説明

車両用衝撃吸収シート

【課題】簡素な構成で衝撃荷重を安定して緩和でき、かつ車両後方等へのシートバック付勢時に剛性を向上できる車両用衝撃吸収シートを提供する。
【解決手段】ベースブラケット3と可動ブラケット6の少なくともどちらか一方に設けた脆弱部64を跨ぐように規制板7を配置し、規制板7に長孔71と、規制板7が固定されるブラケット3,6に長孔71を挿通する係合突起8を設け、シートバック4に車両前方に向かって過大な荷重が掛った際には、係合突起8が長孔71の一端と係合して、脆弱部64の変形を規制し、シートバック4に車両後方に向かって過大な荷重が掛った際には、係合突起8が長孔71内を移動することによって脆弱部64の変形を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が後方から追突された際に乗員が受ける衝撃荷重を緩和する車両用衝撃吸収シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の車両用衝撃吸収シートとしては、車両が後方から追突された際に乗員の頚部障害リスクを低減するため、荷重を受ける部材の変形によって乗員への衝撃荷重を緩和する衝撃吸収手段を備えるものがあり、その従来例として特許文献1および特許文献2に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1に開示された車両用衝撃吸収シート100は、図4に示すように、シートクッション101側に固定されるベースブラケット102と、このベースブラケット102によって回動自在に支持される可動ブラケット103と、この可動ブラケット103に固定される骨格部104を有するシートバック105と、可動ブラケット103および骨格部104を連結するブラケット106とを備えている。可動ブラケット103の上端近傍に上下一対のボルト107を設け、この上下一対のボルト107間に貫通孔108を配設することによって、強度の比較的弱い脆弱部109が可動ブラケット103の上端近傍に形成されている。
【0004】
この従来例では、乗員が当該車両用衝撃吸収シート100に着座した状態で、車両後方から追突された場合、乗員の上体は図4の時計方向へ付勢されて、過大な荷重がシートバック105に掛かることになるが、脆弱部109で可動ブラケット103の変形が促進されるので、この可動ブラケット103の変形によって乗員への衝撃荷重が緩和される。
【0005】
特許文献2に開示された車両用衝撃吸収シート110は、図5に示すように、シートクッション111側に固定されるベースブラケット112と、このベースブラケット112によって回動自在に支持される可動ブラケット113と、この可動ブラケット113に固定される骨格部114を有するシートバック115と、可動ブラケット113および骨格部114を連結する3本のボルト116〜118とを備えている。骨格部114には、骨格部114の連結部を内側から補強する補強プレート(図示せず)が設けられ、この補強プレートにボルト116、117が挿通されている。骨格部114は、車両後側のボルト116を中心として図5の時計方向に回動可能であり、他のボルト117、118がそれぞれ係合する長孔119、120を有し、ボルト117、118がそれぞれ長孔119、120に沿って移動することによって可動ブラケット113に対してシートバック115の回動動作が許容される。また、車両前側の長孔120は、ボルト118の径よりも幅狭に形成されている。
【0006】
この従来例では、乗員が当該車両用衝撃吸収シート110に着座してシートベルト(図示せず)で上体をシートバック115に対して拘束した状態で、車両後方から追突された場合、乗員の上体は図5の時計方向へ付勢されるので、過大な荷重がシートバック115に掛かることになるが、ボルト118が長孔120に沿って移動しながら長孔120の幅方向の両縁部を変形させることによって、乗員への衝撃荷重が緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−230767号公報
【特許文献2】特開平10−309968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載されているものでは、可動ブラケット103に貫通孔108を設けることによって脆弱部109が形成されて可動ブラケット103の剛性が低下するので、シートバック105が車両前方(図4の反時計方向)や車両幅方向にも変形しやすくなる。また、可動ブラケット103が車両の振動などの影響を受けて振動が発生しやすくなるという問題があった。
