車両用情報表示装置
【課題】車両に凸部を生じず、外観デザインを損ねる事無く自車両の動作を文字情報等の可視情報によって後続車両、対向車両、歩行者等に伝達する事のできる車両用情報表示装置を提供する。
【解決手段】車両のラジエターに通風するための開口スリットが形成されたフレーム上に、可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のラジエターグリルに内蔵された表示手段と、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプを表示させる制御手段とを備える。
【解決手段】車両のラジエターに通風するための開口スリットが形成されたフレーム上に、可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のラジエターグリルに内蔵された表示手段と、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプを表示させる制御手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動作を可視情報によって外部に伝達するための車両用情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の動作を文字で表示して後続車両に対して伝える情報表示装置が知られている。例えば、特許文献1〜3には、自動車の車体後部に後付けされた情報表示装置が自車の動作(右折、左折、停止等)を文字で表示して後続車に知らせる従来技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3500828号公報
【特許文献2】特開平8−26052号公報
【特許文献3】特開平2−254039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来技術に係る情報表示装置によれば、情報表示装置が既存の自動車に後付けされて車体外部に設置されるため、自動車の車体に対して凸部となり、自動車の外観デザインを損ねるという問題があった。また、情報表示装置によって自動車の走行時に空気抵抗が増加するという問題もあった。また、情報表示装置が車体外部にあるために破損し易いという問題もあった。さらに、情報表示装置の重量の分、自動車の重量が増加するという問題もあった。
【0004】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、車両に凸部を生じず、外観デザインを損ねる事無く自車両の動作を文字情報等の可視情報によって後続車両、対向車両、歩行者等に伝達する事のできる車両用情報表示装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用情報表示装置は、車両のラジエターに通風するための開口スリットが形成されたフレーム上に、可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のラジエターグリルに内蔵された表示手段と、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプを表示させる制御手段とを備える。
【0006】
また、本発明に係る車両用情報表示装置は、フレーム上に可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のリヤパネルに内蔵された表示手段と、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプ、又はブレーキランプ、又はテールランプの何れかを表示させる制御手段とを備える。
【0007】
上記車両用情報表示装置において、前記表示手段は、RBG LEDアレイディスプレイである事を特徴とする。
【0008】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記車両の運転者による運転操作を検出する検出手段を備え、前記検出手段が前記運転操作を検出した場合に、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記運転操作に対応した第一文字情報を表示させる事を特徴とする。
【0009】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記車両の乗員の音声を集音して電気信号に変換する集音手段と、前記電気信号を第二文字情報に変換する音声認識手段とを備え、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記第二文字情報を表示させる事を特徴とする。
【0010】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記第一文字情報又は前記第二文字情報を他の言語の文字情報に翻訳する翻訳手段を更に備え、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記他の言語の文字情報を表示させる事を特徴とする。
【0011】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に複数の言語の文字情報を同時に表示させる事を特徴とする。
【0012】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報又は前記文字情報の背景色を該可視情報又は該文字情報の表示色の補色で表示させる事を特徴とする。
【0013】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記発光ダイオードの発する光の輝度を制御する事により前記表示手段の表示面に表示される色の色相を制御するパルス密度変調回路を備える事を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両用情報表示装置の表示手段を自動車のラジエターグリルとリヤパネルに内蔵する様にしたので、自動車の車体に凸部が生じず、外観デザインを損ねる事無く対向車両、後続車両、歩行者に対して文字情報等の可視情報によって自車両の動作を伝達する事が出来る。また、自動車の走行時に空気抵抗の増加が無く、情報表示装置が破損し難く、自動車の重量増加が少ない情報表示装置を提供する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
ここでは、本実施形態に係る車両用情報表示装置を自動車に適用した例を説明する。
まず、図1、2を参照して本実施形態に係る車両用情報表示装置のディスプレイパネルについて説明する。本ディスプレイパネルは、自動車のラジエターグリル部及びリヤパネル部に内蔵される事を特徴としている。
【0016】
図1は、フロント用RGB(Red Green Blue) LED(Light Emitted Diode;発光ダイオード)アレイディスプレイパネルをラジエターグリルに内蔵した自動車の前部の外観図である。
同図において、1は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル、2は、ウインカーランプ表示部、3は、文字表示部、100は、自動車である。
【0017】
フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、赤色発光ダイオードと緑色発光ダイオードと青色発光ダイオードとを同一面上にそれぞれ複数個規則的にマトリクス状に配列して構成されているため、所望の位置の発光ダイオードが発光する事で文字情報等の可視情報をカラー表示する事が可能である。本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の詳細な構成に関しては後述する。
【0018】
また、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、自動車100の前部のラジエターグリルに内蔵されるため、自動車の車体に凸部が生じず自動車の外観デザインを損ねる事が無い。
また、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、後述する様に開口スリットが発光ダイオード間に設けられているため、自動車のラジエターグリル部分に取り付けられた状態でラジエターに通風する事ができる。
【0019】
さらに、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、左右両側にウインカーランプ表示部2を備え、中央に文字表示部3を備える。これらウインカーランプ表示部2と文字表示部3とは、前述した複数の発光ダイオードによって構成されるものであって構造に差異は無く、ウインカーランプ表示部2は、複数の発光ダイオードの一部が発光する事によってウインカーランプとして機能する。この様な構成により、例えば自動車の右折時に、運転者はウインカー操作によって運転者から見て右側に備えられたウインカーランプ表示部2を橙色で点滅させ、中央の文字表示部3に“右折します”という文字情報を表示させる事ができる。
【0020】
図2は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルをリヤパネルに内蔵した自動車の後部の外観図である。
同図において、4は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル、5は、テールランプ表示部、6は、ウインカーランプ表示部、7は、文字表示部、100は、自動車である。
【0021】
リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4は、上述のフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1と同じく複数個の赤色、緑色、青色発光ダイオードを同一面上にそれぞれ複数個規則的にマトリクス状に配列して構成されているため、所望の位置の発光ダイオードが発光する事で文字情報等の可視情報をカラー表示する事が可能である。また、本リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4は、表示面を外部に向けて自動車100の後部のリヤパネルに内蔵されるため、自動車の車体に凸部が生じず自動車の外観デザインを損ねる事が無い。
【0022】
また、本リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4は、左右両側にそれぞれテールランプ表示部5及びウインカーランプ表示部6を備え、中央に文字表示部7を備える。テールランプ表示部5は、発光の際の輝度の違いによりブレーキランプ表示部としての機能もあわせ持つ。これらテールランプ表示部5とウインカーランプ表示部6と文字表示部7とは、前述した複数の発光ダイオードによって構成されるものであって構造に差異は無い。例えばテールランプ表示部5とウインカーランプ表示部6は、複数の発光ダイオードの一部がそれぞれ発光する事によってテールランプ又はウインカーランプとして機能する。
【0023】
この様な構成により、例えば自動車の右折時に、運転者はウインカー操作によって運転者から見て右側に備えられたウインカーランプ表示部6を橙色で点滅させ、中央の文字表示部7に“右折します”という文字情報を表示させる事ができる。
また、運転者がブレーキを踏んだ時にはテールランプ表示部5が輝度の高い赤色等に発光し、中央の文字表示部7が例えば“停止します”等の文字情報を表示する。さらに、運転者がテールランプスイッチをオンした時にはテールランプ表示部5が輝度の低い赤色等に発光する。
【0024】
次に、図3、4を参照してRGB LEDアレイディスプレイパネルの構造を詳細に説明する。
図3は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
同図において、1は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル、8は、赤色発光ダイオード、9は、緑色発光ダイオード、10は、青色発光ダイオード、11は、RGB LEDアレイ、12は、開口スリット、13は、フレームである。
【0025】
フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、赤色発光ダイオード8と、緑色発光ダイオード9と、青色発光ダイオード10とによって構成されるRGB LEDアレイ11をフレーム13上に行方向に複数個配列して形成された行を列方向に複数配列して形成され、発光ダイオードをマトリクス状に配列した構成を有している。
【0026】
また、フレーム13には、発光ダイオードの配列した各行の間に開口スリット12が形成される。この開口スリット12は、外気を導入する通風口として機能するので、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1をラジエターグリルに内蔵してもラジエターに通風できる。なお、同図はフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の一部を拡大表示しているにすぎず、全体ではRGB LEDアレイ11は複数個備えられる。
【0027】
図4は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
同図において、4は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル、8は、赤色発光ダイオード、9は、緑色発光ダイオード、10は、青色発光ダイオード、11は、RGB LEDアレイ、14は、フレームである。
リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4においても、発光ダイオードはフレーム14上にフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1と同一に配列されている
【0028】
次に、図5を参照して本実施形態に係る車両用情報表示装置の構成と動作について説明する。
図5は、車両用情報表示装置のシステム構成図である。
本車両用情報表示装置は、音声入力用マイク20、A/Dコンバーター21、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22、CPU(Central Processing Unit)23、パルス密度変調回路24、LEDアレイマトリックス駆動回路25、RGB LEDアレイディスプレイ26、ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27、データバス28から構成される。
【0029】
ここで、音声入力用マイク20は、A/Dコンバーター21に接続され、自動車の乗員が発する音声を集音してアナログ電気信号に変換するものである。
A/Dコンバーター21は、音声入力用マイク20の出力信号であるアナログ電気信号を、デジタル信号に変換するものである。なお、音声入力用マイク20とA/Dコンバーター21を1チップ化したシリコンマイクを用いれば、部品点数を削減できる。
この音声入力用マイク20、A/Dコンバーター21は、本発明における集音手段として働く。
【0030】
音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22は、音声認識機能と翻訳機能とを備えるものである。音声認識機能は、A/Dコンバーター21の出力信号であるデジタル信号を音声認識処理して文字情報(第二文字情報)に変換する機能である。翻訳機能は、電子辞書を備え、入力された文字情報を他の言語の文字情報に翻訳する機能である。これらは、一般的には専用のROMを用いる事で実現できる。
この音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22は、本発明における音声認識手段及び翻訳手段として働く。
【0031】
CPU23は、各部の制御を行い、信号処理を行って可視情報表示用の輝度デジタルデータY及び色デジタルデータR,G,Bを演算するものである。
これら音声入力用マイク20と、A/Dコンバーター21と、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22と、CPU23とで音声入力装置を構成する。
【0032】
ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27は、自動車に備えられたギア(発進又は後退表示用)又はウインカーレバー(右折及び左折表示用)又はブレーキペダル(停止表示用)又はアクセルペダル(発進表示用)の何れかの運転者による運転操作を検出した場合に、それぞれの運転操作に対応する検出信号をCPU23に対して出力するものである。
このギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27は、本発明における検出手段として働く。
【0033】
パルス密度変調(PDM;Pulse Density Modulation)回路24は、CPU23から入力された可視情報表示用の輝度デジタルデータY及び色デジタルデータR,G,Bをパルス密度変調してLEDアレイマトリックス駆動回路25に出力するものである。
【0034】
LEDアレイマトリックス駆動回路25は、パルス密度変調回路24からの出力信号をn本の駆動信号Row1,Row2,・・・,Rown及び3×m本の駆動信号R1,G1,B1,・・・,Rm,Gm,BmとしてRGB LEDアレイディスプレイ26に出力するものである。
【0035】
上述の音声入力用マイク20、A/Dコンバーター21、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22、CPU23、パルス密度変調回路24、LEDアレイマトリックス駆動回路25、ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27、データバス28は、本発明における制御手段50として働く。
【0036】
RGB LEDアレイディスプレイ26は、上記駆動信号を入力し、それに基づいて発光ダイオードが発光して文字情報等の可視情報を表示するものである。本システム構成図においては、図1、2を用いて説明したフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1とリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4とをまとめてRGB LEDアレイディスプレイ26として示している。
このRGB LEDアレイディスプレイ26は、本発明における表示手段として働く。
【0037】
前述したパルス密度変調回路24は、LEDアレイマトリクス駆動回路25と組み合わせてRGB LEDアレイディスプレイ26の発光ダイオードの発する光の輝度をデジタル制御して、表示される色の色相を制御する。
A/Dコンバーター21、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22、CPU23、ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27、パルス密度変調回路24は、データバス28を介して相互に接続され、上述したデータの受け渡しが行われる。
【0038】
次に、本車両用情報表示装置の動作を説明する。
