説明

車両用空調装置

【課題】エバポレータの空気流れ方向下流側に蓄冷熱交換器を設置した場合でも、空気の流れに乱れを発生させることなく空気が蓄冷熱交換器を通過するようにして蓄冷熱交換器から出る冷風(空気)の風量減少を抑えることができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】エバポレータ4と該エバポレータ4の空気流れ方向下流側に配置した蓄冷熱交換器5は、空気流れ方向Aに対して直交方向の空気通過面が略同じ大きさに形成されており、エバポレータ4の並列された各冷媒チューブ20及び蓄冷熱交換器5の並列された各蓄冷熱交換器チューブ24の配置間隔がそれぞれ同一であり、かつ冷媒チューブ20と蓄冷熱交換器チューブ24の空気流れ方向Aに対して直交方向の幅寸法もそれぞれ同一にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関し、特に車両エンジンを一時的に停止して圧縮機の駆動を停止させたときでも車室内へ冷風を送風可能な車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止等の観点から車両から排出されるCO(二酸化炭素)の排出量の排出量を低減するために、信号待ち等の比較的短時間の車両停止時にアイドリング状態にある車両エンジンを自動的に停止(以下、「アイドリングストップ」という)するようにした車両(自動車)が実用化されている。
【0003】
ところで、車両に搭載さている車両用空調装置は、冷凍サイクルの圧縮機(コンプレッサ)を車両エンジンにより駆動して、エバポレータ(冷却用熱交換器)を設けた通路を流れる空気を冷却することで生成された冷風を所定の吹出口から車室内に送風しているので、前記したように信号待ち等の車両停止時にアイドリングストップすると圧縮機も駆動停止し、それに伴い車室内への冷風の吹出しも停止する。このように、信号待ち等の車両停止時に車両エンジンがアイドリングストップすると、車両エンジンにより駆動される圧縮機も同時に停止するので、車室内へ吹出される空気温度が急に上昇し、車室内の乗員に対して不快な思いをさせてしまう不具合が発生する。
【0004】
そこで、信号待ち等の車両停止時に車両エンジンがアイドリングストップしているときの空調対策として、従来より、車両用エンジンが回転時にエバポレータ(冷却用熱交換器)により得られた冷風によって蓄冷される蓄冷手段を備え、信号待ち等で車両エンジンがアイドリングストップしているときには、前記蓄冷手段による蓄冷熱量を利用して車室内へ冷風を送風することができるようにした車両用空調装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
前記特許文献1に記載の車両用空調装置は、蒸発器(エバポレータ)の空気流れ方向下流側に近接するようにして内部に蓄冷材を保持した格子形状の保持器(蓄冷熱交換器)が設置されており、信号待ち等の車両停止時に車両エンジンがアイドリングストップしているときにおいては、蒸発器(エバポレータ)を通して格子状の保持器(蓄冷熱交換器)の各開口(空気通路)を流れる空気を、蓄冷材に蓄冷された冷熱で冷却し、吹出口を通して車室内へ冷風を送風する。
【特許文献1】特開2000−318431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に記載の車両用空調装置では、保持器(蓄冷熱交換器)の構成と蒸発器(エバポレータ)の構成がそれぞれ異なっているので、格子形状の保持器の各開口(空気通路)の形状及び位置と、蒸発器(エバポレータ)の各空気通路の形状及び位置は異なっている。このため、ブロアによって送風される空気が蒸発器を通過した後に、一部の空気が保持器の各開口周囲の蒸発器側の側面に当たることによって空気の流れが乱れ、保持器の各開口に入る空気量が減少する。これにより、吹出口から吹出す冷風の風量が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、エバポレータの空気流れ方向下流側に蓄冷熱交換器を設置した場合でも、空気の流れに乱れを発生させることなく空気が蓄冷熱交換器を通過するようにして蓄冷熱交換器から出る冷風(空気)の風量減少を抑えることができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1に係る本発明は、冷媒が循環する所定間隔で並列された冷媒チューブを有し、前記冷媒との熱交換より送風用ブロアから送風される空気を冷却するエバポレータと、所定間隔で並