説明

車両用外装部品の接続部構造

【課題】作業時間を短縮するとともに低コスト化を図ることができる車両用外装部品の接続部構造を提供する。
【解決手段】バンパープロテクタ2に形成された屈曲部13の先端部21に、屈曲部13の端縁22に沿って延在するヒンジ部23をバンパープロテクタ2の全長に渡って形成し、このヒンジ部23より端縁22側に、当該先端部21をヒンジ部23で折曲した状態で、近接部14に沿って延設される延設部24を形成する。ヒンジ部23を、バンパープロテクタ2に凹設された断面V字状のV字溝31で構成し、バンパープロテクタ2の一般部32と延設部24間に薄肉部33を形成する。V字溝31は、裏面41側に設ける。延設部24の厚み寸法T1は、当該バンパープロテクタ2の一般部32の厚み寸法T2より薄肉に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けられる車両用外装部品の接続部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示すように、フロントバンパー801に取り付けられる車両用外装部品としては、バンパープロテクタ802が知られている。
【0003】
このバンパープロテクタ802は、前記フロントバンパー801の下部に配設されるものである。前記バンパープロテクタ802の上縁部には、前記フロントバンパー801側へ向けて屈曲した屈曲部811が設けられており、当該屈曲部811の端面812がエンドラバー813を介して前記フロントバンパー801の外面814に接続されている。
【0004】
すなわち、前記バンパープロテクタ802を取り付ける際には、図3の(b)に示すように、該バンパープロテクタ802の前記屈曲部811の端面812に、ゴム製のエンドラバー813を両面テープ821で固定する。このエンドラバー813には、前記屈曲部811の延長上に延在する舌片822が設けられているので、この舌片822を、前記フロントバンパー801の前記外面814に押し当てる。すると、図3の(a)に示すように、前記舌片822が上方へ屈曲し、当該舌片822が前記フロントバンパー801の前記外面814に沿って延在する。
【0005】
これにより、前記バンパープロテクタ802と前記フロントバンパー801との間に形成される隙間を前記エンドラバー813で埋めることができ、見栄えの向上を図ることができるとともに、前記隙間からの泥等の進入を防止できるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の接続部構造にあっては、エンドラバー813と該エンドラバー813を固定する為の両面テープ821を必要とするため、コスト増を招いてしまう。
【0007】
また、前記エンドラバー813の貼り付け作業が必要であり、作業時間を要してしまう。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、作業時間を短縮するとともに低コスト化を図ることができる車両用外装部品の接続部構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の車両用外装部品の接続部構造にあっては、車両に車両用外装部品を取り付けた状態で該車両用外装部品の端縁と該端縁が近接する近接部との間に生ずる隙間を埋める車両用外装部品の接続部構造において、前記車両用外装部品の端部に、前記端縁に沿って延在するヒンジ部を形成し、該ヒンジ部で前記端部を折曲した状態で前記近接部に沿って延設される延設部を、前記ヒンジ部より前記端縁側に形成した。
【0010】
すなわち、車両用外装部品を車両に取り付ける際には、前記車両用外装部品の端部を、当該端部が近接する近接部に当接する。このとき、前記車両用外装部品の端部には、前記端縁に沿って延在するヒンジ部が形成されており、当該端部は、このヒンジ部に沿って折曲される。
【0011】
すると、前記ヒンジ部より前記端縁側に設けられた延設部が、前記近接部に沿って延設され、当該延設部が前記近接部に密着する。これにより、前記車両用外装部品の前記端縁と該端縁が近接する前記近接部との間に生ずる隙間が、前記延設部によって埋められる。
【0012】
また、請求項2の車両用外装部品の接続部構造においては、前記ヒンジ部を、前記車両用外装部品に凹設された溝で構成するとともに、当該溝を、前記車両用外装部品の裏面に設けた。
【0013】
すなわち、車両用外装部品には溝が凹設されており、該溝によって当該車両用外装部品に薄肉部が形成され、前記ヒンジ部が構成されている。
【0014】
そして、前記溝は、前記車両用外装部品の裏面に形成されており、該車両用外装部品の一般部に前記薄肉部を介して接続された前記延設部は、当該車両用外装部品の表面側への折曲が促進される。
【0015】
さらに、請求項3の車両用外装部品の接続部構造では、前記車両用外装部品の前記ヒンジ部より前記端縁側に形成された前記延設部を、前記車両用外装部品の一般部より薄肉に形成した。
【0016】
すなわち、取付状態において、前記近接部に沿って延設される前記延設部は、一般部より薄肉に形成されており、前記近接部に沿った追従性が高められる。
【0017】
