説明

車両用表示装置

【課題】発光する二つの指標のいずれかを一つの指針で指示させることにより二つの異なる車両の状態を表示する指針計器に対して、表示パネルを極力近づけて設置させることができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】表示板20において第一、第二領域31、32は、指針40の回転方向に並び、第三領域33は第一領域31の内外周に隣り合って並ぶ。LED48a〜c、eは第一領域31と対向する位置に設けられ第一領域31を照らし、LED48dは表示板20の表示方向後側に設けられ、第二領域32を導光体62を介して照らし、LED48f〜iは第三領域33と対向する位置に設けられ第三領域33を照らす。動力状態表示メータ12は第二領域32の表示方向後側に収容空間73を形成する導光体62を備える。その導光体62によって形成された収容空間73に、表示パネル16の一部を収容させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指標を指針によって指示させることにより車両の状態を表示する指針計器と、車両の状態を画面に表示する表示パネルとを有する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光する二つの指標のいずれかを指針に指示させることにより二つの異なる車両の状態を表示する車両用の指針計器が知られている(特許文献1を参照)。この指針計器の各指標の照明構造は、それぞれの指標と対向する位置(各指標の直下)に光源を設け、いずれかの光源を点灯させることにより、二つの指標のいずれかを発光させている。以下、発光させたい指標の直下に光源を設け、当該指標を当該光源によって照明する構造を直下式の照明構造という。また、計器の隣に車両の状態を画面に表示する表示パネルを設置する車両用表示装置が知られている(特許文献2を参照)。このように計器の他に車両の状態を表示する表示パネルを設けることによれば、車両用表示装置の表示可能な情報を多くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128242号公報
【特許文献2】特開2008−76541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1に開示されているような一つの指針によって二つの車両の状態を表示させることできる指針計器の隣にも特許文献2に開示されているような表示パネルを設置させ、さらにその表示パネルを当該指針計器に極力近づけて設置したいという要望がある。
【0005】
上述した指針計器に表示パネルを極力近づけて設置する一つの方法として、当該計器の表示板の表示方向後側に表示パネルの一部を収容させる方法がある。この方法により、表示パネルを指針計器に極力近づけて設置することが可能となる。
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている指針計器の照明構造は、直下式の照明構造となっているため、指針計器の表示方向後側に表示パネルの一部を収容させると、光源から指標までの光路と表示パネルとが干渉し、表示パネルを指針計器に近づけるのに限界があった。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、発光する二つの指標のいずれかを一つの指針で指示させることにより二つの異なる車両の状態を表示する指針計器に対して、表示パネルを極力近づけて設置させることができる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1記載の発明は、指針の回転方向に沿って並んで光の透過により発光する指標がそれぞれ形成される第一領域、第二領域および第三領域を有し、第二領域が第一領域に対して円周上に回転方向に沿って並び、第三領域が第一領域の内外周に隣り合うようにして並ぶ表示板、表示板の表示方向後側において第一領域と対向する位置に設けられ、第一領域を照明する第一光源、表示板の表示方向後側に設けられ、第二領域を照明する第二光源、表示板の表示方向後側において第三領域と対向する位置に設けられ、第三領域を照明する第三光源、第二領域と第二光源との間に設けられ、第二光源からの入射光を導き、第二領域に向けて出射する導光体であって、表示方向後側に収容空間を形成する導光体、および表示板の表示方向後側に設けられ、第一光源から第一領域までの光路、第二光源から導光体を介した第二領域までの光路、および第三光源から第三領域までの光路のそれぞれを互いに隔離する隔離部材を備え、第一光源および第二光源が発光することにより、第一領域および第二領域のそれぞれの指標が発光する状態で、第一領域および第二領域のそれぞれの指標を指針が指示することにより第一の車両状態を表示し、第三光源が発光することにより、第三領域の指標が発光する状態で、第三領域の指標を指針が指示することにより第一の車両状態と異なる第二の車両状態を表示する指針計器と、画面上に車両状態を表示する表示パネルであって、第二領域の表示方向後側において収容空間に少なくとも一部が収容され、表示板の表示方向と交差する方向に沿って表示板と重なっている表示パネルと、を備えることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、内外周に隣り合う第一領域および第三領域のそれぞれに対向設置されている第一光源および第三光源からの光路を隔離部材が隔離しているので、第一領域および第三領域を互いに近づけさせながら、各領域の指標を発光させることができる。また、第二光源から導光体を介した第二領域までの光路を隔離部材が上記二つの光路から隔離しているので、第一領域と円周上に回転方向に沿って並ぶ第二領域と、第一領域および第三領域とを互いに近づけさせながら、第二領域の指標を発光させることができる。
【0010】
したがって、指針計器は、第一光源および第二光源を発光することにより第一領域および第二領域のそれぞれの指標が発光する状態において、発光する当該指標を指針によって指示させることにより第一の車両状態を表示し、第三光源を発光させることにより第三領域の指標が発光する状態において、発光する当該指標を同じ指針によって指示させることにより第二の車両状態を表示することができる。
【0011】
ここで、この発明では、第二領域の表示方向後側に形成される収容空間に、表示パネルの少なくとも一部が収容されている。このように当該収容空間に表示パネルが収容されていると、第二領域と対向する位置に第二光源を設けることができなくなることが懸念される。
【0012】
そこで、この発明では、第二光源からの入射光を第二領域に導くとともに、第二領域の表示方向後側に上記収容空間を形成する導光体を、第二領域と第二光源との間に設けている。このことによれば、第二光源を第二領域と対向する位置に設けずとも、第二光源によって第二領域を照明することができ、しかも第二領域の表示方向後側に上記収容空間を形成させることができる。このような導光体を採用することによれば、第二光源による第二領域の照明を可能としつつ、第二領域の表示方向後側に表示パネルの少なくとも一部を設置させることが可能となる。その結果、指針計器と表示パネルとが、表示板の表示方向と交差する方向に沿って互いに重なることとなり、これらを表示方向前側から見ると、表示パネルが指針計器に対して非常に接近して設置されているように見える。
