車両用灯具
【課題】 車両の後方部における幅方向の両側に設けられ、左右を兼用することができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】 車両Xの後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具1において、光源Yを収容するための収容部21,…を複数有して且つ各収容部21が光源Yの光を車両Xの後方へ照射させるための開口部22を有するハウジング2と、各開口部22をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材3,…と、全ての第1カバー部材3,…を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材5とを備え、ハウジング2及び第2カバー部材5は、ハウジング2における幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5は、それぞれ着脱可能に構成されることを特徴とする。
【解決手段】 車両Xの後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具1において、光源Yを収容するための収容部21,…を複数有して且つ各収容部21が光源Yの光を車両Xの後方へ照射させるための開口部22を有するハウジング2と、各開口部22をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材3,…と、全ての第1カバー部材3,…を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材5とを備え、ハウジング2及び第2カバー部材5は、ハウジング2における幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5は、それぞれ着脱可能に構成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、制動灯(ブレーキランプ)や方向指示器(ウインカー)等を備える必要がある。そこで、従来、制動灯や方向指示器等を一体化した車両用灯具が知られている。具体的には、車両の後方部における幅方向の両側(左右両側)に設けられ、車両の幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成される車両用灯具が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる車両用灯具においては、一般的に、左用を右側(又は右用を左側)に取り付けること、即ち、左右を兼用することができず、左用と右用とをそれぞれ製造や販売等する必要がある。したがって、左用と右用とをそれぞれ製造する必要があるために、例えば、製造するための設備費用が増大したり、生産効率が低下したりする。さらに、左用と右用とをそれぞれ販売する必要があるために、例えば、販売や在庫のための大きなスペースが必要となる。
【0004】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、左右を兼用することができる車両用灯具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用灯具は、車両の後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具において、光源を収容するための収容部を複数有して且つ各収容部が光源の光を車両の後方へ照射させるための開口部を有するハウジングと、各開口部をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材と、全ての第1カバー部材を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材とを備え、ハウジング及び第2カバー部材は、ハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材及び第2カバー部材は、それぞれ着脱可能に構成されることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、ハウジングが幅方向の中心で対称又は略対称であり、さらに、全ての第1カバー部材を外側から覆う第2カバー部材がハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称であるため、車両の後方部における幅方向の両側に設けられると、車両の幅方向の中心で対称又は略対称になる。また、ハウジングの収容部に収容される光源が、開口部、透光可能な第1カバー部材、及び透光可能な第2カバー部材を介して車両の後方へ光を照射することにより、所定の表示を行う。そして、第1カバー部材及び第2カバー部材がそれぞれ着脱できるため、例えば、第1カバー部材を付け替えることにより、表示される色を車両の幅方向の中心で対称又は略対称となるようにすることもでき、さらに、第1カバー部材及び第2カバー部材の色を変更することで表示色を変えることもできる。
【0007】
本発明に係る車両用灯具においは、開口部は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成され、第1カバー部材は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成されてもよい。かかる構成によれば、開口部及び第1カバー部材がそれぞれ同一又は略同一の形状に形成されているため、第1カバー部材をそれぞれ他の開口部に付け替えることができる。したがって、第1カバー部材と開口部との組み合わせ(取り付け位置)をフレキシブルに対応することができる。
【0008】
本発明に係る車両用灯具においては、第2カバー部材が有色で形成され、さらに、光源が第1カバー部材及び第2カバー部材を介して車両の後方へ光を照射することにより所望の色を表示すべく、第1カバー部材がそれぞれ所定の色で形成されてもよい。かかる構成によれば、光源が消灯しているときは、第2カバー部材の色が表示されているのに対して、光源が点灯しているときは、光源の光が第1カバー部材及び第2カバー部材を介して外部に照射することにより第1カバー部材の色と第2カバー部材の色との合成色が表示される。したがって、表示色が法規上の色に適合することができると共に、光源の消灯時と点灯時との表示色も変化することもできるため、意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上の如く、本発明の車両用灯具によれば、ハウジング及び第2カバー部材がハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称であるため、車両の後方部における幅方向の両側に設けられると、車両の幅方向の中心で対称又は略対称となり、その結果、左右を兼用することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る車両用灯具における一実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態においては、車両を後方側から見た場合を正面視として説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具1,1は、車両Xの後方部における幅方向の両側に設けられる。具体的には、一対の車両用灯具1,1は、車両Xの幅方向の中心で対称又は略対称(正面視で左右対称)となるように構成される。
