車両走行路用吸音ルーバーパネル
【課題】断面形状が単純なパネル材を要素とする吸音パネル材で構成され、かつ、遮音性、換気性及び調光性に優れた車両走行路用吸音ルーバーパネルを提供する。
【解決手段】本発明かかる車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)は、上面と下面が開放された矩形枠(2)内において道路横断方向(Y)に架設されたルーバー部材(3)の複数が、該矩形枠の道路縦断方向(X)に所定の間隔で並べて組付け配置されたものである。該ルーバー部材は、上下方向(Z)に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材(41,42)で形成した水平部(3a)と、該第一及び第二の吸音パネル材の双方に密着させて上下方向に配置された起立部(3b)とで構成される。そして、該起立部の端が、該水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出ている。
【解決手段】本発明かかる車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)は、上面と下面が開放された矩形枠(2)内において道路横断方向(Y)に架設されたルーバー部材(3)の複数が、該矩形枠の道路縦断方向(X)に所定の間隔で並べて組付け配置されたものである。該ルーバー部材は、上下方向(Z)に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材(41,42)で形成した水平部(3a)と、該第一及び第二の吸音パネル材の双方に密着させて上下方向に配置された起立部(3b)とで構成される。そして、該起立部の端が、該水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出ている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般道路構造、高架橋構造等におけるトンネル出口付近の天井部位や、半地下トンネル構造(掘割り構造)などに用いられる車両走行路用吸音ルーバーパネルに関し、特に、遮音、換気及び調光の性能向上を図るための車両走行路用吸音ルーバーパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行路用吸音ルーバーパネルは、矩形枠内に、ルーバー部材を複数並列させて組付け配置して構成されたもので、例えば、半地下トンネルの天井部に架け渡された横粱間に設置され、遮音、換気及び採光を可能とする天井面を構築するためのものである。そして、従来の吸音ルーバーパネルとして、ルーバー部材を構成する吸音パネル材の断面形状が、「く」の字状のもの(特開2002−309522号公報、実公平6−47932号公報)
、或いはジグザグ状のもの(特開2000−257026号公報)が提案されている。
【0003】
しかしながら、断面形状が「く」の字状、或いはジグザグ状の吸音パネル材は、その製作の際、グラスウールやロックウール等の吸音材が充填収容される箱体を、特殊な形状に成型しなければならず、製作が難しいという問題があった。また、特殊な形状であることから、保管や積載の際、積み上げると無駄な空間が生じ、扱いにくく搬送効率も悪いという問題があった。
【0004】
そこで、吸音パネル材の断面形状をより簡単なものにすることが提案され、そのようなものとして、例えば、特開2000−110121号公報には、断面形状を「ハ」の字状とした吸音パネル材が、また、特開2001−32223号公報には、断面形状が矩形の分割ルーバーを組み合わせて「Z」字状とした吸音パネル材が開示されている。これらの吸音パネル材は、最終的な形状を構成する要素となるパネル材の断面形状が矩形であることから、製造が容易となり、また、安定した状態で積み重ねることができるため、保管スペースを小さくすることができ、取扱いや搬送も容易に行うことができる。
【特許文献1】特開2002−309522号公報
【特許文献2】実公平6−47932号公報
【特許文献3】特開2000−257026号公報
【特許文献4】特開2000−110121号公報
【特許文献5】特開2001−32223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、断面形状がハ字状或いはZ字状の上記吸音パネル材を採用した場合、製造、取扱い、或いは搬送が容易になるという利点はあるもの、従来の配置構成では、最終的に構成される吸音ルーバーパネルの遮音性、換気性及び調光性が十分なものではなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、断面形状が単純なパネル材を要素とする吸音パネル材で構成され、かつ、遮音性、換気性及び調光性に優れた車両走行路用吸音ルーバーパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルでは、上面と下面が開放された矩形枠内において道路横断方向に架設されたルーバー部材の複数が、該矩形枠の道路縦断方向に所定の間隔で並べて組付け配置され、該ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、該第一及び第二の吸音パネルの双方に密着させて上下方向に配置された起立部とで構成される。そして、該起立部の端が、該水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出ている。
【0008】
該起立部は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材で形成され、該第三の吸音パネル材の端が該水平部の下方に突き出ていてもよい。そして、該第一、第二及び第三の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、該第三の吸音パネル材の側面の上縁は、該第三の吸音パネル材の上端面が該水平部の上側をなす該第二の吸音パネル材の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材の側面に密着し、該第三の吸音パネル材の該第二の吸音パネル材に密着していない側面はその中間より下の位置において、該水平部の下側をなす第一の吸音パネル材の側面に密着していてもよい。或いは、該第一及び第二の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、該第三の吸音パネル材は、該第一及び第二の吸音パネル材と厚さが等しく長さが該厚さ分短く、該第三の吸音パネル材の上端面は、該第三の吸音パネル材の一方の側面が該水平部の上側をなす該第二の吸音パネル材の一方の側面と面一となるように該第一の吸音パネル材の下面に密着し、該第三の吸音パネル材の該第二の吸音パネル材の側面と面一となっている側面はその中間より下の位置において、該水平部の下側をなす第一の吸音パネル材の側面に密着していてもよい。
【0009】
該第三の吸音パネル材の端の突き出し長さが該厚さと等しくてもよい。或いは、該起立部を形成する吸音パネル材の端の突き出し長さが、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式1若しくは数式2)を満たしているものであってもよい。
【0010】
該起立部は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材で形成され、該第三の吸音パネル材の端が該水平部の上方に突き出ていてもよい。また、該第一及び第二の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、該第三の吸音パネル材は、該第一及び第二の吸音パネル材と厚さが等しく長さが該厚さ分短く、該起立部を形成する吸音パネル材の端が該水平部の上方に突き出ていてもよい。そして、該第三の吸音パネル材の端の突き出し長さが該厚さと等しくてもよい。或いは、該第三の吸音パネル材の端の突き出し長さが、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式2)を満たしているものであってもよい。
【0011】
該起立部は、略垂直に起立し、側面で相密着している第三及び第四の吸音パネル材で形成され、一方の下端が該水平部の下方に突き出し、他方の上端が該水平部の上方に突き出ていてもよい。また、該第三の吸音パネル材の側面の下縁は、該第三の吸音パネル材の下端面が該水平部の下側をなす該第一の吸音パネル材の下面と面一となるように該第一の吸音パネル材の側面に密着し、該第四の吸音パネル材の側面の上縁は、該第四の吸音パネル材の上端面が該水平部の上側をなす該第二の吸音パネル材の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材の側面に密着していてもよい。この際、該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、そして、該第三及び第四の吸音パネル材の端の、水平部の上方及び下方への突き出し長さが、それぞれ該厚さと等しくてもよい。或いは、該第一と第二の吸音パネル材の長さが等しく、該第三と第四の吸音パネル材の長さが等しく、該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材の厚さが等しく、該第三及び第四の吸音パネル材の端の、水平部の上方及び下方への突き出し長さが、それぞれ、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式3)を満たしているものであってもよい。
【0012】
本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルでは、上面と下面が開放された矩形枠内において道路横断方向に架設されたルーバー部材の複数が、該矩形枠の道路縦断方向に所定の間隔で並べて組付け配置され、該ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、該第一及び第二の吸音パネル材の双方に接する位置で上下方向に配置された第三の吸音パネル材で形成された起立部とで構成される。そして、該起立部の軸線が、該水平部の軸線に対し傾斜している。
【0013】
第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルにおいて、該第一、第二及び第三の吸音パネル材は厚さと長さが等しくてもよい。
【0014】
第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルにおいて、該第一及び第二の吸音パネル材の、該矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔は、該ルーバー部材が該矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔と等しくなっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルによれば、まず、隣り合うルーバー部材同士の間隙により換気性が維持される。また、ルーバー部材の水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出した起立部の端が、ルーバー部材上方からの光と下方からの騒音を遮り、調光機能と遮音機能を発揮する。すなわち、ルーバー部材の上方からの光がルーバー部材の間隙を通って下方の道路に直接入射することを防止するとともに、ルーバー部材下方の道路で発生した騒音がルーバー部材の間隙を通って外に漏れることを防止する。しかも、ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、その第一及び第二の吸音パネルの双方に密着させて上下方向に配置された起立部とで構成されるため、水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の断面形状を単純なものにしても、上記の機能を維持する形状にできる。すなわち、断面形状が単純なパネル材を要素とする吸音パネル材で構成することができる。なお、ルーバー部材上方からの光は、ルーバー部材同士の間隙の形状によらず、水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出した起立部の端により遮ることができるため、ルーバー部材の配置方向には車両走行方向を考慮する必要がないという利点もある。
【0016】
ルーバー部材の起立部の端が突き出す方向は、水平部の上方のみであっても、下方のみであっても、或いは両方であってもよく、どの方向に突き出たものとするかは、施工やその他の条件に応じて適宜決めればよい。なお、突き出す方向を水平部の上方或いは下方のみとする場合は、例えば、起立部を略垂直に起立した一枚の吸音パネル材で形成し、この吸音パネル材の上端又は下端を水平部から突き出せば良い。また、突き出す方向を水平部の上方と下方の両方とする場合は、例えば、起立部を、略垂直に起立し側面で相密着している二枚の吸音パネル材で形成し、これら二枚の吸音パネル材の一方の下端を水平部の下方に突き出させ、他方の上端を水平部の上方に突き出させればよい。この際、水平部と起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一するか、長さを変える場合でも厚さを基準として調整することで、製造する吸音パネル材の種類の減らし、組み付け間違いを防止できる。
【0017】
また、水平部と起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一、或いは長さ変更の基準を厚さとした場合、起立部を形成する吸音パネル材の端の突き出し長さを、吸音パネル材の厚さと等しくすれば、十分な換気性、調光性及び防音性を得ることができる。この際、突き出し長さの調整は他の吸音パネル材の厚みとの比較により行うことができ、計測を省略して、容易に施工できる。
【0018】
更に、水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一、或いは長さ変更の基準を厚さとした場合、起立部を形成する吸音パネル材の端の突き出し長さを、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式1、数式2、若しくは数式3)を満たすものとすれば、施工時の調整に手間を要するものの、調光性及び防音性をより高めることができる。
【0019】
