車両用連動ブレーキ装置
【課題】油圧マスタシリンダのエア抜きを容易に行うことを可能にする。
【解決手段】第1ブレーキ51と、第2ブレーキ52と、これらの第1・第2ブレーキ51,52を連動させて操作する連動ブレーキ操作子53と、連動ブレーキ操作子53の操作力を第1ブレーキ51と第2ブレーキ52とに分配するイコライザ75と、第1ブレーキ51を作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダ72と、イコライザ75からの操作力を油圧マスタシリンダ72に伝達するものであって、イコライザ75によって操作される連動部材(連動回動レバー)74、ならびに連動部材74の作動によって油圧マスタシリン72ダを押圧するノッカ78からなる第1ブレーキ操作力伝達手段(レバー機構)79とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、ノッカ78は、連動部材74によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダ72の押圧を可能なノッカ操作子98を備えた。
【解決手段】第1ブレーキ51と、第2ブレーキ52と、これらの第1・第2ブレーキ51,52を連動させて操作する連動ブレーキ操作子53と、連動ブレーキ操作子53の操作力を第1ブレーキ51と第2ブレーキ52とに分配するイコライザ75と、第1ブレーキ51を作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダ72と、イコライザ75からの操作力を油圧マスタシリンダ72に伝達するものであって、イコライザ75によって操作される連動部材(連動回動レバー)74、ならびに連動部材74の作動によって油圧マスタシリン72ダを押圧するノッカ78からなる第1ブレーキ操作力伝達手段(レバー機構)79とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、ノッカ78は、連動部材74によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダ72の押圧を可能なノッカ操作子98を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキを連動させてブレーキ操作する車両用連動ブレーキ装置に関し、特に、車両用連動ブレーキ装置に用いる油圧マスタシリンダのエア抜きに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用連動ブレーキ装置として、二つのブレーキ操作子の一方で油圧式ディスクブレーキと機械式ドラムブレーキとを操作し、他方で油圧式ディスクブレーキを操作する車両用連動ブレーキ装置が知られている。
この種の車両用連動ブレーキ装置は、油圧式ディスクブレーキと機械式ドラムブレーキとを選択的に操作できるような機構、例えば、油圧マスタシリンダとレバー機構とを組み合わせたマスタシリンダユニットを用いるものであった。
このような車両用連動ブレーキ装置として、同一の油圧マスタシリンダを用いて油圧式ブレーキと機械式ブレーキとを連動したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の車両用連動ブレーキ装置は、第1ブレーキ操作子(右レバー)にて油圧式ブレーキのみを操作し、第2ブレーキ操作子(左レバー)にて油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキを操作する車両用連動ブレーキ装置であり、第1ブレーキ操作子で油圧式ブレーキ操作する場合と、第2ブレーキ操作子で油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキ操作する場合とも同一のマスタシリンダを介してブレーキ操作をするものである。
【0004】
このような車両用連動ブレーキ装置では、マスタシリンダを含む油圧回路内のエア抜きをする際は、第1ブレーキ操作子を作動させることによって行うことができる。
例えば、第1ブレーキ操作子に油圧式ブレーキ専用の第1のマスタシリンダを設け、第2ブレーキ操作子で油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキ操作するマスタシリンダユニットを設ける構造を採用した場合には、マスタシリンダユニットの構成部品となる第2のマスタシリンダのエア抜きは、第2ブレーキ操作子で行うことになる。
しかし、第2ブレーキ操作子は、油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキ操作する操作子であるため、エア抜きをする場合には機械式ブレーキも操作することになる。従って、第2ブレーキ操作子の操作量や操作荷重の大部分が機械式ブレーキの作動やマスタシリンダユニットの構成部品であるディレイスプリングなどの動きに使われ、マスタシリンダユニットの油圧マスタシリンダのエア抜き作業に非常に時間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−220077公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、マスタシリンダユニットの構成部品となる油圧マスタシリンダのエア抜きを容易に行うことができ、エア抜き作業の作業時間の短縮を図ることができる車両用連動ブレーキ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、第1ブレーキと、第2ブレーキと、これらの第1ブレーキ、第2ブレーキを連動させて操作する連動ブレーキ操作子と、連動ブレーキ操作子の操作力を第1ブレーキと第2ブレーキとに分配するイコライザと、第1ブレーキを作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダと、イコライザからの操作力を油圧マスタシリンダに伝達するものであって、イコライザによって操作される連動部材、ならびに連動部材の作動によって油圧マスタシリンダを押圧するノッカからなる第1ブレーキ操作力伝達手段とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、ノッカは、連動部材によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダの押圧を可能なノッカ操作子を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、ノッカに、工具の受け部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、ノッカが、回動することで油圧マスタシリンダを押圧するものであって、受け部は、工具を挿入し、工具を回動させることでノッカを操作する挿入孔を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用連動ブレーキ装置に、第1ブレーキと、第2ブレーキと、これらの第1ブレーキ、第2ブレーキを連動させて操作する連動ブレーキ操作子と、連動ブレーキ操作子の操作力を第1ブレーキと第2ブレーキとに分配するイコライザと、第1ブレーキを作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダと、イコライザからの操作力を油圧マスタシリンダに伝達するものであって、イコライザによって操作される連動部材、ならびに連動部材の作動によって油圧マスタシリンダを押圧するノッカからなる第1ブレーキ操作力伝達手段とを備える。
ノッカに、連動部材によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダの押圧を可能なノッカ操作子を備えたので、油圧マスタシリンダのエア抜きを容易に行うことができ、エア抜き作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、ノッカに、工具の受け部を備えたので、ノッカを工具を介して操作することができる。
【0012】
請求項3に係る発明では、ノッカが、回動することで油圧マスタシリンダを押圧するものであって、受け部に、工具を挿入し、工具を回動させることでノッカを操作する挿入孔を備えたので、工具を挿入して回動操作をするので、操作荷重が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両用連動ブレーキ装置を採用した車両の側面図である。
