車両用灯具
【課題】先が尖った三次元の流線形状に沿って発光素子を簡単な構成で配置及び組み付けることができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】ハウジングとその開口部を覆う三次元曲面を有するレンズによって画成された灯室内に、金属薄板製の一対のバスパー11a,11b間に複数のLED(発光素子)7を連結して成るLEDモジュール(発光素子モジュール)M1〜M3と、該LEDモジュールM1〜M3を保持するブラケット6と、LED7から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成された車両用灯具において、レンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形されたバスパー11a,11bの各段部にLED7を配置して前記発光素子モジュールM1〜M3を構成し、第1及び第2の2組の発光素子モジュールM1,M2を互いに離間させて配置するとともに、これらを第3のLEDモジュールM3によって接続する。
【解決手段】ハウジングとその開口部を覆う三次元曲面を有するレンズによって画成された灯室内に、金属薄板製の一対のバスパー11a,11b間に複数のLED(発光素子)7を連結して成るLEDモジュール(発光素子モジュール)M1〜M3と、該LEDモジュールM1〜M3を保持するブラケット6と、LED7から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成された車両用灯具において、レンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形されたバスパー11a,11bの各段部にLED7を配置して前記発光素子モジュールM1〜M3を構成し、第1及び第2の2組の発光素子モジュールM1,M2を互いに離間させて配置するとともに、これらを第3のLEDモジュールM3によって接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元曲面を有するレンズの内面に沿って複数組の発光素子モジュールを配置して成る車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テールランプ、ストップランプ等の車両用灯具には、ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成された灯室内に、発光素子モジュールと、該発光素子モジュールを保持するブラケットと、発光素子から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成されるものがある。ここで、斯かる車両用灯具の光源としての前記発光素子モジュールは、互いに平行に配設された金属薄板製の一対のバスパー間にLED等の複数の発光素子を所定の間隔で連結配置することによって構成されている。このような発光素子モジュールにおいて一対のバスパー間に駆動電圧が印加されると、接続リードを介して各発光素子に駆動電圧が供給されて各発光素子が発光する。
【0003】
ところで、前端又は後端が絞り込まれた車体用にデザインされた車両用灯具においては、そのレンズが複雑な三次元曲面を有しており、このような場合には、発光素子モジュールをレンズの内面に沿って三次元的に配置する必要があり、実際には、発光素子モジュールのバスパーをレンズの内面形状に沿って階段状に折曲成形し、その段部(平坦部)に発光素子を配置する構成が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−260206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、デザインの関係からランプを先が尖った三次元の流線形に成形する場合があり、斯かる場合には発光素子モジュールの配置、特に発光素子の配置構造が複雑化し、その組み付けも容易ではないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、先が尖った三次元の流線形状に沿って発光素子を簡単な構成で配置及び組み付けることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆う三次元曲面を有するレンズによって画成された灯室内に、金属薄板製の一対のバスパー間に複数の発光素子を連結して成る発光素子モジュールと、該発光素子モジュールを保持するブラケットと、前記発光素子から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成された車両用灯具において、前記レンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形された前