本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルによれば、まず、隣り合うルーバー部材同士の間隙により換気性が維持される。また、ルーバー部材を構成する起立部の軸線が、水平部の軸線に対し傾斜していることにより、ルーバー部材上方からの光を遮って調光機能を発揮する。また、ルーバー部材の上下方向の長さ(厚さ)が同じ場合には、起立部を垂直にした場合よりも、起立部における吸音面を側面とする騒音の通過経路が長くなり、反射を繰り返す回数が増え、吸音性能の向上を図ることができる。しかも、ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、その第一及び第二の吸音パネル材の双方に接する位置で上下方向に配置された第三の吸音パネル材で形成された起立部とで構成されるため、水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の断面形状を単純なものにしても、上記の機能を維持する形状にできる。すなわち、断面形状が単純なパネル材を要素とする吸音パネル材で構成することができる。更に、起立部を傾斜させることで、起立部及び水平部を形成する吸音パネル材の道路縦断方向への単位長さ当たりに使用する枚数を低減し、吸音パネル材の総重量を小さくすることができる。そのため、吸音パネル材を支持する矩形枠の構造を必要以上に強くする必要がなくなり、設計に自由度を持たせることが可能となり、ひいては、かかる矩形枠を含めた吸音ルーバーパネル全体の施工コストを低減させることが可能となる。なお、ルーバー部材上方からの光は、ルーバー部材同士の間隙の形状によらず遮ることができるため、ルーバー部材の配置方向には車両走行方向を考慮する必要がないという利点もある。
【0020】
水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一することで、製造する吸音パネル材の種類を減らし、組み付け間違いを防止できる。
【0021】
第一及び第二の吸音パネル材の、矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔を、ルーバー部材が矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔と等しくすると、互いに隣接するルーバー部材同士において、一方の第一の吸音パネル材と他方の第二の吸音パネル材とが、上下方向に重なる位置関係となる。そのため、第一の吸音パネル材と第二の吸音パネル材との間で複数回に亘り反射された騒音を最大限に吸収させる事が可能となり、吸音効果をより向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1〜7に、本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態を示す。図1は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルが適用された高速道路における半地下トンネル構造の天井を示す要部断面斜視図である。図2は、図1のI-I線における縦断側面図である。図3は、ルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図4は、吸音パネル材を一部破断して示す要部断面斜視図である。図5は、騒音の発生点からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの下端が突き出した部分の拡大断面図である。図6は、吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図7は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、断面図において、吸音パネル材の断面については、それらが断面であることが明かである場合は、説明を明確にするためハッチングの記載が省略されているものがある。
【0023】
この実施形態は、本発明にかかる車両走行路用吸音ルーバーパネルを高速道路における半地下式トンネルAの天井面Bに適用したものである。図1に示すように、複数枚の車両走行路用の吸音ルーバーパネル1が、半地下式トンネルAの天井面Bを構築するように、トンネル上部に架け渡された横梁C及び縦梁D間の車両走行方向X及び車幅方向Yに並べて配置列されている。
【0024】
吸音ルーバーパネル1は、上面と下面が開放された矩形枠2内において短辺方向に架設されたルーバー部材3の複数が、矩形枠2の長辺方向に所定の間隔で並べて組付け配置されたもので、平面矩形状をなし、その長辺方向を道路縦断方向Xに、その短辺方向を道路横断方向Yにして、それぞれ沿わせて配設されている。
【0025】
ルーバー部材3は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された、厚さtと長さhの等しい第一及び第二の吸音パネル材41、42で形成した水平部3aと、この第一及び第二の吸音パネル41、42の双方に密着させて矩形枠2の厚さ方向(上下方向)に配置された起立部3bとで構成されている。起立部3bは、第一及び第二の吸音パネル材41、42と厚さ及び長さが等しく、略垂直に起立した第三の吸音パネル材43で形成されている。第三の吸音パネル材43の側面の上縁は、第三の吸音パネル材43の上端面43aが水平部3aの上側をなす第二の吸音パネル材42の上面と面一となるように、第二の吸音パネル材42の側面42aに密着している。また、第二の吸音パネル材42に密着していない側面は、中間より下の位置において水平部3aの下側をなす第一の吸音パネル材41の側面41bに密着している。そして、第三の吸音パネル材43の下端部が、水平部3aの下方に突き出ている。なお、各吸音パネル材41、42、43は、矩形枠2の短辺方向内面2aに、ブラケット8を介して、それぞれ個々に組付け配置されている。
【0026】
各吸音パネル材41、42、43は、矩形箱体5と、この矩形箱体5内に充填されたグラスウールやロックウール、或いはポリエステル繊維等からなる吸音材6とで構成されている。矩形箱体5は、一端面5aを開口させた有底状で、この開口面5aが、パンチング加工された多数の透孔7aを有する孔明き板7で閉塞され、断面矩形状に囲繞形成されたものとなっている。そして、この孔明き板7の表面が、車の走行に伴って発生する騒音を吸収するための吸音面となっている。なお、この具体例において、第一の吸音パネル材41はその下面41cが、第二の吸音パネル材42はその下面42cが、第三の吸音パネル材43は第二の吸音パネルに密着している側面(図3中の右側面)43cが、それぞれ吸音面となるように配置されている。
【0027】
このようなルーバー部材3で構成される吸音ルーバーパネル1では、トンネルA内を走行する自動車による騒音が、天井面Bを構築する吸音ルーバーパネル1の各ルーバー部材3間の下方から取り込まれると、まず、第三の吸音パネル材43の吸音面43cで吸収され、第二の吸音パネル材42側に向け反射される。反射された騒音は、第二の吸音パネル材42の吸音面42cで吸収されて、第一の吸音パネル材41側に向け反射される。続いて、その騒音は、第一の吸音パネル材41により反射された上で第二の吸音パネル材42側に向け反射され、再び第二の吸音パネル材42の吸音面42cで吸収される。そして、一部の騒音が第三の吸音パネル材の側面43dに向け反射され、そこで更に反射された騒音がルーバー部材3間の上方から外部に到達する。また、トンネルA内の騒音は第1の吸音パネル41における吸音面41cにおいても同様に吸収されることになる。
【0028】
このように、トンネルA内の騒音は、吸音パネル材41、42、43の吸音面41c、42c、43cでそれぞれ吸収反射されて、トンネルAの外部に到達することになるため、騒音の吸収効率を、より一層高めることができ、これにより遮音性能の向上を図ることができる。この際、トンネルA内の排気ガスも、同様に、各吸音パネル材41、42、43を構成する吸音材6がフィルタとして働くことから、トンネルAの外部に放出される排気ガスの濃度を薄めることが可能になる。
【0029】
また、第三の吸音パネル材43の下端が突き出していることにより、突き出していない場合と比較し、騒音が進入するルーバー部材3の間隔の開口面積が実質的に狭くなり、このことによっても、外部へ漏れる音の量を低減し、遮音性能の向上を図ることができる。この効果について、図5を参照しながら説明する。突き出しが無い場合(突き出し長さzが0の場合)には、点Qからの直達音は経路Sa上を伝搬していくのに対して、長さzの突き出しが存在する場合の点Qからの直達音は、経路Sb上を伝搬していくことになる。すなわち、長さzの突き出しの存在は、ルーバー部材3の間隔に進入してくる騒音の進行方向と垂直の切断面の幅kと同じ幅の仮想壁の存在と同等の効果を奏することとなり、ルーバーパネル外へ透過する音の低減が可能となる。
【0030】
一方、吸音ルーバーパネル1の上方からルーバー部材3間に直射光が入射すると、直射光は、水平部3aの下方に突き出した第3の吸音パネル材43の下端に遮られ、直接、トンネルA内に入射することがない。そのため、運転の妨げにならない性質の光のみを内部に導き、トンネルA内を間接照明し、これにより、調光性能を高めることが可能となる。
【0031】
水平部3aの下方に突き出した第三の吸音パネル材43の下端の突き出し長さzは、数式1を満たすものとなるように決められている。これら数式は、吸音パネル材の長さをh、厚さをt、起立部3bの配置間隔(第三の吸音パネル材43の右表面から、右方向に隣接する他のルーバー部材3における第三の吸音パネル材43の左表面43dまでの間隔で、以下、内寸法という。)をdとして、以下のように導くことができる。
【0032】
図6に示すように、第三の吸音パネル材43の右下端をPとし、第二の吸音パネル材42の右下端をX1とし、さらに第一の吸音パネル材41の左上端をX2とする。ここで、図6に示すP、X1、X2を2次元座標系(X、Z)で表す。Pを原点(0,0)としたとき、X1は、Pよりも吸音パネル材42の長さh分だけX軸の正方向(右側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(上側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから吸音パネル材41の長さhを引いた分だけX軸の正方向(右側)に、また突出量z並びに吸音パネル材41の厚さtだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。
【0033】
次に、図7に示すように、各点間の傾きを求める。図7においてP−X1の傾きと、P−X2の傾きとを比較したとき、P−X2の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ下方に突出させた第三の吸音パネル材43の下端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/hで表され、P−X2の傾きは、(t+z)/(d−h)で表されるため、条件P−X2>P−X1にあてはめて整理すると、数式1が得られる。
【0034】
このように、突き出し長さzを数式1に基づいて制御することにより、太陽の直射光が半地下式トンネルA内へ滲み出すことを防止できる。そのため、ドライバーの目に直射光が入ることもなくなり、太陽光による運転への支障が生じることを効果的に防止することが可能となる。なお、上記突き出し長さzを、吸音パネル材41、42、43の厚さtと等しくすることも可能であり、その場合の具体的な寸法は、例えば、厚さtを95mm、長さhを500mm、内寸法dを700mmとすることにより、直射光の入射を抑制することが可能となる。
【0035】
図8〜10に、本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの他の実施形態を示す。図8は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図9は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図10は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図8〜図10において、図1〜図7に示す実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
この実施形態では、第一及び第二の吸音パネル材41、42は厚さtと長さhが等しいものとなっているが、第三の吸音パネル材43は、第一及び第二の吸音パネル材41、42と厚さtは等しいものの、長さが厚さ分短いもの、すなわちh−tとなっている。そして、第三の吸音パネル材43の上端面は、第三の吸音パネル材43の一方の側面が、第二の吸音パネル材42の一方の側面42aと面一となるように第二の吸音パネル材42の下面42cに密着している。また、第三の吸音パネル材43の、第二の吸音パネル材42の側面42aと面一となっている側面は、その中間より下の位置において、第一の吸音パネル材41の側面41bに密着している。
【0037】
この場合でも、第三の吸音パネル材43の下端は、水平部3aの下方に突き出すことになる。そして、この突き出した端部が、上記と同様に、防音性及び調光性の向上に寄与するものとなる。なお、この下端の突き出し長さzを、上記の実施形態と同様、吸音パネル材の厚さに等しくしてもよいが、上記の数式1と異なる数式2を満たすものとしてもよい。以下に、図9及び図10を参照しながら、数式2の導き方法を説明する。
【0038】
図6の場合と同様、図9に示すように、第三の吸音パネル材43の右下端をPとし、第二の吸音パネル材42の右下端をX1とし、さらに第一の吸音パネル材41の左上端をX2とする。ここで、Pを原点(0,0)としたとき、X1は、hから第三の吸音パネル材43の厚さtを差し引いた距離だけ、PよりもX軸の正方向(右側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(上側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h−t、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから吸音パネル材41の長さhを引いた分だけX軸の正方向(右側)に、また突出量z並びに吸音パネル材41の厚さtだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。
【0039】
