説明

車両通行遮断機

【課題】リリース動作後の阻止棒を迅速かつ確実に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供する。
【解決手段】車両の通行を阻止する阻止位置Sと車両の進行を許容する許可位置Kとの間で回動されて開閉動作を行う阻止棒30と、該阻止棒30を車両による衝撃を解放するリリース方向T1に回動可能に支持するリリース軸と、リリース状態とされた阻止棒30をリリース方向T1の反対方向である復帰方向T2に回動させる復帰駆動部40と、復帰方向T2に回動する阻止棒30が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達した際に、該阻止棒30に対して復帰方向T2に向かってのトルクを付与する補助復帰駆動部80とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの料金所に設置され、車両の通行を阻止または許可可能な車両
通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所において、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCにおいては、料金所ゲートへの車両の進入を車両検知器が検知すると、車線サーバが路側アンテナに対して通信指令を発し、これに基づいて路側アンテナが車両に搭載された車載器と通信を開始する。次いで、車線サーバは路側アンテナにより車載器から得られた情報に基づいて、正常車両か異常車両かの別を判断する。そして、正常車両と判断した際には車両通行遮断機の阻止棒を開状態とし、異常車両と判断した際には阻止棒を閉状態に維持することで、車両の通行を許可又は阻止する。
【0003】
このETCにおいては、阻止棒が閉じた状態であるにも拘わらず車両が強行的に車両通行遮断機を通過した場合、車両が阻止棒に衝突することによって阻止棒や車両が損傷するという事故が生じる。そこで、このような問題に対処すべく、車両の衝突時に阻止棒が受けた衝撃を逃がすように、該阻止棒がリリース動作を行う車両通行遮断機が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
これら特許文献1,2に記載の車両通行遮断機は、車両が阻止棒に衝突することなく通常に使用されている間は、その阻止棒が鉛直面内で回転し、水平に倒伏した状態で車両の通行を阻止する一方、鉛直に起立した状態で車両の進入を許可するような開閉動作を行う。そして、車両が阻止棒に衝突した際には、その衝撃に従って阻止棒が車両進行方向へと向かって水平面に沿って折れ曲がりリリース状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594957号公報
【特許文献2】特開2003−336232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2の車両通行遮断機においては、リリース動作後の折れ曲がった阻止棒をリリース動作前の状態に復帰させるための機構はなく、例えば料金所係員が車両通行遮断機の箇所まで近寄って、手動にて阻止棒を非リリース状態に復帰させる作業を行わなければならなかった。したがって、リリース動作後の阻止棒の復帰作業に長時間を要する場合もあり、その間に車両通行路で車両の渋滞が発生してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ確実に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動可能に支持するリリース軸と、リリース状態とされた前記阻止棒を前記リリース方向の反対方向である復帰方向に回動させる復帰駆動部と、前記復帰方向に回動する前記阻止棒が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達した際に、該阻止棒に対して前記復帰方向に向かってのトルクを付与する補助復帰駆動部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒に車両が衝突することにより該阻止棒がリリース方向に回動した際には、復帰駆動部を駆動させることによって阻止棒を復帰方向に回動させることができる。さらに、この復帰駆動部によって復帰方向に回動する阻止棒が非リリース状態の手前の所定位置に到達した際には、阻止棒に対して補助復帰駆動部による復帰方向のトルクが付与される。