【0013】
以上説明したように、この発明を採用する車両用表示装置によれば、発光する二つの指標のいずれかを一つの指針で指示させることにより二つの異なる車両状態を表示する指針計器に対して、表示パネルを極力近づけて設置させられる車両用表示装置を提供することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、第二光源が、表示板において第二領域の内周側の部分と対向する位置に設置され、収容空間が第二領域の外周側に向かって開放していることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、第二光源が表示板において第二領域の内周側の部分と対向する位置に設けられているため、第二光源から導光体を介した第二領域までの光路が第二領域の外周側に設定されることを避けることができ、第二領域の外周側に向かって開放した収容空間を第二領域の表示方向後側に確実に形成することが可能となる。このように第二領域の外周側に向かって開放している収容空間によれば、表示パネルの一部を第二領域の外周側から挿入させることが可能となり、指針計器と表示パネルとを極力近づけて設置させるという設置関係を確実に実現することができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、導光体が、第二光源から表示方向前側に向かって延伸され、第二光源から放射される光を入射する入射部と、入射部の表示方向前側の端部に光学的に接続され、第二領域と対向するように表示板に沿って延伸しており、表示板の第二領域に向けて入射部からの光を出射する出射する出射部と、を備えており、収容空間は、出射部の表示方向後側、かつ入射部の側方に設けられていることを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、導光体において出射部は、第二領域と対向するように表示板に沿って延伸しており、かつ第二光源から表示方向前側に向かって延伸された入射部の表示方向前側の端部と光学的に接続されている。このように構成されている導光体によれば、入射部に入射した光は表示方向前側に向って進み出射部に入射する。そして、出射部に入射した光は、表示板に沿って進むとともに、対向設置された第二領域に向って出射される。このようにして光を導くことができる導光体において収容空間は、出射部の表示方向後側に形成されているから、第二領域の表示方向後側に表示パネルの一部を収容させることができる。それに加え、この収容空間は、入射部の側方に形成されているから、入射部の長さを有した収容空間を形成することが可能となる。このことによれば、入射部の長さを調整することにより、収容空間の表示方向に沿った長さを自由に調整することができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、入射部が、出射部において第二領域の内周側の部分と対向する部位に光学的に接続されていることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、入射部と出射部との接続場所を第二領域の外周側から遠ざけることができる。よって、出射部の表示方向後側に形成されることとなる収容空間において表示板に沿った方向の長さをより長く確保することができる。このような構成によれば、この収容空間に表示パネルを第二領域の外周側から表示方向に沿った方向で挿入する際、表示パネルを第二領域の内周側により深く挿入させることが可能となり、指針計器と表示パネルとをさらに近づけて設置させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による車両用表示装置としてのコンビネーションメータの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータの動力状態表示メータが内燃機関の回転速度を表示している場合の動力状態表示メータの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータの動力状態表示メータがハイブリッドシステムのシステム出力状態を表示している場合の動力状態表示メータの正面図である。
【図4】図1のIV−IV線における断面図である。
【図5】拡散板の平面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータの電気的構成を示すブロック図である。
【図7】図4のVII−VII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態による車両用表示装置としてのコンビネーションメータの正面図である。図1に示すコンビネーションメータ10は、車両の各種情報を表示するものであり、表示方向を視認者側に向けて車両の車室前方に位置するインストルメントパネルに収容されている。本実施形態のコンビネーションメータ10は、特に、内燃機関と電気モータとから出力される動力を車両の推進力として使用するハイブリッドシステムを搭載する所謂ハイブリッド車両に搭載される。
【0023】
コンビネーションメータ10は、動力状態表示メータ12、スピードメータ14、および車両情報表示パネル16(以下、表示パネルと記載)を有する。動力状態表示メータ12およびスピードメータ14は、図1に示すように車両の車幅方向に二つ並んで配置され、車両情報表示パネル16は、動力状態表示メータ12とスピードメータ14との間に配置される。
【0024】
動力状態表示メータ12は、内燃機関の回転速度、およびハイブリッドシステムのシステム出力状態の少なくとも一方を表示する。図2は、内燃機関の回転速度を表示している場合の動力状態表示メータ12の正面図であり、図3は、ハイブリッドシステムのシステム出力状態を表示している場合の動力状態表示メータ12の正面図である。なお、図1では、動力状態表示メータ12の表示板20において、回転速度、およびシステム出力の両方の指標が発光している状態を示している。例えば、内燃機関の回転速度の表示およびハイブリッドシステムのシステム出力状態の表示の切り替えは、車両に設置されているモード切替スイッチ84を運転者が操作することにより行われる。モード切替スイッチ84は、ハイブリッドシステムのシステム出力傾向を切り替えるスイッチであり、「SPORT」モードと「ECO」モードとを有する。例えば、モード切替スイッチ84を運転者が「SPORT」モードに切り替えると、例えば、ハイブリッドシステムの制御を行うパワーマネジメント制御回路は、トルク重視の運転となるように、内燃機関および電気モータを制御する。一方、運転者が「ECO」モードに切り替えると、パワーマネジメント制御回路は、極力燃料消費を抑えた運転となるように、内燃機関および電気モータを制御する。なお、モード切替スイッチ84が「SPORT」モードとなっているときには、動力状態表示メータ12に内燃機関の回転速度が表示され(図2を参照)、「ECO」モードとなっているときには、システム出力状態が表示される(図3を参照)。