列された蓄冷材を充填した蓄冷熱交換器チューブを有し、前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置された蓄冷熱交換器とを空調ケース内に備え、前記蓄冷熱交換器チューブに充填された前記蓄冷材は、前記エバポレータによる冷却により該エバポレータから送風される空気が冷風のときは凝固して潜熱の形態で蓄冷し、前記エバポレータによる冷却が停止しているときには融解し潜熱を利用して該エバポレータを通して送風される空気を冷却する車両用空調装置において、前記エバポレータと前記蓄冷熱交換器は、空気流れ方向に対して直交方向の空気通過面が略同じ大きさに形成されており、前記エバポレータの並列された各冷媒チューブ及び前記蓄冷熱交換器の並列された各蓄冷熱交換器チューブの配置間隔はそれぞれ同一であり、かつ前記冷媒チューブと前記蓄冷熱交換器チューブの空気流れ方向に対して直交方向の幅寸法もそれぞれ同一であることを特徴としている。
【0009】
請求項2に係る本発明の車両用空調装置は、前記蓄冷熱交換器チューブは、空気流れ方向に沿って扁平中空状に形成されており、該蓄冷熱交換器チューブ内は複数の支柱による仕切りによって複数に区画されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用空調装置によれば、エバポレータと蓄冷熱交換器は、空気流れ方向に対して直交方向の空気通過面が略同じ大きさに形成し、エバポレータの並列された各冷媒チューブ及び蓄冷熱交換器の並列された各蓄冷熱交換器チューブの配置間隔をそれぞれ同一にし、かつ冷媒チューブと蓄冷熱交換器チューブの空気流れ方向に対して直交方向の幅寸法もそれぞれ同一にしたことにより、エバポレータを通過後の空気の略全量が蓄冷熱交換器をスムーズに通過することによって、蓄冷熱交換器での通過損失による冷風の風量低下を抑えることができ、更に、蓄冷熱交換器での蓄冷材の融解潜熱による通過空気の冷却を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の本実施形態に係る車両用空調装置(以下、「空調装置」という)を示す概略縦断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る空調装置1は、車室前部のインストルメントパネル(不図示)内に設けられる空調ケース2を有し、この空調ケース2内に形成される送風路中に、送風ファン(ブロア)3と、該送風ファン3の空気流れ方向下流側に設置した放冷却用熱交換器(以下、「エバポレータ」という)4と、該エバポレータ4の空気流れ方向下流側に設置した蓄冷熱交換器5と、該蓄冷熱交換器5の空気流れ方向下流側に設置したヒータコア6と、蓄冷熱交換器5とヒータコア6との間に設置したエアミックスドア7を有している。ヒータコア6は、エンジン駆動に循環される温水(冷却水)を熱源として該ヒータコア6を通過する空気を加熱する。
【0013】
空調ケース2の空気流れ方向下流側(図1の左側)には、内外気切替ドア8が設置されており、内外気切替ドア8の回動により内気導入口9aと外気導入口9bのいずれかを選択的に切替えることで、内気または外気が導入される。また、空調ケース2の空気流れ方向下流側(図1の右側)には、エアミックス室10にて温調された空気(空調エア)を、デフロスター吹出口11に分配するデフドア12と、ベント吹出口13に分配するベントドア14と、フット吹出口15に分配するフットドア16が設けられている。
【0014】
エバポレータ4は、不図示のエンジンにより駆動されるコンプレッサ、コンデンサ、リキッドタンク、循環パイプ等ととともに冷凍サイクルを構成し、送風ファン3の回転によってエバポレータ4側に送風される空気(内気又は外気)とエバポレータ4の冷媒チューブ20(図2参照)内を循環する冷媒との間で熱交換を行い、エバポレータ4を通過する空気を冷却するものである。
【0015】
なお、本実施形態に係る空調装置1を搭載した車両(不図示)は、アイドリングストップ機能を有しており、コンプレッサ(不図示)を駆動して冷風を車室内に吹出しているときに、信号待ち等の比較的短時間の車両停止時に車両エンジン(不図示)を自動的に停止させてコンプレッサ(不図示)を停止させた場合でも、後述する蓄冷熱交換器5に封入されている蓄冷材の蓄冷によって冷風の吹出しを維持することができるようになっている。アイドリングストップの解除は、アイドリングストップ時のブレーキ操作状態を解除することにより自動的に行われ、直にエンジン始動される。
【0016】