【0010】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒の前記所定位置への到達を検知する第一検知部をさらに備え、前記補助復帰駆動部は、該第一検知部による前記阻止棒の検知に基づいて該阻止棒に対して前記トルクを付与することが好ましい。
【0011】
これにより、阻止棒が復帰方向に回動して非リリース状態の手前の所定位置に至った際に、該阻止棒に対して補助復帰駆動部による復帰方向へのトルクを速やかに付与することができる。したがって、より一層迅速かつ確実に阻止棒を非リリース状態に復帰させることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒の前記非リリース状態への到達を検知する第二検知部をさらに備え、前記補助復帰駆動部は、前記第二検知部の検知に基づいて前記阻止棒へのトルクの付与を解除することを特徴とする。
【0013】
これにより、阻止棒が復帰方向に回動した結果として非リリース状態となった際に、補助復帰駆動部による阻止棒に対する復帰方向へのトルクの付与が速やかに解除される。したがって、例えば、阻止棒が非リリース状態に復帰した直後に車両が阻止棒に衝突した場合であっても、該阻止棒のリリース動作が妨げられることなく、当該車両による衝突を円滑に逃がすことが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る車両通行遮断機において、前記補助復帰駆動部は、前記第一検知部の検知に基づいて正回転する電動機と、前記電動機の正回転に連動することで初期位置から回動して前記阻止棒を復帰方向に引き込む引き込み用ギアとを備えていることを特徴とする。
【0015】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、第一検知部の阻止棒の検知によって電動機が正回転した場合には、引き込み用ギアが初期位置から回動して阻止棒を復帰方向に引き込む動作を行う。これによって、該阻止棒に対して復帰方向へのトルクを付与することができ、層迅速かつ確実に阻止棒を非リリース状態に復帰させることが可能となる。
【0016】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機において、前記電動機は、前記第二検知部の検知に基づいて逆回転し、前記引き込み用ギアが、前記電動機の逆回転に連動することで前記初期位置に復帰することが好ましい。
【0017】
阻止棒が引き込み用ギアによって非リリース状態に復帰した後、第二検知部の阻止棒の検知によって電動機が逆回転すると、引き込み用ギアが初期位置に向かって回動し、該引き込み用ギアによる阻止棒の復帰方向への引き込みが解除される。これによって、阻止棒に対する復帰方向へのトルクの付与が解除されるため、非リリース状態に復帰した後の円滑なリリース動作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両通行遮断機によれば、復帰駆動部を駆動させることによって阻止棒を復帰方向に回動させることができる。さらに、阻止棒の非リリース状態の手前の所定位置において補助復帰駆動部により阻止棒に対して復帰方向のトルクを付与することができる。したがって、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ確実に非リリース状態に復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示す遮断機を車両進行方向前方側から見た斜視図である。
【図4】復帰駆動部の内部構造を示す斜視図である。
【図5】復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図6】クラッチ機構における第一ギア及び第二ギアの斜視図である。
【図7】復帰駆動部における復帰用モータ、第一ウォームギア、第一回転軸、第二ウォームギア、第一平歯車、第二回転軸、第一ギアの斜視図である。
【図8】復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図9】支持アームにおけるアーム本体、リリース軸、及び、復帰駆動部における第二ギア、第二平歯車、第三平歯車の斜視図である。
【図10】復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図11】リリース状態保持部を示す縦断面図である。
【図12】非リリース状態保持部を示す縦断面図である。
【図13】補助復帰駆動部の内部構造を示す斜視図である。
【図14】補助復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図15】補助復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図16】実施形態に係る遮断機の機能ブロック図である。
