説明

車両用灯具の半導体型光源の駆動回路、車両用灯具

【課題】従来の車両用灯具では、回路が複雑になる。
【解決手段】この発明は、半導体型光源が直列に接続されている4個の発光チップ41〜44からなる。4個の発光チップ41〜44が、テールランプ機能の2個の発光チップ43、44と、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44と、にグループ化されている。テールランプ機能の発光チップ43、44とストップランプ機能の発光チップ41〜44とは、それぞれ駆動電流が供給される。この結果、この発明は、テールランプ機能の2個に減らされた発光チップ43、44への供給電流を、安定点灯領域まで増加させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とし、かつ、複数のランプ機能を有する車両用灯具の半導体型光源の駆動回路に関するものである。また、この発明は、半導体型光源を光源とし、かつ、複数のランプ機能を有する車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、複数のLEDチップがテールランプのグループとストップランプのグループとに分けられていて、テールランプのグループのLEDチップとストップランプのグループのLEDチップとが並列に接続されている。テールランプのグループのLEDチップに電流を供給すると、テールランプのグループのLEDチップが発光してテールランプが点灯する。ストップランプのグループのLEDチップに電流を供給すると、ストップランプのグループのLEDチップが発光してストップランプが点灯する。
【0003】
ところが、従来の車両用灯具は、テールランプのグループのLEDチップとストップランプのグループのLEDチップとが並列に接続されているので、回路が複雑となるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−176219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用灯具では、回路が複雑になるという課題があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源が直列に接続されている複数の発光チップからなり、複数の発光チップが複数のランプ機能ごとに発光チップの個数を変えてグループ化されていて、各グループの発光チップには抵抗が複数のランプ機能ごとにそれぞれ対応して直列に接続されていて、各グループの発光チップには各グループの発光チップに対応する抵抗を経て駆動電流が供給される、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、半導体型光源が直列に接続されている複数の発光チップからなり、複数の発光チップがテールランプ機能の一部の発光チップとストップランプ機能の全部の発光チップとにグループ化されていて、テールランプ機能のグループの発光チップにはテールランプ機能の抵抗が直列に接続されていて、ストップランプ機能のグループの発光チップにはストップランプ機能の抵抗が直列に接続されていて、テールランプ機能のグループの発光チップにはテールランプ機能の抵抗を経て駆動電流が供給され、ストップランプ機能のグループの発光チップにはストップランプ機能の抵抗を経て駆動電流が供給される、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていてかつ直列に接続されている複数の発光チップからなる半導体型光源を光源とする光源ユニットと、光源ユニットの半導体型光源の駆動回路であって前記の請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、この発明(請求項4にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていてかつ直列に接続されている複数の発光チップからなる半導体型光源を光源とする光源ユニットと、光源ユニットの半導体型光源の駆動回路であって前記の請求項2に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1、2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、複数の発光チップを直列に接続するので、回路が簡単になる。
【0011】
しかも、この発明(請求項1、2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、直列に接続されている複数の発光チップがランプ機能ごとに個数を変えて発光するものである。このために、この発明(請求項1、2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、あるランプ機能(テールランプ機能)点灯時において発光させる発光チップの数を、直列に接続されている複数の発光チップから任意の個数の発光チップに減らすことができる。これにより、この発明(請求項1、2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、あるランプ機能(テールランプ機能)の減らされた発光チップへの供給電流を、安定点灯領域まで増加させることができる。
【0012】
