説明

車両管制装置

【課題】 プラットフォーム上での車両の滞留台数が増加しても、プラットフォームへの進入車両を最適ゲートへ素早く誘導し、渋滞させることなく円滑な車輌管制を可能とした車両管制装置を提供すること。
【解決手段】 プラットフォーム11内の車両滞留台数が有るレベル以上になった場合、車両を、前回案内したゲート14に対して分散した位置のゲート14に案内するようにしたので、車両が進入口12近くのエリアまたは退出口13近くのエリアに片寄らなくなり、渋滞を防止して円滑な車両管制が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却施設などに適用され、プラットフームへの進入車両を、いずれかのゲートに案内する車両管制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却施設などでは、車両進入口から専用のプラットフォーム上に進入したごみ搬入用の車両を、互いに並設された複数のゲートのいずれかに案内し、案内されたゲートにおいてごみ投入などの所定の作業を実施させる。作業終了後、車両は前記進入口の反対側に位置する退出口からプラットフォーム外に退出する。この場合、ごみ搬入車のゲートへの誘導は、複数のゲート(ごみバンカ扉)に対して順番に選択し、案内指示を行っていた。
【0003】
すなわち、図6で示すように、ごみ焼却施設のプラットフォーム11には、その左右両端に進入口12と退出口13が設けられ、さらに、プラットフォーム11の一辺に沿って複数のゲート(ごみバンカ扉)14が並設されている。各ゲート14には、退出口13側から進入口12側に向って、「1」「2」・・・「n−1」「n」の番号が順次設定されている。進入口12からプラットフォーム11内に進入した車両は、図7で示すように、若い番号から順次サイクリックに選択された番号のゲート14に案内される。案内されたゲート14にてごみ投入などの処理が終了した車両は、それぞれ退出口13からプラットフォーム11外に退出する。
【0004】
このような車両に対する管制制御において、一般に、ごみの収集時間帯は一日うちのある特定時間帯に集中するので、ごみ焼却場への搬入時間帯も集中する。このため、プラットフォーム内もラッシュアワー状態となる。このように、ごみ搬入車両が集中する時間帯では、プラットフォーム11内の車両滞留台数が多くなり、これらが進入路、退出路に片寄ると車輌渋滞が発生し、最悪は衝突事故を起こしかねない。
【0005】
プラットフォーム11上での車両の案内は、前述のように若い扉番号から順に投入先のゲートを選択し、搬入車に指示していた。このため、前回選択した扉番号が進入路側の場合、機械的に次の番号のゲートを指示するため、退出側が空いているのに進入側を指示することになる。このため、プラットフォーム11上がある程度混雑している場合は、進入路での混雑、渋滞が発生する原因となる。また、前回に選択した扉が退出側でも、車両搬入台数が一定数を超過すると、退出側で渋滞となる。
【0006】
このような問題に対し、各ゲートでの車両の状態をテレビカメラなどで撮像して表示したり、各車両の位置をGPSシステムで捉えたりして、車両を効率的に案内することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−131225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したテレビカメラやGPSシステムを用いることは、設備コストが大幅に増大し、実際的ではない。
【0008】
ここで、プラットフォーム上での車両の動向を検証したところ、ごみ搬入車の滞留台数が多くても、進入路/退出路エリアに車両が片寄らない様に案内することが、渋滞解消に繋がることが見出された。
【0009】
本発明の目的は、プラットフォーム上での車両の滞留台数が増加しても、プラットフォームへの進入車両を最適ゲートへ素早く誘導し、渋滞させることなく円滑な車輌管制を可能とした車両管制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両管制装置は、一側方に車両の進入口が設けられ、また、他側方には退出口が設けられ、さらに、これらの間には複数のゲートが並設されているプラットフームへの進入車両を、前記いずれかのゲートに案内する車両管制装置であって、前記プラットフォーム上での車両の滞留台数を検出する滞留台数検出手段と、プラットフォームに進入した車両がどのゲートに案内されたかを記憶しておく案内ゲート記憶手段と、前記プラットフォームを、前記退出口から所定数のゲートを含む退出エリアと、残りのゲートを含む進入口側の進入エリアとに区分しておき、前回車両が案内されたゲートが上記退出エリアまたは進入エリアのどちらかを判定するエリア判定手段と、前記プラットフォームに車両が進入するたびに、車両プラットフォームにおける前記滞留台数に基き車両の混雑度を判定し、混雑度が設定レベル以上の混雑中であれば、今回進入した車両を、前回案内したエリア以外のエリアの最も退出口寄りの空いたゲートに案内し、混雑度が前記混雑中でなければ、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する車両案内手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の車両管制装置は、前記プラットフォーム上での車両の滞留台数を検出する滞留台数検出手段と、プラットフォームに進入した車両がどのゲートに案内されたかを記憶しておく案内ゲート記憶手段と、前記プラットフォームに車両が進入するたびに、車両プラットフォームにおける前記滞留台数に基き車両の混雑度を判定し、混雑度が設定レベル以上の混雑中であれば、今回進入した車両を、前回案内したゲートに対し、予め設定した複数ゲートスキップした空いたゲートに案内し、混雑度が前記混雑中でなければ、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する車両案内手段とを備えた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プラットフォーム内の車両滞留台数が有るレベル以上になった場合、車両を、前回案内したゲートに対して分散した位置のゲートに案内するようにしたので、車両が進入側または退出側のエリアに片寄らなくなり、渋滞を防止して円滑な車両管制が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による車両管制装置の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、この実施の形態における車両管制装置の構成を表す機能ブロック図である。この実施の形態における車両管制装置も、図6で示したように、ごみ焼却施設のプラットフォーム11に、進入口12から進入した車両を、プラットフォーム11の一辺に沿って並設された複数のゲート(ごみバンカ扉)14のいずれかに案内するものである。なお、案内されたゲート14にてごみ投入などの処理が終了した車両は、それぞれ退出口13からプラットフォーム11外に退出する。また、各ゲート14には、退出口13側から進入口12側に向って、「1」「2」・・・「n−1」「n」の番号が順次設定されている。
【0015】
図1において、21は車両の進入検出器で、図6で示した進入口12に設けられ、プラットフォーム11に進入する車両を検出する。22は車両の退出検出器で、図6で示した退出口13に設けられ、プラットフォーム11から退出する車両を検出する。
【0016】
23は滞留台数検出手段で、進入検出器21および退出検出器22から得られるプラットフォーム11への車両の進入台数と退出台数とから、プラットフォーム11上での車両の滞留台数を検出する。24は案内ゲート記憶手段で、プラットフォーム11に進入した車両が、後述する車両案内手段25によって、どのゲート14に案内されたかを記憶している。26はエリア判定手段で、プラットフォーム11を、退出口13から所定数(例えば、総ゲート数aの半数:a/2)のゲート14を含む退出エリアと、残りのゲート14を含む進入口12側の進入エリアとに区分して記憶している。そして、前回車両が案内されたゲート14が、上記退出エリアまたは進入エリアのどちらかに属するかを判定する。
【0017】
前記車両案内手段25は、混雑度判定機能25aおよび案内ゲート決定機能25bを有する。混雑度判定機能25aは、車両がプラットフォーム11に進入するたびに、進入検出器21からの検出信号により動作し、滞留台数検出手段23により検出された滞留台数に基づいて、以下に(1)式に示す判定基準により、プラットフォーム11における車両の混雑度を判定する。
【0018】
a/m<2*c ・・・(1)
a:ゲート14の総数
m:予め定めた混雑係数
c:滞留台数
混雑度判定機能25aは、上記(1)式の判定基準が成立した場合(混雑度が設定レベル以上の場合)、「混雑中」と判定する。案内ゲート決定機能25bは、混雑度が「混雑中」であれば、エリア判定手段26からの情報に基づき、今回進入した車両を、前回案内したエリア以外のエリアの、最も退出口13寄りの空いたゲートに案内する。例えば、前回案内したエリアが進入エリアであれば、それ以外の退出エリアの最も退出口13寄りのゲート(番号「1」のゲート」14を選択し、に案内する。また、前回案内したエリアが退出エリアであれば、それ以外の進入エリアの最も退出口13寄りのゲート(番号「a/2+1」」のゲート14を選択し、に案内する。