記バスパーの各段部に前記発光素子を配置して前記発光素子モジュールを構成し、少なくとも第1及び第2の2組の発光素子モジュールを互いに離間させて配置するとともに、これらの発光素子モジュール同士を第3の発光素子モジュールによって接続したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記発光素子モジュールの複数の発光素子を、その光出射方向視において鋭角を成して交わる2本の曲線上に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記発光素子モジュールに発光素子をその光出射方向が車幅方向となるよう配置するとともに、該発光素子モジュールを保持する前記ブラケットを前記リフレクタに車幅方向から取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、三次元の曲面形状を有するレンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形されたバスパーの各段部に発光素子を配置して発光素子モジュールを構成し、少なくとも第1及び第2の2組の発光素子モジュールを互いに離間させて配置するとともに、これらの発光素子モジュール同士を第3の発光素子モジュールによって接続したため、簡単な構成で複数の発光素子を先が尖った三次元の流線形状に沿って配置及び組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明に係る車両用灯具の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る車両用灯具のLEDモジュールとこれを保持するブラケットの斜視図である。
【図6】本発明に係る車両用灯具のLEDモジュールの斜視図である。
【図7】本発明に係る車両用灯具のブラケットの斜視図である。
【図8】本発明に係る車両用灯具のブラケットの側面図である。
【図9】本発明に係る車両用灯具のリフレクタの斜視図である。
【図10】本発明に係る車両用灯具のリフレクタの正面図である。
【図11】本発明に係る車両用灯具のインナレンズの斜視図である。
【図12】本発明に係る車両用灯具のインナレンズの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係る車両用灯具の正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は同車両用灯具の分解斜視図、図5はLEDモジュールとこれを保持するブラケットの斜視図、図6はLEDモジュールの斜視図、図7はブラケットの斜視図、図8は同ブラケットの側面図、図9はリフレクタの斜視図、図10は同リフレクタの正面図、図11はインナレンズの斜視図、図12は同インナレンズの正面図である。尚、各図において、前方向(X方向)とは車両用灯具を車両後部に取り付けた状態において車両の後方(車両用灯具の光の照射方向)を示し、左方向(Y方向)とは車両正面から見て左側を示し、上方向(Z方向)とは車両上方を示すものとする。
【0013】
本発明に係る車両用灯具1は、リアコンビネーションランプであって、図2〜図4に示すように、ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズ3によって画成された灯室4内に、光源であるバルブ5と3組の第1〜第3のLEDモジュールM1,M2,M3(図5及び図6参照)、これらのLEDモジュールM1〜M3を保持するブロック状のブラケット6(図7及び図8参照)、前記バルブ5、該バルブ5から出射される光を反射するためのリフレクタ8、LEDモジュールM1〜M3に搭載された複数のLED7(図1及び図5参照)から出射される光をそれぞれ反射するためのリフレクタ9(図9及び図10参照)及びリフレクタ9の出射側を覆うインナレンズ10(図11及び図12参照)を収容して構成されている。尚、車両用灯具1は車両後部の左右にそれぞれ配置されるが、これらの車両用灯1具は左右対称であって、その基本構成は同じであるため、以下、右側の車両用灯具(リアコンビネーションランプ)1についてのみ説明する。
【0014】
而して、本実施の形態に係る車両用灯具1は、後端が絞り込まれた車体の後部右端に組み付けられ、その内部の灯室に収容されたバルブ5とリフレクタ8は方向指示灯を構成し、3組のLEDモジュールM1〜M3とブラケット6、リフレクタ9及びインナレンズ10はテール&ストップランプを構成している。
【0015】
前記ハウジング2は、樹脂にて一体成形されており、その開口部は三次元曲面を有する前記アウタレンズ3によって覆われている。ここで、アウタレンズ3は、透明な透光性樹脂によって成形されて車体の一部を構成している。尚、図4において、11は赤色の透光性樹脂によって成形されたリフレックスリフレクタ(再帰反射器)である。
