説明

車両用電源装置

【課題】部品点数が少なく、安価で、筐体内への水の浸入を防ぐことができ、かつ接続する外部接続端子の回り止めを確実に行うことができる出力端子を有する車両用電源装置を提供すること。
【解決手段】電源部と筐体と出力端子4とを有する車両用電源装置。出力端子4には、外部機器と接続するための外部接続端子(ワイヤー端子5)が接続される。出力端子4は端子本体40と固定部材400とからなる。端子本体40は、内側接点部42と外側接点部43と中間部とを備えた一体の金属部品からなる。外側接点部43は、外部接続端子と直接係合して外部接続端子が端子本体40に対して回転することを規制する回り止め部41を有する。中間部は、断面外形が非円形となる非円形部を少なくとも一部に有し、かつ、軸方向の複数個所において断面外形の最大直径が変化する径変部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるDC−DCコンバータやオルタネータなどの車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば内燃機関を動力源として利用した車両におけるオルタネータ、或いは、電気自動車やハイブリッド車におけるDC−DCコンバータなど、車両に搭載される車両用電源装置が種々開発されている。
かかる車両用電源装置は、電力を生成する電源部を筐体内に収容してなり、電源部から出力を取り出す出力端子が、筐体に固定されている(特許文献1の図1、図2、特許文献2の図1〜図3)。この出力端子を通じて、バッテリーや補機などの外部機器へ電力を供給する。
したがって、上記出力端子に、外部機器へ接続されるワイヤーにおけるワイヤー端子(外部接続端子)が取り付けられる。
【0003】
また、出力端子を取り付ける装置の筐体が金属で構成される場合、出力端子と筐体との間の電気的絶縁を図りつつ出力端子を筐体に組み付けるために、電気絶縁性を有する固定部材が必要となる。それゆえ、樹脂製の固定部材が出力端子に対してモールド成形されたものがある。
また、互いにボルトとナットとによって固定される端子同士の間の回り止め構造としては、特許文献3、4に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−217739号公報
【特許文献2】特開2002−315397号公報
【特許文献3】特開2006−228682号公報
【特許文献4】特開平10−144365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用交流発電機における出力端子は、電流経路を構成する部分が、ボルト、ブッシュ、バスバーなど、複数の部材によって構成されている。そのため、出力端子の部品点数が多く、構成も複雑となり、コストが高くなる。
また、出力端子にワイヤー端子を接続するとき、ボルトの軸を中心としてワイヤー端子が回転してしまうという問題もある。
特許文献2に記載の車両用交流発電機における出力端子は、出力端子を覆う樹脂製の保護部材に開口部が形成されている。この開口部にワイヤー端子の一部を係合させることも考えられるが、小さな係合部に大きな負荷がかかったとき、樹脂からなる保護部材は破損してしまうおそれがある。
【0006】
また、引用文献3、4に記載の回り止め構造を採用しても、以下の問題は解決されない。すなわち、出力端子が、端子本体と筐体との間の絶縁を図りつつ、出力端子を筐体に組み付けるために設けられる固定部材を備えている場合、端子本体と外部接続端子との間の回り止めのために引用文献3、4の構造を採用しただけでは、大きな負荷がかかったとき、端子本体と固定部材との間で回転してしまい、結局回り止めの機能を果たすことができない。
また、端子本体に固定部材を一体化させる場合、電源装置内(筐体内)への水の浸入を防ぐために、固定部材と端子本体との間からの水の浸入を防ぐ必要がある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく、安価で、筐体内への水の浸入を防ぐことができ、かつ接続する外部接続端子の回り止めを確実に行うことができる出力端子を有する車両用電源装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電力を生成する電源部と、該電源部を覆う筐体と、該筐体に固定されると共に上記電源部から出力を取り出す出力端子とを有する、車両に搭載される車両用電源装置であって、
上記出力端子には、電力の供給先の外部機器と接続するための外部接続端子が接続され、
上記出力端子は、金属製の端子本体と、上記筐体に上記出力端子を固定するための樹脂製の固定部材とからなり、
上記端子本体は、上記電源部に接続される内側接点部と、上記外部接続端子が接続される外側接点部と、上記内側接点部と上記外側接点部との間に介在して上記固定部材を外周に固定した中間部とを備えた一体の金属部品からなり、
上記外側接点部は、上記外部接続端子と直接係合して該外部接続端子が上記端子本体に対して回転することを規制する回り止め部を有し、
上記中間部は、上記端子本体の軸方向に直交する断面外形が非円形となる非円形部を少なくとも一部に有し、かつ、上記軸方向の複数個所において上記断面外形の最大直径が変化する径変部を有することを特徴とする車両用電源装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
上記車両用電源装置においては、上記出力端子の端子本体が一体の金属部品からなる。すなわち、上記端子本体は、上記電源部との接続部から上記外部接続端子との接続部まで、複数の金属部品の組み合わせではなく、例えば一つの鋳造品あるいは一つの鍛造品のような一つの金属部品によって構成されている。
そのため、端子本体を構成する部品点数を削減して、製造容易な安価な出力端子を得ることができ、ひいては車両用電源装置の低コスト化を図ることができる。
【0010】