【図17】車線サーバが実行する阻止棒の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】制御部が実行する阻止棒の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図20】補助復帰駆動部の内部構造を示す斜視図である。
【図21】復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る遮断機について、図面を参照して詳細に説明する。
遮断機10は、図1〜図3に示すように、遮断機本体11と、該遮断機本体11に支持された支持アーム20と、該支持アーム20に支持された阻止棒30とを備えている。さらに、この遮断機10には、復帰駆動部40と、リリース状態保持部60と、非リリース状態保持部70と、補助復帰駆動部80と、制御部90(図1〜3において図示省略、図16参照)とが設けられている。
【0021】
遮断機本体11は、高速道路の料金所における車両通行路Rの側方に固定設置されている。この遮断機本体11における車両進行方向G後方側を向く面には、開閉軸12(図2及び図3参照)が設けられている。この開閉軸12は、遮断機本体11内に設けられた開閉用モータ13(図1〜図3において図示省略、図16参照)によって車両進行方向Gに沿った水平軸回りに回転駆動可能とされている。開閉用モータ13は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御部90と接続されており、該制御部90の指令に基づいて正逆回転するように構成されている。なお、遮断機本体11を設置する箇所は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0022】
支持アーム20は、アーム本体21とリリース軸22とを備えている。
アーム本体21は開閉軸12の直径方向を長手方向とするように該開閉軸12に固定支持されている。このアーム本体21は、開閉軸12の回転に伴って、該アーム本体21の長手方向が水平方向に平行な水平状態と鉛直方向に平行な鉛直状態との間で、鉛直面に沿って90°の範囲で開閉軸12の軸線回りに回動可能とされている。
【0023】
このアーム本体21は、水平状態とされている場合において上下方向に対向する上板部21a、下板部21b、及び、これら上板部21aと下板部21bとを接続する中板部21cを備えている。即ち、アーム本体21は、長手方向に直交する断面形状が略コの字状をなしている。そして、上記断面コの字状において上下に対抗する二辺を接続する一辺となる中板部21cが開閉軸12に固定支持されている
【0024】
リリース軸22は、図3に示すように、上記アーム本体21の先端、即ち、支持アーム20が水平状態の場合におけるアーム本体21の車両通行路R側(図1及び図2における左側)の端部に支持されている。このリリース軸22は、アーム本体21の長手方向に直交し、かつ、鉛直面に沿って延びる軸線回りに回動可能とされている。これによって、支持アーム20が水平状態とされている際にはリリース軸22は鉛直軸回りに回動可能とされる。
【0025】
阻止棒30は、リリース軸22の直径方向に延在するように該リリース軸22に固定支持されている。そして、支持アーム20が水平状態とされている場合における阻止棒30のリリース軸22から見た車両通行路R側の部分が、長尺状をなして車両の進行を阻止する棒部31とされている。また、阻止棒30におけるリリース軸22を挟んで棒部31の反対側の部分が、アーム本体21の上記断面コの字状の内側に収納可能な基部32とされている。
このような阻止棒30は、リリース軸22の回転に伴って該リリース軸22の軸線回りに回動可能とされている。
【0026】
この阻止棒30においては、図1及び図3に示すように、該阻止棒30の延在方向が支持アーム20の長手方向と平行な状態、即ち、阻止棒30が開閉軸12の径方向に延在する状態が非リリース状態とされている。
また、阻止棒30においては、図2に示すように、リリース軸22の回動に伴って非リリース状態から車両進行方向Gに90°回動し、阻止棒30の延在方向が支持アーム20の長手方向と直交する状態、即ち、阻止棒30が開閉軸12及び車両進行方向Gと平行に延在する状態がリリース状態とされている。なお、ここではリリース状態から車両進行方向Gに90°回動した状態をリリース状態と定義したが、リリース状態から車両進行方向Gに向かって任意の角度だけ回動した状態をリリース状態としてもよい。
