車両用灯具
【課題】従来の車両用灯具では、相反する2つのランプ機能を得ることができない。
【解決手段】この発明は、第1発光部4および第2発光部5を有する光源2と、主反射面8および副反射面9を有するリフレクタ3と、を備える。主反射面8は、第1発光部4および第2発光部5からの光L2、L4を、主反射面8の光軸Zと平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面である。副反射面9は、第1発光部4からの光L1を、副反射面9の光軸Zと平行な仮想光軸に対して副反射面9の光軸Z側に反射させ、かつ、第2発光部5からの光L3を、副反射面9の光軸Zと平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面である。この結果、この発明は、相反する2つのランプ機能を得ることができる。
【解決手段】この発明は、第1発光部4および第2発光部5を有する光源2と、主反射面8および副反射面9を有するリフレクタ3と、を備える。主反射面8は、第1発光部4および第2発光部5からの光L2、L4を、主反射面8の光軸Zと平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面である。副反射面9は、第1発光部4からの光L1を、副反射面9の光軸Zと平行な仮想光軸に対して副反射面9の光軸Z側に反射させ、かつ、第2発光部5からの光L3を、副反射面9の光軸Zと平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面である。この結果、この発明は、相反する2つのランプ機能を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つのランプ機能を有する車両用灯具に関するものである。特に、この発明は、中央部の光度(照度、光量)と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る(外側に広がる)配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を有する車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、従来の車両用灯具について説明する。前者の従来の車両用灯具は、二つの発光部を有する光源と、放物面系の反射面と、を備えるものである。第一の発光部を点灯発光させると、通常の前照灯の機能が得られ、第二の発光部を点灯発光させると、デイタイムランニングランプの機能が得られるものである。後者の従来の車両用灯具は、メインフィラメントおよびサブフィラメントを有する光源と、上側反射放物面および下側反射放物面を有するリフレクタと、を備えるものである。メインフィラメント点灯発光させると、メインフィラメントからの光が上側反射放物面および下側反射放物面で反射してメインビームの配光パターンのヘッドランプの機能が得られ、サブフィラメント点灯発光させると、サブフィラメントからの光が上側反射放物面で反射してサブビームの配光パターンのヘッドランプの機能が得られるものである。
【0003】
ところが、前者の従来の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きい配光パターンを照射する通常の前照灯の機能と、同じく、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きい配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を有するものである。また、後者の従来の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きいメインビームの配光パターンを照射するヘッドランプの機能と、同じく、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きいサブビームの配光パターンを照射するヘッドランプの機能と、を有するものである。このために、従来の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲にわたる配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、そのランプ機能と相反する、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を得ることができない。すなわち、従来の車両用灯具は、相反する2つのランプ機能を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186773号公報
【特許文献2】実開平6−68211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、相反する2つのランプ機能を得ることができないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、第1発光部および第2発光部を有する光源と、主反射面および副反射面を有するリフレクタと、を備え、主反射面が、第1発光部および第2発光部からの光を、主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、副反射面が、第1発光部からの光を、副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して副反射面の光軸側に反射させ、かつ、第2発光部からの光を、副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、主反射面および副反射面が、第1発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、第2発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する反射面である、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、副反射面がパラボラ系の自由曲面からなり、第1発光部が副反射面の焦点よりも光の反射方向側に位置し、第2発光部が副反射面の焦点もしくはその近傍に位置する、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、第1発光部および第2発光部が、長辺が主反射面および副反射面の光軸に対して直交(ほぼ直交も含む)するフィラメントであり、主反射面が、第1発光部および第2発光部の短辺に対向する位置に設けられていて、副反射面が、第1発光部および第2発光部の長辺に対向する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、光源の第1発光部を点灯発光させると、第1発光部からの光が、主反射面で主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射し、一方、副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して副反射面の光軸側に反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンが形成される。また、光源の第2発光部を点灯発光させると、第2発光部からの光が、主反射面で主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射し、同じく、副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンが形成される。このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、そのランプ機能と相反する、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を得ることができる。すなわち、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、相反する2つのランプ機能を得ることができる。
【0010】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、副反射面の焦点よりも光の反射方向側に位置する第1発光部からの光を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して副反射面の光軸側に反射させることが容易であり、また、副反射面の焦点もしくはその近傍に位置する第2発光部からの光を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させることが容易である。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、第1発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、第2発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する副反射面の設計製造が容易である。すなわち、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとの配光制御が容易である。