【0012】
また、車両用灯具1は、図2〜6に示すように、光源Yを収容するための収容部21,…を複数(本実施形態において三つとしている)有して且つ各収容部21が光源Yの光を車両Xの後方へ照射させるための開口部22を有するハウジング2と、各開口部22をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材3,…と、全ての第1カバー部材3,…を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材5とを備える。
【0013】
そして、車両用灯具1は、ハウジング2及び第2カバー部材5がハウジング2における幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5がそれぞれ着脱可能に構成される。しかも、車両用灯具1は、第1カバー部材3,…がハウジング2における幅方向の中心で対となる同士で互いに付け替え可能に構成される。
【0014】
そして、車両用灯具1は、開口部22,…がそれぞれ同一又は略同一の形状に形成され、第1カバー部材3,…がそれぞれ同一又は略同一の形状に形成される。さらに、車両用灯具1は、各第1カバー部材3の外周部にそれぞれ配置される複数のリム部材4,…を備える。加えて、車両用灯具1は、ハウジング2を収容する本体6を備える。
【0015】
ハウジング2は、図7〜8に示すように、各収容部21が幅方向の中心でそれぞれ対称(正面視でそれぞれ左右対称)となるように形成される。即ち、各開口部22も、幅方向の中心でそれぞれ対称(正面視でそれぞれ左右対称)となるように形成される。具体的には、開口部22は、円形状の上部を欠いた形状、即ち、下向きの略D字状に形成される。かかる構成によれば、開口部22は、高さ寸法が同一である真円形状に対して、開口面積、即ち、車両用灯具1(灯火)の表示面積を大きくすることができる。
【0016】
また、ハウジング2は、光源Yの光を反射させるリフレクタ部23を備える。具体的には、ハウジング2は、収容部21に表面が凹凸状に形成されるリフレクタ部23を備える。より具体的には、ハウジング2は、光源Yの光軸に対して略点対称となるように凸部24,…が並設されるリフレクタ部23を備える(図7(a)において、格子線として表れているのは、格子状に並設される凸部24,…間の接合線(凹部)25,…である)。なお、リフレクタ部23がハウジング2と一体である場合に限られず、ハウジング2と別部材であるリフレクタ(反射部材)を収容部21内に配置される場合でもよい。
【0017】
また、ハウジング2は、本体6を保持すべく、本体保持部26,…を備える。具体的には、ハウジング2は、本体6の一部位を外嵌して保持すべく、本体6に向けて延設される筒状の本体保持部26,…を複数備える。さらに、ハウジング2は、光源Yを固定すると共に、光源Yを点灯させるための電源を供給する光源固定部(ソケット)27(図5及び6参照)を収容部21,…内にそれぞれ備える。なお、ハウジング2は、合成樹脂で主に形成され、少なくともリフレクタ部23となる部位がかかる合成樹脂よりも光を反射しやすい(反射率の高い)材質で形成される。具体的には、ハウジング2は、ポリプロピレンで主に形成され、少なくともリフレクタ部23となる部位がアルミ蒸着されて形成される。
【0018】
第1カバー部材3は、図9〜11に示すように、幅方向の中心で対称(正面視で左右対称)となるように形成される。具体的には、第1カバー部材3は、開口部22を覆うべく、開口部22に対応した形状に形成される。より具体的には、第1カバー部材3は、円形状の上部を欠いた形状、即ち、下向きの略D字状に形成される。
【0019】
また、第1カバー部材3は、レンズ機能を有する。具体的には、第1カバー部材3は、外側に向けて(光源Yが光を照射する方向に)凸状に形成される中央部31と、中央部31より曲率半径が大きく形成される外環部32とを備える。即ち、中央部31は、外環部32よりも曲率半径を小さくすることで凸状に形成される。そして、中央部31は、光源Yの光を拡散すべく、プリズムが形成される。具体的には、中央部31は、内側(光源Y側)に、光源Yの光軸で点対称となるようなプリズムが形成される。より具体的には、中央部31は、光源Yの光軸に対して傾斜角度が大きい方向(車両Xの斜め後方)に光源Yの光を反射させる反射部33と、光源Yの光を発散させる発散部34とを備える。
【0020】
反射部33は、内側に延設される突起部35,…で構成される。具体的には、反射部33は、同心に配置される複数の環状突起部35,…で構成される。また、発散部34は、光源Yの光軸に対して点対称となるように凹部36,…が並設されて構成される(図9において、格子線や放射線として表れているのは、並設される凹部36,…間の接合線(凸部)37,…である)。
【0021】
かかる構成により、第1カバー部材3は、全ての灯火の種類(例えば、制動灯や方向指示器等)に対応可能にすべく、法(例えば、道路運送法)で定められる視認範囲が最大である(光源Yの光の投影範囲が広い)種類の灯火に適合するように形成される。また、第1カバー部材3は、第2カバー部材5よりも発熱する光源Y側に配置されるため、第2カバー部材5より耐熱性を有する材質で形成される。具体的には、第1カバー部材3は、例えばポリカーボネートといった合成樹脂で形成される。
【0022】
リム部材4は、図12に示すように、幅方向で対称(正面視で左右対称)に形成されると共に、第1カバー部材3に対応した環状に形成される。具体的には、リム部材4は、円形状の上部を欠いた形状、即ち、下向きの略D字状に形成され、内部の孔で第1カバー部材3を嵌合可能に構成される。リム部材4は、ハウジング2との間に第1カバー部材3、詳しくは、第1カバー部材3における外縁の鍔部38(図11参照)を介在させて、第1カバー部材3と共にハウジング2に固定される。具体的には、リム部材4の挿通孔41を挿通し、ハウジング2の螺子孔28,28(図7及び図8参照)に螺合される螺子42,42(図3及び図6参照)で固定される。
【0023】
また、リム部材4は、光源Yが光を照射する部位、具体的には、少なくとも内周部43が、他の部位よりも反射しやすい(反射率の高い)材質で形成される。具体的には、リム部材4は、合成樹脂(例えば、ABS樹脂)で主に形成され、内周部がクロムメッキされて形成される。さらに、リム部材4は、意匠性を向上させるべく、ダミー(偽)の取り付け部材44,…、具体的には、ダミーの螺子(の頭部)が複数設けられる(本実施形態において、一つのリム部材4に対して、螺子42が二個、ダミーの取り付け部材44が十個としている)。
【0024】
第2カバー部材5は、図13に示すように、幅方向で対称(正面視で左右対称)に形成される。また、第2カバー部材5は、光源Y,…や第1カバー部材3,…に対応して、複数の湾曲部51,…を備える。具体的には、第2カバー部材5は、第1カバー部材3の外環部32における曲率半径と同一又は略同一の曲率半径で形成される湾曲部51,…を備える。そして、第2カバー部材5は、第1カバー部材3を保護すべく、第1カバー部材3よりも硬い材質で形成される。具体的には、第2カバー部材5は、合成樹脂で形成される。
【0025】
