター101の分解斜視図である。グリルシャッター101は、グリル枠103の図中左側に設けられる左側フィン110〜112(第一フィン)と、グリル枠103の図中右側に設けられる右側フィン120〜124(第二フィン)と、左側フィン110の上方に設けられるモータ130(駆動源)と、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124の間に設けられるロッド140と、から構成される。
【0051】
また、同図に示すように、グリル枠103における意匠面103aの逆側面(裏面)103bの略中央には、ロッド140が配置されるロッド配置部104が設けられ、そのロッド配置部104の両側には、対応するフィン110〜112,120〜124をそれぞれ回動自在に支持可能な支持部105L,105Rがそれぞれ立設されている。左側支持部105Lは、ロッド配置部104の近傍(図9における左側近傍)に設けられて左側フィン110〜112を上下に整列した状態で一端を回動自在に軸支する左側第一支持部105L1と、グリル枠103の一方の端部(図9における左方端部)に設けられて左側フィン110〜112を上下に整列した状態で他端を回動自在に軸支する左側第二支持部105L2とにより構成されている。同様に、右側支持部105Rは、ロッド配置部104の近傍(図9における右側近傍)に設けられて右側フィン120〜124を上下に整列した状態で一端を回動自在に軸支する右側第一支持部105R1と、グリル枠103の一方の端部(図9における右方端部)に設けられて右側フィン120〜124を上下に整列した状態で他端を回動自在に軸支する右側第二支持部105R2とにより構成されている。すなわち、各支持部105L,105Rは、対応するフィン110〜112,120〜124の軸受部材として機能する。
【0052】
そして、左側フィン110〜112は、グリル枠103の左側の曲面形状に沿って各々左側支持部105Lに開閉駆動(回動駆動)可能に取り付けられる。左側フィン110〜112には、ロッド140側に左側フィン110〜112と一体で回動する左側アーム113〜115(第一アーム、自在継手)が設けられている。
【0053】
右側フィン120〜124は、グリル枠103の右側の曲面形状に沿って各々右側支持部105Rに開閉駆動(回動駆動)可能に取り付けられる。右側フィン120〜124には、ロッド140側に右側フィン120〜124と一体で回動する右側アーム125〜129(第二アーム、自在継手)が設けられている。
【0054】
また、グリル枠103の裏面103bには、駆動源配設部としてのモータ配設部106が設けられている。このモータ配設部106は、グリル枠103に装着された左側フィン110〜112の上方に位置する箇所に設けられており、モータ130は、グリル枠103の左側の曲面形状に沿って、出力軸131がロッド140側を向く様にモータ配設部106に配設される。出力軸131には、出力軸131と一体で回動する駆動アーム132(自在継手)が設けられている。
【0055】
ロッド140は、駆動アーム132と係合する駆動軸141(自在継手)と、左側アーム113〜115と係合する左側軸142〜144(自在継手)と、右側アーム125〜129と係合する右側軸145〜149(自在継手)が設けられている。駆動軸141及び左側軸142〜144と右側軸145〜149とは、グリル開口部102の曲面形状に沿うように角度A(所定の角度)(図11、12参照)を持って設けられる。
【0056】
図10は、グリルシャッター101の斜視図である。左側フィン110〜112は、グリル枠103の左側に回動駆動可能に組み付く。左側アーム113〜115は、ロッド140の左側軸142〜144と回動可能に係合する。右側フィン120〜124は、グリル枠103の右側に回動駆動可能に組み付く。右側アーム125〜129は、ロッド140の右側軸145〜149と回動可能に係合する。モータ130は、グリル枠103の左側フィン110の上方に設けられたモータ取り付け部に載置される。駆動アーム132は、ロッド140の駆動軸141と回動可能に係合する。
【0057】
図11は、グリルシャッター101が開駆動した場合の左側アーム113〜115と左側軸142〜144、右側アーム125〜129と右側軸145〜149、駆動アーム132と駆動軸141、の係合部の詳細を示す斜視図である。駆動アーム132と駆動軸141の係合部には、駆動アーム132を挟んで駆動軸141の両側にクリアランス153と、クリアランス153より大きいクリアランス154と、が各々形成される。左側アーム113〜115と左側軸142〜144の係合部も同様である。右側アーム125〜129と右側軸145〜149の係合部は、右側アーム125〜129を挟んで右側軸145〜149の両側にクリアランス155と、クリアランス155より大きいクリアランス156と、が各々形成される。
【0058】
図12は、グリルシャッター101が閉駆動した場合の左側アーム113〜115と左側軸142〜144、右側アーム125〜129と右側軸145〜149、駆動アーム132と駆動軸141、の係合部の詳細を示す斜視図である。
【0059】
駆動アーム132と駆動軸141の係合部には、駆動アーム132を挟んで駆動軸141の両側にクリアランス153aと、クリアランス153aと同等のクリアランス154aと、が形成される。左側アーム113〜115と左側軸142〜144の係合部も同様である。右側アーム125〜129と右側軸145〜149の係合部は、右側アーム125〜129を挟んで右側軸145〜149の両側にクリアランス155aと、クリアランス155aと同等のクリアランス156aと、が各々形成される。
【0060】
グリルシャッター101が開駆動した場合のクリアランス153、155は、閉駆動した場合のクリアランス153a、155aより小さく、グリルシャッター101が開駆動した場合のクリアランス154、156は、閉駆動した場合のクリアランス154a、156aより大きい。
【0061】
グリルシャッター101の動作について説明する。モータ130に電源を投入すると、出力軸131が回転し、出力軸131と一体に駆動アーム132が出力軸131を回動中心として回動する。駆動アーム132が回動すると駆動アーム132と係合する駆動軸141によりロッド140は、軌跡150(図10参照)を描いて回動する。
【0062】
ロッド140が回動すると、ロッド140の左側軸142〜144と係合する左側アーム113〜115は、軌跡151の平面上を回動する。駆動軸141と係合する駆動アームも同様に、軌跡151の平面上にある。ロッド140の右側軸145〜149と係合する右側アーム125〜129は、軌跡151の平面とは異なる平面上の軌跡152を回動する。
【0063】
駆動アーム132と駆動軸141との間及び左側アーム113〜115と左側軸142〜144の間のクリアランス153、154は、グリルシャッター101が閉駆動するに伴い、クリアランス153a、154aへと変化する。同様に右側アーム125〜129と右側軸145〜149の間のクリアランス155、156も、グリルシャッター101が開駆動するに伴い、クリアランス153a、154aへと変化する。
