説明

車両用室内照明灯

【課題】夜間においてもタッチスイッチの被視認性および操作性に優れた車両用室内照明灯を提供する。
【解決手段】車室に固定する筐体12内部に設けた室内照明用光源14と、筐体12の開口部に配置した透光性カバー16と、透光性カバー16の光源14に望む側に形成した透光性電極膜18と、電極膜18に接続され、手の透光性カバー16への接触による電極・人体間の静電容量の変化に基づいて光源14を点消灯させる照明電源制御部と、を備えた室内照明灯で、筐体12内に第2の光源32を配置し、第2の光源32の発光により、タッチスイッチである透光性カバー16を車室内から視認可能に構成した。昼夜を問わず、タッチスイッチ(透光性カバー16)が発光するので、タッチスイッチの被視認性および操作性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内を照明する車両用室内照明灯に係り、特に、照明用光源を覆う透光性カバーをタッチスイッチとして利用する車両用室内照明灯に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室の天井面には、下記特許文献1に示すように、車室内を照明するための照明灯が備えられている。
【0003】
下記特許文献1には、車室に固定される筐体と、筐体の内部に配置された光源と、筐体の車室側に形成した開口部に配置された透光性カバーと、透光性カバーの光源に望む側に形成された透光性電極膜と、該電極膜に接続され、人体が透光性カバーの車室内側表面にタッチすることで電極と人体との間の静電容量の変化に基づいて光源の電源の入り切りを行う照明電源制御部と、を備えた室内照明灯が記載されている。
【0004】
タッチスイッチとして機能する透光性カバーに手が触れるだけで、照明灯を点消灯させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−230450号公報(段落0011〜0014、図1〜3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、タッチスイッチとしての操作面積が大きい分、スイッチが見え易いという特性(以下、スイッチの被視認性という)およびスイッチを操作し易いという特性(以下、スイッチの操作性という)が大きく改善されたように見える。
【0007】
しかし、夜間では、あるいは昼間であっても、後部座席では車室内が薄暗いため、タッチスイッチとして機能する室内照明灯(の透光性カバー)がどこにあるか見えにくい。このため、このような条件下でのスイッチの被視認性および操作性を改善する必要がある、という問題があった。
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、夜間においてもタッチスイッチの被視認性および操作性に優れた車両用室内照明灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係る車両用室内照明灯においては、車室に固定される筐体と、前記筐体の内部に配置された室内照明用の光源と、前記筐体の車室側に形成した開口部に配置された透光性カバーと、前記透光性カバーの前記光源に望む側に形成された透光性の電極膜と、前記電極膜に接続され、
手等の人体の一部が透光性カバーの車室内側表面に接触することで電極と人体との間の静電容量の変化に基づいて前記光源の電源の入り切りを行う照明電源制御部と、を備えた車両用室内照明灯において、
前記筐体内に第2の光源を配置し、該第2の光源の光によって、前記透光性カバーを視認可能に構成した。
【0010】
なお、透光性の電極膜は、印刷,塗装,蒸着またはスパッタリングによって透光性カバーに形成されている。
【0011】
(作用)タッチスイッチとして機能する透光性カバーが、筐体内の第2の光源の光によって照明されて、車室内からタッチスイッチ(透光性カバー)を視認できるので、タッチスイッチ(透光性カバー)へのタッチが容易となる。
【0012】
また、請求項2においては、請求項1に記載の車両用室内照明灯において、前記第2の光源と前記透光性カバーとの間に、その光入射部から入射した前記第2の光源の光を内面反射により導光してその光出射部から車室側に出射させて、タッチスイッチとして機能する前記透光性カバーの所定領域を発光させる導光部材を配設するように構成した。
【0013】
(作用)導光部材の光出射部は、タッチスイッチとして機能する透光性カバーの所定領域、例えば、透光性カバーにおける電極膜形成領域の近傍を発光させる。導光部材の光出射部から出射する光(第2の光源の光)によって透光性カバーの所定領域が発光するので、車室内からタッチスイッチ(透光性カバー)が昼夜を問わず明るく見えて、タッチスイッチ(透光性カバー)へのタッチ(室内照明灯の点灯操作)が容易となる。