以下では、阻止棒30が非リリース状態からリリース状態に回動する方向、即ち、リリース動作を行う方向をリリース方向T1とし、これとは逆にリリース状態から非リリース状態に回動する方向、即ち、復帰動作を行う方向を復帰方向T2とする。
【0027】
また、阻止棒30においては、図1に示すように、支持アーム20が水平状態とされ、かつ、阻止棒30が非リリース状態とされていることにより、該阻止棒30が略水平状態であるとともに車両進行方向Gに略直交する方向に延びて車両の進行を阻止する状態が阻止位置Sとされている。また、支持アーム20が鉛直状態とされ、かつ、阻止棒30が非リリース状態とされることにより、阻止棒30が鉛直方向に起立して車両の通行を許可する状態が許可位置Kとされている。
【0028】
そして、本実施形態においては、開閉軸12の回転に伴って支持アーム20が90°の範囲で回動することで、非リリース状態とされた阻止棒30が阻止位置Sと許可位置Kとの間での開閉動作を行うようになっている。以下では、支持アーム20が水平状態から鉛直状態に向かって回動する動作を開動作とし、該支持アーム20が鉛直状態から水平状態に向かって回動する動作を閉動作とする。
【0029】
次に、復帰駆動部40の構成について説明する。
復帰駆動部40は、リリース方向T1に回動した阻止棒30を復帰方向T2に回動させて非リリース状態に復帰させるための機構であって、図1〜図3に示すように水平状態とされた支持アーム20の下部に一体に固定されている。この復帰駆動部40は、図4〜図7に示すように、筐体状をなす復帰駆動部本体40a内に収納された復帰用モータ(電動機)41と、該復帰用モータ41の正回転をリリース軸22に伝達させる動力伝達機構42と、阻止棒30の非リリース状態又はリリース状態を検知する状態検知手段55(図4にて図示省略)とを備えている。
【0030】
復帰用モータ41は、回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御部90からの指令に基づいて出力軸41aが正逆回転可能とされている。
【0031】
動力伝達機構42は、第一ウォームギア43と、第一回転軸44と、第二ウォームギア45と、第一平歯車46と、第二回転軸47と、クラッチ機構48と、第二平歯車51と、第三平歯車52とを備えている。
【0032】
第一ウォームギア43は、図4から図7に示すように、出力軸41aの先端に該出力軸41aと同軸に固定されており、その外周面には、軸線回りに捩れる雄ネジが形成されている。
第一回転軸44は、支持アーム20が水平状態とされた場合における復帰駆動部本体40aの上下方向(以下、復帰駆動部40の説明においては単に上下方向と称する。)に延在する軸であって、例えば復帰駆動部本体40aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0033】
第二ウォームギア45は、第一回転軸に同軸に固定された略円盤状をなす部材であって、該第一回転軸44と一体に回転するようになっている。この第二ウォームギア45の外周面には第一ウォームギア43の雄ネジと螺合するギア歯が形成されており、これによって、第一ウォームギア43と第二ウォームギア45とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0034】
第一平歯車46は、第一回転軸44に同軸に固定された略円盤状をなすギアであって、その外周面にはギア歯が形成されている。この第一平歯車46は、第二ウォームギア45の上部に一体に固定されており、これによって、第二ウォームギア45及び第一回転軸44と連動して軸線回りに回転するようになっている。
第二回転軸47は、第一回転軸44と平行をなして上下方向に延在する軸であって、例えば復帰駆動部本体40aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0035】
クラッチ機構48は、第二回転軸47に対してそれぞれ同軸に配置された第一ギア49及び第二ギア50を備えている。
第一ギア49は、第二回転軸47に対して同軸かつ一体に固定された略円盤状をなしており、第二回転軸47とともに軸線回りに回転するように構成されている。この第一ギア49の外周面にはギア歯が形成されており、当該ギア歯は第一平歯車46のギア歯と互いに噛み合っている。これによって、第一ギア49と第一平歯車46とは、それぞれの軸線回りに互いに連動回転可能とされている。
【0036】