次に、図10に示すように、各点間の傾きを求める。図10においてP−X1の傾きと、P−X2の傾きとを比較したとき、P−X2の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ下方に突出させた第三の吸音パネル材43の下端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/(h−t)で表され、P−X2の傾きは、(t+z)/(d−h)で表されるため、条件P−X2>P−X1にあてはめて整理すると、数式2が得られる。
【0040】
図11〜14に、本発明にかかる車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態を示す。図11は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図12は、ルーバー部材の間隔の開口からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの上端が突き出した部分の拡大断面図である。図13は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図14は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図11〜図14においても、図1〜図10に示す実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
この実施形態でも、図8〜図10の実施形態と同様、第一及び第二の吸音パネル材41、42は厚さtと長さhが等しいものとなっているが、第三の吸音パネル材43は、第一及び第二の吸音パネル材41、42と厚さtは等しいものの、長さが厚さ分短いもの、すなわちh−tとなっている。しかしながら、起立部3bの水平部3aから突き出す方向が、上記実施形態と異なっている。すなわち、第三の吸音パネル材43の下端面は、その一方の側面43cが第一の吸音パネル材41の一方の側面41bと面一となるように、第一の吸音パネル材41の上面に密着している。また、第三の吸音パネル材43の、第一の吸音パネル材41の側面41bと面一となっている側面43cは、その中間より上の位置において、第二の吸音パネル材42の側面42aに密着している。そして、第三の吸音パネル材43の上端が、水平部3aの上方に突き出た形態となっている。
【0042】
このように、第三の吸音パネル材43の上端が突き出していることにより、突き出して
いない場合と比較し、騒音が漏洩するルーバー部材3の間隔の開口面積が実質的に狭くなり、このことによっても、外部へ漏れる音の量を低減し、遮音性能の向上を図ることができる。この効果について、図12を参照しながら説明する。突き出しが無い場合(突き出し長さzが0の場合)には、開口から点Rへの直達音は経路Sa上を伝搬していくのに対して、長さzの突き出しが存在する場合の点Rへの直達音は、経路Sb上を伝搬していくことになる。すなわち、長さzの突き出しの存在は、ルーバー部材3の間隔から漏洩する騒音の進行方向と垂直の切断面の幅kと同じ幅の仮想壁の存在と同等の効果を奏することとなり、ルーバーパネル外へ透過する音の低減が可能となる。
【0043】
一方、吸音ルーバーパネル1の上方の太陽光は、水平部3aの上方に突き出した第3の吸音パネル材43の上端に遮られ、直接、トンネルA内に入射することがない。そのため、運転の妨げにならない性質の光のみを内部に導き、トンネルA内を間接照明し、これにより、調光性能を高めることが可能となる。
【0044】
なお、この上端の突き出し長さzを、上記の実施形態と同様、吸音パネル材の厚さに等しくしてもよいが、上記数式2を満たすものとしてもよい。以下に、図13及び図14を参照しながら、この実施形態における数式2の導き方法を説明する。
【0045】
図13に示すように、第三の吸音パネル材43の左上端をPとし、第二の吸音パネル材42の左上端をX1とし、さらに第二の吸音パネル材41の右下端をX2とする。なお、図13におけるX軸及びZ軸の方向は、図6及び図9のものと反対とする。ここで、Pを原点(0,0)としたとき、X1は、hから第三の吸音パネル材43の厚さtを差し引いた距離だけ、PよりもX軸の正方向(左側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(下側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h−t、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから第二の吸音パネル材42の長さhを引いた分だけX軸の正方向(左側)に、また突出量z並びに第二の吸音パネル材42の厚さtだけZ軸の正方向(下側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。
【0046】
次に、図14に示すように、各点間の傾きを求める。図14においてP−X1の傾きと、P−X2の傾きとを比較したとき、P−X2の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ上方に突出させた第三の吸音パネル材43の上端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/(h−t)で表され、P−X2の傾きは、(t+z)/(d−h)で表されるため、条件P−X2>P−X1にあてはめて整理すると、数式2が得られる。
【0047】
図15〜17に、本発明にかかる車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態を示す。図15は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図16は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図17は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図15〜図17においても、図1〜図14に示す実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
この実施形態では、起立部3bが、略垂直に起立し、側面で相密着している第三及び第四の吸音パネル材43、44で形成されている。第一と第二の吸音パネル材41、42、第三と第四の吸音パネル材43、44は、それぞれ長さが等しく、第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材41、42、43、44の厚さtが等しいものとなっている。そして、第三の吸音パネル材43の側面の下縁は、第三の吸音パネル材43の下端面が第一の吸音パネル材41の下面41cと面一となるように、第一の吸音パネル材41の側面41bに密着している。また、第四の吸音パネル材44の側面の上縁は、第四の吸音パネル材44の上端面44aが第二の吸音パネル材42の上面と面一となるように、第二の吸音パネル材42の側面42aに密着している。また、起立部3bの上下方向の長さは、第一及び第二のルーバーパネル材の長さに等しくなっている。
【0049】
この場合、第三の吸音パネル材43の下端が水平部3bの下方に、第四の吸音パネル材44の上端が水平部3bの上方に突き出すことになる。そして、この突き出した端部が、上記と同様に、防音性及び調光性の向上に寄与するものとなる。なお、この下端及び上端の突き出し長さzは、上記の数式1若しくは数式2と異なる数式3を満たすものとしてもよい。以下に、図16及び図17を参照しながら、数式3の導き方法を説明する。
【0050】
図16に示すように、第四の吸音パネル材44の右下端をP、第二の吸音パネル材42の右下端をX1、第一の吸音パネル材41の左上端をX2、第三の吸音パネル材43の左上端をZ1とする。ここで、Pを原点(0,0)としたとき、X1は、第二の吸音パネル材の長さhだけ、PよりもX軸の正方向(右側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(上側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから第一の吸音パネル材41の長さhを引いた分だけX軸の正方向(右側)に、また突き出し長さz並びに第一の吸音パネル材41の厚さtだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。また、Z1はPよりも、内寸法dだけX軸の正方向(右側)にシフトし、突き出し長さzと第三の吸音パネル材43の長さhの和h+zだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、Z1の座標は、(d、h+z)で表されることになる。
【0051】
次に、図17に示すように、各点間の傾きを求める。図17(a)においてP−X1の傾きと、P−Z1の傾きとを比較したとき、P−Z1の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ上方に突出させた第三の吸音パネル材43の上端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/hで表され、P−Z1の傾きは、(h+z)/dで表されるため、条件P−Z1>P−X1にあてはめて整理すると、数式3が得られる。
【0052】
同様に、図17(b)に示すように、X2−X1の傾きと、X2−Z1の傾きとを比較したとき、X2−Z1の傾きが大きい場合には直接光は、突き出し長さzだけ上方に突出させた第三の吸音パネル材43の上端により遮られることになる。ここで、X2−X1の傾きは、(h−2t−z)/(2h−d)で表され、X2−Yの傾きは、(h−t)/hで表されるため条件X2−Z1>X2−X1にあてはめて整理すると、やはり、数式3が得られる。
【0053】
なお、この実施形態において、第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材41、42、43、44の厚さと長さを等しくし、第三及び第四の吸音パネル材43、44の端の、水平部の上方及び下方への突き出し長さを、それぞれ、吸音パネル材の厚さと等しいものとしてもよい。
【0054】
図18及び図19に、本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態を示す。図18は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図19は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図18及び図19において、図1〜図17に示す第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
この実施形態は、図1〜図17に示す、上記第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルと同様に、高速道路における半地下式トンネルAの天井面Bに適用したものである。上面と下面が開放された矩形枠2内において短辺方向に架設されたルーバー部材3の複数が、矩形枠2の長辺方向に所定の間隔で並べて組付け配置されたものである点も同じである。更に、ルーバー部材3は、水平部3a及び起立部3bで構成され、水平部3aが、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された、厚さと長さの等しい第一及び第二の吸音パネル材41、42で形成されている点も同じである。しかしながら、起立部3bの形態において、上記第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルと異なるものとなっている。すなわち、起立部3bは、第一及び第二の吸音パネル41、42の双方に接する位置で上下方向に配置された第三の吸音パネル材43で形成され、起立部3bの軸線が、水平部3aの軸線に対し傾斜している点において相違している。
【0056】
このようなルーバー部材3で構成される吸音ルーバーパネル1では、トンネルA内を走行する自動車による騒音が、天井面Bを構築する吸音ルーバーパネル1の各ルーバー部材3間の下方から取り込まれると、まず、第三の吸音パネル材43の吸音面43cで吸収されて、第一の吸音パネル材41側に向け反射される。続いて、その騒音は、第一の吸音パネル材41により反射された上で第二の吸音パネル材42側に向け反射される。次に、その騒音は、第二の吸音パネル材42の吸音面42cでさらに吸収されて、第三の吸音パネル材43側に向け反射され、ルーバー部材3間の上方から外部に到達する。また、トンネルA内の騒音は第1の吸音パネル41における吸音面41cにおいても同様に吸収されることになる。
【0057】
このように、トンネルA内の騒音は、吸音パネル材41、42、43の吸音面41c、42c、43cでそれぞれ吸収反射されて、トンネルAの外部に到達することになるため、騒音の吸収効率を、より一層高めることができ、これにより遮音性能の向上を図ることができる。この際、トンネルA内の排気ガスも、同様に、各吸音パネル材41、42、43を構成する吸音材6がフィルタとして働くことから、トンネルAの外部に放出される排気ガスの濃度を薄めることが可能になる。
【0058】
また、起立部3bの軸線が、水平部3aの軸線に対し傾斜しているため、ルーバー部材3の上下方向の長さ(厚さ)G3が同じ場合には、起立部3bを垂直にした場合よりも、第三の吸音パネル材43における吸音面43cを側面とする騒音の通過経路が長くなり、反射を繰り返す回数が増え、吸音性能の向上を図ることができる。更に、起立部3bを傾斜させることで、起立部3b及び水平部3aを形成する吸音パネル材41、42、43の道路縦断方向Xへの単位長さ当たりに使用する枚数を低減し、吸音パネル材の総重量を小さくすることができる。そのため、吸音パネル材41、42、43を支持する矩形枠2の構造を必要以上に強くする必要がなくなり、設計に自由度を持たせることが可能となり、ひいては、かかる矩形枠2を含めた吸音ルーバーパネル1全体の施工コストを低減させることが可能となる。
【0059】
起立部3bの軸線と、水平部3aの軸線との傾斜角度θは、約30°に設定されている。なお、図19においてθは、便宜上、第一の吸音パネル材41の下面と第三の吸音パネル材43の下面とが成す角度として表現されているが、実質的には起立部3bの軸線と水平部3aの軸線との傾斜角度である。この場合、遮音と換気の双方の機能をバランスよく両立させることができる。ただし、この傾斜角度に制限はなく、遮音と換気の機能のバランスを考慮しながら、設置現場の状況に適するように決めれば良い。