また、上記端子本体は、上記回り止め部を備えている。すなわち、上記回り止め部も、端子本体の一部として一体化されている。そのため、外部接続端子の回転を規制するために、上記出力端子に上記回り止め部を改めて形成する必要がない。そのため、出力端子の低コスト化を図ることができる。
また、金属部品からなる端子本体に回り止め部を設けることとなるため、係合される外部接続端子からの負荷がかかっても、回り止め部が破損するなどの不具合を生じるおそれがない。そのため、確実に外部接続端子の回り止めを行うことができる。
【0011】
さらに、上記出力端子は、上記端子本体と上記固定部材とからなる。そして、固定部材を外周に固定する端子本体の上記中間部は、上記非円形部を有している。それゆえ、軸方向を中心とする回転方向について、端子本体と固定部材との間の相対的な回転を形状的に防ぐ構造となっている。それゆえ、端子本体の回り止め部に係合した上記外部接続端子に、回転方向に大きな負荷がかかっても、端子本体と固定部材との間の回転をも確実に防ぐことができる。
すなわち、上記端子本体に形成された回り止め部と、上記端子本体の中間部の非円形部とによって、筐体に対する外部接続端子の回転を確実に防ぐことができる。
【0012】
また、端子本体の中間部は、軸方向の複数個所において上記断面外形の最大直径が変化する径変部を有する。そのため、中間部と固定部材との間の接合面は、外側接点部から内側接点部へ向かって、直線的ではなく、複雑な形状となる。すなわち、上記接合面の面積が大きくなると共に、上記接合面に沿って外側接点部から内側接点部まで辿り着く経路は長くなる。それゆえ、万一、外側接点部から水が端子本体と固定部材との間に浸入しても、そこから内側接点部まで水が辿り着くことを防ぐことができる。すなわち、筐体内への水の浸入を効果的に防ぐことができる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、部品点数が少なく、安価で、筐体内への水の浸入を防ぐことができ、かつ接続する外部接続端子の回り止めを確実に行うことができる出力端子を有する車両用電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、出力端子とそれに接続されたワイヤー端子の斜視図。
【図2】実施例1における、出力端子の斜視図。
【図3】図2のA−A線矢視断面図。
【図4】図2のB視図。
【図5】図4のC視図。
【図6】図4のD−D線矢視断面図。
【図7】実施例1における、端子本体の斜視図。
【図8】実施例1における、端子本体の他の斜視図。
【図9】実施例1における、車両用電源装置の断面説明図。
【図10】実施例2における、出力端子とそれに接続されたワイヤー端子の斜視図。
【図11】実施例3における、出力端子とそれに接続されたワイヤー端子の斜視図。
【図12】実施例4における、出力端子とそれに接続されたワイヤー端子の斜視図。
【図13】実施例5における、出力端子の斜視図。
【図14】実施例6における、出力端子とそれに接続されるワイヤー端子の斜視図。
【図15】実施例7における、出力端子とそれに接続されるバスバーの斜視図。
【図16】実施例8における、端子本体の斜視図。
【図17】実施例8における、端子本体の側面図。
【図18】図16のE−E線矢視断面図。
【図19】実施例8における、端子本体の平面図。
【図20】図16のF−F線矢視断面図。
【図21】図16のG視図。
【図22】図16のH視図。
【図23】実施例8における、出力端子の断面図。
【図24】実施例8における、図23のI−I線矢視断面相当の断面図。
【図25】実施例9における、出力端子の断面図。
【図26】図25のJ視図。
【図27】実施例10における、出力端子とスタッドボルトの説明図。
【図28】実施例10における、スタッドボルトを固定した出力端子とナットとの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、上記端子本体は、例えば、ダイカストを始めとする鋳造、あるいは鍛造によって成形されたものであることが好ましい。特に、端子本体は、成形性、強度、電気的抵抗、軽量の観点から、アルミダイカスト品であることが好ましいが、銅など他の金属を用いてもよい。
なお、上記最大直径とは、上記断面外形において、その外形寸法が最も大きくなる方向の寸法を意味する。以下においても同様である。上記断面外形が円形の場合には、その直径が上記最大直径と一致する。
【0016】
また、上記中間部は、上記軸方向の両側部分の最大直径よりも直径の大きい鍔部を有することが好ましい(請求項2)。
この場合には、中間部と固定部材との間の接合面の面積を効果的に大きくすることができると共に、上記接合面に沿った外側接点部から内側接点部までの経路を効果的に長くすることができる。それゆえ、筐体内への水の浸入を効果的に防ぐことができると共に、中間部と固定部材との間の接合強度を高くすることができる。
【0017】
また、上記中間部は、上記外側接点部の最大直径よりも大きい直径を有する大径鍔部を、上記鍔部として有することが好ましい(請求項3)。
この場合には、より一層効果的に、筐体内への水の浸入を効果的に防ぐことができると共に、中間部と固定部材との間の接合強度を高くすることができる。
【0018】
また、上記鍔部のうち最も上記外側接点部に近い位置に形成された上記鍔部と上記外側接点部との間には、周方向に形成された周状溝部が形成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、筐体の外側における水の浸入経路の入口において、効果的に水の浸入を阻止することができる。
【0019】
また、上記端子本体は、上記鍔部の外周端面に周方向に形成された端面溝部を有することが好ましい(請求項5)。
この場合には、直径の大きくなる上記外周端面において中間部と固定部材との間の接合面の面積を大きくするとともに、水の浸入経路を複雑にすることができる。それゆえ、効率的に、端子本体と固定部材との間の接合強度を高めると共に、水の浸入を防ぐことができる。