本体6は、図14に示すように、幅方向で対称(正面視で左右対称)に形成される。また、本体6は、強度を上げるべく、凹状の補強部61を備える。具体的には、本体6は、ハウジング2を収容した際に、三つの収容部22,…のそれぞれの間に配置される凹状の補強部61,61を二つ備える。そして、本体6は、パッキン等のシール材62(図5及び図6参照)を収容可能なシール材収容部63を備える。さらに、本体6は、補強部61からハウジング2側に向けて延設されると共に、内部に螺子孔64が設けられ、ハウジング2の本体保持部26に保持(外嵌)される筒状部65,…を複数備える。そして、本体6は、ハウジング2及び第2カバー部材5と共に一体となって固定される。具体的には、第2カバー部材5の挿通孔53(図13参照)を挿通し、ハウジング2における筒状である本体保持部26の内孔を挿通し、本体部6における筒状部65の螺子孔64に螺合される螺子66,…(図3参照)で固定される。
【0026】
また、本体6は、車両Xに取り付けられる取付部67を備える。具体的には、本体6と車両Xとを固定させる螺子(図示せず)に挿通される複数の孔(図4参照)が形成される取付部67を備える。加えて、車両Xから光源Yを点灯させる制御を行うために光源固定部27に接続される電線Z,…を保持する電線保持部68を備える。
【0027】
シール材収容部63は、第2カバー部材5の外周端部52(図13参照)の一部を収容することにより第2カバー部材5を係止する。また、シール材収容部63は、第2カバー部材5の外周端部52とでシール材62を圧縮する。また、本体6は、水蒸気を通過させるが、水を通過させない防水部材69を備える。したがって、車両用灯具1は、シール材62と防水部材69とにより、防水処理される。なお、本体6は、合成樹脂、具体的には、ポリプロピレンで形成される。
【0028】
また、車両用灯具1は、第2カバー部材5が有色で形成され、さらに、光源Yが第1カバー部材3及び第2カバー部材5を介して車両Xの後方へ光を照射することにより所望の色を表示すべく、第1カバー部材3,…がそれぞれ所定の色で形成される。具体的には、第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5は、それぞれ単一色又は略単一色であって、透光可能に構成される。
【0029】
より具体的には、内側が後退灯(白色)、中央が制動灯(赤色)、外側が方向指示器(橙色)で設定するように、第1カバー部材3,…は、内側が青緑色、中央が赤色、外側が緑色で構成され、第2カバー部材5は、赤色で構成される。したがって、光源Y,…がそれぞれ点灯すると、光源Yの光が第1カバー部材3及び第2カバー部材5を介して後方に照射されるため、内側が青緑色と赤色との合成透過色である白色を表示し、中央が赤色と赤色との合成透過色である赤色を表示し、さらに、外側が緑色と赤色との合成透過色である橙色を表示する。
【0030】
本実施形態に係る車両用灯具1の構成は以上の通りであり、次に、車両用灯具1が左右を兼用できる作用及び所望の表示を行う作用について説明する。
【0031】
まず、車両用灯具1が左右を兼用できる作用について説明する。ここで、左側が後退灯、中央が制動灯、右側が方向指示器で設定されている一対の車両用灯具1,1を車両Xに取り付ける場合を説明する。
【0032】
一対の車両用灯具1,1を車両Xの後方部における幅方向の両方側に取り付けると、一対の車両用灯具1,1の表示(後退灯、制動灯、方向指示器)が非対称である。したがって、まず、一方側(正面視左側)の車両用灯具1において、ハウジング2と第2カバー部材5と本体6とを一体にして固定する螺子66,…を第2カバー部材5側から取り外して、全ての第1カバー部材3,…を覆う第2カバー部材5を取り外す。さらに、ハウジング2とリム部材4とを固定する螺子42,42を取り外して、第1カバー部材3,…及びリム部材4,…を取り外す。
【0033】
次に、複数の開口部22,…をそれぞれ覆う第1カバー部材3,…をハウジング2の幅方向の中心で対となる同士で取り替えて、即ち、左側の青緑色(後退灯用)の第1カバー部材3が右側、そして、右側の緑色(方向指示器用)の第1カバー部材3が左側となるように取り替えて、それぞれリム部材4,4及び螺子42,…でハウジング2に取り付ける。さらに、第2カバー部材5を螺子66,…でハウジング2及び本体6と一体化させて再度取り付ける。
【0034】
すると、一対の車両用灯具1,1は、それぞれ内側が後退灯、中央が制動灯、外側が方向指示器となる。そして、ハウジング2及び第2カバー部材5がハウジング2の幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成されおり、さらに、開口部22,…及び第1カバー部材3…の形状が統一されているため、一対の車両用灯具1,1は、車両Xの後方部における幅方向の中心で対称又は略対称となる。
【0035】
次に、車両用灯具1が所望の表示を行う作用について説明する。まず、光源Yが消灯しているときは、第2カバー部材5の単一色又は略単一色(赤色)が表示されている。そして、車両Xが電線Zを介して、ハウジング2の幅方向に複数設けられる収容部21,…にそれぞれ収容される光源Yを点灯させると、光源Yが、開口部22、透光可能な第1カバー部材3、及び透光可能な第2カバー部材5を介して外部、即ち、車両Xの後方側へ向けて光を照射する。したがって、車両用灯具1は、第1カバー部材3及び第2カバー部材5の合成透過色により、車両Xの後方に向けて所望の色(内側から、白色、赤色、橙色)を表示する。
【0036】
また、反射部33の突起部35,…及びリム部材4の内周部43が、車両Xに対して斜め後方に(光源Yの光軸に対して傾斜角度が大きい方向に)光源Yの光を反射させる。さらに、複数の凹部36,…が並設されて形成される発散部34が、光源Yの光を発散させる。したがって、第1カバー部材3は、光源Yの光を拡散させて投影面積を大きくする。具体的には、各第1カバー部材3は、車両Xの後方からの視認範囲が上方及び下方が15度以上、内側が45度以上、外側が80度以上となるように光源Yの光を拡散させる。
【0037】
以上より、本実施形態に係る車両用灯具1は、ハウジング2の幅方向の中心で対称又は略対称に配置される第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5が着脱可能であるため、第1カバー部材3,3をハウジング2の幅方向の中心で対となる同士で付け替えることにより、車両Xの後方部における幅方向の両側で対称又は略対称となり、その結果、左右を兼用することができる。さらに、例えば、ハウジング2や第2カバー部材5が金型を使用して射出成形される場合は、それぞれが左右を兼用できる形状であるため、金型が各一つで対応できる。
【0038】
また、本実施形態に係る車両用灯具1は、開口部22,…の形状が統一されていると共に、第1カバー部材3,…の形状が統一されているため、何れの開口部22にも第1カバー部材3を取り付けることができる。具体的には、中央の赤色(制動灯用)の第1カバー部材を内側又は外側に配置させてもよく、外側の青緑色(後退灯用)の第1カバー部材3や、内側の緑色(方向指示器用)の第1カバー部材3を中央に配置させることができる。したがって、灯火の配置をフレキシブルに行うことができる。さらに、例えば、第1カバー部材3が金型を使用して射出成形される場合は、全てが同一形状であるため、金型が一つで対応できる。
【0039】
