説明

車両用室内照明ユニット

【課題】ランプユニットへのワイヤハーネス接続作業が容易にでき、車両天井壁への取付作業を作業性良く実施することができる車両用室内照明ユニットを提供すること。
【解決手段】ランプユニット7が装着されるコンソールケース5は、第1の連結手段11によりケース5の一端側のみを天井壁3に連結した仮止め状態では、ケース5の他端と天井壁3との間に、ランプユニット7のユニット背面部7aへのワイヤハーネス接続作業を実施可能な隙間部が確保される構成としたことで、ランプユニット7を手で支えずとも、コンソールケース5に取り付けた状態のまま、ワイヤハーネスの接続作業を実施でき、ワイヤハーネスの接続作業が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井壁に組み込まれる車両用室内照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、車両の天井壁に組み込まれる車両用室内照明ユニットの従来例を示したものである。
【0003】
ここに示した車両用室内照明ユニット100は、下記特許文献1に開示されたもので、車両の天井壁101に形成されたコンソール取付用開口部103に車室側から固定されるコンソールケース105と、コンソールケース105のユニット取付用開口部105aに車室側から着脱可能に係合固定されるランプユニット107とを備えている。
【0004】
コンソールケース105は、ランプユニット107が組み付けられるユニット取付用開口部105aの横に、車室側から開閉可能な物入れ部(例えば、サングラスケース)105bを区画形成したもので、外周部には、コンソール取付用開口部103の周縁に車室側から重なるフランジ部(化粧枠部)105cが設けられている。
【0005】
また、コンソールケース105には、車室側からフランジ部105cをコンソール取付用開口部103の周縁に密着させた状態にすると、天井壁101の裏側に装備されている不図示の係合固定部に係合してコンソールケース105を天井壁101に連結固定する不図示の連結手段が備えられている。
【0006】
コンソールケース105に装備されたユニット取付用開口部105aは、貫通している。
そのため、車室側からユニット取付用開口部105aに取り付けられたランプユニット107は、ワイヤハーネスをコネクタ接続するユニット背面部が天井壁101の外側を覆う不図示のルーフパネル側に露出した状態となる。
【0007】
ランプユニット107のユニット背面部に接続されるワイヤハーネス111,112は、予め天井壁101とその外側に位置する不図示のルーフパネルとの間に画成される空間に配索されている。
【0008】
これらの各ワイヤハーネス111,112は、コンソールケース105を介してランプユニット107を天井壁101に取り付ける際に、ランプユニット107のユニット背面部にコネクタ接続される。
【0009】
以上の車両用室内照明ユニット100は、天井壁101のコンソール取付用開口部103にコンソールケース105を取り付けた後、コンソールケース105のユニット取付用開口部105aにランプユニット107を装着するが、天井壁101に取り付けたコンソールケース105にランプユニット107を装着した状態では、車室側からはランプユニット107のユニット背面部へはアクセスできない。
【0010】
そのため、ランプユニット107のユニット背面部へのワイヤハーネス111,112のコネクタ接続作業は、コンソールケース105のユニット取付用開口部105aからランプユニット107を取り外した状態で行うことになる。
【0011】
【特許文献1】特開2007−112192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、前述したように、コンソールケース105から取り外したランプユニット107にワイヤハーネス111,112をコネクタ接続する作業では、作業者は、例えば、一方の手でランプユニット107を持った状態のまま、他方の手でコネクタ接続作業を行わなければならず、非常に作業が行い難い、作業性が悪いという問題があった。