【0014】
そして、透光性カバーの所定領域を発光させる導光部材の具体的構成としては、請求項3に示すように、前記透光性カバーをアウターレンズで構成し、該アウターレンズの内側に配置するインナーレンズに前記導光部材を一体成形する場合と、請求項4に示すように、前記透光性カバーに前記導光部材を一体成形する場合が考えられる。
【0015】
即ち、電極膜が長時間高温に晒されると、電極膜の劣化が懸念される。このため、照明用光源が白熱バルブ等の発熱量の比較的大きいバルブで構成されている場合は、請求項3に示すように、電極膜と照明用光源との間にインナーレンズを設けて、光源の発熱(輻射熱)が電極膜に直接伝達されないように構成することが望ましい。一方、照明用光源が発光ダイオードのように発熱量の比較的小さいもので構成されている場合は、光源の発熱(輻射熱)の電極膜への影響を考慮しなくてもよいため、請求項4に示すように、光源を覆うインナーレンズを設ける必要がない。
【0016】
請求項3においては、請求項2に記載の車両用室内照明灯において、前記透光性カバーをアウターレンズで構成し、前記導光部材を前記アウターレンズの内側に配置したインナーレンズに一体成形するように構成した。
【0017】
(作用)アウターレンズと室内照明用の光源との間に配置されたインナーレンズは、同光源点灯時の発熱(輻射熱)の電極膜への伝達を抑制する。
例えば、インナーレンズの側縁部から導光部材の光入射部側が延出して、インナーレンズが導光部材の一部(光出射部)を構成する。即ち、導光部材を介してインナーレンズの側縁部に入射した光は、導光部材として機能するインナーレンズ内を導かれて、インナーレンズの所定位置に設けた光出射部からアウターレンズ側に出射する。
また、インナーレンズを成形する際に、インナーレンズに導光部材を一体化できる。
【0018】
請求項4においては、請求項2に記載の車両用室内照明灯において、前記導光部材を前記透光性カバーに一体成形するように構成した。
【0019】
(作用)発光ダイオードのように発熱量の比較的小さいものを室内照明用の光源として採用する場合は、照明用光源点灯時の発熱(輻射熱)の電極膜への影響を考慮しなくてもよいため、請求項3のように、照明用光源を覆うインナーレンズを設ける必要がなく、それだけ灯具の構成部品点数が減るとともに、灯具の奥行きを小さくできる。
【0020】
例えば、透光性カバーの側縁部から導光部材の光入射部側が延出して、透光性カバーが導光部材の一部(光出射部)を構成する。即ち、導光部材を介して透光性カバーの側縁部に入射した光は、導光部材として機能する透光性カバー内を導かれて、透光性カバーの所定位置に設けた光出射部から車室側に出射する。
【0021】
また、透光性カバーを成形する際に、透光性カバーに導光部材を一体化できる。
【0022】
また、請求項2〜4において、前記導光部材の光出射部を前記電極膜の周りに沿って配置するとともに、該光出射部の裏面側には、必要に応じて点刻または反射ステップで構成した配光手段を設けることが望ましい。
【0023】
そして、請求項3のように、透光性カバーを構成するアウターレンズの内側に配置するインナーレンズに導光部材が一体成形されている構造では、導光部材(として機能するインナーレンズ)に設けた光出射部の発光により、タッチスイッチとして機能する透光性カバーの電極膜形成領域の周りがほんのりと発光し、請求項4のように、透光性カバーに導光部材が一体成形されている構造では、タッチスイッチとして機能する透光性カバー(導光部材として機能する透光性カバー)に設けた光出射部の発光により、透光性カバーの電極膜形成領域の周りがほんのりと発光し、いずれの構造においても、車室内からタッチスイッチ(透光性カバー)周縁部が昼夜を問わず明るく見えて、室内照明灯の点灯操作がいっそう容易となる。即ち、車室内からタッチスイッチ(透光性カバー)の位置をよりいっそう正確に視認できて、室内照明灯の点灯操作がよりいっそう容易となる。
【0024】
なお、透光性カバーの発光の強さは、例えば、導光部材の光出射部の裏面側に設ける点刻または反射ステップの数や大きさによって調整できる。
【0025】
請求項5に係る車両用室内照明灯においては、車室に固定される筐体と、前記筐体の内部に配置された室内照明用の光源と、前記筐体の車室側に形成した開口部に配置されたタッチスイッチとして機能する透光性カバーと、前記タッチスイッチに手等の人体の一部が接触したことを検出して前記光源の電源の入り切りを行う照明電源制御部と、を備えた車両用室内照明灯において、