【0064】
左側アーム113〜115と右側アーム125〜129とが異なる平面上の軌跡151、152を回動するため、駆動アーム132と左側フィン110〜112と右側フィン120〜124との相対的な位置関係は一定ではない。
【0065】
そこで、駆動アーム132と駆動軸141との間及び左側アーム113〜115と左側軸142〜144の間にクリアランス153、154を設け、右側アーム125〜129と右側軸145〜149の間にクリアランス155、156を設けることで、相対的な位置関係の変化を吸収できる。
【0066】
本発明の第2実施形態に係るグリルシャッター101では、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124との間にロッド140を設け、左側アーム113〜115と左側軸142〜144とをクリアランス153、154を持って左側フィン110〜112とロッド140との間に、右側アーム125〜129と右側軸145〜149とをクリアランス155、156を持って右側フィン120〜124とロッド140との間に、各々設けることで、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124とをグリル開口部102の形状に沿うように角度Aを持って設けても、クリアランス153〜156が角度の変化を吸収するため、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124とを同期して開閉駆動できる。よって、グリル開口部102の形状に合わせてグリルシャッター101を配置することが可能になり、車両前方の搭載自由度の高いグリルシャッター101を提供できる。また、車両前方のデッドスペースを縮小でき、グリルシャッター101の装着により燃費性能を向上しつつ、歩行者保護やクラッシャブルゾーンの為の空間を確保でき、安全性を向上できる。さらに、グリルシャッター101の搭載の自由度が向上し空力性能を考慮したボディ造形が可能となるため、空力性能を向上できる。
【0067】
また、モータ130は駆動アーム132を有し、ロッド140は駆動アーム132とクリアランス153、154を持って係合する駆動軸141を有するため、モータの取り付け角度・位置の自由度が向上する。
【0068】
さらに、第2実施形態に係るグリルシャッター101では、グリル枠103に対して各フィン110〜112,120〜124及びモータ130が直接配設されるため、第1実施形態における基枠7が不要となり、部品点数を削減することができる。しかも、車両前方のデッドスペースをより縮小することができる。尚、こうした第2実施形態において、第1実施形態と同様に基枠7相当の部材を設定し、グリルシャッター101とグリル枠103とを別体で構成するように変更してもよい。
【0069】
また、第2実施形態のグリルシャッター101では、左側フィン110〜112を3枚、右側フィンを5枚備える構成であるが、フィンの枚数はこれに限定されず、少なくとも左右1枚以上備えればよい。
【0070】
また、角度Aは、車両前方の搭載自由度の高くなるように、車両毎に適宜設定されるものである。
【符号の説明】
【0071】
1 グリルシャッター(車両用可動グリルシャッター)
2 エンジンルーム
6 グリル開口部
7 基枠(基枠)
11 第一フィン(第一フィン)
12 第二フィン(第二フィン)
13 第三フィン(第一フィン)
14 第四フィン(第二フィン)
15 アクチュエータ(駆動源)
21 第一支持軸(第一支持軸)
22 第二支持軸(第二支持軸)
23 第三支持軸(第一支持軸)
24 第四支持軸(第二支持軸)
25 第一フィン軸保持部(第一軸保持部)
26 第三フィン軸保持部(第一軸保持部)
27 第二フィン軸保持部(第二軸保持部)
28 第四フィン軸保持部(第二軸保持部)
32 第一出力軸(第一出力軸)
33 第三出力軸(第一出力軸)
35 第二出力軸(第二出力軸)
36 第四出力軸(第二出力軸)
51 第一自在継手(自在継手)
52 第二自在継手(自在継手)
54 第一2面幅凸部(2面幅凸部)
55 第一2面幅凹部(2面幅凹部)
56 第一上面(クラウニング面)
57 第一下面(クラウニング面)
58 第一前面(クラウニング面)
60 モータ(モータ)
69 第三2面幅凸部(2面幅凸部)
101 グリルシャッター(車両用可動グリルシャッター)
102 グリル開口部
110〜112 左側フィン(第一フィン)
113〜115 左側アーム(第一アーム、自在継手)
120〜124 右側フィン(第二フィン)
125〜129 右側アーム(第二アーム、自在継手)
130 モータ(駆動源)
132 駆動アーム(自在継手)
140 ロッド
141 駆動軸(自在継手)
142〜144 左側軸(第一軸、自在継手)
145〜149 右側軸(第二軸、自在継手)
153〜156 クリアランス
A 角度(所定の角度)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のグリル開口部に設置されたフィンを駆動源により駆動する車両用可動グリルシャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンルーム内のラジエータ、エンジン、トランスミッション等の過冷却による燃焼不良や効率低下の抑制と、高速走行時の空気抵抗の低減とによる燃費性能向上の為、冷却外気取入れグリル開口部を開閉する車両用可動グリルシャッターがある。例えば、グリル開口部が開閉可能となるように互いに連動アームで連結されたフィンの支持軸を回転自在に基枠に設置し、連動アームにピンと長穴を介して連結された駆動アームでリンク機構を構成し、アクチュエータ等の駆動装置が駆動アームを回転させることによってフィンを開閉するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−139519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、駆動源を挟んで車両左右方向に配置されたフィンの支持軸同士が同芯上に配置されている為、車両前方が曲面となっている車両に搭載する場合には曲面とフィンとの間にデッドスペースが生じ、グリルシャッターの搭載自由度が低下する問題がある。また、グリルシャッターの搭載自由度低下により、ボディ造形時に空力性能を考慮できない問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、車両前方の搭載自由度の高い車両用可動グリルシャッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、冷却空気をエンジンルーム内へ取入れる為のグリル開口部に設けられる車両用可動グリルシャッターであって、第一フィンと、前記グリル開口部の形状に沿うように、前記第一フィンの長手方向に所定の角度を持って設けられる第二フィンと、前記第一フィンと前記第二フィンとを開閉駆動する駆動源と、前記第一フィンと前記第二フィンとの間で、前記駆動源からの駆動力を前記第一フィンと前記第二フィンとに伝達する自在継手とを備える構成である。
【0007】