【0009】
また、前記特許文献2に記載されているものでは、車両が後方から追突された際に衝撃荷重がシートバック115に掛かって図5の時計方向へ付勢されたとき、ボルト118が骨格部114の長孔120に沿って移動しながら長孔120の幅方向の両縁部を変形させることによって乗員への衝撃荷重が緩和される構造であるため、その際に長孔120の幅寸法およびボルト118の径寸法のばらつきによって衝撃荷重を緩和する衝撃吸収性能がかなり変動するので、車両が後方から追突された際に乗員への衝撃荷重を安定した状態で緩和できないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、簡素な構成にて車両が後方から追突された際に乗員への衝撃荷重を安定した状態で緩和できるとともに、シートバックが車両後方や車両幅方向へ付勢された場合、荷重を受ける部材の変形を抑制して剛性向上を図ることができる車両用衝撃吸収シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1は、シートクッション側の骨格部に結合部を介して結合されるベースブラケットと、このベースブラケットに対して回動軸を中心に回動自在に支持され、上部がシートバック側の骨格部に結合部を介して結合される可動ブラケットとを備えた車両用衝撃吸収シートであって、前記ベースブラケットと前記可動ブラケットのどちらか一方のブラケットには、前記結合部と前記回動軸の間に、機械的強度の弱い脆弱部を設け、該脆弱部を跨ぎつつ、当該ブラケットに沿って、板状の規制部材を配置し、該脆弱部よりも当該ブラケットの結合部側と該規制部材とが結合される先端側結合部と、該脆弱部よりも当該ブラケットの回転軸側と該規制部材とが結合される基端側結合部とを設け、該先端側結合部と該基端側結合部のどちらか一方の結合部は、当該ブラケットと該規制部材のいずれか一方に長孔を形成するとともに、当該ブラケットと該規制部材の他方に該長孔を挿通する軸部と、該規制部材を当該ブラケットとともに挟持するフランジ部とを具備する係合突起とを備え、該係合突起は該長孔内の一端に配置され、前記シートバックに車両後方に向かって過大な荷重が掛った際には、該係合突起が該長孔内を移動することによって該脆弱部の変形を許容し、該シートバックに車両前方に向かって過大な荷重が掛った際には、該係合突起が該長孔の一端と係合し、該脆弱部の変形を規制することを特徴とする。
【0012】
請求項2は、請求項1記載の車両用衝撃吸収シートであって、前記脆弱部が、前記可動ブラケットの車両後方側の端縁から前方へ延びる切欠を備え、前記長孔が車両上下方向に沿って形成され、前記シートバックに車両後方に向かって過大な荷重が掛った際には、前記規制部材が、該切欠の幅が狭まる方向への該脆弱部の変形を許容し、該シートバックに車両前方に向かって過大な荷重が掛った際には、該規制部材が該切欠の幅が広がる方向への該脆弱部の変形を規制することを特徴とする。
【0013】
請求項3は、請求項2記載の車両用衝撃吸収シートであって、前記可動ブラケットの結合部は、該可動ブラケットの前記回動軸を中心とする円周方向の2箇所で前記シートバックの骨格部に結合されており、
前記規制部材と該可動ブラケットとが、少なくとも1つの共通の結合ボルトによって前記シートバックの骨格部に結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明において、乗員が当該車両用衝撃吸収シートに着座した状態で、車両が後方から追突された際に衝撃荷重がシートバックに掛かると、シートバックが車両後方へ付勢されて、過大な荷重がシートバックに掛かるが、係合突起が長孔内を移動しつつ、脆弱部が変形し、シートバックが後方に倒れる。
【0015】
これにより、脆弱部が変形することによって、衝撃エネルギーが吸収され、乗員に掛かる衝撃荷重が緩和される。したがって、簡素な構成にて車両が後方から追突された際に乗員への衝撃荷重を安定した状態で緩和できるという効果がある。
【0016】
また、後席の乗員や荷物が前席のシートバックに衝突した場合のように、シートバックが車両前方へ付勢された場合、係合突起が長孔の一端に係合することによって、脆弱部の変形を規制するので、該ブラケットの変形を抑制して剛性向上を図ることができるという効果がある。
【0017】