【0011】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、第1発光部および第2発光部から副反射面に入射する光束が第1発光部および第2発光部から主反射面に入射する光束よりも多い。このために、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、副反射面で、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとを、配光制御することがさらに容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例を示す主要構成部品の正面図である。
【図2】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるA−A線断面説明図である。
【図3】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるB−B線断面説明図である。
【図4】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるC−C線断面説明図である。
【図5】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるD−D線断面説明図である。
【図6】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるA−A線断面説明図である。
【図7】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるB−B線断面説明図である。
【図8】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるC−C線断面説明図である。
【図9】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるD−D線断面説明図である。
【図10】同じく、第1発光部からの光を副反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図11】同じく、第1発光部からの光を主反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図12】同じく、第2発光部からの光を副反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図13】同じく、第2発光部からの光を主反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図14】同じく、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す平面説明図である。
【図15】同じく、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す側面説明図である。
【図16】同じく、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す平面説明図である。
【図17】同じく、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す側面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図10、図11、図12、図13において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。また、図10、図11、図12、図13は、スクリーン上の第1発光部、第2発光部の反射像を示す説明図である。この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、右、左」は、車両用灯具を車両に装備された際の「上、下、前、後、右、左」である。
【実施例】
【0014】
以下、この実施例における車両用灯具の構成について説明する。図1において、符号1は、この実施例における車両用灯具である。前記車両用灯具1は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、光源2と、リフレクタ3と、を備えるものである。前記車両用灯具1は、車両の前部の左右両側部の所定の位置に装備されている。
【0015】
前記光源2および前記リフレクタ3は、ランプユニットを構成する。前記光源2および前記リフレクタ3は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に光軸調整装置(図示せず)を介して光軸調整可能に配置されている。
【0016】
前記光源2は、第1発光部4および第2発光部5を有するものである。前記第1発光部4および前記第2発光部5は、円筒形状のフィラメントからなる。前記第1発光部4および前記第2発光部5は、ガラス管球6中に封入されている。前記ガラス管球6の一端部(後端部)には、口金7が取り付けられている。前記口金7を介して、前記光源2は、前記リフレクタ3に着脱可能に取り付けられている。また、前記口金7に電源(バッテリー)からのコネクタ(図示せず)を電気的に接続することにより、前記第1発光部4および前記第2発光部5が給電可能状態となる。
【0017】
前記第1発光部4および前記第2発光部5の長辺(円筒形状のフィラメント軸)は、前記光源2軸に対して直交(ほぼ直交も含む)する。前記第1発光部4は、前記第2発光部5に対して前記口金7と反対側(前側)に位置する。
【0018】
前記リフレクタ3は、主反射面8および副反射面9を有するものである。前記リフレクタ3は、一方向側(前側)が開口し、かつ、その他の5方向側(後側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した中空形状をなす。前記リフレクタ3の内面には、前記主反射面8および前記副反射面9が設けられている。
【0019】
前記主反射面8および前記副反射面9は、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる。前記主反射面8および前記副反射面9は、基準焦点(擬似焦点)Fおよび基準光軸(擬似光軸)Zをそれぞれ有する。前記主反射面8の前記基準焦点Fおよび前記基準光軸Zと、前記副反射面9の前記基準焦点Fおよび前記基準光軸Zとは、一致もしくはほぼ一致する。
【0020】
前記リフレクタ3の後部閉塞部の中央には、前記光源2の挿入孔10が設けられている。前記光源2の前記第1発光部4および前記第2発光部5および前記ガラス管球6および前記口金7の一部が前記挿入孔8から前記リフレクタ3内に挿入されている。前記光源2の前記口金7が前記リフレクタ3の前記挿入孔10の縁に着脱可能に取り付けられている。
【0021】
前記光源2軸と前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準光軸Zとは、一致もしくはほぼ一致する。この結果、前記第1発光部4および前記第2発光部5の長辺は、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準光軸Zに対して直交(ほぼ直交も含む)する。
【0022】
前記第1発光部4は、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準焦点Fよりも光の反射方向側(前側)に位置する。前記第2発光部5は、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準焦点Fもしくはその近傍に位置する。なお、前記主反射面8の前記基準焦点Fと前記副反射面9の前記基準焦点Fとが一致しない場合においては、前記主反射面8の前記基準焦点Fが前記第1発光部4よりも前記第2発光部5の近くに位置し、かつ、前記副反射面9の前記基準焦点Fが前記第2発光部5にもしくはその近傍(すなわち、前記主反射面8の前記基準焦点Fよりも前記第2発光部5の近く)に位置する。
【0023】
前記主反射面8は、前記第1発光部4および前記第2発光部5の短辺(円筒形状のフィラメントの端面)に対向する位置、すなわち、前記リフレクタ3の左右両側に設けられている。前記副反射面9は、前記第1発光部4および前記第2発光部5の長辺に対向する位置、すなわち、前記リフレクタ3の上下両側に設けられている。
【0024】
前記主反射面8は、前記第1発光部4および前記第2発光部5からの光L2、L4を、図3、図5、図7、図9に示すように、前記主反射面8の前記基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いで反射させる反射面である。
【0025】