この第一ギア49の上面には、図6(a)に示すように、該第一ギア49の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称をなす一対の爪部49a,49aが設けられている。これら爪部49a,49aはそれぞれ第一ギア49の軸線に平行に延びる円柱状をなしている。
【0037】
第二ギア50は、図4及び図5に示すように、第二回転軸47に対して軸線回りに相対回転可能に配置された円盤状をなしており、第一ギア49の上部に重なるように配置されている。
この第二ギア50には、図6(a)に示すように、該第二ギア50の厚み方向に貫通する一対の溝部50a,50aが形成されている。これら溝部50a,50aは、第二ギア50の軸線回りに延びる円弧状をなしており、第二ギア50の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称となるように配置されている。
【0038】
このような第二ギア50の溝部50a,50aには、図6(b)に示すように、第一ギア49の一対の爪部49a,49bが一対一の関係で挿入されている。これによって、第一ギア49と第二ギア50とは、溝部50a,50a内における爪部49a,49aの移動許容範囲に応じて軸線回りに相対回転可能とされている。
【0039】
第二平歯車51は、第二回転軸47に対して同軸かつ相対回転可能に配されたギアであって、水平状態とされた支持アーム20における第二ギア50の上部に一体に固定されている。これによって、第二平歯車51は第二ギア50と一体に回転する。また、第二平歯車51の外周面にはギア歯が形成されている。
【0040】
第三平歯車52は、支持アーム20に設けられたリリース軸22の下方において、該リリース軸22に対して同軸かつ一体に設けられたギアであって、当該リリース軸22と連動して回転可能とされている。また、第三平歯車52の外周面にはギア歯が形成されており、当該ギア歯は第二平歯車51のギア歯と互いに噛み合っている。これによって、第二平歯車51と第三平歯車52とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0041】
ここで、制御部90の指令によって復帰用モータ41の出力軸41aが正回転すると、図7に示すように、当該出力軸41aの正回転が動力伝達機構42における第一ウォームギア43、第二ウォームギア45、第一平歯車46を介してクラッチ機構48の第一ギア49に伝達される。これによって、第一ギア49及び爪部49a,49aは、図5に示す初期位置から図8に示すように時計回りに90°だけ回転する。以下、このような第一ギア49及び爪部49a,49aの動作を正回転動作と称する。
【0042】
一方、第一ギア49,49及び爪部49a,49aが初期位置から正回転動作した後に、制御部90の指令によって復帰用モータ41の出力軸41aが逆回転すると、当該出力軸41aの逆回転が、動力伝達機構42における第一ウォームギア43、第二ウォームギア45、第一平歯車46を介してクラッチ機構48の第一ギア49に伝達される。これによって、第一ギア49及び爪部49a,49aは、図8における反時計回り、即ち、正回転動作と反対回りに90°回転して初期位置に復帰する。以下、この第一ギア49及び爪部49a,49aの動作を逆回転動作を称する。
以上のように、第一ギア49及び爪部49a,49aは、復帰用モータ41の出力軸41aの正逆回転に応じて90°の角度範囲を往復回動する。
【0043】
また、阻止棒30がリリース動作を行い、非リリース状態からリリース状態となると、図9に示すように、このリリース動作に伴うリリース軸22のリリース方向T1への回転が、動力伝達機構42における第三平歯車52、第二平歯車51を介して第二ギア50に伝達される。これによって、第二ギア50は、図5に示す初期位置から図10に示すように反時計回りに90°だけ回転する。以下、この第二ギア50の動作をリリース連動動作と称する。
第二ギア50がリリース連動動作を行った後は、図10に示すように、第一ギア49における初期位置の爪部49a,49aが、溝部50a,50aにおける図10の時計回り前方側の端部となる当接端部50bにそれぞれ当接する。
【0044】
一方、リリース連動動作後の第二ギア50が当該リリース連動動作と反対回り90°に回転すると、当該回転が動力伝達機構42における第二平歯車51及び第三平歯車52を介してリリース軸22に伝達される。これによってリリース軸22は、復帰方向T2に回転する。これに伴って、阻止棒30がリリース状態から復帰動作を行い、非リリース状態に復帰する。以下、このような第二ギア50の動作を復帰連動動作と称する。
以上のように、第二ギア50と阻止棒30とは、互いに連動する構成とされ、即ち、第二ギア50のリリース連動動作と阻止棒30のリリース動作とが対応するように、また、第二ギア50の復帰連動動作と阻止棒30の復帰動作とが対応するように互いに連動する。