【0013】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、ランプユニットへワイヤハーネスをコネクタ接続する作業が容易にでき、車両天井壁への取付作業を作業性良く実施することができる車両用室内照明ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 車両の天井壁に形成されたコンソール取付用開口部の周縁に車室側から重なるフランジ部と、前記天井壁へ連結固定するための連結手段と、を備え、車室側から前記天井壁に固定されるコンソールケースと、
ワイヤハーネスをコネクタ接続するユニット背面部が前記天井壁の外側を覆うルーフパネル側に露出した状態となるように、前記コンソールケースのユニット取付用開口部に車室側から係合固定されるランプユニットと、を備えた車両用室内照明ユニットであって、
前記連結手段として、前記コンソールケースの一端側のフランジ部を前記コンソール取付用開口部の一端縁に揺動可能に結合する第1の連結手段と、前記第1の連結手段により前記一端側が前記天井壁に結合された前記コンソールケースの他端側のフランジ部を前記コンソール取付用開口部の他端縁に重ねたときに前記天井壁側の係合固定部に係合して前記コンソールケースを前記天井壁に固定した状態とする第2の連結手段とを備え、
前記第1の連結手段で前記コンソールケースの前記一端側を前記コンソール取付用開口部の前記一端縁に結合した状態では、前記コンソール取付用開口部の前記他端縁とコンソールケースの前記他端側との間に、前記天井壁裏に配索されているワイヤハーネスを前記ランプユニットの前記ユニット背面部に接続する作業を実施可能な隙間部が確保されることを特徴とする車両用室内照明ユニット。
【0015】
(2) 前記第1の連結手段は、前記コンソールケースの前記一端側の前記フランジ部に向かって変位可能に前記コンソールケースに支持されると共に前記フランジ部側に弾性付勢されて、前記フランジ部との間に前記コンソール取付用開口部の前記一端縁を押圧挟持する挟持溝を形成する挟持部材と、前記挟持部材に突設されて前記挟持部材が前記フランジ部との間に挟持した部材に刺さる抜け止め突起とを備えていて、前記コンソールケースの前記一端側の前記フランジ部を前記コンソール取付用開口部の前記他端縁側から前記一端縁上にスライド移動させることで、前記コンソール取付用開口部の前記一端縁が前記挟持溝に挟持された結合状態となることを特徴とする上記(1)に記載の車両用室内照明ユニット。
【0016】
(3) 前記天井壁の裏面には、前記コンソール取付用開口部の前記一端縁と一緒に前記第1の連結手段に挟持される被挟持板部と、前記第2の連結手段が係合する前記係合固定部とを備えた板金ブラケットとが配置され、
前記被挟持板部には、前記抜け止め突起が係合することにより、前記第1の連結手段の前記天井壁への結合状態をロックする係合孔が設けられていることを特徴とする上記(2)に記載の車両用室内照明ユニット。
【0017】
上記(1)の構成によれば、ランプユニットを装着するコンソールケースは、その一端側に装備されている第1の連結手段で、ケースの一端側のみをコンソール取付用開口部の一端縁に結合した仮止め状態にすることができ、この仮止め状態では、ケースの他端側には、天井壁のコンソール取付用開口部の他端縁との間に、コンソールケースに装着されているランプユニットのユニット背面部にワイヤハーネスの接続作業を実施可能な隙間部を確保できる。
【0018】
即ち、仮止め状態のコンソールケースに装着されたランプユニットのユニット背面部には、コンソールケースからランプユニットを取り外さなくとも、コンソールケースの他端側の隙間部からアクセスすることができるため、コネクタ接続作業中、作業者は片方の手でランプユニットを支持している必要がなくなり、ランプユニットへワイヤハーネスをコネクタ接続する作業が容易にでき、車両天井壁への車両用室内照明ユニットの取付作業を作業性良く実施することが可能になる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、コンソールケースの一端側をコンソール取付用開口部の一端縁に結合する第1の連結手段は、コンソール取付用開口部の一端縁となっている天井壁材をフランジ部と挟持部材とで挟持し、且つ、挟持部材に設けた抜け止め突起が前記フランジ部と前記挟持部材とで挟持している部材に刺さって、挟持状態をロックするため、結合状態が不用意に外れることのない、しっかりとした結合を果たすことができる。