【0025】
以下、それぞれの表示状態について、図2および図3を用いて説明する。図2に示すように、内燃機関の回転速度を表示する動力状態表示メータ12は、文字24、目盛26、単位記号28を、回転する指針40の先端で指し示すことによって、内燃機関の回転速度の表示を行う。文字24、目盛26および単位記号28は、指針40の回転方向に沿って並ぶようにして表示板20に形成され、表示方向後側から入射される光の表示方向前側への透過により、発光する。文字24は、数字を模った指標であり、数字の「0」〜「5」からなる文字24aと、数字の「6」〜「8」からなる文字24bとからなっている。また、目盛26は、指針40の延伸方向を長手方向とする矩形形状の指標であり、文字24aの外周側に形成される目盛26aと、文字24bの外周側に形成される目盛26bとからなっている。文字24および目盛26に加え、表示板20には、回転速度の単位を示す記号を模った単位記号28が視認上で指針40の回転中心の上方に形成されている。なお、文字24a、目盛26aおよび単位記号28のそれぞれは、表示板20に形成される第一領域31に形成され、文字24bおよび目盛26bは、表示板20に形成される第二領域32に形成されている。第二領域32は、第一領域31に対して指針40の回転方向に並んでいる。本実施形態では、目盛26bのうち内燃機関の回転速度のレッドゾーンに相当する部分は赤色に発光し、文字24a、文字24b、目盛26aおよび目盛26bのレッドゾーン以外の部分は白色に発光する。なお、本実施形態では、レッドゾーン以外の部分は白色に発光するようになっているが、発光色は白色に限らなくともよい。
【0026】
図3に示すように、ハイブリッドシステムのシステム出力状態を表示する動力状態表示メータ12は、文字36および目盛38を、表示板20の表示方向前面に沿って移動する指針40の先端で指し示すことによって、システム出力状態の表示を行う。文字36および目盛38は、指針40の回転方向に沿って並ぶようにして表示板20に形成され、表示方向後側から入射される光の表示方向前側への透過により、発光する。文字36は、ハイブリッドシステムのシステム出力状態を示す指標であり、「CHARGE」、「ECO」、および「POWER」という指標からなっている。文字36のうち「CHARGE」は、文字24aの「0」と「1」との間であって、指針40の回転中心側にずれた位置に形成されている。文字36のうち「ECO」は、文字24aの「2」よりも内側に形成されている。文字36のうち「POWER」は、文字24aの「4」よりも指針40の回転中心側にずれた位置に形成されている。また、目盛38は、指針40の伸長方向を長手方向とする矩形形状の指標である。目盛38は、文字24aの外周側、かつ目盛26aの内周側に形成されているが、上記第二領域32には形成されていない。なお、文字36および目盛38は、表示板20に形成される第三領域33に形成される。本実施形態では、第三領域33は、目盛26aが形成される第一領域31の内周側に形成されている。また、文字24aが形成される第一領域31の内周側には文字36が形成される第三領域33が形成され、文字24aが形成される第一領域31の外周側には目盛38が形成される第三領域33が形成される。また、本実施形態では、目盛38のうち、文字36の「CHARGE」付近が濃い青色に発光し、文字36の「POWER」付近が白色に発光し、文字36の「ECO」付近が薄い青色に発光する。目盛38のうち濃い青色に発光した範囲を指針40が指し示すことにより、動力状態表示メータ12は、車両の走行エネルギーを回収(回生)している状態を表示し、白色に発光した範囲を指針40が指し示すことにより、ハイブリッドシステムが内燃機関からの動力と電気モータからの動力のほとんどを、車両を走行させるための動力として使用していることを表示し、薄い青色に発光した範囲を指針40が指し示すことにより、内燃機関の燃料消費を極力抑えたハイブリッドシステムのシステム出力状態を表示する。本実施形態では、文字36の「ECO」付近の色を薄い青色としたが、緑色としてもよい。
【0027】
スピードメータ14は、車両の走行速度を表示する。図1に示すように、スピードメータ14は、文字102aおよび目盛102bを、回転する指針106の先端で指し示すことによって、車両の走行速度の表示を行う。文字102aおよび目盛102bは、指針106の回転方向に沿って並ぶようにして表示板100に形成され、表示板100の表示方向後側に設けられている光源から放射される光によって発光する。文字102aは、数字を模った指標である。また、目盛102bは、指針106の延伸方向を長手方向とする矩形形状の指標であり、文字102aの外周側に形成されている。文字102aおよび目盛102bに加え、表示板100には、走行速度の単位を示す記号を模った単位記号104が視認上で指針106の回転中心の上方に形成されている。
【0028】
表示パネル16は、車両の走行距離、瞬間燃費、平均燃費、半ドア警告、タイヤ圧警告など車両の状態に関する様々な情報を表示する。表示パネル16は、画面上に任意の画像が表示可能な液晶表示パネルであり、表示パネル16の画面上に車両の状態に関する様々な情報を表示する。
【0029】
次に、コンビネーションメータ10における動力状態表示メータ12の機械的構成について、図4、図5を用いて説明する。
【0030】
図4は、図1のIV−IV線における断面図である。図4に示すように、動力状態表示メータ12は、表示板20、指針40、回路基板44、電気部品、拡散板56、導光体62およびケース74から構成されている。図5は、拡散板の平面図である。
【0031】
表示板20は、例えば光透過性を有するポリカーボネートあるいはアクリルからなる光透過性基板に遮光性を有する遮光印刷層を積層してなっている。表示板20に形成される文字24、目盛26、単位記号28、文字36、および目盛38は、例えば光透過性基板において遮光印刷層の貫通孔から露出する部分からなっており、表示方向後側に設けられるLED48a〜iからの光が表示方向前側へ透過することにより発光する。
【0032】
指針40は、例えば光透過性を有するアクリルなどからなっており、表示板20の表示方向前側に配置されている。指針40の回転軸42は、表示板20の貫通孔39を通じて表示板20の表示方向後側へ延伸しており、後述する回路基板44に実装される電気部品の一つであるステッパーモータ50と連結されている。
【0033】
回路基板44は、例えば紙フェノール系またはガラスエポキシ系などの硬質の基板からなり、両面に所定の銅箔材料からなる配線パターン(図示しない)が形成されている。回路基板44は、表示板20の表示方向後側に表示板20と所定の間隔を空けて配置されている。この回路基板44には、配線パターンと接続された電気部品であるステッパーモータ50、表示パネル16、複数の発光ダイオード(LED)48a〜jおよび制御部54が実装されている。なお、本実施形態で使用する回路基板44は、両面に配線パターンが形成されているものとなっているが、回路基板44の内部に配線パターンを有する四層からなるものを使用することも可能である。