一方、前記副反射面9は、前記第1発光部4からの光L1を、図2、図4に示すように、前記副反射面9の前記基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して前記副反射面9の前記基準光軸Z側に反射させ、かつ、前記第2発光部5からの光L3を、図6、図8に示すように、前記副反射面9の前記基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いで反射させる反射面である。
【0026】
図14、図15は、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す説明図である。以下、図14、図15を参照して、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件について説明する。図14、図15において、矢印Cは、車両の前方方向を示す。矢印Xは、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準光軸Zと一致もしくはほぼ一致し、車両の前方に所定の距離を開けて設置されたスクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点(上下0°、左右0°)に達する基準軸である。矢印Iは、車両の内側を示す。矢印Oは、車両の外側を示す。矢印Uは、車両の上側を示す。矢印Dは、車両の下側を示す。
【0027】
クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件は、図14、図15に示すように、基準軸Xに対して、車両の内側Iにθ1(45°)、車両の外側Oにθ2(80°)、車両の上側Uにθ3(15°)、車両の下側Dにθ4(15°)の照射範囲を要件とし、また、基準軸X(スクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点)上の最大光度が60cd以下(ランプユニットが1個の場合の要件が60cd以下であって、ランプユニットが複数個の場合の要件は、84cd以下となる)の要件とする。前記の要件を満たすクリアランスランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る配光パターンとなる。
【0028】
図16、図17は、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す説明図である。以下、図16、図17を参照して、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件について説明する。図16、図17において、図14、図15と同符号は、同一のものを示す。
【0029】
デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件は、図16、図17に示すように、基準軸Xに対して、車両の内側Iにθ5(20°)、車両の外側Oにθ6(20°)、車両の上側Uにθ7(10°)、車両の下側Dにθ8(5°)の照射範囲を要件とし、また、基準軸X(スクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点)上の最大光度が400cd以上の要件とする。前記の要件を満たすデイタイムランニングランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンとなる。
【0030】
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0031】
まず、光源2の第1発光部4を点灯発光させる。すると、第1発光部4から放射されて光の一部L2は、図3、図5に示すように、リフレクタ3の主反射面8で反射して、図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンで、車両(図示せず)の前方に照射される。このとき、第1発光部4からの光L2であって、主反射面8で反射された反射光L2は、図3、図5に示すように、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。すなわち、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8で反射された反射光L2は、図3、図5に示すように、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8を通りかつ主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。この結果、第1発光部4からの光L2であって、主反射面8で反射された反射光L2により、図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンが得られる。
【0032】
また、第1発光部4から放射された残りの光L1は、図2、図4に示すように、リフレクタ3の副反射面9で反射して、図10に示す上下左右に広がった配光パターンで、車両の前方に照射される。このとき、第1発光部4からの光L1であって、副反射面9で反射された反射光L1は、図2、図4に示すように、副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に寄った状態で反射する。すなわち、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6で反射された反射光L1は、図2、図4に示すように、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6を通りかつ副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に寄った状態で反射する。この結果、第1発光部4からの光L1であって、副反射面9で反射された反射光L1により、図10に示す上下左右に広がった配光パターンが得られる。
【0033】
図10に示す上下左右に広がった配光パターンと図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンとが合成されることにより、クリアランスランプの配光パターンが得られる。図10に示す上下左右に広がった配光パターンと図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンとが合成されてなるクリアランスランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る配光パターンであって、図14、図15に示すクリアランスランプの機能(配光特性)の要件を満たすものである。
【0034】
一方、光源2の第2発光部5を点灯発光させる。すると、第2発光部5から放射されて光の一部L4は、図7、図9に示すように、リフレクタ3の主反射面8で反射して、図13に示す中央部寄りの配光パターンで、車両(図示せず)の前方に照射される。このとき、第2発光部5からの光L4であって、主反射面8で反射された反射光L4は、図7、図9に示すように、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。すなわち、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8で反射された反射光L4は、図7、図9に示すように、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8を通りかつ主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。この結果、第2発光部5からの光L4であって、主反射面8で反射された反射光L4により、図13に示す中央部寄りの配光パターンが得られる。
【0035】
また、第2発光部5から放射された残りの光L3は、図6、図8に示すように、リフレクタ3の副反射面9で反射して、図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンで、車両の前方に照射される。このとき、第2発光部5からの光L3であって、副反射面9で反射された反射光L3は、図6、図8に示すように、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いだ状態で反射する。すなわち、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6で反射された反射光L3は、図6、図8に示すように、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6を通りかつ副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いだ状態で反射する。この結果、第2発光部5からの光L3であって、副反射面9で反射された反射光L3により、図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンが得られる。