【0020】
また、上記端子本体は、上記鍔部の表面に、径方向に放射状に延びる放射状リブを形成してなることが好ましい(請求項6)。
この場合には、中間部と固定部材との間の接合面積を大きくすることにより、両者の接合強度を高めることができる。また、端子本体と固定部材との間の回り止めを効果的に行うことができる。
【0021】
また、上記中間部は、その外周面における全周の一部であると共に全長の一部となる領域に形成される外周凹部を複数有することが好ましい(請求項7)。
この場合には、中間部と固定部材との間の接合面積を大きくすることにより、両者の接合強度を高めることができる。また、端子本体と固定部材との間の回り止めを効果的に行うことができる。さらには、中間部と固定部材との間の水の浸入経路を複雑化することができるため、筐体内への水の浸入を効果的に防ぐことができる。
【0022】
また、上記固定部材は、上記筐体の外側面に当接させるフランジ部と、該フランジ部から上記内側接点部側に延設されると共に上記筐体に設けた取付孔に挿入する筒状部とを有することが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記出力端子を上記筐体に対して、容易に安定して固定することができる。
【0023】
また、上記筒状部は、上記内側接点部の一部を外周側から覆うように延設された内側延設部を備え、該内側延設部と上記内側接点部との間に、周状空間が形成されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記内側接点部と筐体との間の沿面距離を長くすることができ、端子本体と筐体との間の絶縁抵抗をより高くすることができる。
【0024】
また、上記周状空間には、樹脂製の封止部材が充填されていることが好ましい(請求項10)。
この場合には、中間部と固定部材との間に水が浸入しても、上記封止部材によって、筐体内部への水の浸入を阻止することができる。
【0025】
また、上記中間部は、上記外側接点部よりも大きい直径を有する大径鍔部を、上記鍔部として有し、上記フランジ部は、上記大径鍔部の外周に形成されていることが好ましい(請求項11)。
この場合には、上記出力端子の大型化を防ぎつつ、端子本体と固定部材との接合面の面積の拡大及び水の浸入経路の延長を実現することができる。その結果、水の浸入を効果的に防ぐことができると共に、端子本体と固定部材との接合強度が高い、コンパクトな出力端子を得ることができる。すなわち、フランジ部は、筐体との組み付けのために大径とする必要があるため、その大径となるフランジ部の形成部分に大径鍔部を配置することによって、出力端子の大型化を招くことなく、水の浸入防止効果と、端子本体と固定部材との接合強度の向上を図ることができる。つまり、大径鍔部を設けるために出力端子を大型化する必要がない。
【0026】
また、上記フランジ部は、上記筐体の外側面に係合する位置決め部を備えていることが好ましい(請求項12)。
この場合には、上記出力端子を上記筐体に対して容易かつ正確に位置決めして固定することができる。
【0027】
また、上記中間部における上記外側接点部との隣接部は、上記外側接点部と断面外形が同一であることが好ましい(請求項13)。
この場合には、上記外側接点部に設けた上記回り止め部と、上記中間部における非円形部の少なくとも一部とを、連続形成することができる。つまり、非円形部の少なくとも一部を中間部における上記外側接点部との隣接部に容易に形成することができる。
【0028】
また、上記端子本体には、ネジ穴が形成されており、該ネジ穴に螺合するボルトと上記端子本体との間に上記外部接続端子を固定するよう構成されていることが好ましい(請求項14)。
この場合には、上記外部接続端子を容易かつ確実に上記出力端子に取り付けることができる。また、上記端子本体を、一体の金属部品として作製することが容易となる。
【0029】
また、上記端子本体は、上記ネジ穴を、上記外側接点部から上記中間部までにわたって上記軸方向に形成してなることが好ましい(請求項15)。
この場合には、端子本体の大型化を招くことなく、上記出力端子と上記ボルトとの締結強度を高くすることができる。すなわち、端子本体と固定部材との間の接合強度を充分に確保するためには、両者の間の接合面の面積をある程度大きくする必要があり、そのために、中間部の直径はある程度の大きさが必要である。そうすると、中間部の内側には上記ネジ穴を形成するための領域がある程度の大きさで確保されることとなる。それゆえ、中間部までネジ穴を形成しても、ネジ穴のためだけに中間部の直径が大きくなるわけではないため、端子本体の大型化を招くことなく、出力端子とボルトとの締結強度を高くすることができることとなる。なお、内側接点部には、固定部材との接合という役割がないため、ネジ穴の形成領域を、その手前である中間部までとすることにより、出力端子の大型化を防ぐことができる。
【0030】
また、上記出力端子は、上記内側接点部と上記中間部と上記外側接点部とを、上記ネジ穴の形成方向に沿って一直線上に配設してなることが好ましい(請求項16)。
この場合には、上記出力端子の構造を簡素化することができる。
【0031】
また、上記車両用電源装置は、直流電力を降圧又は昇圧するためのDC−DCコンバータであることが好ましい(請求項17)。
この場合には、特に、大電流が上記出力端子に流れるため、一体の金属部品によって端子本体を構成した本発明によれば、出力端子における発熱を抑制しやすいという利点がある。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる車両用電源装置につき、図1〜図9を用いて説明する。
本例の車両用電源装置1は、図9に示すごとく、電力を生成する電源部2と、該電源部を覆う筐体3と、該筐体3に固定されると共に上記電源部2から出力を取り出す出力端子4とを有する。そして、この車両用電源装置1は、車両に搭載される。
【0033】