また、この発明(請求項3、4にかかる発明)の車両用灯具は、1灯の灯室内に配置されている光源ユニットの複数の発光チップを、前記の請求項1、2にかかる発明の駆動回路により発光させるものであるから、1灯のランプレンズが複数のランプ機能(テールランプ機能と、テールランプ機能より明るいストップランプ機能)ごとに発光する。これにより、この発明(請求項3、4にかかる発明)の車両用灯具は、1灯のランプレンズの発光面積が変わらずに明るさが変わって複数のランプ機能(テールランプ機能、ストップランプ機能)が得られるので、1灯のランプレンズの発光時の見栄えが向上される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源の駆動回路の実施例を示す電気回路図である。
【図2】図2は、複数の発光チップのうち全部の発光チップをテールランプ機能とストップランプ機能とに使用する例を示す電気回路図である。
【図3】図3は、発光チップの電流と光束との特性を示す説明図である。
【図4】図4は、この発明にかかる車両用灯具の実施例を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図5】図5は、同じく、テールランプ機能の点灯状態を示す説明図である。
【図6】図6は、同じく、ストップランプ機能の点灯状態を示す説明図である。
【図7】図7は、同じく、光源ユニットのカバーを取り除いた状態の光源部およびソケット部を示す平面図(上から見た図)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源の駆動回路の実施例およびこの発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
以下、この実施例における車両用灯具の半導体型光源の駆動回路およびこの実施例における車両用灯具の構成について説明する。図4において、符号100は、この実施例における車両用灯具である。
【0016】
(車両用灯具100の説明)
前記車両用灯具100は、この例では1灯式のテール・ストップランプである。すなわち、前記車両用灯具100は、1灯(1個のランプ、1個の灯具)でテールランプ機能(図5参照)とストップランプ機能(図6参照)とを併用するものである。前記車両用灯具100は、車両(図示せず)の後部の左右にそれぞれ装備される。前記車両用灯具100は、図示しない他のランプ機能(たとえば、バックアップランプ機能)と組み合わせられてリヤコンビネーションランプを構成する場合がある。
【0017】
前記車両用灯具100は、図4に示すように、ランプハウジング101およびランプレンズ102およびリフレクタ103と、半導体型光源を光源とする光源ユニット1と、前記光源ユニット1の前記半導体型光源の駆動回路、すなわち、この実施例における車両用灯具の半導体型光源の駆動回路2(図1参照)と、を備えるものである。
【0018】
前記ランプハウジング101は、たとえば、光不透過性の部材(例えば、樹脂部材)から構成されている。前記ランプハウジング101は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記ランプハウジング101の閉塞部には、透孔104が設けられている。
【0019】
前記ランプレンズ102は、たとえば、不透過性の部材(例えば、透明樹脂部材やガラス部材)から構成されている。前記ランプレンズ102は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記ランプレンズ102の開口部の周縁部と前記ランプハウジング101の開口部の周縁部とは、水密に固定されている。前記ランプハウジング101および前記ランプレンズ102により、灯室105が区画されている。
【0020】
前記リフレクタ103は、前記灯室105内に配置されていて、かつ、前記ランプハウジング101などに固定されている。前記リフレクタ103は、たとえば、光不透過性の部材(例えば、樹脂部材や金属部材)から構成されている。前記リフレクタ103は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記リフレクタ103の閉塞部には、透孔106が前記ランプハウジング101の前記透孔104と連通するように設けられている。前記リフレクタ103の内面には、反射面107が設けられている。なお、前記リフレクタ103は、前記ランプハウジング101と別個の部材からなるものであるが、ランプハウジングと一体のリフレクタの場合であっても良い。この場合においては、ランプハウジングの一部に反射面を設けてリフレクタ機能を設けるものである。
【0021】
(光源ユニット1の説明)
前記光源ユニット1は、図4に示すように、光源部10と、ソケット部11と、カバー部12と、を備える。前記光源部10および前記カバー部12は、前記ソケット部11の一端部(上端部)に取り付けられている。前記光源部10は、前記カバー部12によりカバーされている。
【0022】
前記光源ユニット1は、前記車両用灯具100に装備されている。すなわち、前記ソケット部11が前記ランプハウジング101に防水パッキン(Oリング)108を介して水密性にかつ着脱可能に取り付けられている。前記光源部10および前記カバー部12が前記ランプハウジング101の前記透孔104および前記リフレクタ103の前記透孔106を経て前記灯室105内であって、前記リフレクタ103の前記反射面107側に配置されている。
【0023】