まず、自動車の運転者が所定の運転操作を行った場合に、その運転操作に対応する文字情報等の可視情報をRGB LEDアレイディスプレイパネルに表示する動作について説明する。
運転者がウインカーレバーを操作して右折する場合を一例として説明すると、最初にギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27はウインカーレバーの右折操作を検出して、検出信号を出力する。
【0039】
その検出信号はCPU23に入力され、CPU23はフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1のウインカーランプ表示部2と、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4のウインカーランプ表示部6に右折表示を行うための色デジタルデータR,G,B及び輝度デジタルデータYを演算してパルス密度変調回路24に出力する。また、CPU23は、上記の処理と共に“右折します”という文字情報(第一文字情報)を表示させるための色デジタルデータR,G,B及び輝度デジタルデータYを演算してパルス密度変調回路24に出力する。パルス密度変調回路24は、輝度デジタルデータYをパルス密度変調して、LEDアレイマトリックス駆動回路25へ出力する。
【0040】
LEDアレイマトリックス駆動回路25は、パルス密度変調された信号を駆動信号Row1〜RownとしてRGB LEDアレイディスプレイ26(つまり、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1及びリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4)に出力する。LEDアレイマトリックス駆動回路25は、同時に色デジタルデータR,G,Bに対応する駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,BmもRGB LEDアレイディスプレイ26に出力する。なお、これらの駆動信号に基づくRGB LEDアレイディスプレイ26の表示方法の詳細については、後述する。
【0041】
そして、上記駆動信号に基づいて、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の所望の位置の発光ダイオードが発光して、左側のウインカーランプ表示部2は橙色で点滅し、文字表示部3は所定の色で“右折します”という文字情報を表示する。また、同様にリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4の所望の位置の発光ダイオードが発光して、左側のウインカーランプ表示部6は橙色で点滅し、文字表示部7は所定の色で“右折します”という文字情報を表示する。
【0042】
また、運転者がブレーキペダル、ギア、アクセルペダルの何れかを操作した場合も、本車両用情報表示装置は、上述のウインカー操作時と同様な動作をする事でそれぞれの操作に対応した文字情報等を表示する。
【0043】
次に、自動車の乗員の音声を文字情報としてRGB LEDアレイディスプレイパネルに表示する動作について説明する。
先ず、音声入力用マイク20は、自動車の乗員が発した音声を集音してアナログ電気信号に変換する。次にA/Dコンバーター21は、そのアナログ電気信号をデジタル信号に変換して音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22に出力する。
【0044】
次に、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22は、CPU23の制御に基づいて音声認識機能により上記デジタル信号を文字情報(第二文字情報)に変換する。そして、CPU23は、その文字情報に応じた色デジタルデータR,G,B及び輝度デジタルデータYを演算してパルス密度変調回路24に出力する。
【0045】
パルス密度変調回路24は、輝度デジタルデータYをパルス密度変調して、LEDアレイマトリックス駆動回路25へ出力する。LEDアレイマトリックス駆動回路25は、パルス密度変調された輝度デジタルデータYを駆動信号Row1〜RownとしてRGB LEDアレイディスプレイ26に出力する。LEDアレイマトリックス駆動回路は、色デジタルデータR,G,Bに対応する駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmも同時に出力する。
【0046】
そして、RGB LEDアレイディスプレイ26(つまり、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1及びリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4)は、駆動信号Row1〜Rown及び駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmによって所望の位置の発光ダイオードを発光させる事で運転者の発した音声の文字情報を表示して、運転者の意思を外部に示す。
【0047】
次に、図6〜9を参照してRGB LEDアレイディスプレイ26の制御方法について詳細に説明する。ここでは、RGB LEDアレイディスプレイ26として、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1を例に挙げて説明するが、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4の場合も同一である。
【0048】
図6は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルのマトリクス構造図である。同図は、前述したフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の一部分であるRow1〜Row6,R1,G1,B1〜R20,G20,B20のみを拡大して表示したものである。
【0049】
同図に示す様に、1行目に属する発光ダイオードの一方の端子には、駆動信号Row1が共通接続される。
同様に、2行目から6行目に属する発光ダイオードの一方の端子には、駆動信号Row2〜Row6がそれぞれ共通接続される。
【0050】
また、各行に属する発光ダイオードのうち、1列目に属する赤色発光ダイオードの他方の端子には、それぞれ駆動信号R1が共通接続される。
同様に、2列目以降に属する発光ダイオードの他方の端子は、列毎にそれぞれ駆動信号G1〜B20が共通接続される。
この様にして図示した範囲外の発光ダイオードに対しても同様な接続がなされ、全部でn本の駆動信号Rownと3×m本の駆動信号Rm,Gm,Bmとが接続される。
【0051】
この様な構成とする事で、所望の位置の発光ダイオードを一つずつ独立に制御して発光させる事ができる。例えば、駆動信号Row1の電位をグランドとして駆動信号R1の電位をハイレベルとする事で、1行1列に配置された赤色発光ダイオードのみに電流が流れて赤色に発光する。
【0052】
図7は、LEDマトリクス駆動回路の動作と輝度制御を示す信号の波形図である。
ここでは、駆動信号Rownの接続されるn行目に属する発光ダイオードについて説明する。同図に示された輝度デジタルデータYは、0〜16の範囲の何れかの数値を持ち、この数値は期間1Tの間に発光ダイオードが発光する回数を表す。つまり、Y=0は無発光を表し、Y=1は1回発光を表し、Y=16は16回発光を表す。
【0053】
この輝度デジタルデータYは、表示する文字情報に応じてCPU23によって決定され、パルス密度変調回路24に入力される。
駆動信号Rownは、期間1Tの間に上記輝度デジタルデータYに応じた回数ローレベルとなるパルス信号としてパルス密度変調回路24によって生成される。また、同図には駆動信号R1〜B20が示されている。
【0054】
このように、発光ダイオードの一方の端子に接続された駆動信号Rownが輝度デジタルデータYで指定される回数ローレベルになる事で、駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmのうちハイレベルである信号が他方の端子に接続された発光ダイオードのみが期間1Tの間にY回発光する。
【0055】
例えば、同図において最初の期間1Tでは駆動信号R20,G20,B20がハイレベルであるため、この期間の輝度デジタルデータYに応じた回数だけ駆動信号R20,G20,B20が接続された発光ダイオードが発光する。次の期間1Tでは、駆動信号R19,G19,B19がハイレベルであるため、この期間の輝度デジタルデータYに応じた回数だけ駆動信号R19,G19,B19が接続される発光ダイオードが発光する。なお、輝度デジタルデータYの数値が大きいほど期間1Tにおける発光回数が多くなるので、その期間における輝度が高くなる。
【0056】
この様にして、CPU23が輝度デジタルデータY及び駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmを制御してパルス密度変調回路24によって所望の位置の発光ダイオードを所望の輝度で発光させるため、RGB LEDアレイディスプレイ26に文字情報等の可視情報を表示する事ができる。
【0057】
図8は、RGB LEDアレイの色相制御を示す信号の波形図である。
本車両用情報表示装置は、上記図7の期間1Tにおける発光ダイオードの赤色、緑色、青色の発光を組み合わせて、白、シアン、マゼンダ、青、黄、緑、赤の各色を表示する。
【0058】
