説明

車両用送風装置

【課題】オゾン発生器の性能の劣化を防止した車両用送風装置を提供する。
【解決手段】本発明の車両用送風装置1は、内部に送風路24を有するユニット本体10と、このユニット本体10内に設けられて送風路24の一側の空気取入口20から内部に空気を取り込むと共にユニット本体10の外方へ空気を送り出すブロアと、前記空気取入口20とブロアとの間の送風路24内に配置されて取り込んだ空気を濾過するフィルタ12と、を備え、前記送風路24内の前記フィルタ12より前記空気取入口20側に、取り込んだ空気を清浄化する空気清浄装置13を配置し、前記空気清浄装置13は、オゾン発生器30と、このオゾン発生器30の空気流れの上流側の前記空気取入口20側に設けられてオゾン発生器30の空気流れの上流側からの空気の流れの向きを変化させると共にオゾン発生器30を保護する偏向保護板31とで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の空気を清浄する車両用送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車室内の空気を清浄する装置として、例えば、特開平10−138753号公報(特許文献1)に記載された車両用空気清浄装置が提案されている。この車両用空気清浄装置は、オゾン発生器と活性炭フィルタにより煙草臭気の脱臭を図っている。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された車両用空気清浄装置の構成を示す図である。図12に示すように、車両用空気清浄装置100は、車両用の空調ダクト101内でオゾンを発生するオゾン発生器102と、オゾン発生器102で発生したオゾンを拡散する拡散器103と、活性炭により空気中の臭成分を吸着する活性炭フィルタ104と、ヒータ等の熱交換機105とから略構成されている。
【0004】
空調ダクト101内の空気は矢印X方向から矢印Y方向へ流れ、オゾン発生器102により空気中の酸素を酸化させてオゾンを発生する。そして発生したオゾンは、オゾン発生器102の下流側(矢印Y方向側)に設けられた拡散器103により矢印Z及びZ方向等に分散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−138753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の車両用空気清浄装置100では、オゾン発生器102が空調ダクト101内の上流側(図12の矢印X側)に設けられているので、空気中の水滴等がオゾン発生器102に直接当り、オゾン発生器102の性能が劣化するという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、オゾン発生器の性能の劣化を防止した車両用送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、内部に送風路を有するユニット本体と、このユニット本体内に設けられて送風路の一側の空気取入口から内部に空気を取り込むと共にユニット本体の外方へ空気を送り出すブロアと、前記空気取入口とブロアとの間の送風路内に配置されて取り込んだ空気を濾過するフィルタと、を備えた車両用送風装置であって、前記送風路内の前記フィルタより前記空気取入口側に、取り込んだ空気を清浄化する空気清浄装置を配置し、前記空気清浄装置は、オゾン発生器と、このオゾン発生器の空気流れの上流側の前記空気取入口側に設けられてオゾン発生器の空気流れの上流側からの空気の流れの向きを変化させると共にオゾン発生器を保護する偏向保護板とで形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用送風装置であって、前記偏向保護板は、オゾン発生器に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用送風装置であって、前記偏向保護板は、オゾン発生器の空気流れの上流側の流速が速い位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用送風装置であって、前記空気清浄装置は、前記オゾン発生器が前記フィルタの前記空気取入口側の面に対向して配置され、前記偏向保護板が前記フィルタに支持されると共に、前記オゾン発生器を支持して前記フィルタと一体に形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用送風装置であって、前記オゾン発生器は、正負の電極と、これらの電極を支持する支持体と、これらの電極に通電するハーネスとで形成され、前記本体ユニットには前記フィルタを装着するフィルタ装着部が設けられ、前記フィルタ装着部への前記フィルタ装着により前記ハーネス端末のコネクタが外部の電源と接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、オゾン発生器の空気の流れ方向の上流側の空気取入口側に偏向保護板を設けることにより、空気取入口から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器に直接当ることがない。従って、オゾン発生器の性能の劣化を防止することができる。
【0014】
