説明

車両用情報表示システム及びプログラム

【課題】複数の撮像装置を備えた車両において、撮像装置が撮像した映像に切り替わる際、いずれの撮像装置が撮像した映像であるかを瞬時に視覚的に把握することができる。
【解決手段】車両用情報表示システム1は、車両周辺の複数の方向の映像をそれぞれ撮像する撮像部2と、複数の撮像部2で撮像された映像を表示する表示部3と、 複数の撮像部2ごとに用意され、表示部3に表示するときの映像挿入方向に関する映像挿入方向情報8と、条件が成立して、いずれかの撮像部2が撮像した映像の表示が行われる場合には、選択された撮像部2に対応する映像挿入方向情報8の映像挿入方向に従って、選択された撮像部2により撮像された映像を表示部3に挿入表示し、予め定めた挿入時間で、選択された撮像部2により撮像された映像が表示部3の画面全体に表示するように制御するシステム制御部7と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車などの車両に搭載され、ナビゲーション画像やモニタカメラの撮影映像などの各種情報を表示する車両用情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両にカメラを搭載し、カメラにより撮像した車両周辺の映像をモニタ画面に表示して、運転者が車両周囲の安全確認を図る車両用映像表示装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、シフトレバーをバック(後進)の位置に入れると、車載モニタ装置の表示画像を後方の様子を映すモニタカメラの画像に切り替える技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数のカメラの撮像した映像を切り替えてモニタ装置に表示する際に、ブランク画面を表示し、ドライバーに画面の切り替わりを簡単に視認させる技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3077110号公報
【特許文献2】特開2005−170285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今では、後方を撮像するカメラのほか、前方及び左右側方を撮像するカメラを搭載することも一般的になりつつあり、後方を含めた複数のカメラ映像を切り替えて表示することがある。
【0007】
このような場合、運転手はいずれのカメラが撮像した映像であるかを瞬時に視覚的に判断できると便利である。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、複数の撮像装置を備えた車両において、表示装置の画面が撮像装置に撮像された映像に切り替わる際、いずれの映像であるかを瞬時に視覚的に把握することができる車両用情報表示システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するため、本発明の請求項1記載の車両用情報表示システムは、車両周辺の複数の方向の映像をそれぞれ撮像する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段で撮像された映像を表示する表示手段と、前記複数の撮像手段ごとに、前記撮像手段で撮像された映像を前記表示手段に表示するときの映像を挿入する方向に関する映像挿入方向情報を記憶する情報記憶手段と、予め定めた条件が成立して、前記複数の撮像手段のいずれかが選択され、選択された撮像手段により撮像された映像が前記表示手段に表示される場合には、前記情報記憶手段に記憶された映像挿入方向情報の中から、選択された撮像手段に対応する映像挿入方向情報を参照し、参照した映像挿入方向情報の方向に従って、撮像された映像を前記表示手段に挿入表示し、予め定めた挿入時間で、撮像された映像が前記表示手段の画面全体に表示するように制御する表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5記載の車両用情報表示システムプログラムは、車両周辺の複数の方向の映像をそれぞれ撮像する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段で撮像された映像を表示する表示手段と、前記複数の撮像手段ごとに、前記撮像手段で撮像された映像を前記表示手段に表示するときの映像を挿入する方向に関する映像挿入方向情報を記憶する情報記憶手段と、を備えた車両用情報表示システムのための車両用情報表示プログラムであって、予め定めた条件が成立して、前記複数の撮像手段のいずれかが選択され、選択された撮像手段により撮像された映像が前記表示手段に表示される場合には、前記情報記憶手段に記憶された映像挿入方向情報の中から、選択された撮像手段に対応する映像挿入方向情報を参照し、参照した映像挿入方向情報の方向に従って、撮像された映像を前記表示手段に挿入表示し、予め定めた挿入時間で、撮像された映像が前記表示手段の画面全体に表示する表示制御ステップを前記車両用情報表示システムに実行させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0012】
<車両用情報表示システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システム1の概略構成図である。車両用情報表示システム1は、自動車などの車両に搭載された情報表示システムであり、モニタカメラが撮像した映像のほか、様々なコンテンツデータ(例えば、地図情報、TV映像、各種操作情報など)を表示するようになっている。車両用情報表示システム1は、概略、撮像部2、表示部3、コンテンツ再生部4、入力部5、後進検出部6、及びシステム制御部7を備えている。
【0013】
撮像部2は、車両周辺の外部状況を撮像する装置である。撮像部2は、具体的には、CCDカメラやCMOSカメラなどで構成され、本実施の形態では、車両後方を撮像する第1撮像部(後方カメラともいう)11、車両前方を撮像する第2撮像部(前方カメラともいう)12、車両左側方を撮像する第3撮像部(左側方カメラともいう)13、及び車両右側方を撮像する第4撮像部(右側方カメラともいう)14を具備する構成である。
【0014】
表示部3は、運転手が視認できるようにインストルメント・パネル(インパネ)中央に設けられている。表示部3は、具体的には、カラー液晶表示装置(LCD)、EL(electro-luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイから構成され、撮像部2からの撮像映像、ナビゲーション画像、テレビ映像、DVD映像、AV操作情報など各種情報を表示するようになっている。
【0015】
コンテンツ再生部4は、具体的には、ナビゲーション装置、テレビ受信機、DVDプレーヤ、オーディオ再生装置(CDプレーヤ、HDDプレーヤ)等から構成され、各種コンテンツを再生するようになっている。
【0016】
入力部5は、操作情報を入力するためのインターフェースであり、具体的には、キー、スイッチ、ボタン、リモコン等から構成される。本実施の形態では、表示部3の表示画面上に設けられたタッチパネルが入力部5として機能する。
【0017】
後進検出部6は、ギアが後進位置に入れられると、車両の後進を検出し、後進ギア信号をシステム制御部7に出力するようになっている。本実施の形態においては、車両用情報表示システム1は、車両の後進時には自動的に第1撮像部11が撮像する車両後方の映像を表示部3にするようになっている。
【0018】
システム制御部7は、具体的には、CPU、ROM、RAMなどを含んで構成され、車両用情報表示システム1全体の制御を行うようになっている。本実施の形態では、予め、映像挿入方向情報8を記憶しており、表示部3に表示された所定のコンテンツ映像(例えば、ナビゲーション画像、テレビ映像など)を撮像映像に切り替えて表示する場合は、この映像挿入方向情報8に従って、撮像映像を表示部3に挿入表示させるようになっている。
【0019】
ここで、撮像映像に切り替えて表示する場合とは、例えば、上述した車両の後進時や、運転手が撮像映像の表示を指示したとき(例えば、第3撮像部13が撮像する車両左側方の映像表示を指示したときなど)などである。すなわち、表示部3に表示される情報を撮像映像に切り替える場合には、車両の後進時など車両操作に連動して自動的に撮像映像を表示させる場合と、運転手からの撮像映像表示指示を受けて、指定された撮像映像を表示させる場合の2通りがある。なお、運転手からの撮像映像表示指示を車両位置や車両の移動方向などの位置情報とともに登録可能な場合には、一度、撮像映像表示を指示した位置を再度走行するときには、前回と同一指示の撮像映像を自動的に表示させることも可能である。
【0020】
図2に映像挿入方向情報8のデータ構成を示す。図2に示すように、映像挿入方向情報8は、それぞれの撮像部2ごとに映像挿入方向情報8を備えており、少なくとも挿入方向、表示パターン、切替時間を含む情報を管理している。