また、本実施形態に係る車両用灯具1は、光源Yの消灯時には、有色で形成される第2カバー部材5の色が表示され、光源Yの点灯時には、光源Yの光が第1カバー部材3及び第2カバー部材5を介して外部に照射することにより、第1カバー部材3と第2カバー部材5との合成色が表示される。したがって、車両用灯具1は、表示色が法規上の色に適合した上で、さらに、意匠性を向上することができる。さらに、例えば、一つの第2カバー部材5が全ての第1カバー部材3,…を覆う構成であるため、部品点数を少なくすることができ、その結果、作業性(組み立て性)が向上する。
【0040】
なお、本発明の車両用灯具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0041】
例えば、上記実施形態に係る車両用灯具1は、収容部21,…(開口部22,…)及び第1カバー部材3,…が車両Xの幅方向に三つ並設される場合を説明したが、かかる場合に限られず、二つ又は四つ以上並設される場合でもよい。例えば、図15〜18に示すように、車両用灯具100は、車両Xの幅方向に収容部101(開口部102)を二つ有するハウジング103と、二つの開口部102,102をそれぞれ覆う二つの第1カバー部材104,104と、二つの第1カバー部材104,104の全体を覆う一つの第2カバー部材105とを備えてもよい。
【0042】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、収容部21(開口部22)及び第1カバー部材3が車両Xの高さ方向に一つ備える場合を説明したが、かかる場合に限られず、二つ以上並設される場合でもよい。
【0043】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、各第1カバー部材3が幅方向で対称又は略対称である場合を説明したが、かかる場合に限られず、各第1カバー部材が幅方向で非対称である場合でもよい。例えば、図19(a)に示すように、全ての第1カバー部材106,…が同一形状又は略同一形状であり、且つ両側(中央を除く側方側)の第1カバー部材106,106が幅方向で非対称である場合でもよく、図19(b)に示すように、中央の第1カバー部材107と両側(中央を除く側方側)の第1カバー部材108,108とが相違する形状であり(同一又は略同一形状でなく)、且つ両側(中央を除く側方側)の第1カバー部材108,108が幅方向で非対称である場合でもよい。
【0044】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、第1カバー部材3がレンズ機能(プリズム)を備える場合を説明したが、かかる場合に限られず、第1カバー部材がレンズ機能(プリズム)を備えない場合でもよく、また、第2カバー部材がレンズ機能(プリズム)を備える場合でもよい。
【0045】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、第2カバー部材5が有色で形成される場合を説明したが、かかる場合に限られず、第2カバー部材が無色で形成される場合でもよい。かかる場合、第1カバー部材は、光源Yを点灯した際に、車両Xの後方に表示したい色で形成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、車両の後方部に取り付けられる状態における正面図を示す。
【図2】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図4】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図(右側面図及び左側面図)を示す。
【図5】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、図3のA−A線における端面図を示す。
【図6】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、図3のB−B線における端面図を示す。
【図7】同実施形態に係る車両用灯具のハウジングにおける全体図であって、(a)は正面図、(b)はC−C線における断面図、(c)はF領域における拡大図を示す。
【図8】同実施形態に係る車両用灯具のハウジングにおける全体図であって、(a)は図7のD−D線における断面図、(b)はG領域における拡大図、(c)は図7のE−E線における断面図を示す。
【図9】同実施形態に係る車両用灯具の第1カバー部材における全体図であって、斜視図を示す。
【図10】同実施形態に係る車両用灯具の第1カバー部材における全体図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は背面図、(f)は底面図を示す。
【図11】同実施形態に係る車両用灯具の第1カバー部材における全体図であって、(a)は図10のH−H線における端面図、(b)はJ領域における拡大図、(c)は図10のI−I線における端面図、(d)はK領域における拡大図を示す。
【図12】同実施形態に係る車両用灯具のリム部材における全体図であって、(a)は正面図、(b)はL−L線における断面図、(c)はM−M線における断面図を示す。
【図13】同実施形態に係る車両用灯具の第2カバー部材における全体図であって、(a)は正面図、(b)はN−N線における断面図、(c)はO−O線における断面図、(d)はP−P線における断面図を示す。
【図14】同実施形態に係る車両用灯具の本体における全体図であって、(a)は正面図、(b)はQ−Q線における断面図、(c)はR−R線における断面図、(d)はS−S線における断面図を示す。
【図15】本発明の他の実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、斜視図を示す。
【図16】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図17】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図(右側面図及び左側面図)を示す。
【図18】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は図16のT−T線における端面図、(b)は図16のU−U線における端面図を示す。
【図19】本発明のさらに他の実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)及び(b)は、それぞれ正面図を示す。
【符号の説明】
【0047】
1…車両用灯具、2…ハウジング、3…第1カバー部材、5…第2カバー部材、21…収容部、22…開口部、X…車両、Y…光源
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、制動灯(ブレーキランプ)や方向指示器(ウインカー)等を備える必要がある。そこで、従来、制動灯や方向指示器等を一体化した車両用灯具が知られている。具体的には、車両の後方部における幅方向の両側(左右両側)に設けられ、車両の幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成される車両用灯具が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる車両用灯具においては、一般的に、左用を右側(又は右用を左側)に取り付けること、即ち、左右を兼用することができず、左用と右用とをそれぞれ製造や販売等する必要がある。したがって、左用と右用とをそれぞれ製造する必要があるために、例えば、製造するための設備費用が増大したり、生産効率が低下したりする。さらに、左用と右用とをそれぞれ販売する必要があるために、例えば、販売や在庫のための大きなスペースが必要となる。