前記筐体内に第2の光源を配置し、該第2の光源の光によって、前記透光性カバーを視認可能に構成した。
【0026】
なお、タッチスイッチとしては、請求項1に示す、手等の人体の一部が電極膜を形成した透光性カバーに接触することで電極と人体との間の静電容量の変化に基づいて照明電源制御部が室内照明用光源の電源の入り切りを行う静電容量式タッチスイッチの他に、以下のような構造のスイッチも考えられる。
【0027】
例えば、透明電極膜が形成されたフィルムを透光性カバー表面に対向して配置し、該フィルムを手等で押下することにより、フィルム面と透光性カバー表面が接触し、フィルム面と透光性カバー表面との間の抵抗による分圧比の変化に基づいて、照明電源制御部が室内照明用光源の電源の入り切りを行う抵抗膜式タッチスイッチ、
剛性の高い透光性カバーの隅に圧電素子を取り付け、該圧電素子によって振動を発生させ、透光性カバーを手等でタッチすることによって、振動波を手等が吸収し、エネルギーが伝達されなかった位置を検出することに基づいて、照明電源制御部が室内照明用光源の電源の入り切りを行う表面弾性波式タッチスイッチ、
あるいは、透光性カバーの表面周囲の側壁に赤外線LEDを用いて発光側および受光側を対向して設け、該パネルをタッチすることにより赤外線を遮断し、遮断部の位置を検出することに基づいて、照明電源制御部が室内照明用光源の電源の入り切りを行う赤外線式タッチスイッチが考えられる。
【0028】
(作用)タッチスイッチとして機能する透光性カバーが、筐体内の第2の光源の光によって照明されて、車室内からタッチスイッチ(透光性カバー)を視認できるので、タッチスイッチ(透光性カバー)へのタッチが容易となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る車両用室内照明灯によれば、昼夜を問わず、タッチスイッチとして機能する透光性カバーを車室内から視認できるので、室内照明灯の点灯操作をスムーズに行うことができる。即ち、タッチスイッチの被視認性および操作性に優れた車両用室内照明灯が提供される。
【0030】
請求項2によれば、昼夜を問わず、タッチスイッチとして機能する透光性カバーを車室内から確実に視認できるので、室内照明灯の点灯操作をいっそうスムーズに行うことができる。即ち、タッチスイッチの被視認性および操作性にいっそう優れた車両用室内照明灯が提供される。
【0031】
請求項3によれば、アウターレンズと室内照明用の光源との間に配置されたインナーレンズによって、同光源の発熱(輻射熱)の電極膜への伝達が抑制されるので、白熱バルブ等の発熱量の比較的大きいバルブを室内照明用の光源として採用したとしても、電極膜の熱劣化や熱損傷が回避されるととともに、タッチスイッチである透光性カバーが高温となることもない。
【0032】
また、インナーレンズが導光部材の光出射部として機能するので、タッチスイッチとして機能するアウターレンズの所定領域を正確に発光させることができる。
【0033】
また、インナーレンズの成形と同時に導光部材をインナーレンズに一体化できるので、導光部材の製造が容易である。
【0034】
請求項4によれば、電極膜と室内照明用の光源との間にインナーレンズを設けない分、灯具構造を簡潔かつ薄型にできる。
【0035】
また、透光性カバーが導光部材の光出射部として機能するので、タッチスイッチとして機能する透光性カバーの所定領域を正確に発光させることができる。
【0036】
また、透光性カバーの成形と同時に導光部材を透光性カバーに一体化できるので、導光部材の製造が容易である。
【0037】
請求項5に係る車両用室内照明灯によれば、昼夜を問わず、タッチスイッチとして機能する透光性カバーを車室内から視認できるので、室内照明灯の点灯操作をスムーズに行うことができる。即ち、タッチスイッチの被視認性および操作性に優れた車両用室内照明灯が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施例である室内照明灯の縦断面図である。
【図2】導光部材配設位置における同室内照明灯の縦断面図である。
【図3】導光部材を一体成形したインナーレンズの分解斜視図である。
【図4】同室内照明灯に用いられる電気制御回路を示す図である。
【図5】照明電源制御部である制御ユニットのフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例である室内照明灯の縦断面図である。
【図7】導光部材を一体成形したアウターレンズの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0040】