具体的には、図8に示す様に、白は駆動信号Rm=Gm=Bm=ハイレベル、シアンは駆動信号Rm=ローレベル、駆動信号Gm=Bm=ハイレベル、マゼンダは駆動信号Rm=ハイレベル、駆動信号Gm=ローレベル、駆動信号Bm=ハイレベル、青は駆動信号Rm=Gm=ローレベル、駆動信号Bm=ハイレベル、黄は駆動信号Rm=Gm=ハイレベル、駆動信号Bm=ローレベル、緑は駆動信号Rm=ローレベル、駆動信号Gm=ハイレベル、駆動信号Bm=ローレベル、赤は駆動信号Rm=ハイレベル、駆動信号Gm=Bm=ローレベルに期間1Tの間設定する事で表示される。即ち、駆動信号の組み合わせに応じた合成色を得る事ができる。
【0059】
また、輝度データYを同時に制御すれば、基本となる赤色、緑色、青色の輝度を制御して上記以外の中間色を得る事ができる。
この様に、CPU23とパルス密度変調回路24とLEDアレイマトリクス駆動回路25とが、RGB LEDアレイディスプレイ26の発光ダイオードの発する光の輝度を制御するので、表示面に表示される色の色相が制御できる。
【0060】
図9は、RGB LEDアレイディスプレイパネルに文字情報を表示した表示例である。
同図において、駆動信号R1,G1,B1の接続される3つの発光ダイオードを一組のRGB LEDアレイC1として、同様に列方向にRGB LEDアレイC12まで表示している。また、行方向にはRow1〜Row8まで表示している。これらは、RGB LEDアレイディスプレイ26の一部である。
【0061】
同図は、所望の位置の発光ダイオードを発光させる事により“右”という文字情報40を黄色で表示する例を示している。また、下地41の色(背景色)は、黄色の補色である青色で表示する事で文字情報40の視認性を向上させている。上記図8を用いて説明した様に、黄色は駆動信号の緑信号Gm及び赤信号Rmをハイレベルに設定して発光させ、青色は駆動信号の青信号Bmのみをハイレベルに設定して発光させる。
【0062】
次に、図10、11を参照して本実施形態に係る車両用情報表示装置のその他の文字情報の表示例について説明する。
図10は、RGB LEDアレイディスプレイパネルに英語の文字情報を表示した表示例である。
この例では、自動車100に設置されたフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1に“Turn right”という英語の文字情報が表示されている。この“Turn right”という文字情報は、“右へ曲がります”という日本語の文字情報を音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22の翻訳機能により英語に変換して表示される。この様な外国語の文字情報表示機能によって、外国人に情報を伝達することができる。
【0063】
図11は、RGB LEDアレイディスプレイパネルに二ヶ国語の文字情報を表示した表示例である。
この例では、自動車100に設置されたフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の文字表示部が上下に2分割され、上部に“右へ曲がります”という日本語の文字情報が表示され、下部に“Turn right”という英語の文字情報が表示されている。同時に表示される言語は二ヶ国語に限らず、複数の言語の文字情報を表示しても良い。この様な二ヶ国語の文字情報表示機能によって、日本人と外国人に同時に情報を伝達することができる。
【0064】
このように、本発明によれば、自動車のラジエターグリルとリヤパネルに内蔵された情報表示装置の表示手段が文字情報等の可視情報を表示するので、自動車の車体に凸部を生じず、自動車の外観デザインを損ねる事なく自車の動作を外部に伝達する事ができる。また、その様な構造から、自動車の走行時における空気抵抗が増加しない。また、自動車の外形に変化が無いため、情報表示装置が破損し難い。さらに、自動車の既存のラジエターグリルとリヤパネルの代わりに本情報表示装置の表示手段を内蔵するため、自動車の重量の増加が少ない。
【0065】
また、本情報表示装置は、ウインカーランプとテールランプとブレーキランプとを備えるので、自動車の車体にそれらを備える必要がなくなり、自動車の重量の増加が少ない。
また、表示された文字情報の背景色が文字情報の表示色の補色であるために、文字情報の視認性が高い。
さらに、発光ダイオードの発する光の色相と輝度がパルス密度変調信号を用いて制御されるため、回路を小型かつ軽量にする事ができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、ディスプレイパネルの形状及びウインカーランプとテールランプの形状や位置は図1、2に示した例に限られない。また、表示される文字情報は実施形態で述べた例に限られず、表示できる外国語は英語に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルをラジエターグリルに内蔵した自動車の前部の外観図である。
【図2】同上のリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルをリヤパネルに内蔵した自動車の後部の外観図である。
【図3】同上のフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
【図4】同上のリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
【図5】同上の車両用情報表示装置のシステム構成図である。
【図6】同上のフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルのマトリクス構造図である。
【図7】同上のLEDマトリクス駆動回路の動作と輝度制御を示す信号の波形図である。
【図8】同上のRGB LEDアレイの色相制御を示す信号の波形図である。
【図9】同上のRGB LEDアレイディスプレイパネルに文字情報を表示した表示例である。
【図10】同上のRGB LEDアレイディスプレイパネルに英語の文字情報を表示した表示例である。
【図11】同上のRGB LEDアレイディスプレイパネルに二ヶ国語の文字情報を表示した表示例である。
【符号の説明】
【0068】
1;フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル、2;ウインカーランプ表示部、3;文字表示部、4;リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル、5;テールランプ表示部、6;ウインカーランプ表示部、7;文字表示部、8;赤色発光ダイオード、9;緑色発光ダイオード、10;青色発光ダイオード、11;RGB LEDアレイ、12;開口スリット、13、14;フレーム、20;音声入力用マイク、21;A/Dコンバーター、22;音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)、23;CPU、24;パルス密度変調回路、25;LEDアレイマトリックス駆動回路、26;RGB LEDアレイディスプレイ、27;ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力、28;データバス、50;制御手段、100;自動車。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動作を可視情報によって外部に伝達するための車両用情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の動作を文字で表示して後続車両に対して伝える情報表示装置が知られている。例えば、特許文献1〜3には、自動車の車体後部に後付けされた情報表示装置が自車の動作(右折、左折、停止等)を文字で表示して後続車に知らせる従来技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3500828号公報
【特許文献2】特開平8−26052号公報
【特許文献3】特開平2−254039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来技術に係る情報表示装置によれば、情報表示装置が既存の自動車に後付けされて車体外部に設置されるため、自動車の車体に対して凸部となり、自動車の外観デザインを損ねるという問題があった。また、情報表示装置によって自動車の走行時に空気抵抗が増加するという問題もあった。また、情報表示装置が車体外部にあるために破損し易いという問題もあった。さらに、情報表示装置の重量の分、自動車の重量が増加するという問題もあった。
【0004】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、車両に凸部を生じず、外観デザインを損ねる事無く自車両の動作を文字情報等の可視情報によって後続車両、対向車両、歩行者等に伝達する事のできる車両用情報表示装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用情報表示装置は、車両のラジエターに通風するための開口スリットが形成されたフレーム上に、可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のラジエターグリルに内蔵された表示手段と、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプを表示させる制御手段とを備える。
【0006】
また、本発明に係る車両用情報表示装置は、フレーム上に可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のリヤパネルに内蔵された表示手段と、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプ、又はブレーキランプ、又はテールランプの何れかを表示させる制御手段とを備える。
【0007】
上記車両用情報表示装置において、前記表示手段は、RBG LEDアレイディスプレイである事を特徴とする。
