説明

車両用空調装置

【課題】車両用空調装置において、簡素な構成で送風機の組付性を向上させると共に、フィルタを確実に固定する。
【解決手段】車両用空調装置10を構成する送風機16には、送風ファン28の収容された第1送風機ケース30にカバー部材36が装着され、該カバー部材36の上部には、上方に突出するように複数の第1及び第2支柱44、46が設けられる。そして、第1送風機ケース30の上部に第2送風機ケース34を組み付ける際、第1及び第2支柱44、46の側方に形成された第1及び第3リブ50、56が、前記第2送風機ケース34の内壁面を案内するガイドとして機能すると共に、前記第2送風機ケース34にフィルタ60を装着する際、第1及び第2支柱44、46の保持面44a、46aによって略水平な状態で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、冷却手段によって温度調整のなされた空気を車室内へと送風して車室内の温度調整を行う車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される車両用空調装置は、送風機によって内外気を空調ケース内へと取り込み、エバポレータにより冷却された空気と、加熱手段であるヒータコアにより加熱された空気とを前記空調ケース内で所望の混合比率で混合した後、車室内に設けられたデフロスタ吹出口、フェイス吹出口又はフット吹出口から送風することによって前記車室内の温度及び湿度の調整を行っている。この車両用空調装置では、吸入される外気中に含まれる塵埃等を除去するためのフィルタを備え、前記フィルタが送風機ケースの側方に開口した挿入口を通じて該送風機ケースの内部へと挿入され、送風ファンの上方に略水平に配置される。例えば、特許文献1に開示された車両用空調装置では、送風機ケース内においてフィルタを送風ファンに臨むように略水平状態で保持し、該フィルタが送風ファン側に吸い込まれることを防止するための支持部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−251211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術に係る車両用空調装置では、送風機ケースの開口部からフィルタを挿入し、該送風機ケースにおける内外気導入口と送風ファンとの間となるように配置している。しかしながら、フィルタは、支持部材の上部に載置されているだけであるため、車両の走行時に上方に移動してがたつきが生じ、振動、騒音等の原因となることがある。そこで、このフィルタを所定位置に配置してがたつきを防止するためには、前記送風機ケースに保持手段を設ける必要があるが、該送風機ケースの構造及び組付作業が複雑になると共に、その製造コストが増加してしまうという問題がある。
【0005】
また、送風機ケースの内部には、送風ファンの上流側となる位置に、該送風ファンの駆動によって送風される空気を整流するためのベルマウス状のカバー部材が設けられているが、前記カバー部材も、前記フィルタと同様に前記送風機ケース内でがたついてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、簡素な構成で送風機の組付性を向上させると共に、フィルタを確実に固定することが可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、空気の流通する複数の通路を有するケーシングと、前記ケーシングに接続され、該ケーシング内に前記空気を供給する送風機とを有する車両用空調装置において、
前記送風機は、前記空気を送風する送風ファンが収容された第1ケースと、
前記第1ケースの上方側に接続され、内気又は外気を導入する導入口を有した第2ケースと、
前記第1ケースと第2ケースとの間に設けられ、前記送風ファンにより吸入される空気を整流するカバー部材と、
前記導入口と前記カバー部材との間に設けられるフィルタと、
を備え、
前記カバー部材には、前記第2ケース側に向かって立設し、前記フィルタを支持する支持部を備え、前記支持部が、前記第1ケースと前記第2ケースを接続する際、前記第2ケースの内壁面に当接してガイドすることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、車両用空調装置における送風機は、送風ファンが収容された第1ケースと、前記第1ケースの上方側に設けられる第2ケースとを備え、前記第1及び第2ケースの間に設けられたカバー部材には、該第2ケース側に向かって立設して前記第2ケースに装着されるフィルタを支持するための支持部が設けられている。そして、支持部が、第2ケースに対してフィルタを装着する際、該フィルタを保持すると共に、第1ケースに対して第2ケースを組み付ける際に、前記支持部が、前記第2ケースの内壁面に当接して案内する。