【0060】
一方、第一の吸音パネル材41と第二の吸音パネル材42の対向端面間における間隔G1及びG2は、吸音ルーバーパネル1の上方からの太陽光が、路面に直接入射しない長さに調整されている。例えば、起立部3bの軸線と、水平部3aの軸線との傾斜角度を30°と設定した場合、各吸音パネル材41、42、43の幅を全て500mmとし、また厚みを全て95mmとしたとき、G1を480.5mmとし、G2を167.7mmとすることにより、調光性を確保しつつ、遮音性、換気性を向上させることができる。
【0061】
第一及び第二の吸音パネル材41、42の、矩形枠2の長辺方向に配置される間隔G4は、ルーバー部材3が矩形枠の長辺方向に配置される間隔G4と等しくなっている。すなわち、互いに隣接するルーバー部材3同士において、一方の第一の吸音パネル材41と他方の第二の吸音パネル材42とが、上下方向に重なる位置関係となっている。この場合、第一の吸音パネル材41と第二の吸音パネル材42との間で複数回に亘り反射された騒音を最大限に吸収させる事が可能となり、吸音効果をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルが適用された高速道路における半地下トンネル構造の天井を示す要部断面斜視図である。
【図2】図1のI−I線における吸音ルーバーパネルの縦断側面図である。
【図3】ルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図4】吸音パネル材を一部破断して示す要部断面斜視図である。
【図5】騒音の発生点からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの下端が突き出した部分の拡大断面図である。
【図6】吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図7】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図8】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの他の実施形態いおいて、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図9】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図10】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図11】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態において、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図12】ルーバー部材の間隔の開口からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの上端が突き出した部分の拡大断面図である。
【図13】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図14】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図15】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態における、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図16】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図17】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図18】本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態における、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図19】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 吸音ルーバーパネル
2 矩形枠
2a 内面
3 ルーバー部材
3a 水平部
3b 起立部
41 第一の吸音パネル材
41b 側面
41c 下面
42 第二の吸音パネル材
42a 側面
43 第三の吸音パネル材
43a 上端面
44 第四の吸音パネル材
44a 上端面
5 有底箱体
6 吸音材
7 孔明き板
8 ブラケット
X 道路縦断方向
Y 道路横断方向
Z 上下方向
d 配置間隔
t 厚さ
h 長さ
z 突き出し長さ
θ 傾斜角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般道路構造、高架橋構造等におけるトンネル出口付近の天井部位や、半地下トンネル構造(掘割り構造)などに用いられる車両走行路用吸音ルーバーパネルに関し、特に、遮音、換気及び調光の性能向上を図るための車両走行路用吸音ルーバーパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行路用吸音ルーバーパネルは、矩形枠内に、ルーバー部材を複数並列させて組付け配置して構成されたもので、例えば、半地下トンネルの天井部に架け渡された横粱間に設置され、遮音、換気及び採光を可能とする天井面を構築するためのものである。そして、従来の吸音ルーバーパネルとして、ルーバー部材を構成する吸音パネル材の断面形状が、「く」の字状のもの(特開2002−309522号公報、実公平6−47932号公報)
、或いはジグザグ状のもの(特開2000−257026号公報)が提案されている。
【0003】
しかしながら、断面形状が「く」の字状、或いはジグザグ状の吸音パネル材は、その製作の際、グラスウールやロックウール等の吸音材が充填収容される箱体を、特殊な形状に成型しなければならず、製作が難しいという問題があった。また、特殊な形状であることから、保管や積載の際、積み上げると無駄な空間が生じ、扱いにくく搬送効率も悪いという問題があった。
【0004】
そこで、吸音パネル材の断面形状をより簡単なものにすることが提案され、そのようなものとして、例えば、特開2000−110121号公報には、断面形状を「ハ」の字状とした吸音パネル材が、また、特開2001−32223号公報には、断面形状が矩形の分割ルーバーを組み合わせて「Z」字状とした吸音パネル材が開示されている。これらの吸音パネル材は、最終的な形状を構成する要素となるパネル材の断面形状が矩形であることから、製造が容易となり、また、安定した状態で積み重ねることができるため、保管スペースを小さくすることができ、取扱いや搬送も容易に行うことができる。
【特許文献1】特開2002−309522号公報
【特許文献2】実公平6−47932号公報
【特許文献3】特開2000−257026号公報
【特許文献4】特開2000−110121号公報
【特許文献5】特開2001−32223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、断面形状がハ字状或いはZ字状の上記吸音パネル材を採用した場合、製造、取扱い、或いは搬送が容易になるという利点はあるもの、従来の配置構成では、最終的に構成される吸音ルーバーパネルの遮音性、換気性及び調光性が十分なものではなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、断面形状が単純なパネル材を要素とする吸音パネル材で構成され、かつ、遮音性、換気性及び調光性に優れた車両走行路用吸音ルーバーパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルでは、上面と下面が開放された矩形枠内において道路横断方向に架設されたルーバー部材の複数が、該矩形枠の道路縦断方向に所定の間隔で並べて組付け配置され、該ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、該第一及び第二の吸音パネルの双方に密着させて上下方向に配置された起立部とで構成される。そして、該起立部の端が、該水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出ている。
【0008】
該起立部は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材で形成され、該第三の吸音パネル材の端が該水平部の下方に突き出ていてもよい。そして、該第一、第二及び第三の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、該第三の吸音パネル材の側面の上縁は、該第三の吸音パネル材の上端面が該水平部の上側をなす該第二の吸音パネル材の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材の側面に密着し、該第三の吸音パネル材の該第二の吸音パネル材に密着していない側面はその中間より下の位置において、該水平部の下側をなす第一の吸音パネル材の側面に密着していてもよい。或いは、該第一及び第二の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、該第三の吸音パネル材は、該第一及び第二の吸音パネル材と厚さが等しく長さが該厚さ分短く、該第三の吸音パネル材の上端面は、該第三の吸音パネル材の一方の側面が該水平部の上側をなす該第二の吸音パネル材の一方の側面と面一となるように該第一の吸音パネル材の下面に密着し、該第三の吸音パネル材の該第二の吸音パネル材の側面と面一となっている側面はその中間より下の位置において、該水平部の下側をなす第一の吸音パネル材の側面に密着していてもよい。
【0009】
該第三の吸音パネル材の端の突き出し長さが該厚さと等しくてもよい。或いは、該起立部を形成する吸音パネル材の端の突き出し長さが、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式1若しくは数式2)を満たしているものであってもよい。
【0010】
該起立部は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材で形成され、該第三の吸音パネル材の端が該水平部の上方に突き出ていてもよい。また、該第一及び第二の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、該第三の吸音パネル材は、該第一及び第二の吸音パネル材と厚さが等しく長さが該厚さ分短く、該起立部を形成する吸音パネル材の端が該水平部の上方に突き出ていてもよい。そして、該第三の吸音パネル材の端の突き出し長さが該厚さと等しくてもよい。或いは、該第三の吸音パネル材の端の突き出し長さが、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式2)を満たしているものであってもよい。
【0011】
該起立部は、略垂直に起立し、側面で相密着している第三及び第四の吸音パネル材で形成され、一方の下端が該水平部の下方に突き出し、他方の上端が該水平部の上方に突き出ていてもよい。また、該第三の吸音パネル材の側面の下縁は、該第三の吸音パネル材の下端面が該水平部の下側をなす該第一の吸音パネル材の下面と面一となるように該第一の吸音パネル材の側面に密着し、該第四の吸音パネル材の側面の上縁は、該第四の吸音パネル材の上端面が該水平部の上側をなす該第二の吸音パネル材の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材の側面に密着していてもよい。この際、該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材は厚さと長さが等しく、そして、該第三及び第四の吸音パネル材の端の、水平部の上方及び下方への突き出し長さが、それぞれ該厚さと等しくてもよい。或いは、該第一と第二の吸音パネル材の長さが等しく、該第三と第四の吸音パネル材の長さが等しく、該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材の厚さが等しく、該第三及び第四の吸音パネル材の端の、水平部の上方及び下方への突き出し長さが、それぞれ、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式3)を満たしているものであってもよい。
【0012】
本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルでは、上面と下面が開放された矩形枠内において道路横断方向に架設されたルーバー部材の複数が、該矩形枠の道路縦断方向に所定の間隔で並べて組付け配置され、該ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、該第一及び第二の吸音パネル材の双方に接する位置で上下方向に配置された第三の吸音パネル材で形成された起立部とで構成される。そして、該起立部の軸線が、該水平部の軸線に対し傾斜している。
【0013】
第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルにおいて、該第一、第二及び第三の吸音パネル材は厚さと長さが等しくてもよい。
【0014】
第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルにおいて、該第一及び第二の吸音パネル材の、該矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔は、該ルーバー部材が該矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔と等しくなっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルによれば、まず、隣り合うルーバー部材同士の間隙により換気性が維持される。また、ルーバー部材の水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出した起立部の端が、ルーバー部材上方からの光と下方からの騒音を遮り、調光機能と遮音機能を発揮する。すなわち、ルーバー部材の上方からの光がルーバー部材の間隙を通って下方の道路に直接入射することを防止するとともに、ルーバー部材下方の道路で発生した騒音がルーバー部材の間隙を通って外に漏れることを防止する。しかも、ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、その第一及び第二の吸音パネルの双方に密着させて上下方向に配置された起立部とで構成されるため、水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の断面形状を単純なものにしても、上記の機能を維持する形状にできる。すなわち、断面形状が単純なパネル材を要素とする吸音パネル材で構成することができる。なお、ルーバー部材上方からの光は、ルーバー部材同士の間隙の形状によらず、水平部の上方及び下方の少なくとも一方に突き出した起立部の端により遮ることができるため、ルーバー部材の配置方向には車両走行方向を考慮する必要がないという利点もある。