【0034】
ステッパーモータ50は、入力されたパルス電力に同期して回転する回転子と、当該回転子と一体であり、指針40の回転軸42と連結する出力軸52を具備している。ステッパーモータ50の出力軸52は、入力されたパルス電力に応じて、回転すべき方向へ所望の角度まで回転する。このステッパーモータ50は、回路基板44の表示方向後面に実装されて、開口部46を通して出力軸52の先端を表示方向前側に突出させている。
【0035】
表示パネル16は、特定の形状に予め形成された複数のセグメント部ごとに電圧を印加することによって画像を表示する。この表示パネル16は、表示方向後側から入射する光を透過させて画像表示する透過型パネルであって、回路基板44と電気的に接続されている。
【0036】
LED48a〜jは、電気エネルギーを光エネルギーに変換する半導体素子であって、電圧の印加によって光を放射する。これらLED48a〜jは、全て、回路基板44の表示方向前面に実装されている。LED48aは文字24aのうち「1」〜「5」を、LED48bは文字24aのうち「0」を、LED48cは目盛26aを、LED48dは文字24b、目盛26bを、LED48eは単位記号28を、LED48fは文字36のうち「CHARGE」を、LED48gは文字36のうち「POWER」を、LED48hは文字36のうち「ECO」を、LED48iは目盛38を、LED48jは指針40を、照らして、それぞれ発光させるための光源である。
【0037】
図5に示すように、拡散板56は、ポリカーボネートやアクリルなどの樹脂からなる複数の拡散部58a〜iを有する。拡散部58a〜iは、光透過性を有する樹脂中に光を拡散する粒子状の光拡散物としてのシリコンビーズまたはガラスビーズ、および光の色目や光の透過量を調整する顔料(乳白色)などを含んでいる。これらの含有物により拡散部58a〜iは、入射した光を拡散するとともに、拡散部58a〜iの発光輝度の分布を均一化させているのである。
【0038】
具体的には、拡散部58a〜iに含まれるシリコンビーズやガラスビーズにより、それぞれの拡散部58a〜iに入射した光が隅々まで拡散される。しかしこれだけでは、光源と拡散部との距離が近い部分は、遠い部分に比べ比較的輝度が高い状態となり、拡散部表面の発光輝度に分布が発生する。この分布を解消するために、光の透過量を調整する顔料を拡散部58a〜iに含ませている。この光透過量の調整機能により、拡散部58a〜iの発光輝度の分布を均一化させているのである。また、拡散部58a〜iの厚さは、ほぼ同じとなっている。
【0039】
拡散部58aによって拡散された光は文字24aのうち「1」〜「5」に入射するようになっており、拡散部58bによって拡散された光は文字24aのうち「0」に入射するようになっており、拡散部58cによって拡散された光は目盛26aに入射するようになっており、拡散部58dによって拡散された光は文字24bおよび目盛26bに入射するようになっており、拡散部58eによって拡散された光は単位記号28に入射するようになっており、拡散部58fによって拡散された光は文字36のうち「CHARGE」に入射するようになっており、拡散部58gによって拡散された光は文字36のうち「POWER」に入射するようになっており、拡散部58hによって拡散された光は文字36のうち「ECO」に入射するようになっており、拡散部58iによって拡散された光は目盛38に入射するようになっている。
【0040】
拡散板56は、遮光性を持つ黒色樹脂部60を有し、この黒色樹脂部60によって拡散部58a〜iが保持される。黒色樹脂部60もまた、ポリカーボネート、アクリル、エラストマなどの樹脂や、ABS樹脂からなっている。拡散板56は、表示板20の表示方向後面に接するように配置されている。また、この拡散板56は、黒色樹脂部60と拡散部58a〜iとの二色成形によって成形される。拡散部58a〜iは、黒色樹脂部60を挟むようにして互いに接続される。このため、複数の拡散部58a〜iを一つの部品として取り扱うことができ、コンビネーションメータ10の製造が容易となる。
【0041】
導光体62は、例えば光透過性を有するアクリルなどからなっており、拡散板56のさらに表示方向後側に配置されている。アクリルは、樹脂材料の中でも比較的透明度が高い材料であり、ポリカーボネートに比べ透明度が高い。導光体62は、LED48dから放射される光を文字24b、目盛26bまで導くものである。この導光体62は、LED48dに対向して設けられ、LED48dから放射される光を入射する入射面64と、文字24b、目盛26bの形成される第二領域32に対向して設けられる出射面66と、入射面64と出射面66との間の光路途中に設けられる反射面68とを有する。反射面68は、出射面66と対向する位置に設けられている。反射面68の出射面66に対向する側の表面は、入射した光が拡散反射するように凹凸形状となっている。入射面64より入射した光は、出射面66に向う途中に反射面68によって拡散反射される。反射面68によって拡散反射した光は、出射面66より文字24b、目盛26bに向って放射される。
【0042】
ケース74は、第一インナケース76、第二インナケース78およびロアケース80などから構成されている。第一インナケース76は、ポリプロピレンなどの白色の樹脂材料により形成されている。第一インナケース76は、表示方向前側の端部で表示板20および拡散板56を保持し、表示方向後側の端部で回路基板44を保持している。第二インナケース78は、ポリプロピレンなどの樹脂材料により形成されている。第二インナケース78は、回路基板44の表示方向前側に配置され、表示パネル16を保持する。
【0043】
ロアケース80は、ポリプロピレンなどの樹脂材料により形成された有底容器である。ロアケース80は、第一インナケース76の表示方向後側に、固定爪(図示しない)などによって組み付けられている。ロアケース80は、回路基板44などを収容することで、当該回路基板44への表示方向後側からの塵および埃などの付着を防止している。
【0044】
次に、コンビネーションメータ10の電気的構成について、図6を用いて説明する。なお、ここでは、動力状態表示メータ12および表示パネル16の電気的構成について説明する。
【0045】
コンビネーションメータ10は、制御部54、ステッパーモータ50、表示パネル16、LED48a〜j、モード切替スイッチ84などにより電気的に構成されている。また、コンビネーションメータ10には、外部のバッテリ86、リレー88、車載ネットワークであるController Area Network(CAN)90、および接地されたアース配線96が接続されている。
【0046】