【0009】
従って、送風ファンにより吸入される空気を整流するカバー部材に対して支持部を設け、第1ケースに対して第2ケースを組み付ける際に、前記支持部のガイド作用下に組み付けることができるため、送風機の組み付け作業を確実且つ簡便に行うことができ、その結果、カバー部材に対して支持部を設けるという簡素な構成で、送風機の組付性を向上することができると共に、第2ケース内において、フィルタを確実且つ安定的に保持することができる。
【0010】
また、第2ケースは、該第2ケースの側壁において前記第1ケースとの接続部側で幅方向に拡幅した第1段部と、
前記第1段部の上方に形成され、前記導入口よりも前記幅方向に拡幅すると共に、該第1段部より幅狭に形成された第2段部と、
を備え、
前記第1段部を支持部の上部に当接させ、前記第2段部を前記フィルタの上部に当接させるとよい。
【0011】
さらに、第2ケースの側壁には、フィルタを挿入するためのフィルタ挿入口を備え、
支持部は、前記フィルタの四隅を支えるように少なくとも4箇所以上設けられ、前記フィルタ挿入口側に配置された一方の支持部には、前記フィルタの挿入方向に沿って下方へと傾斜した傾斜部を備え、前記フィルタ挿入口とは反対側に配置された他方の支持部には、前記フィルタの挿入方向に沿って上方へと傾斜したガイド部を備えるとよい。
【0012】
さらにまた、支持部は、フィルタの挿入方向に延在する本体部と、前記本体部に対して直交した鉛直方向に延在し、該延在方向と直交方向に突出した補助リブとを有し、前記補助リブは、上部を前記フィルタと当接させ、且つ、延在方向に沿った先端側部を前記第2ケースの内壁面に当接させるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、車両用空調装置における送風機は、送風ファンが収容された第1ケースと、前記第1ケースの上部に設けられる第2ケースとを備え、前記第1及び第2ケースの間に設けられたカバー部材に、該第2ケース側に向かって立設して前記第2ケースに装着されるフィルタを支持するための支持部を設け、第2ケースに対してフィルタを装着する際、前記支持部でフィルタを保持し、且つ、前記第2ケースの内壁面に当接して第1ケース側へと案内することができる。その結果、簡素な構成で送風機の組み付け作業を確実且つ簡便に行うことができ、その組付性を向上することができると共に、第2ケース内において、フィルタを支持部を介して確実且つ安定的に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用空調装置の外観斜視図である。
【図2】図1の車両用空調装置における送風機から第2送風機ケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図2の送風機にフィルタが装着された状態を示す一部省略側面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る車両用空調装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る車両用空調装置を示す。なお、車両用空調装置10は、図1に示される右側(矢印A方向)が車両の前方側となり、左側(矢印B方向)が該車両の後方側となるように搭載されるため、以下、矢印A方向を前方とし、矢印B方向を後方として説明する。
【0018】
この車両用空調装置10は、図1に示されるように、空気の各通路を構成するケーシング12と、前記ケーシング12の側部に連結ダクト14を介して連結され、車両における前席に送風するための送風機16と、前記ケーシング12内に形成される各通路を流通する空気の流れを切り換えるダンパ機構18とを含む。なお、ケーシング12の内部には、各通路を流通する空気を冷却するエバポレータ(図示せず)と、該空気を加熱するヒータコア(図示せず)とが設けられる。
【0019】
ケーシング12の下側部には、連結ダクト14が連結され送風機16から空気が供給される。
【0020】
また、ケーシング12の上面には、該ケーシング12で調温された空気を車室内における乗員の顔近傍へと供給するベント開口部24と、前記車室内においてフロントウインドウ近傍に前記空気を供給するデフロスタ開口部26とが開口している。
【0021】
送風機16は、図2及び図3に示されるように、送風ファン28の収容される第1送風機ケース(第1ケース)30と、該第1送風機ケース30の上部に接続され外気を導入するための導入口32を有した第2送風機ケース(第2ケース)34とを含む。