【0016】
ルーバー部材の起立部の端が突き出す方向は、水平部の上方のみであっても、下方のみであっても、或いは両方であってもよく、どの方向に突き出たものとするかは、施工やその他の条件に応じて適宜決めればよい。なお、突き出す方向を水平部の上方或いは下方のみとする場合は、例えば、起立部を略垂直に起立した一枚の吸音パネル材で形成し、この吸音パネル材の上端又は下端を水平部から突き出せば良い。また、突き出す方向を水平部の上方と下方の両方とする場合は、例えば、起立部を、略垂直に起立し側面で相密着している二枚の吸音パネル材で形成し、これら二枚の吸音パネル材の一方の下端を水平部の下方に突き出させ、他方の上端を水平部の上方に突き出させればよい。この際、水平部と起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一するか、長さを変える場合でも厚さを基準として調整することで、製造する吸音パネル材の種類の減らし、組み付け間違いを防止できる。
【0017】
また、水平部と起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一、或いは長さ変更の基準を厚さとした場合、起立部を形成する吸音パネル材の端の突き出し長さを、吸音パネル材の厚さと等しくすれば、十分な換気性、調光性及び防音性を得ることができる。この際、突き出し長さの調整は他の吸音パネル材の厚みとの比較により行うことができ、計測を省略して、容易に施工できる。
【0018】
更に、水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一、或いは長さ変更の基準を厚さとした場合、起立部を形成する吸音パネル材の端の突き出し長さを、吸音パネル材の長さ、厚さ及び起立部の配置間隔に関する所定の式(数式1、数式2、若しくは数式3)を満たすものとすれば、施工時の調整に手間を要するものの、調光性及び防音性をより高めることができる。
【0019】
本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルによれば、まず、隣り合うルーバー部材同士の間隙により換気性が維持される。また、ルーバー部材を構成する起立部の軸線が、水平部の軸線に対し傾斜していることにより、ルーバー部材上方からの光を遮って調光機能を発揮する。また、ルーバー部材の上下方向の長さ(厚さ)が同じ場合には、起立部を垂直にした場合よりも、起立部における吸音面を側面とする騒音の通過経路が長くなり、反射を繰り返す回数が増え、吸音性能の向上を図ることができる。しかも、ルーバー部材は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材で形成された水平部と、その第一及び第二の吸音パネル材の双方に接する位置で上下方向に配置された第三の吸音パネル材で形成された起立部とで構成されるため、水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の断面形状を単純なものにしても、上記の機能を維持する形状にできる。すなわち、断面形状が単純なパネル材を要素とする吸音パネル材で構成することができる。更に、起立部を傾斜させることで、起立部及び水平部を形成する吸音パネル材の道路縦断方向への単位長さ当たりに使用する枚数を低減し、吸音パネル材の総重量を小さくすることができる。そのため、吸音パネル材を支持する矩形枠の構造を必要以上に強くする必要がなくなり、設計に自由度を持たせることが可能となり、ひいては、かかる矩形枠を含めた吸音ルーバーパネル全体の施工コストを低減させることが可能となる。なお、ルーバー部材上方からの光は、ルーバー部材同士の間隙の形状によらず遮ることができるため、ルーバー部材の配置方向には車両走行方向を考慮する必要がないという利点もある。
【0020】
水平部及び起立部を形成する吸音パネル材の厚さ及び長さを統一することで、製造する吸音パネル材の種類を減らし、組み付け間違いを防止できる。
【0021】
第一及び第二の吸音パネル材の、矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔を、ルーバー部材が矩形枠の道路縦断方向に配置される間隔と等しくすると、互いに隣接するルーバー部材同士において、一方の第一の吸音パネル材と他方の第二の吸音パネル材とが、上下方向に重なる位置関係となる。そのため、第一の吸音パネル材と第二の吸音パネル材との間で複数回に亘り反射された騒音を最大限に吸収させる事が可能となり、吸音効果をより向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1〜7に、本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態を示す。図1は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルが適用された高速道路における半地下トンネル構造の天井を示す要部断面斜視図である。図2は、図1のI-I線における縦断側面図である。図3は、ルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図4は、吸音パネル材を一部破断して示す要部断面斜視図である。図5は、騒音の発生点からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの下端が突き出した部分の拡大断面図である。図6は、吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図7は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、断面図において、吸音パネル材の断面については、それらが断面であることが明かである場合は、説明を明確にするためハッチングの記載が省略されているものがある。
【0023】
この実施形態は、本発明にかかる車両走行路用吸音ルーバーパネルを高速道路における半地下式トンネルAの天井面Bに適用したものである。図1に示すように、複数枚の車両走行路用の吸音ルーバーパネル1が、半地下式トンネルAの天井面Bを構築するように、トンネル上部に架け渡された横梁C及び縦梁D間の車両走行方向X及び車幅方向Yに並べて配置列されている。
【0024】
吸音ルーバーパネル1は、上面と下面が開放された矩形枠2内において短辺方向に架設されたルーバー部材3の複数が、矩形枠2の長辺方向に所定の間隔で並べて組付け配置されたもので、平面矩形状をなし、その長辺方向を道路縦断方向Xに、その短辺方向を道路横断方向Yにして、それぞれ沿わせて配設されている。
【0025】
ルーバー部材3は、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された、厚さtと長さhの等しい第一及び第二の吸音パネル材41、42で形成した水平部3aと、この第一及び第二の吸音パネル41、42の双方に密着させて矩形枠2の厚さ方向(上下方向)に配置された起立部3bとで構成されている。起立部3bは、第一及び第二の吸音パネル材41、42と厚さ及び長さが等しく、略垂直に起立した第三の吸音パネル材43で形成されている。第三の吸音パネル材43の側面の上縁は、第三の吸音パネル材43の上端面43aが水平部3aの上側をなす第二の吸音パネル材42の上面と面一となるように、第二の吸音パネル材42の側面42aに密着している。また、第二の吸音パネル材42に密着していない側面は、中間より下の位置において水平部3aの下側をなす第一の吸音パネル材41の側面41bに密着している。そして、第三の吸音パネル材43の下端部が、水平部3aの下方に突き出ている。なお、各吸音パネル材41、42、43は、矩形枠2の短辺方向内面2aに、ブラケット8を介して、それぞれ個々に組付け配置されている。
【0026】
各吸音パネル材41、42、43は、矩形箱体5と、この矩形箱体5内に充填されたグラスウールやロックウール、或いはポリエステル繊維等からなる吸音材6とで構成されている。矩形箱体5は、一端面5aを開口させた有底状で、この開口面5aが、パンチング加工された多数の透孔7aを有する孔明き板7で閉塞され、断面矩形状に囲繞形成されたものとなっている。そして、この孔明き板7の表面が、車の走行に伴って発生する騒音を吸収するための吸音面となっている。なお、この具体例において、第一の吸音パネル材41はその下面41cが、第二の吸音パネル材42はその下面42cが、第三の吸音パネル材43は第二の吸音パネルに密着している側面(図3中の右側面)43cが、それぞれ吸音面となるように配置されている。
【0027】
このようなルーバー部材3で構成される吸音ルーバーパネル1では、トンネルA内を走行する自動車による騒音が、天井面Bを構築する吸音ルーバーパネル1の各ルーバー部材3間の下方から取り込まれると、まず、第三の吸音パネル材43の吸音面43cで吸収され、第二の吸音パネル材42側に向け反射される。反射された騒音は、第二の吸音パネル材42の吸音面42cで吸収されて、第一の吸音パネル材41側に向け反射される。続いて、その騒音は、第一の吸音パネル材41により反射された上で第二の吸音パネル材42側に向け反射され、再び第二の吸音パネル材42の吸音面42cで吸収される。そして、一部の騒音が第三の吸音パネル材の側面43dに向け反射され、そこで更に反射された騒音がルーバー部材3間の上方から外部に到達する。また、トンネルA内の騒音は第1の吸音パネル41における吸音面41cにおいても同様に吸収されることになる。
【0028】
このように、トンネルA内の騒音は、吸音パネル材41、42、43の吸音面41c、42c、43cでそれぞれ吸収反射されて、トンネルAの外部に到達することになるため、騒音の吸収効率を、より一層高めることができ、これにより遮音性能の向上を図ることができる。この際、トンネルA内の排気ガスも、同様に、各吸音パネル材41、42、43を構成する吸音材6がフィルタとして働くことから、トンネルAの外部に放出される排気ガスの濃度を薄めることが可能になる。
【0029】
また、第三の吸音パネル材43の下端が突き出していることにより、突き出していない場合と比較し、騒音が進入するルーバー部材3の間隔の開口面積が実質的に狭くなり、このことによっても、外部へ漏れる音の量を低減し、遮音性能の向上を図ることができる。この効果について、図5を参照しながら説明する。突き出しが無い場合(突き出し長さzが0の場合)には、点Qからの直達音は経路Sa上を伝搬していくのに対して、長さzの突き出しが存在する場合の点Qからの直達音は、経路Sb上を伝搬していくことになる。すなわち、長さzの突き出しの存在は、ルーバー部材3の間隔に進入してくる騒音の進行方向と垂直の切断面の幅kと同じ幅の仮想壁の存在と同等の効果を奏することとなり、ルーバーパネル外へ透過する音の低減が可能となる。
【0030】
一方、吸音ルーバーパネル1の上方からルーバー部材3間に直射光が入射すると、直射光は、水平部3aの下方に突き出した第3の吸音パネル材43の下端に遮られ、直接、トンネルA内に入射することがない。そのため、運転の妨げにならない性質の光のみを内部に導き、トンネルA内を間接照明し、これにより、調光性能を高めることが可能となる。
【0031】
水平部3aの下方に突き出した第三の吸音パネル材43の下端の突き出し長さzは、数式1を満たすものとなるように決められている。これら数式は、吸音パネル材の長さをh、厚さをt、起立部3bの配置間隔(第三の吸音パネル材43の右表面から、右方向に隣接する他のルーバー部材3における第三の吸音パネル材43の左表面43dまでの間隔で、以下、内寸法という。)をdとして、以下のように導くことができる。
【0032】
図6に示すように、第三の吸音パネル材43の右下端をPとし、第二の吸音パネル材42の右下端をX1とし、さらに第一の吸音パネル材41の左上端をX2とする。ここで、図6に示すP、X1、X2を2次元座標系(X、Z)で表す。Pを原点(0,0)としたとき、X1は、Pよりも吸音パネル材42の長さh分だけX軸の正方向(右側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(上側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから吸音パネル材41の長さhを引いた分だけX軸の正方向(右側)に、また突出量z並びに吸音パネル材41の厚さtだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。
【0033】
次に、図7に示すように、各点間の傾きを求める。図7においてP−X1の傾きと、P−X2の傾きとを比較したとき、P−X2の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ下方に突出させた第三の吸音パネル材43の下端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/hで表され、P−X2の傾きは、(t+z)/(d−h)で表されるため、条件P−X2>P−X1にあてはめて整理すると、数式1が得られる。
【0034】
このように、突き出し長さzを数式1に基づいて制御することにより、太陽の直射光が半地下式トンネルA内へ滲み出すことを防止できる。そのため、ドライバーの目に直射光が入ることもなくなり、太陽光による運転への支障が生じることを効果的に防止することが可能となる。なお、上記突き出し長さzを、吸音パネル材41、42、43の厚さtと等しくすることも可能であり、その場合の具体的な寸法は、例えば、厚さtを95mm、長さhを500mm、内寸法dを700mmとすることにより、直射光の入射を抑制することが可能となる。
【0035】