【0016】
又、前記ブラケット6は樹脂にて一体成形されており、図5に示すように、これには第1、第2及び第3の3組のLEDモジュールM1,M2,M3が取り付けられる。このブラケット6は、図7及び図8に示すように階段状に成形されており、LEDモジュールM1を取り付けるための段差群M61、LEDモジュールM2を取り付けるための段差群M62、LEDモジュールM3を取り付けるための段差群M63の少なくとも3つの段差群がそれぞれの各段部(ブラケット6の正面方向を向く平坦面)が図8に示すように平行となるよう形成されている。これによりLEDモジュールM1,M2,M3を各段差群M61,M62,M63にそれぞれ取り付ける際に、全て同じブラケット正面方向(図8において右方向)から組み付けることによって組み立てができ作業性が向上する。又、後述するようにブラケット6をリフレクタ9に組み付ける際においても、両者を互いに対向させて組み付けることが可能となる。
【0017】
ここで、3組の各LEDモジュールM1〜M3には発光素子である前記LED7が各4つずつ計12個設けられているが、各LED7は、その光出射方向がブラケット6の各段差群M61,M62,M63と直交する方向、即ち車両後方となるよう全てのLED7の光軸を平行にして配置されている。特に、モジュール単位で各LEDモジュールM1,M2,M3内で用いる各LED7は、その光軸方向を揃えてバスパー11a,11bの平坦部に取り付けられるため、各LEDモジュールM1,M2,M3内におけるLED7の取付角度の精度が高められる。又、3組のLEDモジュールM1〜M3を保持するブラケット6は、リフレクタ9に車幅方向内側から取り付けられる。
【0018】
ところで、リフレクタ9及びインナレンズ10は、図4、図9〜図12に示すように、車幅方向内側(右側)に向かって絞られた形状、つまり、それらの先端9a,10aが尖った三次元の流線形に成形されており、その内側にブラケット6が車幅方向内側から組み付けられる。
【0019】
リフレクタ9は、図10に示すように、各LED7に対応する反射面9bとLED7が挿入される各開口9cを備え、反射面9bにはアルミニウム反射膜が蒸着されている。そして、各反射面9bは、各々の反射面9bに対応するLED7の位置を焦点位置とする回転放物面系の反射面とされ、各LED7から照射された光を車両後方(X方向)に向かう平行光とする。
【0020】
又、隣接する反射面9b間は、仕切り板9dによって各々の反射区画が区分されている。前記開口9cは、車幅方向内側(右側)、即ち図10における紙面左側の壁面9eに設けられている。そして、このリフレクタ9には、3組のLEDモジュールM1,M2,M3が取り付けられたブラケット6が先端部9a側から取り付けられる。これによりリフレクタ9に設けられた各反射面9bの焦点位置に各LED7を挿入して配置することができる。
【0021】
又、図9に示すように、リフレクタ9の開口9cに形成した壁面9eの裏面9fは、ブラケット6とリフレクタ9とを所定位置に設定するボスにて位置合わせしてネジで固定した際に、階段状に配置されているLED7が挿入可能な開口9cが流線型に連続する曲線(後述するC1,C2)に沿った三次元の曲面とされ、リフレクタ9の流線型に沿った薄肉にて成形されている。これによりリフレクタ9の裏面6fをブラケット6の段差に合わせて段部を設ける等、余分な成形材料の使用を省いて軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0022】
インナレンズ10は、前述のようにリフレクタ9の出射側を覆うものであって、図11及び図12に示すように、リフレクタ9と同様に車幅方向内側(右側)に向かって絞られた形状、つまり、その先端10aが尖った三次元の流線形に成形されている。
【0023】
又、前記3組のLEDモジュールM1〜M3は、図5及び図6に示すように、3次元の曲面を成すアウタレンズ3の内面に沿って車幅方向に直線階段状に折曲成形された一対のバスパー11a,11b(図5においては斜線を付して示す)の各段部(車幅方向外方を向く平坦面)にLED7をそれぞれ取り付けて構成されている。ここで、各一対のバスパー11a,11bは、例えばニッケルメッキを施したリン青銅板等の金属薄板で構成されており、これらの間にLED7が結合されている。具体的には、各LED7は、その底面から両側に向かって延びる接続リード12a,12bをバスパー11a,11bの相対向する箇所にカシメ等によって組み付けられる。尚、本実施の形態では、光源として所謂砲弾型と称される正面方向の輝度が高くて周囲にも光を照射するLED7を使用している。これによりリフレクタ9の反射面9bに対して横方向(図10における左方向)からLED7を挿入した場合において、反射面9bのLED7に対向する方向(図10における紙面右方向)のみならず、LED7から周囲方向(図10における紙面右方向)に向かった光も有効に捕捉して車両用灯具1の照射方向に向かう光にすることができる。尚、光源としてはLED7以外の他の任意の発光素子を使用しても良い。