図1〜図5は、本発明の第1の実施例である室内照明灯を示し、図1は室内照明灯の縦断面図、図2は導光部材配設位置における室内照明灯の縦断面図、図3は導光部材を一体成形したインナーレンズの分解斜視図、図4は同室内照明灯に用いられる電気制御回路を示す図、図5は照明電源制御部である制御ユニットのフローチャートを示す図である。
【0041】
第1の実施例である室内照明灯10は、車室内後部座席の天井に固定される、車幅方向に長い扁平な矩形状の筐体12と、筐体12の内部に配置された室内照明用の光源であるバルブ14と、筐体12の車室側に形成した開口部13に配置された透光性カバーであるアウターレンズ16と、アウターレンズ16の裏面側(バルブ14に望む側)に形成された透光性の電極膜18と、電極膜18に接続され、手等の人体の一部がアウターレンズ16の車室内側表面に接触することで電極と人体との間の静電容量の変化に基づいてバルブ14の電源の入り切りを行う照明電源制御部である制御ユニット34と、を備えて構成されている。
【0042】
即ち、筐体12とアウターレンズ16によって室内照明灯10の灯室Sが画成され、灯室S内には、室内照明用の3個のバルブ14(14A,14B,14C)が車幅方向に配置されている。
【0043】
電極膜18は、印刷,塗装,蒸着またはスパッタリングによって、後述するリフレクター15(15A,15B,15C)と正対するように、アウターレンズ16の裏面側に例えば車幅方向に所定間隔をもって3箇所(18A,18B,18C)形成されている。
【0044】
電極膜18(18A,18B,18C)は、図示しない導通手段(例えば、リード線)によって、灯室S内に配置したプリント基板30に接続され、プリント基板30は、灯室S内所定位置に配置した制御ユニット34(図4参照)に接続されている。
【0045】
バルブ14(14A,14B,14C)の背後には、バルブ14の発光を前方に反射するリフレクター15(15A,15B,15C)が配置されているが、アウターレンズ16の内側(灯室S側)には、アウターレンズ16を通してリフレクター15の背後が透けて見えないように隠すとともに、バルブ14点灯時の輻射熱から電極膜18を保護するためのインナーレンズ20が配置されている。
【0046】
インナーレンズ20は、アウターレンズ16の内側に配置可能な大きさのインナーレンズ本体21と、インナーレンズ本体21の大きさに整合し、リフレクター15に対応する所定の大きさの開口部22aが形成された枠体22とが積層一体化されたもので、透光性樹脂製のインナーレンズ本体21と不透光性樹脂製の枠体22とが二色成形により一体化されている。
【0047】
枠体22には、筐体12の開口部13を形成する内フランジ部12aの段差部12a1に係合する脚部22bが周設されており、脚部22bを内フランジ部12aに載置することで、インナーレンズ20が筐体12の開口部13に位置決めされるとともに、インナーレンズ20を覆うようにアウターレンズ16を筐体12の開口部13に組み付けることができる。
【0048】
枠体22の開口部22aに望むインナーレンズ本体21の裏面側には、シボ加工が施されて、インナーレンズ本体21を透過した光が拡散されるように構成され、不透光性の枠体22は、リフレクター15の周りを隠す機能がある。
【0049】
インナーレンズ本体21には、アウターレンズ16における電極膜18と電極膜18で挟まれた帯状の領域(以下、電極膜非形成領域という)16a(図1参照)を発光させる導光部材24が一体に形成されている。
【0050】
導光部材24は、円形断面で、図1〜3に示すように、アウターレンズ16の側縁部における電極膜非形成領域16aに対応する位置から略L字状に灯室S内に延出する延出部24Aを備え、インナーレンズ本体21との一体成形体として構成されている。そして、図1,2に示すように、筐体12の開口部13を形成する内フランジ部12aには、導光部材24の延出部24Aとの干渉を避けるためのスリット12bが設けられている。
【0051】
即ち、インナーレンズ本体21の側縁部21bから導光部材24の光入射部側24Aが灯室S内に延出して、インナーレンズ本体21が導光部材24の一部(光出射部)を構成する。このため、導光部材24を介してインナーレンズ本体21の側縁部21bにインナーレンズ本体21とほぼ平行に入射した光は、導光部材として機能するインナーレンズ本体21内を導かれる。インナーレンズ本体21におけるアウターレンズ16の電極膜非形成領域16aに対応する領域21aの枠体22との密着面側には、配光手段である点刻25(図2,3参照)が形成されている。
【0052】