【0036】
図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンと図13に示す中央部寄りの配光パターンとが合成されることにより、デイタイムランニングランプの配光パターンが得られる。図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンと図13に示す中央部寄りの配光パターンとが合成されてなるデイタイムランニングランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンであって、図16、図17に示すデイタイムランニングランプの機能(配光特性)の要件を満たすものである。
【0037】
ここで、図2、図4に示すように、第1発光部4からの光L1であって副反射面9で反射した反射光L1は、副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に寄った状態で反射する。このために、図10に示すように、第1発光部4からの光L1であって副反射面9で反射した反射光L1の配光パターンは、上下左右に大きく広がっている。
【0038】
また、図6、図8に示すように、第2発光部6からの光L3であって副反射面9で反射した反射光L3は、副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を若干跨いだ状態で反射する。このために、図12に示すように、第2発光部5からの光L3であって副反射面9で反射した反射光L3の配光パターンは、範囲が図10に示す反射光L1の配光パターンの範囲よりも狭く上下左右に広がっている。
【0039】
さらに、図3、図5に示すように、第1発光部4からの光L2であって主反射面8で反射した反射光L2は、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。このために、図11に示すように、第1発光部4からの光L2であって主反射面8で反射した反射光L2の配光パターンは、中央部にほぼ寄っている。
【0040】
さらにまた、図7、図9に示すように、第2発光部5からの光L4であって主反射面8で反射した反射光L4は、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を、図3、図5に示す第1発光部4からの光L2であって主反射面8で反射した反射光L2よりも大きく、跨いだ状態で反射する。このために、図13に示すように、第2発光部5からの光L4であって主反射面8で反射した反射光L4の配光パターンは、図11に示す反射光L2の配光パターンよりも中央部に寄っている。
【0041】
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0042】
この実施例における車両用灯具1は、光源2の第1発光部4を点灯発光させると、第1発光部4からの一部の光L2が、主反射面8で主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いで反射し、一方、第1発光部4からの残りの光L1が、副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンが形成される。また、光源2の第2発光部5を点灯発光させると、第2発光部5からの一部の光L4が、主反射面8で主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いで反射し、同じく、第2発光部5からの残りの光L3が、副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いで反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンが形成される。このように、この実施例における車両用灯具1は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、そのランプ機能と相反する、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を得ることができる。すなわち、この実施例における車両用灯具1は、相反する2つのランプ機能を得ることができる。
【0043】
また、この実施例における車両用灯具1は、副反射面9の基準焦点Fよりも光の反射方向側(前側)に位置する第1発光部4からの光L1を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に反射させることが容易であり、また、副反射面9の基準焦点Fもしくはその近傍に位置する第2発光部5からの光L3を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いで反射させることが容易である。この結果、この実施例における車両用灯具1は、第1発光部4からの光L1、L2を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、第2発光部5からの光L3、L4を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する副反射面の設計製造が容易である。すなわち、この実施例における車両用灯具1は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとの配光制御が容易である。
【0044】
さらに、この実施例における車両用灯具1は、主反射面8が第1発光部4および第2発光部5の短辺に対向する位置、すなわち、リフレクタ3の左右両側に設けられていて、一方、副反射面9が第1発光部4および第2発光部5の長辺に対向する位置、すなわち、リフレクタ3の上下両側に設けられている。これにより、この実施例における車両用灯具1は、第1発光部4および第2発光部5から副反射面9に入射する光束が第1発光部4および第2発光部5から主反射面8に入射する光束よりも多い。このために、この実施例における車両用灯具1は、副反射面9で、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとを、配光制御することがさらに容易となる。
【0045】
なお、この実施例における車両用灯具1の主反射面8の面積と副反射面9の面積との比は、たとえば、7:3である。ところが、この発明においては、第1配光パターンすなわちクリアランスランプ機能が満足する条件であれば、主反射面8の面積と副反射面9の面積との比を特に限定しない。
【符号の説明】
【0046】
1 車両用灯具
2 光源
3 リフレクタ
4 第1発光部
5 第2発光部
6 ガラス管球
7 口金
8 主反射面
9 副反射面
10 挿入孔
F 基準焦点(焦点)
Z 基準光軸(光軸)
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8 基準光軸と平行な仮想光軸
L1 第1発光部からの光であって副反射面からの反射光
L2 第1発光部からの光であって主反射面からの反射光
L3 第2発光部からの光であって副反射面からの反射光
L4 第2発光部からの光であって主反射面からの反射光
X 基準軸
C 車両の前方方向
I 車両の内側
O 車両の外側
U 車両の上側
D 車両の下側
θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6、θ7、θ8 基準軸に対する角度
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
HL−HR スクリーンの左右の水平線
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つのランプ機能を有する車両用灯具に関するものである。特に、この発明は、中央部の光度(照度、光量)と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る(外側に広がる)配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を有する車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、従来の車両用灯具について説明する。前者の従来の車両用灯具は、二つの発光部を有する光源と、放物面系の反射面と、を備えるものである。第一の発光部を点灯発光させると、通常の前照灯の機能が得られ、第二の発光部を点灯発光させると、デイタイムランニングランプの機能が得られるものである。後者の従来の車両用灯具は、メインフィラメントおよびサブフィラメントを有する光源と、上側反射放物面および下側反射放物面を有するリフレクタと、を備えるものである。メインフィラメント点灯発光させると、メインフィラメントからの光が上側反射放物面および下側反射放物面で反射してメインビームの配光パターンのヘッドランプの機能が得られ、サブフィラメント点灯発光させると、サブフィラメントからの光が上側反射放物面で反射してサブビームの配光パターンのヘッドランプの機能が得られるものである。