図1、図9に示すごとく、出力端子4には、電力の供給先の外部機器と接続するための外部接続端子が接続される。本例において、外部接続端子は、ワイヤー50の先端に設けたワイヤー端子5である。
図3、図7、図8に示すごとく、出力端子4は、電源部2との接続部からワイヤー端子5との接続部までの電流経路を構成する端子本体40が、一体の金属部品からなる。
端子本体40は、図1に示すごとく、ワイヤー端子5と直接係合して該ワイヤー端子5が端子本体40に対して回転することを規制する回り止め部41(図2、図4、図5、図7、図8参照)を有する。
【0034】
本例の車両用電源装置1は、直流電力を降圧するためのDC−DCコンバータである。すなわち、電気自動車あるいはハイブリッド自動車における高圧バッテリー(図示略)から、補機を作動させるための補機バッテリー(図示略)への充電を行うために、例えば300Vの高圧バッテリー電圧から例えば12Vの補機バッテリー電圧へ直流電力を降圧する。したがって、上記出力端子4に接続されるワイヤー50は、補機バッテリーに接続されている。
【0035】
端子本体40は、図3、図7、図8に示すごとく、電源部2と接続される内側接点部42と、ワイヤー端子5と接続される外側接点部43とを有する。内側接点部42は略直方体形状を有し、その厚み方向に貫通した貫通孔421を有する。一方、外側接点部43は、その端面が平面状となっており、この端面から軸方向にネジ穴431が形成されている。図1に示すごとく、このネジ穴431に螺合するボルト6と端子本体40との間にワイヤー端子5が固定される。
【0036】
図1〜図5に示すごとく、出力端子4は、端子本体40を部分的に覆う絶縁体からなる被服部である固定部材400を有する。すなわち、端子本体40における上記内側接点部42と上記外側接点部43とが露出するように、両者の間の部分である中間部44において固定部材400が端子本体40の周囲に形成されている。中間部44は、端子本体40の軸方向に直交する断面外形が非円形となる非円形部を少なくとも一部に有し、かつ、軸方向の複数個所において断面外形の最大直径が変化する径変部を有する。
【0037】
固定部材400は、樹脂成形体によって構成されている。また、固定部材400には、図9に示すごとく、筐体3に出力端子4を固定するためのフランジ部401が形成されている。フランジ部401には、図4、図6に示すごとく、端子本体40の軸方向に貫通する2つの固定用孔402が形成されている。該固定用孔402の周囲は、例えばアルミニウム等の金属からなる円環状のブッシュ403が、固定部材400にインサート成型されてなる。該ブッシュ403は、端子本体40とは電気的に絶縁されている。
【0038】
また、端子本体40は、ダイカストによって成形されたもの、特に本例では、アルミダイカストにより成形されたものである。
図2、図4、図7、図8に示すごとく、回り止め部41は、外側接点部43の外周面に設けた平面部によって構成されている。この平面部(回り止め部41)は、外側接点部43の外周面における2個所に、互いに平行に形成されている。
【0039】
図1に示すごとく、上記回り止め41に対して、ワイヤー端子5が直接係合する。ワイヤー端子5は、ボルト6を挿通する開口部を設けた接点部51と、ワイヤー50を挟持する挟持部52とを有する。そして、ワイヤー端子5は、接点部51から略垂直方向へ形成された回り止め爪53を有する。
【0040】
ワイヤー端子5は、接点部51を端子本体40の端面に接触させると共に、回り止め爪53を端子本体40の回り止め部41に接触あるいは近接して対向配置させた状態で、出力端子4に固定される。すなわち、この状態で、ボルト6をワイヤー端子5の接点部51に設けた開口部に挿通すると共に、端子本体40におけるネジ穴431に螺合することにより、出力端子4にワイヤー端子5を締結する。
【0041】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記車両用電源装置1においては、出力端子4の端子本体40が一体の金属部品(アルミダイカスト品)からなる。すなわち、端子本体40は、電源部2との接続部(内側接点部42)からワイヤー端子5との接続部(外側接点部43)まで、複数の金属部品の組み合わせではなく、一つの鋳造品(ダイカスト品)すなわち一つの金属部品によって構成されている。
そのため、端子本体40を構成する部品点数を削減して、製造容易な安価な出力端子4を得ることができ、ひいては車両用電源装置1の低コスト化を図ることができる。
【0042】
また、端子本体40は、回り止め部41を備えている。すなわち、回り止め部41も、端子本体40の一部として一体化されている。そのため、ワイヤー端子5の回転を規制するために、出力端子4に回り止め部41を改めて形成する必要がない。そのため、出力端子4の低コスト化を図ることができる。
また、金属部品からなる端子本体40に回り止め部41を設けることとなるため、係合されるワイヤー端子5からの負荷がかかっても、回り止め部41が破損するなどの不具合を生じるおそれがない。そのため、確実にワイヤー端子5の回り止めを行うことができる。
【0043】
また、車両用電源装置1はDC−DCコンバータであり、特に、大電流が出力端子4に流れるため、一体の金属部品によって端子本体40を構成した本発明によれば、出力端子4における発熱を抑制しやすいという利点がある。
【0044】
また、端子本体40には、ネジ穴431が形成されており、該ネジ穴431に螺合するボルト6と端子本体40との間にワイヤー端子5を固定するよう構成されている。これにより、ワイヤー端子5を容易かつ確実に出力端子4に取り付けることができる。また、端子本体40を、一体の金属部品として作製することが容易となる。
【0045】
以上のごとく、本例によれば、部品点数が少なく、安価で、かつ接続するワイヤー端子の回り止めを確実に行うことができる出力端子を有する車両用電源装置を提供することができる。
【0046】
(実施例2)