制御部54は、プログラムによって作動するマイクロコンピュータからなる。制御部54は、バッテリ86と常に導通している給電系統と、リレー88を介した給電系統とを有し、当該バッテリ86から電力が供給されている。加えて、制御部54は、例えばCAN90などの車載ネットワークに接続されており、当該CAN90に出力された車両に関する情報、具体的には、内燃機関の回転速度、ハイブリッドシステムのシステム出力状態、車両の走行速度、燃料消費量、ドア開閉状態、シートベルト装着状態およびエンジンスイッチ92のON/OFF状態などの情報を取得する。
【0047】
また、制御部54は、ステッパーモータ50、表示パネル16、LED48a〜j、モード切替スイッチ84などに電気的に接続されている。制御部54は、取得した内燃機関の回転速度、またはシステム出力状態に関する情報に基づいて、出力軸52(図4を参照)が回転すべき回転方向、回転角度、回転速度を算出し、算出結果に対応したパルス電力をステッパーモータ50に出力する。また、制御部54は、モード切替スイッチ84の状態、エンジンスイッチ92のON/OFF状態などの情報に基づいて、LED48a〜jへの電圧の印加を制御する。さらに制御部54は、車両の走行速度および内燃機関の燃料消費量によって、累計の走行距離、瞬間燃費、および平均燃費の算出を行う。これら算出値、ドア開閉状態、およびシートベルト装着状態の情報、ならびに表示切替スイッチ(図示しない)の操作状態に基づき、表示パネル16の複数のセグメント部へ印加する電圧を制御する。
【0048】
CAN90上には、電力供給制御回路94が設けられている。電力供給制御回路94は、バッテリ86、エンジンスイッチ92、リレー88およびエンジン制御回路(図示しない)などと接続されている。バッテリ86は、電力供給制御回路94に電力を供給している。電力供給制御回路94は、運転者によるエンジンスイッチ92の押圧操作を検知すると、リレー88にバッテリ86からの電圧を印加して、リレー88を通電状態にする。また、電力供給制御回路94は、検知した運転者によるエンジンスイッチ92の押圧操作に基づいて、車両の起動・停止状態に関する情報をCAN90上に出力する。なお、車両の起動状態とは、車両に設けられたアクセルを運転者が操作することにより、車両を走行させることが可能な状態を意味している。
【0049】
以上の構成によれば、運転者によるエンジンスイッチ92の操作が行われると、電力供給制御回路94が、車両の状態を起動状態とする。このとき電力供給制御回路94は、リレー88に電圧を印加して、バッテリ86と制御部54とを導通させる。同時に、車両起動状態という情報をCAN90上に出力する。制御部54は、車両の状態が起動状態であるという情報を取得した後、CAN90を通じて車両に関する情報の取得を開始する。制御部54は、これらCAN90から取得した情報に基づいて、接続されたステッパーモータ50などの電気部品の制御を行う。
【0050】
具体的には、制御部54は、モード切替スイッチ84が「SPORT」モードとなっていることを示す情報を取得することにより、LED48a〜e、jの点灯と、内燃機関の回転速度に応じた角度へのステッパーモータ50の出力軸52の回転と、を行う。このことにより、動力状態表示メータ12は、内燃機関の回転速度の表示を開始する(図2を参照)。一方、制御部54は、モード切替スイッチ84が「ECO」モードとなっていることを示す情報を取得することにより、LED48f〜jの点灯と、ハイブリッドシステムのシステム出力状態に応じた角度へのステッパーモータ50の出力軸52の回転と、を行う。このことにより、動力状態表示メータ12は、ハイブリッドシステムのシステム出力状態の表示を開始する(図3を参照)。
【0051】
また、エンジンスイッチ92の操作が運転者によって再び行われると、電力供給制御回路94が、車両の状態を停止状態とする。このとき電力供給制御回路94は、リレー88への電圧の印加を中止して、バッテリ86と制御部54との導通を停止させる。同時に、車両の状態が停止状態であるという情報をCAN90上に出力する。制御部54は、車両の状態が停止状態であるという情報を取得した後、LED48a〜jへの電圧の印加を中止するとともに、ステッパーモータ50へ出力軸52が帰零するようなパルス電力を出力する。この制御部54の作動によって、LED48a〜jは光の放射を停止するとともに、ステッパーモータ50は出力軸52を帰零させる。
【0052】
(特徴部分)
以下、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ10、特に動力状態表示メータ12および表示パネル16の特徴部分について説明する。
【0053】
図2に示すように、内燃機関の回転速度を表示させる際に発光する文字24a、目盛26a、および単位記号28は、図2に示すように、扇形を呈する第一領域31に形成されている。そして、文字24bおよび目盛26bは、図2に示すように、第一領域31に対して指針40の回転方向に並んで設けられる扇形を呈する第二領域32に形成されている。本実施形態では、第一領域31は動力状態表示メータ12に向って左側に位置しており、第二領域32は動力状態表示メータ12に向って右側に位置している。
【0054】
図5は、拡散板56の平面図である。なお、この図は、拡散部58a〜iに対する文字24、目盛26、単位記号28、文字36、目盛38の位置、およびLED48a〜iの位置を説明するための図であり、図中、文字24、目盛26、単位記号28、文字36、目盛38を破線で示し、LED48a〜iを一点鎖線で示している。
【0055】
LED48a〜c、eのそれぞれは、第一領域31の文字24a、目盛26a、単位記号28と対向するように回路基板44の表示方向前面に設置され、LED48dは、第二領域32の文字24b、目盛26bの内周側の部分と対向する回路基板44の表示方向前面に設置され、LED48f〜iのそれぞれは、第三領域33の文字36、目盛38と対向するように回路基板44の表示方向前面に設置され、LED48jは指針40の回転軸42側の端部と対向するように回路基板44の表示方向前面に設置されている。
【0056】
LED48a〜jから放射される光の色は全て実質的に同じ色となっている。本実施形態ではLED48a〜jの光の色は、全て白色となっている。文字24a、目盛26a、文字24b、目盛26bのうちレッドゾーン以外の部分は、白色に発光可能となるように、LED48a〜d、eの白色光をそのまま透過できるように透明となっている。目盛26bのうちレッドゾーン部分は、赤色に発光可能となるように、赤色の顔料が含まれている。当該レッドゾーン部分は、赤色に発光可能となればよいので、当該部分に赤色のフィルタを設けるようにしてもよい。文字36は、LED48f、g、hの白色光がそのまま透過できるように透明となっている。目盛38のうち白色に発光する部分は、LED48iの白色光がそのまま透過できるように透明となっている。目盛38のうち濃い青色に発光する部分は、濃い青色に発光可能となるように、濃い青色の顔料が含まれている。そして、目盛38のうち薄い青色に発光する部分は、薄い青色に発光可能となるように、薄い青色の顔料が含まれている。なお、濃い青色、薄い青色に発光する部分は、それぞれ濃い青色、薄い青色に発光すればよいので、当該部分に、濃い青色、薄い青色のフィルタを設けるようにしてもよい。
【0057】
