説明

車両用灯具

【課題】導光体を備えた車両用灯具において、その導光体の光学的機能を十分に確保する。
【解決手段】発光チップ20aからの出射光を、集光レンズ30により灯具前後方向と直交する右方向へ向かう略平行光とした後、導光体40に対して、その光源側の端面40aから入射させて、その前面40bの複数箇所から出射させる構成とする。その際、導光体40を、左右方向に延びる6つの導光部40A〜40Fを階段状に連結することにより構成する。これにより、導光体40を全体的に薄肉で構成し、成形時のヒケ発生を抑制する。そして、導光部40F以外の各導光部40A〜40Eの反射端面40Ac〜40Ecで内面反射した光を、その反光源側に隣接する各導光部40B〜40Fにおける該導光部40A〜40Eとの重複部分の前面40Bb1〜40Fb1から出射させる構成とする。これにより、導光体40を左右方向の複数箇所において明るく光って見えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、導光体を備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば「特許文献1」に記載されているように、発光ダイオード等の光源からの出射光を、光学部材により灯具前後方向と交差する所定方向へ向かう略平行光し、この略平行光を導光体に対してその光源側の端面から入射させてその前面の複数箇所から灯具前方へ向けて出射させるように構成された車両用灯具が知られている。
【0003】
その際、この「特許文献1」に記載された車両用灯具は、導光体に入射した光をその前面の複数箇所から灯具前方へ向けて出射させるようにするため、導光体における反光源側(すなわち光源側とは反対の側)の端面が階段状に形成された構成となっており、これら各端面において導光部内を導かれた光を灯具前方へ向けて内面反射させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−50009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の車両用灯具においては、導光体の肉厚が、その光源側の端部においてかなり厚いものとなってしまうので、導光体を成形する際にヒケが発生しやすく、このため導光体としての光学的機能を十分に確保することが容易でない、という問題がある。
【0006】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、導光体を備えた車両用灯具において、その導光体の光学的機能を十分に確保することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、導光体の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0008】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源と、この光源からの出射光を、灯具前後方向と交差する所定方向へ向かう略平行光にする光学部材と、この光学部材から出射した略平行光を、上記光源側の端面から入射させて前面の複数箇所から灯具前方へ向けて出射させるように構成された導光体と、を備えてなる車両用灯具において、
上記導光体が、上記所定方向と略同一の方向に延びる複数の導光部を階段状に連結することにより構成されており、
上記各導光部が、上記光学部材からの略平行光を入射させる入射端面と、この入射端面から入射して該導光部内を導かれた光を灯具前方へ向けて内面反射させる反射端面とを備えており、
上記各導光部の反射端面で内面反射した光を、該導光部と該導光部の反光源側に隣接する導光部との重複部分の前面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0009】
上記「所定方向」は、灯具前後方向と交差する方向であれば、その具体的な方向は特に限定されるものではない。
【0010】
上記「光源」の種類は、特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードの発光チップ等が採用可能である。
【0011】
上記「光学部材」は、光源からの出射光を、灯具前後方向と交差する所定方向へ向かう略平行光にすることができるものであれば、その具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば集光レンズやリフレクタ等が採用可能である。
【0012】
上記「導光体」を構成する「複数の導光部」は、いずれも上記所定方向と略同一の方向に延びるように形成されているが、これら「複数の導光部」は、互いに同一の方向に延びるように形成されてもよいし、そのうちの一部または全部が互いに異なる方向に延びるように形成されていてもよい。その際、これら各「導光部」は、直線状に延びるように形成されたものであってもよいし、多少湾曲して延びるように形成されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、光源からの出射光を、光学部材により灯具前後方向と交差する所定方向へ向かう略平行光し、この略平行光を、導光体に対してその光源側の端面から入射させて、その前面の複数箇所から灯具前方へ向けて出射させる構成となっているが、その導光体は、上記所定方向と略同一の方向に延びる複数の導光部を階段状に連結することにより構成されているので、導光体を全体的に薄肉で構成することが容易に可能となり、これにより導光体を成形する際にヒケが発生しにくくなるようにすることができる。