本例は、図10に示すごとく、出力端子4に設けた回り止め部41の構成を変更した例である。
すなわち、本例の車両用電源装置1の出力端子4における回り止め部41は、出力端子4から突出した突起体からなる。この突起状の回り止め部41が、ワイヤー端子5に設けた係合穴54に挿嵌されることにより、出力端子4に対するワイヤー端子5の回転が規制される。
なお、本例の回り止め部41も、端子本体40と一体成形されている。
また、回り止め部41は、ボルト6を螺合するネジ穴を挟んで互いに反対側の位置に、一対形成されている。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0047】
(実施例3)
本例は、図11に示すごとく、ワイヤー端子5に、係合穴54を2つ設け、その2つの係合穴に対して、2つの突起状の回り止め部41を係合させた例である。
その他は、実施例2と同様である。
なお、図11は、ボルトを出力端子4のネジ穴431に螺合する前の状態を示す。
【0048】
本例の場合には、ボルト6を取り付ける前に、2つの係合穴54のそれぞれに回り止め部41を係合させることによって、出力端子4に対するワイヤー端子5の位置決めを行うことができる。そのため、出力端子4へのワイヤー端子5の固定作業を、より容易かつ効率的に行うことができる。
その他、実施例2と同様の作用効果を有する。
【0049】
(実施例4)
本例は、図12に示すごとく、出力端子4に雄ネジ部432を形成した例である。
雄ネジ部432は、端子本体40と一体成形されている。
この場合、雄ネジ部432を、ワイヤー端子5に挿通し、雄ネジ部432にナット61を螺合することによって、ワイヤー端子5を出力端子4に締結する。
また、出力端子4には、端子本体40と一体成形された突起状の回り止め部41が形成されており、該回り止め部41が、ワイヤー端子5に設けた係合穴54に挿嵌される。これにより、出力端子4に対してワイヤー端子5が回転することを規制する。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0050】
(実施例5)
本例は、図13に示すごとく、出力端子4の端子本体40における外側接点部43の端面に、凹状の回り止め部41を設けた例である。
回り止め部41は、ネジ穴431を挟んで両側に一対形成されており、それぞれ平面視において長方形状を有する。
この凹状の回り止め部41に、ワイヤー端子5に設けた一対の回り止め爪(図示略)を係合した状態で、ワイヤー端子5を出力端子4に固定する。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0051】
(実施例6)
本例は、図14に示すごとく、出力端子4の端子本体40における外側接点部43の端面に、六角柱状の回り止め部41を設けた例である。
この回り止め部41の内側にネジ穴431が形成されている。
そして、ワイヤー端子5の開口部55を六角形に形成し、開口部55に回り止め部41を挿嵌した状態で、ワイヤー端子5を出力端子4に固定する。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0052】
(実施例7)
本例は、図15に示すごとく、出力端子4に接続する外部接続端子として、バスバー5bを用いた例である。
バスバー5bは、銅等の金属板からなり、他端を電力供給先の外部機器に接続させている。
そして、バスバー5bにも回り止め爪53が形成されており、該回り止め爪53は出力端子4の外側接点部43に設けた回り止め部41に係合される。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0053】
(実施例8)
本例においては、図16〜図24に示すごとく、出力端子4の形状、特に端子本体40の形状をより具体的に示す。
図23、図24に示すごとく、出力端子4は、金属製の端子本体40と、車両用電源装置1の筐体3(図9参照)に出力端子4を固定するための樹脂製の固定部材400とからなる。
【0054】
図16〜図20、図23、図24に示すごとく、端子本体40は、電源部2に接続される内側接点部42と、外部接続端子(ワイヤー端子5)が接続される外側接点部43と、内側接点部42と外側接点部43との間に介在して固定部材400を外周に固定した中間部44とを備えた一体の金属部品からなる。
なお、図20に示すごとく、端子本体40において、中間部44は、固定部材400が外周面に固定された部分、すなわち固定部材400が接触した部分が該当し、軸方向におけるその両側に形成された部分が、それぞれ内側接点部42及び外側接点部43である。
【0055】
外側接点部43は、外部接続端子と直接係合して外部接続端子が端子本体40に対して回転することを規制する回り止め部41を有する。
中間部44は、端子本体40の軸方向に直交する断面外形が非円形となる非円形部を少なくとも一部に有し、かつ、軸方向の複数個所において断面外形の最大直径が変化する径変部を有する。
【0056】
中間部44は、軸方向の両側部分の最大直径よりも直径の大きい2個の鍔部(大径鍔部45及び小径鍔部450)を有する。図21、図22に示すごとく、大径鍔部45及び小径鍔部450は、いずれも、軸方向から見た外形が円形である。大径鍔部45は、外側接点部43の最大直径よりも大きい直径を有する。小径鍔部450は、大径鍔部45よりも直径が小さく、内側接点部42の最大直径よりも直径が大きい。小径鍔部450は、中間部44における、内側接点部42に近い側に形成され、大径鍔部45は、中間部44における、外側接点部43に近い側に形成されている。
【0057】
大径鍔部45と外側接点部43との間には、周方向に形成された周状溝部46が形成されている。また、端子本体40は、大径鍔部45の外周端面に周方向に形成された端面溝部451を有する。また、端子本体40は、大径鍔部45の表面に、径方向に放射状に延びる放射状リブ452を複数形成してなる。放射状リブ452は、大径鍔部45における内側接点部42側の面に形成されている。