【図2】本発明に係る車両用連動ブレーキ装置の系統図である。
【図3】図2に示される車両用連動ブレーキ装置のマスタシリンダユニットの斜視図である。
【図4】図3に示されるマスタシリンダユニットの平面図である。
【図5】図3に示されるマスタシリンダユニットの正面図である。
【図6】図3に示されるマスタシリンダユニットの側面図である。
【図7】図5の7−7線断面図である。
【図8】図3に示されるマスタシリンダユニットのイコライザ、連動回動レバー及びノッカの組合状態を示す正面図である。
【図9】図3に示されるマスタシリンダユニットのイコライザ、連動回動レバー及びノッカ単品の正面図である。
【図10】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第1説明図である。
【図11】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第2説明図である。
【図12】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第3説明図である。
【図13】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第4説明図である。
【図14】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第5説明図である。
【図15】図3に示されるマスタシリンダユニットのノッカの別実施例である。
【図16】図3に示されるマスタシリンダユニットのノッカのさらなる別実施例である。
【図17】図3に示されるマスタシリンダユニットの別実施例の正面図である。
【図18】図17に示されたノッカの正面図である。
【図19】図18の19矢視図である。
【図20】図17に示されたノッカの作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0015】
図1に示されたように、スクータ型車両としての自動二輪車10は、車体フレーム11と、この車体フレーム11にピボット点12を介して上下揺動可能に取付けられるパワーユニット13とを備える、いわゆる、ユニットスイング式の車両である。
【0016】
車体フレーム11は、車両の前端部に設けるヘッドパイプ14と、このヘッドパイプ14から斜め後下方に延設されるメインフレーム15と、このメインフレーム15の下端部に左右水平に延出される第1クロスフレーム16と、メインフレーム15の下部から左右外方に延設された後、各々後方に延設されるとともに第1クロスフレーム16に支持される左右のロアフレーム17L、17R(図手前側の符号17Lのみ示す。)と、これら左右のロアフレーム17L、17Rの後端部に掛け渡されている第2クロスフレーム18と、ロアフレーム17L、17Rから斜め後ろ上方に立ち上げ車両の後部まで延設されシートレールを兼ねる左右のリヤフレーム21L、21R(図手前側の符号21Lのみ示す。)と、リヤフレーム21L、21Rの中間部から前方に平面視で略U字形状に配置されリヤフレーム21L、21R間に掛け渡される第3クロスフレーム22と、メインフレーム15と第3クロスフレーム22間を連結するセンタパイプ23とを主要な要素とする。
【0017】
リヤフレーム21L、21Rの後部には、後述する収納ボックス24を取付ける収納ボックス支持ブラケット25L、25R(図手前側の符号25Lのみ示す。)が配置され、これら収納ボックス支持ブラケット25L、25Rの後部には、リヤクッションユニット27L、27R(図手前側の符号27Lのみ示す。)を取付けるリヤクッションボルト28L、28R(図手前側の符号28Lのみ示す。)が配置されている。また、リヤフレーム21L、21Rには、パワーユニット13を支持するピボット点12を含むピボットブラケット31L、31R(図手前側の符号31Lのみ示す。)が設けられている。32L、32R(図手前側の符号32Lのみ示す。)は同乗者ステップを支持するピリオンステップフレームである。
【0018】
ヘッドパイプ14には、操舵可能に操舵軸34が取付けられ、この操舵軸34の上下に各々操舵ハンドル35とフロントフォーク36L、36R(図手前側の符号36Lのみ示す。)とが取付けられ、これらのフロントフォーク36L、36Rの下端部には、前輪37が回動可能に取付けられている。
【0019】
パワーユニット13は、略水平前方に向け設けられているエンジン38とこのエンジン38の後部に取付けられている変速機ユニット39とからなり、この変速機ユニット39の後端部には、駆動輪としての後輪41が取付けられている。
変速機ユニット39の後端部とリヤフレーム21L、21Rの中間部の間には、リヤクッションユニット27L、27Rが介在されている。
【0020】
エンジン38の前方で、メインフレーム15とセンタパイプ23とロアフレーム17L、17Rとで囲まれる領域には、燃料タンク42が配置されている。エンジン38の下部には、排気管43が接続されており、この排気管43は、後方に延設され、消音器44に接続されている。
車体フレーム11は、車体カバー45で覆われており、前から後に順に、前部車体カバー46と、中間部車体カバー47と、後部車体カバー48とが配置されている。49はハンドルカバー、150はヘッドライトである。
【0021】
前部車体カバー46は、車両の前面を構成するフロントカバー151と、乗員シート152の前方に配置され運転席を構成するカバー部材としてのフロントメータパネル154と、このフロントメータパネル154の下端部に連続して配置され乗員の足を覆う外装カバーとしてのレッグシールド156と、このレッグシールド156の後方に配置され運転者の股の間に配置されるトンネル部材157と、このトンネル部材157の左右に配置され運転者の足置きとしてのステップフロア部158L、158R(図手前側の符号158Lのみ示す。)とからなる。
【0022】
レッグシールド156には、物入れとしてのポケット部161が設けられている。
収納ボックス支持ブラケット25L、25Rには、物入れとして上方に開口162を有する収納ボックス24が取付けられ、この収納ボックス24の開口162を開閉可能に覆うように乗員シート152が取付けられている。なお、乗員シート152は、運転者と同乗者が前後に並んで着座することができるものであり一体に構成されている。
【0023】
乗員シート152の前端部152aには、運転者が着座したときに着座を検知する着座センサとしての前着座センサ172Fが配置され、乗員シート152の長手方向の中央部付近には、運転者が着座したときに着座を検知する着座センサとしての中央着座センサ172L、172Rが配置されている。つまり、運転者が着座していることを検知する複数の着座センサが備えられている。
図中、11Aは車体、33L,33Rは左右のグリップ(33Rは図2参照)、51は油圧ブレーキ、166はフロントフェンダ、167はリヤフェンダ、168はグラブレール、169はメインスタンドである。
【0024】
図2に示されたように、車両用連動ブレーキ装置50は、前輪37に設けられる油圧ブレーキ(第1ブレーキ)51と、後輪41(図1参照)に設けられる機械ブレーキ(第2ブレーキ)52と、操舵ハンドル35に設けられ、油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52を操作する連動ブレーキ操作子(左のブレーキレバー)53と、操作ハンドル35に設けられ、油圧ブレーキ51を操作する単独ブレーキ操作子(右のブレーキレバー)54と、油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52との間に介在させ、油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52を選択的に作動させるマスタシリンダユニット70と、操舵ハンドル35に設けられるとともに単独ブレーキ操作子54で操作され、油圧ブレーキ51のみを作動させるハンドル側マスタシリンダ56と、一端57aが連動ブレーキ操作子53に接続され、他端57bがマスタシリンダユニット70側に接続される連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57と、一端58aが機械ブレーキ52に接続され、他端58bがマスタシリンダユニット70側に接続される機械ブレーキ操作力伝達手段(ブレーキ側ワイヤ)58と、連動ブレーキ操作子53とは別に、機械ブレーキ52を作動状態で保持するブレーキロック手段59と、マスタシリンダユニット70と油圧ブレーキ51との間を接続するユニット側油圧配管61と、ハンドル側マスタシリンダ56と油圧ブレーキ51との間を接続するハンドル側油圧配管62とからなる。