前記光源部10は、図1、図7に示すように、基板3と、複数個この例では4個の発光チップ41、42、43、44からなる前記半導体型光源と、2個の抵抗51、52および2個のダイオード53、54と、配線6と、を備えるものである。前記基板3は、平面(上)から見てほぼ八角形をなす。前記基板3の平面(上面)には、高反射塗料や高反射蒸着などの高反射面(図示せず)が設けられている。前記4個の発光チップ41〜44および前記2個の抵抗51、52および前記2個のダイオード53、54および前記配線6は、前記基板3の一面(上面)に、実装、印刷、蒸着などにより、設けられている。なお、図7においては、前記光源部10の前記基板3と前記4個の発光チップ41〜44を図示し、前記2個の抵抗51、52と前記2個のダイオード53、54と前記配線6の図示を省略してある。
【0024】
前記4個の発光チップ41〜44からなる前記半導体型光源は、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記発光チップ41〜44は、平面(上)から見て微小な矩形(正方形もしくは長方形)形状の半導体チップ(光源チップ)からなり、この例では、ベアチップからなる。前記4個の発光チップ41〜44は、光学系の前記リフレクタ103の焦点F、および、前記光源ユニット1の前記ソケット部11の中心(取付回転中心)O近傍に1列に配置されている。
【0025】
前記4個の発光チップ41〜44は、テールランプ機能の一部(この例では2個)の発光チップ43、44と、ストップランプ機能の全部(この例では4個)の発光チップ41〜44と、にグループ化されている。1列に配置されている前記4個の発光チップ41〜44のうちの中の2個の発光チップ43、44は、前記テールランプ機能と前記ストップランプ機能とに兼用される。1列に配置されている前記4個の発光チップ41〜44のうちの両端(両外側)の2個の発光チップ41、42は、前記ストップランプ機能のみに使用される。前記ストップランプ機能と兼用の前記テールランプ機能(以下、単に「テールランプ機能」と称する)の2個の発光チップ43、44は、前記ストップランプ機能のみの2個の発光チップ41、42の間に配置されている。
【0026】
前記ソケット部11は、図7に示すように、絶縁部材7と、放熱部材8と、3本の給電部材91、92、93とが一体に取り付けられてなるものである。すなわち、絶縁性を有する前記絶縁部材7中には、熱伝導性と導電性を有する前記放熱部材8と、導電性を有する前記給電部材91〜93とが、相互に絶縁状態で一体に組み込まれているものである。
【0027】
前記放熱部材8は、一端部(上端部)が平板形状をなし、中間部から他端部(下端部)にかけてフィン形状をなす。前記放熱部材8の一端部の上面には、前記光源部10の前記基板3の他面(下面)が直接取り付けられている。前記給電部材91〜93の一端部(上端部)は、前記光源部10の前記基板3の前記配線6に電気的に接続されている。このようにして、前記光源部10は、円筒形状の前記ソケット部11の一端部(一端開口部)に取り付けられることとなる。
【0028】
前記カバー部12は、光透過性部材からなる。前記カバー部12には、前記4個の発光チップ41〜44からの光を光学制御して射出するプリズムなどの光学制御部(図示せず)が設けられている。前記カバー部12は、図4に示すように、前記光源部10をカバーするように、円筒形状の前記ソケット部11の一端部(一端開口部)に取り付けられている。前記カバー部12は、前記4個の発光チップ41〜44を外からの影響、たとえば、他のものが接触したり、塵埃が付着したりするのを防ぐものである。すなわち、前記カバー部12は、前記4個の発光チップ41〜44を外乱から保護するものである。
【0029】
前記ソケット部11の前記絶縁部材7は、図4、図7に示すように、円筒形状をなす。前記絶縁部材7には、取付部70が設けられている。前記取付部70は、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に装備するものである。すなわち、前記取付部70は、前記ソケット部11の前記カバー12側の一部を前記ランプハウジング101の前記透孔104中に挿入して、その状態で、前記ソケット部11を中心O軸回りに回転させることにより、前記ソケット部11が前記ランプハウジング101に防水パッキン108を介して水密性にかつ着脱可能に取り付けられるためのものである。
【0030】
前記ソケット部11の他端部(下端部)には、光源側のコネクタ部13が一体に設けられている。図1に示すように、前記コネクタ部13には、オスターミナル(おす型端子)910、920、930が設けられている。前記オスターミナル910〜930は、前記給電部材91〜93の他端部(下端部)からなるものである。
【0031】
(駆動回路2の説明)
前記ソケット部11の前記コネクタ部13には、電源側のコネクタ14が機械的に着脱可能にかつ電気的に断続可能に取り付けられている。図1に示すように、前記コネクタ14には、前記コネクタ部13の前記オスターミナル910〜930に電気的に断続するメスターミナル(めす型端子)141、142、143が設けられている。前記コネクタ14を前記コネクタ部13に取り付けることにより、前記メスターミナル141〜143が前記オスターミナル910〜930に電気的に接続する。また、前記コネクタ14を前記コネクタ部13から取り外すことにより、前記メスターミナル141〜143と前記オスターミナル910〜930との電気的接続が遮断される。
【0032】
図1、図4に示すように、前記コネクタ14の前記第1メスターミナル141および前記第2メスターミナル142は、ハーネス144、145およびスイッチSWを介して電源(直流電源のバッテリー)15に接続されている。前記コネクタ14の前記第3メスターミナル143は、ハーネス146を介してアースされている(グランドされている)。前記スイッチSWは、可動接点150と、第1固定接点151と、第2固定接点152と、第3固定接点153と、共通固定接点154と、からなる3位置切替スイッチである。