【0024】
ところで、図5に示すように、第1〜第3組のLEDモジュールM1〜M3は、リフレクタ9の正面視(車両後面視)形状、つまり、先が尖った流線形に対応して、LED7からの光出射方向(車両後方)から見て斜めに配置されており、第1のLEDモジュールM1と第2のLEDモジュールM2は車幅方向に互いに離間して配置されている。
【0025】
具体的には、第1のLEDモジュールM1は、第2のLEDモジュールM2に対して車幅方向内側に図示の距離δだけオフセットして配置されており、これらの第1及び第2のLEDモジュールM1,M2の先端同士は第3のLEDモジュールM3によって接続されている。そして、第1のLEDモジュールM1と第2のLEDモジュールM2とはビス13によって互いに電気的及び機械的に接続されてブラケット6に固定されており、第1のLEDモジュールM1と第3のLEDモジュールM3とはビス14によって互いに電気的及び機械的に接続されてブラケット6に接続されている。
【0026】
以上のように構成することによって、第1〜第3のLEDモジュールM1〜M3にそれぞれ搭載された計12個のLED7は、図1に示すように、その光出射方向視(車両側方向視)において交点Pで鋭角を成して交わる2本の曲線C1,C2上に配置されている。
【0027】
而して、図2に示すように、各LEDモジュールM1〜M3に搭載されたLED7(図2には1つのみ図示)から車幅方向外側に出射する光L1は、リフレクタ9の円弧曲面状の反射面9bによって反射してその方向が角度90°変えられ、アウタレンズ3を通過して車両後方に向かって照射される。又、図2及び図3に示すバルブ5から出射する光L2は、リフレクタ8の反射面8aによって反射し、アウタレンズ3を通過して車両後方に向かって照射される。
【0028】
以上において、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、三次元の曲面形状を有するアウタレンズ3の内面に沿って直線階段状に折曲成形されたバスパー11a,11bの各段部にLED7を配置して3組の第1〜第3LEDモジュールM1〜M3を構成し、第1及び第2の2組のLEDモジュールM1,M2を車幅方向に互いに離間させて配置し、これらのLEDモジュールM1,M2同士を第3のLEDモジュールM3によって接続するとともに、第1〜第3のLEDモジュールM1〜M3にそれぞれ搭載された計12個のLED7をその光出射方向視(車両側方向視)において交点Pで鋭角を成して交わる2本の曲線C1,C2上に配置したため、簡単な構成で複数のLED7をリフレクタ9の形状に倣って先が尖った三次元の流線形状に沿って配置及び組み付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ヘッドランプ、フォグランプ、バックアップランプ、車幅灯、方向指示灯、ストップ&テールランプ等の任意の車両用灯具に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両用灯具
2 ハウジング
3 アウタレンズ(レンズ)
4 灯室
5 バルブ
6 ブラケット
7 LED(発光素子)
8 リフレクタ
8a リフレクタの反射面
9 リフレクタ
9a リフレクタの先端
9b リフレクタの反射面
9c リフレクタの開口
9d リフレクタの仕切り板
9e リフレクタの壁面
9f リフレクタの裏面
10 インナレンズ
10a インナレンズの先端
11 リフレックスリフレクタ
11a,11b バスパー
12a,12b LEDの接続リード
13,14 ビス
C1,C2 曲線
L1,L2 光
M1〜M3 LEDモジュール(発光素子モジュール)
M61 ブラケットのLEDモジュールM1段差群
M62 ブラケットのLEDモジュールM2段差群
M63 ブラケットのLEDモジュールM3段差群
P 曲線の交点
δ LEDモジュールのオフセット量
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元曲面を有するレンズの内面に沿って複数組の発光素子モジュールを配置して成る車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テールランプ、ストップランプ等の車両用灯具には、ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成された灯室内に、発光素子モジュールと、該発光素子モジュールを保持するブラケットと、発光素子から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成されるものがある。ここで、斯かる車両用灯具の光源としての前記発光素子モジュールは、互いに平行に配設された金属薄板製の一対のバスパー間にLED等の複数の発光素子を所定の間隔で連結配置することによって構成されている。このような発光素子モジュールにおいて一対のバスパー間に駆動電圧が印加されると、接続リードを介して各発光素子に駆動電圧が供給されて各発光素子が発光する。