【0025】
連動ブレーキ操作子(左のブレーキレバー)53は、支持軸112で操舵ハンドル35のハンドルホルダ111に回転自在に取付けられ、連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57の一端57aが取付けられる。
油圧ブレーキ51は、ユニット側油圧配管61が接続される第1の接続口63と、ハンドル側油圧配管62が接続される第2の接続口64とが設けられる。なお、第1の接続口63と第2の接続口64とはそれぞれ独立した油圧系統である。
【0026】
ブレーキロック手段59は、ブレーキロックを作動させるブレーキロック操作子(付図示)と、このブレーキロック操作子に一端114aが連結され、図5に示されたイコライザ75のブレーキロック連結部87に他端114bが連結されるブレーキロック操作力伝達手段114とを備える。
【0027】
ここで、車両用連動ブレーキ装置50の操作の概要を説明する。
先ず、単独ブレーキ操作子54を操作することで、ハンドル側マスタシリンダ56からハンドル側配管62を介して油圧ブレーキ51にオイルが供給され、油圧ブレーキ51はブレーキON状態に移行する。なお、連動ブレーキ操作子53は操作されていないので、マスタシリンダユニット70は初期状態のままであり、機械ブレーキ52もブレーキOFF状態のままである。
【0028】
次に、連動ブレーキ操作子53を操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57が引かれ、機械ブレーキ操作力伝達手段(ブレーキ側ワイヤ)58が引かれ、機械ブレーキ52が弱いブレーキ状態に移行する。
【0029】
さらに、連動ブレーキ操作子53を操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57がさらに引かれ、油圧ブレーキ51をブレーキON状態に移行させるとともに、機械ブレーキ操作力伝達手段(ブレーキ側ワイヤ)58も更に引かれ、機械ブレーキ52が強いブレーキ状態に移行する。
【0030】
また、ブレーキロック手段59を操作することで、機械ブレーキ52を作動状態で保持することができる。
【0031】
図3〜図7に示されたように、マスタシリンダユニット70は、機体となるシリンダブロック71と、このシリンダブロック71の上下方向に設けられた油圧マスタシリンダ72と、この油圧マスタシリンダ72のピストン73を駆動するレバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)79と、このレバー機構79に連結され、連動ブレーキ操作子53(図1参照)の操作に応じて油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52をそれぞれ作動することを可能とするイコライザ75と、シリンダブロック71とレバー機構79との間に介在させ、レバー機構79の動きを遅らせるとともに、レバー機構79を初期状態に復帰させるディレイスプリング77とからなる。なお、油圧マスタシリンダ72は、スライド可能のピストン73を備える。
【0032】
シリンダブロック71は、ディレイスプリング77の一端を受けるばね受け部71aを備える。ピストン73は、油圧マスタシリンダ72の下方に向けて付勢されるリターンばね76を備える。
レバー機構79、油圧マスタシリンダ72及びユニット側油圧配管61で、油圧ブレーキ操作力伝達手段81が構成される。
【0033】
レバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)79は、シリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられる連動回動レバー(連動部材)74と、この連動回動レバー74と同軸に、即ちシリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられるノッカ78とからなる。
軸部材83は、図7に示されたように、シリンダブロック71に連動回動レバー74及びノッカ78を同軸に且つ回転自在に止めるねじである。
【0034】
図8及び図9(a)〜(c)に示されるように、イコライザ75は、油圧ブレーキ操作力伝達手段81を連結する油圧ブレーキ連結部84と、連動ブレーキ操作力伝達手段57の他端57bを連結する連動ブレーキ連結部85と、機械ブレーキ操作力伝達手段58の他端58bを連結する機械ブレーキ連結部86と、ブレーキロック手段59(図2参照)のブレーキロック操作力伝達手段114の他端114bが連結されるブレーキロック連結部87とが、油圧ブレーキ連結部84からこの順に形成されるとともに、油圧ブレーキ連結部84を支点として連動回動レバー74に回転可能に連結される。
【0035】
連動ブレーキ連結部85及びブレーキロック連結部87は、長孔に形成される。また、ブレーキロック連結部87は、イコライザ75の機械ブレーキ連結部86よりも外側に形成したものと言える。
【0036】
すなわち、連動ブレーキ操作力伝達手段57の他端57bは、イコライザ75にスライド可能に連結されるとともに、ブレーキロック操作力伝達手段114の他端114bは、イコライザ75にスライド可能に連結されたので、連動ブレーキ操作力伝達手段57若しくはブレーキロック操作力伝達手段114の一方が作動した場合に、他方の操作力伝達手段によって負荷がかかることを防げる。この結果、操作力の無用な増大を回避できる。
【0037】
連動回動レバー74は、ディレイスプリング77の他端を受けるばね受け部91と、イコライザ75の油圧ブレーキ連結部84が連結される連結孔92と、ノッカ78に作動力を伝達する作動力伝達部93と、図7に示される軸部材83でシリンダブロック71に回転自在に取付けられる軸孔94とが形成される。
【0038】
ノッカ78は、油圧マスタシリンダ72のピストン73を作動する作動部95と、連動回動レバー74の作動力伝達部93に当接する当接部96と、シリンダブロック71に当接するストッパ部97と、油圧マスタシリンダ72を含む油圧回路のエア抜き操作をするノッカ操作子98と、図7に示される軸部材83でシリンダブロック71に回転自在に取付けられる軸孔99とが形成される。
【0039】
さらに、ノッカ78は、連動回動レバー74の作動力伝達部93が当接部96に当接し、且つストッパ部97がシリンダブロック71(図5参照)に当接する構造なので、ノッカ78単独では、図8に示される白抜き矢印のように紙面左回りに回転が可能である。
【0040】
次に、図10〜図14でマスタシリンダユニット70の動きを説明する。
【0041】
図10において、初期状態のマスタシリンダユニット70の状態が示され、図2に示される連動ブレーキ操作力伝達手段57及びブレーキロック操作力伝達手段114も作動させていない。
【0042】
図11において、図1に示された連動ブレーキ操作子53を操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段57が矢印b1の如く引かれ、イコライザ75が油圧ブレーキ連結部84を中心に矢印b2の如く回転し、機械ブレーキ操作力伝達手段58が矢印b3の如く引かれ、機械ブレーキ52(図2参照)が弱いブレーキ状態に移行する。
【0043】
ここで、レバー機構79の連動回動レバー74はディレイスプリング77で付勢されているので、初期状態を維持できる。この結果、図2に示された油圧ブレーキ51には油圧マスタシリンダ72からオイルは供給されないので、ブレーキOFF状態を維持できる。
【0044】
図12において、図1に示された連動ブレーキ操作子53をさらに操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段57が矢印b4の如く引かれ、イコライザ75が油圧ブレーキ連結部84を中心に矢印b5の如く回転し、機械ブレーキ操作力伝達手段58が矢印b6の如く引かれ、機械ブレーキ52が強いブレーキ状態に移行する。
【0045】