図2に示すように、エバポレータ4は、冷媒21が循環する扁平中空状の冷媒チューブ20を有しており、冷媒チューブ20の両側間には、波形状に折り曲げ成形されたコルゲートフィン22がそれぞれ接合されている。冷媒チューブ20は、両端部が折り曲げられるようにして一定間隔で隣接チューブ同士が平行に並列されている。冷媒チューブ20及びコルゲートフィン22は、伝熱性や軽量化等を考慮して厚みの薄いアルミニューム材で成形することが好ましい。図2において、図の左側が空気流れ方向上流側(送風ファン3側)であり、図の右側が空気流れ方向下流側である。なお、図1、図2において、矢印Aは空気流れ方向である。
【0017】
蓄冷熱交換器5は、図2、図3に示すように、蓄冷材23を封入した複数の扁平中空状の蓄冷熱交換器チューブ24が一定間隔で互いに平行に並列されており、各蓄冷熱交換器チューブ24の上面及び下面には、各蓄冷熱交換器チューブ24の両端部をそれぞれ固定保持した中空パイプ状の固定部材25a,25bが接合されている。各蓄冷熱交換器チューブ24の両端内部と固定部材25a,25b内は連通している。また、固定部材25a,25bには、蓄冷材23を各蓄冷熱交換器チューブ24内に充填する際に使用した開口部(不図示)が設けられており、この開口部は蓄冷材の充填後に密封されている。エバポレータ4と蓄冷熱交換器5は、空気流れ方向Aに対して直交方向の空気通過面が略同じ大きさに形成されている。
【0018】
各蓄冷熱交換器チューブ24の両側間には、波形状に折り曲げ成形されたコルゲートフィン26がそれぞれ接合されている。蓄冷熱交換器チューブ24、固定部材25a,25b及びコルゲートフィン26は、伝熱性や軽量化等を考慮して厚みの薄いアルミニューム材で成形することが好ましい。蓄冷熱交換器チューブ24には、図2に示すように、その内部を一定間隔で複数の区画に仕切るように複数の支柱27が一体に成形されており、支柱27で仕切られた各区画に蓄冷材23が充填されている。
【0019】
なお、図2では、エバポレータ4の冷媒チューブ20、コルゲートフィン22及び蓄冷熱交換器5の蓄冷熱交換器チューブ24、コルゲートフィン26は、それぞれ2組しか図示していないが、実際には、図3の蓄冷熱交換器5の幅(図3の左右方向の幅)に合わせて、空気流れ方向Aに対して直交方向(図2の上下方向)に沿って複数組設置されている。また、図3では、コルゲートフィン26を一部しか図示していないが、実際には、各蓄冷熱交換器チューブ24の両側間の全域に設置されている。
【0020】
蓄冷材23は、コンプレッサ(不図示)が駆動される通常の空調制御時にエバポレータ4を通過した例えば3〜5℃程度の冷風(空気)による冷却によって液相状態から固相状態に相変化して凝固し、融解潜熱の形態で蓄冷を行うことができ、アイドリングストップ時(コンプレッサ(不図示)の駆動停止時)には、融解に伴う潜熱を利用して蓄冷熱交換器5を通過する空気を冷却する。蓄冷材23としては、10℃程度で相変化を起し、融解潜熱が約100kJ/kg(120J/cc)以上である、例えばポリアルキレングリコールを主成分とする蓄冷材を好適に用いることができる。
【0021】
本実施形態では、図2に示すように、エバポレータ4の並列された各冷媒チューブ20及び蓄冷熱交換器5の並列された各蓄冷熱交換器チューブ24の配置間隔(チューブピッチ)L1はそれぞれ同一であり、また冷媒チューブ20と蓄冷熱交換器チューブ24の各横幅方向(空気流れ方向Aに対して直交方向)の寸法L2も、それぞれ同一になるように設置されている。更に、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5の各コルゲートフィン22、26の各横幅方向(空気流れ方向Aに対して直交方向)の寸法L3も、それぞれ同一になるように設置されている。なお、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5の各コルゲートフィン22、26には、通過する空気の冷却効果を高めるための微小突起部22a、26aが空気流れ方向(矢印A)に対して直交方向に複数形成されている。
【0022】