図8〜10に、本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの他の実施形態を示す。図8は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図9は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図10は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図8〜図10において、図1〜図7に示す実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
この実施形態では、第一及び第二の吸音パネル材41、42は厚さtと長さhが等しいものとなっているが、第三の吸音パネル材43は、第一及び第二の吸音パネル材41、42と厚さtは等しいものの、長さが厚さ分短いもの、すなわちh−tとなっている。そして、第三の吸音パネル材43の上端面は、第三の吸音パネル材43の一方の側面が、第二の吸音パネル材42の一方の側面42aと面一となるように第二の吸音パネル材42の下面42cに密着している。また、第三の吸音パネル材43の、第二の吸音パネル材42の側面42aと面一となっている側面は、その中間より下の位置において、第一の吸音パネル材41の側面41bに密着している。
【0037】
この場合でも、第三の吸音パネル材43の下端は、水平部3aの下方に突き出すことになる。そして、この突き出した端部が、上記と同様に、防音性及び調光性の向上に寄与するものとなる。なお、この下端の突き出し長さzを、上記の実施形態と同様、吸音パネル材の厚さに等しくしてもよいが、上記の数式1と異なる数式2を満たすものとしてもよい。以下に、図9及び図10を参照しながら、数式2の導き方法を説明する。
【0038】
図6の場合と同様、図9に示すように、第三の吸音パネル材43の右下端をPとし、第二の吸音パネル材42の右下端をX1とし、さらに第一の吸音パネル材41の左上端をX2とする。ここで、Pを原点(0,0)としたとき、X1は、hから第三の吸音パネル材43の厚さtを差し引いた距離だけ、PよりもX軸の正方向(右側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(上側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h−t、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから吸音パネル材41の長さhを引いた分だけX軸の正方向(右側)に、また突出量z並びに吸音パネル材41の厚さtだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。
【0039】
次に、図10に示すように、各点間の傾きを求める。図10においてP−X1の傾きと、P−X2の傾きとを比較したとき、P−X2の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ下方に突出させた第三の吸音パネル材43の下端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/(h−t)で表され、P−X2の傾きは、(t+z)/(d−h)で表されるため、条件P−X2>P−X1にあてはめて整理すると、数式2が得られる。
【0040】
図11〜14に、本発明にかかる車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態を示す。図11は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図12は、ルーバー部材の間隔の開口からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの上端が突き出した部分の拡大断面図である。図13は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図14は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図11〜図14においても、図1〜図10に示す実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
この実施形態でも、図8〜図10の実施形態と同様、第一及び第二の吸音パネル材41、42は厚さtと長さhが等しいものとなっているが、第三の吸音パネル材43は、第一及び第二の吸音パネル材41、42と厚さtは等しいものの、長さが厚さ分短いもの、すなわちh−tとなっている。しかしながら、起立部3bの水平部3aから突き出す方向が、上記実施形態と異なっている。すなわち、第三の吸音パネル材43の下端面は、その一方の側面43cが第一の吸音パネル材41の一方の側面41bと面一となるように、第一の吸音パネル材41の上面に密着している。また、第三の吸音パネル材43の、第一の吸音パネル材41の側面41bと面一となっている側面43cは、その中間より上の位置において、第二の吸音パネル材42の側面42aに密着している。そして、第三の吸音パネル材43の上端が、水平部3aの上方に突き出た形態となっている。
【0042】
このように、第三の吸音パネル材43の上端が突き出していることにより、突き出して
いない場合と比較し、騒音が漏洩するルーバー部材3の間隔の開口面積が実質的に狭くなり、このことによっても、外部へ漏れる音の量を低減し、遮音性能の向上を図ることができる。この効果について、図12を参照しながら説明する。突き出しが無い場合(突き出し長さzが0の場合)には、開口から点Rへの直達音は経路Sa上を伝搬していくのに対して、長さzの突き出しが存在する場合の点Rへの直達音は、経路Sb上を伝搬していくことになる。すなわち、長さzの突き出しの存在は、ルーバー部材3の間隔から漏洩する騒音の進行方向と垂直の切断面の幅kと同じ幅の仮想壁の存在と同等の効果を奏することとなり、ルーバーパネル外へ透過する音の低減が可能となる。
【0043】
一方、吸音ルーバーパネル1の上方の太陽光は、水平部3aの上方に突き出した第3の吸音パネル材43の上端に遮られ、直接、トンネルA内に入射することがない。そのため、運転の妨げにならない性質の光のみを内部に導き、トンネルA内を間接照明し、これにより、調光性能を高めることが可能となる。
【0044】
なお、この上端の突き出し長さzを、上記の実施形態と同様、吸音パネル材の厚さに等しくしてもよいが、上記数式2を満たすものとしてもよい。以下に、図13及び図14を参照しながら、この実施形態における数式2の導き方法を説明する。
【0045】
図13に示すように、第三の吸音パネル材43の左上端をPとし、第二の吸音パネル材42の左上端をX1とし、さらに第二の吸音パネル材41の右下端をX2とする。なお、図13におけるX軸及びZ軸の方向は、図6及び図9のものと反対とする。ここで、Pを原点(0,0)としたとき、X1は、hから第三の吸音パネル材43の厚さtを差し引いた距離だけ、PよりもX軸の正方向(左側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(下側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h−t、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから第二の吸音パネル材42の長さhを引いた分だけX軸の正方向(左側)に、また突出量z並びに第二の吸音パネル材42の厚さtだけZ軸の正方向(下側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。
【0046】
次に、図14に示すように、各点間の傾きを求める。図14においてP−X1の傾きと、P−X2の傾きとを比較したとき、P−X2の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ上方に突出させた第三の吸音パネル材43の上端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/(h−t)で表され、P−X2の傾きは、(t+z)/(d−h)で表されるため、条件P−X2>P−X1にあてはめて整理すると、数式2が得られる。
【0047】
図15〜17に、本発明にかかる車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態を示す。図15は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図16は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。図17は、半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図15〜図17においても、図1〜図14に示す実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
この実施形態では、起立部3bが、略垂直に起立し、側面で相密着している第三及び第四の吸音パネル材43、44で形成されている。第一と第二の吸音パネル材41、42、第三と第四の吸音パネル材43、44は、それぞれ長さが等しく、第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材41、42、43、44の厚さtが等しいものとなっている。そして、第三の吸音パネル材43の側面の下縁は、第三の吸音パネル材43の下端面が第一の吸音パネル材41の下面41cと面一となるように、第一の吸音パネル材41の側面41bに密着している。また、第四の吸音パネル材44の側面の上縁は、第四の吸音パネル材44の上端面44aが第二の吸音パネル材42の上面と面一となるように、第二の吸音パネル材42の側面42aに密着している。また、起立部3bの上下方向の長さは、第一及び第二のルーバーパネル材の長さに等しくなっている。
【0049】
この場合、第三の吸音パネル材43の下端が水平部3bの下方に、第四の吸音パネル材44の上端が水平部3bの上方に突き出すことになる。そして、この突き出した端部が、上記と同様に、防音性及び調光性の向上に寄与するものとなる。なお、この下端及び上端の突き出し長さzは、上記の数式1若しくは数式2と異なる数式3を満たすものとしてもよい。以下に、図16及び図17を参照しながら、数式3の導き方法を説明する。
【0050】
図16に示すように、第四の吸音パネル材44の右下端をP、第二の吸音パネル材42の右下端をX1、第一の吸音パネル材41の左上端をX2、第三の吸音パネル材43の左上端をZ1とする。ここで、Pを原点(0,0)としたとき、X1は、第二の吸音パネル材の長さhだけ、PよりもX軸の正方向(右側)にシフトしている。一方、Z軸の正方向(上側)にはh−tだけシフトしているため、このX1の座標は(h、h−t)で表されることになる。同様に、X2はPよりも、内寸法dから第一の吸音パネル材41の長さhを引いた分だけX軸の正方向(右側)に、また突き出し長さz並びに第一の吸音パネル材41の厚さtだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、X2の座標は、(d−h、t+z)で表されることになる。また、Z1はPよりも、内寸法dだけX軸の正方向(右側)にシフトし、突き出し長さzと第三の吸音パネル材43の長さhの和h+zだけZ軸の正方向(上側)にシフトした位置にある。すなわち、Z1の座標は、(d、h+z)で表されることになる。
【0051】
次に、図17に示すように、各点間の傾きを求める。図17(a)においてP−X1の傾きと、P−Z1の傾きとを比較したとき、P−Z1の傾きが大きい場合に直接光は、突き出し長さzだけ上方に突出させた第三の吸音パネル材43の上端により遮られることになる。ここで、P−X1の傾きは、(h−t)/hで表され、P−Z1の傾きは、(h+z)/dで表されるため、条件P−Z1>P−X1にあてはめて整理すると、数式3が得られる。
【0052】
同様に、図17(b)に示すように、X2−X1の傾きと、X2−Z1の傾きとを比較したとき、X2−Z1の傾きが大きい場合には直接光は、突き出し長さzだけ上方に突出させた第三の吸音パネル材43の上端により遮られることになる。ここで、X2−X1の傾きは、(h−2t−z)/(2h−d)で表され、X2−Yの傾きは、(h−t)/hで表されるため条件X2−Z1>X2−X1にあてはめて整理すると、やはり、数式3が得られる。
【0053】
なお、この実施形態において、第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材41、42、43、44の厚さと長さを等しくし、第三及び第四の吸音パネル材43、44の端の、水平部の上方及び下方への突き出し長さを、それぞれ、吸音パネル材の厚さと等しいものとしてもよい。
【0054】
図18及び図19に、本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態を示す。図18は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。図19は、同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。なお、図18及び図19において、図1〜図17に示す第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
この実施形態は、図1〜図17に示す、上記第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルと同様に、高速道路における半地下式トンネルAの天井面Bに適用したものである。上面と下面が開放された矩形枠2内において短辺方向に架設されたルーバー部材3の複数が、矩形枠2の長辺方向に所定の間隔で並べて組付け配置されたものである点も同じである。更に、ルーバー部材3は、水平部3a及び起立部3bで構成され、水平部3aが、上下方向に間隔を開けて略水平に配置された、厚さと長さの等しい第一及び第二の吸音パネル材41、42で形成されている点も同じである。しかしながら、起立部3bの形態において、上記第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルと異なるものとなっている。すなわち、起立部3bは、第一及び第二の吸音パネル41、42の双方に接する位置で上下方向に配置された第三の吸音パネル材43で形成され、起立部3bの軸線が、水平部3aの軸線に対し傾斜している点において相違している。
【0056】