【0020】
また、コンソール取付用開口部の一端縁となっている天井壁材を第1の連結手段に挟持させるには、コンソールケースの一端側のフランジ部をコンソール取付用開口部の他端縁側から一端縁上にスライド移動させるという簡単な操作で良いため、コンソールケースの一端側をコンソール取付用開口部の一端縁に結合した仮止め状態を簡単に得ることができる。
【0021】
更に、第1の連結手段では、天井壁材をフランジ部との間に挟持する挟持部材は、フランジ部に向かって変位可能に弾性支持されているため、天井壁材の板厚が多少変更になっても、挟持部材自体の変位により問題なく挟持することができ、天井壁材の板厚変更等に対して設計変更することなく、柔軟に対応することができる。
【0022】
上記(3)の構成によれば、第1の連結手段の挟持部材に設けた抜け止め突起が、板金ブラケットの被挟持板部に形成された係合孔に係合することで、第1の連結手段が挟持する天井壁側に対しての前記抜け止め突起による引っかかりをより強固にすることができ、コンソールケースの取付強度の安定性を向上させることができる。
【0023】
また、コンソールケースを取り付ける部位の機械的強度を板金ブラケットで向上させることができるため、車両用室内照明ユニットの支持に必要な機械的強度を車両の天井壁単独で確保する必要がなくなり、天井壁材の選択自由度が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明による車両用室内照明ユニットによれば、ランプユニットを装着するコンソールケースは、その一端側に装備されている第1の連結手段で、ケースの一端側のみをコンソール取付用開口部の一端縁に結合した仮止め状態にすることができ、この仮止め状態では、ケースの他端側には、天井壁のコンソール取付用開口部の他端縁との間に、コンソールケースに装着されているランプユニットのユニット背面部にワイヤハーネスの接続作業を実施可能な隙間部が確保できる。
【0025】
即ち、仮止め状態のコンソールケースに装着されたランプユニットのユニット背面部には、コンソールケースからランプユニットを取り外さなくとも、コンソールケースの他端側の隙間部からアクセスすることができるため、コネクタ接続作業中、作業者は片方の手でランプユニットを支持している必要がなくなり、ランプユニットへワイヤハーネスをコネクタ接続する作業が容易にでき、車両天井壁への車両用室内照明ユニットの取付作業を作業性良く実施することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る車両用室内照明ユニットの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明に係る車両用室内照明ユニットの一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した車両用室内照明ユニットの組立状態の斜視図、図3は図2に示した車両用室内照明ユニットを車室側から見た斜視図、図4は図2のA部の拡大図、図5は図4に示した第1の連結手段の挟持部材の支持構造を示す要部断面図、図6は図5に示した挟持部材と、該挟持部材を付勢する弾性部材との分解斜視図、図7(a)は図1に示したコンソールケースの一端側を第1の連結手段によりコンソール取付用開口部の一端縁に結合させる前の状態を示す結合部の拡大断面図、図7(b)は第1の連結手段による結合が完了して仮止め状態となったときの結合部の拡大断面図、図7(c)は第2の連結手段13による結合も完了したときの第1の連結手段11による結合部の拡大断面図である。
【0028】
この一実施形態の車両用室内照明ユニット1は、車両の天井壁3に形成されたコンソール取付用開口部3aに車室側(図1では、天井壁3の下側)から取り付けられるコンソールケース5と、このコンソールケース5のユニット取付用開口部5aに車室側から係合固定されるランプユニット7と、天井壁3の裏面側からコンソール取付用開口部3aのフランジ部に設置されてコンソールケース5のコンソール取付用開口部3aへの固定に利用される板金ブラケット9とを備えている。
【0029】