エバポレータ4の空気流れ方向下流側の空気吹出し口近傍(エバポレータ4と蓄冷熱交換器5間の幅狭空間)には、エバポレータ4を通過直後の空気の温度(以下、エバポレータ吹出温度」という)を検出する第1温度センサ28が配置されており、蓄冷熱交換器5の空気流れ方向下流側の空気吹出し口近傍には、蓄冷熱交換器5を通過直後の空気の温度(以下、蓄冷熱交換器吹出温度」という)を検出する第2温度センサ29が配置されている。第1、第2温度センサ28、29でそれぞれ検出した温度情報は空調制御部(エアコンECU)30に入力される。空調制御部30は、第1、第2温度センサ28、29からそれぞれ入力される温度情報、車室内温度や外気温度等を検出する周知の温度センサ群(不図示)から入力される温度情報、乗員による空調パネル(不図示)のスイッチ操作によって入力される空調設定情報(風量、設定温度等)などに基づいて、エンジン駆動時における通常の車室内空調制御及びアイドリングストップ時における車室内空調制御を行う(詳細は後述する)。
【0023】
(エンジン駆動時における通常の車室内空調制御)
乗員が空調パネル(不図示)のスイッチを操作して、例えば「冷房モード」で運転を行う場合には、空調制御部30から出力される信号に基づいてファンモータMを回転駆動して送風ファン3を回転させ、例えば内気導入口9aから空気(内気)をエバポレータ4側に導入させる。更に、エンジン駆動によりコンプレッサ(不図示)を回転駆動して前記した冷凍サイクルを作動させることで、エバポレータ4の各コルゲートフィン22周囲を通過する空気は、冷媒チューブ20内を循環する冷媒21との間で熱交換されて所定温度に冷却される。
【0024】
この際、この冷却された空気が蓄冷熱交換器5を通過するときに、蓄冷熱交換器チューブ24内の蓄冷材23を冷却することによって、蓄冷材23が例えば約1分30秒間で液相状態から固相状態に相変化して凝固し、融解潜熱の形態で蓄冷を行う。
【0025】
そして、空調制御部30は、第1温度センサ28から入力されるエバポレータ吹出温度情報、乗員のスイッチ操作によって入力される空調設定情報(風量、設定温度等)などに基づいて、エアミックスドア駆動部(不図示)を制御してエアミックスドア7の開度を調整する。これにより、エバポレータ4、蓄冷熱交換器5を通過した冷風(空気)の一部をヒータコア6側に導入させて、前記冷風とヒータコア6により得られた温風とをエアミックス室10で混合させることで、所望温度に温調された空気(冷風)が、例えばベントドア14を開位置に回動させることでベント吹出口13から吹出される。
【0026】
(アイドリングストップ時における車室内空調制御)
前記した通常の車室内空調制御により前記冷凍サイクルによって車室内に冷風を吹出しているときに、信号待ち等の車両停止時にアイドリングストップすると、コンプレッサ(不図示)の停止に伴ってエバポレータ4で冷風が生成されなくなり、温度上昇した空気が送風ファン3の回転によって蓄冷熱交換器5に導入される。
【0027】
この際、蓄冷熱交換器チューブ24内の蓄冷材23は、前記したように液相状態から固相状態に相変化して融解潜熱の形態で蓄冷されている。よって、温度上昇した空気が各蓄冷熱交換器チューブ24の両側のコルゲートフィン26近傍を通過するときに、蓄冷材23の融解に伴う潜熱を利用して前記温度上昇した空気の冷却を行い、冷風を生成する。そして、通常時と同様に、蓄冷熱交換器5で生成された冷風の一部をヒータコア6側に導入させて、前記冷風とヒータコア6により得られた温風とをエアミックス室10で混合させることで、所望温度に温調された空気(冷風)が、例えばベントドア14を開位置に回動させることでベント吹出口13から吹出される。
【0028】
空調制御部30は、第2温度センサ29から入力される蓄冷熱交換器吹出温度情報に基づいて、アイドリングストップ前に吹出していた冷風の温度と同じ温度の冷風を吹出すように、エアミックスドア駆動部(不図示)を制御してエアミックスドア7の開度を調整する。なお、本実施形態では、蓄冷材27が約1分30秒間で融解することにより、30秒〜1分程度の信号待ちなどでのアイドリングストップ時においても、アイドリングストップ前と同じように所望温度の冷風を車室内に吹出させることができ、乗員に不快な思いをさせてしまうことはない。
【0029】
また、アイドリングストップ時間が例えば約1分30秒以上に及んで蓄冷材23の融解が完了した場合には、潜熱を利用できないので吹出す空気の温度が急激に上昇する。このような場合、本実施形態は、第2温度センサ29から入力される蓄冷熱交換器吹出温度情報に基づいて、空調制御部30が通過する空気の温度が上昇したと判断すると、エンジンECU(不図示)に信号を出力してエンジン(不図示)を始動させ、コンプレッサ(不図示)の回転により前記冷凍サイクルによって冷風を車室内に吹出させる。
【0030】
このように、アイドリングストップ時間が通常よりも長い時間(例えば、約1分半以上)に及んで、その間に蓄冷材23がすべて融解した場合にも急激な冷風の温度上昇を防止して、車室内の乗員に対して不快な思いをさせることを防止できる。