【0003】
ところが、前者の従来の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きい配光パターンを照射する通常の前照灯の機能と、同じく、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きい配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を有するものである。また、後者の従来の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きいメインビームの配光パターンを照射するヘッドランプの機能と、同じく、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きいサブビームの配光パターンを照射するヘッドランプの機能と、を有するものである。このために、従来の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲にわたる配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、そのランプ機能と相反する、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を得ることができない。すなわち、従来の車両用灯具は、相反する2つのランプ機能を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186773号公報
【特許文献2】実開平6−68211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、相反する2つのランプ機能を得ることができないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、第1発光部および第2発光部を有する光源と、主反射面および副反射面を有するリフレクタと、を備え、主反射面が、第1発光部および第2発光部からの光を、主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、副反射面が、第1発光部からの光を、副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して副反射面の光軸側に反射させ、かつ、第2発光部からの光を、副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、主反射面および副反射面が、第1発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、第2発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する反射面である、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、副反射面がパラボラ系の自由曲面からなり、第1発光部が副反射面の焦点よりも光の反射方向側に位置し、第2発光部が副反射面の焦点もしくはその近傍に位置する、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、第1発光部および第2発光部が、長辺が主反射面および副反射面の光軸に対して直交(ほぼ直交も含む)するフィラメントであり、主反射面が、第1発光部および第2発光部の短辺に対向する位置に設けられていて、副反射面が、第1発光部および第2発光部の長辺に対向する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、光源の第1発光部を点灯発光させると、第1発光部からの光が、主反射面で主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射し、一方、副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して副反射面の光軸側に反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンが形成される。また、光源の第2発光部を点灯発光させると、第2発光部からの光が、主反射面で主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射し、同じく、副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンが形成される。このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、そのランプ機能と相反する、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を得ることができる。すなわち、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、相反する2つのランプ機能を得ることができる。
【0010】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、副反射面の焦点よりも光の反射方向側に位置する第1発光部からの光を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して副反射面の光軸側に反射させることが容易であり、また、副反射面の焦点もしくはその近傍に位置する第2発光部からの光を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面で副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させることが容易である。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、第1発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、第2発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する副反射面の設計製造が容易である。すなわち、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとの配光制御が容易である。
【0011】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、第1発光部および第2発光部から副反射面に入射する光束が第1発光部および第2発光部から主反射面に入射する光束よりも多い。このために、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、副反射面で、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとを、配光制御することがさらに容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例を示す主要構成部品の正面図である。
【図2】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるA−A線断面説明図である。
【図3】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるB−B線断面説明図である。
【図4】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるC−C線断面説明図である。
【図5】同じく、第1発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるD−D線断面説明図である。
【図6】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるA−A線断面説明図である。
【図7】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるB−B線断面説明図である。
【図8】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるC−C線断面説明図である。
【図9】同じく、第2発光部が点灯発光しているときの光路を示す図1におけるD−D線断面説明図である。
【図10】同じく、第1発光部からの光を副反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図11】同じく、第1発光部からの光を主反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図12】同じく、第2発光部からの光を副反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図13】同じく、第2発光部からの光を主反射面で反射させたときの配光パターンを示す説明図である。