【0021】
例えば、第1撮像部11(後方カメラ)に対応付けられた映像挿入方向情報8は、第1撮像部(後方カメラ)11が撮像した映像を表示部3に挿入表示する場合には、挿入方向は画面下から上に向かう方向に撮像映像を挿入し、そのときの表示パターンはパターン1(例えば、単純に挿入方向に移動させながら表示するパターン)であり、撮像映像の挿入開始から挿入終了(画面全体に撮像映像が表示される状態)までに要する切替時間は1000msecであることを示している。
【0022】
また、例えば、第2撮像部12(前方カメラ)に対応付けられた映像挿入方向情報8は、第2撮像部(前方カメラ)12が撮像した映像を表示部3に挿入表示する場合には、挿入方向は画面上から下に向かう方向に撮像映像を挿入すること、すなわち、第1撮像部(後方カメラ)11が撮像した映像の挿入方向と反対であることを示している。
【0023】
同様にして、第3撮像部13(左側方カメラ)に対応付けられた映像挿入方向情報8は、第3撮像部(左側方カメラ)13が撮像した映像を表示部3に挿入表示する場合には、挿入方向は画面左から右に向かう方向に撮像映像を挿入することを示しており、また、第4撮像部14(右側方カメラ)に対応付けられた映像挿入方向情報8は、第4撮像部(右側方カメラ)14が撮像した映像を表示部3に挿入表示する場合には、挿入方向は画面右から左に向かう方向に撮像映像を挿入すること、すなわち、第3撮像部(左側方カメラ)13が撮像した映像の挿入方向と反対であることを示している。
【0024】
このように本実施の形態では、カメラの設置位置に対応付けた方向(例えば、車両の後方に設置された後方カメラであれば下、車両の左側方に設置された左側方カメラであれば左など)から、撮像した映像を挿入させるので、運転手はいずれのカメラの映像であるかを瞬時に把握することができる。
【0025】
図3に、第1撮像部11が撮像した映像が表示部3に挿入表示される様子を示す。図3に示すように、車両の後方を撮影した映像a1が表示部3の画面下方向から上方向に向かって徐々に挿入表示されていく。この結果、運転手は撮像映像の挿入方向を見ることで、複数の撮像部2のうちの後方カメラ11の映像であることを瞬時に視覚的に把握することができる。
【0026】
なお、表示部3を撮像映像に切り替えるときは、それ以前に表示部3に所定の情報(例えば、ナビゲーション画像など)が表示されている状態でもよいし、表示部3に何も表示されていない状態でもよい。図3に示すように、表示部3に何も表示されていない状態で撮像映像を挿入表示する場合には、何も表示されていない画像領域b1が徐々に減少していき、最終的には撮像映像a1が表示部3の画面全体に表示される。一方、表示部3に所定の情報が表示されている状態で撮像映像を挿入表示する場合には、所定の情報の画像領域b1が徐々に減少していき、最終的には撮像映像a1が表示部3の画面全体に表示される。
【0027】
なお、図3に示した表示パターンは一例であり、表示パターンはこれに限定されず、種々の画像処理を行って表示するようにしてもよい。例えば、撮像画像を変形させて挿入表示するようにしてもよい。また、撮像映像に切り替える切替時間に関しても、図2に示す値は一例であって、種々の値を設定可能である。但し、運転手は撮像映像の挿入方向からいずれの映像であるかを瞬時に視覚的に把握する必要があるので、瞬時の視覚的な判断に好適な切替時間(例えば、1000msec以内)が望ましい。
【0028】
さらには、図2に示す映像挿入方向情報8においては、撮像部2ごとに表示パターン及び切替時間を備えるデータ構成としているが、すべての撮像部2の表示パターン及び切替時間が同一である場合には、撮像部2ごとに保持するデータ構成としなくてもよい。
【0029】
また、図4に第1撮像部11及び第3撮像部13が撮像したそれぞれの映像が表示部3に挿入表示される様子を示す。このように本実施の形態では、複数の撮像部2を備える構成なので、2以上の撮像映像を同時に表示部3に表示することも可能である。図4に示す場合には、車両の後方を撮影した映像a2が表示部3の画面下方向から上方向に向かって徐々に挿入表示されていくとともに、車両の左側方を撮影した映像a3が表示部3の画面左方向から右方向に向かって徐々に挿入表示されていく。この結果、運転手は撮像映像の挿入方向を見ることで、表示部3に表示されている撮像映像が左側方カメラ及び後方カメラが撮像した映像であることを瞬時に視覚的に把握することができる。
【0030】