【0045】
状態検知手段55は、被検知円盤56と、円盤検知用センサ57とから構成されている。
被検知円盤56は、図5、図8及び図10に示すように、略円盤状をなす部材であって、上記クラッチ機構48における第二ギア50の上面に同軸かつ一体に固定されている。被検知円盤56は、その外径が第二ギア50の外径よりも大きく形成されており、さらに、外周縁部から径方向内側に向かって切り欠くように形成された第一スリット56a及び第二スリット56bを備えている。これら第一スリット56a,第二スリット56bは、被検知円盤56の周方向に互いに90°の間隔をあけて配置されている。
【0046】
円盤検知用センサ57は、復帰駆動部本体40aの内壁に保持されたセンサであって、例えばレーザーを照射することによって対象物までの距離を測定可能とされた距離センサが採用されている。本実施形態において、円盤検知用センサ57は、被検知円盤56の外周部に対して水平状態とされた支持アーム20の上下方向に沿うようにレーザーを照射している。これにより、被検知円盤56の回転角度に応じて、レーザーの照射領域に第一スリット56a又は第二スリット56bが存在する場合と、当該照射領域に被検知円盤56が存在する場合とをそれぞれ検出するようになっている。
【0047】
このような円盤検知用センサ57は、図5及び図8に示すように、阻止棒30が非リリース状態とされて第二ギア50が初期位置とされている場合には、第一スリット56aに向かってレーザーを照射しており、即ち、円盤検知用センサ57のレーザー照射領域に第一スリット56aが位置している。この場合、状態検知手段55は、阻止棒30が非リリース状態にあるものと認識する。
【0048】
そして、図10に示すように、第二ギア50がリリース連動動作を行った際には、これに伴って第二ギア50に固定された円盤検知用センサ57も回転することにより、円盤検知用センサ57のレーザー照射領域に第二スリット56bが存在することになる。このように、円盤検知用センサ57のレーザー照射領域に当初第一スリット56aが位置している場合に被検知円盤56が回転することにより、当該レーザー照射領域に位置する対象物が被検知円盤56自体、第二スリット56bと変化した場合に、状態検知手段55は阻止棒30がリリース状態に変化したものと認識する。
【0049】
さらに、第二ギア50が復帰連動動作を行った際には、これに伴って第二ギア50に固定された円盤検知用センサ57も回転することにより、円盤検知用センサ57のレーザー照射領域に第一スリット56aが存在することになる。このように、円盤検知用センサ57のレーザー照射領域に当初第二スリット56bが位置している場合に被検知円盤56が回転することにより、当該レーザー照射領域に位置する対象物が被検知円盤56自体、第一スリット56aと変化した場合に、状態検知手段55は阻止棒30がリリース状態に変化したものと認識する。
以上のようにして、状態検知手段55は、阻止棒30が非リリース状態にあるかリリース状態にあるのかを検知する。
【0050】
次に、リリース状態保持部60の構成について説明する。
リリース状態保持部60は、阻止棒30をリリース状態において保持する機構であって、図1〜図3に示すように、水平状態とされた支持アーム20の先端における上面に設けられている。なお、このリリース状態保持部60の説明においては、当該水平状態とされた支持アーム20の上下方向を単に上下方向と称する。
【0051】
このリリース状態保持部60は、詳しくは図11に示すように、水平状態とされた支持アーム20の上面に固定された筐体状をなす保持部本体61と、リリース状態における阻止棒30に対して付勢力により係止する付勢係止部62と、該付勢係止部62の付勢力に抗して該付勢係止部62の阻止棒30に対する係止を解除する係止解除部65とを備えている。
【0052】
上記付勢係止部62は、スライドバー63及び付勢部材収容部64から構成されている。
スライドバー63は、上下方向に延在するバー状をなしており、保持部本体61を貫通するようにして上下方向の所定範囲にわたってスライド可能に設けられている。このスライドバー63の下端には、リリース状態とされた阻止棒30に係合可能な係止端部63aが設けられている。この係止端部63aはスライドバー63が最下位置にある場合に阻止棒30に係合する。また、このスライドバー63における上下方向略中央部には、該スライドバー63の外周面が一段拡径するようにして形成されたフランジ部63bが設けられている。
【0053】