【0033】
図1の電気回路図に示すように、前記4個の発光チップ41〜44は、前記第2給電部材92の前記第2オスターミナル920と前記第3給電部材93の前記第3オスターミナル930との間に設けられている配線6において、順方向に直列に接続されている。
【0034】
前記テールランプ機能の2個の発光チップ43、44には、テールランプ機能の抵抗51とダイオード53とが直列に接続されている。前記テールランプ機能の抵抗51とダイオード53とは、前記第1給電部材91の前記第1オスターミナル910と前記テールランプ機能の発光チップ43との間に設けられている配線6において、直列に接続されている。
【0035】
前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44には、ストップランプ機能の抵抗52とダイオード54とが直列に接続されている。前記ストップランプ機能の抵抗52とダイオード54とは、前記第2給電部材92の前記第2オスターミナル920と前記ストップランプ機能の発光チップ41との間に設けられている配線6において、直列に接続されている。
【0036】
前記テールランプ機能の抵抗51と前記ストップランプ機能の抵抗52とは、所定の駆動電流の値を得るための調整用の抵抗である。すなわち、前記発光チップ41〜44のVf(順方向電圧特性)のばらつきにより、前記発光チップ41〜44に供給される駆動電流の値が変化して前記発光チップ41〜44の明るさ(光束、光度、照度)においてばらつきが発生する。このために、前記抵抗51、52の値を調整して(トリミングして)前記発光チップ41〜44に供給される駆動電流の値を所定値にほぼ一定に設定することにより、前記発光チップ41〜44の明るさ(光束、光度、照度)のばらつきを調整(吸収)することができる。なお、前記テールランプ機能の抵抗51と前記ストップランプ機能の抵抗52とは、1個配置されているが、抵抗の容量および調整する抵抗の可変幅により、複数個配置する場合がある。
【0037】
前記テールランプ機能のダイオード53と前記ストップランプ機能のダイオード54とは、逆接防止機能および逆方向からのパルスノイズ保護機能のダイオードである。
【0038】
前記可動接点150が第1固定接点151の位置に切り替わっているとき(図1中の一点鎖線に示す状態のとき)には、電流(駆動電流)が前記テールランプ機能のダイオード53と抵抗51とを経て前記テールランプ機能の2個の発光チップ43、44に供給されている状態である。すなわち、前記テールランプ機能の2個の発光チップ43、44は、前記テールランプ機能のダイオード53と抵抗51を経て駆動電流が供給されている。
【0039】
前記可動接点150が第2固定接点152の位置に切り替わっているとき(図1中の二点鎖線に示す状態のとき)には、電流(駆動電流)が前記ストップランプ機能のダイオード54と抵抗52とを経て前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に供給されている状態である。すなわち、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44は、前記ストップランプ機能のダイオード54と抵抗52とを経て駆動電流が供給されている。
【0040】
前記可動接点150が第3固定接点153の位置に切り替わっているとき(図1中の実線に示す状態のとき)には、前記4個の発光チップ41〜44への電流供給が遮断されている状態である。
【0041】
この実施例における車両用灯具の半導体型光源の駆動回路2およびこの実施例における車両用灯具100(以下、「この実施例における駆動回路2および車両用灯具100」と称する)は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0042】
まず、スイッチSWの可動接点150を第1固定接点151に切り替える。すると、電流(駆動電流)は、テールランプ機能のダイオード53と抵抗51とを経て、テールランプ機能の2個の発光チップ43、44に供給される。この結果、テールランプ機能の2個の発光チップ43、44が発光する。
【0043】
このテールランプ機能の2個の発光チップ43、44から放射された光は、光源ユニット1のカバー部12を透過して配光制御される。なお、発光チップ43、44から放射された光の一部は、基板3の高反射面でカバー部12側に反射される。配光制御された光は、車両用灯具100のランプレンズ102を透過して再度配光制御されて外部に照射される。これにより、車両用灯具100は、図5に示す、テールランプ機能の配光を外部に照射する。
【0044】
つぎに、スイッチSWの可動接点150を第2固定接点152に切り替える。すると、電流(駆動電流)は、ストップランプ機能のダイオード54と抵抗52とを経て、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に供給される。この結果、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44が発光する。すなわち、今まで発光していたテールランプ機能の2個の発光チップ43、44に対して、今まで消光状態のストップランプ機能の2個の発光チップ41、42が、今まで発光していたテールランプ機能の2個の発光チップ43、44と共に、新たに発光する。
【0045】
このストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44から放射された光は、光源ユニット1のカバー部12を透過して配光制御される。なお、発光チップ41〜44から放射された光の一部は、基板3の高反射面でカバー部12側に反射される。配光制御された光は、車両用灯具100のランプレンズ102を透過して再度配光制御されて外部に照射される。これにより、車両用灯具100は、図6に示す、ストップランプ機能の配光を外部に照射する。このストップランプ機能の配光は、前記のテールランプ機能の配光と比較して、明るい(光束、光度、照度が大である)。
【0046】
それから、スイッチSWの可動接点150を第3固定接点153に切り替える。すると、電流(駆動電流)が遮断される。この結果、4個の発光チップ41〜44もしくは2個の発光チップ43、44は、消光する。これにより、車両用灯具100は、消灯する。
【0047】
この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0048】
この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、図5に示すテールランプ点灯時において、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44のうち2個の発光チップ43、44が発光するものである。このために、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、図2に示す駆動回路200と比較して、図5に示すテールランプ点灯時において発光させる発光チップの数を、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44から2個の発光チップ43、44に減らすことができる。これにより、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、テールランプ機能の2個の発光チップ43、44への供給電流を、安定点灯領域まで増加させることができる。
【0049】
図2は、4個の発光チップ41〜44のうち全部の発光チップ41〜44をテールランプ機能とストップランプ機能とに使用する駆動回路200の電気回路図である。図2において、図1と同符号は、同一のものを示す。図2中の符号「520」は、図1中のストップランプ機能の抵抗52に変わる抵抗であって、ストップランプ機能とテールランプ機能との兼用の抵抗である。図2に示す駆動回路200において、図1に示すこの実施例における駆動回路2と比較して異なるところは、テールランプ機能のダイオード53と抵抗51とがストップランプ機能のダイオード53とストップランプ機能テールランプ機能兼用の抵抗520との間に接続されているところである。すなわち、第2オスターミナル920、ストップランプ機能のダイオード54、ストップランプ機能テールランプ機能兼用の抵抗520、4個の発光チップ41〜44、第3オスターミナル930が、配線6を介して直列に接続されている。第1オスターミナル910、テールランプ機能のダイオード53、抵抗51、ストップランプ機能テールランプ機能兼用の抵抗520、4個の発光チップ41〜44、第3オスターミナル930が、配線6を介して直列に接続されている。
【0050】
図2に示す駆動回路200において、テールランプ点灯時には、駆動電流が第2オスターミナル、ストップランプ機能のダイオード54、ストップランプ機能テールランプ機能兼用の抵抗520を経て4個の発光チップ41〜44に供給される。ストップランプ点灯時には、駆動電流が第1オスターミナル910、テールランプ機能のダイオード53、抵抗51、ストップランプ機能テールランプ機能兼用の抵抗520を経て4個の発光チップ41〜44に供給される。このように、図2に示す駆動回路200は、テールランプ点灯時とストップランプ点灯時とにおいて、4個の発光チップ41〜44が同数発光するものである。
【0051】
ここで、テールランプの明るさ(光束、光度、照度)と、ストップランプの明るさ(光束、光度、照度)との比は、大きいほうが好ましい。このために、テールランプの発光チップへの供給駆動電流値と、ストップランプの発光チップへの供給電流値との比とは、大きいほうが好ましい。ところが、図3の発光チップの電流と光束との相対特性に示すように、発光チップへの供給電流が小さいと、Vf(順方向電圧特性)のばらつきによる明るさ(光束、光度、照度)のばらつきが大きい。たとえば、供給電流が5mA以下であると、明るさのばらつきが極めて大きく、一方、供給電流が10mA以上であると、明るさのばらつきが極めて小さくなり、安定した発光状態を得ることができる。図3において、縦軸は光束で単位ルーメン(lm)であり、横軸は電流で単位ミリアンペア(mA)であり、2曲線の間(格子ハッチングが施されている部分)の上下間隔が明るさのばらつきを示す。なお、この図3は、模式的な説明図である。
【0052】
図2に示す駆動回路200において、テールランプの明るさとストップランプの明るさとの比を大きくするために、テールランプ点灯時の4個の発光チップ41〜44への供給駆動電流値とストップランプ点灯時の4個の発光チップへの供給電流値との比とをただ単に大きくする。すると、テールランプ点灯時の4個の発光チップ41〜44への供給駆動電流値が小さくなって、テールランプの明るさにおいて、ばらつきが大きく発生する。このテールランプの明るさのばらつきを小さく抑えようと、テールランプ点灯時の4個の発光チップ41〜44への供給駆動電流値を大きくする。すると、テールランプ点灯時の4個の発光チップ41〜44への供給駆動電流値とストップランプ点灯時の4個の発光チップへの供給電流値との比が小さくなり、テールランプの明るさとストップランプの明るさとの比が小さくなる不具合がある。