コンソールケース5は、ランプユニット7が組み付けられるユニット取付用開口部5aの横に区画形成されて車室側から開閉可能な物入れ部(例えば、サングラスケース)5bと、外周部にフランジ状に設けられてコンソール取付用開口部3aの周縁に車室側から重なるフランジ部5cと、天井壁3へ連結固定するための連結手段とを備えている。
【0030】
コンソールケース5に装備されたユニット取付用開口部5aは、貫通している。そのため、車室側からユニット取付用開口部5aに取り付けられたランプユニット7は、ワイヤハーネスをコネクタ接続するユニット背面部7aが、天井壁3の外側を覆う不図示のルーフパネル側に露出した状態となる。
【0031】
ランプユニット7のユニット背面部7aに接続される各種のワイヤハーネスは、予め天井壁3とその外側に位置する不図示のルーフパネルとの間に画成される空間に配索されており、車両用室内照明ユニット1を天井壁3に取り付ける際に、ユニット背面部7aにコネクタ接続される。
【0032】
本実施形態の車両用室内照明ユニット1の場合、天井壁3へ連結固定するための連結手段としては、第1の連結手段11と、第2の連結手段13とを備えている。第1の連結手段11は、コンソールケース5の一端側(車両後方側)の左右にそれぞれ一カ所ずつ装備されている。第2の連結手段13は、コンソールケース5の他端側(車両前方側)の左右にそれぞれ一カ所ずつ装備されている。
【0033】
第1の連結手段11は、図1に示したように、コンソールケース5の一端側の側壁5eから車両後方側(図1の矢印C方向)に張り出した連結手段支持部15と、コンソールケース5の一端側のフランジ部5cに向かって変位可能に連結手段支持部15に支持される挟持部材17と、この挟持部材17をフランジ部5c側に弾性付勢するばね材19とから構成されている。
【0034】
連結手段支持部15は、コンソールケース5の一端側の一端側の側壁5eに一体形成されたもので、図4及び図5に示すように、略水平に車両後方側(図1の矢印C方向)に延出した上部ガイド壁15aと、この上部ガイド壁15aの両側に略垂直に装備された一対の側部ガイド壁15bとを備えている。
【0035】
そして、上部ガイド壁15aに中心部には、円形のガイド孔15cが貫通形成されている。また、一対の側部ガイド壁15bには、挟持部材17の上下方向の可動範囲を規制するための係合突起15dが設けられている。
【0036】
挟持部材17は、前記フランジ部5cとの間に、コンソール取付用開口部3aの一端縁を挟持する挟持溝18(図7(a)参照)を形成するための挟持板部17aと、この挟持板部17aの中央部に略垂直に立設されてガイド孔15cにスライド自在に嵌合するガイド軸17bと、挟持板部17aの先端側に傾斜状態に設けられて挟持する天井壁を挟持溝18に導く案内板部17cと、連結手段支持部15の両側の側部ガイド壁15bの上に重なる左右一対の側部板部17dとを備えている。また、左右一対の側部板部17dには、連結手段支持部15の係合突起15dが係合する切り欠き17eが設けられている。
【0037】
挟持部材17は、ガイド軸17bが連結手段支持部15のガイド孔15cに嵌合することで、フランジ部5cに向かって変位可能に支持される。図5の矢印Dは、挟持部材17の変位方向を示している。
【0038】
また、挟持部材17は、左右一対の側部板部17dの切り欠き17eに連結手段支持部15の係合突起15dが係合することで、前記矢印D方向への変位できる範囲が規制される。
【0039】
なお、挟持部材17の左右一対の側部板部17dは、連結手段支持部15の一対の側部ガイド壁15bの外側に重なることで、挟持部材17のスライド変位をより安定させると同時に、挟持部材17が側部板部17dを中心に回転することを防止する。
【0040】
ばね材19は、ガイド軸17bに外嵌する圧縮コイルばねで、図5に示すように、上部ガイド壁15aと挟持板部17aとの間に圧縮状態で収容されることで、挟持部材17をフランジ部5c側に弾性付勢する。
【0041】
連結手段支持部15に取り付けられた挟持部材17は、ばね材19による付勢力と、切り欠き17eと係合突起15dとの係合による変位範囲の規制とによって、初期状態では、図7(a)に示した挟持溝18の溝幅が天井壁3の板厚以下となるように、位置決めされている。