【0004】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、左右を兼用することができる車両用灯具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用灯具は、車両の後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具において、光源を収容するための収容部を複数有して且つ各収容部が光源の光を車両の後方へ照射させるための開口部を有するハウジングと、各開口部をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材と、全ての第1カバー部材を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材とを備え、ハウジング及び第2カバー部材は、ハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材及び第2カバー部材は、それぞれ着脱可能に構成されることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、ハウジングが幅方向の中心で対称又は略対称であり、さらに、全ての第1カバー部材を外側から覆う第2カバー部材がハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称であるため、車両の後方部における幅方向の両側に設けられると、車両の幅方向の中心で対称又は略対称になる。また、ハウジングの収容部に収容される光源が、開口部、透光可能な第1カバー部材、及び透光可能な第2カバー部材を介して車両の後方へ光を照射することにより、所定の表示を行う。そして、第1カバー部材及び第2カバー部材がそれぞれ着脱できるため、例えば、第1カバー部材を付け替えることにより、表示される色を車両の幅方向の中心で対称又は略対称となるようにすることもでき、さらに、第1カバー部材及び第2カバー部材の色を変更することで表示色を変えることもできる。
【0007】
本発明に係る車両用灯具においは、開口部は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成され、第1カバー部材は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成されてもよい。かかる構成によれば、開口部及び第1カバー部材がそれぞれ同一又は略同一の形状に形成されているため、第1カバー部材をそれぞれ他の開口部に付け替えることができる。したがって、第1カバー部材と開口部との組み合わせ(取り付け位置)をフレキシブルに対応することができる。
【0008】
本発明に係る車両用灯具においては、第2カバー部材が有色で形成され、さらに、光源が第1カバー部材及び第2カバー部材を介して車両の後方へ光を照射することにより所望の色を表示すべく、第1カバー部材がそれぞれ所定の色で形成されてもよい。かかる構成によれば、光源が消灯しているときは、第2カバー部材の色が表示されているのに対して、光源が点灯しているときは、光源の光が第1カバー部材及び第2カバー部材を介して外部に照射することにより第1カバー部材の色と第2カバー部材の色との合成色が表示される。したがって、表示色が法規上の色に適合することができると共に、光源の消灯時と点灯時との表示色も変化することもできるため、意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上の如く、本発明の車両用灯具によれば、ハウジング及び第2カバー部材がハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称であるため、車両の後方部における幅方向の両側に設けられると、車両の幅方向の中心で対称又は略対称となり、その結果、左右を兼用することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る車両用灯具における一実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態においては、車両を後方側から見た場合を正面視として説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具1,1は、車両Xの後方部における幅方向の両側に設けられる。具体的には、一対の車両用灯具1,1は、車両Xの幅方向の中心で対称又は略対称(正面視で左右対称)となるように構成される。
【0012】
また、車両用灯具1は、図2〜6に示すように、光源Yを収容するための収容部21,…を複数(本実施形態において三つとしている)有して且つ各収容部21が光源Yの光を車両Xの後方へ照射させるための開口部22を有するハウジング2と、各開口部22をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材3,…と、全ての第1カバー部材3,…を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材5とを備える。
【0013】
そして、車両用灯具1は、ハウジング2及び第2カバー部材5がハウジング2における幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5がそれぞれ着脱可能に構成される。しかも、車両用灯具1は、第1カバー部材3,…がハウジング2における幅方向の中心で対となる同士で互いに付け替え可能に構成される。
【0014】
そして、車両用灯具1は、開口部22,…がそれぞれ同一又は略同一の形状に形成され、第1カバー部材3,…がそれぞれ同一又は略同一の形状に形成される。さらに、車両用灯具1は、各第1カバー部材3の外周部にそれぞれ配置される複数のリム部材4,…を備える。加えて、車両用灯具1は、ハウジング2を収容する本体6を備える。
【0015】
ハウジング2は、図7〜8に示すように、各収容部21が幅方向の中心でそれぞれ対称(正面視でそれぞれ左右対称)となるように形成される。即ち、各開口部22も、幅方向の中心でそれぞれ対称(正面視でそれぞれ左右対称)となるように形成される。具体的には、開口部22は、円形状の上部を欠いた形状、即ち、下向きの略D字状に形成される。かかる構成によれば、開口部22は、高さ寸法が同一である真円形状に対して、開口面積、即ち、車両用灯具1(灯火)の表示面積を大きくすることができる。
【0016】
また、ハウジング2は、光源Yの光を反射させるリフレクタ部23を備える。具体的には、ハウジング2は、収容部21に表面が凹凸状に形成されるリフレクタ部23を備える。より具体的には、ハウジング2は、光源Yの光軸に対して略点対称となるように凸部24,…が並設されるリフレクタ部23を備える(図7(a)において、格子線として表れているのは、格子状に並設される凸部24,…間の接合線(凹部)25,…である)。なお、リフレクタ部23がハウジング2と一体である場合に限られず、ハウジング2と別部材であるリフレクタ(反射部材)を収容部21内に配置される場合でもよい。