拡散部58aは、第一領域31における文字24aのうち「1」〜「5」と対向する位置に配置されている。拡散部58bは、第一領域31における文字24aのうち「0」と対向する位置に配置されている。拡散部58cは、第一領域31における目盛26aと対向する位置に配置されている。拡散部58a、cは、扇形を呈している。拡散部58cは、拡散部58a、bの外周側に配置されている。拡散部58dは、第二領域32における文字24bおよび目盛26bと対向する位置に配置されている。拡散部58dは、拡散部58a、b、cよりも大きい扇形を呈しており、拡散部58a、cに対して指針40の回転方向に並んで配置されている。拡散部58eは、単位記号28と対向する位置に配置されている。
【0058】
拡散部58fは、文字36のうち「CHARGE」と対向する位置に配置されている。拡散部58gは、文字36のうち「POWER」と対向する位置に配置されている。拡散部58hは、文字36のうち「ECO」と対向する位置に配置されている。拡散部58iは、目盛38と対向する位置に配置されている。拡散部58fは、拡散部58aと拡散部58bとの間に配置され、拡散部58gは、拡散部58aと拡散部58eとの間に配置されている。拡散部58hは、拡散部58fと拡散部58gとの間に配置されている。また、拡散部58iは、拡散部58a、bと、拡散部58cとの間に配置されている。
【0059】
なお、拡散部58a〜c、eのそれぞれは、第一領域31の文字24a、目盛26a、単位記号28の全てを覆っており、拡散部58dは、第二領域32の文字24b、目盛26bの全てを覆っている。また、拡散部58f〜iのそれぞれは、第三領域33の文字36、目盛38の全てを覆っている。
【0060】
導光体62は、表示方向後側の端部に入射面64を有する入射部70と、扇形を呈し、出射面66と反射面68とを有する出射部72とからなっている。入射部70は、LED48dと対向し、表示方向後側に位置している入射面64から表示方向前側に向って延伸しており、表示方向前側の端部が出射部72と光学的に接続されている。出射部72は、入射部70の表示方向前側の端部から表示方向と交差する方向(表示板20に沿う方向)に沿い、かつ表示板20の外周側に向って延伸している。また、入射部70は、出射部72において第二領域32の内周側の部分と対向する部位に接続されている。出射部72の表示方向前面には、出射面66が形成され、表示方向後面には、反射面68が形成されている。出射部72は、表示板20の外周側に向うほど厚さが小さくなっている。出射面66が形成されている面は、表示板20とほぼ平行となっており、反射面68が形成されている面は、外周に向うほど表示板20に近づくように表示板20に対して傾斜している。このように構成された導光体62によれば、LED48dから入射面64を介して入射部70に進入した光は、入射部70内を表示方向前側の端部に向って進み、光学的に接続されている出射部72に入射する。出射部72に入射した光は、表示板20に対して傾斜している反射面68によって拡散反射する。拡散反射した光は、表示方向前側に位置する出射面66に向って進み、出射面66より放射され、第二領域32における文字24b、目盛26bに入射することとなる。このような光路を有する導光体62によれば、LED48dが第二領域32の文字24b、目盛26bの内周側の部分と対向する位置に配置されていたとしても、LED48dから放射された光を文字24b、目盛26bに入射させることができる。
【0061】
図7は、図4のVII−VII線の断面を示している。第一インナケース76は、隣接する光路同士を隔離する隔離部82a〜jを有する。各隔離部82a〜jは、拡散部58a〜iおよび表示板20の貫通孔39の周囲を取り囲むように構成されている。また、これら隔離部82a〜jにおいて、表示方向前側の端部は、拡散板56の黒色樹脂部60、または表示板20の表示方向後面に接しており、表示方向後側の端部は、回路基板44の表示方向前面に接している。隔離部82a〜jが表示板20、拡散板56および回路基板44と接することにより、表示板20、拡散板56および回路基板44が第一インナケース76に保持される。
【0062】
隔離部82dを除く、隔離部82a〜c、e〜jは、拡散板56に対してほぼ垂直に設けられている。これにより、LED48a〜c、e〜iを拡散部58a〜c、e〜iと対向した位置に配置させることが可能となる。このため、LED48a〜c、eは第一領域31における文字24a、目盛26aおよび単位記号28と対向して配置され、LED48f〜iは文字36および目盛38と対向して配置されることとなる。また、隔離部82dは、導光体62の表示方向後面に沿うような形状となっており、導光体62の表示方向後面を覆っている。また、隔離部82a〜jの側壁は、白色となっており、LED48a〜jから放射される光を効率よく文字24a、目盛26a、単位記号28、文字24b、目盛26bおよび指針40に導くことができるようになっている。
【0063】
また、本実施形態では、隔離部82a〜iは、LED48a〜c、eのそれぞれから対応する第一領域31の文字24a、目盛26a、単位記号28までの光路、LED48dから導光体62を介した第二領域32の文字24b、目盛26bまでの光路、LED48f〜iのそれぞれから対応する第三領域33の文字36、目盛38までの光路のそれぞれを隔離する。
【0064】
内外周に隣り合う第一領域31および第三領域33のそれぞれに対向設置されているLED48a〜c、eとLED48f〜iからの光路を隔離部82a〜c、eと隔離部82f〜iとが隔離しているので、第一領域31および第三領域32を互いに近づけてさせながら、第一領域31の文字24a、目盛26a、単位記号28および第三領域33の文字36、目盛38を発光させることができる。
【0065】
また、LED48dから導光体62を介した第二領域32までの光路を隔離部82dが隔離しているので、第一領域31と円周上に回転方向に沿って並ぶ第二領域32と、第一領域31ならびに第三領域33とを互いに近づけさせながら、第二領域32の文字24b、目盛26bを発光させることができる。
【0066】
このような光路の隔離機能を有する隔離部82a〜iが表示板20の表示方向後側に設けられているため、LED48a〜e、とLED48f〜iとを選択的に発光させることにより、第一、第二領域31、32の文字24a、目盛26a、単位記号28、文字24b、目盛26bと、文字36、目盛38とを選択的に発光させることができる。また、このような光路の隔離機能を有する隔離部82a〜iによれば、第一領域31、第二領域32、および第三領域33を互いに接近させることができる。このため、第一領域31、第二領域32の文字24a、目盛26aや、第三領域33の文字36、目盛38を一つの指針40で指示させることができる。
【0067】
また、拡散部58a〜iは黒色樹脂部60を挟むようにして互いに接続されているため、拡散部58a〜iに入射した光は、それぞれ他の拡散部58a〜iに進入することなく、対応する領域31、32、33に向かって出射される。拡散部58a〜iがこのような構造となっているため、確実に第一、第二領域31、32の文字24a、目盛26a、単位記号28、文字24b、目盛26b、または第三領域33の文字36、目盛38を選択的に発光させることができる。