【0022】
この第1送風機ケース30は円筒状に形成され、その内部には同軸上となるように送風ファン28が設けられる。そして、第1送風機ケース30は、開口した一端部が上方となるように配置され、送風ファン28を覆うようにカバー部材36が装着される。また、第1送風機ケース30は連結ダクト14を介してケーシング12と連結され、その内部が互いに連通している。なお、送風ファン28は、例えば、通電作用下に回転駆動するファンモータ(図示せず)によって回転制御される。
【0023】
カバー部材36は、例えば、樹脂製材料から形成され、中央に開口部38を有した円環状のベルマウス部40と、前記カバー部材36の上面に対して垂直に突出した支持部42とを有し、前記ベルマウス部40が第1送風機ケース30の開口部位を覆うように装着され、図示しないカバー支持手段によって保持される。これにより、カバー部材36は、第1送風機ケース30において、送風ファン28側(下方)への移動が規制された状態で保持されることとなる。また、カバー部材36は、第1送風機ケース30の内部に吸入された内気又は外気をベルマウス部40で整流してケーシング12側へと供給する目的で設けられている。
【0024】
支持部42は、車両の後方側(矢印B方向)に設けられる一対の第1支柱44と、前記車両の前方側(矢印A方向)に設けられる一対の第2支柱46とからなり、前記第1及び第2支柱44、46は、それぞれベルマウス部40に対して略同一高さで突出して形成されると共に一定厚さのプレートから形成される。
【0025】
換言すれば、図3に示されるように、第1送風機ケース30において、第1支柱44が後述するフィルタ孔62側(矢印B方向)に配置され、一方、第2支柱46が、前記フィルタ孔62から離間した前記第1送風機ケース30の奥側(矢印A方向)に配置されている。
【0026】
第1支柱44は、図4に示されるように、車両の前後方向(矢印A、B方向)と直交する幅方向(矢印C方向)に所定間隔離間して平行に形成されると共に、前記前後方向に沿って所定長さで延在している。また、第1支柱44の上部は、図2及び図3に示されるように、ベルマウス部40と略平行な直線状に形成され、後述するフィルタ60を保持する保持面44aとして機能すると共に、前記上部において車両の前方側(矢印A方向)となる角部が、下方に向かって所定角度で傾斜した第1傾斜部(傾斜部)48を有する。この第1傾斜部48の傾斜角度は、保持面44aから下方に向かって約45°以下、特に、30°前後となるように設定するとよい。
【0027】
一方、第1支柱44の側部には、車両の幅方向外側(図4中、矢印C1方向)に突出し、断面長方形状の第1リブ(補助リブ)50と、幅方向外側及び内側(図4中、矢印C1、C2方向)に突出した断面三角形状の第2リブ52とが形成される。この第1及び第2リブ50、52は、第1支柱44の長手方向(矢印A、B方向)に沿って互いに所定間隔離間して形成されると共に、例えば、前記第1リブ50が断面略長方形状に、第2リブ52が下方に向かって徐々に幅広となる断面三角形状にそれぞれ形成される。
【0028】
また、第1リブ50の高さは、第1支柱44と同一となるように形成され、該第1リブ50の上部が保持面44aと同一面となる。
【0029】
このように、第1支柱44の側面に対して複数の第1及び第2リブ50、52を設けることにより、プレート状に形成された第1支柱44の剛性を高めることができる。また、第1及び第2リブ50、52は、一方の第1支柱44と他方の第1支柱44において対称形状となるように形成されると共に、前記第1支柱44に対して略直交方向に突出している。
【0030】
第2支柱46は、第1支柱44と同様に、車両の前後方向(矢印A、B方向)と直交する幅方向(矢印C方向)に所定間隔離間して平行に形成されると共に、前記前後方向に沿って所定長さで延在している。なお、第2支柱46は、車両の前後方向(矢印A、B方向)に沿って第1支柱44と一直線上となるように配置される。換言すれば、車両の幅方向における第1支柱44同士の離間距離と、第2支柱46同士の離間距離とが同一となるように形成される。
【0031】
また、第2支柱46の上部は、ベルマウス部40と略平行な直線状に形成され、後述するフィルタ60を保持する保持面46aとして機能すると共に、前記上部における車両の後方側(矢印B方向)には、下方に向かって徐々に傾斜した第2傾斜部(ガイド部)54を有する。なお、この第2傾斜部54は、保持面46aから下方に向かって約30°前後の傾斜角度で傾斜している。換言すれば、第2傾斜部54の傾斜角度は、約45°以下となるように設定するとよい。