【0019】
これに対し、混雑度が「混雑中」でなければ、通常のサイクリック選択により、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する。
【0020】
次に、動作を図2および図3のフローチャートによって説明する。プラットフォーム11への車両の進入が進入口12部分の進入検出器21で検出されると処理がスタートし、図2で示すように、前回案内されたゲート14がどのエリアに属するか判定する(ステップ201,202)。すなわち、前回車両が案内されたゲート番号bがゲート総数aの半数より大きい場合は、前回案内エリアが“進入エリア”と判定する。
【0021】
次に、現在のプラットフォーム11上における車両滞留台数から、前記(1)式を用いて混雑度を検出する(ステップ203,204)。すなわち、滞留台数cがゲート14の総数aの1/mより大きい場合、プラットフォームが「混雑中」と判定する。
【0022】
この結果、前回案内エリアが進入エリアであり(ステップ202:Y)、かつ、プラットフォーム11が「混雑中」であれば(ステップ204:Y)、ゲート番号「b+1」のゲートを指示せず、「NO.1」ゲート(進入エリア以外の退出エリアの最も退出口13寄りのゲート)を指示し直す(ステップ205)。
【0023】
これに対し、前回案内エリアが進入エリアでない場合(ステップ202:N)、或いは、プラットフォーム11が「混雑中」でない場合(ステップ204:N)は、通常のサイクリック選択により、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する(ステップ206)。
【0024】
また、図3で示すように、前回案内されたゲート14のゲート番号bがゲート総数aの半数より小さい場合は、前回案内エリアが“退出エリア”と判定する(ステップ302)。
【0025】
次に、現在のプラットフォーム11上における滞留台数cが、ゲート14の総数aの1/mより大きい場合(ステップ303)は、プラットフォーム11が「混雑中」と判定する(ステップ304:Y)。
【0026】
この結果、前回案内エリアが退出エリアであり(ステップ302:Y)、かつ、プラットフォーム11が「混雑中」であれば(ステップ304:Y)、ゲート番号「b+1」のゲートを指示せず、「NO.(a/2;1)」ゲート(退出エリア以外の進入エリアの最も退出口13寄りのゲート)を指示し直す(ステップ305)。
【0027】
これに対し、前回案内エリアが退出エリアでない場合(ステップ302:N)、或いは、プラットフォーム11が「混雑中」でない場合(ステップ304:N)は、通常のサイクリック選択により、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する(ステップ306)。
【0028】
このように、プラットフォーム11がある程度混雑した場合、前回案内したゲート14が属するエリア以外の他方のエリアの空きゲートに車両を案内するので、従来の単にサイクリックにゲートを選択する場合のように、車両が進入側または退出側のエリアに片寄ることはなく、渋滞を防止して円滑な車両管制が可能となる。
【0029】
つぎに、図4および図5で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、前回案内したゲートが属するエリアを考慮せずに、プラットフォーム11がある程度混雑した場合は、前回案内したゲートに対し、予め設定した複数ゲート分、スキップしたゲートを選択して案内するようにしている。
【0030】
図4において、車両の進入検出器21、退出検出器22、滞留台数検出手段23および案内ゲート記憶手段24は、図1で示したものと同じである。ただし、図1におけるエリア判定手段26は用いない。このため、車両案内手段35では、混雑判定機能35aは図1と共通するものの、案内ゲート決定機能35bは図1と異なる。
【0031】
すなわち、図5のフローチャートで説明するように、プラットフォーム11への車両の進入が進入口12部分の進入検出器21で検出されると処理がスタートし、現在のプラットフォーム11上における車両滞留台数から、前記(1)式を用いて混雑度を検出する(ステップ501)。そして、滞留台数cがゲート14の総数aの1/mより大きい場合、プラットフォームが「混雑中」と判定する(ステップ502)。
【0032】