なお、マスタシリンダユニット70は、図2に示されたブレーキロック操作力伝達手段114を作動させ、ブレーキロック手段59をロックさせた場合にも同一の状態となる。また、レバー機構79の連動回動レバー74及びノッカ78は初期状態を維持している。
【0046】
図13において、連動ブレーキ操作子53をいっぱいに操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段57が矢印b7の如く引かれ、イコライザ75は上方に略平行移動するとともに、連動回動レバー74及びノッカ78は、軸部材83を中心にb8の如く回転し、ノッカ78の作動部95で油圧マスタシリンダ72のピストン73を矢印b9の如く押し、ユニット側配管61から油圧ブレーキ51にオイルを供給し、油圧ブレーキ51(図2参照)をブレーキON状態に移行させる。
【0047】
図14において、ノッカ78のノッカ操作子98を矢印10の如く押圧することで、ノッカ78は、単独で軸部材83を中心にb11の如く回転することができ、ノッカ78の作動部95で油圧マスタシリンダ72のピストン73を矢印b12の如く押し、油圧マスタシリンダ72、ユニット側配管61や油圧ブレーキ51(図2参照)を含む油圧回路全体のエア抜き操作をすることができる。
【0048】
すなわち、車両用連動ブレーキ装置50では、第1ブレーキ51と、第2ブレーキ52と、これらの第1ブレーキ51、第2ブレーキ52を連動させて操作する連動ブレーキ操作子53と、連動ブレーキ操作子53の操作力を第1ブレーキ51と第2ブレーキ52とに分配するイコライザ75と、第1ブレーキ51を作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダ72と、イコライザ75からの操作力を油圧マスタシリンダ72に伝達するものであって、イコライザ75によって操作される連動部材(連動回動レバー)74、ならびに連動部材74の作動によって油圧マスタシリンダ72を押圧するノッカ78からなる第1ブレーキ操作力伝達手段(レバー機構)79とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、ノッカ78は、連動部材74によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダ72の押圧を可能なノッカ操作子98を備えた。
【0049】
ノッカ78に、連動部材74によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダ72の押圧を可能なノッカ操作子98を備えたので、油圧マスタシリンダ72のエア抜きを容易に行うことができ、エア抜き作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【0050】
図15に示されたように、ノッカ181は、油圧マスタシリンダ72のエア抜きのための工具(ロッド)183が挿入される挿入孔182が形成される。
【0051】
詳細にはノッカ181は、回動することで油圧マスタシリンダ72を押圧するものであって、受け部184に、工具183を挿入し、工具183を回動させることでノッカ181を操作する挿入孔182を備えたので、工具183を挿入して回動操作をするので、操作荷重が軽減される。
【0052】
すなわち、ノッカ181では、油圧マスタシリンダのエア抜きのための工具(ロッド)183が挿入される挿入孔182が形成されたので、ノッカ181をコンパクトな形状に形成することができ、マスタシリンダユニットのレイアウト性の向上を図ることができる。
【0053】
図16に示されたように、ノッカ191は、油圧マスタシリンダのエア抜きのためにドライバ(工具)193の先端を受ける受け部192が形成される。
ノッカ191に、工具193の受け部192を備えたので、ノッカ191を工具193を介して操作することができる。
【0054】
すなわち、ノッカ191では、油圧マスタシリンダのエア抜きのためにドライバ193の先端を受ける受け部192が形成されたので、ドライバ193などの工具で油圧マスタシリンダのエア抜きを行うことができ、マスタシリンダユニットのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0055】
また、ノッカ191を、離れた位置から操作することができる。この結果、ノッカ191廻りに他部品を配置することができ、設計の自由度の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0056】
別実施例のマスタシリンダユニット200は、図5に示されたマスタシリンダユニット70のレバー機構79をレバー機構209に置き換えた略同一構成のユニットである。
図17に示されたように、マスタシリンダユニット200は、シリンダブロック71と、油圧マスタシリンダ72と、この油圧マスタシリンダ72のピストン73を駆動するレバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)209と、イコライザ75と、ディレイスプリング77とからなる。なお、油圧マスタシリンダ72は、スライド可能のピストン73を備える。
【0057】
レバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)209は、シリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられる連動回動レバー(連動部材)74と、この連動回動レバー74と同軸に、即ちシリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられるノッカ208とからなる。
【0058】
図18〜図20に示されたように、ノッカ208は、油圧マスタシリンダ72(図17参照)のピストン73を作動する作動部215と、連動回動レバー74の作動力伝達部93に当接する当接部216と、シリンダブロック71に当接するストッパ部217と、油圧マスタシリンダ72を含む油圧回路のエア抜き操作をするノッカ操作子218と、図7に示される軸部材83でシリンダブロック71に回転自在に取付けられる軸孔219とが形成される。
【0059】
ノッカ208の回転支持軸となる軸孔(支点)219からピストン73を作動する作動部(作用点)215までの距離をD1、軸孔(支点)219からノッカ操作子(力点)218までの距離をD2とすれば、D2>D1の関係となる。
さらに、ノッカ208では、距離D1を一定とするときに、距離D2は外方に所定長まで延ばすことが可能である。すなわち、力点218を支点219から離すことができるので、押圧力の軽減をすることができる。
【0060】
図20に示されたように、ノッカ操作子(力点)218を矢印α1の如く、指221で軽く押すことで、ノッカ208を軸孔(支点)219を中心に矢印α2の如く回転させ、油圧マスタシリンダ72のピストン73を矢印α3の如く押し、油圧マスタシリンダ72、ユニット側配管61や油圧ブレーキ51(図2参照)を含む油圧回路全体のエア抜き操作をすることができる。
【0061】
尚、本発明に係る車両用連動ブレーキ装置は、図15に示したように、ノッカ181に挿入孔182が形成されたが、これに限るものではなく、ノッカ181に雌ねじを形成し、雄ねじを形成した工具をねじ込むものであってもよい。
【0062】
本発明に係る車両用連動ブレーキ装置は、図16に示したように、ノッカ191をドライバ193で押すように構成したが、これに限るものではなく、受け部192にワイヤ等を掛けて引っ張るようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る車両用連動ブレーキ装置は、油圧ブレーキを含む連動ブレーキであって、その油圧系統を作動させるブレーキ操作子が、一つしかない場合であれば、二輪、四輪を問わず様々な車両に好適である。
【符号の説明】
【0064】
10…自動二輪車(車両)、50…車両用連動ブレーキ装置、51…第1ブレーキ(油圧ブレーキ)、52…第2ブレーキ(機械ブレーキ)、53…連動ブレーキ操作子、70,200…マスタシリンダユニット、72…油圧マスタシリンダ、74…連動部材(連動回動レバー)、78,208…ノッカ、79,209…第1ブレーキ操作力伝達手段(レバー機構)、98,218…ノッカ操作子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキを連動させてブレーキ操作する車両用連動ブレーキ装置に関し、特に、車両用連動ブレーキ装置に用いる油圧マスタシリンダのエア抜きに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用連動ブレーキ装置として、二つのブレーキ操作子の一方で油圧式ディスクブレーキと機械式ドラムブレーキとを操作し、他方で油圧式ディスクブレーキを操作する車両用連動ブレーキ装置が知られている。