本発明の第2の課題解決手段は、前記第一フィンは、第一支持軸を有し、前記第二フィンは、第二支持軸を有し、前記駆動源は、前記第一フィンと前記第二フィンとの間に配置され、前記第一フィンを開閉駆動する第一出力軸と前記第二フィンを開閉駆動する第二出力軸とを有し、前記自在継手は、前記第一支持軸と前記第一出力軸との間及び前記第二支持軸と前記第二出力軸との間の少なくとも一方を連結する構成である。
【0008】
本発明の第3の課題解決手段は、前記自在継手は、前記第一支持軸の一端及び前記第二支持軸の一端に2面幅凹部を形成し、前記第一出力軸の一端及び前記第二出力軸の一端に前記2面幅凹部と嵌合する2面幅凸部を形成し、該2面幅凸部及び前記2面幅凹部の少なくともいずれか一方にクラウニング面を形成する構成であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の課題解決手段は、前記駆動源は、モータを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の課題解決手段は、前記第一フィンと前記第二フィンと前記駆動源とは、基枠に搭載されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の課題解決手段は、前記基枠は、前記第一支持軸を保持する第一軸保持部と、前記第二支持軸を保持する第二軸保持部と、を備え、前記第一軸保持部は、前記第一出力軸の軸線に対してオフセットして配置され、前記第二軸保持部は、前記第二出力軸の軸線に対してオフセットして配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第7の課題解決手段は、前記第一フィンと前記第二フィンとの間には、駆動源からの駆動力により前記第一フィンと前記第二フィンとを同期して開閉駆動するロッドが設けられ、前記自在継手は、前記第一フィンと前記ロッドとの間及び前記第二フィンと前記ロッドとの間の少なくとも何れか一方に設けられる構成である。
【0013】
本発明の第8の課題解決手段は、前記第一フィンは、第一アームを有し、前記第二フィンは、第二アームを有し、前記ロッドは、前記第一アームとクリアランスを持って係合する第一軸と前記第二アームとクリアランスを持って係合し前記第一軸と所定の前記角度を成す第二軸とを有し、前記自在継手は、前記第一アームと前記第一軸又は前記第二アームと前記第二軸とから構成される。
【0014】
本発明の第9の課題解決手段は、前記駆動源は、駆動アームを有し、前記ロッドは、前記駆動アームとクリアランスを持って係合する駆動軸を有し、前記自在継手は、前記駆動アームと前記駆動軸とから構成される。
【0015】
本発明の第9の課題解決手段は、当該車両用可動グリルシャッターは、車両の一意匠部材を構成するグリル枠と一体に構成され、該グリル枠は、前記第一フィン及び前記第二フィンを回動自在に支持する支持部と、前記駆動源が配設される駆動源配設部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用可動グリルシャッターでは、第一フィンと第二フィンとの間に、駆動源からの駆動力を第一フィンと第二フィンとに伝達する自在継手を設けることで、第一フィンと第二フィンとをグリル開口部の形状に沿うように、第一フィンの長手方向に所定の角度を持って設けることが可能になる。よって、ボディ形状に合わせてグリルシャッターを配置してデッドスペースを縮小できるため、グリルシャッターの装着により燃費性能を向上しつつ、歩行者保護やクラッシャブルゾーンの為の空間を確保でき、安全性を向上できる。さらに、グリルシャッターの搭載自由度が向上し空力性能を考慮したボディ造形が可能となるため、空力性能を向上できる。さらに、グリル開口部に直接第一フィンと第二フィンとを取り付けるような配置が可能になる。
【0017】
また、第一支持軸と第一出力軸との間及び第二支持軸と第二出力軸との間の少なくとも一方を自在継手で連結することにより、駆動源を挟んだ第一フィン及び第二フィンをボディ形状に沿って首振り自在に設置できる。
【0018】
また、2面幅凸部又は2面幅凹部にクラウニングを施すことにより各支持軸と各出力軸との交差角を吸収する為、首振り機構の部品を他に必要としない簡略化した自在継手を構成できる。
【0019】
また、第一フィンと第二フィンとは、モータにより開閉駆動される為、開閉を自動化できる。
【0020】
また、第一フィンと第二フィンと駆動源とを基枠に搭載してアッセンブリ化できる為、車両へのグリルシャッターの組付性が向上する。
【0021】
また、第一軸保持部と第二軸保持部とは、第一出力軸の軸線と第二出力軸の軸線とに対してオフセットして配置される為、第一フィンと第二フィンとは、オフセットした分だけ屈曲して配置される。そのため、ボディ形状に沿ってグリルシャッターを搭載することができる。
【0022】
また、第一フィンと第二フィンとの間にロッドを設け、自在継手を第一フィンとロッドとの間及び第二フィンとロッドとの間の少なくとも何れか一方に設けることで、第一フィンと第二フィンとをグリル開口部の形状に沿うように所定の角度を持って設けても、自在継手を介してロッドにより第一フィンと第二フィンとを同期して開閉駆動できる。
【0023】
また、第一アームと第一軸、第二アームと第二軸とはクリアランスを持って係合する構成のため、第一アームが描く軌跡と第二アームが描く軌跡が同一面上になくても、クリアランスが角度の変化を吸収するため、第一フィンと第二フィンとを同期して開閉駆動できる。
【0024】
また、駆動源は駆動アームを有し、ロッドは駆動アームとクリアランスを持って係合する駆動軸を有し、自在継手は駆動アームと駆動軸とから構成されるため、駆動源の取り付け角度・位置の自由度が向上する。
【0025】
また、各フィンを支持するための支持部と駆動源を配設するための駆動源配設部とをグリル枠に設けることにより、フィンや駆動源を支持・配設するための専用の部材を設ける必要がなくなり、部品点数の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係るグリルシャッターのエンジンルーム内への配設態様を概略的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係るグリルシャッターの全体構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るグリルシャッターの平面を示す説明図である。
【図4】第1実施形態に係る第一自在継手の正面方向の部分断面図である。
【図5】第1実施形態に係る第一自在継手の平面方向の部分断面図である。
【図6】第1実施形態に係る第一自在継手の側面方向の部分断面図である。
【図7】第1実施形態に係るアクチュエータの内部の構成を示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係るグリルシャッターが取り付くグリル開口部の斜視図である。
【図9】第2実施形態に係るグリルシャッターの分解斜視図である。
【図10】第2実施形態に係るグリルシャッターの斜視図である。