【0053】
これに対して、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、前記のように、図5に示すテールランプ点灯時において、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44のうち2個の発光チップ43、44を発光させるものである。このために、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、図2に示す駆動回路200と比較して、図5に示すテールランプ点灯時において発光させる発光チップの数を、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44から2個の発光チップ43、44に減らすことができる。これにより、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、テールランプ機能の2個の発光チップ43、44への供給電流を、安定点灯領域まで増加させることができる。すなわち、ストップランプ点灯時には4個の発光チップ41〜44を発光させ、テールランプ点灯時には2個の発光チップ43、44を発光させるものであるから、テールランプの明るさとストップランプの明るさとの比を大きくすることができ、かつ、テールランプ点灯時の2個の発光チップ43、44への供給駆動電流値を大きくすることができる。この結果、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、テールランプ機能の2個の発光チップ43、44のVf(順方向電圧特性)のばらつきによる明るさ(光束、光度、照度)のばらつきを低減させることができる。このために、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、良好なテールランプ機能の配光が同じく良好なストップランプ機能の配光と共に得られ、交通安全に貢献することができる。
【0054】
また、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、図6に示すストップランプ点灯時において、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44を全部発光させ、かつ、図5に示すテールランプ点灯時において、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44のうち2個の発光チップ43、44を発光させるものである。このために、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、発光チップ41〜44の発光個数を、ストップランプ点灯時の4個と、テールランプ点灯時の2個とに変えるものであるから、既存の駆動回路(たとえば、図2に示す駆動回路200)と同様に、ストップランプ点灯時には100mAの駆動電流を4個の発光チップ41〜44に供給し、テールランプ点灯時には10mAの駆動電流を2個の発行チップ43、44に供給した場合において、テールランプの明るさとストップランプの明るさとの比を既存の駆動回路(たとえば、図2に示す駆動回路200)と比較して約2倍大きくすることができる。
【0055】
さらに、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、図6に示すストップランプ点灯時において、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44を全部発光させ、かつ、図5に示すテールランプ点灯時において、直列に接続されている4個の発光チップ41〜44のうち2個の発光チップ43、44を発光させるものである。このために、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、ストップランプ点灯時において発光する発光チップ41〜44の個数が4個であり、テールランプ点灯時において発光する発光チップ43、44の個数2個と比較して、2倍多い。このために、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、ストップランプにおいてテールランプと比較して十分な明るさを得ることができ、規格上、ストップランプの明るさ(光束、光度、照度)がテールランプの明るさ(光束、光度、照度)よりも大きく必要であるテール・ストップランプに最適である。
【0056】
さらにまた、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、1灯の灯室105内に配置されている光源ユニット1の複数の発光チップ41〜44を、駆動回路2により発光させるものであるから、1灯のランプレンズ102が複数のランプ機能(テールランプ機能と、テールランプ機能より明るいストップランプ機能)ごとに発光する。これにより、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、1灯のランプレンズ102の発光面積が変わらずに明るさが変わって複数のランプ機能(テールランプ機能、ストップランプ機能)が得られるので、1灯のランプレンズ102の発光時の見栄えが向上される。
【0057】