【0032】
一方、第2支柱46の側部には、第1支柱44と同様に、車両の幅方向外側(図4中、矢印C1方向)に突出する複数の第3リブ(補助リブ)56と、幅方向外側及び内側(図4中、矢印C1、C2方向)に突出する複数の第4リブ58とが形成される(図2参照)。この第3及び第4リブ56、58は、第2支柱46の長手方向(矢印A、B方向)に沿って互いに所定間隔離間して形成されると共に、前記第3リブ56が、断面略長方形状に、第4リブ58が、下方に向かって徐々に幅広となる断面三角形状にそれぞれ形成される。
【0033】
また、第3リブ56の高さは、第2支柱46と同一となるように形成され、該第3リブ56の上部が保持面46aと同一面となる。
【0034】
このように、第2支柱46の側面に対して複数の第3及び第4リブ56、58を設けることにより、プレート状に形成された第2支柱46の剛性を高めることができる。また、第3及び第4リブ56、58は、一方の第2支柱46と他方の第2支柱46において対称形状となるように形成されると共に、前記第2支柱46に対して略直交方向に突出している。また、第1支柱44における保持面44aと、第2支柱46における保持面46aとがベルマウス部40から同一高さで形成される。
【0035】
第2送風機ケース34は、第1送風機ケース30の上部を覆うように装着され、上部に開口した導入口32から外気が内部へと取り込まれる。なお、第2送風機ケース34の内部には、内外気の切り換えを行うインテークダンパ(図示せず)が設けられる。
【0036】
また、第2送風機ケース34には、車両の後方側(矢印B方向)となる側面にフィルタ60を内部に装着するためのフィルタ孔62が開口している。このフィルタ孔62は、後述するフィルタ60の断面に対応した水平方向に長尺な長方形状に開口すると共に、第2送風機ケース34の下端部近傍に形成されている。
【0037】
さらに、第2送風機ケース34は、図4に示されるように、車両の幅方向(矢印C方向)となる側部が下方に向かって段階的に拡幅する段付状に形成され、最も拡幅して前記第2送風機ケース34の下端部に形成される第1段部64と、該第1段部64の上方に形成され、該第1段部64に対して幅狭に形成された第2段部66とを有する。詳細には、第1段部64は、鉛直方向に延在する部位と、該鉛直部位の上端から第2段部66側(図4中、矢印C2方向)に向かって幅方向に延在する部位とから断面略L字状に形成され、一方、第2段部66は、前記第1段部64の上端から鉛直方向に延在する部位と、該鉛直部位の上端から幅方向内側(図4中、矢印C2方向)に向かって延在する部位とから断面略L字状に形成される。
【0038】
そして、第2送風機ケース34を第1送風機ケース30に対して装着した際、第1段部64の内壁面が第1及び第2支柱44、46における第1及び第3リブ50、56に当接し、前記第1送風機ケース30に対する位置決めがなされる。換言すれば、第1及び第2支柱44、46における第1及び第3リブ50、56は、第1送風機ケース30と第2送風機ケース34とを所望の位置関係で組付可能なガイド機構として機能する。
【0039】
また、第1段部64の水平部位が、第1及び第3リブ50、56の上部に当接することによって第2送風機ケース34によってカバー部材36の上方への変位が規制される。すなわち、第2送風機ケース34の接合部位が、カバー部材36の押さえとして機能している。
【0040】
一方、フィルタ60は、例えば、不織布を折り畳み、周囲を硬いテープ等で補強することによって形成され、フィルタ孔62を通じて第2送風機ケース34の内部に収納されると共に、該フィルタ孔62の開口部を塞ぐようにフィルタカバー68が装着される。そして、第2送風機ケース34の内部において、図3に示されるように、フィルタ60の下面がカバー部材36の第1及び第2支柱44、46の上部に当接することによって略水平に保持されると共に、該フィルタ60の上面が、第2段部66の水平部位によって保持される。すなわち、フィルタ60は、第1及び第2支柱44、46、第2段部66によって第2送風機ケース34の内部における上下方向の変位が規制され確実に保持される。
【0041】
そして、フィルタ60を通過した後、送風機16から供給された空気が、ケーシング12の内部に導入され所望の温度に調整された後に、車室内へと供給される。
【0042】
本発明の実施の形態に係る車両用空調装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、先ず、送風機16に対してフィルタ60を装着する際について説明する。
【0043】