【図11】第2実施形態に係るグリルシャッターが開駆動した場合の左側アームと左側軸、右側アームと右側軸、駆動アームと駆動軸、の係合部詳細を示す斜視図である。
【図12】第2実施形態に係るグリルシャッターが閉駆動した場合の左側アームと左側軸、右側アームと右側軸、駆動アームと駆動軸、の係合部詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るグリルシャッター1(車両用可動グリルシャッター)のエンジンルーム2内への配設態様を概略的に示す断面図である。図2は本発明の第1実施形態に係るグリルシャッター1の全体構成を示す分解斜視図である。図3は本発明の第1実施形態に係るグリルシャッター1の平面を示す説明図である。
【0029】
エンジンルーム2にはエンジン冷却水を冷却する為のラジエータ3が配置され、ラジエータ3は、車体ボディ4に取付けられている。ラジエータ3の前方下方及びバンパー5の下方にグリル開口部6が設けられ、このグリル開口部6にグリルシャッター1が配設されている。
【0030】
図2に併せ示すように、グリルシャッター1は、グリル開口部6に設置される基枠7と、基枠7にそれぞれ取付けられる複数(ここでは4つ)のフィン(第一フィン11、第二フィン12、第三フィン13、第四フィン14)及びアクチュエータ15(駆動源)とを備えている。図2に示すように、基枠7(基枠)は車両幅方向に延びる長尺状をなすとともに、延在方向中央部7aが最も車両前方側に位置し、両延在方向端部7b,7cが延在方向中央部7aよりも車両後方側にオフセットした位置に位置するよう屈曲形成される。また、延在方向中央部7aにはアクチュエータ15が取付けられるアクチュエータ取付部16が設けられ、その両側にそれぞれ第一〜第四フィン11〜14が取付けられる4箇所のフィン取付部17〜20が設けられている。なお、第1実施形態では、フィン取付部17〜20は、アクチュエータ取付部16の両側においてそれぞれ2つずつ上下に並設されている。
【0031】
第一フィン11は幅方向に延びる直線状の第一支持軸21とフィン部11aとが一体に形成されており、同様に、第二フィン12は幅方向に延びる直線状の第二支持軸22とフィン部12aとが、第三フィン13は幅方向に延びる直線状の第三支持軸23とフィン部13aとが、第四フィン14は幅方向に延びる直線状の第四支持軸24とフィン部14aとが、それぞれ一体に形成されている。なお、第1実施形態においては、第一フィン11及び第三フィン13が特許請求の範囲における「第一フィン」に相当し、第二フィン12及び第四フィン14が特許請求の範囲における「第二フィン」に相当する。また、第一支持軸21及び第三支持軸23が特許請求の範囲における「第一支持軸」に相当し、第二支持軸22及び第四支持軸24が特許請求の範囲における「第二支持軸」に相当する。
【0032】
図2に示すように、基枠7における一方(図2示右方向)の延在方向端部7bには第一フィン軸保持部25(第一軸保持部)と第三フィン軸保持部26(第一軸保持部)とが設けられ、他方(図2示左方向)の延在方向端部7cには第二フィン軸保持部27(第二軸保持部)と第四フィン軸保持部28(第二軸保持部)とが設けられている。一方、アクチュエータ15の右側面31には第一出力軸32(第一出力軸)と第三出力軸33(第一出力軸)とが設けられ、アクチュエータ15の左側面34には第二出力軸35(第二出力軸)と第四出力軸36(第二出力軸)とが設けられている。
【0033】
第一フィン11における第一支持軸21の一方の先端部である第一軸先端部41は第一フィン軸保持部25に嵌合して保持され、他方の先端部である第一軸根元部42は第一出力軸32に嵌合し保持される。第二フィン12における第二支持軸22の一方の先端部である第二軸先端部43は第二フィン軸保持部27に嵌合して保持され、他方の先端部である第二軸根元部44は第二出力軸35に嵌合し保持される。同様に、第三フィン13における第三支持軸23の一方の先端部である第三軸先端部45及び他方の先端部である第三軸根元部46、第四フィン14における第四支持軸24の一方の先端部である第四軸先端部47及び他方の先端部である第四軸根元部48も、それぞれ対応するフィン軸保持部26,28及び出力軸33,36に嵌合して保持される。そして、例えば図1に示すように、第一フィン11(第二フィン12)と第三フィン13(第四フィン14)とは対称に開閉するよう対向配置される。
【0034】
図3に示すように、アクチュエータ15の第一出力軸32は、軸線方向が第一フィン11の第一支持軸21の軸線方向と交差し、第一軸根元部42と嵌合することにより第一自在継手51(自在継手)を構成する。アクチュエータ15の第二出力軸35は、軸線方向が第二フィン12の第二支持軸22の軸線方向と交差し、第二軸根元部44と嵌合することにより第二自在継手52(自在継手)を構成する。また、第一フィン軸保持部25に保持される第一軸先端部41は、第一出力軸32の軸線に対して車両後方側にオフセットして配置され、第二フィン軸保持部26に保持される第二軸先端部43は、第二出力軸35の軸線に対して車両後方側にオフセットして配置される。その結果、第一フィン11と第二フィン12とは、アクチュエータ15を挟んでボディ形状に沿って逆V字状に屈曲して配置される。そして、このように組付けられたグリルシャッター1は、車体ボディ4との間に空間53を空けた状態でエンジンルーム2内に配設される。詳しくは、グリルシャッター1の前方位置には車体ボディ4の一部品として構成されるフロントアンダーグリルが配設され、そのフロントアンダーグリルとの間に空間53を空けた状態でグリルシャッター1がエンジンルーム2内に配設される。
【0035】
図4、図5、図6は本発明の第1実施形態に係る第一自在継手51のそれぞれ正面方向の部分断面図、平面方向の部分断面図、側面方向の部分断面図である。なお、第二自在継手52、図示しない第三自在継手及び第四自在継手も同様の構造であり、ここでの説明を割愛する。第一出力軸32の先端には第一2面幅凸部54(2面幅凸部)が形成され、第一軸根元部42に形成された第一2面幅凹部55(2面幅凹部)に嵌合し、第一出力軸32と交差する第一支持軸21を保持する。第一2面幅凸部54には、それぞれ凸曲面からなる第一上面56(クラウニング面)、第一下面57(クラウニング面)及び第一前面58(クラウニング面)が形成され、第一2面幅凸部54は先端に向かって肉厚が薄くなるよう形成されている。また、図4及び図5に示すように、第一2面幅凹部55は、第一2面幅凸部54が嵌合された状態において、第一上面56と対向する第一壁面55a、第一下面57と対向する第二壁面55b、及び第一前面58と対向する第三壁面55cをそれぞれ有し、各壁面55a〜55cは平面状をなしている。また、第一2面幅凹部55の奥面55dは、第一2面幅凹部55に第一2面幅凸部54が嵌合された状態において、第一2面幅凸部54の先端面54aとの間に間隙が生じるよう設定されている。このため、第一上面56、第一下面57及び第一前面58と、各壁面55a〜55cとの間には、第一出力軸32と第一支持軸21との相対的な傾動(首振り)を許容する間隙が設けられた状態となり、こうした第一2面幅凸部54と第一2面幅凹部55とにより第一自在継手51が構成される。したがって、第一自在継手51の最大外径は、第一軸根元部42の外径と同一となる。