付勢部材収容部64は、保持部本体61内においてスライドバー63に外嵌されるように設けられている。この付勢部材収容部64は、スライドバー63の上下方向の相対移動を許容しており、即ち、スライドバー63は付勢部材収容部64によって上下方向のスライドが阻止されることなく当該方向に相対移動可能とされている。また、付勢部材収容部64の内部には、スライドバー63を下方に向かって付勢するコイルスプリング等の付勢部材(図示省略)が収容されている。この付勢部材の付勢によって、スライドバー63に外力が作用しない限り、該スライドバー63は最下位置に位置することになる。
付勢部材収容部64の付勢部材により最下位置に位置するスライドバー63は、該スライドバー63の係止端部63aが阻止棒30に対して係止することで阻止棒30をリリース状態に保持している。
【0054】
係止解除部65は、解除用モータ66と、ネジ部材67と、ボールナット68と、ブラケット69とを備えている。
解除用モータ66は、保持部本体61内において、出力軸が下方に向くように配置されている。この出力軸には、外周面にギア歯が形成されたモータ側ギア66aが同軸かつ一体に固定されている。
【0055】
ネジ部材67は、保持部本体61内の上下方向に延在するように配置されており、その外周面には軸線方向に捩れる雄ネジが形成されている。また、このネジ部材67の下端には外周面にギア歯が形成されたネジ部材側ギア67aが同軸かつ一体に固定されている。このネジ部材側ギア67aはモータ側ギア66aと互いに噛み合っており、これによって、解除用モータ66の回転と連動してネジ部材67が回転する。
【0056】
ボールナット68は、ネジ部材67に外嵌された筒状の部材であって、その内周側にはネジ部材67の雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。このボールナット68は、ネジ部材67の回転に伴って当該ネジ部材67の延在方向、即ち、上下方向に移動可能とされている。これらネジ部材67とボールナット68とによって、ネジ部材67の軸線回りの回転をボールナット68の上下方向の直進運動に変換するボールネジ機構が構成されている。
【0057】
ブラケット69は、その一端がボールナット68に固定されており、該ボールナット68の移動に連動して上下に移動するように構成されている。また、ブラケットの他端はスライドバー63に向かって延在しており、当該他端側の部分をスライドバー63が上下方向に相対移動可能に貫通している。
ここで、ブラケット69は、スライドバー63のフランジ部63bに対して下方から当接している。これによって、ブラケット69が上方に向かって移動する場合には、該スライドバー63を持ち上げるようにして上方に移動させる。この動作によって、スライドバー63における係止端部63aの阻止棒30に対する係止を解除するようになっている。
【0058】
次に、非リリース状態保持部70の構成について説明する。
非リリース状態保持部70は、阻止棒30を非リリース状態に保持するための機構であって、図1〜図3、図12に示すように、支持アーム20のアーム本体21に上下一対が設けられている。
これら一対の非リリース状態保持部70,70は、詳しくは図12に示すように、ナット71及びボルト72を介して、アーム本体21の上板部21a、下板部21bにそれぞれ設けられた付勢突起73を備えている。この付勢突起73は、上板部21a、下板部21bを支持アーム20の上下方向の外側から内側に向かってそれぞれ付勢されている。 付勢突起73は、阻止棒30が非リリース状態とされて支持アーム20内に収納されている場合には、該阻止棒30の基部32の上面及び下面にそれぞれ形成された凹部32a,32bにそれぞれ係合する。
【0059】
この非リリース状態保持部70は、阻止棒30がリリース状態とされている場合には、付勢突起73がアーム本体21の内側に突出した状態とされている。そして、阻止棒30が復帰方向T2に回動して復帰動作をすると、当該復帰動作の中途において、阻止棒30における基部32に対して付勢突起73が当接する。この状態において阻止棒30がさらに復帰方向T2に回動すると、阻止棒30から付勢突起73に付与される押圧力によって該付勢突起73が後退する。また、阻止棒30が非リリース状態となると、阻止棒30の基部32における凹部32a,32bに対して付勢突起73が付勢力に従って突出する。これによって、付勢突起73と凹部32a,32bとが係合し、阻止棒30が非リリース状態に保持される。
【0060】