この種の車両用連動ブレーキ装置は、油圧式ディスクブレーキと機械式ドラムブレーキとを選択的に操作できるような機構、例えば、油圧マスタシリンダとレバー機構とを組み合わせたマスタシリンダユニットを用いるものであった。
このような車両用連動ブレーキ装置として、同一の油圧マスタシリンダを用いて油圧式ブレーキと機械式ブレーキとを連動したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の車両用連動ブレーキ装置は、第1ブレーキ操作子(右レバー)にて油圧式ブレーキのみを操作し、第2ブレーキ操作子(左レバー)にて油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキを操作する車両用連動ブレーキ装置であり、第1ブレーキ操作子で油圧式ブレーキ操作する場合と、第2ブレーキ操作子で油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキ操作する場合とも同一のマスタシリンダを介してブレーキ操作をするものである。
【0004】
このような車両用連動ブレーキ装置では、マスタシリンダを含む油圧回路内のエア抜きをする際は、第1ブレーキ操作子を作動させることによって行うことができる。
例えば、第1ブレーキ操作子に油圧式ブレーキ専用の第1のマスタシリンダを設け、第2ブレーキ操作子で油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキ操作するマスタシリンダユニットを設ける構造を採用した場合には、マスタシリンダユニットの構成部品となる第2のマスタシリンダのエア抜きは、第2ブレーキ操作子で行うことになる。
しかし、第2ブレーキ操作子は、油圧式ブレーキ及び機械式ブレーキ操作する操作子であるため、エア抜きをする場合には機械式ブレーキも操作することになる。従って、第2ブレーキ操作子の操作量や操作荷重の大部分が機械式ブレーキの作動やマスタシリンダユニットの構成部品であるディレイスプリングなどの動きに使われ、マスタシリンダユニットの油圧マスタシリンダのエア抜き作業に非常に時間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−220077公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、マスタシリンダユニットの構成部品となる油圧マスタシリンダのエア抜きを容易に行うことができ、エア抜き作業の作業時間の短縮を図ることができる車両用連動ブレーキ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、第1ブレーキと、第2ブレーキと、これらの第1ブレーキ、第2ブレーキを連動させて操作する連動ブレーキ操作子と、連動ブレーキ操作子の操作力を第1ブレーキと第2ブレーキとに分配するイコライザと、第1ブレーキを作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダと、イコライザからの操作力を油圧マスタシリンダに伝達するものであって、イコライザによって操作される連動部材、ならびに連動部材の作動によって油圧マスタシリンダを押圧するノッカからなる第1ブレーキ操作力伝達手段とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、ノッカは、連動部材によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダの押圧を可能なノッカ操作子を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、ノッカに、工具の受け部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、ノッカが、回動することで油圧マスタシリンダを押圧するものであって、受け部は、工具を挿入し、工具を回動させることでノッカを操作する挿入孔を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用連動ブレーキ装置に、第1ブレーキと、第2ブレーキと、これらの第1ブレーキ、第2ブレーキを連動させて操作する連動ブレーキ操作子と、連動ブレーキ操作子の操作力を第1ブレーキと第2ブレーキとに分配するイコライザと、第1ブレーキを作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダと、イコライザからの操作力を油圧マスタシリンダに伝達するものであって、イコライザによって操作される連動部材、ならびに連動部材の作動によって油圧マスタシリンダを押圧するノッカからなる第1ブレーキ操作力伝達手段とを備える。
ノッカに、連動部材によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダの押圧を可能なノッカ操作子を備えたので、油圧マスタシリンダのエア抜きを容易に行うことができ、エア抜き作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、ノッカに、工具の受け部を備えたので、ノッカを工具を介して操作することができる。
【0012】
請求項3に係る発明では、ノッカが、回動することで油圧マスタシリンダを押圧するものであって、受け部に、工具を挿入し、工具を回動させることでノッカを操作する挿入孔を備えたので、工具を挿入して回動操作をするので、操作荷重が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両用連動ブレーキ装置を採用した車両の側面図である。
【図2】本発明に係る車両用連動ブレーキ装置の系統図である。
【図3】図2に示される車両用連動ブレーキ装置のマスタシリンダユニットの斜視図である。
【図4】図3に示されるマスタシリンダユニットの平面図である。
【図5】図3に示されるマスタシリンダユニットの正面図である。
【図6】図3に示されるマスタシリンダユニットの側面図である。
【図7】図5の7−7線断面図である。
【図8】図3に示されるマスタシリンダユニットのイコライザ、連動回動レバー及びノッカの組合状態を示す正面図である。
【図9】図3に示されるマスタシリンダユニットのイコライザ、連動回動レバー及びノッカ単品の正面図である。
【図10】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第1説明図である。
【図11】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第2説明図である。
【図12】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第3説明図である。
【図13】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第4説明図である。
【図14】図3に示されるマスタシリンダユニットの動作の第5説明図である。
【図15】図3に示されるマスタシリンダユニットのノッカの別実施例である。
【図16】図3に示されるマスタシリンダユニットのノッカのさらなる別実施例である。
【図17】図3に示されるマスタシリンダユニットの別実施例の正面図である。
【図18】図17に示されたノッカの正面図である。
【図19】図18の19矢視図である。
【図20】図17に示されたノッカの作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0015】
図1に示されたように、スクータ型車両としての自動二輪車10は、車体フレーム11と、この車体フレーム11にピボット点12を介して上下揺動可能に取付けられるパワーユニット13とを備える、いわゆる、ユニットスイング式の車両である。
【0016】