<車両用情報表示システムの動作>
次に、図5〜図7を用いて、車両用情報表示システム1の撮像映像切替表示処理の一例について説明する。以下に示す撮像映像切替表示処理は、車両を後進させて表示部3の映像を第1撮像部11が撮像した映像に切り替える場合の撮像映像切替表示処理であり、撮像映像を画面下方から立ち上がるような画像表示をして、撮像映像を下方から上方に挿入表示するようにしている。具体的には、先に表示部3に表示されていたコンテンツ画像(主画像ともいう)を下層、撮像映像(副画像ともいう)を上層として、上層の画像を下層に上書きして、2つの画像を重ね合わせるようなデジタル画像処理を行う。その際、撮像映像を画面下方から時間経過に合わせて台形状に大きく成長するようにデジタル画像処理を行うことにより、画面下方から立ち上がるような画像表示を行っている。
【0031】
ここで、図5は、映像挿入方向情報8の表示パターンを具体的に示す情報であり、撮像映像の時間経過に合わせた挿入状況を示している。すなわち、上述した撮像映像の画面下方から立ち上がるような画像表示を具体的に示しており、このタイムテーブルに従って、撮像映像が台形状に大きく成長し、表示部3に挿入表示される。図6は、このタイムテーブルに従って表示される撮像映像の一例を示している。以下、図6を用いて、図5に示すタイムテーブルの内容を説明する。
【0032】
例えば、タイムカウンタ値0(msec)においては、上底座標比率0%、下底座標比率100%、高さ座標比率0%であり、上底及び高さはないので、台形は存在せず、撮像映像は表示されない。したがって、表示部3の画面には、図6(a)に示すように、撮像映像a10は表示されず、所定のコンテンツ映像b10が表示されたままである。
【0033】
次に時間が経過して、タイムカウンタ値300(msec)においては、上底座標比率40%、下底座標比率100%、高さ座標比率40%なので、上底は画面横サイズの40%の長さ、下底は画面横サイズの100%の長さ、高さは画面縦サイズの40%の長さを有する台形形状の撮像映像が画面下縁を基準に表示される。したがって、表示部3の画面には、図6(b)に示すように、所定のコンテンツ映像b10の上に、台形形状の撮像映像a10が表示される。
【0034】
次に時間が経過して、タイムカウンタ値600(msec)においては、上底座標比率70%、下底座標比率100%、高さ座標比率70%なので、上底は画面横サイズの70%の長さ、下底は画面横サイズの100%の長さ、高さは画面縦サイズの70%の長さを有する台形形状の撮像映像が画面下縁を基準に表示される。したがって、表示部3の画面には、図6(c)に示すように、所定のコンテンツ映像b10の上に、台形形状の撮像映像a10が表示される。
【0035】
次に時間が経過して、タイムカウンタ値1000(msec)においては、上底座標比率100%、下底座標比率100%、高さ座標比率100%なので、上底は画面横サイズの100%の長さ、下底は画面横サイズの100%の長さ、高さは画面縦サイズの100%の長さを有する台形形状の撮像映像が画面下縁を基準に表示される。したがって、表示部3の画面には、図6(d)に示すように、台形形状の撮像映像a10が画面全体に表示される。
【0036】
このように本実施例では、撮像映像a10が徐々に画面下方から立ち上がるように移動表示されるので、これによって撮像映像b10が画面下方から上方に向かって挿入されることとなる。
【0037】
次に、図7を用いて、車両用情報表示システム1の撮像映像表示処理の流れについて説明する。図7は、車両用情報表示システム1の撮像映像表示処理の流れを示すフローチャートであり、具体的には、上述した車両を後進させて表示部3の映像を第1撮像部11が撮像した映像に切り替える場合の撮像映像切替表示処理の流れを示している。なお、撮像映像表示処理は車両用情報表示システム1のシステム制御部7によって行われる。
【0038】
まず、システム制御部7は、前進、後進、停止など車両の進行状況を示すステータスが後進以外である状態(ステップS10)から後進ギア信号が検出されたか否かを判定する(ステップS20)。なお、後進ギア信号は、後進検出部6が車両の後進を検出したときに、システム制御部7に出力される。ステップS10の状態では、例えば、表示部3には、図6(a)に示すようなメニュー画像が表示されている。
【0039】