【図14】同じく、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す平面説明図である。
【図15】同じく、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す側面説明図である。
【図16】同じく、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す平面説明図である。
【図17】同じく、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す側面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図10、図11、図12、図13において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。また、図10、図11、図12、図13は、スクリーン上の第1発光部、第2発光部の反射像を示す説明図である。この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、右、左」は、車両用灯具を車両に装備された際の「上、下、前、後、右、左」である。
【実施例】
【0014】
以下、この実施例における車両用灯具の構成について説明する。図1において、符号1は、この実施例における車両用灯具である。前記車両用灯具1は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、光源2と、リフレクタ3と、を備えるものである。前記車両用灯具1は、車両の前部の左右両側部の所定の位置に装備されている。
【0015】
前記光源2および前記リフレクタ3は、ランプユニットを構成する。前記光源2および前記リフレクタ3は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に光軸調整装置(図示せず)を介して光軸調整可能に配置されている。
【0016】
前記光源2は、第1発光部4および第2発光部5を有するものである。前記第1発光部4および前記第2発光部5は、円筒形状のフィラメントからなる。前記第1発光部4および前記第2発光部5は、ガラス管球6中に封入されている。前記ガラス管球6の一端部(後端部)には、口金7が取り付けられている。前記口金7を介して、前記光源2は、前記リフレクタ3に着脱可能に取り付けられている。また、前記口金7に電源(バッテリー)からのコネクタ(図示せず)を電気的に接続することにより、前記第1発光部4および前記第2発光部5が給電可能状態となる。
【0017】
前記第1発光部4および前記第2発光部5の長辺(円筒形状のフィラメント軸)は、前記光源2軸に対して直交(ほぼ直交も含む)する。前記第1発光部4は、前記第2発光部5に対して前記口金7と反対側(前側)に位置する。
【0018】
前記リフレクタ3は、主反射面8および副反射面9を有するものである。前記リフレクタ3は、一方向側(前側)が開口し、かつ、その他の5方向側(後側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した中空形状をなす。前記リフレクタ3の内面には、前記主反射面8および前記副反射面9が設けられている。
【0019】
前記主反射面8および前記副反射面9は、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる。前記主反射面8および前記副反射面9は、基準焦点(擬似焦点)Fおよび基準光軸(擬似光軸)Zをそれぞれ有する。前記主反射面8の前記基準焦点Fおよび前記基準光軸Zと、前記副反射面9の前記基準焦点Fおよび前記基準光軸Zとは、一致もしくはほぼ一致する。
【0020】
前記リフレクタ3の後部閉塞部の中央には、前記光源2の挿入孔10が設けられている。前記光源2の前記第1発光部4および前記第2発光部5および前記ガラス管球6および前記口金7の一部が前記挿入孔8から前記リフレクタ3内に挿入されている。前記光源2の前記口金7が前記リフレクタ3の前記挿入孔10の縁に着脱可能に取り付けられている。
【0021】
前記光源2軸と前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準光軸Zとは、一致もしくはほぼ一致する。この結果、前記第1発光部4および前記第2発光部5の長辺は、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準光軸Zに対して直交(ほぼ直交も含む)する。
【0022】
前記第1発光部4は、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準焦点Fよりも光の反射方向側(前側)に位置する。前記第2発光部5は、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準焦点Fもしくはその近傍に位置する。なお、前記主反射面8の前記基準焦点Fと前記副反射面9の前記基準焦点Fとが一致しない場合においては、前記主反射面8の前記基準焦点Fが前記第1発光部4よりも前記第2発光部5の近くに位置し、かつ、前記副反射面9の前記基準焦点Fが前記第2発光部5にもしくはその近傍(すなわち、前記主反射面8の前記基準焦点Fよりも前記第2発光部5の近く)に位置する。
【0023】
前記主反射面8は、前記第1発光部4および前記第2発光部5の短辺(円筒形状のフィラメントの端面)に対向する位置、すなわち、前記リフレクタ3の左右両側に設けられている。前記副反射面9は、前記第1発光部4および前記第2発光部5の長辺に対向する位置、すなわち、前記リフレクタ3の上下両側に設けられている。
【0024】
前記主反射面8は、前記第1発光部4および前記第2発光部5からの光L2、L4を、図3、図5、図7、図9に示すように、前記主反射面8の前記基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いで反射させる反射面である。
【0025】
一方、前記副反射面9は、前記第1発光部4からの光L1を、図2、図4に示すように、前記副反射面9の前記基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して前記副反射面9の前記基準光軸Z側に反射させ、かつ、前記第2発光部5からの光L3を、図6、図8に示すように、前記副反射面9の前記基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いで反射させる反射面である。
【0026】
図14、図15は、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す説明図である。以下、図14、図15を参照して、クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件について説明する。図14、図15において、矢印Cは、車両の前方方向を示す。矢印Xは、前記主反射面8および前記副反射面9の前記基準光軸Zと一致もしくはほぼ一致し、車両の前方に所定の距離を開けて設置されたスクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点(上下0°、左右0°)に達する基準軸である。矢印Iは、車両の内側を示す。矢印Oは、車両の外側を示す。矢印Uは、車両の上側を示す。矢印Dは、車両の下側を示す。
【0027】
クリアランスランプの機能(配光特性)を満たす要件は、図14、図15に示すように、基準軸Xに対して、車両の内側Iにθ1(45°)、車両の外側Oにθ2(80°)、車両の上側Uにθ3(15°)、車両の下側Dにθ4(15°)の照射範囲を要件とし、また、基準軸X(スクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点)上の最大光度が60cd以下(ランプユニットが1個の場合の要件が60cd以下であって、ランプユニットが複数個の場合の要件は、84cd以下となる)の要件とする。前記の要件を満たすクリアランスランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る配光パターンとなる。
【0028】
図16、図17は、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件を示す説明図である。以下、図16、図17を参照して、デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件について説明する。図16、図17において、図14、図15と同符号は、同一のものを示す。
【0029】