【0036】
図7は本発明の第1実施形態に係るアクチュエータ15の内部の構成を示す説明図である。モータ60(モータ)の出力軸にウォームギヤ61が設置され、ウォームホイール62と噛合っている。ウォームホイール62と第一ピニオン63とは同軸上に一体成型され、第一ピニオン63はギヤ64と噛合う。ギヤ64と第二ピニオン65とは同軸上に一体成型され、第二ピニオン65はセクタギヤ66と噛合う。セクタギヤ66と第二出力ギヤ67とは同軸上に一体成型され、第二出力ギヤ67は、第一出力ギヤ68と噛合う。第一出力ギヤ68はウォームホイール62、ギヤ64、セクタギヤ66を挟んで回転軸方向に一対設置され、それぞれの第一出力ギヤ68は、第一出力軸32及び第二出力軸35と一体成型される。第一出力軸32及び第二出力軸35の先端に第一2面幅凸部54及び図示しない第二2面幅凸部が形成される。第三出力軸33と第四出力軸36は、第二出力ギヤ67とセクタギヤ66を挟んで一体成型され、それぞれの先端には第三2面幅凸部69(2面幅凸部)及び図示しない第四2面幅凸部がそれぞれ成型される。
【0037】
また、モータ60、ウォームギヤ61、ウォームホイール62、第一ピニオン63、ギヤ64、第二ピニオン65、セクタギヤ66、第二出力ギヤ67及び第一出力ギヤ68は、ハウジング71に収容されて、アクチュエータ15を構成する。
【0038】
モータ60の駆動力は、ウォームギヤ61、ウォームホイール62、第一ピニオン63、ギヤ64、第二ピニオン65、セクタギヤ66を介して第二出力ギヤ67を回転させる。さらにモータ60の駆動力は、第二出力ギヤ67を介して第一出力ギヤ68を第二出力ギヤ67と反対方向に回転させる。第一出力ギヤ68及び第二出力ギヤ67の回転により、第一出力軸32及び第二出力軸35と、第三出力軸33及び第四出力軸36とは、それぞれ反対方向に回転する。
【0039】
第一出力軸32の第一2面幅凸部54は、第一2面幅凹部55との接触面がクラウニング面である第一上面56、第一下面57及び第一前面58から構成されている為、第一出力軸32は、第一支持軸21と首振り自在に嵌合する。第一出力軸32と交差する第一支持軸21は、首振り角度を吸収しつつ第一出力軸32と同期して回転し、第一フィン11を開閉動作する。第二出力軸35、第三出力軸33及び第四出力軸36も同様に回転して、第二フィン12、第三フィン13及び第四フィン14を開閉動作する。第一フィン11及び第二フィン12の先端と第三フィン13及び第四フィン14の先端とは対称な一対の動作軌跡81、82を描きつつ同期して開閉動作し、全開時に第一フィン11及び第二フィン12と第三フィン13及び第四フィン14は対向配置される。
【0040】
本発明のグリルシャッター1では、第一支持軸21と第一出力軸32との間及び第二支持軸22と第二出力軸35との間を首振り自在に係合することにより、第一フィン11及び第二フィン12を車体ボディ4に沿って配置でき、グリルシャッター1の搭載自由度を向上できる。また、グリルシャッター1の装着により高速走行時の過冷却と空気抵抗とを低減し燃費性能を向上しつつも、デッドスペースとなる空間53を縮小することにより、歩行者保護やクラッシャブルゾーンに使用できるスペースの確保が容易となる為、安全性を向上できる。さらに、グリルシャッター1の搭載自由度が向上し空力性能を考慮したボディ造形が可能となるため、空力性能を向上できる。
【0041】
各自在継手51、52は首振り自在であり、各出力軸32、35は、ボディ形状ごとに異なる諸元のかさ歯車又は食違い軸歯車を用いて向きを変える必要がない為、ボディ形状の異なる車種でアクチュエータ15及び各フィン11、12等を共通化できる。また、各支持軸21、22と各出力軸32、35とを必ずしも同芯に配置する必要がなくなる為、ボディ形状の造形自由度を向上できる。さらに、各支持軸21、22と各出力軸32、35との芯ずれを許容できるため、基枠7及び各フィン11、12等の加工精度を緩和できる。第三フィン13及び第四フィン14にも同様の効果がある。
【0042】
また、第一2面幅凸部54をクラウニング面である第一上面56、第一下面57及び第一前面58で構成し、第一支持軸21と第一出力軸32との交差角を吸収する為、首振り機構の部品を他に必要とせず、第一自在継手51の構成部品点数を削減し構造を簡略できる。また、第一自在継手51の最大外径は第一軸根元部42の外径と同一となる為、第一自在継手を小径化できる。第二自在継手52、第三自在継手、第四自在継手も同様である。その結果、第一出力軸32と第三出力軸33との軸間距離、第二出力軸35と第四出力軸36との軸間距離をそれぞれ短縮でき、グリルシャッター1を小型化できる。
【0043】
また、各フィン11〜14は、モータ60により開閉駆動される為、アクチュエータ15を小型化できるだけでなく制御性が向上し、車室内からの遠隔操作による開閉が可能となる。また、モータ60に汎用品を適用でき各車種で共通化できる為、コストを低減できる。さらに、冷却水温、潤滑油温、エンジン負荷や車両速度等をモニタリングし、各種冷却ポンプ、サーモバルブ開閉、空調温度等の制御と連携することにより、冷却系の統合制御によるヒートマネジメントが可能となり、燃費を向上できる。
【0044】
また、アクチュエータ15及び各フィン11〜14を基枠7の各取付部16,17〜20に取付けるだけでアッセンブリ化したグリルシャッター1を構成することができ、車両に対する高い組付性を得ることができる。
【0045】
また、第一フィン軸保持部25と第二フィン軸保持部27とは、第一出力軸32の軸線と第二出力軸35の軸線とに対して車両後方にオフセットして配置される為、第一フィン11と第二フィン12とは、オフセットした分だけ屈曲して配置される。そのため、ボディ形状に沿って所望の方向へ向けてグリルシャッター1を搭載することができる。
【0046】
第1実施形態の自在継手では、出力軸先端に凸形状が形成され支持軸先端に凹形状が形成される構成であるが、出力軸先端に凹形状が形成され支持軸先端に凸形状が形成される構成であってもよく、凹形状にクラウニング面が形成される構成であってもよい。クラウニング面で構成された凹凸の組合せで自在継手を構成しているが、クラウニングされたスプラインにより自在継手を構成してもよく、蛇腹等のフレキシブルチューブ又は、ゴムやばね等の弾性体で自在継手を構成してもよい。また、クロスジョイントやボールジョイント等を使用してもよい。
【0047】
また、第1実施形態のグリルシャッターでは、車両左右方向と上下方向とに対象となるように4枚のフィンを備える構成であるが、2枚又は6枚等のフィンを備える構成としてもよく、左右又は上下に非対称となる構成であってもよい。オフセット方向も車両前後方向だけではなく、ボディ形状に対応して上下方向あるいは他の方向であってもよい。さらに、第1実施形態の駆動源は、モータを備える構成であるが、流体圧ピストン又は他の動力源であってもよく、手動であってもよい。また、第1実施形態の動力伝達機構は歯車であるが、リンク機構、カム機構あるいはネジ機構等であってもよい。
【0048】