また、空気取入口から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器に直接当ることがないため、オゾン発生器の性能の劣化を防止することにより、オゾン発生器から発生するオゾン量を確保することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、偏向保護板は、オゾン発生器に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されている。このため、偏向保護板周囲の風流れは乱されるため、オゾン発生器で発生したオゾンを拡散することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、偏向保護板は、オゾン発生器の空気流れの上流側の流速が速い位置に配置されている。このため、オゾン発生器により効率的にオゾンを発生することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、空気清浄装置がフィルタと一体に形成されているため、オゾン発生器と一体でユニット本体に着脱可能にすることができる。
【0018】
また、空気清浄装置がフィルタと一体に形成されているため、オゾン発生器が付いていない車両用空調装置にも簡単にオゾン発生器を搭載することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、フィルタ装着部へのフィルタ装着により、オゾン発生器のハーネス端末のコネクタが外部の電源と接続する。このため、空気清浄装置やオゾン発生器の取り付け工数の削減を図ることにより、取り付け作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置のコネクタを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置のオゾン発生器の配置について説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る車両用送風装置の斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る車両用送風装置のフィルタカバーを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る車両用送付装置のフィルタを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る車両用送風装置のオゾン発生器を示す斜視図である。
【図12】従来における車両用空気清浄装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。はじめに、図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の側面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置のコネクタを示す斜視図である。
【0023】
本発明の車両用送風装置は、冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器等を有する空調ユニット(図示省略)と共に、車室内に空気を吹き出す車両用空調装置(図示省略)として構成されている。
【0024】
図1から図3に示すように、車両用送風装置(ブロアユニット)1は、内部に車室内の空気が流れるユニット本体10と、ユニット本体10内に空気を取り込むブロア(図示省略)と、取り込んだ空気を濾過するフィルタ12と、取り込んだ空気を清浄化する空気清浄装置13とから略構成されている。
【0025】
ユニット本体10は、車室内の空気を取り込む空気取入口20と、フィルタ12を装着するフィルタ装着部21と、取り込まれた空気を空調ユニット(図示省略)へ送る送風口22と、ブロア(図示省略)が収容されるブロア収容部23と、ユニット本体10内部に設けられて取り込まれた空気が流れる送風路24とを備えている。
【0026】
空気取入口20は、送風路24の一側(送風口22と異なる位置)に設けられている。この空気取入口20は、ブロア(図示省略)が駆動することにより、ユニット本体10の内部に車室内の空気を取り込む取入口となる。
【0027】
フィルタ装着部21は、フィルタ12を装置する際、ユニット本体10に設けられた開口部材(図示省略)を開くことによりユニット本体10の外部に開口する装着開口26と、ユニット本体10の内部にフィルタ12を収納する収納部27とを備えている。
【0028】
送風口22は、送風路24の他側(空気取入口20と異なる位置)に設けられて空調ユニット(図示省略)と連通している。この送風口22は、ブロア(図示省略)が駆動することにより、ユニット本体10から空気を空調ユニットへ送風する送風口となる。
【0029】
ブロア収容部23は、ブロア(図示省略)を構成するファン(図示省略)が収容されており、このファンが空気取入口20から取り込んだ空気を送風口22へ送り出す。
【0030】
送風路24は、一側に空気取入口20が設けられ、他側に送風口22が設けられている。空気取入口20から取り込まれた車室内の空気は、送風路24を通過し、送風口22から空調ユニット(図示省略)へ送風される。
【0031】
ブロア(図示省略)は、モータ駆動により空気取入口20からユニット本体10の内部に車室内の空気を取り込むと共に、送風口22からユニット本体10の外方(空調ユニット)へ空気を送り出す。
【0032】