【0008】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記車両の運転者による運転操作を検出する検出手段を備え、前記検出手段が前記運転操作を検出した場合に、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記運転操作に対応した第一文字情報を表示させる事を特徴とする。
【0009】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記車両の乗員の音声を集音して電気信号に変換する集音手段と、前記電気信号を第二文字情報に変換する音声認識手段とを備え、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記第二文字情報を表示させる事を特徴とする。
【0010】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記第一文字情報又は前記第二文字情報を他の言語の文字情報に翻訳する翻訳手段を更に備え、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記他の言語の文字情報を表示させる事を特徴とする。
【0011】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に複数の言語の文字情報を同時に表示させる事を特徴とする。
【0012】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報又は前記文字情報の背景色を該可視情報又は該文字情報の表示色の補色で表示させる事を特徴とする。
【0013】
上記車両用情報表示装置において、前記制御手段は、前記発光ダイオードの発する光の輝度を制御する事により前記表示手段の表示面に表示される色の色相を制御するパルス密度変調回路を備える事を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両用情報表示装置の表示手段を自動車のラジエターグリルとリヤパネルに内蔵する様にしたので、自動車の車体に凸部が生じず、外観デザインを損ねる事無く対向車両、後続車両、歩行者に対して文字情報等の可視情報によって自車両の動作を伝達する事が出来る。また、自動車の走行時に空気抵抗の増加が無く、情報表示装置が破損し難く、自動車の重量増加が少ない情報表示装置を提供する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
ここでは、本実施形態に係る車両用情報表示装置を自動車に適用した例を説明する。
まず、図1、2を参照して本実施形態に係る車両用情報表示装置のディスプレイパネルについて説明する。本ディスプレイパネルは、自動車のラジエターグリル部及びリヤパネル部に内蔵される事を特徴としている。
【0016】
図1は、フロント用RGB(Red Green Blue) LED(Light Emitted Diode;発光ダイオード)アレイディスプレイパネルをラジエターグリルに内蔵した自動車の前部の外観図である。
同図において、1は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル、2は、ウインカーランプ表示部、3は、文字表示部、100は、自動車である。
【0017】
フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、赤色発光ダイオードと緑色発光ダイオードと青色発光ダイオードとを同一面上にそれぞれ複数個規則的にマトリクス状に配列して構成されているため、所望の位置の発光ダイオードが発光する事で文字情報等の可視情報をカラー表示する事が可能である。本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の詳細な構成に関しては後述する。
【0018】
また、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、自動車100の前部のラジエターグリルに内蔵されるため、自動車の車体に凸部が生じず自動車の外観デザインを損ねる事が無い。
また、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、後述する様に開口スリットが発光ダイオード間に設けられているため、自動車のラジエターグリル部分に取り付けられた状態でラジエターに通風する事ができる。
【0019】
さらに、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、左右両側にウインカーランプ表示部2を備え、中央に文字表示部3を備える。これらウインカーランプ表示部2と文字表示部3とは、前述した複数の発光ダイオードによって構成されるものであって構造に差異は無く、ウインカーランプ表示部2は、複数の発光ダイオードの一部が発光する事によってウインカーランプとして機能する。この様な構成により、例えば自動車の右折時に、運転者はウインカー操作によって運転者から見て右側に備えられたウインカーランプ表示部2を橙色で点滅させ、中央の文字表示部3に“右折します”という文字情報を表示させる事ができる。
【0020】
図2は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルをリヤパネルに内蔵した自動車の後部の外観図である。
同図において、4は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル、5は、テールランプ表示部、6は、ウインカーランプ表示部、7は、文字表示部、100は、自動車である。
【0021】
リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4は、上述のフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1と同じく複数個の赤色、緑色、青色発光ダイオードを同一面上にそれぞれ複数個規則的にマトリクス状に配列して構成されているため、所望の位置の発光ダイオードが発光する事で文字情報等の可視情報をカラー表示する事が可能である。また、本リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4は、表示面を外部に向けて自動車100の後部のリヤパネルに内蔵されるため、自動車の車体に凸部が生じず自動車の外観デザインを損ねる事が無い。
【0022】
また、本リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4は、左右両側にそれぞれテールランプ表示部5及びウインカーランプ表示部6を備え、中央に文字表示部7を備える。テールランプ表示部5は、発光の際の輝度の違いによりブレーキランプ表示部としての機能もあわせ持つ。これらテールランプ表示部5とウインカーランプ表示部6と文字表示部7とは、前述した複数の発光ダイオードによって構成されるものであって構造に差異は無い。例えばテールランプ表示部5とウインカーランプ表示部6は、複数の発光ダイオードの一部がそれぞれ発光する事によってテールランプ又はウインカーランプとして機能する。
【0023】
この様な構成により、例えば自動車の右折時に、運転者はウインカー操作によって運転者から見て右側に備えられたウインカーランプ表示部6を橙色で点滅させ、中央の文字表示部7に“右折します”という文字情報を表示させる事ができる。
また、運転者がブレーキを踏んだ時にはテールランプ表示部5が輝度の高い赤色等に発光し、中央の文字表示部7が例えば“停止します”等の文字情報を表示する。さらに、運転者がテールランプスイッチをオンした時にはテールランプ表示部5が輝度の低い赤色等に発光する。
【0024】
次に、図3、4を参照してRGB LEDアレイディスプレイパネルの構造を詳細に説明する。
図3は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
同図において、1は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル、8は、赤色発光ダイオード、9は、緑色発光ダイオード、10は、青色発光ダイオード、11は、RGB LEDアレイ、12は、開口スリット、13は、フレームである。
【0025】
フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1は、赤色発光ダイオード8と、緑色発光ダイオード9と、青色発光ダイオード10とによって構成されるRGB LEDアレイ11をフレーム13上に行方向に複数個配列して形成された行を列方向に複数配列して形成され、発光ダイオードをマトリクス状に配列した構成を有している。
【0026】
また、フレーム13には、発光ダイオードの配列した各行の間に開口スリット12が形成される。この開口スリット12は、外気を導入する通風口として機能するので、本フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1をラジエターグリルに内蔵してもラジエターに通風できる。なお、同図はフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の一部を拡大表示しているにすぎず、全体ではRGB LEDアレイ11は複数個備えられる。
【0027】
図4は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
同図において、4は、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル、8は、赤色発光ダイオード、9は、緑色発光ダイオード、10は、青色発光ダイオード、11は、RGB LEDアレイ、14は、フレームである。
リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4においても、発光ダイオードはフレーム14上にフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1と同一に配列されている
【0028】
次に、図5を参照して本実施形態に係る車両用情報表示装置の構成と動作について説明する。
図5は、車両用情報表示装置のシステム構成図である。
本車両用情報表示装置は、音声入力用マイク20、A/Dコンバーター21、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22、CPU(Central Processing Unit)23、パルス密度変調回路24、LEDアレイマトリックス駆動回路25、RGB LEDアレイディスプレイ26、ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27、データバス28から構成される。
【0029】
ここで、音声入力用マイク20は、A/Dコンバーター21に接続され、自動車の乗員が発する音声を集音してアナログ電気信号に変換するものである。
A/Dコンバーター21は、音声入力用マイク20の出力信号であるアナログ電気信号を、デジタル信号に変換するものである。なお、音声入力用マイク20とA/Dコンバーター21を1チップ化したシリコンマイクを用いれば、部品点数を削減できる。
この音声入力用マイク20、A/Dコンバーター21は、本発明における集音手段として働く。
【0030】
音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22は、音声認識機能と翻訳機能とを備えるものである。音声認識機能は、A/Dコンバーター21の出力信号であるデジタル信号を音声認識処理して文字情報(第二文字情報)に変換する機能である。翻訳機能は、電子辞書を備え、入力された文字情報を他の言語の文字情報に翻訳する機能である。これらは、一般的には専用のROMを用いる事で実現できる。
この音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22は、本発明における音声認識手段及び翻訳手段として働く。
【0031】
CPU23は、各部の制御を行い、信号処理を行って可視情報表示用の輝度デジタルデータY及び色デジタルデータR,G,Bを演算するものである。
これら音声入力用マイク20と、A/Dコンバーター21と、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22と、CPU23とで音声入力装置を構成する。
【0032】
ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27は、自動車に備えられたギア(発進又は後退表示用)又はウインカーレバー(右折及び左折表示用)又はブレーキペダル(停止表示用)又はアクセルペダル(発進表示用)の何れかの運転者による運転操作を検出した場合に、それぞれの運転操作に対応する検出信号をCPU23に対して出力するものである。
このギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27は、本発明における検出手段として働く。
【0033】
パルス密度変調(PDM;Pulse Density Modulation)回路24は、CPU23から入力された可視情報表示用の輝度デジタルデータY及び色デジタルデータR,G,Bをパルス密度変調してLEDアレイマトリックス駆動回路25に出力するものである。
【0034】
LEDアレイマトリックス駆動回路25は、パルス密度変調回路24からの出力信号をn本の駆動信号Row1,Row2,・・・,Rown及び3×m本の駆動信号R1,G1,B1,・・・,Rm,Gm,BmとしてRGB LEDアレイディスプレイ26に出力するものである。
【0035】
上述の音声入力用マイク20、A/Dコンバーター21、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22、CPU23、パルス密度変調回路24、LEDアレイマトリックス駆動回路25、ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27、データバス28は、本発明における制御手段50として働く。
【0036】
RGB LEDアレイディスプレイ26は、上記駆動信号を入力し、それに基づいて発光ダイオードが発光して文字情報等の可視情報を表示するものである。本システム構成図においては、図1、2を用いて説明したフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1とリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4とをまとめてRGB LEDアレイディスプレイ26として示している。
このRGB LEDアレイディスプレイ26は、本発明における表示手段として働く。
【0037】
前述したパルス密度変調回路24は、LEDアレイマトリクス駆動回路25と組み合わせてRGB LEDアレイディスプレイ26の発光ダイオードの発する光の輝度をデジタル制御して、表示される色の色相を制御する。
A/Dコンバーター21、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22、CPU23、ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27、パルス密度変調回路24は、データバス28を介して相互に接続され、上述したデータの受け渡しが行われる。
【0038】
次に、本車両用情報表示装置の動作を説明する。
まず、自動車の運転者が所定の運転操作を行った場合に、その運転操作に対応する文字情報等の可視情報をRGB LEDアレイディスプレイパネルに表示する動作について説明する。
運転者がウインカーレバーを操作して右折する場合を一例として説明すると、最初にギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力27はウインカーレバーの右折操作を検出して、検出信号を出力する。
【0039】
その検出信号はCPU23に入力され、CPU23はフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1のウインカーランプ表示部2と、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4のウインカーランプ表示部6に右折表示を行うための色デジタルデータR,G,B及び輝度デジタルデータYを演算してパルス密度変調回路24に出力する。また、CPU23は、上記の処理と共に“右折します”という文字情報(第一文字情報)を表示させるための色デジタルデータR,G,B及び輝度デジタルデータYを演算してパルス密度変調回路24に出力する。パルス密度変調回路24は、輝度デジタルデータYをパルス密度変調して、LEDアレイマトリックス駆動回路25へ出力する。
【0040】
LEDアレイマトリックス駆動回路25は、パルス密度変調された信号を駆動信号Row1〜RownとしてRGB LEDアレイディスプレイ26(つまり、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1及びリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4)に出力する。LEDアレイマトリックス駆動回路25は、同時に色デジタルデータR,G,Bに対応する駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,BmもRGB LEDアレイディスプレイ26に出力する。なお、これらの駆動信号に基づくRGB LEDアレイディスプレイ26の表示方法の詳細については、後述する。
【0041】
そして、上記駆動信号に基づいて、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の所望の位置の発光ダイオードが発光して、左側のウインカーランプ表示部2は橙色で点滅し、文字表示部3は所定の色で“右折します”という文字情報を表示する。また、同様にリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4の所望の位置の発光ダイオードが発光して、左側のウインカーランプ表示部6は橙色で点滅し、文字表示部7は所定の色で“右折します”という文字情報を表示する。
【0042】
また、運転者がブレーキペダル、ギア、アクセルペダルの何れかを操作した場合も、本車両用情報表示装置は、上述のウインカー操作時と同様な動作をする事でそれぞれの操作に対応した文字情報等を表示する。
【0043】
次に、自動車の乗員の音声を文字情報としてRGB LEDアレイディスプレイパネルに表示する動作について説明する。
先ず、音声入力用マイク20は、自動車の乗員が発した音声を集音してアナログ電気信号に変換する。次にA/Dコンバーター21は、そのアナログ電気信号をデジタル信号に変換して音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22に出力する。
【0044】
次に、音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22は、CPU23の制御に基づいて音声認識機能により上記デジタル信号を文字情報(第二文字情報)に変換する。そして、CPU23は、その文字情報に応じた色デジタルデータR,G,B及び輝度デジタルデータYを演算してパルス密度変調回路24に出力する。
【0045】