【0031】
また、本実施形態では、前記したようにエバポレータ4と蓄冷熱交換器5は、空気流れ方向に対して直交方向の空気通過面を略同じ大きさに形成して、エバポレータ4の各冷媒チューブ20及び蓄冷熱交換器5の各蓄冷熱交換器チューブ24の配置間隔(チューブピッチ)L1を同一し、また冷媒チューブ20と蓄冷熱交換器チューブ24の各横幅方向(空気流れ方向Aに対して直交方向)の寸法L2も同一し、更に、エバポレータ4と蓄冷熱交換器5の各コルゲートフィン22、26の各横幅方向(空気流れ方向Aに対して直交方向)の寸法L3も同一になるように設置している。
【0032】
これにより、エバポレータ4のコルゲートフィン22近傍を通過後の空気(冷風)の略全量が蓄冷熱交換器5のコルゲートフィン26近傍をスムーズに通過することによって、蓄冷熱交換器5での通過損失による冷風の風量低下を抑えることができ、更に、蓄冷熱交換器5での蓄冷材の融解潜熱による通過空気の冷却を効果的に行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、蓄冷熱交換器チューブ24内を複数の支柱27で仕切るように区画しているので、蓄冷熱交換器チューブ24の強度を高めることができる。よって、蓄冷熱交換器チューブ24内に充填されている蓄冷材23の前記した液相状態から固相状態(又は固相状態から液相状態)に相変化したときに体積変化が生じても、支柱27による補強により蓄冷熱交換器チューブ24の変形や破損を防止することができる。
【0034】
また、本実施形態では、蓄冷熱交換器チューブ24の内部を一定間隔で複数の区画に仕切るように複数の支柱27を一体成形した例であったが、これに限定されず、不定間隔で複数の支柱27を一体成形してもよい。
【0035】
更に、本実施形態では、蓄冷熱交換器チューブ24の内部に支柱27を一体成形した例を示したが、蓄冷熱交換器チューブ24内に別体のインナーフィンを配置させて一体的にロー付け接合させた後、蓄冷材23を充填してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用空調装置を示す概略縦断面図。
【図2】エバポレータと蓄冷熱交換器の一部を示す概略横断面図。
【図3】蓄冷熱交換器を示す正面図。
【符号の説明】
【0037】
1 空調装置
2 空調ケース
3 送風ファン
4 エバポレータ
5 蓄冷熱交換器
6 ヒータコア
6 冷風通路
7 エアミックスドア
20 冷媒チューブ
21 冷媒
22、26 コルゲートフィン
23 蓄冷材
24 蓄冷熱交換器チューブ
27 支柱
28 第1温度センサ
29 第2温度センサ
30 空調制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環する所定間隔で並列された冷媒チューブを有し、前記冷媒との熱交換より送風用ブロアから送風される空気を冷却するエバポレータと、所定間隔で並列された蓄冷材を充填した蓄冷熱交換器チューブを有し、前記エバポレータの空気流れ方向下流側に配置された蓄冷熱交換器とを空調ケース内に備え、前記蓄冷熱交換器チューブに充填された前記蓄冷材は、前記エバポレータによる冷却により該エバポレータから送風される空気が冷風のときは凝固して潜熱の形態で蓄冷し、前記エバポレータによる冷却が停止しているときには融解し潜熱を利用して該エバポレータを通して送風される空気を冷却する車両用空調装置において、
前記エバポレータと前記蓄冷熱交換器は、空気流れ方向に対して直交方向の空気通過面が略同じ大きさに形成されており、
前記エバポレータの並列された各冷媒チューブ及び前記蓄冷熱交換器の並列された各蓄冷熱交換器チューブの配置間隔はそれぞれ同一であり、かつ前記冷媒チューブと前記蓄冷熱交換器チューブの空気流れ方向に対して直交方向の幅寸法もそれぞれ同一であることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記蓄冷熱交換器チューブは、空気流れ方向に沿って扁平中空状に形成されており、該蓄冷熱交換器チューブ内は複数の支柱による仕切りによって複数に区画されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−125997(P2010−125997A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303039(P2008−303039)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】