デイタイムランニングランプの機能(配光特性)を満たす要件は、図16、図17に示すように、基準軸Xに対して、車両の内側Iにθ5(20°)、車両の外側Oにθ6(20°)、車両の上側Uにθ7(10°)、車両の下側Dにθ8(5°)の照射範囲を要件とし、また、基準軸X(スクリーンの上下の垂直線VU−VDと左右の水平線HL−HRとの交点)上の最大光度が400cd以上の要件とする。前記の要件を満たすデイタイムランニングランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンとなる。
【0030】
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0031】
まず、光源2の第1発光部4を点灯発光させる。すると、第1発光部4から放射されて光の一部L2は、図3、図5に示すように、リフレクタ3の主反射面8で反射して、図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンで、車両(図示せず)の前方に照射される。このとき、第1発光部4からの光L2であって、主反射面8で反射された反射光L2は、図3、図5に示すように、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。すなわち、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8で反射された反射光L2は、図3、図5に示すように、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8を通りかつ主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。この結果、第1発光部4からの光L2であって、主反射面8で反射された反射光L2により、図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンが得られる。
【0032】
また、第1発光部4から放射された残りの光L1は、図2、図4に示すように、リフレクタ3の副反射面9で反射して、図10に示す上下左右に広がった配光パターンで、車両の前方に照射される。このとき、第1発光部4からの光L1であって、副反射面9で反射された反射光L1は、図2、図4に示すように、副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に寄った状態で反射する。すなわち、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6で反射された反射光L1は、図2、図4に示すように、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6を通りかつ副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に寄った状態で反射する。この結果、第1発光部4からの光L1であって、副反射面9で反射された反射光L1により、図10に示す上下左右に広がった配光パターンが得られる。
【0033】
図10に示す上下左右に広がった配光パターンと図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンとが合成されることにより、クリアランスランプの配光パターンが得られる。図10に示す上下左右に広がった配光パターンと図11に示すほぼ中央部寄りの配光パターンとが合成されてなるクリアランスランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る配光パターンであって、図14、図15に示すクリアランスランプの機能(配光特性)の要件を満たすものである。
【0034】
一方、光源2の第2発光部5を点灯発光させる。すると、第2発光部5から放射されて光の一部L4は、図7、図9に示すように、リフレクタ3の主反射面8で反射して、図13に示す中央部寄りの配光パターンで、車両(図示せず)の前方に照射される。このとき、第2発光部5からの光L4であって、主反射面8で反射された反射光L4は、図7、図9に示すように、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。すなわち、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8で反射された反射光L4は、図7、図9に示すように、主反射面8の任意のあるポイントP3、P4、P7、P8を通りかつ主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。この結果、第2発光部5からの光L4であって、主反射面8で反射された反射光L4により、図13に示す中央部寄りの配光パターンが得られる。
【0035】
また、第2発光部5から放射された残りの光L3は、図6、図8に示すように、リフレクタ3の副反射面9で反射して、図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンで、車両の前方に照射される。このとき、第2発光部5からの光L3であって、副反射面9で反射された反射光L3は、図6、図8に示すように、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いだ状態で反射する。すなわち、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6で反射された反射光L3は、図6、図8に示すように、副反射面9の任意のあるポイントP1、P2、P5、P6を通りかつ副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いだ状態で反射する。この結果、第2発光部5からの光L3であって、副反射面9で反射された反射光L3により、図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンが得られる。
【0036】
図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンと図13に示す中央部寄りの配光パターンとが合成されることにより、デイタイムランニングランプの配光パターンが得られる。図12に示す上下左右にやや広がった配光パターンと図13に示す中央部寄りの配光パターンとが合成されてなるデイタイムランニングランプの配光パターンは、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲がクリアランスランプの配光パターンよりも狭い配光パターンであって、図16、図17に示すデイタイムランニングランプの機能(配光特性)の要件を満たすものである。
【0037】
ここで、図2、図4に示すように、第1発光部4からの光L1であって副反射面9で反射した反射光L1は、副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に寄った状態で反射する。このために、図10に示すように、第1発光部4からの光L1であって副反射面9で反射した反射光L1の配光パターンは、上下左右に大きく広がっている。
【0038】
また、図6、図8に示すように、第2発光部6からの光L3であって副反射面9で反射した反射光L3は、副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を若干跨いだ状態で反射する。このために、図12に示すように、第2発光部5からの光L3であって副反射面9で反射した反射光L3の配光パターンは、範囲が図10に示す反射光L1の配光パターンの範囲よりも狭く上下左右に広がっている。
【0039】
さらに、図3、図5に示すように、第1発光部4からの光L2であって主反射面8で反射した反射光L2は、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いだ状態で反射する。このために、図11に示すように、第1発光部4からの光L2であって主反射面8で反射した反射光L2の配光パターンは、中央部にほぼ寄っている。
【0040】
さらにまた、図7、図9に示すように、第2発光部5からの光L4であって主反射面8で反射した反射光L4は、主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を、図3、図5に示す第1発光部4からの光L2であって主反射面8で反射した反射光L2よりも大きく、跨いだ状態で反射する。このために、図13に示すように、第2発光部5からの光L4であって主反射面8で反射した反射光L4の配光パターンは、図11に示す反射光L2の配光パターンよりも中央部に寄っている。
【0041】
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0042】