また、前記延設部が厚肉に形成された場合と比較して、前記近接部との間に生ずる段差が抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明の請求項1の車両用外装部品の接続部構造にあっては、取付時において、車両用外装部品の端部を当該端部が近接する近接部に当接し、前記車両用外装部品の端部に形成されたヒンジ部に沿って折曲することで、該ヒンジ部より前記端縁側に設けられた延設部を前記近接部に密着することができる。これにより、前記車両用外装部品の前記端部と該端部が近接する前記近接部との間に生ずる隙間を、前記延設部によって埋めることができる。
【0019】
したがって、車両用外装部品としてのバンパープロテクタの端面に、前記隙間を埋めるための別部材からなるエンドラバーを両面テープで固定しなければならなかった従来と比較して、別部材の貼り付け作業が不要となり、作業時間を削減することができる。
【0020】
また、従来必要としていたエンドラバー等の別部材を廃止することができため、低コスト化を図ることができる。
【0021】
また、請求項2の車両用外装部品の接続部構造においては、前記車両用外装部品に、溝を凹設することによって、当該車両用外装部品に薄肉部が形成され、これにより前記ヒンジ部を構成することができる。
【0022】
そして、この溝は、前記車両用外装部品の裏面に形成されており、該車両用外装部品の一般部に前記薄肉部を介して接続された前記延設部は、当該車両用外装部品の表面側への折曲が促進される。
【0023】
このため、前記車両用外装部品の前記延設部を、一般面に対して裏側に折曲して近接部に沿って延設する場合と比較して、前記延設部と前記近接部との間での隙間の発生を防止することができる。
【0024】
さらに、請求項3の車両用外装部品の接続部構造では、取付状態において、前記近接部に沿って延設される前記延設部を、一般部より薄肉に形成することで、当該延設部の前記近接部に沿った追従性を高めることができる。
【0025】
また、前記延設部が一般部と同じ肉厚に形成された場合と比較して、前記近接部との間に生ずる段差を抑えることができる。
【0026】
これにより、外観品質を高めることができるとともに、当該段差への不用意な引っ掛かりによるめくれ上がり等の不具合を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる車両用外装部品の接続部構造を示す図であり、車両1に取り付けられる車両用外装部品としてバンパープロテクタ2に応用した場合を例に挙げて説明する。
【0028】
前記車両1の前部には、フロントバンパー11が設けられており、該フロントバンパー11の下部には、車両用外装部品としてのバンパープロテクタ2が取り付けられている。このバンパープロテクタ2は、合成樹脂によって前記フロントバンパー11に適合した形状に形成されており、該フロントバンパー11の下部に沿って車幅方向に延設されている。
【0029】
前記バンパープロテクタ2の上縁部には、前記フロントバンパー11の下部に重なるように構成されており、その上縁部には、図2の(a)に示すように、前記フロントバンパー11の外面12側へ向けて屈曲する屈曲部13が形成されている。これにより、前記バンパープロテクタ2の上縁部は、前記フロントバンパー11の前記外面12に近接するように構成されており、前記バンパープロテクタ2の上縁部と、該上縁部が近接する前記フロントバンパー11の近接部14との間において、両者2,11の成型誤差を吸収できるように構成されている。
【0030】
すなわち、前記バンパープロテクタ2に形成された前記屈曲部13の先端部21には、図2の(b)に示すように、当該屈曲部13の端縁22に沿って延在するヒンジ部23が当該バンパープロテクタ2の全長に渡って形成されており、このヒンジ部23より前記端縁22側には、図2の(b)で破線で示したように、当該先端部21を前記ヒンジ部23で折曲した状態で、前記近接部14に沿って延設される延設部24が形成されている。
【0031】
前記ヒンジ部23は、前記バンパープロテクタ2に凹設された断面V字状のV字溝31で構成されており、当該バンパープロテクタ2の一般部32と前記延設部24との間には、薄肉部33が形成されている。このV字溝31は、プレスによって形成されており、折曲に対して耐久性の高いPPヒンジを構成している。
【0032】
このV字溝31は、前記フロントバンパー11に対面する裏面41側に設けられており、当該バンパープロテクタ2の前記一般部32と前記延設部24とを連設する前記薄肉部33は、当該バンパープロテクタ2の表面42側に形成されている。これにより、前記バンパープロテクタ2では、前記V字溝31の前記表面42への露出を防止するとともに、前記一般部32に対する前記延出部24の折曲方向を、当該バンパープロテクタ2の前記表面42側に促すように構成されている。
【0033】
そして、前記ヒンジ部23より前記端縁22側に形成された前記延設部24の厚み寸法T1は、当該バンパープロテクタ2の前記一般部32における厚み寸法T2より薄肉に形成されている。
【0034】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記バンパープロテクタ2を車両1に取り付ける際には、前記バンパープロテクタ2の上縁部を、該上縁部が近接する前記フロントバンパー11の近接部14に当接する。このとき、前記バンパープロテクタ2の屈曲部13の先端部21には、前記端縁22に沿って延在するヒンジ部23が形成されており、当該先端部21は、このヒンジ部23に沿って折曲される。