また、第1実施形態では、グリルシャッターをエンジン車のラジエータ冷却空気取入口であるグリル開口部の開閉に適用しているが、電動車両に使用されるモータジェネレータ、インバーター、二次電池、燃料電池等の熱源の冷却空気取入口の開閉に適用してもよく、排気管やブレーキ等の他の熱源の冷却空気取入口の開閉に適用してもよい。
【0049】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係るグリルシャッター101の斜視図である。グリルシャッター101は、左右方向(長手方向)になだらかな曲面形状を呈し、フロントアンダーグリルを構成するグリル枠103と一体に構成されている。グリルシャッター101は、図1に示した前記グリル開口部6に組み付き、図示しないラジエータへの冷却外気取入れを制御する構成である。グリル枠103には複数の開口102が設けられ、図8に示すようにグリル枠103の一面が意匠面103aを構成している。そして、グリルシャッター101がグリル開口部6に組み付けられた状態においては、該意匠面103aが車両外部に露出する。
【0050】
図9は、グリルシャッター101の分解斜視図である。グリルシャッター101は、グリル枠103の図中左側に設けられる左側フィン110〜112(第一フィン)と、グリル枠103の図中右側に設けられる右側フィン120〜124(第二フィン)と、左側フィン110の上方に設けられるモータ130(駆動源)と、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124の間に設けられるロッド140と、から構成される。
【0051】
また、同図に示すように、グリル枠103における意匠面103aの逆側面(裏面)103bの略中央には、ロッド140が配置されるロッド配置部104が設けられ、そのロッド配置部104の両側には、対応するフィン110〜112,120〜124をそれぞれ回動自在に支持可能な支持部105L,105Rがそれぞれ立設されている。左側支持部105Lは、ロッド配置部104の近傍(図9における左側近傍)に設けられて左側フィン110〜112を上下に整列した状態で一端を回動自在に軸支する左側第一支持部105L1と、グリル枠103の一方の端部(図9における左方端部)に設けられて左側フィン110〜112を上下に整列した状態で他端を回動自在に軸支する左側第二支持部105L2とにより構成されている。同様に、右側支持部105Rは、ロッド配置部104の近傍(図9における右側近傍)に設けられて右側フィン120〜124を上下に整列した状態で一端を回動自在に軸支する右側第一支持部105R1と、グリル枠103の一方の端部(図9における右方端部)に設けられて右側フィン120〜124を上下に整列した状態で他端を回動自在に軸支する右側第二支持部105R2とにより構成されている。すなわち、各支持部105L,105Rは、対応するフィン110〜112,120〜124の軸受部材として機能する。
【0052】
そして、左側フィン110〜112は、グリル枠103の左側の曲面形状に沿って各々左側支持部105Lに開閉駆動(回動駆動)可能に取り付けられる。左側フィン110〜112には、ロッド140側に左側フィン110〜112と一体で回動する左側アーム113〜115(第一アーム、自在継手)が設けられている。
【0053】
右側フィン120〜124は、グリル枠103の右側の曲面形状に沿って各々右側支持部105Rに開閉駆動(回動駆動)可能に取り付けられる。右側フィン120〜124には、ロッド140側に右側フィン120〜124と一体で回動する右側アーム125〜129(第二アーム、自在継手)が設けられている。
【0054】
また、グリル枠103の裏面103bには、駆動源配設部としてのモータ配設部106が設けられている。このモータ配設部106は、グリル枠103に装着された左側フィン110〜112の上方に位置する箇所に設けられており、モータ130は、グリル枠103の左側の曲面形状に沿って、出力軸131がロッド140側を向く様にモータ配設部106に配設される。出力軸131には、出力軸131と一体で回動する駆動アーム132(自在継手)が設けられている。
【0055】
ロッド140は、駆動アーム132と係合する駆動軸141(自在継手)と、左側アーム113〜115と係合する左側軸142〜144(自在継手)と、右側アーム125〜129と係合する右側軸145〜149(自在継手)が設けられている。駆動軸141及び左側軸142〜144と右側軸145〜149とは、グリル開口部102の曲面形状に沿うように角度A(所定の角度)(図11、12参照)を持って設けられる。
【0056】
図10は、グリルシャッター101の斜視図である。左側フィン110〜112は、グリル枠103の左側に回動駆動可能に組み付く。左側アーム113〜115は、ロッド140の左側軸142〜144と回動可能に係合する。右側フィン120〜124は、グリル枠103の右側に回動駆動可能に組み付く。右側アーム125〜129は、ロッド140の右側軸145〜149と回動可能に係合する。モータ130は、グリル枠103の左側フィン110の上方に設けられたモータ取り付け部に載置される。駆動アーム132は、ロッド140の駆動軸141と回動可能に係合する。
【0057】
図11は、グリルシャッター101が開駆動した場合の左側アーム113〜115と左側軸142〜144、右側アーム125〜129と右側軸145〜149、駆動アーム132と駆動軸141、の係合部の詳細を示す斜視図である。駆動アーム132と駆動軸141の係合部には、駆動アーム132を挟んで駆動軸141の両側にクリアランス153と、クリアランス153より大きいクリアランス154と、が各々形成される。左側アーム113〜115と左側軸142〜144の係合部も同様である。右側アーム125〜129と右側軸145〜149の係合部は、右側アーム125〜129を挟んで右側軸145〜149の両側にクリアランス155と、クリアランス155より大きいクリアランス156と、が各々形成される。
【0058】
図12は、グリルシャッター101が閉駆動した場合の左側アーム113〜115と左側軸142〜144、右側アーム125〜129と右側軸145〜149、駆動アーム132と駆動軸141、の係合部の詳細を示す斜視図である。
【0059】
駆動アーム132と駆動軸141の係合部には、駆動アーム132を挟んで駆動軸141の両側にクリアランス153aと、クリアランス153aと同等のクリアランス154aと、が形成される。左側アーム113〜115と左側軸142〜144の係合部も同様である。右側アーム125〜129と右側軸145〜149の係合部は、右側アーム125〜129を挟んで右側軸145〜149の両側にクリアランス155aと、クリアランス155aと同等のクリアランス156aと、が各々形成される。
【0060】
グリルシャッター101が開駆動した場合のクリアランス153、155は、閉駆動した場合のクリアランス153a、155aより小さく、グリルシャッター101が開駆動した場合のクリアランス154、156は、閉駆動した場合のクリアランス154a、156aより大きい。
【0061】