【0017】
また、ハウジング2は、本体6を保持すべく、本体保持部26,…を備える。具体的には、ハウジング2は、本体6の一部位を外嵌して保持すべく、本体6に向けて延設される筒状の本体保持部26,…を複数備える。さらに、ハウジング2は、光源Yを固定すると共に、光源Yを点灯させるための電源を供給する光源固定部(ソケット)27(図5及び6参照)を収容部21,…内にそれぞれ備える。なお、ハウジング2は、合成樹脂で主に形成され、少なくともリフレクタ部23となる部位がかかる合成樹脂よりも光を反射しやすい(反射率の高い)材質で形成される。具体的には、ハウジング2は、ポリプロピレンで主に形成され、少なくともリフレクタ部23となる部位がアルミ蒸着されて形成される。
【0018】
第1カバー部材3は、図9〜11に示すように、幅方向の中心で対称(正面視で左右対称)となるように形成される。具体的には、第1カバー部材3は、開口部22を覆うべく、開口部22に対応した形状に形成される。より具体的には、第1カバー部材3は、円形状の上部を欠いた形状、即ち、下向きの略D字状に形成される。
【0019】
また、第1カバー部材3は、レンズ機能を有する。具体的には、第1カバー部材3は、外側に向けて(光源Yが光を照射する方向に)凸状に形成される中央部31と、中央部31より曲率半径が大きく形成される外環部32とを備える。即ち、中央部31は、外環部32よりも曲率半径を小さくすることで凸状に形成される。そして、中央部31は、光源Yの光を拡散すべく、プリズムが形成される。具体的には、中央部31は、内側(光源Y側)に、光源Yの光軸で点対称となるようなプリズムが形成される。より具体的には、中央部31は、光源Yの光軸に対して傾斜角度が大きい方向(車両Xの斜め後方)に光源Yの光を反射させる反射部33と、光源Yの光を発散させる発散部34とを備える。
【0020】
反射部33は、内側に延設される突起部35,…で構成される。具体的には、反射部33は、同心に配置される複数の環状突起部35,…で構成される。また、発散部34は、光源Yの光軸に対して点対称となるように凹部36,…が並設されて構成される(図9において、格子線や放射線として表れているのは、並設される凹部36,…間の接合線(凸部)37,…である)。
【0021】
かかる構成により、第1カバー部材3は、全ての灯火の種類(例えば、制動灯や方向指示器等)に対応可能にすべく、法(例えば、道路運送法)で定められる視認範囲が最大である(光源Yの光の投影範囲が広い)種類の灯火に適合するように形成される。また、第1カバー部材3は、第2カバー部材5よりも発熱する光源Y側に配置されるため、第2カバー部材5より耐熱性を有する材質で形成される。具体的には、第1カバー部材3は、例えばポリカーボネートといった合成樹脂で形成される。
【0022】
リム部材4は、図12に示すように、幅方向で対称(正面視で左右対称)に形成されると共に、第1カバー部材3に対応した環状に形成される。具体的には、リム部材4は、円形状の上部を欠いた形状、即ち、下向きの略D字状に形成され、内部の孔で第1カバー部材3を嵌合可能に構成される。リム部材4は、ハウジング2との間に第1カバー部材3、詳しくは、第1カバー部材3における外縁の鍔部38(図11参照)を介在させて、第1カバー部材3と共にハウジング2に固定される。具体的には、リム部材4の挿通孔41を挿通し、ハウジング2の螺子孔28,28(図7及び図8参照)に螺合される螺子42,42(図3及び図6参照)で固定される。
【0023】
また、リム部材4は、光源Yが光を照射する部位、具体的には、少なくとも内周部43が、他の部位よりも反射しやすい(反射率の高い)材質で形成される。具体的には、リム部材4は、合成樹脂(例えば、ABS樹脂)で主に形成され、内周部がクロムメッキされて形成される。さらに、リム部材4は、意匠性を向上させるべく、ダミー(偽)の取り付け部材44,…、具体的には、ダミーの螺子(の頭部)が複数設けられる(本実施形態において、一つのリム部材4に対して、螺子42が二個、ダミーの取り付け部材44が十個としている)。
【0024】
第2カバー部材5は、図13に示すように、幅方向で対称(正面視で左右対称)に形成される。また、第2カバー部材5は、光源Y,…や第1カバー部材3,…に対応して、複数の湾曲部51,…を備える。具体的には、第2カバー部材5は、第1カバー部材3の外環部32における曲率半径と同一又は略同一の曲率半径で形成される湾曲部51,…を備える。そして、第2カバー部材5は、第1カバー部材3を保護すべく、第1カバー部材3よりも硬い材質で形成される。具体的には、第2カバー部材5は、合成樹脂で形成される。
【0025】
本体6は、図14に示すように、幅方向で対称(正面視で左右対称)に形成される。また、本体6は、強度を上げるべく、凹状の補強部61を備える。具体的には、本体6は、ハウジング2を収容した際に、三つの収容部22,…のそれぞれの間に配置される凹状の補強部61,61を二つ備える。そして、本体6は、パッキン等のシール材62(図5及び図6参照)を収容可能なシール材収容部63を備える。さらに、本体6は、補強部61からハウジング2側に向けて延設されると共に、内部に螺子孔64が設けられ、ハウジング2の本体保持部26に保持(外嵌)される筒状部65,…を複数備える。そして、本体6は、ハウジング2及び第2カバー部材5と共に一体となって固定される。具体的には、第2カバー部材5の挿通孔53(図13参照)を挿通し、ハウジング2における筒状である本体保持部26の内孔を挿通し、本体部6における筒状部65の螺子孔64に螺合される螺子66,…(図3参照)で固定される。
【0026】
また、本体6は、車両Xに取り付けられる取付部67を備える。具体的には、本体6と車両Xとを固定させる螺子(図示せず)に挿通される複数の孔(図4参照)が形成される取付部67を備える。加えて、車両Xから光源Yを点灯させる制御を行うために光源固定部27に接続される電線Z,…を保持する電線保持部68を備える。
【0027】
シール材収容部63は、第2カバー部材5の外周端部52(図13参照)の一部を収容することにより第2カバー部材5を係止する。また、シール材収容部63は、第2カバー部材5の外周端部52とでシール材62を圧縮する。また、本体6は、水蒸気を通過させるが、水を通過させない防水部材69を備える。したがって、車両用灯具1は、シール材62と防水部材69とにより、防水処理される。なお、本体6は、合成樹脂、具体的には、ポリプロピレンで形成される。
【0028】
また、車両用灯具1は、第2カバー部材5が有色で形成され、さらに、光源Yが第1カバー部材3及び第2カバー部材5を介して車両Xの後方へ光を照射することにより所望の色を表示すべく、第1カバー部材3,…がそれぞれ所定の色で形成される。具体的には、第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5は、それぞれ単一色又は略単一色であって、透光可能に構成される。
【0029】
より具体的には、内側が後退灯(白色)、中央が制動灯(赤色)、外側が方向指示器(橙色)で設定するように、第1カバー部材3,…は、内側が青緑色、中央が赤色、外側が緑色で構成され、第2カバー部材5は、赤色で構成される。したがって、光源Y,…がそれぞれ点灯すると、光源Yの光が第1カバー部材3及び第2カバー部材5を介して後方に照射されるため、内側が青緑色と赤色との合成透過色である白色を表示し、中央が赤色と赤色との合成透過色である赤色を表示し、さらに、外側が緑色と赤色との合成透過色である橙色を表示する。