車体フレーム11は、車両の前端部に設けるヘッドパイプ14と、このヘッドパイプ14から斜め後下方に延設されるメインフレーム15と、このメインフレーム15の下端部に左右水平に延出される第1クロスフレーム16と、メインフレーム15の下部から左右外方に延設された後、各々後方に延設されるとともに第1クロスフレーム16に支持される左右のロアフレーム17L、17R(図手前側の符号17Lのみ示す。)と、これら左右のロアフレーム17L、17Rの後端部に掛け渡されている第2クロスフレーム18と、ロアフレーム17L、17Rから斜め後ろ上方に立ち上げ車両の後部まで延設されシートレールを兼ねる左右のリヤフレーム21L、21R(図手前側の符号21Lのみ示す。)と、リヤフレーム21L、21Rの中間部から前方に平面視で略U字形状に配置されリヤフレーム21L、21R間に掛け渡される第3クロスフレーム22と、メインフレーム15と第3クロスフレーム22間を連結するセンタパイプ23とを主要な要素とする。
【0017】
リヤフレーム21L、21Rの後部には、後述する収納ボックス24を取付ける収納ボックス支持ブラケット25L、25R(図手前側の符号25Lのみ示す。)が配置され、これら収納ボックス支持ブラケット25L、25Rの後部には、リヤクッションユニット27L、27R(図手前側の符号27Lのみ示す。)を取付けるリヤクッションボルト28L、28R(図手前側の符号28Lのみ示す。)が配置されている。また、リヤフレーム21L、21Rには、パワーユニット13を支持するピボット点12を含むピボットブラケット31L、31R(図手前側の符号31Lのみ示す。)が設けられている。32L、32R(図手前側の符号32Lのみ示す。)は同乗者ステップを支持するピリオンステップフレームである。
【0018】
ヘッドパイプ14には、操舵可能に操舵軸34が取付けられ、この操舵軸34の上下に各々操舵ハンドル35とフロントフォーク36L、36R(図手前側の符号36Lのみ示す。)とが取付けられ、これらのフロントフォーク36L、36Rの下端部には、前輪37が回動可能に取付けられている。
【0019】
パワーユニット13は、略水平前方に向け設けられているエンジン38とこのエンジン38の後部に取付けられている変速機ユニット39とからなり、この変速機ユニット39の後端部には、駆動輪としての後輪41が取付けられている。
変速機ユニット39の後端部とリヤフレーム21L、21Rの中間部の間には、リヤクッションユニット27L、27Rが介在されている。
【0020】
エンジン38の前方で、メインフレーム15とセンタパイプ23とロアフレーム17L、17Rとで囲まれる領域には、燃料タンク42が配置されている。エンジン38の下部には、排気管43が接続されており、この排気管43は、後方に延設され、消音器44に接続されている。
車体フレーム11は、車体カバー45で覆われており、前から後に順に、前部車体カバー46と、中間部車体カバー47と、後部車体カバー48とが配置されている。49はハンドルカバー、150はヘッドライトである。
【0021】
前部車体カバー46は、車両の前面を構成するフロントカバー151と、乗員シート152の前方に配置され運転席を構成するカバー部材としてのフロントメータパネル154と、このフロントメータパネル154の下端部に連続して配置され乗員の足を覆う外装カバーとしてのレッグシールド156と、このレッグシールド156の後方に配置され運転者の股の間に配置されるトンネル部材157と、このトンネル部材157の左右に配置され運転者の足置きとしてのステップフロア部158L、158R(図手前側の符号158Lのみ示す。)とからなる。
【0022】
レッグシールド156には、物入れとしてのポケット部161が設けられている。
収納ボックス支持ブラケット25L、25Rには、物入れとして上方に開口162を有する収納ボックス24が取付けられ、この収納ボックス24の開口162を開閉可能に覆うように乗員シート152が取付けられている。なお、乗員シート152は、運転者と同乗者が前後に並んで着座することができるものであり一体に構成されている。
【0023】
乗員シート152の前端部152aには、運転者が着座したときに着座を検知する着座センサとしての前着座センサ172Fが配置され、乗員シート152の長手方向の中央部付近には、運転者が着座したときに着座を検知する着座センサとしての中央着座センサ172L、172Rが配置されている。つまり、運転者が着座していることを検知する複数の着座センサが備えられている。
図中、11Aは車体、33L,33Rは左右のグリップ(33Rは図2参照)、51は油圧ブレーキ、166はフロントフェンダ、167はリヤフェンダ、168はグラブレール、169はメインスタンドである。
【0024】
図2に示されたように、車両用連動ブレーキ装置50は、前輪37に設けられる油圧ブレーキ(第1ブレーキ)51と、後輪41(図1参照)に設けられる機械ブレーキ(第2ブレーキ)52と、操舵ハンドル35に設けられ、油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52を操作する連動ブレーキ操作子(左のブレーキレバー)53と、操作ハンドル35に設けられ、油圧ブレーキ51を操作する単独ブレーキ操作子(右のブレーキレバー)54と、油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52との間に介在させ、油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52を選択的に作動させるマスタシリンダユニット70と、操舵ハンドル35に設けられるとともに単独ブレーキ操作子54で操作され、油圧ブレーキ51のみを作動させるハンドル側マスタシリンダ56と、一端57aが連動ブレーキ操作子53に接続され、他端57bがマスタシリンダユニット70側に接続される連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57と、一端58aが機械ブレーキ52に接続され、他端58bがマスタシリンダユニット70側に接続される機械ブレーキ操作力伝達手段(ブレーキ側ワイヤ)58と、連動ブレーキ操作子53とは別に、機械ブレーキ52を作動状態で保持するブレーキロック手段59と、マスタシリンダユニット70と油圧ブレーキ51との間を接続するユニット側油圧配管61と、ハンドル側マスタシリンダ56と油圧ブレーキ51との間を接続するハンドル側油圧配管62とからなる。
【0025】
連動ブレーキ操作子(左のブレーキレバー)53は、支持軸112で操舵ハンドル35のハンドルホルダ111に回転自在に取付けられ、連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57の一端57aが取付けられる。
油圧ブレーキ51は、ユニット側油圧配管61が接続される第1の接続口63と、ハンドル側油圧配管62が接続される第2の接続口64とが設けられる。なお、第1の接続口63と第2の接続口64とはそれぞれ独立した油圧系統である。
【0026】
ブレーキロック手段59は、ブレーキロックを作動させるブレーキロック操作子(付図示)と、このブレーキロック操作子に一端114aが連結され、図5に示されたイコライザ75のブレーキロック連結部87に他端114bが連結されるブレーキロック操作力伝達手段114とを備える。
【0027】
ここで、車両用連動ブレーキ装置50の操作の概要を説明する。
先ず、単独ブレーキ操作子54を操作することで、ハンドル側マスタシリンダ56からハンドル側配管62を介して油圧ブレーキ51にオイルが供給され、油圧ブレーキ51はブレーキON状態に移行する。なお、連動ブレーキ操作子53は操作されていないので、マスタシリンダユニット70は初期状態のままであり、機械ブレーキ52もブレーキOFF状態のままである。
【0028】
次に、連動ブレーキ操作子53を操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57が引かれ、機械ブレーキ操作力伝達手段(ブレーキ側ワイヤ)58が引かれ、機械ブレーキ52が弱いブレーキ状態に移行する。
【0029】
さらに、連動ブレーキ操作子53を操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段(操作子側ワイヤ)57がさらに引かれ、油圧ブレーキ51をブレーキON状態に移行させるとともに、機械ブレーキ操作力伝達手段(ブレーキ側ワイヤ)58も更に引かれ、機械ブレーキ52が強いブレーキ状態に移行する。
【0030】
また、ブレーキロック手段59を操作することで、機械ブレーキ52を作動状態で保持することができる。
【0031】