そして、規制板が、該ブラケットの側面に沿って延設されて脆弱部を跨ぐように配置されるので、該ブラケットの脆弱部が形成された部分を側面から規制板で補強でき、車両幅方向に対して、該可動ブラケットの変形を抑制して剛性向上を図ることができるという効果がある。
【0018】
請求項2の発明においても、前記請求項1の発明と同様の効果が得られる。すなわち、シートバックに車両後方に向かって過大な荷重が掛った際には、係合突起が、長孔に沿って切欠から遠い端部側から近い端部側へ移動しつつ切欠の幅が狭まる方向へ脆弱部が変形し、シートバックが後方に倒れる。
【0019】
これにより、脆弱部が変形することによって、乗員に掛かる衝撃荷重が緩和される。したがって、簡素な構成にて車両が後方から追突された際に乗員への衝撃荷重を安定した状態で緩和できるという効果がある。
【0020】
また、シートバックに車両前方に向かって過大な荷重が掛った際には、係合突起が、長孔の切欠から遠い側の端部に係合することによって、切欠の幅が広がる方向への脆弱部の変形が規制されるので、可動ブラケットの変形を抑制して剛性向上を図ることができるという効果がある。
【0021】
請求項3の発明において、可動ブラケットの上端が可動ブラケットの回動軸を中心とする円周方向の2箇所でシートバック側と結合されるとともに、可動ブラケットおよびシートバックの骨格部を結合する結合ボルトによって規制板の一端を可動ブラケットに連結するので、単一の結合ボルトを共用して部品点数の削減を図ることができる。また、規制板の一端をシートバックの骨格部に直接結合することによって、規制板の剛性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示し、車両用衝撃吸収シートの側面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、図1の要部を拡大して示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】従来の車両用衝撃吸収シートを示す側面図である。
【図5】従来の他の車両用衝撃吸収シートを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1〜図3に示すように、本実施形態の車両用衝撃吸収シート1は、乗員の座面となるシートクッション2の骨格部(図示せず)に固定されるベースブラケット3と、背もたれとなるシートバック4の骨格部(図示せず)に固定され、ベースブラケット3によって回動軸5を中心として回動自在に支持される可動ブラケット6と、可動ブラケット6の側面に沿って延設される規制板(規制部材)7と、可動ブラケット6に突設され、規制板7の後述する長孔71に係合する係合ピン(係合突起)8と、ベースブラケット3および可動ブラケット6間に設けられ、シートバック4のリクライニングを行なうリクライニングユニット9とを備えている。なお、図1〜図3では、シートクッション2およびシートバック4の車両幅方向の左側のベースブラケット3および可動ブラケット6を図示しているが、車両幅方向の右側にも同様のベースブラケットおよび可動ブラケットを備えている。
【0025】
可動ブラケット6は、上端が結合部として回動軸5を中心とする円周方向の2箇所で結合ボルト60,61を介してシートバック4の骨格部に結合される。また、可動ブラケット6は、結合部と回動軸の間で、車両前後方向の後端縁62から前方へ延びるスリット状の切欠63を有し、この切欠63は、シートバック4の厚さ方向(回動軸5を中心とする半径方向)の中心線L1に対して略直交する直交線L2に沿って形成される。そして、可動ブラケット6の切欠63によって機械的強度が他の箇所よりも弱く設定された脆弱部64が直交線L2線上に形成されている。なお、可動ブラケット6のうち車両後側の部分は、切欠63によってブラケットの結合部側となる先端側部6aとブラケットの回動軸側となる基端側部6bとに区分され、先端側部6aには結合ボルト61が挿通されるとともに、基端側部6bには係合ピン8が突設されている。
【0026】
規制板7は、切欠63を跨ぐように配置されるとともに、切欠63よりも可動ブラケット6の結合部側に位置する先端側結合部7aと、切欠63よりも可動ブラケット6の回動軸側に位置する基端側結合部7bとで可動ブラケット6に結合される。先端側結合部7aでは、規制板7に設けられた挿通孔70と、可動ブラケット6に設けられた挿通孔65とを挿通しつつ、シートバック4の骨格部に結合ボルト61によって共締固定される。基端側結合部7bでは、規制板7に設けられた長孔71に、可動ブラケット6に設けられた係合ピン8が係合する。長孔71は、可動ブラケット6の脆弱部64が変形する際に、係合ピン8が移動する方向、つまり車両上下方向に沿って延設されている。
【0027】
係合ピン8は、軸部81が可動ブラケット6に固定された状態で規制板7の長孔71に挿通され、軸部81の先端に規制板7から軸方向へ突出するとともに、軸部81よりも大径に設定されたフランジ部82によって規制板7の板厚方向に係合し、このフランジ部82と可動ブラケット6とで規制板7を厚さ方向で挟持している。
【0028】
次に、上記構成の組立て手順を説明する。図2に示すように、可動ブラケット6に規制板7を重ね合わせた状態で、可動ブラケット6の挿通孔65および規制板7の挿通孔70を同芯上に配置した後、仮止め溶接部66によって可動ブラケット6および規制板7を仮止めする。次に、係合ピン8を長孔71に挿通して、可動ブラケット6にかしめ固定する。そして、この可動ブラケット6とベースブラケット3をリクライニングユニット9にそれぞれ係合した後、可動ブラケット6を上端の2箇所で結合ボルト60,61を介してシートバック4の骨格部に結合するとともに、車両後側の結合ボルト61によって規制板7を可動ブラケット6およびシートバック4の骨格部に対して共締め固定する。
【0029】
上記のようにして組立てた当該車両用衝撃吸収シート1に乗員が着座した状態で、車両が後方から追突された際に、乗員の上体はシートバック4に押付けられて、衝撃荷重がシートバック4に掛かり、シートバック4が車両後方(図1の時計方向)へ付勢される。このとき、過大な荷重がシートバック4に掛かると、可動ブラケット6に突設した係合ピン8が規制板7の長孔71内を移動できるので、切欠63の幅が狭まる方向への可動ブラケット6の変形が許容されて、脆弱部64の変形によって、衝撃エネルギーが吸収される。なお、係合ピン8は、長孔71内を移動した後、長孔71の切欠63側の端部71aに当接したときに停止するため、完全にシートバックが倒れてしまうことが無く、乗員に掛かる衝撃荷重を緩和しつつ、乗員をしっかりと保持することができる。。
【0030】
一方、シートバック4が車両前方へ付勢されるとき、可動ブラケット6に突設した係合ピン8が長孔71の切欠63から遠い側の端部71bに当接することによって、規制板7で可動ブラケット6の先端側部6aが結合ボルト61を介して結合された状態で、可動ブラケット6の基端側部6bの移動が係合ピン8を介して阻止されるので、切欠63の幅が広がる方向への可動ブラケット6の変形が規制される。
【0031】
以上、説明したように、可動ブラケット6の結合部側と回動軸側との間に、車両前後方向の後端縁62から前方へ延びるスリット状の切欠63と、この切欠63よりも車両前側に位置する脆弱部64とを形成し、シートバック4が車両後方へ付勢されるとき可動ブラケット6が変形することによって衝撃エネルギーを吸収するので、簡素な構成にて車両が後方から追突された際に乗員への衝撃荷重を安定した状態で緩和できる。
【0032】
本発明によれば、シートバック4が車両前方へ付勢された場合、係合ピン8が長孔71の切欠63から遠い側の端部71bに当接することによって、切欠63の幅が広がる方向への可動ブラケット6の変形を規制するので、可動ブラケット6の変形を抑制して剛性向上を図ることができる。また、規制板7が、可動ブラケット6の側面に沿って延設されて切欠63を跨ぐように配置されるので、可動ブラケット6の切欠63が形成された部分を側面から規制板7で補強でき、シートバック4が車両幅方向に対して、可動ブラケット6の変形を抑制して剛性向上を図ることができる。
【0033】
本発明によれば、可動ブラケット6の上端が回動軸5を中心とする円周方向の2箇所でシートバック4の骨格部と結合されるとともに、可動ブラケット6およびシートバック4の骨格部を結合する結合ボルト61によって、規制板7の一端を可動ブラケット6に連結するので、単一の結合ボルト61を共用して部品点数の削減を図ることができる。また、結合ボルト61によって規制板7の一端をシートバック4の骨格部に直接結合するので、規制板7の剛性を向上することができる。
【0034】
なお、上記実施例では、係合ピン8を可動ブラケット6に突設し、長孔71を規制板7に設けた場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、係合ピンを規制板に突設し、長孔を可動ブラケットに設けてもよい。