【0014】
その際、この導光体を構成する各導光部は、光学部材からの略平行光を入射させる入射端面と、この入射端面から入射して該導光部内を導かれた光を灯具前方へ向けて内面反射させる反射端面とを備えており、これら各導光部の反射端面で内面反射した光を、該導光部とその反光源側に隣接する導光部との重複部分の前面から灯具前方へ向けて出射させる構成となっているので、導光体を上記所定方向の複数箇所において明るく光って見えるようにすることができる。
【0015】
このように本願発明によれば、導光体を備えた車両用灯具において、その導光体の光学的機能を十分に確保することができる。
【0016】
上記構成において、各導光部の後面における反射端面の光源側に隣接する部分に、断面楔状の突起部が形成された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0017】
すなわち、各導光部に、このような突起部が形成された構成とすることにより、導光体からその後面側の空間に漏れ出した光を、突起部に対して、その光源側の端面から入射させてその反光源側の端面で灯具前方へ向けて内面反射させるようにすることが可能となる。そしてこれにより、光源光束の有効利用を図るとともに、導光体を上記所定方向の複数箇所において、より明るく光って見えるようにすることができる。
【0018】
上記構成において、上記所定方向が、灯具前後方向と直交する方向よりも灯具後方側に傾斜した方向に設定された構成とした上で、各導光部が延びる方向の後傾角度が、光源から離れた位置にある導光部ほど大きい値となるように設定された構成とすれば、車両用灯具の透光カバーが、その一端部から他端部へかけて灯具後方側へ回り込むように形成されている場合においても、導光体をこの透光カバーと干渉させることなく配置することが容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】上記実施形態の第1変形例を示す、図2の要部詳細図と同様の図
【図4】上記実施形態の第2変形例を示す、図2と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図であり、図2は、そのII−II線断面図である。
【0022】
これらの図に示すように、この車両用灯具10は、車両後端部の右側に設けられるテールランプであって、ランプボディ12とその前端開口部12aに取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、発光ダイオード20と、集光レンズ30と、導光体40とが組み込まれた構成となっている。
【0023】
この車両用灯具10は、灯具正面方向が車両の真後ろを向いた状態で車体に取り付けられるようになっている。
【0024】
なお、本実施形態の説明において、「前方」や「後方」等の向きは、車両用灯具10としての向きであって、車両としての向きとは逆になっている。
【0025】
発光ダイオード20は、光源としての発光チップ20aが基板20bに支持されてなる赤色発光ダイオードであって、その発光チップ20を右向きにした状態で、光源支持部材22に固定支持されている。そして、この光源支持部材22は、ランプボディ12に固定支持されている。
【0026】
集光レンズ30は、その光源側(すなわち左側)の表面が凸曲面の平凸レンズであって、発光チップ20aの発光中心を通るようにして灯具前後方向と直交する水平方向(すなわち左右方向)に延びる光軸Ax上に配置されている。そして、この集光レンズ30は、発光チップ20aからの出射光を光軸Axに沿って右方向へ向かう略平行光にする光学部材として機能するようになっている。この集光レンズ30は、その外周縁部においてランプボディ12に固定支持されている。
【0027】
導光体40は、透明樹脂製の部材であって、集光レンズ30から出射した略平行光を、その光源側の端面40aから入射させて、その前面40bの複数箇所から灯具前方へ向けて出射させるように構成されている。
【0028】
この導光体40は、灯具正面視において横長矩形状に形成されており、その上下両端部においてランプボディ12に固定支持されている。
【0029】
この導光体40は、光軸Axと平行な鉛直面に沿って延びる6つの平板状の導光部40A、40B、40C、40D、40E、40Fを階段状に連結することにより構成されている。その際、これら6つの導光部40A〜40Fは、反光源側へ向けて灯具前方側に段上がりとなるように形成されている。
【0030】
これら各導光部40A〜40Fは、集光レンズ30からの略平行光を入射させる入射端面40Aa、40Ba、40Ca、40Da、40Ea、40Faと、これら各入射端面40Aa〜40Faから入射して該導光部40A〜40F内を導かれた光を灯具前方へ向けて内面反射させる反射端面40Ac、40Bc、40Cc、40Dc、40Ec、40Fcとを備えている。
【0031】
その際、各導光部40A〜40Fの入射端面40Aa〜40Faは、灯具前後方向に延びる鉛直面で構成されている。そしてこれにより、これら各入射端面40Aa〜40Faから入射した略平行光を、そのまま光軸Axと略平行に各導光部40A〜40F内を導くようになっている。
【0032】
また、各導光部40A〜40Fの反射端面40Ac〜40Fcは、光軸Axを含む鉛直面に対して45°程度の傾斜角度を有する斜面で構成されている。そしてこれにより、これら各反射端面40Ac〜40Fcにおける内面反射を、全反射により行うようになっている。
【0033】