グリルシャッター101の動作について説明する。モータ130に電源を投入すると、出力軸131が回転し、出力軸131と一体に駆動アーム132が出力軸131を回動中心として回動する。駆動アーム132が回動すると駆動アーム132と係合する駆動軸141によりロッド140は、軌跡150(図10参照)を描いて回動する。
【0062】
ロッド140が回動すると、ロッド140の左側軸142〜144と係合する左側アーム113〜115は、軌跡151の平面上を回動する。駆動軸141と係合する駆動アームも同様に、軌跡151の平面上にある。ロッド140の右側軸145〜149と係合する右側アーム125〜129は、軌跡151の平面とは異なる平面上の軌跡152を回動する。
【0063】
駆動アーム132と駆動軸141との間及び左側アーム113〜115と左側軸142〜144の間のクリアランス153、154は、グリルシャッター101が閉駆動するに伴い、クリアランス153a、154aへと変化する。同様に右側アーム125〜129と右側軸145〜149の間のクリアランス155、156も、グリルシャッター101が開駆動するに伴い、クリアランス153a、154aへと変化する。
【0064】
左側アーム113〜115と右側アーム125〜129とが異なる平面上の軌跡151、152を回動するため、駆動アーム132と左側フィン110〜112と右側フィン120〜124との相対的な位置関係は一定ではない。
【0065】
そこで、駆動アーム132と駆動軸141との間及び左側アーム113〜115と左側軸142〜144の間にクリアランス153、154を設け、右側アーム125〜129と右側軸145〜149の間にクリアランス155、156を設けることで、相対的な位置関係の変化を吸収できる。
【0066】
本発明の第2実施形態に係るグリルシャッター101では、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124との間にロッド140を設け、左側アーム113〜115と左側軸142〜144とをクリアランス153、154を持って左側フィン110〜112とロッド140との間に、右側アーム125〜129と右側軸145〜149とをクリアランス155、156を持って右側フィン120〜124とロッド140との間に、各々設けることで、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124とをグリル開口部102の形状に沿うように角度Aを持って設けても、クリアランス153〜156が角度の変化を吸収するため、左側フィン110〜112と右側フィン120〜124とを同期して開閉駆動できる。よって、グリル開口部102の形状に合わせてグリルシャッター101を配置することが可能になり、車両前方の搭載自由度の高いグリルシャッター101を提供できる。また、車両前方のデッドスペースを縮小でき、グリルシャッター101の装着により燃費性能を向上しつつ、歩行者保護やクラッシャブルゾーンの為の空間を確保でき、安全性を向上できる。さらに、グリルシャッター101の搭載の自由度が向上し空力性能を考慮したボディ造形が可能となるため、空力性能を向上できる。
【0067】
また、モータ130は駆動アーム132を有し、ロッド140は駆動アーム132とクリアランス153、154を持って係合する駆動軸141を有するため、モータの取り付け角度・位置の自由度が向上する。
【0068】
さらに、第2実施形態に係るグリルシャッター101では、グリル枠103に対して各フィン110〜112,120〜124及びモータ130が直接配設されるため、第1実施形態における基枠7が不要となり、部品点数を削減することができる。しかも、車両前方のデッドスペースをより縮小することができる。尚、こうした第2実施形態において、第1実施形態と同様に基枠7相当の部材を設定し、グリルシャッター101とグリル枠103とを別体で構成するように変更してもよい。
【0069】
また、第2実施形態のグリルシャッター101では、左側フィン110〜112を3枚、右側フィンを5枚備える構成であるが、フィンの枚数はこれに限定されず、少なくとも左右1枚以上備えればよい。
【0070】
また、角度Aは、車両前方の搭載自由度の高くなるように、車両毎に適宜設定されるものである。
【符号の説明】
【0071】
1 グリルシャッター(車両用可動グリルシャッター)
2 エンジンルーム
6 グリル開口部
7 基枠(基枠)
11 第一フィン(第一フィン)
12 第二フィン(第二フィン)
13 第三フィン(第一フィン)
14 第四フィン(第二フィン)
15 アクチュエータ(駆動源)
21 第一支持軸(第一支持軸)
22 第二支持軸(第二支持軸)
23 第三支持軸(第一支持軸)
24 第四支持軸(第二支持軸)
25 第一フィン軸保持部(第一軸保持部)
26 第三フィン軸保持部(第一軸保持部)
27 第二フィン軸保持部(第二軸保持部)
28 第四フィン軸保持部(第二軸保持部)
32 第一出力軸(第一出力軸)
33 第三出力軸(第一出力軸)
35 第二出力軸(第二出力軸)
36 第四出力軸(第二出力軸)
51 第一自在継手(自在継手)
52 第二自在継手(自在継手)
54 第一2面幅凸部(2面幅凸部)
55 第一2面幅凹部(2面幅凹部)
56 第一上面(クラウニング面)
57 第一下面(クラウニング面)
58 第一前面(クラウニング面)
60 モータ(モータ)
69 第三2面幅凸部(2面幅凸部)
101 グリルシャッター(車両用可動グリルシャッター)
102 グリル開口部
110〜112 左側フィン(第一フィン)
113〜115 左側アーム(第一アーム、自在継手)
120〜124 右側フィン(第二フィン)
125〜129 右側アーム(第二アーム、自在継手)
130 モータ(駆動源)
132 駆動アーム(自在継手)
140 ロッド
141 駆動軸(自在継手)
142〜144 左側軸(第一軸、自在継手)
145〜149 右側軸(第二軸、自在継手)
153〜156 クリアランス
A 角度(所定の角度)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却空気をエンジンルーム内へ取入れる為のグリル開口部に設けられる車両用可動グリルシャッターであって、
第一フィンと、
前記グリル開口部の形状に沿うように、前記第一フィンの長手方向に所定の角度を持って設けられる第二フィンと、
前記第一フィンと前記第二フィンとを開閉駆動する駆動源と、
前記第一フィンと前記第二フィンとの間で、前記駆動源からの駆動力を前記第一フィンと前記第二フィンとに伝達する自在継手と
を備える車両用可動グリルシャッター。
【請求項2】
前記第一フィンは、第一支持軸を有し、
前記第二フィンは、第二支持軸を有し、
前記駆動源は、前記第一フィンと前記第二フィンとの間に配置され、前記第一フィンを開閉駆動する第一出力軸と前記第二フィンを開閉駆動する第二出力軸とを有し、
前記自在継手は、前記第一支持軸と前記第一出力軸との間及び前記第二支持軸と前記第二出力軸との間の少なくとも一方を連結する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項3】