【0042】
本実施形態の車両用室内照明ユニット1の場合、図7に示すように、挟持部材17の挟持板部17aの下面には、フランジ部5cと挟持板部17aとの間の挟持溝18に挟持した部材に刺さる抜け止め突起17fを備えている。
【0043】
第2の連結手段13は、上方に延出した軸部の先端の周囲に、軸の先端から基端に向かって斜め外方に延出して径方向に拡縮可能な4本の弾性係止片13aを装備したもので、弾性係止片13aが後述する板金ブラケット9の係合固定部に係合することで、天井壁3側への固定を果たす。
【0044】
板金ブラケット9は、コンソール取付用開口部3aの裏面側の周辺部に重ねて配置される矩形の枠体で、コンソール取付用開口部3aの一端縁と一緒に第1の連結手段11に挟持される被挟持板部21と、第2の連結手段13が係合する係合固定部23とを備えている。
【0045】
被挟持板部21は、図7及び図8に示すように、天井壁3の板厚方向に膨出した形態に成形されると共に、抜け止め突起17fが係合することによって第1の連結手段11の天井壁3への結合状態をロックする係合孔21aが設けられている。
【0046】
係合固定部23は、図1及び図8に示すように、コンソール取付用開口部3aの他端側の上方を横断する板部24に、前記第2の連結手段13の先端部が係合可能な矩形の貫通孔25を形成したものである。
【0047】
以上の第1の連結手段11は、図7(a)に矢印Fで示すように、コンソールケース5の一端側のフランジ部5cをコンソール取付用開口部3aの他端縁側から一端縁上にスライド移動させると、図7(b)に示すようにコンソール取付用開口部3aの一端縁と板金ブラケット9の被挟持板部21とを一緒に挟持溝18に挟持し、更に、挟持板部17aの抜け止め突起17fが被挟持板部21の係合孔21aに係合して、コンソール取付用開口部3aの一端縁との結合を果たす。
【0048】
図8(a)は図7(a)に示した操作を行うときのコンソールケースの状態を示す斜視図で、図8(b)は第1の連結手段による結合が終了した後に第2の連結手段による結合を行う場合のコンソールケースの操作方向を示す斜視図である。
【0049】
第1の連結手段11は、図7(b)に示したように、コンソール取付用開口部3aの一端縁への結合を完了した状態では、コンソールケース5の一端側のフランジ部5cをコンソール取付用開口部3aの一端縁に上下方向に揺動可能に結合しており、天井壁3に一端側が結合されたコンソールケース5は、図8に示したように後端側が下がった傾斜状態に天井壁3に結合されている。
【0050】
このような第1の連結手段11による結合状態では、図8に示すように、コンソール取付用開口部3aの他端縁とコンソールケース5の他端側との間に、天井壁3の裏に配索されているワイヤハーネスをランプユニット7のユニット背面部7aに接続する作業を実施可能な隙間部27が確保される。
【0051】
第1の連結手段11によりコンソールケース5の一端側のみをコンソール取付用開口部3aの一端縁に結合した状態は、いわゆる仮止め状態で、コンソールケース5の他端側は図8(b)に矢印Gに示すように、上下方向に揺動可能である。
【0052】
そこで、コンソールケース5を天井壁3に仮止め状態にして、コンソールケース5の他端側の隙間部27からワイヤハーネスをランプユニット7のユニット背面部7aに接続する作業を実施し、ワイヤハーネスの接続作業が完了したら、コンソールケース5の他端側のフランジ部5cがコンソール取付用開口部3aの他端縁に重なるように、コンソールケース5の他端側を天井壁3に押圧する。すると、第2の連結手段13が天井壁3側の係合固定部23に係合して、コンソールケース5の天井壁3への固定が完了する。
【0053】
図7(c)は、第2の連結手段13による結合が完了したことで、第1の連結手段11による結合位置が僅かに矢印H方向に変位した状態を示している。
【0054】
以上に説明した車両用室内照明ユニット1では、ランプユニット7を装着するコンソールケース5は、その一端側に装備されている第1の連結手段11で、ケースの一端側のみをコンソール取付用開口部3aの一端縁に結合した仮止め状態にすることができ、この仮止め状態では、ケースの他端側には、天井壁3のコンソール取付用開口部3aの他端縁との間に、コンソールケース5に装着されているランプユニット7のユニット背面部7aにワイヤハーネスの接続作業を実施可能な隙間部27を確保できる。