各導光部40A〜40Fは、左右方向に略同じ長さで、かつ、光軸Axに対してその前後両側に略均等に分布するようにして配置されている。その際、光源側から1番目の導光部40Aは、その入射端面40Aaが集光レンズ30の右側近傍に位置するように配置されている。また、それ以外の各導光部40B〜40Fは、その入射端面40Aa〜40Faにおける左右方向の位置が、その光源側に隣接する導光部40A〜40Eの反射端面40Ac〜40Ecにおける光源側の端縁の位置と略一致するように配置されている。
【0034】
そして、導光体40は、その各導光部40A〜40Fの反射端面40Ac〜40Fcで内面反射した光を、反光源側から1番目の導光部40Fにおいては、そのまま灯具前方へ向けて出射させ、それ以外の各導光部40A〜40Eにおいては、その反光源側に隣接する各導光部40B〜40Fにおける該導光部40A〜40Eとの重複部分の前面40Bb1、40Cb1、40Db1、40Eb1、40Fb1から灯具前方へ向けて出射させるように構成されている。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用灯具10においては、光源としての発光チップ20aからの出射光を、光学部材としての集光レンズ30により左右方向に延びる光軸Axに沿って右方向へ向かう略平行光へ向かう略平行光し、この略平行光を、導光体40に対してその光源側の端面40aから入射させて、その前面40bの複数箇所から灯具前方へ向けて出射させる構成となっているが、その導光体40は、左右方向に延びる複数の導光部40A〜40Fを階段状に連結することにより構成されているので、導光体40を全体的に薄肉で構成することが容易に可能となり、これにより導光体40を成形する際にヒケが発生しにくくなるようにすることができる。
【0036】
その際、この導光体40を構成する各導光部40A〜40Fは、集光レンズ30からの略平行光を入射させる入射端面40Aa〜40Faと、この入射端面40Aa〜40Faから入射して該導光部40A〜40F内を導かれた光を灯具前方へ向けて内面反射させる反射端面40Ac〜40Fcとを備えており、これら各導光部40A〜40Fの反射端面40Ac〜40Fcで内面反射した光を、反光源側から1番目の導光部40Fにおいては、そのまま灯具前方へ向けて出射させる一方、それ以外の各導光部40A〜40Eにおいては、その反光源側に隣接する各導光部40B〜40Fにおける該導光部40A〜40Eとの重複部分の前面40Bb1〜40Fb1から灯具前方へ向けて出射させる構成となっているので、導光体40を左右方向の複数箇所において明るく光って見えるようにすることができる。
【0037】
このように本実施形態によれば、導光体40を備えた車両用灯具10において、その導光体40の光学的機能を十分に確保することができる。
【0038】
その際、本実施形態に係る車両用灯具10においては、その導光体40の各反射端面40Ac〜40Fcにおける内面反射が全反射により行われる構成となっているので、導光体40に鏡面処理を施すことを必要とせずに上記作用効果を得ることができる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、導光体40が6つの導光部40A〜40Fで構成されているものとして説明したが、5つ以下または7つ以上の導光部で構成されている場合においても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
また、上記実施形態においては、導光体40を構成する各導光部40A〜40Fが左右方向に略同じ長さで形成されているものとして説明したが、その一部または全部が異なる長さで形成されている場合においても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0042】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0043】
図3は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図2の要部詳細図と同様の図である。
【0044】
同図に示すように、本変形例に係る車両用灯具110は、その基本的な構成については上記実施形態の場合と同様であるが、導光体140の構成の一部が上記実施形態の場合と異なっている。
【0045】
すなわち、本変形例においては、導光体140を構成する各導光部140A、140B、140C、140D、・・のうち、光源側から1番目の導光部140Aは、その入射端面140Aaが灯具前後方向に延びる鉛直面で構成されているが、それ以外の各導光部140B、140C、140D、・・は、その入射端面140Ba、140Ca、140Da、・・が、灯具後方へ向けて光源側に傾斜した斜面で構成されている。
【0046】
また、本変形例においては、各導光部140A、140B、140C、・・の後面における反射端面140Ac、140Bc、140Cc、・・の光源側に隣接する部分に、楔形の水平断面形状で上下方向に延びる突起部140Ad、140Bd、140Cd、・・が形成されている。
【0047】
これら各突起部140Ad、140Bd、140Cd、・・は、その光源側の端面が、灯具後方へ向けて反光源側にやや傾斜した斜面で構成されており、その反光源側の端面が、各導光部140A、140B、140C、・・の反射端面140Ac、140Bc、140Cc、・・を灯具後方側へ延長させた斜面で構成されている。
【0048】