【0030】
本実施形態に係る車両用灯具1の構成は以上の通りであり、次に、車両用灯具1が左右を兼用できる作用及び所望の表示を行う作用について説明する。
【0031】
まず、車両用灯具1が左右を兼用できる作用について説明する。ここで、左側が後退灯、中央が制動灯、右側が方向指示器で設定されている一対の車両用灯具1,1を車両Xに取り付ける場合を説明する。
【0032】
一対の車両用灯具1,1を車両Xの後方部における幅方向の両方側に取り付けると、一対の車両用灯具1,1の表示(後退灯、制動灯、方向指示器)が非対称である。したがって、まず、一方側(正面視左側)の車両用灯具1において、ハウジング2と第2カバー部材5と本体6とを一体にして固定する螺子66,…を第2カバー部材5側から取り外して、全ての第1カバー部材3,…を覆う第2カバー部材5を取り外す。さらに、ハウジング2とリム部材4とを固定する螺子42,42を取り外して、第1カバー部材3,…及びリム部材4,…を取り外す。
【0033】
次に、複数の開口部22,…をそれぞれ覆う第1カバー部材3,…をハウジング2の幅方向の中心で対となる同士で取り替えて、即ち、左側の青緑色(後退灯用)の第1カバー部材3が右側、そして、右側の緑色(方向指示器用)の第1カバー部材3が左側となるように取り替えて、それぞれリム部材4,4及び螺子42,…でハウジング2に取り付ける。さらに、第2カバー部材5を螺子66,…でハウジング2及び本体6と一体化させて再度取り付ける。
【0034】
すると、一対の車両用灯具1,1は、それぞれ内側が後退灯、中央が制動灯、外側が方向指示器となる。そして、ハウジング2及び第2カバー部材5がハウジング2の幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成されおり、さらに、開口部22,…及び第1カバー部材3…の形状が統一されているため、一対の車両用灯具1,1は、車両Xの後方部における幅方向の中心で対称又は略対称となる。
【0035】
次に、車両用灯具1が所望の表示を行う作用について説明する。まず、光源Yが消灯しているときは、第2カバー部材5の単一色又は略単一色(赤色)が表示されている。そして、車両Xが電線Zを介して、ハウジング2の幅方向に複数設けられる収容部21,…にそれぞれ収容される光源Yを点灯させると、光源Yが、開口部22、透光可能な第1カバー部材3、及び透光可能な第2カバー部材5を介して外部、即ち、車両Xの後方側へ向けて光を照射する。したがって、車両用灯具1は、第1カバー部材3及び第2カバー部材5の合成透過色により、車両Xの後方に向けて所望の色(内側から、白色、赤色、橙色)を表示する。
【0036】
また、反射部33の突起部35,…及びリム部材4の内周部43が、車両Xに対して斜め後方に(光源Yの光軸に対して傾斜角度が大きい方向に)光源Yの光を反射させる。さらに、複数の凹部36,…が並設されて形成される発散部34が、光源Yの光を発散させる。したがって、第1カバー部材3は、光源Yの光を拡散させて投影面積を大きくする。具体的には、各第1カバー部材3は、車両Xの後方からの視認範囲が上方及び下方が15度以上、内側が45度以上、外側が80度以上となるように光源Yの光を拡散させる。
【0037】
以上より、本実施形態に係る車両用灯具1は、ハウジング2の幅方向の中心で対称又は略対称に配置される第1カバー部材3,…及び第2カバー部材5が着脱可能であるため、第1カバー部材3,3をハウジング2の幅方向の中心で対となる同士で付け替えることにより、車両Xの後方部における幅方向の両側で対称又は略対称となり、その結果、左右を兼用することができる。さらに、例えば、ハウジング2や第2カバー部材5が金型を使用して射出成形される場合は、それぞれが左右を兼用できる形状であるため、金型が各一つで対応できる。
【0038】
また、本実施形態に係る車両用灯具1は、開口部22,…の形状が統一されていると共に、第1カバー部材3,…の形状が統一されているため、何れの開口部22にも第1カバー部材3を取り付けることができる。具体的には、中央の赤色(制動灯用)の第1カバー部材を内側又は外側に配置させてもよく、外側の青緑色(後退灯用)の第1カバー部材3や、内側の緑色(方向指示器用)の第1カバー部材3を中央に配置させることができる。したがって、灯火の配置をフレキシブルに行うことができる。さらに、例えば、第1カバー部材3が金型を使用して射出成形される場合は、全てが同一形状であるため、金型が一つで対応できる。
【0039】
また、本実施形態に係る車両用灯具1は、光源Yの消灯時には、有色で形成される第2カバー部材5の色が表示され、光源Yの点灯時には、光源Yの光が第1カバー部材3及び第2カバー部材5を介して外部に照射することにより、第1カバー部材3と第2カバー部材5との合成色が表示される。したがって、車両用灯具1は、表示色が法規上の色に適合した上で、さらに、意匠性を向上することができる。さらに、例えば、一つの第2カバー部材5が全ての第1カバー部材3,…を覆う構成であるため、部品点数を少なくすることができ、その結果、作業性(組み立て性)が向上する。
【0040】
なお、本発明の車両用灯具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0041】
例えば、上記実施形態に係る車両用灯具1は、収容部21,…(開口部22,…)及び第1カバー部材3,…が車両Xの幅方向に三つ並設される場合を説明したが、かかる場合に限られず、二つ又は四つ以上並設される場合でもよい。例えば、図15〜18に示すように、車両用灯具100は、車両Xの幅方向に収容部101(開口部102)を二つ有するハウジング103と、二つの開口部102,102をそれぞれ覆う二つの第1カバー部材104,104と、二つの第1カバー部材104,104の全体を覆う一つの第2カバー部材105とを備えてもよい。
【0042】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、収容部21(開口部22)及び第1カバー部材3が車両Xの高さ方向に一つ備える場合を説明したが、かかる場合に限られず、二つ以上並設される場合でもよい。
【0043】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、各第1カバー部材3が幅方向で対称又は略対称である場合を説明したが、かかる場合に限られず、各第1カバー部材が幅方向で非対称である場合でもよい。例えば、図19(a)に示すように、全ての第1カバー部材106,…が同一形状又は略同一形状であり、且つ両側(中央を除く側方側)の第1カバー部材106,106が幅方向で非対称である場合でもよく、図19(b)に示すように、中央の第1カバー部材107と両側(中央を除く側方側)の第1カバー部材108,108とが相違する形状であり(同一又は略同一形状でなく)、且つ両側(中央を除く側方側)の第1カバー部材108,108が幅方向で非対称である場合でもよい。
【0044】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、第1カバー部材3がレンズ機能(プリズム)を備える場合を説明したが、かかる場合に限られず、第1カバー部材がレンズ機能(プリズム)を備えない場合でもよく、また、第2カバー部材がレンズ機能(プリズム)を備える場合でもよい。