先ず、第2送風機ケース34のフィルタ孔62からフィルタカバー68を取り外した状態とし、作業者がフィルタ60を保持して前記フィルタ孔62の内部へと徐々に挿入していく(図3中、破線形状)。そして、フィルタ60の先端部が、一対の第1支柱44の上部によって案内され、第2送風機ケース34内において車両の前方側(矢印A方向)へと挿入されていく。この際、第1支柱44の上部には、車両の前方側(矢印A方向)となる角部が面取りされた第1傾斜部48を有しているため、前記フィルタ60の下面が前記角部に引っ掛かることが回避され、確実且つ円滑に挿入することができる。
【0044】
そして、さらにフィルタ60を奥(矢印A方向)へと挿入していくことにより、その先端部60aが支持されていない状態となるため重力作用下に下方へと傾き、第2支柱46の第2傾斜部54に当接する。この状態で、フィルタ60の後端部60bをさらに押圧することによって先端部60aが第2傾斜部54に沿って徐々に上方へと案内され、徐々に略水平な状態へと移行していく。すなわち、第2傾斜部54は、フィルタ60の挿入方向(矢印A方向)に向い合うように設けられ、該フィルタ60の挿入時においてその先端部60aが接触するように配置されている。
【0045】
最後に、フィルタ60の先端部60aが、第2傾斜部54から第2支柱46の上部へと移動し、該上部の保持面46aに前記フィルタ60の下面が当接することにより、図3に示されるように、前記フィルタ60の下面が、第1及び第2支柱44、46の保持面44a、46a、第1及び第3リブ50、56の上部によって略水平な状態で保持される。また、この際、フィルタ60は、その上面端部が第2送風機ケース34の第2段部66に当接し、上方への変位が規制された状態となるため、前記フィルタ60は支持部42及び第2送風機ケース34によって上下方向に変位することが防止され、車両走行時の振動等に起因したがたつき等が阻止される。
【0046】
そして、フィルタ60が第2送風機ケース34の内部に完全に収納されたことを確認した後、フィルタ孔62にフィルタカバー68を装着して前記フィルタ60の装着作業が完了することとなる。
【0047】
以上のように、本実施の形態では、送風機16を構成する第1送風機ケース30の内部に、上方に向かって突出した第1及び第2支柱44、46を有したカバー部材36を設け、前記第1及び第2支柱44、46の側方に突出するように第1及び第3リブ50、56を設けている。これにより、第1送風機ケース30の上部に第2送風機ケース34を装着する際、その内壁面が前記第1及び第3リブ50、56に当接して前記第1送風機ケース30側(下方)へと案内されるため、前記送風機16を簡便且つ確実に組み付けることが可能となる。その結果、送風機16の組付性を向上することができる。
【0048】
また、第2送風機ケース34に開口したフィルタ孔62にフィルタ60を装着する際、該第2送風機ケース34の内部に臨むように突出した複数の第1及び第2支柱44、46の保持面44a、46a、第1及び第3リブ50、56によって前記フィルタ60の下面が略水平状態となるように保持され、且つ、前記第2送風機ケース34の第2段部66によって上面の一部が保持されている。そのため、フィルタ60の上下方向への移動が確実に規制され、該フィルタ60を第2送風機ケース34の内部において確実且つ安定的に保持することが可能となる。換言すれば、フィルタ60のがたつきが好適に防止される。
【0049】
すなわち、カバー部材36に設けられた第1及び第2支柱44、46は、送風機16においてフィルタ60の保持機能と第2送風機ケース34の位置決め機能とを兼ね備えているため、前記フィルタ60の保持手段と前記第2送風機ケース34の位置決め手段とをそれぞれ別個に設けた場合と比較し、その部品点数を削減できると共に製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0050】
また、第1及び第3リブ50、56は、第1及び第2支柱44、46の剛性を高める機能を果たしつつ、第2送風機ケース34を組み付ける際のガイドとしても機能する。なお、第2及び第4リブ52、58は、前記第1及び第2支柱44、46の剛性を高める目的のみで設けられている。
【0051】
さらに、フィルタ60の保持手段を第2送風機ケース34に対して一体的に設ける場合、該第2送風機ケース34の形状が複雑となり、それに伴って、前記第2送風機ケース34の製造性の低下及び製造コストの増加が懸念されるが、上述したような別体のカバー部材36に設けることによって、製造性の低下や製造コストの増加を抑制することが可能となる。
【0052】