このように、プラットフォーム11が「混雑中」であれば(ステップ502:Y)、ゲート番号「b+1」のゲートを指示せず、予め設定した複数ゲート分、スキップしたゲートを選択する(ステップ503)。図の例では、予め設定した2ゲート分、スキップしたゲート番号:「NO.(b+2)」のゲートを指示している。
【0033】
これに対し、プラットフォーム11が「混雑中」でない場合(ステップ502:N)は、通常のサイクリック選択により、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する(ステップ504)。
【0034】
このように、プラットフォーム11がある程度混雑した場合、前回案内したゲート14に対し、予め設定した複数ゲート分、スキップしたゲートを選択して案内するようにしているので、車両が進入路/退出路エリアに片寄ることはなく、渋滞を防止して円滑な車両管制が可能となる。
【0035】
なお、上記いずれの実施の形態においても、滞留台数検出手段23は、進入検出器21および退出検出器22から得られる車両の進入台数と退出台数とから、プラットフォーム11上の滞留台数を検出しているが、このような手法に限定されず、例えばプラットフォーム上の画像から滞留台数を検出するなど、各種の方式のものを適用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による車両管制装置の一実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図2】同上一実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図3】同じく同上一実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図5】同上他の実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図6】一般的なプラットフォームの構成を示す平面図である。
【図7】従来のサイクリック選択を説明する図である。
【符号の説明】
【0037】
11 プラットフォーム
12 進入口
13 退出口
14 ゲート
23 滞留台数検出手段
24 案内ゲート記憶手段
25,35 車両案内手段
25a,35a 混雑度判定機能
25b,35b 案内ゲート決定機能
26 エリア判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側方に車両の進入口が設けられ、また、他側方には退出口が設けられ、さらに、これらの間には複数のゲートが並設されているプラットフームへの進入車両を、前記いずれかのゲートに案内する車両管制装置であって、
前記プラットフォーム上での車両の滞留台数を検出する滞留台数検出手段と、
プラットフォームに進入した車両がどのゲートに案内されたかを記憶しておく案内ゲート記憶手段と、
前記プラットフォームを、前記退出口から所定数のゲートを含む退出エリアと、残りのゲートを含む進入口側の進入エリアとに区分しておき、前回車両が案内されたゲートが上記退出エリアまたは進入エリアのどちらかを判定するエリア判定手段と、
前記プラットフォームに車両が進入するたびに、車両プラットフォームにおける前記滞留台数に基き車両の混雑度を判定し、混雑度が設定レベル以上の混雑中であれば、今回進入した車両を、前回案内したエリア以外のエリアの最も退出口寄りの空いたゲートに案内し、混雑度が前記混雑中でなければ、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する車両案内手段と、
を備えたことを特徴とする車両管制装置。
【請求項2】
一側方に車両の進入口が設けられ、また、他側方には退出口が設けられ、さらに、これらの間には複数のゲートが並設されているプラットフームへの進入車両を、前記いずれかのゲートに案内する車両管制装置であって、
前記プラットフォーム上での車両の滞留台数を検出する滞留台数検出手段と、
プラットフォームに進入した車両がどのゲートに案内されたかを記憶しておく案内ゲート記憶手段と、
前記プラットフォームに車両が進入するたびに、車両プラットフォームにおける前記滞留台数に基き車両の混雑度を判定し、混雑度が設定レベル以上の混雑中であれば、今回進入した車両を、前回案内したゲートに対し、予め設定した複数ゲートスキップした空いたゲートに案内し、混雑度が前記混雑中でなければ、前回案内されたゲートの隣の空きゲートに案内する車両案内手段と、
を備えたことを特徴とする車両管制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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