【0003】
ところで、前端又は後端が絞り込まれた車体用にデザインされた車両用灯具においては、そのレンズが複雑な三次元曲面を有しており、このような場合には、発光素子モジュールをレンズの内面に沿って三次元的に配置する必要があり、実際には、発光素子モジュールのバスパーをレンズの内面形状に沿って階段状に折曲成形し、その段部(平坦部)に発光素子を配置する構成が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−260206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、デザインの関係からランプを先が尖った三次元の流線形に成形する場合があり、斯かる場合には発光素子モジュールの配置、特に発光素子の配置構造が複雑化し、その組み付けも容易ではないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、先が尖った三次元の流線形状に沿って発光素子を簡単な構成で配置及び組み付けることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆う三次元曲面を有するレンズによって画成された灯室内に、金属薄板製の一対のバスパー間に複数の発光素子を連結して成る発光素子モジュールと、該発光素子モジュールを保持するブラケットと、前記発光素子から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成された車両用灯具において、前記レンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形された前記バスパーの各段部に前記発光素子を配置して前記発光素子モジュールを構成し、少なくとも第1及び第2の2組の発光素子モジュールを互いに離間させて配置するとともに、これらの発光素子モジュール同士を第3の発光素子モジュールによって接続したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記発光素子モジュールの複数の発光素子を、その光出射方向視において鋭角を成して交わる2本の曲線上に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記発光素子モジュールに発光素子をその光出射方向が車幅方向となるよう配置するとともに、該発光素子モジュールを保持する前記ブラケットを前記リフレクタに車幅方向から取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、三次元の曲面形状を有するレンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形されたバスパーの各段部に発光素子を配置して発光素子モジュールを構成し、少なくとも第1及び第2の2組の発光素子モジュールを互いに離間させて配置するとともに、これらの発光素子モジュール同士を第3の発光素子モジュールによって接続したため、簡単な構成で複数の発光素子を先が尖った三次元の流線形状に沿って配置及び組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明に係る車両用灯具の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る車両用灯具のLEDモジュールとこれを保持するブラケットの斜視図である。
【図6】本発明に係る車両用灯具のLEDモジュールの斜視図である。
【図7】本発明に係る車両用灯具のブラケットの斜視図である。
【図8】本発明に係る車両用灯具のブラケットの側面図である。
【図9】本発明に係る車両用灯具のリフレクタの斜視図である。
【図10】本発明に係る車両用灯具のリフレクタの正面図である。
【図11】本発明に係る車両用灯具のインナレンズの斜視図である。
【図12】本発明に係る車両用灯具のインナレンズの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係る車両用灯具の正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は同車両用灯具の分解斜視図、図5はLEDモジュールとこれを保持するブラケットの斜視図、図6はLEDモジュールの斜視図、図7はブラケットの斜視図、図8は同ブラケットの側面図、図9はリフレクタの斜視図、図10は同リフレクタの正面図、図11はインナレンズの斜視図、図12は同インナレンズの正面図である。尚、各図において、前方向(X方向)とは車両用灯具を車両後部に取り付けた状態において車両の後方(車両用灯具の光の照射方向)を示し、左方向(Y方向)とは車両正面から見て左側を示し、上方向(Z方向)とは車両上方を示すものとする。