【0055】
即ち、仮止め状態のコンソールケース5に装着されたランプユニット7のユニット背面部7aには、コンソールケース5からランプユニット7を取り外さなくとも、コンソールケース5の他端側の隙間部27からアクセスすることができるため、コネクタ接続作業中、作業者は片方の手でランプユニット7を支持している必要がなくなり、ランプユニット7へワイヤハーネスをコネクタ接続する作業が容易にでき、車両天井壁3への車両用室内照明ユニット1の取付作業を作業性良く実施することが可能になる。
【0056】
また、上記の車両用室内照明ユニット1では、コンソールケース5の一端側をコンソール取付用開口部3aの一端縁に結合する第1の連結手段11は、コンソール取付用開口部3aの一端縁となっている天井壁材と板金ブラケット9の被挟持板部21とをフランジ部5cと挟持部材17とで挟持し、且つ、挟持部材17に設けた抜け止め突起17fが被挟持板部21の係合孔21aに刺さって、挟持状態をロックするため、結合状態が不用意に外れることのない、しっかりとした結合を果たすことができる。
【0057】
また、コンソール取付用開口部3aの一端縁となっている天井壁材及び被挟持板部21を第1の連結手段11に挟持させるには、コンソールケース5の一端側のフランジ部5cをコンソール取付用開口部3aの他端縁側から一端縁上にスライド移動させるという簡単な操作で良いため、コンソールケース5の一端側をコンソール取付用開口部3aの一端縁に結合した仮止め状態を簡単に得ることができる。
【0058】
更に、本実施形態の第1の連結手段11では、天井壁材及び被挟持板部21をフランジ部5cとの間に挟持する挟持部材17は、フランジ部5cに向かって変位可能に弾性支持されているため、天井壁材の板厚が多少変更になっても、挟持部材17自体の変位により問題なく挟持することができ、天井壁材の板厚変更等に対して設計変更することなく、柔軟に対応することができる。
【0059】
また、本実施形態の車両用室内照明ユニット1では、コンソール取付用開口部3aの裏には、板金ブラケット9を裏当てしており、第1の連結手段11の挟持部材17に設けた抜け止め突起17fが、板金ブラケット9の被挟持板部21に形成された係合孔21aに係合する構造のため、第1の連結手段11が挟持する天井壁側に対しての抜け止め突起17fによる引っかかりをより強固にすることができ、コンソールケース5の取付強度の安定性を向上させることができる。
【0060】
また、コンソールケース5を取り付ける部位の機械的強度を板金ブラケット9で向上させることができるため、車両用室内照明ユニット1の支持に必要な機械的強度を車両の天井壁3単独で確保する必要がなくなり、天井壁3材の選択自由度が向上する。
【0061】
上記実施形態に示した第1の連結手段11の挟持部材17は、挟持部材17の変位幅が大きく設定されていて、挟持溝18の溝幅の調整範囲が大きいため、図9(a)に示すように、被挟持板部21を介さずに、直接天井壁3のみを挟持させることもできる。
【0062】
その場合に、挟持板部17aに装備されている抜け止め突起17fは、図9(b)に示すように、天井壁3に直接刺さって、挟持している天井壁3の抜けを防止する。
【0063】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る車両用室内照明ユニットの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した車両用室内照明ユニットの組立状態の斜視図である。
【図3】図2に示した車両用室内照明ユニットを車室側から見た斜視図である。
【図4】図1のA部の拡大図である。
【図5】図4に示した第1の連結手段の挟持部材の支持構造を示す要部断面図である。
【図6】図5に示した挟持部材と、該挟持部材を付勢する弾性部材との分解斜視図である。
【図7】(a)は図1に示したコンソールケースの一端側を第1の連結手段によりコンソール取付用開口部の一端縁に結合させる前の状態を示す結合部の拡大断面図、(b)は第1の連結手段による結合が完了して仮止め状態となったときの結合部の拡大断面図、(c)は第2の連結手段による結合も完了したときの第1の連結手段による結合部の拡大断面図である。