【0045】
また、上記実施形態に係る車両用灯具1は、第2カバー部材5が有色で形成される場合を説明したが、かかる場合に限られず、第2カバー部材が無色で形成される場合でもよい。かかる場合、第1カバー部材は、光源Yを点灯した際に、車両Xの後方に表示したい色で形成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、車両の後方部に取り付けられる状態における正面図を示す。
【図2】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図4】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図(右側面図及び左側面図)を示す。
【図5】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、図3のA−A線における端面図を示す。
【図6】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、図3のB−B線における端面図を示す。
【図7】同実施形態に係る車両用灯具のハウジングにおける全体図であって、(a)は正面図、(b)はC−C線における断面図、(c)はF領域における拡大図を示す。
【図8】同実施形態に係る車両用灯具のハウジングにおける全体図であって、(a)は図7のD−D線における断面図、(b)はG領域における拡大図、(c)は図7のE−E線における断面図を示す。
【図9】同実施形態に係る車両用灯具の第1カバー部材における全体図であって、斜視図を示す。
【図10】同実施形態に係る車両用灯具の第1カバー部材における全体図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は背面図、(f)は底面図を示す。
【図11】同実施形態に係る車両用灯具の第1カバー部材における全体図であって、(a)は図10のH−H線における端面図、(b)はJ領域における拡大図、(c)は図10のI−I線における端面図、(d)はK領域における拡大図を示す。
【図12】同実施形態に係る車両用灯具のリム部材における全体図であって、(a)は正面図、(b)はL−L線における断面図、(c)はM−M線における断面図を示す。
【図13】同実施形態に係る車両用灯具の第2カバー部材における全体図であって、(a)は正面図、(b)はN−N線における断面図、(c)はO−O線における断面図、(d)はP−P線における断面図を示す。
【図14】同実施形態に係る車両用灯具の本体における全体図であって、(a)は正面図、(b)はQ−Q線における断面図、(c)はR−R線における断面図、(d)はS−S線における断面図を示す。
【図15】本発明の他の実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、斜視図を示す。
【図16】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【図17】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図(右側面図及び左側面図)を示す。
【図18】同実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)は図16のT−T線における端面図、(b)は図16のU−U線における端面図を示す。
【図19】本発明のさらに他の実施形態に係る車両用灯具の全体図であって、(a)及び(b)は、それぞれ正面図を示す。
【符号の説明】
【0047】
1…車両用灯具、2…ハウジング、3…第1カバー部材、5…第2カバー部材、21…収容部、22…開口部、X…車両、Y…光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具において、光源を収容するための収容部を複数有して且つ各収容部が光源の光を車両の後方へ照射させるための開口部を有するハウジングと、各開口部をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材と、全ての第1カバー部材を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材とを備え、ハウジング及び第2カバー部材は、ハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材及び第2カバー部材は、それぞれ着脱可能に構成されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
開口部は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成され、第1カバー部材は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
第2カバー部材が有色で形成され、さらに、光源が第1カバー部材及び第2カバー部材を介して車両の後方へ光を照射することにより所望の色を表示すべく、第1カバー部材がそれぞれ所定の色で形成される請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項1】
車両の後方部における幅方向の両側に設けられる車両用灯具において、光源を収容するための収容部を複数有して且つ各収容部が光源の光を車両の後方へ照射させるための開口部を有するハウジングと、各開口部をそれぞれ覆う透光可能な複数の第1カバー部材と、全ての第1カバー部材を外側から覆う透光可能な一つの第2カバー部材とを備え、ハウジング及び第2カバー部材は、ハウジングにおける幅方向の中心で対称又は略対称となるように構成され、第1カバー部材及び第2カバー部材は、それぞれ着脱可能に構成されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
開口部は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成され、第1カバー部材は、それぞれ同一又は略同一の形状に形成される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
第2カバー部材が有色で形成され、さらに、光源が第1カバー部材及び第2カバー部材を介して車両の後方へ光を照射することにより所望の色を表示すべく、第1カバー部材がそれぞれ所定の色で形成される請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−104829(P2009−104829A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273637(P2007−273637)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(598051082)日本ボデーパーツ工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(598051082)日本ボデーパーツ工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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