【0013】
本発明に係る車両用灯具1は、リアコンビネーションランプであって、図2〜図4に示すように、ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズ3によって画成された灯室4内に、光源であるバルブ5と3組の第1〜第3のLEDモジュールM1,M2,M3(図5及び図6参照)、これらのLEDモジュールM1〜M3を保持するブロック状のブラケット6(図7及び図8参照)、前記バルブ5、該バルブ5から出射される光を反射するためのリフレクタ8、LEDモジュールM1〜M3に搭載された複数のLED7(図1及び図5参照)から出射される光をそれぞれ反射するためのリフレクタ9(図9及び図10参照)及びリフレクタ9の出射側を覆うインナレンズ10(図11及び図12参照)を収容して構成されている。尚、車両用灯具1は車両後部の左右にそれぞれ配置されるが、これらの車両用灯1具は左右対称であって、その基本構成は同じであるため、以下、右側の車両用灯具(リアコンビネーションランプ)1についてのみ説明する。
【0014】
而して、本実施の形態に係る車両用灯具1は、後端が絞り込まれた車体の後部右端に組み付けられ、その内部の灯室に収容されたバルブ5とリフレクタ8は方向指示灯を構成し、3組のLEDモジュールM1〜M3とブラケット6、リフレクタ9及びインナレンズ10はテール&ストップランプを構成している。
【0015】
前記ハウジング2は、樹脂にて一体成形されており、その開口部は三次元曲面を有する前記アウタレンズ3によって覆われている。ここで、アウタレンズ3は、透明な透光性樹脂によって成形されて車体の一部を構成している。尚、図4において、11は赤色の透光性樹脂によって成形されたリフレックスリフレクタ(再帰反射器)である。
【0016】
又、前記ブラケット6は樹脂にて一体成形されており、図5に示すように、これには第1、第2及び第3の3組のLEDモジュールM1,M2,M3が取り付けられる。このブラケット6は、図7及び図8に示すように階段状に成形されており、LEDモジュールM1を取り付けるための段差群M61、LEDモジュールM2を取り付けるための段差群M62、LEDモジュールM3を取り付けるための段差群M63の少なくとも3つの段差群がそれぞれの各段部(ブラケット6の正面方向を向く平坦面)が図8に示すように平行となるよう形成されている。これによりLEDモジュールM1,M2,M3を各段差群M61,M62,M63にそれぞれ取り付ける際に、全て同じブラケット正面方向(図8において右方向)から組み付けることによって組み立てができ作業性が向上する。又、後述するようにブラケット6をリフレクタ9に組み付ける際においても、両者を互いに対向させて組み付けることが可能となる。
【0017】
ここで、3組の各LEDモジュールM1〜M3には発光素子である前記LED7が各4つずつ計12個設けられているが、各LED7は、その光出射方向がブラケット6の各段差群M61,M62,M63と直交する方向、即ち車両後方となるよう全てのLED7の光軸を平行にして配置されている。特に、モジュール単位で各LEDモジュールM1,M2,M3内で用いる各LED7は、その光軸方向を揃えてバスパー11a,11bの平坦部に取り付けられるため、各LEDモジュールM1,M2,M3内におけるLED7の取付角度の精度が高められる。又、3組のLEDモジュールM1〜M3を保持するブラケット6は、リフレクタ9に車幅方向内側から取り付けられる。
【0018】
ところで、リフレクタ9及びインナレンズ10は、図4、図9〜図12に示すように、車幅方向内側(右側)に向かって絞られた形状、つまり、それらの先端9a,10aが尖った三次元の流線形に成形されており、その内側にブラケット6が車幅方向内側から組み付けられる。
【0019】
リフレクタ9は、図10に示すように、各LED7に対応する反射面9bとLED7が挿入される各開口9cを備え、反射面9bにはアルミニウム反射膜が蒸着されている。そして、各反射面9bは、各々の反射面9bに対応するLED7の位置を焦点位置とする回転放物面系の反射面とされ、各LED7から照射された光を車両後方(X方向)に向かう平行光とする。
【0020】
又、隣接する反射面9b間は、仕切り板9dによって各々の反射区画が区分されている。前記開口9cは、車幅方向内側(右側)、即ち図10における紙面左側の壁面9eに設けられている。そして、このリフレクタ9には、3組のLEDモジュールM1,M2,M3が取り付けられたブラケット6が先端部9a側から取り付けられる。これによりリフレクタ9に設けられた各反射面9bの焦点位置に各LED7を挿入して配置することができる。