このようなルーバー部材3で構成される吸音ルーバーパネル1では、トンネルA内を走行する自動車による騒音が、天井面Bを構築する吸音ルーバーパネル1の各ルーバー部材3間の下方から取り込まれると、まず、第三の吸音パネル材43の吸音面43cで吸収されて、第一の吸音パネル材41側に向け反射される。続いて、その騒音は、第一の吸音パネル材41により反射された上で第二の吸音パネル材42側に向け反射される。次に、その騒音は、第二の吸音パネル材42の吸音面42cでさらに吸収されて、第三の吸音パネル材43側に向け反射され、ルーバー部材3間の上方から外部に到達する。また、トンネルA内の騒音は第1の吸音パネル41における吸音面41cにおいても同様に吸収されることになる。
【0057】
このように、トンネルA内の騒音は、吸音パネル材41、42、43の吸音面41c、42c、43cでそれぞれ吸収反射されて、トンネルAの外部に到達することになるため、騒音の吸収効率を、より一層高めることができ、これにより遮音性能の向上を図ることができる。この際、トンネルA内の排気ガスも、同様に、各吸音パネル材41、42、43を構成する吸音材6がフィルタとして働くことから、トンネルAの外部に放出される排気ガスの濃度を薄めることが可能になる。
【0058】
また、起立部3bの軸線が、水平部3aの軸線に対し傾斜しているため、ルーバー部材3の上下方向の長さ(厚さ)G3が同じ場合には、起立部3bを垂直にした場合よりも、第三の吸音パネル材43における吸音面43cを側面とする騒音の通過経路が長くなり、反射を繰り返す回数が増え、吸音性能の向上を図ることができる。更に、起立部3bを傾斜させることで、起立部3b及び水平部3aを形成する吸音パネル材41、42、43の道路縦断方向Xへの単位長さ当たりに使用する枚数を低減し、吸音パネル材の総重量を小さくすることができる。そのため、吸音パネル材41、42、43を支持する矩形枠2の構造を必要以上に強くする必要がなくなり、設計に自由度を持たせることが可能となり、ひいては、かかる矩形枠2を含めた吸音ルーバーパネル1全体の施工コストを低減させることが可能となる。
【0059】
起立部3bの軸線と、水平部3aの軸線との傾斜角度θは、約30°に設定されている。なお、図19においてθは、便宜上、第一の吸音パネル材41の下面と第三の吸音パネル材43の下面とが成す角度として表現されているが、実質的には起立部3bの軸線と水平部3aの軸線との傾斜角度である。この場合、遮音と換気の双方の機能をバランスよく両立させることができる。ただし、この傾斜角度に制限はなく、遮音と換気の機能のバランスを考慮しながら、設置現場の状況に適するように決めれば良い。
【0060】
一方、第一の吸音パネル材41と第二の吸音パネル材42の対向端面間における間隔G1及びG2は、吸音ルーバーパネル1の上方からの太陽光が、路面に直接入射しない長さに調整されている。例えば、起立部3bの軸線と、水平部3aの軸線との傾斜角度を30°と設定した場合、各吸音パネル材41、42、43の幅を全て500mmとし、また厚みを全て95mmとしたとき、G1を480.5mmとし、G2を167.7mmとすることにより、調光性を確保しつつ、遮音性、換気性を向上させることができる。
【0061】
第一及び第二の吸音パネル材41、42の、矩形枠2の長辺方向に配置される間隔G4は、ルーバー部材3が矩形枠の長辺方向に配置される間隔G4と等しくなっている。すなわち、互いに隣接するルーバー部材3同士において、一方の第一の吸音パネル材41と他方の第二の吸音パネル材42とが、上下方向に重なる位置関係となっている。この場合、第一の吸音パネル材41と第二の吸音パネル材42との間で複数回に亘り反射された騒音を最大限に吸収させる事が可能となり、吸音効果をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルが適用された高速道路における半地下トンネル構造の天井を示す要部断面斜視図である。
【図2】図1のI−I線における吸音ルーバーパネルの縦断側面図である。
【図3】ルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図4】吸音パネル材を一部破断して示す要部断面斜視図である。
【図5】騒音の発生点からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの下端が突き出した部分の拡大断面図である。
【図6】吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図7】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図8】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの他の実施形態いおいて、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図9】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図10】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図11】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態において、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図12】ルーバー部材の間隔の開口からの直達音の伝搬経路の差異を示す、第三の吸音パネルの上端が突き出した部分の拡大断面図である。
【図13】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図14】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図15】本発明にかかる第一の車両走行路用吸音ルーバーパネルの更に他の実施形態における、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図16】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図17】半地下式トンネル内への太陽の直射光の入射経路を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【図18】本発明にかかる第二の車両走行路用吸音ルーバーパネルの実施形態における、同車両走行路用吸音ルーバーパネルのルーバー部材を構成する各吸音パネル材の配置形態を概略的に示す要部拡大断面図である。
【図19】同車両走行路用吸音ルーバーパネルを構成する吸音パネル材の主要点の座標を示す、吸音パネル材の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 吸音ルーバーパネル
2 矩形枠
2a 内面
3 ルーバー部材
3a 水平部
3b 起立部
41 第一の吸音パネル材
41b 側面
41c 下面
42 第二の吸音パネル材
42a 側面
43 第三の吸音パネル材
43a 上端面
44 第四の吸音パネル材
44a 上端面
5 有底箱体
6 吸音材
7 孔明き板
8 ブラケット
X 道路縦断方向
Y 道路横断方向
Z 上下方向
d 配置間隔
t 厚さ
h 長さ
z 突き出し長さ
θ 傾斜角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と下面が開放された矩形枠(2)内において道路横断方向(Y)に架設されたルーバー部材(3)の複数が、該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に所定の間隔で並べて組付け配置され、
該ルーバー部材(3)は、上下方向(Z)に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材(41,42)で形成した水平部(3a)と、該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)の双方に密着させて上下方向に配置された起立部(3b)とで構成され、
該起立部(3b)の端が、該水平部(3a)の上方及び下方の少なくとも一方に突き出ていることを特徴とする車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項2】
該起立部(3b)は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材(43)で形成され、該第三の吸音パネル材(43)の端が該水平部(3a)の下方に突き出ている請求項1に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項3】
該第一、第二及び第三の吸音パネル材(41,42,43)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)の側面の上縁は、該第三の吸音パネル材(43)の上端面(43a)が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着し、該第三の吸音パネル材(43)の該第二の吸音パネル材(42)に密着していない側面はその中間より下の位置において、該水平部(3a)の下側をなす第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着している請求項2に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項4】
該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)は、該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)と厚さ(t)が等しく長さが該厚さ分短く、該第三の吸音パネル材(43)の上端面は、該第三の吸音パネル材(43)の一方の側面が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の一方の側面(42a)と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の下面(42c)に密着し、該第三の吸音パネル材(43)の該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)と面一となっている側面はその中間より下の位置において、該水平部(3a)の下側をなす第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着している請求項2に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項5】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が該厚さ(t)と等しい請求項3又は4に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項6】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が、数式1
【数1】
を満たしている請求項3に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項7】
該起立部(3b)は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材(43)で形成され、該第三の吸音パネル材(43)の端が該水平部(3a)の上方に突き出ている請求項1に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項8】
該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)は、該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)と厚さ(t)が等しく長さが該厚さ分短く、該第三の吸音パネル材(43)の下端面は、該第三の吸音パネル材(43)の一方の側面(43c)が該水平部(3a)の下側をなす該第一の吸音パネル材(41)の一方の側面(41b)と面一となるように該第一の吸音パネル材(41)の上面に密着し、該第三の吸音パネル材(43)の該第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)と面一となっている側面(43c)はその中間より上の位置において、該水平部(3a)の上側をなす第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着している請求項7に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項9】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が該厚さ(t)と等しい請求項8に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項10】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が、数式2
【数2】
を満たしている請求項4又は8に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項11】
該起立部(3b)は、略垂直に起立し、側面で相密着している第三及び第四の吸音パネル材(43,44)で形成され、一方(44)の下端が該水平部(3a)の下方に突き出し、他方(43)の上端が該水平部(3a)の上方に突き出ている請求項1に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項12】
該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材(41,42,43,44)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)の側面の下縁は、該第三の吸音パネル材(43)の下端面が該水平部(3a)の下側をなす該第一の吸音パネル材(41)の下面(41c)と面一となるように該第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着し、該第四の吸音パネル材(44)の側面の上縁は、該第四の吸音パネル材(44)の上端面(44a)が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着している請求項11に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項13】