図3〜図7に示されたように、マスタシリンダユニット70は、機体となるシリンダブロック71と、このシリンダブロック71の上下方向に設けられた油圧マスタシリンダ72と、この油圧マスタシリンダ72のピストン73を駆動するレバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)79と、このレバー機構79に連結され、連動ブレーキ操作子53(図1参照)の操作に応じて油圧ブレーキ51及び機械ブレーキ52をそれぞれ作動することを可能とするイコライザ75と、シリンダブロック71とレバー機構79との間に介在させ、レバー機構79の動きを遅らせるとともに、レバー機構79を初期状態に復帰させるディレイスプリング77とからなる。なお、油圧マスタシリンダ72は、スライド可能のピストン73を備える。
【0032】
シリンダブロック71は、ディレイスプリング77の一端を受けるばね受け部71aを備える。ピストン73は、油圧マスタシリンダ72の下方に向けて付勢されるリターンばね76を備える。
レバー機構79、油圧マスタシリンダ72及びユニット側油圧配管61で、油圧ブレーキ操作力伝達手段81が構成される。
【0033】
レバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)79は、シリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられる連動回動レバー(連動部材)74と、この連動回動レバー74と同軸に、即ちシリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられるノッカ78とからなる。
軸部材83は、図7に示されたように、シリンダブロック71に連動回動レバー74及びノッカ78を同軸に且つ回転自在に止めるねじである。
【0034】
図8及び図9(a)〜(c)に示されるように、イコライザ75は、油圧ブレーキ操作力伝達手段81を連結する油圧ブレーキ連結部84と、連動ブレーキ操作力伝達手段57の他端57bを連結する連動ブレーキ連結部85と、機械ブレーキ操作力伝達手段58の他端58bを連結する機械ブレーキ連結部86と、ブレーキロック手段59(図2参照)のブレーキロック操作力伝達手段114の他端114bが連結されるブレーキロック連結部87とが、油圧ブレーキ連結部84からこの順に形成されるとともに、油圧ブレーキ連結部84を支点として連動回動レバー74に回転可能に連結される。
【0035】
連動ブレーキ連結部85及びブレーキロック連結部87は、長孔に形成される。また、ブレーキロック連結部87は、イコライザ75の機械ブレーキ連結部86よりも外側に形成したものと言える。
【0036】
すなわち、連動ブレーキ操作力伝達手段57の他端57bは、イコライザ75にスライド可能に連結されるとともに、ブレーキロック操作力伝達手段114の他端114bは、イコライザ75にスライド可能に連結されたので、連動ブレーキ操作力伝達手段57若しくはブレーキロック操作力伝達手段114の一方が作動した場合に、他方の操作力伝達手段によって負荷がかかることを防げる。この結果、操作力の無用な増大を回避できる。
【0037】
連動回動レバー74は、ディレイスプリング77の他端を受けるばね受け部91と、イコライザ75の油圧ブレーキ連結部84が連結される連結孔92と、ノッカ78に作動力を伝達する作動力伝達部93と、図7に示される軸部材83でシリンダブロック71に回転自在に取付けられる軸孔94とが形成される。
【0038】
ノッカ78は、油圧マスタシリンダ72のピストン73を作動する作動部95と、連動回動レバー74の作動力伝達部93に当接する当接部96と、シリンダブロック71に当接するストッパ部97と、油圧マスタシリンダ72を含む油圧回路のエア抜き操作をするノッカ操作子98と、図7に示される軸部材83でシリンダブロック71に回転自在に取付けられる軸孔99とが形成される。
【0039】
さらに、ノッカ78は、連動回動レバー74の作動力伝達部93が当接部96に当接し、且つストッパ部97がシリンダブロック71(図5参照)に当接する構造なので、ノッカ78単独では、図8に示される白抜き矢印のように紙面左回りに回転が可能である。
【0040】
次に、図10〜図14でマスタシリンダユニット70の動きを説明する。
【0041】
図10において、初期状態のマスタシリンダユニット70の状態が示され、図2に示される連動ブレーキ操作力伝達手段57及びブレーキロック操作力伝達手段114も作動させていない。
【0042】
図11において、図1に示された連動ブレーキ操作子53を操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段57が矢印b1の如く引かれ、イコライザ75が油圧ブレーキ連結部84を中心に矢印b2の如く回転し、機械ブレーキ操作力伝達手段58が矢印b3の如く引かれ、機械ブレーキ52(図2参照)が弱いブレーキ状態に移行する。
【0043】
ここで、レバー機構79の連動回動レバー74はディレイスプリング77で付勢されているので、初期状態を維持できる。この結果、図2に示された油圧ブレーキ51には油圧マスタシリンダ72からオイルは供給されないので、ブレーキOFF状態を維持できる。
【0044】
図12において、図1に示された連動ブレーキ操作子53をさらに操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段57が矢印b4の如く引かれ、イコライザ75が油圧ブレーキ連結部84を中心に矢印b5の如く回転し、機械ブレーキ操作力伝達手段58が矢印b6の如く引かれ、機械ブレーキ52が強いブレーキ状態に移行する。
【0045】
なお、マスタシリンダユニット70は、図2に示されたブレーキロック操作力伝達手段114を作動させ、ブレーキロック手段59をロックさせた場合にも同一の状態となる。また、レバー機構79の連動回動レバー74及びノッカ78は初期状態を維持している。
【0046】
図13において、連動ブレーキ操作子53をいっぱいに操作すると、連動ブレーキ操作力伝達手段57が矢印b7の如く引かれ、イコライザ75は上方に略平行移動するとともに、連動回動レバー74及びノッカ78は、軸部材83を中心にb8の如く回転し、ノッカ78の作動部95で油圧マスタシリンダ72のピストン73を矢印b9の如く押し、ユニット側配管61から油圧ブレーキ51にオイルを供給し、油圧ブレーキ51(図2参照)をブレーキON状態に移行させる。
【0047】
図14において、ノッカ78のノッカ操作子98を矢印10の如く押圧することで、ノッカ78は、単独で軸部材83を中心にb11の如く回転することができ、ノッカ78の作動部95で油圧マスタシリンダ72のピストン73を矢印b12の如く押し、油圧マスタシリンダ72、ユニット側配管61や油圧ブレーキ51(図2参照)を含む油圧回路全体のエア抜き操作をすることができる。
【0048】
すなわち、車両用連動ブレーキ装置50では、第1ブレーキ51と、第2ブレーキ52と、これらの第1ブレーキ51、第2ブレーキ52を連動させて操作する連動ブレーキ操作子53と、連動ブレーキ操作子53の操作力を第1ブレーキ51と第2ブレーキ52とに分配するイコライザ75と、第1ブレーキ51を作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダ72と、イコライザ75からの操作力を油圧マスタシリンダ72に伝達するものであって、イコライザ75によって操作される連動部材(連動回動レバー)74、ならびに連動部材74の作動によって油圧マスタシリンダ72を押圧するノッカ78からなる第1ブレーキ操作力伝達手段(レバー機構)79とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、ノッカ78は、連動部材74によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダ72の押圧を可能なノッカ操作子98を備えた。
【0049】
ノッカ78に、連動部材74によらずに直接操作することにより油圧マスタシリンダ72の押圧を可能なノッカ操作子98を備えたので、油圧マスタシリンダ72のエア抜きを容易に行うことができ、エア抜き作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【0050】