【0021】
又、図9に示すように、リフレクタ9の開口9cに形成した壁面9eの裏面9fは、ブラケット6とリフレクタ9とを所定位置に設定するボスにて位置合わせしてネジで固定した際に、階段状に配置されているLED7が挿入可能な開口9cが流線型に連続する曲線(後述するC1,C2)に沿った三次元の曲面とされ、リフレクタ9の流線型に沿った薄肉にて成形されている。これによりリフレクタ9の裏面6fをブラケット6の段差に合わせて段部を設ける等、余分な成形材料の使用を省いて軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0022】
インナレンズ10は、前述のようにリフレクタ9の出射側を覆うものであって、図11及び図12に示すように、リフレクタ9と同様に車幅方向内側(右側)に向かって絞られた形状、つまり、その先端10aが尖った三次元の流線形に成形されている。
【0023】
又、前記3組のLEDモジュールM1〜M3は、図5及び図6に示すように、3次元の曲面を成すアウタレンズ3の内面に沿って車幅方向に直線階段状に折曲成形された一対のバスパー11a,11b(図5においては斜線を付して示す)の各段部(車幅方向外方を向く平坦面)にLED7をそれぞれ取り付けて構成されている。ここで、各一対のバスパー11a,11bは、例えばニッケルメッキを施したリン青銅板等の金属薄板で構成されており、これらの間にLED7が結合されている。具体的には、各LED7は、その底面から両側に向かって延びる接続リード12a,12bをバスパー11a,11bの相対向する箇所にカシメ等によって組み付けられる。尚、本実施の形態では、光源として所謂砲弾型と称される正面方向の輝度が高くて周囲にも光を照射するLED7を使用している。これによりリフレクタ9の反射面9bに対して横方向(図10における左方向)からLED7を挿入した場合において、反射面9bのLED7に対向する方向(図10における紙面右方向)のみならず、LED7から周囲方向(図10における紙面右方向)に向かった光も有効に捕捉して車両用灯具1の照射方向に向かう光にすることができる。尚、光源としてはLED7以外の他の任意の発光素子を使用しても良い。
【0024】
ところで、図5に示すように、第1〜第3組のLEDモジュールM1〜M3は、リフレクタ9の正面視(車両後面視)形状、つまり、先が尖った流線形に対応して、LED7からの光出射方向(車両後方)から見て斜めに配置されており、第1のLEDモジュールM1と第2のLEDモジュールM2は車幅方向に互いに離間して配置されている。
【0025】
具体的には、第1のLEDモジュールM1は、第2のLEDモジュールM2に対して車幅方向内側に図示の距離δだけオフセットして配置されており、これらの第1及び第2のLEDモジュールM1,M2の先端同士は第3のLEDモジュールM3によって接続されている。そして、第1のLEDモジュールM1と第2のLEDモジュールM2とはビス13によって互いに電気的及び機械的に接続されてブラケット6に固定されており、第1のLEDモジュールM1と第3のLEDモジュールM3とはビス14によって互いに電気的及び機械的に接続されてブラケット6に接続されている。
【0026】
以上のように構成することによって、第1〜第3のLEDモジュールM1〜M3にそれぞれ搭載された計12個のLED7は、図1に示すように、その光出射方向視(車両側方向視)において交点Pで鋭角を成して交わる2本の曲線C1,C2上に配置されている。
【0027】
而して、図2に示すように、各LEDモジュールM1〜M3に搭載されたLED7(図2には1つのみ図示)から車幅方向外側に出射する光L1は、リフレクタ9の円弧曲面状の反射面9bによって反射してその方向が角度90°変えられ、アウタレンズ3を通過して車両後方に向かって照射される。又、図2及び図3に示すバルブ5から出射する光L2は、リフレクタ8の反射面8aによって反射し、アウタレンズ3を通過して車両後方に向かって照射される。
【0028】
以上において、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、三次元の曲面形状を有するアウタレンズ3の内面に沿って直線階段状に折曲成形されたバスパー11a,11bの各段部にLED7を配置して3組の第1〜第3LEDモジュールM1〜M3を構成し、第1及び第2の2組のLEDモジュールM1,M2を車幅方向に互いに離間させて配置し、これらのLEDモジュールM1,M2同士を第3のLEDモジュールM3によって接続するとともに、第1〜第3のLEDモジュールM1〜M3にそれぞれ搭載された計12個のLED7をその光出射方向視(車両側方向視)において交点Pで鋭角を成して交わる2本の曲線C1,C2上に配置したため、簡単な構成で複数のLED7をリフレクタ9の形状に倣って先が尖った三次元の流線形状に沿って配置及び組み付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ヘッドランプ、フォグランプ、バックアップランプ、車幅灯、方向指示灯、ストップ&テールランプ等の任意の車両用灯具に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両用灯具