【0058】
中間部44は、図16、図17、図19に示すごとく、その外周面における全周の一部であると共に全長の一部となる領域に形成される外周凹部441を複数有する。外周凹部441は、互いに独立した状態で、軸方向に2個、周方向に4個、整列して形成されている。
また、中間部44には、外側接点部43における回り止め部41を構成する平面と平行な平坦面部442が形成されている。
【0059】
図23、図24に示すごとく、固定部材400は、筐体3の外側面に当接させるフランジ部401と、該フランジ部401から内側接点部42側に延設されると共に筐体3に設けた取付孔に挿入する筒状部404とを有する。
筒状部404は、内側接点部42の一部を外周側から覆うように延設された内側延設部405を備え、該内側延設部405と内側接点部42との間に、周状空間406が形成されている。また、内側接点部42における中間部44との隣接部分であって周状空間406に面する部分の一部には、内側にくびれたくびれ部422が形成されている。
【0060】
フランジ部401は、端子本体40における大径鍔部45の外周に形成されている。また、フランジ部401は、筐体3の外側面に係合する位置決め部407を備えている。すなわち、位置決め部407は、フランジ部401から軸方向に突出しており、筐体3の外側面における所定の位置に設けた凹部に係合することにより、筐体3に対して出力端子4の位置決めを行うと共に回転を防いでいる。
【0061】
中間部44における外側接点部43との隣接部443は、外側接点部43と断面外形が同一である。
中間部44における上記非円形部は、例えば、外周凹部441、平坦面部442、放射状リブ452、周状溝部46、隣接部443が形成されている軸方向位置において構成されている。すなわち、外周凹部441、平坦面部442、放射状リブ452が中間部44における周方向の一部に形成されていることにより、それらの部分の断面外形が非円形となり、周状溝部46や隣接部443の断面外形を非円形とすることにより、この部分にも非円形部を形成することができる。
また、中間部44における上記径変部は、例えば、大径鍔部45、小径鍔部450、周状溝部46、端面溝部451、外周凹部441によって構成されている。
【0062】
端子本体40には、ネジ穴431が形成されており、該ネジ穴431に螺合するボルト6と端子本体40との間に外部接続端子(ワイヤー端子5)を固定するよう構成されている(図1参照)。図23、図24に示すごとく、ネジ穴431は、外側接点部43から中間部44までにわたって軸方向に形成してある。具体的には、中間部44における内側接点部42との境界部分となる軸方向位置まで、ネジ穴431が形成されている。
出力端子4は、内側接点部42と中間部44と外側接点部43とを、ネジ穴431の形成方向に沿って一直線上に配設してなる。
その他は、実施例1と同様である。
【0063】
次に、本例の作用効果につき説明する。
出力端子4は、端子本体40と固定部材400とからなり、固定部材400を外周に固定する端子本体40の中間部44は、非円形部(外周凹部441、平坦面部442、放射状リブ452、周状溝部46、隣接部443)を有している。それゆえ、軸方向を中心とする回転方向について、端子本体40と固定部材400との間の相対的な回転を形状的に防ぐ構造となっている。それゆえ、端子本体40の回り止め部41に係合した外部接続端子(ワイヤー端子5)に、回転方向に大きな負荷がかかっても、端子本体40と固定部材400との間の回転をも確実に防ぐことができる。
すなわち、端子本体40に形成された回り止め部41と、端子本体40の中間部44の非円形部とによって、筐体3に対する外部接続端子(ワイヤー端子5)の回転を確実に防ぐことができる。
【0064】
また、端子本体40の中間部44は、軸方向の複数個所において断面外形の最大直径が変化する径変部(大径鍔部45、小径鍔部450、周状溝部46、端面溝部451、外周凹部441等)を有する。そのため、図23、図24に示すごとく、中間部44と固定部材400との間の接合面49は、外側接点部43から内側接点部42へ向かって、直線的ではなく、複雑な形状となる。すなわち、接合面49の面積が大きくなると共に、接合面49に沿って外側接点部43から内側接点部42まで辿り着く経路は長くなる。それゆえ、万一、外側接点部43から水が端子本体40と固定部材400との間に浸入しても、そこから内側接点部40まで水が辿り着くことを防ぐことができる。すなわち、筐体3内への水の浸入を効果的に防ぐことができる。
【0065】
また、中間部44は、大径鍔部45及び小径鍔部450を有するため、中間部44と固定部材400との間の接合面49の面積を効果的に大きくすることができると共に、接合面49に沿った外側接点部43から内側接点部42までの経路を効果的に長くすることができる。それゆえ、筐体3内への水の浸入を効果的に防ぐことができると共に、中間部44と固定部材400との間の接合強度を高くすることができる。
【0066】
また、大径鍔部45と外側接点部43との間には、周状溝部46が形成されている。そのため、筐体3の外側における水の浸入経路の入口において、効果的に水の浸入を阻止することができる。
端子本体40は、大径鍔部45に端面溝部451を有する。そのため、直径の大きくなる外周端面において中間部44と固定部材400との間の接合面49の面積を大きくするとともに、水の浸入経路を複雑にすることができる。それゆえ、効率的に、端子本体40と固定部材400との間の接合強度を高めると共に、水の浸入を防ぐことができる。
【0067】
また、端子本体40は、大径鍔部45の表面に放射状リブ452を形成してなる。そのため、中間部44と固定部材400との間の接合面積を大きくすることにより、両者の接合強度を高めることができる。また、端子本体40と固定部材400との間の回り止めを効果的に行うことができる。
【0068】