【0068】
ここまで説明した一実施形態のコンビネーションメータ10では、モード切替スイッチ84が「SPORT」モードに操作され、LED48a〜e、jが点灯する場合、第一領域31における文字24a、目盛26a、単位記号28は、LED48a〜c、eから放射される光によって発光する。特に、この実施形態では、LED48a〜c、eのそれぞれと第一領域31との間に、拡散部58a〜c、eが設けられるため、第一領域31における文字24a、目盛26a、単位記号28には、拡散部58a〜c、eによって拡散された光が入射することとなる。このように拡散部58a〜c、eが設けられることによれば、LED48a〜c、eが第一領域31の文字24a、目盛26a、単位記号28に対して対向配置され、LED48a〜c、eから放射される光によって当該文字24a、目盛26a、単位記号28が照明されるような照明構造となっていても、当該文字24a、目盛26a、単位記号28の発光輝度ムラの発生を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、表示板20において第二領域32の内周側の部分と対向する位置に設けられるLED48dから放射され、LED48dと第二領域32との間に設けられる導光体62によって導かれた光によって、第二領域32における文字24b、目盛26bは、発光する。また、この導光体62は、LED48dからの光を出射面66に向けて拡散反射させる反射面68を有しているため、この反射面68によって拡散反射された光が第二領域32における文字24b、目盛26bに入射されることとなる。このようにLED48dと第二領域32との間に反射面68を有する導光体62が設けられ、導光体62によって導かれた光によって第二領域32の文字24b、目盛26bを照明する照明構造によれば、当該文字24b、目盛26bの発光輝度ムラの発生を抑制することができる。
【0070】
以上説明したように、文字24a、文字24b、目盛26a、目盛26b、単位記号28が異なる照明構造で発光するようになっていても、第一領域31の文字24a、目盛26a、単位記号28、および第二領域32の文字24b、目盛26bの発光輝度ムラの発生を抑制することができる。また、本実施形態によれば、LED48f〜iから放射され、拡散部58f〜iに入射し拡散された光は、第三領域33の文字36、目盛38に入射することとなるため、当該文字36、目盛38の発光輝度ムラの発生を抑制することができる。
【0071】
ここで、本実施形態では、図4に示すように、表示パネル16の一部は、第二領域32の表示方向後側に形成されている。このように当該収容空間73に表示パネル16の一部が収容されていると、第二領域32と対向する位置にLED48dを設けることができなくなることが懸念される。
【0072】
そこで、本実施形態では、LED48dからの入射光を第二領域32に導くとともに、第二領域32の表示方向後側に収容空間73を形成する導光体62を、第二領域32とLED48dとの間に設けている。このような導光体62によれば、LED48dを第二領域32と対向する位置に設けずとも、LED48dによって第二領域32を照明することができ、しかも第二領域32の表示方向後側に上記収容空間73を形成させることができる。
【0073】
このような導光体62を採用することによれば、LED48dによる第二領域32の照明を可能としつつ、第二領域32の表示方向後側に表示パネル16の一部を設置させることが可能となる。その結果、動力状態表示メータ12と表示パネル16とが、表示板20の表示方向と交差する方向に沿って互いに重なることとなり、これら両部品12、16を表示方向前側から見ると、表示パネル16が動力状態表示メータ12に対して非常に接近して設置されているように見える。
【0074】
以上説明したように、この実施形態によれば、発光する二つの指標(第一領域31、第二領域32の文字24a、b、目盛26a、bと、第三領域33の文字36、目盛38)のいずれかを一つの指針40で指示させることにより、二つの異なる車両状態(内燃機関の回転速度の状態と、ハイブリッドシステムのシステム出力状態)を表示する動力状態表示メータ12に対して、表示パネル16を極力近づけて設置させられるコンビネーションメータ10を提供することができる。
【0075】
この導光体62は、上述したように、LED48dと対向し、表示方向後側に位置している入射面64から表示方向前側に向かって延伸する入射部70と、入射部70の表示方向前側の端部と光学的に接続し、表示板20に沿う方向に延伸する出射部72とからなっている。このような導光体62であれば、入射部70の入射面64から出射部72との接続部までの長さ分の高さを有した収容空間73を出射部72の表示方向後側に確保することができる。
【0076】
このような導光体62を採用することによれば、LED48dを第二領域32の表示方向後側に設けなくとも、LED48dから放射される光を第二領域32の文字24b、目盛26bに入射させることができる。このような導光体62によれば、説明したように出射部72の表示方向後側、つまり第二領域32の表示方向後側に収容空間73が形成されることとなるため、この空間73に表示パネル16の一部を収容させることができる。このことより、表示パネル16と動力状態表示メータ12とは、表示板20の表示方向と交差する方向、つまり表示板20の表面に沿った方向で重なることとなるため、これらを表示方向前側から見ると、表示パネル16が動力状態表示メータ12に対して非常に接近して設置されているように見える。
【0077】
また、本実施形態では、LED48dは、表示板20において第二領域32の内周側の部分と対向する位置に設けられ、収容空間73は第二領域32の外周側に向かって開放している。
【0078】
このように、LED48dが表示板20において第二領域32の内周側の部分と対向する位置に設けられていると、LED48dから導光体62を介した第二領域32までの光路が第二領域32の外周側に設定されることを避けることができ、当該メータ12の外周側に向かって開放した収容空間73を第二領域32の表示方向後側に確実に形成させることが可能となる。このように第二領域32の外周側に向かって開放している収容空間73によれば、表示パネル16の一部を第二領域32の外周側から挿入させることが可能となり、当該メータ12と表示パネル16とを極力近づけて設置させるという設置関係を確実に実現することができる。
【0079】
また、本実施形態では、導光体62において出射部72は、第二領域32と対向するように表示板20に沿って延伸しており、かつLED48dから表示方向前側に向かって延伸された入射部70の表示方向前側の端部と光学的に接続されており、収容空間73は、出射部72の表示方向後側に形成されている。このため、表示パネル16の一部を第二領域32の表示方向後側に収容させることができる。それに加え、この収容空間37は、入射部70の側方に形成されているため、入射部70の長さを有した収容空間73を形成することが可能となる。このことによれば、入射部70の長さを調整することにより、収容空間73の表示方向に沿った長さを自由に調整することができる。