フィルタ12は、板状の形状を有しており、空気取入口20から取り込んだ空気の埃や塵等を濾過するフィルタである。このフィルタ12は、フィルタ装着部21の装着開口26に装着することにより、空気取入口20とブロア(図示省略)との間の送風路24内に配置される。
【0033】
空気清浄装置13は、空気取入口20から取り込んだ空気を浄化する装置である。この空気清浄装置13は、送風路24内であってフィルタ12より空気取入口20側に配置されている。
【0034】
次に、図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置に設けられた空気清浄装置13について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す斜視図である。
【0035】
図4に示すように、空気清浄装置13は、送風路24に取り込んだ空気からオゾンを発生させるオゾン発生器30と、オゾン発生器30の空気の流れ方向の上流側の空気取入口20(図1及び図3参照)側に設けられた偏向保護板31とから略構成されている。
【0036】
オゾン発生器30は、針状の+電極(正電極、放電針)32と、U字状の−電極(負電極)33と、+電極32と−電極33とを支持する支持体34と、+電極32と−電極33に通電するハーネス35とから構成されている。
【0037】
ハーネス35は、ユニット本体10に設けられて外部の電源(図示省略)と接続されるコネクタ(ハーネス端末のコネクタ)28と接続することにより(図3参照)、+電極32と−電極33に高電圧を印加して空気中の酸素を酸化させることによりオゾンを発生する。
【0038】
偏向保護板31は、板状の形状を有しており、オゾン発生器30と一体化してオゾン発生器30に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されている。このため、オゾン発生器30の空気流れの上流側からの空気の流れの向きを変化させると共に、オゾン発生器30を保護する。
【0039】
このように、オゾン発生器30の空気の流れ方向の上流側の空気取入口20(図1及び図3参照)側に偏向保護板31を設けることにより、空気取入口20から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器30に直接当ることがない。従って、オゾン発生器30の性能の劣化を防止することができる。
【0040】
また、空気取入口20から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器30に直接当ることがないため、オゾン発生器30の性能の劣化を防止することにより、オゾン発生器30から発生するオゾン量を確保することができる。
【0041】
次に、図5から図8を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置1のオゾン発生器30の配置について説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置のオゾン発生器の配置について説明するための図である。
【0042】
また、図6(a)は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す上面図である。図6(b)は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す正面図である。図6(c)は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す側面図である。図7は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置の空気清浄装置を示す斜視図である。
【0043】
ユニット本体10内に空気清浄装置13のオゾン発生器30は、図5に示すAに配置することが理想的である。なぜなら、図5に示すA付近は、空気取入口20から取り込んだ空気の流速が速いため、オゾン発生器30により効率的にオゾンを発生することができる。
【0044】
また、空気清浄装置13のオゾン発生器30を図5に示すAに配置することにより、オゾン発生器30からフィルタ12までの距離を確保することができるため、オゾン発生器30で発生したオゾンを拡散することができる。
【0045】
しかしながら、空気清浄装置13のオゾン発生器30を図5に示すAに配置すると、オゾン発生器30の電極(+電極32、−電極33、図7参照)に水滴等が付着した場合、ショートする可能性がある。
【0046】
また、オゾン発生器30がフィルタ12よりも空気取入口20側に配置されているため、空気中の水滴等がオゾン発生器30に直接当り、オゾン発生器30が発生するオゾンの濃度が薄まるという問題が発生する。
【0047】
そこで、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置1は、図5に示すように、オゾン発生器30の電極(+電極32、−電極33、図7参照)から見て、空気流れの上流側の流速が速い位置に、空気流れに対して略直角になるように偏向保護板31を配置した。
【0048】
つまり、図6(a)に示すように、フィルタ12と空気清浄装置13とをユニット本体10内部へ矢印B方向に装着すると、図6(b)に示すように、偏向保護板31は、オゾン発生器30に向けて流れる空気の流れ(図6(b)の矢印C方向)に対して相対的に交差する向き(略直角)に配置される。
【0049】