図3においては、発光チップ20aからの出射光のうち、集光レンズ30に点Pにおいて入射した光について、発光チップ20aの5箇所からの出射光の光路を示している。
【0049】
同図に示すように、点Pに入射した光のうち、発光チップ20aの発光中心からの出射光は、集光レンズ30から光軸Axと平行な方向へ出射して、光源側から2番目の導光部140Bの入射端面140Baに入射し、この入射端面140Baで灯具後方側へ偏向した後、その後面および反射端面140Bcで順次全反射により内面反射して、3番目の導光部140Cにおける2番目の導光部140Bとの重複部分の前面140Cb1から灯具前方へ出射している。
【0050】
点Pに入射した光のうち、発光チップ20aの前端縁からの出射光は、集光レンズ30から光軸Axと平行な方向に対して灯具後方側に傾斜した方向へ出射して、光源側から1番目の導光部140Aの前面に入射し、その後面から出射した後、該導光部140Aの突起部140Adにその光源側の端面から入射してその反光源側の端面で全反射により内面反射し、2番目の導光部140Bにおける1番目の導光部140Aとの重複部分の前面140Bb1から灯具前方へ出射している。
【0051】
点Pに入射した光のうち、発光チップ20aの発光中心と前端縁との中間位置からの出射光は、集光レンズ30から光軸Axと平行な方向に対して灯具後方側にやや傾斜した方向へ出射して、光源側から2番目の導光部140Bの入射端面140Baに入射し、1番目の導光部140Aの反射端面140Acから光軸Axと略平行な方向へ出射して、2番目の導光部140Bの突起部140Bdにその光源側の端面から入射してその反光源側の端面で全反射により内面反射し、3番目の導光部140Cにおける2番目の導光部140Bとの重複部分の前面140Cb1から灯具前方へ出射している。
【0052】
点Pに入射した光のうち、発光チップ20aの後端縁からの出射光は、集光レンズ30から光軸Axと平行な方向に対して灯具前方側に傾斜した方向へ出射して、光源側から3番目の導光部140Cの入射端面140Caに入射し、光軸Axと略平行な方向に進んで、その反射端面140Ccで全反射により内面反射して、4番目の導光部140Dにおける3番目の導光部140Cとの重複部分の前面140Db1から灯具前方へ出射している。
【0053】
点Pに入射した光のうち、発光チップ20aの発光中心と後端縁との中間位置からの出射光は、集光レンズ30から光軸Axと平行な方向に対して灯具前方側にやや傾斜した方向へ出射して、光源側から2番目の導光部140Bの入射端面140Baに入射し、光軸Axと略平行な方向に進んで、その反射端面140Bcで全反射により内面反射して、3番目の導光部140Cにおける2番目の導光部140Bとの重複部分の前面140Cb1から灯具前方へ出射している。
【0054】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0055】
すなわち、本変形例の導光体140は、その各導光部140A、140B、140C、・・に、それぞれ突起部140Ad、140Bd、140Cd、・・が形成されているので、導光体140からその後面側の空間に漏れ出した光を、突起部140Ad、140Bd、140Cd、・・に対して、その光源側の端面から入射させてその反光源側の端面で灯具前方へ向けて内面反射させるようにすることが可能となる。そしてこれにより、光源光束の有効利用を図るとともに、導光体140を車幅方向の複数箇所において、より明るく光って見えるようにすることができる。
【0056】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0057】
図4は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、図2と同様の図である。
【0058】
同図に示すように、本変形例に係る車両用灯具210は、その基本的な構成については上記実施形態の場合と同様であるが、光軸Axが左右方向に対して灯具後方側に傾斜した方向に延びている点で上記実施形態の場合と異なっており、また、導光体240、透光カバー214およびランプボディ212の形状についても上記実施形態の場合と異なっている。
【0059】
すなわち、本変形例の透光カバー214は、車幅方向右方へ向けて車両前方側へ回り込むように形成された車体形状に沿わせるため、その左端部から右端部にかけて灯具後方側へ回り込むように形成されている。これに伴い、ランプボディ212の形状も、上記実施形態の場合と部分的に異なっている。
【0060】
本変形例の導光体240は、光軸Axと略平行な鉛直面に沿って延びる6つの平板状の導光部240A、240B、240C、240D、240E、240Fを階段状に連結することにより構成されているが、これら各導光部240A〜240Fの後傾角度は、光源側から1番目の導光部240Aが最も小さく、2番目以降は、導光部240B、240C、240D、240E、240Fの順で徐々に大きい値となるように設定されている。
【0061】
その際、1番目の導光部240Aは、光軸Axよりも後方側に位置しており、6番目の導光部240Fは、光軸Axよりも前方側に位置している。そして、1番目の導光部240Aの後傾角度は、光軸Axの後傾角度よりも小さい値に設定されており、6番目の導光部240Fの後傾角度は、光軸Axの後傾角度よりも大きい値に設定されている。
【0062】
また、本変形例の導光体240は、上記第1変形例の導光体140と同様、各導光部240A〜240Fの後面における反射端面240Ac、240Bc、240Cc、240Dc、240Ec、240Fcの光源側に隣接する部分に、楔形の水平断面形状で上下方向に延びる突起部240Ad、240Bd、240Cd、240Dd、240Ed、240Fdが形成されている。