後進ギア信号を検出したときは(ステップS20:YES)、システム制御部7は、現在のステータスが後進中であるか否かを判定する(ステップS30)。システム制御部7は、現在のステータスが後進中であるときは(ステップS30:YES)、ステータスを後進中に設定維持し(ステップS50)、現在のステータスが後進中でないときは(ステップS30:NO)、タイムカウンタを初期化して(ステップS40)、ステータスを後進中に設定する(ステップS50)。
【0040】
次に、システム制御部7は、第1撮像部11が撮像した映像をデジタル化し(ステップS60)、図5に示すタイムテーブルのタイムカウンタ値に従って、第1撮像部11が撮像した映像(上層の画像)を表示する位置の座標計算を行う(ステップS70)。
【0041】
次に、システム制御部7は、計算された座標に従って、上層の画像を表示する座標位置を指定し(ステップS80)、上層の画像領域に対してテクスチャによるタイリング塗りつぶし処理を行い(ステップS90)、上層の画像を表示する(ステップS100)。なお、ステップS100の処理終了後は、ステップS20に戻る。この結果、ステップS20〜ステップS100の処理を繰り返すことにより、表示部3には、図6(a)に示すメニュー画像に代えて、時間経過とともに、図6(b)に示す画像、次いで、6(c)に示す画像、最終的には図6(d)に示す画像が表示される。
【0042】
このように本実施例では、第1撮像部11が撮像した映像が、表示部3の画面下方向から上方向に向かって挿入表示、より詳しくは、上述したように撮像映像が表示部3の画面下縁から立ち上がるに表示される。
【0043】
一方、後進ギア信号を検出しないときは(ステップS20:NO)、システム制御部7は、上層の表示をオフ、すなわち、第1撮像部11が撮像した映像の表示を中止する(ステップS110)。次いで、システム制御部7は、ステータスを後進以外の該当するステータスに設定する(ステップS120)。この結果、ステップS110の状態では、表示部3には、図6(a)に示すメニュー画像が表示される。なお、ステップS120の処理終了後は、ステップS20に戻る。
【0044】
以上、述べたように本実施の形態に係る車両用情報表示システム1は、車両周辺の複数の方向の映像をそれぞれ撮像する撮像部2と、撮像部2で撮像された映像を表示する表示部3と、それぞれの撮像部ごとに、撮像部2で撮像された映像を表示部3に表示するときの映像を挿入する方向に関する映像挿入方向情報8を記憶する記憶部と、予め定めた条件が成立して、撮像部2のいずれかが選択され、選択された撮像部2により撮像された映像が表示部3とに表示される場合には、記憶部に記憶された映像挿入方向情報の中から、選択された撮像部2に対応する映像挿入方向情報8を参照し、参照した映像挿入方向情報8の方向に従って、撮像された映像を表示部3に挿入表示し、予め定めた挿入時間で、撮像された映像が表示部3の画面全体に表示するように制御するシステム制御部7と、を有する。
【0045】
これにより、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1によれば、複数の撮像装置を備えた車両において、表示装置の画面が撮像装置により撮像された映像に切り替わる際、いずれの映像であるかを瞬時に視覚的に把握することができる。すなわち、撮像部の設置位置に対応付けた方向から、予め定めた挿入時間で撮像された映像を徐々に挿入させていくので、運転手は直感的にいずれの撮像部で撮像された映像であるかを判断することができる。
【0046】
また、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1においては、撮像部2は、車両の後方を撮像する第1撮像部(後方カメラ)11、車両の前方を撮像する第2撮像部(前方カメラ)12、車両の左側方を撮像する第3撮像部(左側方カメラ)13、及び車両の右側方を撮像する第4撮像部(右側方カメラ)14を具備し、第1撮像部11に関する映像挿入方向情報8は、画面下方から上方に向かって映像を挿入する情報であり、第2撮像部12に関する映像挿入方向情報8は、画面上方から下方に向かって映像を挿入する情報であり、第3撮像部13に関する映像挿入方向情報8は、画面左方から右方に向かって映像を挿入する情報であり、第4撮像部14に関する映像挿入方向情報8は、画面右方から左方に向かって映像を挿入する情報である。
【0047】
これにより、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1によれば、4つの方向から撮像された各映像がいずれの映像であるかを瞬時に把握することができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1においては、システム制御部7は、2以上の撮像部2で表示された映像を同時に表示部3に表示することが可能である。