また、中間部44は、外周凹部441を複数有する。そのため、中間部44と固定部材400との間の接合面積を大きくすることにより、両者の接合強度を高めることができる。また、端子本体40と固定部材400との間の回り止めを効果的に行うことができる。さらには、中間部44と固定部材400との間の水の浸入経路を複雑化することができるため、筐体3内への水の浸入を効果的に防ぐことができる。
【0069】
また、固定部材400は、フランジ部401と筒状部404とを有するため、出力端子4を筐体3に対して、容易に安定して固定することができる。
また、筒状部404は、内側延設部405を備え、該内側延設部405と内側接点部42との間に、周状空間406が形成されている。そのため、内側接点部42と筐体3との間の沿面距離を長くすることができ、端子本体40と筐体3との間の絶縁抵抗をより高くすることができる。
【0070】
また、フランジ部401は、大径鍔部45の外周に形成されている。これにより、出力端子4の大型化を防ぎつつ、端子本体40と固定部材400との接合面49の面積の拡大及び水の浸入経路の延長を実現することができる。その結果、水の浸入を効果的に防ぐことができると共に、端子本体40と固定部材400との接合強度が高い、コンパクトな出力端子4を得ることができる。すなわち、フランジ部401は、筐体3との組み付けのために大径とする必要があるため、その大径となるフランジ部401の形成部分に大径鍔部45を配置することによって、出力端子4の大型化を招くことなく、水の浸入防止効果と、端子本体40と固定部材400との接合強度の向上を図ることができる。つまり、大径鍔部45を設けるために出力端子4を大型化する必要がない。
【0071】
また、フランジ部401は位置決め部407を備えているため、出力端子4を筐体3に対して容易かつ正確に位置決めして固定することができる。
また、中間部44における隣接部443は、外側接点部43と断面外形が同一である。これにより、外側接点部43に設けた回り止め部41と、中間部44における非円形部の少なくとも一部とを、連続形成することができる。つまり、非円形部の一部を中間部44における隣接部443に容易に形成することができる。
【0072】
また、出力端子4は、ネジ穴431に螺合するボルト6と端子本体40との間に外部接続端子(ワイヤー端子5)を固定するよう構成されている。これにより、外部接続端子を容易かつ確実に出力端子4に取り付けることができる。また、端子本体40を、一体の金属部品として作製することが容易となる。
【0073】
また、端子本体40は、ネジ穴40を、外側接点部43から中間部44までにわたって軸方向に形成してなる。これにより、端子本体40の大型化を招くことなく、出力端子4とボルト6との締結強度を高くすることができる。すなわち、端子本体40と固定部材400との間の接合強度を充分に確保するためには、両者の間の接合面49の面積をある程度大きくする必要があり、そのために、中間部44の直径はある程度の大きさが必要である。そうすると、中間部44の内側にはネジ穴431を形成するための領域がある程度の大きさで確保されることとなる。それゆえ、中間部44までネジ穴431を形成しても、ネジ穴431のためだけに中間部44の直径が大きくなるわけではないため、端子本体40の大型化を招くことなく、出力端子4とボルト6との締結強度を高くすることができることとなる。なお、内側接点部42には、固定部材400との接合という役割がないため、ネジ穴431の形成領域を、その手前である中間部44までとすることにより、出力端子4の大型化を防ぐことができる。
【0074】
また、出力端子4は、内側接点部42と中間部44と外側接点部43とを、ネジ穴431の形成方向に沿って一直線上に配設してなるため、出力端子4の構造を簡素化することができる。
【0075】
以上のごとく、本例によれば、部品点数が少なく、安価で、筐体内への水の浸入を防ぐことができ、かつ接続する外部接続端子の回り止めを確実に行うことができる出力端子を有する車両用電源装置を提供することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0076】
(実施例9)
本例は、図25、図26に示すごとく、端子本体40の内側接点部42と固定部材400の筒状部404の内側延設部405との間の周状空間406に、樹脂製の封止部材408を充填した例である。
封止部材は、エポキシ樹脂等の接着剤からなり、上記周状空間406において端子本体40と固定部材400との間を水密的に封止している。
その他は、実施例1と同様である。
【0077】
本例の場合には、中間部44と固定部材400との間に水が浸入しても、封止部材408によって、筐体3内部への水の浸入を阻止することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0078】
(実施例10)
本例は、図27、図28に示すごとく、出力端子4に対する外部接続端子(ワイヤー端子5)の固定手段として、スタッドボルト62とナット61とを用いた例である。
すなわち、端子本体40のネジ穴431にスタッドボルト62を螺合固定しておき、そのスタッドボルト62に対して、外部接続端子(ワイヤー端子5)を係合し、ナット61を締結する。
その他は、実施例1と同様である。
【0079】
本例の場合にも、外部接続端子(ワイヤー端子5)を、出力端子4に容易かつ確実に固定することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0080】
上記回り止め部41の構成を含め、上記出力端子4の構成は、上述した実施例以外にも、種々の態様が考えられる。
また、上記実施例においては、端子本体40を、アルミダイカスト品によって構成した例を示したが、端子本体40の素材や製法は、これに限られるものではない。