この実施例における車両用灯具1は、光源2の第1発光部4を点灯発光させると、第1発光部4からの一部の光L2が、主反射面8で主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いで反射し、一方、第1発光部4からの残りの光L1が、副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンが形成される。また、光源2の第2発光部5を点灯発光させると、第2発光部5からの一部の光L4が、主反射面8で主反射面8の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z3、Z4、Z7、Z8を跨いで反射し、同じく、第2発光部5からの残りの光L3が、副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いで反射し、この結果、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンが形成される。このように、この実施例における車両用灯具1は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを照射するクリアランスランプの機能と、そのランプ機能と相反する、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを照射するデイタイムランニングランプの機能と、を得ることができる。すなわち、この実施例における車両用灯具1は、相反する2つのランプ機能を得ることができる。
【0043】
また、この実施例における車両用灯具1は、副反射面9の基準焦点Fよりも光の反射方向側(前側)に位置する第1発光部4からの光L1を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6に対して副反射面9の基準光軸Z側に反射させることが容易であり、また、副反射面9の基準焦点Fもしくはその近傍に位置する第2発光部5からの光L3を、パラボラ系の自由曲面からなる副反射面9で副反射面9の基準光軸Zと平行な仮想光軸Z1、Z2、Z5、Z6を跨いで反射させることが容易である。この結果、この実施例における車両用灯具1は、第1発光部4からの光L1、L2を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、第2発光部5からの光L3、L4を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する副反射面の設計製造が容易である。すなわち、この実施例における車両用灯具1は、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとの配光制御が容易である。
【0044】
さらに、この実施例における車両用灯具1は、主反射面8が第1発光部4および第2発光部5の短辺に対向する位置、すなわち、リフレクタ3の左右両側に設けられていて、一方、副反射面9が第1発光部4および第2発光部5の長辺に対向する位置、すなわち、リフレクタ3の上下両側に設けられている。これにより、この実施例における車両用灯具1は、第1発光部4および第2発光部5から副反射面9に入射する光束が第1発光部4および第2発光部5から主反射面8に入射する光束よりも多い。このために、この実施例における車両用灯具1は、副反射面9で、中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンと、中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンとを、配光制御することがさらに容易となる。
【0045】
なお、この実施例における車両用灯具1の主反射面8の面積と副反射面9の面積との比は、たとえば、7:3である。ところが、この発明においては、第1配光パターンすなわちクリアランスランプ機能が満足する条件であれば、主反射面8の面積と副反射面9の面積との比を特に限定しない。
【符号の説明】
【0046】
1 車両用灯具
2 光源
3 リフレクタ
4 第1発光部
5 第2発光部
6 ガラス管球
7 口金
8 主反射面
9 副反射面
10 挿入孔
F 基準焦点(焦点)
Z 基準光軸(光軸)
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8 基準光軸と平行な仮想光軸
L1 第1発光部からの光であって副反射面からの反射光
L2 第1発光部からの光であって主反射面からの反射光
L3 第2発光部からの光であって副反射面からの反射光
L4 第2発光部からの光であって主反射面からの反射光
X 基準軸
C 車両の前方方向
I 車両の内側
O 車両の外側
U 車両の上側
D 車両の下側
θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6、θ7、θ8 基準軸に対する角度
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
HL−HR スクリーンの左右の水平線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのランプ機能を有する車両用灯具において、
第1発光部および第2発光部を有する光源と、
主反射面および副反射面を有するリフレクタと、
を備え、
前記主反射面は、前記第1発光部および前記第2発光部からの光を、前記主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、
前記副反射面は、前記第1発光部からの光を、前記副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して前記副反射面の光軸側に反射させ、かつ、前記第2発光部からの光を、前記副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、
前記主反射面および前記副反射面は、前記第1発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、前記第2発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が前記第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する反射面である、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記副反射面は、パラボラ系の自由曲面からなり、
前記第1発光部は、前記副反射面の焦点よりも光の反射方向側に位置し、
前記第2発光部は、前記副反射面の焦点もしくはその近傍に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1発光部および前記第2発光部は、長辺が前記主反射面および前記副反射面の光軸に対して直交するフィラメントであり、
前記主反射面は、前記第1発光部および前記第2発光部の短辺に対向する位置に設けられていて、
前記副反射面は、前記第1発光部および前記第2発光部の長辺に対向する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項1】
2つのランプ機能を有する車両用灯具において、
第1発光部および第2発光部を有する光源と、
主反射面および副反射面を有するリフレクタと、
を備え、
前記主反射面は、前記第1発光部および前記第2発光部からの光を、前記主反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、
前記副反射面は、前記第1発光部からの光を、前記副反射面の光軸と平行な仮想光軸に対して前記副反射面の光軸側に反射させ、かつ、前記第2発光部からの光を、前記副反射面の光軸と平行な仮想光軸を跨いで反射させる反射面であり、
前記主反射面および前記副反射面は、前記第1発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が小さくかつ広範囲に亘る第1配光パターンを形成し、また、前記第2発光部からの光を反射させて中央部の光度と周辺部の光度との差が大きくかつ範囲が前記第1配光パターンよりも狭い第2配光パターンを形成する反射面である、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記副反射面は、パラボラ系の自由曲面からなり、
前記第1発光部は、前記副反射面の焦点よりも光の反射方向側に位置し、
前記第2発光部は、前記副反射面の焦点もしくはその近傍に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1発光部および前記第2発光部は、長辺が前記主反射面および前記副反射面の光軸に対して直交するフィラメントであり、
前記主反射面は、前記第1発光部および前記第2発光部の短辺に対向する位置に設けられていて、
前記副反射面は、前記第1発光部および前記第2発光部の長辺に対向する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−205620(P2010−205620A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51198(P2009−51198)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]