また、灯室S内のリフレクター15の背後には、プリント基板30に搭載された発光ダイオード32が導光部材24の延出部24Aの端面(光入射端部)24aに対し正対するように配置されている。そして、光入射端部24aから導光部材24に入射した発光ダイオード32の発光は、導光部材24の内面で全反射を繰り返して導光されて、インナーレンズ本体21にその側縁部21bからインナーレンズ本体21とほぼ平行に入射し、インナーレンズ本体21内を拡散して導光され、インナーレンズ本体21の枠体22との密着面側に形成されている点刻25で反射した光が、導光部材24の光出射部24bであるインナーレンズ本体21の点刻形成領域(電極膜非形成領域16aに対応する領域21a)からアウターレンズ16に向けて出射して、アウターレンズ16の電極膜非形成領域16aがほんのりと発光する。
【0053】
したがって、昼夜を問わず、タッチスイッチとして機能する透光性カバー16の電極膜形成領域を挟んだ電極膜非形成領域16aがほんのりと発光して、タッチスイッチとして機能する透光性カバー16の電極膜形成領域を車室内から確実に視認できるので、室内照明灯の点灯操作をスムーズに行うことができる。
【0054】
室内照明灯10に用いられる電気制御回路を示す図4において、電極膜18(18A,18B,18C)は、プリント基板30を介して制御ユニット34にそれぞれ接続されている。電極膜18と筐体12の金属部分やプリント基板30の金属部分などの周囲の導電体との間には静電容量(浮遊容量)が存在する。人体も導電体なので、人体と電極膜18(18A,18B,18C)の間にも静電容量(浮遊容量)が存在し、電極膜に人体(指)が近付くと、浮遊容量の値が変化する。制御ユニット34は、この浮遊容量の変化を検出してタッチの判定を行い、タッチと判定された時には所定の出力を出す。照明電源制御部である制御ユニット34の出力はそれぞれのバルブ14(14A,14B,14C)を駆動するバルブ駆動用トランジスタ36(36A,36B,36C)のゲートに接続され、それぞれのバルブ駆動用トランジスタ36(36A,36B,36C)のアノード側はそれぞれのバルブ14(14A,14B,14C)を介して、イグニッションスイッチの入り切りに連動するスイッチ37を介して電源38に接続され、カソード側は接地端に接続されている。制御ユニット34からの信号によってバルブ駆動用トランジスタ36(36A,36B,36C)のゲートへの電流を入り切りすることによって、電源38からバルブ14(14A,14B,14C)への電流の入り切りを行う。
【0055】
図5は、制御ユニット34のフローチャートを示す。
【0056】
ステップ41では、タッチスイッチ(アウターレンズ16の電極膜18A,18B,18Cにそれぞれ対応する領域)にタッチしたか否かが判定され、タッチと判定した場合は、ステップ42に移行し、一方、ステップ41において、タッチスイッチ(アウターレンズ16の電極膜18A,18B,18Cにそれぞれ対応する領域)にタッチしていないと判定された場合は、ステップ41に戻る。
【0057】
ステップ42では、バルブ14A,14B,14Cが消灯しているか否か(バルブ14A,14B,14Cに電流が供給されていないか)が判定される。そして、ステップ42において、バルブ14A,14B,14C非点灯(バルブ14A,14B,14Cに電流が供給されていない)と判定されると、ステップ43に移行して、バルブ駆動用トランジスタ36A,36B,36Cのゲート電流をオンにして、バルブ14A,14B,14Cに電流を供給(バルブ14A,14B,14Cを点灯)した後、ステップ41に戻る。一方、ステップ42において、バルブ14A,14B,14C点灯(バルブ14A,14B,14Cに電流が供給されている)と判定されると、ステップ44に移行して、バルブ駆動用トランジスタ36A,36B,36Cのゲート電流をオフにして、バルブ14A,14B,14Cへの電流の供給を停止(バルブ14A,14B,14Cを消灯)した後、ステップ41に戻る。
【0058】
なお、図4では、アウターレンズ16の電極膜18A,18B,18Cにそれぞれ対応する領域がそれぞれ独立したタッチスイッチとして機能し、バルブ14(14A,14B,14C)がそれぞれ独立して点灯するように構成されているが、電極膜18A,18B,18Cに対応する制御ユニット34の構成によっては、アウターレンズ16の電極膜18A,18B,18Cに対応する領域のいずれか一つに人体が接触した時に、全てのバルブ14(14A,14B,14C)を点灯させるように構成することもできる。
【0059】
また、第2の光源である発光ダイオード32は、自動車のイグニッションスイッチ連動スイッチ37のオン・オフによって点・消灯するとともに、制御ユニット34によって、室内照明用のバルブ14の点・消灯に連携して、消・点灯するように構成されている。