【0049】
これにより、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1によれば、2以上の撮像映像が表示された場合であっても、いずれの映像であるかを瞬時に把握することができる。
【0050】
また、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1においては、システム制御部7は、表示部3が所定の情報を表示しているときに、撮像表示条件が成立した場合には、所定の情報の上に撮像部2で撮像された映像を重ね合わせて挿入表示する。
【0051】
これにより、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1によれば、画像処理を行って、興趣ある撮像映像を表示することができるので、いずれの映像であるかの判断も容易になる。
【0052】
さらには、本実施の形態に係る車両用情報表示システム1における制御は、車両用情報表示システム1に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。そして、このコンピュータプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体に記録されることも、通信ネットワークを介して配信されることも可能である。すなわち、本実施の形態に係る車両用情報表示プログラムは、車両周辺の複数の方向の映像をそれぞれ撮像する撮像部2と、撮像部2で撮像された映像を表示する表示部3と、それぞれの撮像部ごとに、撮像部2で撮像された映像を表示部3に表示するときの映像を挿入する方向に関する映像挿入方向情報8を記憶する記憶部と、を備えた車両用情報表示システム1のための車両用情報表示プログラムであって、予め定めた条件が成立して、撮像部2のいずれかが選択され、選択された撮像部2により撮像された映像が表示部3とに表示される場合には、記憶部に記憶された映像挿入方向情報の中から、選択された撮像部2に対応する映像挿入方向情報8を参照し、参照した映像挿入方向情報8の方向に従って、撮像された映像を表示部3に挿入表示し、予め定めた挿入時間で、撮像された映像が表示部3の画面全体に表示する表示制御ステップを車両用情報表示システム1に実行させるようにしてもよい。
【0053】
なお、本実施の形態の撮像部2は、4つの撮像部11、12、13及び14を具備する構成であったが、撮像部の数はこれに限定されず、複数であればいくつであってもよい。また、本実施の形態の映像挿入方向情報8の挿入方向は、撮像部2に応じて予め定められていたが、ユーザにより挿入方向を設定できるようにしてもよい。また、映像挿入方向情報8の表示パターンや切替時間も、同様にして、ユーザにより設定可能としてもよい。
【0054】
また、撮像映像を表示部3に挿入表示する際の画像演出も種々想定されるものであり、映像挿入方向情報8に従って撮像映像を挿入表示するのであれば、いかなる画像演出を施してもよい。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システムの映像挿入方向情報のデータ構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システムの撮像映像(1つ)を挿入表示する場合の映像挿入方向を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システムの撮像映像(2つ)を挿入表示する場合の映像挿入方向を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システムの映像挿入方向情報における表示パターンを具体的に示す表である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システムの撮像映像表示処理において表示部3に表示される映像の一例である。
【図7】本発明の実施の形態に係る車両用情報表示システムの撮像映像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 車両用情報表示システム
2 撮像部
3 表示部
4 コンテンツ再生部
5 入力部
6 後進検出部
7 システム制御部
8 映像挿入方向情報