【0035】
すると、前記ヒンジ部23より前記端縁22側に設けられた延設部24が、前記近接部14に沿って延設され、当該延設部24が前記近接部14に密着する。これにより、前記バンパープロテクタ2の先端部21と、該先端部21が近接する前記近接部14との間に設定された隙間51が、前記延設部24によって埋められる。
【0036】
このように、取付時において、前記バンパープロテクタ2の先端部21を当該先端部21が近接するフロントバンパー11の外面12の近接部14に当接するだけで、前記バンパープロテクタ2の前記先端部21と該先端部21が近接する前記近接部14との間に生ずる隙間51を、前記延設部24によって埋めることができる。
【0037】
したがって、バンパープロテクタ2の端面に、前記隙間51を埋めるための別部材からなるエンドラバーを両面テープで固定しなければならなかった従来と比較して、別部材の貼り付け作業が不要となり、作業時間を削減することができる。
【0038】
また、従来必要としていたエンドラバー等の別部材を廃止することができため、低コスト化を図ることができる。
【0039】
そして、前記バンパープロテクタ2にV字溝31を形成することによって、当該バンパープロテクタ2に薄肉部33を形成し、これにより前記ヒンジ部23を構成することができる。
【0040】
また、前記V字溝31は、前記バンパープロテクタ2の裏面41に形成されており、該バンパープロテクタ2の一般部32に前記薄肉部33を介して接続された前記延設部24は、当該バンパープロテクタ2の表面42側への折曲が促進される。
【0041】
このため、前記バンパープロテクタ2の前記延設部24を、前記一般面32に対して裏41側に折曲して前記近接部14に密着させる場合と比較して、前記延設部24と前記近接部14との間での隙間の発生を防止することができる。
【0042】
さらに、取付状態において、前記近接部14に沿って延設される前記延設部24を、前記一般部32より薄肉に形成することで、当該延設部24の前記近接部14に沿った追従性を高めることができる。
【0043】
また、前記延設部24の厚み寸法T1が前記一般部32の厚み寸法T2と同じ肉厚に形成された場合と比較して、前記近接部14との間に生ずる段差を抑えることができる。
【0044】
これにより、外観品質を高めることができるとともに、前記延設部24により生じた段差への不用意な引っ掛かりによるめくれ上がり等の不具合を未然に防止することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、本発明の車両用外装部品の接続部構造を、前記バンパープロテクタ2に応用した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば車両1に取り付けられるサイドシルプロテクタ等に応用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態の要部を示す拡大図である。
【図2】(a)は、図1のA−A線に沿った断面図であり、(b)は、同実施の形態のバンパープロテクタの先端部を示す説明図である。
【図3】(a)は、従来のバンパープロテクタの要部を示す断面図であり、(b)は、同従来例のバンパープロテクタの先端部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両
2 バンパープロテクタ
11 フロントバンパー
12 外面
14 近接部
21 先端部
22 端縁
23 ヒンジ部
24 延設部
31 V字溝
32 一般部
41 裏面
51 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に車両用外装部品を取り付けた状態で該車両用外装部品の端部と該端部が近接する近接部との間に生ずる隙間を埋める車両用外装部品の接続部構造において、
前記車両用外装部品の前記端部に、該端部における端縁に沿って延在するヒンジ部を形成し、該ヒンジ部で前記端部を折曲した状態で前記近接部に沿って延設される延設部を、前記ヒンジ部より前記端縁側に形成した車両用外装部品の接続部構造。
【請求項2】
前記ヒンジ部を、前記車両用外装部品に凹設された溝で構成するとともに、当該溝を、前記車両用外装部品の裏面に設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品の接続部構造。
【請求項3】
前記車両用外装部品の前記ヒンジ部より前記端縁側に形成された前記延設部を、前記車両用外装部品の一般部より薄肉に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用外装部品の接続部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−153199(P2007−153199A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353391(P2005−353391)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000128544)株式会社オーテックジャパン (183)
【Fターム(参考)】