【0060】
したがって、自動車の走行中は勿論、イグニッションスイッチをオンにして自動車が走行可能な状態において、アウターレンズ16の電極膜非形成領域16aが発光するので、車室内からタッチスイッチであるアウターレンズ16が昼夜を問わず明るく見えて、室内照明灯10の点灯操作が容易である。
【0061】
また、室内照明灯10(バルブ14)が点灯して室内が照明されている状態では、タッチスイッチであるアウターレンズ16全体が発光しているので、発光ダイオード32を点灯させてタッチスイッチであるアウターレンズ16を発光させる必要がないことから、制御ユニット34からの信号によって発光ダイオード32への給電が停止することで、電力消費の無駄が省かれている。
【0062】
図6,7は、本発明の第2の実施例である室内照明灯を示し、図6は室内照明灯の縦断面図、図7は導光部材を一体成形したアウターレンズの分解斜視図である。
【0063】
前記した第1の実施例では、透光性カバーであるアウターレンズ16の内側に配置されたインナーレンズ20に導光部材24が一体成形されているが、この第2の実施例では、透光性カバーであるアウターレンズ116に導光部材24が一体成形されている。
【0064】
アウターレンズ116は、筐体12の車室側に形成した開口部13に配置されるアウターレンズ本体117と、アウターレンズ本体117の大きさに整合し、リフレクター15に対応する所定の大きさの開口部118aが形成された枠体118とが積層一体化されたもので、透光性樹脂製のアウターレンズ本体117と不透光性樹脂製の枠体118とが二色成形により一体化されている。
【0065】
枠体118には、筐体12の開口部13を形成する内フランジ部12aの段差部12a1に係合する脚部118bが周設されており、脚部118bを内フランジ部12aに載置することで、アウターレンズ116を筐体12の開口部13に組み付けることができる。
【0066】
枠体118の開口部118aに対応するアウターレンズ本体117裏面側には、シボ加工が施されるとともに、透光性電極膜18(18A,18B,18C)が形成されている。不透光性の枠体118は、リフレクター15の周りを隠す機能がある。
【0067】
アウターレンズ本体117には、アウターレンズ本体117における電極膜18形成領域を取り囲む矩形枠状の電極膜非形成領域117aを発光させる導光部材24が一体に形成されている。
【0068】
即ち、アウターレンズ本体117は、その側縁部117bから略L字状に灯室S内に延出する導光部材24の延出部24Aを備え、延出部24Aが導光部材24の光入射部側を構成し、アウターレンズ本体117が導光部材24の一部(光出射部)を構成する。また、筐体12の開口部13を形成する内フランジ部12aには、導光部材24の延出部24Aとの干渉を避けるためのスリット12b(図6参照)が設けられている。
【0069】
このため、導光部材24を介してアウターレンズ本体117の側縁部にアウターレンズ本体117とほぼ平行に入射した光は、導光部材として機能するアウターレンズ本体117内を導かれる。アウターレンズ本体117における矩形枠状の電極膜非形成領域117aの枠体118との密着面側には、図7に示すように、配光手段である点刻25が形成されている。
【0070】
このため、導光部材24の延出部24Aからアウターレンズ本体117にアウターレンズ本体117とほぼ平行に入射した光は、アウターレンズ本体117内を拡散して導光され、アウターレンズ本体117の枠体118との密着面側に形成されている点刻25で反射した光が、導光部材24の光出射部24bであるアウターレンズ本体117の点刻25形成領域から車室内に向けて出射して、アウターレンズ本体117の電極膜非形成領域117aがほんのりと発光する。
【0071】
また、室内照明用の光源として、第1の実施例の室内照明灯で採用されているバルブ14に比べると、発熱量の比較的小さい発光ダイオード114がリフレクター15の前方に配置されている。
【0072】
このため、この第2の実施例では、室内照明用の光源である発光ダイオード114の輻射熱の電極膜16への影響を考慮しなくてもよいため、インナーレンズが設けられていない。
【0073】
本実施例の室内照明灯では、構成部品点数が減るとともに、灯具(筐体12)の奥行きを小さくできるので、灯具構造を簡潔かつ薄型にできる。
【0074】
なお、前記した第1,第2の実施例では、導光部材24の光出射部から光を配光する配光手段として、導光部材として機能するインナーレンズ本体21やアウターレンズ本体117の灯室側表面に設けた点刻25を説明したが、点刻25に代えて反射ステップであってもよい。
【0075】