パルス密度変調回路24は、輝度デジタルデータYをパルス密度変調して、LEDアレイマトリックス駆動回路25へ出力する。LEDアレイマトリックス駆動回路25は、パルス密度変調された輝度デジタルデータYを駆動信号Row1〜RownとしてRGB LEDアレイディスプレイ26に出力する。LEDアレイマトリックス駆動回路は、色デジタルデータR,G,Bに対応する駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmも同時に出力する。
【0046】
そして、RGB LEDアレイディスプレイ26(つまり、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1及びリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4)は、駆動信号Row1〜Rown及び駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmによって所望の位置の発光ダイオードを発光させる事で運転者の発した音声の文字情報を表示して、運転者の意思を外部に示す。
【0047】
次に、図6〜9を参照してRGB LEDアレイディスプレイ26の制御方法について詳細に説明する。ここでは、RGB LEDアレイディスプレイ26として、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1を例に挙げて説明するが、リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル4の場合も同一である。
【0048】
図6は、フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルのマトリクス構造図である。同図は、前述したフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の一部分であるRow1〜Row6,R1,G1,B1〜R20,G20,B20のみを拡大して表示したものである。
【0049】
同図に示す様に、1行目に属する発光ダイオードの一方の端子には、駆動信号Row1が共通接続される。
同様に、2行目から6行目に属する発光ダイオードの一方の端子には、駆動信号Row2〜Row6がそれぞれ共通接続される。
【0050】
また、各行に属する発光ダイオードのうち、1列目に属する赤色発光ダイオードの他方の端子には、それぞれ駆動信号R1が共通接続される。
同様に、2列目以降に属する発光ダイオードの他方の端子は、列毎にそれぞれ駆動信号G1〜B20が共通接続される。
この様にして図示した範囲外の発光ダイオードに対しても同様な接続がなされ、全部でn本の駆動信号Rownと3×m本の駆動信号Rm,Gm,Bmとが接続される。
【0051】
この様な構成とする事で、所望の位置の発光ダイオードを一つずつ独立に制御して発光させる事ができる。例えば、駆動信号Row1の電位をグランドとして駆動信号R1の電位をハイレベルとする事で、1行1列に配置された赤色発光ダイオードのみに電流が流れて赤色に発光する。
【0052】
図7は、LEDマトリクス駆動回路の動作と輝度制御を示す信号の波形図である。
ここでは、駆動信号Rownの接続されるn行目に属する発光ダイオードについて説明する。同図に示された輝度デジタルデータYは、0〜16の範囲の何れかの数値を持ち、この数値は期間1Tの間に発光ダイオードが発光する回数を表す。つまり、Y=0は無発光を表し、Y=1は1回発光を表し、Y=16は16回発光を表す。
【0053】
この輝度デジタルデータYは、表示する文字情報に応じてCPU23によって決定され、パルス密度変調回路24に入力される。
駆動信号Rownは、期間1Tの間に上記輝度デジタルデータYに応じた回数ローレベルとなるパルス信号としてパルス密度変調回路24によって生成される。また、同図には駆動信号R1〜B20が示されている。
【0054】
このように、発光ダイオードの一方の端子に接続された駆動信号Rownが輝度デジタルデータYで指定される回数ローレベルになる事で、駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmのうちハイレベルである信号が他方の端子に接続された発光ダイオードのみが期間1Tの間にY回発光する。
【0055】
例えば、同図において最初の期間1Tでは駆動信号R20,G20,B20がハイレベルであるため、この期間の輝度デジタルデータYに応じた回数だけ駆動信号R20,G20,B20が接続された発光ダイオードが発光する。次の期間1Tでは、駆動信号R19,G19,B19がハイレベルであるため、この期間の輝度デジタルデータYに応じた回数だけ駆動信号R19,G19,B19が接続される発光ダイオードが発光する。なお、輝度デジタルデータYの数値が大きいほど期間1Tにおける発光回数が多くなるので、その期間における輝度が高くなる。
【0056】
この様にして、CPU23が輝度デジタルデータY及び駆動信号R1,G1,B1〜Rm,Gm,Bmを制御してパルス密度変調回路24によって所望の位置の発光ダイオードを所望の輝度で発光させるため、RGB LEDアレイディスプレイ26に文字情報等の可視情報を表示する事ができる。
【0057】
図8は、RGB LEDアレイの色相制御を示す信号の波形図である。
本車両用情報表示装置は、上記図7の期間1Tにおける発光ダイオードの赤色、緑色、青色の発光を組み合わせて、白、シアン、マゼンダ、青、黄、緑、赤の各色を表示する。
【0058】
具体的には、図8に示す様に、白は駆動信号Rm=Gm=Bm=ハイレベル、シアンは駆動信号Rm=ローレベル、駆動信号Gm=Bm=ハイレベル、マゼンダは駆動信号Rm=ハイレベル、駆動信号Gm=ローレベル、駆動信号Bm=ハイレベル、青は駆動信号Rm=Gm=ローレベル、駆動信号Bm=ハイレベル、黄は駆動信号Rm=Gm=ハイレベル、駆動信号Bm=ローレベル、緑は駆動信号Rm=ローレベル、駆動信号Gm=ハイレベル、駆動信号Bm=ローレベル、赤は駆動信号Rm=ハイレベル、駆動信号Gm=Bm=ローレベルに期間1Tの間設定する事で表示される。即ち、駆動信号の組み合わせに応じた合成色を得る事ができる。
【0059】
また、輝度データYを同時に制御すれば、基本となる赤色、緑色、青色の輝度を制御して上記以外の中間色を得る事ができる。
この様に、CPU23とパルス密度変調回路24とLEDアレイマトリクス駆動回路25とが、RGB LEDアレイディスプレイ26の発光ダイオードの発する光の輝度を制御するので、表示面に表示される色の色相が制御できる。
【0060】
図9は、RGB LEDアレイディスプレイパネルに文字情報を表示した表示例である。
同図において、駆動信号R1,G1,B1の接続される3つの発光ダイオードを一組のRGB LEDアレイC1として、同様に列方向にRGB LEDアレイC12まで表示している。また、行方向にはRow1〜Row8まで表示している。これらは、RGB LEDアレイディスプレイ26の一部である。
【0061】
同図は、所望の位置の発光ダイオードを発光させる事により“右”という文字情報40を黄色で表示する例を示している。また、下地41の色(背景色)は、黄色の補色である青色で表示する事で文字情報40の視認性を向上させている。上記図8を用いて説明した様に、黄色は駆動信号の緑信号Gm及び赤信号Rmをハイレベルに設定して発光させ、青色は駆動信号の青信号Bmのみをハイレベルに設定して発光させる。
【0062】
次に、図10、11を参照して本実施形態に係る車両用情報表示装置のその他の文字情報の表示例について説明する。
図10は、RGB LEDアレイディスプレイパネルに英語の文字情報を表示した表示例である。
この例では、自動車100に設置されたフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1に“Turn right”という英語の文字情報が表示されている。この“Turn right”という文字情報は、“右へ曲がります”という日本語の文字情報を音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)22の翻訳機能により英語に変換して表示される。この様な外国語の文字情報表示機能によって、外国人に情報を伝達することができる。
【0063】
図11は、RGB LEDアレイディスプレイパネルに二ヶ国語の文字情報を表示した表示例である。
この例では、自動車100に設置されたフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル1の文字表示部が上下に2分割され、上部に“右へ曲がります”という日本語の文字情報が表示され、下部に“Turn right”という英語の文字情報が表示されている。同時に表示される言語は二ヶ国語に限らず、複数の言語の文字情報を表示しても良い。この様な二ヶ国語の文字情報表示機能によって、日本人と外国人に同時に情報を伝達することができる。
【0064】
このように、本発明によれば、自動車のラジエターグリルとリヤパネルに内蔵された情報表示装置の表示手段が文字情報等の可視情報を表示するので、自動車の車体に凸部を生じず、自動車の外観デザインを損ねる事なく自車の動作を外部に伝達する事ができる。また、その様な構造から、自動車の走行時における空気抵抗が増加しない。また、自動車の外形に変化が無いため、情報表示装置が破損し難い。さらに、自動車の既存のラジエターグリルとリヤパネルの代わりに本情報表示装置の表示手段を内蔵するため、自動車の重量の増加が少ない。
【0065】
また、本情報表示装置は、ウインカーランプとテールランプとブレーキランプとを備えるので、自動車の車体にそれらを備える必要がなくなり、自動車の重量の増加が少ない。
また、表示された文字情報の背景色が文字情報の表示色の補色であるために、文字情報の視認性が高い。