偏向保護板31は、図6及び図7に示すように、偏向保護板31をオゾン発生器30に向けて流れる空気の流れ(図6(b)の矢印B方向)に対して相対的に交差する向きに支持するための板支持部材36によってフィルタ12に対して所定角度傾斜して支持される。
【0050】
このように、空気流れに対して略直角になるように偏向保護板31を配置したため、偏向保護板31の周囲の空気流れは偏向保護板31によって乱されるため、オゾン発生器30で発生したオゾンを拡散することができる。
【0051】
また、偏向保護板31の下流側に空気流れは渦を巻くことにより流速が遅くなる。従って、流速が遅くなることによりオゾン発生器30で発生するオゾンの濃度は高くなり、臭気の分解効果が向上する。
【0052】
これにより、空気清浄装置13のオゾン発生器30を図5に示すAに配置した場合と同様のオゾンの拡散効果が得られることになる。
【0053】
そして、偏向保護板31は、オゾン発生器30に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されているため、偏向保護板31周囲の風流れは乱され、オゾン発生器30で発生したオゾンを拡散することができる。
【0054】
次に、図8から図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る車両用送風装置について説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る車両用送風装置の斜視図である。図9は、本発明の第2実施形態に係る車両用送風装置のフィルタカバーを示す斜視図である。
【0055】
また、図10は、本発明の実施形態に係る車両用送付装置のフィルタを示す斜視図である。図11は、本発明の実施形態に係る車両用送風装置のオゾン発生器を示す斜視図である。
【0056】
なお、第2実施形態に係る車両用送風装置は、本発明の第1実施形態に係る車両用送風装置1と略同様の構成等を有するため、同様の構成に関しては、説明を省略するものとする。また、第1実施形態に係る車両用送風装置1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0057】
図8に示すように、車両用送風装置(ブロアユニット)50は、内部に車室内の空気が流れるユニット本体60と、ユニット本体60内に空気を取り込むブロア(図示省略)と、取り込んだ空気を濾過するフィルタ62と、取り込んだ空気を清浄化する空気清浄装置63とから略構成されている。
【0058】
ユニット本体60は、車室内の空気を取り込む空気取入口20と、フィルタ62を装着するフィルタ装着部71と、取り込まれた空気を空調ユニット(図示省略)へ送る送風口22と、ブロア(図示省略)が収容されるブロア収容部23と、ユニット本体60内部に設けられて取り込まれた空気が流れる送風路24とを備えている。
【0059】
空気清浄装置63は、送風路24に取り込んだ空気からオゾンを発生させるオゾン発生器30と、オゾン発生器30の空気の流れ方向の上流側の空気取入口20側に設けられた偏向保護板31とから略構成されている。
【0060】
図8に示すように、本発明の第2実施形態に係る車両用送風装置50は、フィルタ62と空気清浄装置63とが一体に形成され、オゾン発生器30がフィルタ62の空気取入口20側の面に対向して配置されている。
【0061】
また、偏向保護板31がフィルタ62に支持されると共に、オゾン発生器30を支持して一体に形成されている。そして、フィルタ62を後で図9を参照して説明するフィルタ装着部71に装着することにより、空気清浄装置63は送風路24内に配置される。
【0062】
このように、空気清浄装置63がフィルタ62と一体に形成されているため、オゾン発生器30と一体でフィルタ装着部71の収納部77に着脱可能することができる。
【0063】
また、空気清浄装置63がフィルタ62と一体に形成されているため、オゾン発生器30が付いていない車両用空調装置(図示省略)にも簡単にオゾン発生器を搭載することができる。
【0064】
図9に示すように、フィルタ装着部71は、フィルタ62を装置する際、ユニット本体60に設けられたフィルタカバー75を開くことによりユニット本体60の外部に開口する装着開口76と、ユニット本体60の内部にフィルタ62と空気清浄装置63とを収納する収納部77とを備えている。
【0065】
フィルタカバー75は、板状に形成されており、一側がユニット本体60に対して開閉可能に軸支されている。そのため、フィルタカバー75を開閉することにより、フィルタ62と空気清浄装置63(図8参照)とを一体にフィルタ装着部71に着脱することが可能な構成となっている。
【0066】
また、フィルタカバー75は、ユニット本体10の外側に電源部78が設けられており、フィルタ62と空気清浄装置63とを一体にフィルタ装着部71に装着し、フィルタカバー75を閉じることにより、ハーネス端末のコネクタ28が電源側コネクタ79と接続する。
【0067】
このように、フィルタ62のフィルタ装着部71への装着により、オゾン発生器30のハーネス35端末のコネクタ28が外部の電源部78と接続する。このため、空気清浄装置63やオゾン発生器30の取り付け工数の削減を図ることにより、取り付け作業性を向上することができる。
【0068】
また、フィルタカバー75を開閉することにより、フィルタ62と空気清浄装置63とを着脱することができるため、メンテナンス性を向上することが可能となり、サービス性の向上を図ることができる。
【0069】