さらにまた、第1及び第2支柱44、46には、該第1及び第2支柱44、46の延在方向と直交するように突出する複数の第1〜第4リブ50、52、56、58を設けているため、プレート状に形成された前記第1及び第2支柱44、46の剛性を確保することができる。その結果、第1及び第2支柱44、46がベルマウス部40に対して変形してしまうことが回避され、該第1及び第2支柱44、46によってフィルタ60を確実に保持できると共に、第2送風機ケース34の位置決めを高精度に行うことが可能となる。
【0053】
また、第1及び第2支柱44、46は、フィルタ60の挿入方向(矢印A方向)に沿って所定長さで延在しているため、前記フィルタ60を挿入する際に安定して押し込むことができると共に、前記第1及び第2支柱44、46がプレート状に形成されているため、フィルタ60の挿入抵抗が低減され円滑に挿入することができる。
【0054】
なお、上述した送風機16においては、第1及び第2支柱44、46がそれぞれ一対ずつ設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも一対(4箇所)以上の第1及び第2支柱44、46を設けるようにすればよい。
【0055】
なお、本発明に係る車両用空調装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
10…車両用空調装置 12…ケーシング
14…連結ダクト 16…送風機
18…ダンパ機構 24…ベント開口部
26…デフロスタ開口部 30…第1送風機ケース
32…導入口 34…第2送風機ケース
36…カバー部材 40…ベルマウス部
42…支持部 44…第1支柱
44a、46a…保持面 46…第2支柱
48…第1傾斜部 50…第1リブ
52…第2リブ 54…第2傾斜部
56…第3リブ 58…第4リブ
60…フィルタ 62…フィルタ孔
64…第1段部 66…第2段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流通する複数の通路を有するケーシングと、前記ケーシングに接続され、該ケーシング内に前記空気を供給する送風機とを有する車両用空調装置において、
前記送風機は、前記空気を送風する送風ファンが収容された第1ケースと、
前記第1ケースの上方側に接続され、内気又は外気を導入する導入口を有した第2ケースと、
前記第1ケースと第2ケースとの間に設けられ、前記送風ファンにより吸入される空気を整流するカバー部材と、
前記導入口と前記カバー部材との間に設けられるフィルタと、
を備え、
前記カバー部材には、前記第2ケース側に向かって立設し、前記フィルタを支持する支持部を備え、前記支持部が、前記第1ケースと前記第2ケースを接続する際、前記第2ケースの内壁面に当接してガイドすることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用空調装置において、
前記第2ケースは、該第2ケースの側壁において前記第1ケースとの接続部側で幅方向に拡幅した第1段部と、
前記第1段部の上方に形成され、前記導入口よりも前記幅方向に拡幅すると共に、該第1段部より幅狭に形成された第2段部と、
を備え、
前記第1段部が前記支持部の上部に当接し、前記第2段部が前記フィルタの上部に当接することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用空調装置において、
前記第2ケースの側壁には、前記フィルタを挿入するためのフィルタ挿入口を備え、
前記支持部は、前記フィルタの四隅を支えるように少なくとも4箇所以上設けられ、前記フィルタ挿入口側に配置された一方の支持部には、前記フィルタの挿入方向に沿って下方へと傾斜した傾斜部を備え、前記フィルタ挿入口とは反対側に配置された他方の支持部には、前記フィルタの挿入方向に沿って上方へと傾斜したガイド部を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用空調装置において、
前記支持部は、前記フィルタの挿入方向に延在する本体部と、
前記本体部に対して直交した鉛直方向に延在し、該延在方向と直交方向に突出した補助リブとを有し、前記補助リブは、上部が前記フィルタと当接し、且つ、延在方向に沿った先端側部が前記第2ケースの内壁面に当接することを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−158218(P2012−158218A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17920(P2011−17920)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】