11 第1撮像部(後方カメラ)
12 第2撮像部(前方カメラ)
13 第3撮像部(左側方カメラ)
14 第4撮像部(右側方カメラ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の複数の方向の映像をそれぞれ撮像する複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段で撮像された映像を表示する表示手段と、
前記複数の撮像手段ごとに、前記撮像手段で撮像された映像を前記表示手段に表示するときの映像を挿入する方向に関する映像挿入方向情報を記憶する情報記憶手段と、
予め定めた条件が成立して、前記複数の撮像手段のいずれかが選択され、選択された撮像手段により撮像された映像が前記表示手段に表示される場合には、前記情報記憶手段に記憶された映像挿入方向情報の中から、選択された撮像手段に対応する映像挿入方向情報を参照し、参照した映像挿入方向情報の方向に従って、撮像された映像を前記表示手段に挿入表示し、予め定めた挿入時間で、撮像された映像が前記表示手段の画面全体に表示するように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする車両用情報表示システム。
【請求項2】
前記複数の撮像手段は、
前記車両の後方を撮像する第1撮像手段、
前記車両の前方を撮像する第2撮像手段、
前記車両の左側方を撮像する第3撮像手段、及び
前記車両の右側方を撮像する第4撮像手段のうち、
少なくとも2以上を具備し、
前記第1撮像手段に関する前記映像挿入方向情報は、画面下方から上方に向かって映像を挿入する情報であり、
前記第2撮像手段に関する前記映像挿入方向情報は、画面上方から下方に向かって映像を挿入する情報であり、
前記第3撮像手段に関する前記映像挿入方向情報は、画面左方から右方に向かって映像を挿入する情報であり、
前記第4撮像手段に関する前記映像挿入方向情報は、画面右方から左方に向かって映像を挿入する情報であり、
前記情報記憶手段は、
前記具備する撮像手段に対応する複数の前記映像挿入方向情報を記憶することを特徴とする請求項1記載の車両用情報表示システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
2以上の前記撮像手段で表示された映像を同時に前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用情報表示システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記表示手段が所定の情報を表示しているときに、前記予め定めた条件が成立した場合には、前記所定の情報の上に前記撮像手段で撮像された映像を重ね合わせて挿入表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用情報表示システム。
【請求項5】
車両周辺の複数の方向の映像をそれぞれ撮像する複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段で撮像された映像を表示する表示手段と、
前記複数の撮像手段ごとに、前記撮像手段で撮像された映像を前記表示手段に表示するときの映像を挿入する方向に関する映像挿入方向情報を記憶する情報記憶手段と、を備えた車両用情報表示システムのための車両用情報表示プログラムであって、
予め定めた条件が成立して、前記複数の撮像手段のいずれかが選択され、選択された撮像手段により撮像された映像が前記表示手段に表示される場合には、前記情報記憶手段に記憶された映像挿入方向情報の中から、選択された撮像手段に対応する映像挿入方向情報を参照し、参照した映像挿入方向情報の方向に従って、撮像された映像を前記表示手段に挿入表示し、予め定めた挿入時間で、撮像された映像が前記表示手段の画面全体に表示する表示制御ステップを前記車両用情報表示システムに実行させることを特徴とする車両用情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−23704(P2010−23704A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188378(P2008−188378)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(596125930)パイオニアデザイン株式会社 (21)
【Fターム(参考)】