前記自在継手は、前記第一支持軸の一端及び前記第二支持軸の一端に2面幅凹部を形成し、前記第一出力軸の一端及び前記第二出力軸の一端に前記2面幅凹部と嵌合する2面幅凸部を形成し、該2面幅凸部及び前記2面幅凹部のいずれか一方にクラウニング面を形成する構成である
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項4】
前記駆動源は、モータを有する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項5】
前記第一フィンと前記第二フィンと前記駆動源とは、基枠に搭載される
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項6】
前記基枠は、前記第一支持軸を保持する第一軸保持部と、前記第二支持軸を保持する第二軸保持部と、を備え、
前記第一軸保持部は、前記第一出力軸の軸線に対してオフセットして配置され、
前記第二軸保持部は、前記第二出力軸の軸線に対してオフセットして配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項7】
前記第一フィンと前記第二フィンとの間には、駆動源からの駆動力により前記第一フィンと前記第二フィンとを同期して開閉駆動するロッドが設けられ、
前記自在継手は、前記第一フィンと前記ロッドとの間及び前記第二フィンと前記ロッドとの間の少なくとも何れか一方に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項8】
前記第一フィンは、第一アームを有し、
前記第二フィンは、第二アームを有し、
前記ロッドは、前記第一アームとクリアランスを持って係合する第一軸と前記第二アームとクリアランスを持って係合し前記第一軸と所定の前記角度を成す第二軸とを有し、
前記自在継手は、前記第一アームと前記第一軸又は前記第二アームと前記第二軸とにより構成される
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項9】
前記駆動源は、駆動アームを有し、
前記ロッドは、前記駆動アームとクリアランスを持って係合する駆動軸を有し、
前記自在継手は、前記駆動アームと前記駆動軸とにより構成される
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項10】
当該車両用可動グリルシャッターは、車両の一意匠部材を構成するグリル枠と一体に構成され、
該グリル枠は、前記第一フィン及び前記第二フィンを回動自在に支持する支持部と、前記駆動源が配設される駆動源配設部とを有する
ことを特徴とする請求項1,7乃至9の何れか一項に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項1】
冷却空気をエンジンルーム内へ取入れる為のグリル開口部に設けられる車両用可動グリルシャッターであって、
第一フィンと、
前記グリル開口部の形状に沿うように、前記第一フィンの長手方向に所定の角度を持って設けられる第二フィンと、
前記第一フィンと前記第二フィンとを開閉駆動する駆動源と、
前記第一フィンと前記第二フィンとの間で、前記駆動源からの駆動力を前記第一フィンと前記第二フィンとに伝達する自在継手と
を備える車両用可動グリルシャッター。
【請求項2】
前記第一フィンは、第一支持軸を有し、
前記第二フィンは、第二支持軸を有し、
前記駆動源は、前記第一フィンと前記第二フィンとの間に配置され、前記第一フィンを開閉駆動する第一出力軸と前記第二フィンを開閉駆動する第二出力軸とを有し、
前記自在継手は、前記第一支持軸と前記第一出力軸との間及び前記第二支持軸と前記第二出力軸との間の少なくとも一方を連結する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項3】
前記自在継手は、前記第一支持軸の一端及び前記第二支持軸の一端に2面幅凹部を形成し、前記第一出力軸の一端及び前記第二出力軸の一端に前記2面幅凹部と嵌合する2面幅凸部を形成し、該2面幅凸部及び前記2面幅凹部のいずれか一方にクラウニング面を形成する構成である
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項4】
前記駆動源は、モータを有する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項5】
前記第一フィンと前記第二フィンと前記駆動源とは、基枠に搭載される
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項6】
前記基枠は、前記第一支持軸を保持する第一軸保持部と、前記第二支持軸を保持する第二軸保持部と、を備え、
前記第一軸保持部は、前記第一出力軸の軸線に対してオフセットして配置され、
前記第二軸保持部は、前記第二出力軸の軸線に対してオフセットして配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項7】
前記第一フィンと前記第二フィンとの間には、駆動源からの駆動力により前記第一フィンと前記第二フィンとを同期して開閉駆動するロッドが設けられ、
前記自在継手は、前記第一フィンと前記ロッドとの間及び前記第二フィンと前記ロッドとの間の少なくとも何れか一方に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項8】
前記第一フィンは、第一アームを有し、
前記第二フィンは、第二アームを有し、
前記ロッドは、前記第一アームとクリアランスを持って係合する第一軸と前記第二アームとクリアランスを持って係合し前記第一軸と所定の前記角度を成す第二軸とを有し、
前記自在継手は、前記第一アームと前記第一軸又は前記第二アームと前記第二軸とにより構成される
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項9】
前記駆動源は、駆動アームを有し、
前記ロッドは、前記駆動アームとクリアランスを持って係合する駆動軸を有し、
前記自在継手は、前記駆動アームと前記駆動軸とにより構成される
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用可動グリルシャッター。
【請求項10】
当該車両用可動グリルシャッターは、車両の一意匠部材を構成するグリル枠と一体に構成され、
該グリル枠は、前記第一フィン及び前記第二フィンを回動自在に支持する支持部と、前記駆動源が配設される駆動源配設部とを有する
ことを特徴とする請求項1,7乃至9の何れか一項に記載の車両用可動グリルシャッター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−35829(P2012−35829A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79445(P2011−79445)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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