また、上記実施例においては、車両用電源装置として降圧用のDC−DCコンバータを例に挙げたが、これに限らず、昇圧用のコンバータ、インバータ、あるいは交流発電機等、他の車両用電源装置にも同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 車両用電源装置
2 電源部
3 筐体
4 出力端子
40 端子本体
42 内側接点部
43 外側接点部
400 固定部材
41 回り止め部
5 ワイヤー端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を生成する電源部と、該電源部を覆う筐体と、該筐体に固定されると共に上記電源部から出力を取り出す出力端子とを有する、車両に搭載される車両用電源装置であって、
上記出力端子には、電力の供給先の外部機器と接続するための外部接続端子が接続され、
上記出力端子は、金属製の端子本体と、上記筐体に上記出力端子を固定するための樹脂製の固定部材とからなり、
上記端子本体は、上記電源部に接続される内側接点部と、上記外部接続端子が接続される外側接点部と、上記内側接点部と上記外側接点部との間に介在して上記固定部材を外周に固定した中間部とを備えた一体の金属部品からなり、
上記外側接点部は、上記外部接続端子と直接係合して該外部接続端子が上記端子本体に対して回転することを規制する回り止め部を有し、
上記中間部は、上記端子本体の軸方向に直交する断面外形が非円形となる非円形部を少なくとも一部に有し、かつ、上記軸方向の複数個所において上記断面外形の最大直径が変化する径変部を有することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用電源装置において、上記中間部は、上記軸方向の両側部分の最大直径よりも直径の大きい鍔部を有することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用電源装置において、上記中間部は、上記外側接点部の最大直径よりも大きい直径を有する大径鍔部を、上記鍔部として有することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用電源装置において、上記鍔部のうち最も上記外側接点部に近い位置に形成された上記鍔部と上記外側接点部との間には、周方向に形成された周状溝部が形成されていることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記端子本体は、上記鍔部の外周端面に周方向に形成された端面溝部を有することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記端子本体は、上記鍔部の表面に、径方向に放射状に延びる放射状リブを形成してなることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記中間部は、その外周面における全周の一部であると共に全長の一部となる領域に形成される外周凹部を複数有することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記固定部材は、上記筐体の外側面に当接させるフランジ部と、該フランジ部から上記内側接点部側に延設されると共に上記筐体に設けた取付孔に挿入する筒状部とを有することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用電源装置において、上記筒状部は、上記内側接点部の一部を外周側から覆うように延設された内側延設部を備え、該内側延設部と上記内側接点部との間に、周状空間が形成されていることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車両用電源装置において、上記周状空間には、樹脂製の封止部材が充填されていることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記中間部は、上記外側接点部よりも大きい直径を有する大径鍔部を、上記鍔部として有し、上記フランジ部は、上記大径鍔部の外周に形成されていることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記フランジ部は、上記筐体の外側面に係合する位置決め部を備えていることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記中間部における上記外側接点部との隣接部は、上記外側接点部と断面外形が同一であることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、上記端子本体には、ネジ穴が形成されており、該ネジ穴に螺合するボルトと上記端子本体との間に上記外部接続端子を固定するよう構成されていることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項15】
請求項14に記載の車両用電源装置において、上記端子本体は、上記ネジ穴を、上記外側接点部から上記中間部までにわたって上記軸方向に形成してなることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の車両用電源装置において、上記出力端子は、上記内側接点部と上記中間部と上記外側接点部とを、上記ネジ穴の形成方向に沿って一直線上に配設してなることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の車両用電源装置において、直流電力を降圧又は昇圧するためのDC−DCコンバータであることを特徴とする車両用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−108633(P2011−108633A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213196(P2010−213196)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】