図15に示されたように、ノッカ181は、油圧マスタシリンダ72のエア抜きのための工具(ロッド)183が挿入される挿入孔182が形成される。
【0051】
詳細にはノッカ181は、回動することで油圧マスタシリンダ72を押圧するものであって、受け部184に、工具183を挿入し、工具183を回動させることでノッカ181を操作する挿入孔182を備えたので、工具183を挿入して回動操作をするので、操作荷重が軽減される。
【0052】
すなわち、ノッカ181では、油圧マスタシリンダのエア抜きのための工具(ロッド)183が挿入される挿入孔182が形成されたので、ノッカ181をコンパクトな形状に形成することができ、マスタシリンダユニットのレイアウト性の向上を図ることができる。
【0053】
図16に示されたように、ノッカ191は、油圧マスタシリンダのエア抜きのためにドライバ(工具)193の先端を受ける受け部192が形成される。
ノッカ191に、工具193の受け部192を備えたので、ノッカ191を工具193を介して操作することができる。
【0054】
すなわち、ノッカ191では、油圧マスタシリンダのエア抜きのためにドライバ193の先端を受ける受け部192が形成されたので、ドライバ193などの工具で油圧マスタシリンダのエア抜きを行うことができ、マスタシリンダユニットのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0055】
また、ノッカ191を、離れた位置から操作することができる。この結果、ノッカ191廻りに他部品を配置することができ、設計の自由度の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0056】
別実施例のマスタシリンダユニット200は、図5に示されたマスタシリンダユニット70のレバー機構79をレバー機構209に置き換えた略同一構成のユニットである。
図17に示されたように、マスタシリンダユニット200は、シリンダブロック71と、油圧マスタシリンダ72と、この油圧マスタシリンダ72のピストン73を駆動するレバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)209と、イコライザ75と、ディレイスプリング77とからなる。なお、油圧マスタシリンダ72は、スライド可能のピストン73を備える。
【0057】
レバー機構(第1ブレーキ操作力伝達手段)209は、シリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられる連動回動レバー(連動部材)74と、この連動回動レバー74と同軸に、即ちシリンダブロック71に軸部材83を介して回転自在に取付けられるノッカ208とからなる。
【0058】
図18〜図20に示されたように、ノッカ208は、油圧マスタシリンダ72(図17参照)のピストン73を作動する作動部215と、連動回動レバー74の作動力伝達部93に当接する当接部216と、シリンダブロック71に当接するストッパ部217と、油圧マスタシリンダ72を含む油圧回路のエア抜き操作をするノッカ操作子218と、図7に示される軸部材83でシリンダブロック71に回転自在に取付けられる軸孔219とが形成される。
【0059】
ノッカ208の回転支持軸となる軸孔(支点)219からピストン73を作動する作動部(作用点)215までの距離をD1、軸孔(支点)219からノッカ操作子(力点)218までの距離をD2とすれば、D2>D1の関係となる。
さらに、ノッカ208では、距離D1を一定とするときに、距離D2は外方に所定長まで延ばすことが可能である。すなわち、力点218を支点219から離すことができるので、押圧力の軽減をすることができる。
【0060】
図20に示されたように、ノッカ操作子(力点)218を矢印α1の如く、指221で軽く押すことで、ノッカ208を軸孔(支点)219を中心に矢印α2の如く回転させ、油圧マスタシリンダ72のピストン73を矢印α3の如く押し、油圧マスタシリンダ72、ユニット側配管61や油圧ブレーキ51(図2参照)を含む油圧回路全体のエア抜き操作をすることができる。
【0061】
尚、本発明に係る車両用連動ブレーキ装置は、図15に示したように、ノッカ181に挿入孔182が形成されたが、これに限るものではなく、ノッカ181に雌ねじを形成し、雄ねじを形成した工具をねじ込むものであってもよい。
【0062】
本発明に係る車両用連動ブレーキ装置は、図16に示したように、ノッカ191をドライバ193で押すように構成したが、これに限るものではなく、受け部192にワイヤ等を掛けて引っ張るようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る車両用連動ブレーキ装置は、油圧ブレーキを含む連動ブレーキであって、その油圧系統を作動させるブレーキ操作子が、一つしかない場合であれば、二輪、四輪を問わず様々な車両に好適である。
【符号の説明】
【0064】
10…自動二輪車(車両)、50…車両用連動ブレーキ装置、51…第1ブレーキ(油圧ブレーキ)、52…第2ブレーキ(機械ブレーキ)、53…連動ブレーキ操作子、70,200…マスタシリンダユニット、72…油圧マスタシリンダ、74…連動部材(連動回動レバー)、78,208…ノッカ、79,209…第1ブレーキ操作力伝達手段(レバー機構)、98,218…ノッカ操作子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブレーキと、第2ブレーキと、
これらの第1ブレーキ、第2ブレーキを連動させて操作する連動ブレーキ操作子と、
前記連動ブレーキ操作子の操作力を前記第1ブレーキと第2ブレーキとに分配するイコライザと、
前記第1ブレーキを作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダと、
前記イコライザからの操作力を前記油圧マスタシリンダに伝達するものであって、前記イコライザによって操作される連動部材、ならびに前記連動部材の作動によって前記油圧マスタシリンダを押圧するノッカからなる第1ブレーキ操作力伝達手段とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、
前記ノッカは、前記連動部材によらずに直接操作することにより前記油圧マスタシリンダの押圧を可能なノッカ操作子を備えたことを特徴とする車両用連動ブレーキ装置。
【請求項2】
前記ノッカは、工具の受け部を備えることを特徴とする請求項1記載の車両用連動ブレーキ装置。
【請求項3】
前記ノッカは、回動することで前記油圧マスタシリンダを押圧するものであって、前記受け部は、工具を挿入し、工具を回動させることで前記ノッカを操作する挿入孔を備えることを特徴とする請求項2記載の車両用連動ブレーキ装置。
【請求項1】
第1ブレーキと、第2ブレーキと、
これらの第1ブレーキ、第2ブレーキを連動させて操作する連動ブレーキ操作子と、
前記連動ブレーキ操作子の操作力を前記第1ブレーキと第2ブレーキとに分配するイコライザと、
前記第1ブレーキを作動するための油圧を発生する油圧マスタシリンダと、
前記イコライザからの操作力を前記油圧マスタシリンダに伝達するものであって、前記イコライザによって操作される連動部材、ならびに前記連動部材の作動によって前記油圧マスタシリンダを押圧するノッカからなる第1ブレーキ操作力伝達手段とを備えた車両用連動ブレーキ装置において、
前記ノッカは、前記連動部材によらずに直接操作することにより前記油圧マスタシリンダの押圧を可能なノッカ操作子を備えたことを特徴とする車両用連動ブレーキ装置。
【請求項2】
前記ノッカは、工具の受け部を備えることを特徴とする請求項1記載の車両用連動ブレーキ装置。
【請求項3】
前記ノッカは、回動することで前記油圧マスタシリンダを押圧するものであって、前記受け部は、工具を挿入し、工具を回動させることで前記ノッカを操作する挿入孔を備えることを特徴とする請求項2記載の車両用連動ブレーキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−76742(P2010−76742A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85048(P2009−85048)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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