図10及び図11に示すように、オゾン発生器30は、針状の+電極(正電極、放電針)32と、U字状の−電極(負電極)33と、+電極32と−電極33とを支持する支持体34と、+電極32と−電極33に通電するハーネス35とから構成されている。
【0070】
ハーネス35は、ユニット本体10のフィルタカバー75に設けられた電源部78と接続されるコネクタ(ハーネス端末のコネクタ)26と接続することにより、+電極32と−電極33に高電圧を印加して空気中の酸素を酸化させることによりオゾンを発生する。
【0071】
偏向保護板31は、板状の形状を有しており、オゾン発生器30と一体化してオゾン発生器30に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されている。このため、オゾン発生器30の空気流れの上流側からの空気の流れの向きを変化させると共に、オゾン発生器3を保護する。
【0072】
なお、図5から図7を参照して説明した第1実施形態と同様に、オゾン発生器30の電極(+電極32、−電極33)から見て、空気流れの上流側の流速が速い位置に、空気流れに対して略直角になるように偏向保護板31を配置する(図5から図7参照)。
【0073】
つまり、図10に示すように、偏向保護板31をオゾン発生器30に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに支持するために、一側支持体34a、他側支持体34b(支持体34)と、板支持部材36とによって、偏向保護板31をフィルタ62に対して所定角度傾斜して支持する。
【0074】
このように、オゾン発生器30の空気の流れ方向の上流側の空気取入口20(図8参照)側に偏向保護板31を設けることにより、空気取入口20から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器30に直接当ることがない。従って、オゾン発生器30の性能の劣化を防止することができる。
【0075】
また、空気取入口20から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器30に直接当ることがないため、オゾン発生器30の性能の劣化を防止することにより、オゾン発生器30から発生するオゾン量を確保することができる。
【0076】
このようにして、本発明の実施形態に係る車両用送風装置1、50は、内部に送風路24を有するユニット本体10、60と、このユニット本体10、60内に設けられて送風路24の一側の空気取入口20から内部に空気を取り込むと共にユニット本体10、60の外方へ空気を送り出すブロア(図示省略)と、空気取入口20とブロアとの間の送風路24内に配置されて取り込んだ空気を濾過するフィルタ12、62と、を備えた車両用送風装置1、50であって、送風路24内のフィルタ12、62より空気取入口20側に、取り込んだ空気を清浄化する空気清浄装置13、63を配置し、空気清浄装置13、63は、送風路24に取り込んだ空気からオゾンを発生させるオゾン発生器30と、このオゾン発生器30の空気流れの上流側の空気取入口20側に設けられてオゾン発生器30の空気流れの上流側からの空気の流れの向きを変化させると共にオゾン発生器30を保護する偏向保護板31とで形成されている。
【0077】
また、本発明の実施形態に係る車両用送風装置50は、ユニット本体60にはフィルタ62を装置する装着開口76を有するフィルタ装着部71が設けられ、空気清浄装置63は、オゾン発生器30がフィルタ62の空気取入口20側の面に対向して配置され、偏向保護板31がフィルタ62に支持されると共に、オゾン発生器30を支持してフィルタ62と一体に形成され、フィルタ62のフィルタ装着部71への装着により送風路24内に配置される。
【0078】
さらに、本発明の実施形態に係る車両用送風装置50は、オゾン発生器30が正負の電極(+電極32、−電極33)と、これらの電極(+電極32、−電極33)を支持する支持体34と、これらの電極(+電極32、−電極33)に通電するハーネス35とで形成され、フィルタ62のフィルタ装着部71への装着によりハーネス端末のコネクタ28が外部の電源(電源部)78と接続される。
【0079】
また、本発明の実施形態に係る車両用送風装置1、50は、偏向保護板31は、オゾン発生器30に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されている。
【0080】
そして、本発明の実施形態に係る車両用送風装置1、50によれば、オゾン発生器30の空気の流れ方向の上流側の空気取入口20(図1及び図3参照)側に偏向保護板31を設けることにより、空気取入口20から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器30に直接当ることがない。従って、オゾン発生器30の性能の劣化を防止することができる。
【0081】
また、空気取入口20から取り込んだ空気中の水滴等がオゾン発生器30に直接当ることがないため、オゾン発生器30の性能の劣化を防止することにより、オゾン発生器30から発生するオゾン量を確保することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態に係る車両用送風装置50によれば、空気清浄装置63がフィルタ62と一体に形成されているため、オゾン発生器30と一体でフィルタ装着部71の収納部77に着脱可能することができる。
【0083】
また、空気清浄装置63がフィルタ62と一体に形成されているため、オゾン発生器30が付いていない車両用空調装置(図示省略)にも簡単にオゾン発生器を搭載することができる。