該第三及び第四の吸音パネル材(43,44)の端の、該水平部(3a)の上方及び下方への突き出し長さ(z)が、それぞれ、該厚さ(t)と等しい請求項12に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項14】
該第一と第二の吸音パネル材(41,42)の長さ(h)が等しく、該第三と第四の吸音パネル材(43,44)の長さが等しく、該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材(41,42,43,44)の厚さ(t)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)の側面の下縁は、該第三の吸音パネル材(43)の下端面が該水平部(3b)の下側をなす該第一の吸音パネル材(41)の下面(41c)と面一となるように該第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着し、該第四の吸音パネル材(44)の側面の上縁は、該第四の吸音パネル材(44)の上端面(44a)が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着している請求項11に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項15】
該起立部(3b)の上下方向の長さは該第一及び第二のルーバーパネル材(41,42)の長さ(h)に等しく、該第三及び第四の吸音パネル材(43,44)の端の、該水平部(3a)の上方及び下方への突き出し長さ(z)が等しく、かつ数式3
【数3】
を満たしている請求項14に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項16】
上面と下面が開放された矩形枠(2)内において道路横断方向(Y)に架設されたルーバー部材(3)の複数が、該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に所定の間隔で並べて組付け配置され、
該ルーバー部材(3)は、上下方向(Z)に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材(41,42)で形成された水平部(3a)と、該第一及び第二の吸音パネル(41,42)の双方に接する位置で上下方向(Z)に配置された第三の吸音パネル材(43)で形成された起立部(3b)とで構成され、
該起立部(3b)の軸線が、該水平部(3a)の軸線に対し傾斜していることを特徴とする車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項17】
該第一、第二及び第三の吸音パネル材(41,42,43)は厚さと長さが等しい請求項16に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項18】
該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)の、該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に配置される間隔(G4)は、該ルーバー部材(3)が該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に配置される間隔と等しくなっている請求項17に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項1】
上面と下面が開放された矩形枠(2)内において道路横断方向(Y)に架設されたルーバー部材(3)の複数が、該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に所定の間隔で並べて組付け配置され、
該ルーバー部材(3)は、上下方向(Z)に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材(41,42)で形成した水平部(3a)と、該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)の双方に密着させて上下方向に配置された起立部(3b)とで構成され、
該起立部(3b)の端が、該水平部(3a)の上方及び下方の少なくとも一方に突き出ていることを特徴とする車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項2】
該起立部(3b)は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材(43)で形成され、該第三の吸音パネル材(43)の端が該水平部(3a)の下方に突き出ている請求項1に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項3】
該第一、第二及び第三の吸音パネル材(41,42,43)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)の側面の上縁は、該第三の吸音パネル材(43)の上端面(43a)が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着し、該第三の吸音パネル材(43)の該第二の吸音パネル材(42)に密着していない側面はその中間より下の位置において、該水平部(3a)の下側をなす第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着している請求項2に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項4】
該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)は、該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)と厚さ(t)が等しく長さが該厚さ分短く、該第三の吸音パネル材(43)の上端面は、該第三の吸音パネル材(43)の一方の側面が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の一方の側面(42a)と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の下面(42c)に密着し、該第三の吸音パネル材(43)の該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)と面一となっている側面はその中間より下の位置において、該水平部(3a)の下側をなす第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着している請求項2に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項5】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が該厚さ(t)と等しい請求項3又は4に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項6】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が、数式1
【数1】
を満たしている請求項3に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項7】
該起立部(3b)は、略垂直に起立した第三の吸音パネル材(43)で形成され、該第三の吸音パネル材(43)の端が該水平部(3a)の上方に突き出ている請求項1に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項8】
該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)は、該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)と厚さ(t)が等しく長さが該厚さ分短く、該第三の吸音パネル材(43)の下端面は、該第三の吸音パネル材(43)の一方の側面(43c)が該水平部(3a)の下側をなす該第一の吸音パネル材(41)の一方の側面(41b)と面一となるように該第一の吸音パネル材(41)の上面に密着し、該第三の吸音パネル材(43)の該第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)と面一となっている側面(43c)はその中間より上の位置において、該水平部(3a)の上側をなす第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着している請求項7に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項9】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が該厚さ(t)と等しい請求項8に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項10】
該第三の吸音パネル材(43)の端の突き出し長さ(z)が、数式2
【数2】
を満たしている請求項4又は8に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項11】
該起立部(3b)は、略垂直に起立し、側面で相密着している第三及び第四の吸音パネル材(43,44)で形成され、一方(44)の下端が該水平部(3a)の下方に突き出し、他方(43)の上端が該水平部(3a)の上方に突き出ている請求項1に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項12】
該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材(41,42,43,44)は厚さ(t)と長さ(h)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)の側面の下縁は、該第三の吸音パネル材(43)の下端面が該水平部(3a)の下側をなす該第一の吸音パネル材(41)の下面(41c)と面一となるように該第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着し、該第四の吸音パネル材(44)の側面の上縁は、該第四の吸音パネル材(44)の上端面(44a)が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着している請求項11に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項13】
該第三及び第四の吸音パネル材(43,44)の端の、該水平部(3a)の上方及び下方への突き出し長さ(z)が、それぞれ、該厚さ(t)と等しい請求項12に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項14】
該第一と第二の吸音パネル材(41,42)の長さ(h)が等しく、該第三と第四の吸音パネル材(43,44)の長さが等しく、該第一、第二、第三及び第四の吸音パネル材(41,42,43,44)の厚さ(t)が等しく、該第三の吸音パネル材(43)の側面の下縁は、該第三の吸音パネル材(43)の下端面が該水平部(3b)の下側をなす該第一の吸音パネル材(41)の下面(41c)と面一となるように該第一の吸音パネル材(41)の側面(41b)に密着し、該第四の吸音パネル材(44)の側面の上縁は、該第四の吸音パネル材(44)の上端面(44a)が該水平部(3a)の上側をなす該第二の吸音パネル材(42)の上面と面一となるように該第二の吸音パネル材(42)の側面(42a)に密着している請求項11に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項15】
該起立部(3b)の上下方向の長さは該第一及び第二のルーバーパネル材(41,42)の長さ(h)に等しく、該第三及び第四の吸音パネル材(43,44)の端の、該水平部(3a)の上方及び下方への突き出し長さ(z)が等しく、かつ数式3
【数3】
を満たしている請求項14に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項16】
上面と下面が開放された矩形枠(2)内において道路横断方向(Y)に架設されたルーバー部材(3)の複数が、該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に所定の間隔で並べて組付け配置され、
該ルーバー部材(3)は、上下方向(Z)に間隔を開けて略水平に配置された第一及び第二の吸音パネル材(41,42)で形成された水平部(3a)と、該第一及び第二の吸音パネル(41,42)の双方に接する位置で上下方向(Z)に配置された第三の吸音パネル材(43)で形成された起立部(3b)とで構成され、
該起立部(3b)の軸線が、該水平部(3a)の軸線に対し傾斜していることを特徴とする車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項17】
該第一、第二及び第三の吸音パネル材(41,42,43)は厚さと長さが等しい請求項16に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【請求項18】
該第一及び第二の吸音パネル材(41,42)の、該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に配置される間隔(G4)は、該ルーバー部材(3)が該矩形枠(2)の道路縦断方向(X)に配置される間隔と等しくなっている請求項17に記載の車両走行路用吸音ルーバーパネル(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−2104(P2008−2104A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170902(P2006−170902)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(000173728)財団法人小林理学研究所 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(000173728)財団法人小林理学研究所 (15)
【Fターム(参考)】
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