また、ライドガイド、反射シート、光チューブ等によって、導光部材の光出射部が発光するように構成してもよい。
【0076】
また、前記した第1,第2の実施例では、手等の人体の一部が電極膜を形成した透光性カバーに接触することで電極と人体との間の静電容量の変化に基づいて、照明電源制御部(制御ユニット34)が室内照明用光源の電源の入り切りを行う静電容量式タッチスイッチについて説明したが、タッチスイッチとしては、静電容量式以外に抵抗膜方式,表面弾性波方式または赤外線方式であってもよい。
【0077】
抵抗膜式タッチスイッチは、透明電極膜が形成されたフィルムと透光性カバー表面を対向して配置し、該フィルムを手等で押下することにより、フィルム面と透光性カバー表面が接触し、フィルム面と透光性カバー表面との間の抵抗による分圧比の変化に基づいて、照明電源制御部が室内照明用光源の電源の入り切りを行う。
【0078】
表面弾性波式タッチスイッチは、剛性の高い透光性カバーの隅に圧電素子を取り付け、該圧電素子によって振動を発生させ、透光性カバーを手等でタッチすることによって、振動波を手等が吸収し、エネルギーが伝達されなかった位置を検出することに基づいて、照明電源制御部が室内照明用光源の電源の入り切りを行う。
【0079】
赤外線式タッチスイッチは、透光性カバーの表面周囲の側壁に赤外線LEDを用いて発光側および受光側を対向して設け、該パネルをタッチすることにより赤外線を遮断し、遮断部の位置を検出することに基づいて、照明電源制御部が室内照明用光源の電源の入り切りを行う。
【符号の説明】
【0080】
12 筐体
S 灯室
13 開口部
14(14A,14B,14C) 室内照明用の光源であるバルブ
114 室内照明用の主源である発光ダイオード
15(15A,15B,15C) リフレクター
16、116 透光性カバーであるアウターレンズ
16a、117a アウターレンズの電極膜非形成領域
18(18A,18B,18C) 透光性の電極膜
20 インナーレンズ
21 インナーレンズ本体
22、118 枠体
24 導光部材
24A 導光部材の延出部
24a 導光部材の光入射端部
24b 導光部材の光出射部
25 配光手段である点刻
30 プリント基板
32 第2の光源である発光ダイオード
34 照明電源制御部である制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に固定される筐体と、前記筐体の内部に配置された室内照明用の光源と、前記筐体の車室側に形成した開口部に配置された透光性カバーと、前記透光性カバーの前記光源に望む側に形成された透光性の電極膜と、前記電極膜に接続され、手等の人体の一部が透光性カバーの車室内側表面に接触することで電極と人体との間の静電容量の変化に基づいて前記光源の電源の入り切りを行う照明電源制御部と、を備えた車両用室内照明灯において、
前記筐体内には、第2の光源が配置され、該第2の光源の光によって、前記透光性カバーが視認可能とされたことを特徴とする車両用室内照明灯。
【請求項2】
前記第2の光源と前記透光性カバーとの間に、その光入射部から入射した前記第2の光源の光を内面反射により導光してその光出射部から車室側に出射させて、タッチスイッチとして機能する前記透光性カバーの所定領域を発光させる導光部材が配設されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用室内照明灯。
【請求項3】
前記透光性カバーは、アウターレンズで構成され、前記導光部材は、前記アウターレンズの内側に配置されたインナーレンズに一体成形されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用室内照明灯。
【請求項4】
前記導光部材は、前記透光性カバーに一体成形されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用室内照明灯。
【請求項5】
車室に固定される筐体と、前記筐体の内部に配置された室内照明用の光源と、前記筐体の車室側に形成した開口部に配置されたタッチスイッチとして機能する透光性カバーと、前記タッチスイッチに手等の人体の一部が接触したことを検出して前記光源の電源の入り切りを行う照明電源制御部と、を備えた車両用室内照明灯であって、
前記筐体内には、第2の光源が配置され、該第2の光源の光によって、前記透光性カバーが視認可能とされたことを特徴とする車両用室内照明灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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