さらに、発光ダイオードの発する光の色相と輝度がパルス密度変調信号を用いて制御されるため、回路を小型かつ軽量にする事ができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、ディスプレイパネルの形状及びウインカーランプとテールランプの形状や位置は図1、2に示した例に限られない。また、表示される文字情報は実施形態で述べた例に限られず、表示できる外国語は英語に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルをラジエターグリルに内蔵した自動車の前部の外観図である。
【図2】同上のリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルをリヤパネルに内蔵した自動車の後部の外観図である。
【図3】同上のフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
【図4】同上のリヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネルの構造図である。
【図5】同上の車両用情報表示装置のシステム構成図である。
【図6】同上のフロント用RGB LEDアレイディスプレイパネルのマトリクス構造図である。
【図7】同上のLEDマトリクス駆動回路の動作と輝度制御を示す信号の波形図である。
【図8】同上のRGB LEDアレイの色相制御を示す信号の波形図である。
【図9】同上のRGB LEDアレイディスプレイパネルに文字情報を表示した表示例である。
【図10】同上のRGB LEDアレイディスプレイパネルに英語の文字情報を表示した表示例である。
【図11】同上のRGB LEDアレイディスプレイパネルに二ヶ国語の文字情報を表示した表示例である。
【符号の説明】
【0068】
1;フロント用RGB LEDアレイディスプレイパネル、2;ウインカーランプ表示部、3;文字表示部、4;リヤ用RGB LEDアレイディスプレイパネル、5;テールランプ表示部、6;ウインカーランプ表示部、7;文字表示部、8;赤色発光ダイオード、9;緑色発光ダイオード、10;青色発光ダイオード、11;RGB LEDアレイ、12;開口スリット、13、14;フレーム、20;音声入力用マイク、21;A/Dコンバーター、22;音声認識及び翻訳デコーダー(ROM)、23;CPU、24;パルス密度変調回路、25;LEDアレイマトリックス駆動回路、26;RGB LEDアレイディスプレイ、27;ギア、ウインカーレバー、ブレーキペダル、アクセルペダル入力、28;データバス、50;制御手段、100;自動車。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のラジエターに通風するための開口スリットが形成されたフレーム上に、可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のラジエターグリルに内蔵された表示手段と、
前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプを表示させる制御手段と
を備える車両用情報表示装置。
【請求項2】
フレーム上に可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のリヤパネルに内蔵された表示手段と、
前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプ、又はブレーキランプ、又はテールランプの何れかを表示させる制御手段と
を備える車両用情報表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、RBG LEDアレイディスプレイである事を特徴とする請求項1又は2に記載の車両用情報表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記車両の運転者による運転操作を検出する検出手段を備え、
前記検出手段が前記運転操作を検出した場合に、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記運転操作に対応した第一文字情報を表示させる事を特徴とする請求項1ないし3の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記車両の乗員の音声を集音して電気信号に変換する集音手段と、
前記電気信号を第二文字情報に変換する音声認識手段とを備え、
前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記第二文字情報を表示させる事を特徴とする請求項1ないし4の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第一文字情報又は前記第二文字情報を他の言語の文字情報に翻訳する翻訳手段を更に備え、
前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記他の言語の文字情報を表示させる事を特徴とする請求項4ないし5の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に複数の言語の文字情報を同時に表示させる事を特徴とする請求項6に記載の車両用情報表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報又は前記文字情報の背景色を該可視情報又は該文字情報の表示色の補色で表示させる事を特徴とする請求項1ないし7の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記発光ダイオードの発する光の輝度を制御する事により前記表示手段の表示面に表示される色の色相を制御するパルス密度変調回路を備える事を特徴とする請求項1ないし8の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項1】
車両のラジエターに通風するための開口スリットが形成されたフレーム上に、可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のラジエターグリルに内蔵された表示手段と、
前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプを表示させる制御手段と
を備える車両用情報表示装置。
【請求項2】
フレーム上に可視情報を発光により表示する複数の発光ダイオードを配列してなり、表示面を前記車両の外部に向けて該車両のリヤパネルに内蔵された表示手段と、
前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報としてウインカーランプ、又はブレーキランプ、又はテールランプの何れかを表示させる制御手段と
を備える車両用情報表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、RBG LEDアレイディスプレイである事を特徴とする請求項1又は2に記載の車両用情報表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記車両の運転者による運転操作を検出する検出手段を備え、
前記検出手段が前記運転操作を検出した場合に、前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記運転操作に対応した第一文字情報を表示させる事を特徴とする請求項1ないし3の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記車両の乗員の音声を集音して電気信号に変換する集音手段と、
前記電気信号を第二文字情報に変換する音声認識手段とを備え、
前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記第二文字情報を表示させる事を特徴とする請求項1ないし4の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第一文字情報又は前記第二文字情報を他の言語の文字情報に翻訳する翻訳手段を更に備え、
前記制御手段が、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記他の言語の文字情報を表示させる事を特徴とする請求項4ないし5の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に複数の言語の文字情報を同時に表示させる事を特徴とする請求項6に記載の車両用情報表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記発光ダイオードの発光を制御して前記表示手段の表示面に前記可視情報又は前記文字情報の背景色を該可視情報又は該文字情報の表示色の補色で表示させる事を特徴とする請求項1ないし7の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記発光ダイオードの発する光の輝度を制御する事により前記表示手段の表示面に表示される色の色相を制御するパルス密度変調回路を備える事を特徴とする請求項1ないし8の何れか1項記載の車両用情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−81048(P2008−81048A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265895(P2006−265895)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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