2 ハウジング
3 アウタレンズ(レンズ)
4 灯室
5 バルブ
6 ブラケット
7 LED(発光素子)
8 リフレクタ
8a リフレクタの反射面
9 リフレクタ
9a リフレクタの先端
9b リフレクタの反射面
9c リフレクタの開口
9d リフレクタの仕切り板
9e リフレクタの壁面
9f リフレクタの裏面
10 インナレンズ
10a インナレンズの先端
11 リフレックスリフレクタ
11a,11b バスパー
12a,12b LEDの接続リード
13,14 ビス
C1,C2 曲線
L1,L2 光
M1〜M3 LEDモジュール(発光素子モジュール)
M61 ブラケットのLEDモジュールM1段差群
M62 ブラケットのLEDモジュールM2段差群
M63 ブラケットのLEDモジュールM3段差群
P 曲線の交点
δ LEDモジュールのオフセット量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆う三次元曲面を有するレンズによって画成された灯室内に、金属薄板製の一対のバスパー間に複数の発光素子を連結して成る発光素子モジュールと、該発光素子モジュールを保持するブラケットと、前記発光素子から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成された車両用灯具において、
前記レンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形された前記バスパーの各段部に前記発光素子を配置して前記発光素子モジュールを構成し、少なくとも第1及び第2の2組の発光素子モジュールを互いに離間させて配置するとともに、これらの発光素子モジュール同士を第3の発光素子モジュールによって接続したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記発光素子モジュールの複数の発光素子を、その光出射方向視において鋭角を成して交わる2本の曲線上に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記発光素子モジュールに発光素子をその光出射方向が車幅方向となるよう配置するとともに、該発光素子モジュールを保持する前記ブラケットを前記リフレクタに車幅方向から取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具。
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆う三次元曲面を有するレンズによって画成された灯室内に、金属薄板製の一対のバスパー間に複数の発光素子を連結して成る発光素子モジュールと、該発光素子モジュールを保持するブラケットと、前記発光素子から出射される光を反射するリフレクタを収容して構成された車両用灯具において、
前記レンズの内面に沿って直線階段状に折曲成形された前記バスパーの各段部に前記発光素子を配置して前記発光素子モジュールを構成し、少なくとも第1及び第2の2組の発光素子モジュールを互いに離間させて配置するとともに、これらの発光素子モジュール同士を第3の発光素子モジュールによって接続したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記発光素子モジュールの複数の発光素子を、その光出射方向視において鋭角を成して交わる2本の曲線上に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記発光素子モジュールに発光素子をその光出射方向が車幅方向となるよう配置するとともに、該発光素子モジュールを保持する前記ブラケットを前記リフレクタに車幅方向から取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−192320(P2010−192320A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36822(P2009−36822)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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