なお、前記の実施例においては、4個の発光チップ41〜44を使用するものである。ところが、この発明においては、発光チップとして、2個、3個、5個以上であっても良い。
【0058】
また、前記の実施例においては、テール・ストップランプに使用するものである。ところが、この発明においては、テール・ストップランプ以外のコンビネーションランプにも使用することができる。
【0059】
さらに、前記の実施例においては、テールランプとストップランプとの2個のランプの切替に使用するものである。ところが、この発明においては、3個以上のランプの切替にも使用できる。
【0060】
さらにまた、前記の実施例においては、4個の発光チップ41〜44を1列に配置したものである。ところが、この発明においては、発光チップを、複数列に、角形の角上に、円形状に、配置しても良い。
【0061】
さらにまた、前記の実施例においては、カバー部12とランプレンズ102とにより配光制御するものである。ところが、この発明においては、カバー部12もしくはランプレンズ102のうち少なくともいずれか一方により配光制御するようにしても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 光源ユニット
10 光源部
11 ソケット部
12 カバー部
13 コネクタ部
14 コネクタ
141 第1メスターミナル
142 第2メスターミナル
143 第3メスターミナル
144、145、146 ハーネス
15 電源
150 可動接点
151 第1固定接点
152 第2固定接点
153 第3固定接点
154 共通固定接点
100 車両用灯具
101 ランプハウジング
102 ランプレンズ
103 リフレクタ
104 透孔
105 灯室
106 透孔
107 反射面
108 防水パッキン
2、200 駆動回路
3 基板
41、42、43、44 発光チップ
51、52、520 抵抗
53、54 ダイオード
6 配線
7 絶縁部材
70 取付部
8 放熱部材
91、92、93 給電部材
910 第1オスターミナル
920 第2オスターミナル
930 第3オスターミナル
F 焦点
O 中心
SW スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源を光源とし、かつ、複数のランプ機能を有する車両用灯具であって、前記車両用灯具の半導体型光源の駆動回路において、
前記半導体型光源は、直列に接続されている複数の発光チップからなり、
前記複数の発光チップは、複数のランプ機能ごとに前記発光チップの個数を変えてグループ化されていて、
前記各グループの発光チップには、抵抗が複数のランプ機能ごとにそれぞれ対応して直列に接続されていて、
前記各グループの発光チップは、前記各グループの発光チップに対応する前記抵抗を経て駆動電流が供給される、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の駆動回路。
【請求項2】
半導体型光源を光源とし、かつ、テールランプ機能とストップランプ機能とを有する車両用灯具であって、前記車両用灯具の半導体型光源の駆動回路において、
前記半導体型光源は、直列に接続されている複数の発光チップからなり、
前記複数の発光チップは、テールランプ機能の一部の発光チップと、ストップランプ機能の全部の発光チップと、にグループ化されていて、
前記テールランプ機能のグループの発光チップには、テールランプ機能の抵抗が直列に接続されていて、
前記ストップランプ機能のグループの発光チップには、ストップランプ機能の抵抗が直列に接続されていて、
前記テールランプ機能のグループの発光チップは、前記テールランプ機能の抵抗を経て駆動電流が供給され、
前記ストップランプ機能のグループの発光チップは、前記ストップランプ機能の抵抗を経て駆動電流が供給される、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の駆動回路。
【請求項3】
半導体型光源を光源とし、かつ、複数のランプ機能を有する車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、かつ、直列に接続されている複数の発光チップからなる半導体型光源を光源とする光源ユニットと、
前記光源ユニットの前記半導体型光源の駆動回路であって、前記請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路と、
を備える、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
半導体型光源を光源とし、かつ、テールランプ機能とストップランプ機能とを有する車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、かつ、直列に接続されている複数の発光チップからなる半導体型光源を光源とする光源ユニットと、
前記光源ユニットの前記半導体型光源の駆動回路であって、前記請求項2に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路と、
を備える、ことを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−143802(P2011−143802A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5304(P2010−5304)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】