【0084】
さらに、本発明の実施形態に係る車両用送風装置50によれば、フィルタ62のフィルタ装着部71への装着により、オゾン発生器30のハーネス35端末のコネクタ28が外部の電源部78と接続する。このため、空気清浄装置63やオゾン発生器30の取り付け工数の削減を図ることにより、取り付け作業性を向上することができる。
【0085】
また、フィルタカバー75を開閉することにより、フィルタ62と空気清浄装置63とを着脱することができるため、メンテナンス性を向上することが可能となり、サービス性の向上を図ることができる。
【0086】
また、本発明の実施形態に係る車両用送風装置1、50によれば、偏向保護板31は、オゾン発生器30に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されている。このため、偏向保護板31周囲の風流れは乱されるため、オゾン発生器30で発生したオゾンを拡散することができる。
【0087】
以上、本発明の車両用送風装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0088】
例えば、上述した本発明の実施形態では、車両用送風装置1は1つのオゾン発生器30を図示してオゾンを発生する場合について説明したが、車両用送風装置は複数のオゾン発生器によりオゾンを発生するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、車室内の空気を清浄する車両用送風装置に関し、空気中の水滴等がオゾン発生器に直接当り、オゾン発生器の性能が劣化することを防止する上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 車両用送風装置(第1実施形態)
10 ユニット本体(第1実施形態)
12 フィルタ(第1実施形態)
13 空気清浄装置(第1実施形態)
20 空気取入口
21 フィルタ装着部(第1実施形態)
22 送風口
23 ブロア収容部
24 送風路
25 開口部材(第1実施形態)
26 装着開口(第1実施形態)
27 収納部(第1実施形態)
28 コネクタ
30 オゾン発生装置
31 偏向保護板
32 +電極
33 −電極
34 支持体
35 ハーネス
36 板支持部材
50 車両用送風装置(第2実施形態)
60 ユニット本体(第2実施形態)
62 フィルタ(第2実施形態)
63 空気清浄装置(第2実施形態)
71 フィルタ装着部(第2実施形態)
75 フィルタカバー(第2実施形態)
76 装着開口(第2実施形態)
77 収納部(第2実施形態)
78 電源部(第2実施形態)
79 電源側コネクタ(第2実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に送風路を有するユニット本体と、このユニット本体内に設けられて送風路の一側の空気取入口から内部に空気を取り込むと共にユニット本体の外方へ空気を送り出すブロアと、前記空気取入口とブロアとの間の送風路内に配置されて取り込んだ空気を濾過するフィルタと、を備えた車両用送風装置であって、
前記送風路内の前記フィルタより前記空気取入口側に、取り込んだ空気を清浄化する空気清浄装置を配置し、
前記空気清浄装置は、オゾン発生器と、このオゾン発生器の空気流れの上流側の前記空気取入口側に設けられてオゾン発生器の空気流れの上流側からの空気の流れの向きを変化させると共にオゾン発生器を保護する偏向保護板とで形成されていることを特徴とする車両用送風装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用送風装置であって、
前記偏向保護板は、オゾン発生器に向けて流れる空気の流れに対して相対的に交差する向きに配置されていることを特徴とする車両用送風装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用送風装置であって、
前記偏向保護板は、オゾン発生器の空気流れの上流側の流速が速い位置に配置されていることを特徴とする車両用送風装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用送風装置であって、
前記空気清浄装置は、前記オゾン発生器が前記フィルタの前記空気取入口側の面に対向して配置され、前記偏向保護板が前記フィルタに支持されると共に、前記オゾン発生器を支持して前記フィルタと一体に形成されることを特徴とする車両用送風装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用送風装置であって、
前記オゾン発生器は、正負の電極と、これらの電極を支持する支持体と、これらの電極に通電するハーネスとで形成され、
前記本体ユニットには前記フィルタを装着するフィルタ装着部が設けられ、
前記フィルタ装着部への前記フィルタ装着により前記ハーネス端末のコネクタが外部の電源と接続されることを特徴とする車両用送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−121528(P2012−121528A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276066(P2010−276066)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】