【0080】
また、本実施形態では、入射部70は、出射部72において第二領域32の内周側の部分と対向する部位に光学的に接続されている。この構成によれば、入射部70と出射部72との接続場所を第二領域32の外周側から遠ざけることができる。よって、出射部72の表示方向後側に形成されることとなる収容空間73において表示板20に沿った方向の長さをより長く確保することができる。このような構成によれば、収容空間73において表示方向に沿った長さを確保することができるので、収容空間73に表示パネル16を第二領域32のが外周側から表示方向に沿った方向で挿入する際、表示パネル16を第二領域32の内周側により深く挿入させることが可能となり、当該メータ12と表示パネル16とをさらに近づけて設置させることが可能となる。
【0081】
なお、本実施形態の動力状態表示メータ12が特許請求の範囲に記載の「指針計器」に相当し、LED48a〜c、eが特許請求の範囲に記載の「第一光源」に相当し、LED48dが特許請求の範囲に記載の「第二光源」に相当し、LED48f〜iが特許請求の範囲に記載の「第三光源」に相当する。また、本実施形態の第一インナケース76が特許請求の範囲に記載の「隔離部材」に相当する。
【0082】
本実施形態では、図3に示すように、動力状態表示メータ12にハイブリッドシステムのシステム出力状態を表示させるとき、目盛26aの発光を行わないようにしているが、この状態のときであっても、内燃機関の回転速度表示状態に引き続き目盛26aを発光させるようにしてもよい。つまり、目盛26aは、動力状態表示メータ12の表示内容に係わらず発光する。このような場合、特に、第一領域31のうち、文字24aおよび単位記号28が形成されている領域は、特許請求の範囲に記載の「第一領域」と「第三領域」を兼ねることとなり、LED48cが特許請求の範囲に記載の「第一光源」と「第三光源」とを兼ねることとなる。
【0083】
(その他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明した。本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0084】
先の実施形態では、第三領域33の文字36を第一領域31の文字24aの内周に配置させ、第三領域33の目盛38を第一領域31の文字24aと目盛26aとの間に配置させているが、第三領域33の文字36、目盛38の配置位置は、例えば、第一領域31の文字24aおよび目盛26aの外周側に配置させてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 コンビネーションメータ(車両用表示装置)、12 動力状態表示メータ(指針計器)、14 スピードメータ、16 車両情報表示パネル(表示パネル)、20 表示板、24 文字、26 目盛、28 単位記号、31 第一領域、32 第二領域、33 第三領域、36 文字、38 目盛、39 貫通孔、40 指針、44 回路基板、48a LED(第一光源)、48b LED(第一光源)、48c LED(第一光源)、48d LED(第二光源)、48e LED(第一光源)、48f LED(第三光源)、48g LED(第三光源)、48h LED(第三光源)、48i LED(第三光源)、48j LED、50 ステッパーモータ、54 制御部、56 拡散板、58a〜i 拡散部、60 黒色樹脂部、62 導光体、、64 入射面、66 出射面、68 反射面、70 入射部、72 出射部、73 収容空間、74 ケース、76 第一インナケース(隔離部材)、84 モード切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針の回転方向に沿って並んで光の透過により発光する指標がそれぞれ形成される第一領域、第二領域および第三領域を有し、前記第二領域が前記第一領域に対して円周上に前記回転方向に沿って並び、前記第三領域が前記第一領域の内外周に隣り合うようにして並ぶ表示板、
前記表示板の表示方向後側において前記第一領域と対向する位置に設けられ、前記第一領域を照明する第一光源、
前記表示板の表示方向後側に設けられ、前記第二領域を照明する第二光源、
前記表示板の表示方向後側において前記第三領域と対向する位置に設けられ、前記第三領域を照明する第三光源、
前記第二領域と前記第二光源との間に設けられ、前記第二光源からの入射光を導き、前記第二領域に向けて出射する導光体であって、表示方向後側に収容空間を形成する導光体、および
前記表示板の表示方向後側に設けられ、前記第一光源から前記第一領域までの光路、前記第二光源から前記導光体を介した前記第二領域までの光路、および前記第三光源から前記第三領域までの光路のそれぞれを互いに隔離する隔離部材を備え、
前記第一光源および前記第二光源が発光することにより、前記第一領域および前記第二領域のそれぞれの指標が発光する状態で、前記第一領域および前記第二領域のそれぞれの指標を前記指針が指示することにより第一の車両状態を表示し、前記第三光源が発光することにより、前記第三領域の指標が発光する状態で、前記第三領域の指標を前記指針が指示することにより前記第一の車両状態と異なる第二の車両状態を表示する指針計器と、
画面上に車両状態を表示する表示パネルであって、前記第二領域の表示方向後側において前記収容空間に少なくとも一部が収容され、前記表示板の表示方向と交差する方向に沿って前記表示板と重なっている表示パネルと、を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第二光源は、前記表示板において前記第二領域の内周側の部分と対向する位置に設置され、前記収容空間が前記第二領域の外周側に向かって開放していることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記導光体は、前記第二光源から表示方向前側に向かって延伸され、前記第二光源から放射される光を入射する入射部と、前記入射部の表示方向前側の端部に光学的に接続され、前記第二領域と対向するように前記表示板に沿って延伸しており、、前記表示板の前記第二領域に向けて前記入射部からの光を出射する出射する出射部と、を備えており、
前記収容空間は、前記出射部の前記表示方向後側、かつ前記入射部の側方に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記入射部は、前記出射部において前記第二領域の内周側の部分と対向する部位に光学的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−137314(P2012−137314A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288018(P2010−288018)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】