【図8】(a)は図7(a)に示した操作を行うときのコンソールケースの傾斜状態を示す斜視図で、(b)は第1の連結手段による結合が終了した後に第2の連結手段による結合を行う場合のコンソールケースの操作方向を示す斜視図である。
【図9】(a)は、板金ブラケットを使わずに、第1の連結手段に天井壁を挟持させた状態を示す結合部の拡大断面図、(b)は(a)のB部の拡大図である。
【図10】従来の車両用室内照明ユニットの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 車両用室内照明ユニット
3 天井壁
5 コンソールケース
5a ユニット取付用開口部
5c フランジ部(化粧枠部)
5e 一端側の側壁
7 ランプユニット
7a ユニット背面部
9 板金ブラケット
11 第1の連結手段
13 第2の連結手段
15 連結手段支持部
17 挟持部材
19 ばね材
21 被挟持板部
23 係合固定部
24 板部
25 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井壁に形成されたコンソール取付用開口部の周縁に車室側から重なるフランジ部と、前記天井壁へ連結固定するための連結手段と、を備え、車室側から前記天井壁に固定されるコンソールケースと、
ワイヤハーネスをコネクタ接続するユニット背面部が前記天井壁の外側を覆うルーフパネル側に露出した状態となるように、前記コンソールケースのユニット取付用開口部に車室側から係合固定されるランプユニットと、を備えた車両用室内照明ユニットであって、
前記連結手段として、前記コンソールケースの一端側のフランジ部を前記コンソール取付用開口部の一端縁に揺動可能に結合する第1の連結手段と、前記第1の連結手段により前記一端側が前記天井壁に結合された前記コンソールケースの他端側のフランジ部を前記コンソール取付用開口部の他端縁に重ねたときに前記天井壁側の係合固定部に係合して前記コンソールケースを前記天井壁に固定した状態とする第2の連結手段とを備え、
前記第1の連結手段で前記コンソールケースの前記一端側を前記コンソール取付用開口部の前記一端縁に結合した状態では、前記コンソール取付用開口部の前記他端縁とコンソールケースの前記他端側との間に、前記天井壁裏に配索されているワイヤハーネスを前記ランプユニットの前記ユニット背面部に接続する作業を実施可能な隙間部が確保されることを特徴とする車両用室内照明ユニット。
【請求項2】
前記第1の連結手段は、前記コンソールケースの前記一端側の前記フランジ部に向かって変位可能に前記コンソールケースに支持されると共に前記フランジ部側に弾性付勢されて、前記フランジ部との間に前記コンソール取付用開口部の前記一端縁を押圧挟持する挟持溝を形成する挟持部材と、前記挟持部材に突設されて前記挟持部材が前記フランジ部との間に挟持した部材に刺さる抜け止め突起とを備えていて、前記コンソールケースの前記一端側の前記フランジ部を前記コンソール取付用開口部の前記他端縁側から前記一端縁上にスライド移動させることで、前記コンソール取付用開口部の前記一端縁が前記挟持溝に挟持された結合状態となることを特徴とする請求項1に記載の車両用室内照明ユニット。
【請求項3】
前記天井壁の裏面には、前記コンソール取付用開口部の前記一端縁と一緒に前記第1の連結手段に挟持される被挟持板部と、前記第2の連結手段が係合する前記係合固定部とを備えた板金ブラケットとが配置され、
前記被挟持板部には、前記抜け止め突起が係合することにより、前記第1の連結手段の前記天井壁への結合状態をロックする係合孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用室内照明ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−137822(P2010−137822A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318662(P2008−318662)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】