【0063】
なお、本変形例の導光体240は、各導光部240A〜240Fの入射端面240Aa、240Ba、240Ca、240Da、240Ea、240Faが、各導光部240A〜240Fの前面に対して略垂直な平面で構成されている。
【0064】
そして、本変形例の導光体240は、各導光部240A〜240Fに対して、その入射端面240Aa〜240Faに入射した集光レンズ30からの略平行光を、その反射端面240Ac〜240Fcで全反射により内面反射させた後、反光源側から1番目の導光部240Fにおいては、そのまま灯具前方へ向けて出射させ、それ以外の各導光部240A〜240Eにおいては、その反光源側に隣接する各導光部240B〜240Fにおける該導光部240A〜240Eとの重複部分の前面240Bb1、240Cb1、240Db1、240Eb1、240Fb1から灯具前方へ向けて出射させるように構成されている。
【0065】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0066】
すなわち、本変形例に係る車両用灯具210は、その透光カバー214が左端部から右端部にかけて灯具後方側へ回り込むように形成されているが、その導光体240を構成する6つの導光部240A〜240Fは、その後傾角度が光源側から反光源側にかけて徐々に大きい値となるように設定されているので、導光体240を透光カバー214と干渉させることなく配置することが容易に可能となる。
【0067】
また、本変形例の導光体240は、その各導光部240A〜240Fに突起部240Ad〜240Fdがそれぞれ形成された構成となっているので、光源光束の有効利用を図るとともに、導光体240を車幅方向の複数箇所において、より明るく光って見えるようにすることができる。
【0068】
特に、本変形例の導光体240は、各導光部240A〜240Fの後傾角度が光軸Axの後傾角度に対して少しずつ異なる値に設定されており、このため導光体240からその後面側の空間に光が漏れ出しやすい構成となっているので、このような突起部240Ad〜240Fdが形成された構成とすることが効果的である。
【0069】
なお、上記実施形態および各変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0070】
また、上記実施形態および各変形例においては、車両用灯具10、110、210が、車両後端部の右側に設けられるテールランプである場合について説明したが、その左側に設けられるテールランプである場合、あるいはテールランプ以外の車両用灯具である場合においても、上記実施形態等と同様の構成を採用することにより上記実施形態等と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
10、110、210 車両用灯具
12、212 ランプボディ
12a 前端開口部
14、214 透光カバー
20 発光ダイオード
20a 発光チップ
20b 基板
22 光源支持部材
30 集光レンズ
40、140、240 導光体
40a 光源側の端面
40b 前面
40A〜40F、140A〜140D、240A〜240F 導光部
40Aa〜40Fa、140Aa〜140Da、240Aa〜240Fa 入射端面
40Ac〜40Fc、140Ac〜140Cc、240Ac〜240Fc 反射端面
40Bb1〜40Fb1、140Bb1〜140Db1、240Bb1〜240Fb1 重複部分の前面
140Ad〜140Cd、240Ad〜240Fd 突起部
Ax 光軸
P 点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、この光源からの出射光を、灯具前後方向と交差する所定方向へ向かう略平行光にする光学部材と、この光学部材から出射した略平行光を、上記光源側の端面から入射させて前面の複数箇所から灯具前方へ向けて出射させるように構成された導光体と、を備えてなる車両用灯具において、
上記導光体が、上記所定方向と略同一の方向に延びる複数の導光部を階段状に連結することにより構成されており、
上記各導光部が、上記光学部材からの略平行光を入射させる入射端面と、この入射端面から入射して該導光部内を導かれた光を灯具前方へ向けて内面反射させる反射端面とを備えており、
上記各導光部の反射端面で内面反射した光を、該導光部と該導光部の反光源側に隣接する導光部との重複部分の前面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記各導光部の後面における反射端面の光源側に隣接する部分に、断面楔状の突起部が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記所定方向が、灯具前後方向と直交する方向よりも灯具後方側に傾斜した方向に設定されており、
上記各導光部が延びる方向の後傾角度が、上記光源から離れた位置にある導光部ほど大きい値となるように設定されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−22909(P2012−22909A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160290(P2010−160290)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】