【0035】
また、上記実施例では、切欠63を可動ブラケット6の後端縁62から前方に延びるスリットとし、スリットの幅が狭まる方向に脆弱部64が変形することで乗員に掛かる衝撃荷重を緩和する場合を例示したが、切欠を可動ブラケット6の前端縁から後方に延びるスリットとし、スリットの幅が拡がる方向に脆弱部が変形することで乗員に掛かる衝撃荷重を緩和としてもよい。
【0036】
加えて、上記実施例では、係合ピン8を可動ブラケット6に、長孔71を規制板7にそれぞれ設ける場合を例示したが、係合ピンを規制板に、長孔を可動ブラケットに設けることもできる。
【0037】
さらに、上記実施例では、規制板7、係合ピン8、切欠63および脆弱部64を可動ブラケット6に設けた場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、規制板、係合ピン、切欠および脆弱部をベースブラケット側に設けることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 車両用衝撃吸収シート
2 シートクッション
3 ベースブラケット
4 シートバック
5 回動軸
6 可動ブラケット
7 規制板
7a 先端側結合部
7b 基端側結合部
8 係合ピン(係合突起)
60,61 結合ボルト
62 後端縁
63 切欠
64 脆弱部
71 長孔
71a,71b 端部
81 軸部
82 フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション側の骨格部に結合部を介して結合されるベースブラケットと、このベースブラケットに対して回動軸を中心に回動自在に支持され、上部がシートバック側の骨格部に結合部を介して結合される可動ブラケットとを備えた車両用衝撃吸収シートであって、
前記ベースブラケットと前記可動ブラケットのどちらか一方のブラケットには、前記結合部と前記回動軸の間に、機械的強度の弱い脆弱部を設け、
該脆弱部を跨ぎつつ、当該ブラケットに沿って、板状の規制部材を配置し、
該脆弱部よりも当該ブラケットの結合部側と該規制部材とが結合される先端側結合部と、該脆弱部よりも当該ブラケットの回転軸側と該規制部材とが結合される基端側結合部とを設け、
該先端側結合部と該基端側結合部のどちらか一方の結合部は、
当該ブラケットと該規制部材のいずれか一方に長孔を形成するとともに、
当該ブラケットと該規制部材の他方に該長孔を挿通する軸部と、該規制部材を当該ブラケットとともに挟持するフランジ部とを具備する係合突起とを備え、
該係合突起は該長孔内の一端に配置され、
前記シートバックに車両後方に向かって過大な荷重が掛った際には、該係合突起が該長孔内を移動することによって該脆弱部の変形を許容し、
該シートバックに車両前方に向かって過大な荷重が掛った際には、該係合突起が該長孔の一端と係合し、該脆弱部の変形を規制することを特徴とする車両用衝撃吸収シート。
【請求項2】
請求項1記載の車両用衝撃吸収シートであって、
前記脆弱部が、前記可動ブラケットの車両後方側の端縁から前方へ延びる切欠を備え、
前記長孔が車両上下方向に沿って形成され、
前記シートバックに車両後方に向かって過大な荷重が掛った際には、前記規制部材が、該切欠の幅が狭まる方向への該脆弱部の変形を許容し、
該シートバックに車両前方に向かって過大な荷重が掛った際には、該規制部材が該切欠の幅が広がる方向への該脆弱部の変形を規制することを特徴とする車両用衝撃吸収シート。
【請求項3】
請求項2記載の車両用衝撃吸収シートであって、
前記可動ブラケットの結合部は、該可動ブラケットの前記回動軸を中心とする円周方向の2箇所で前記シートバックの骨格部に結合されており、
前記規制部材と該可動ブラケットとが、少なくとも1つの共通の結合ボルトによって前記シートバックの骨格部に結合されることを特徴とする車両用衝撃吸収シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−67281(P2013−67281A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207587(P2011−207587)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000237307)富士機工株式会社 (392)
【Fターム(参考)】