一方 阻止棒30が非リリース状態からリリース動作を行う際には、阻止棒30の基部32のリリース方向に回動する際に、付勢突起73が阻止棒30の凹部32a,32bの傾斜にしたがって後退する。即ち、基部32の回動による押圧力が付勢突起73に付与され、これによって付勢突起73が付勢力に抗して後退することにより、付勢突起73と凹部32a,32bとの係合が解除される。
【0061】
次に、補助復帰駆動部80の構成について説明する。
補助復帰駆動部80は、復帰方向T2に回動する阻止棒30が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達した際に、該阻止棒30に対して復帰方向T2に向かってのトルクを付与する役割を有している。
この補助復帰駆動部80は、図13及び図14に示すように、支持アーム20におけるアーム本体21の後端(車両通行路Rの反対側の端部)に固定された筐体状をなす補助復帰駆動部本体80aと、補助復帰用モータ81と、第一平歯車82と、第一回転軸83と、第二平歯車84と、第三平歯車85と、第二回転軸86と、引き込み用ギア87と、被係止部88と、第一検知部89aと、第二検知部89bとを備えている。
【0062】
補助復帰用モータ81は、回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御部90の指令に基づいて正逆回転するように構成されている。この補助復帰用モータ81は、補助復帰駆動部本体80a内において出力軸を上方に向けて配置されている。
【0063】
第一平歯車82は、補助復帰用モータ81の出力軸に同軸かつ一体に固定されたギアであって、その外周面にはギア歯が形成されている。
第一回転軸83は、上下方向に延在するように補助復帰駆動部本体80a内に設けられた軸であって、該補助復帰駆動部本体80aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能とされている。
第二平歯車84は、第一回転軸83に同軸かつ一体に固定されており、その外周面にはギア歯が形成されている。この第二平歯車84のギア歯は第一平歯車82のギア歯と互いに噛み合っており、これによって第一平歯車82と第二平歯車84とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0064】
第三平歯車85は、第一回転軸83に同軸かつ一体に固定されており、これによって、第二平歯車84及び第一回転軸83と連動して回転するようになっている。この第三平歯車85の外周面にはギア歯が形成されている。
第二回転軸86は、第一回転軸83と平行をなすように、即ち、上下方向に延在するように、補助復帰駆動部本体80a内に設けられた軸であって、該補助復帰駆動部本体80aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能とされている。
【0065】
引き込み用ギア87は、第二回転軸86に一体に固定されており、該第二回転軸86の回転にともなって軸線回りに回転するようになっている。この引き込み用ギア87の外周面の一部には、上記軸線を中心としたギア部87aが設けられている。このギア部87aに形成されたギア歯は上記第三平歯車85のギア歯と互いに噛み合っており、これによって、第三平歯車85と引き込み用ギア87とは、それぞれの軸線回りに連動回転可能とされている。
また、この引き込み用ギア87の外周面におけるギア部87aに対して軸線を挟んだ反対側の部分には、該軸線の径方向外側に向かって突出するように形成された引き込み部87bが形成されている。
【0066】
被係止部88は、阻止棒30における基部32の後端において、上下方向に延在するように一体に取り付けられている。この被係止部88は、阻止棒30が非リリース状態にある場合において、アーム本体21の内部から補助復帰駆動部本体80a内に突出するように配置されている。この被係止部88は、上記引き込み用ギア87の引き込み部87bが復帰方向T2の後方側から引っ掛かるようにして係止可能とされている。
【0067】
ここで、図14に示すように、引き込み部87bが被係止部88の回転軌跡Lの外側に外れた被係止部88の位置、即ち、阻止棒30の基部32の被係止部88が引き込み部87bに対して当接することのない被係止部88の位置が、当該被係止部88及び引き込み用ギア87の初期位置とされている。
そして、この引き込み用ギア87は、初期位置から図14及び図15の時計回り方向(係止回転方向U1)に回転することによって、被係止部88に対して引っ掛かるようにして係合する。また、被係止部88に対して係合した引き込み用ギア87は、図14の半時計回り方向(解除回転方向U2)に回転することによって、被係止部88との係合を解除するとともに初期位置に復帰する。
【0068】
第一検知部89aは、阻止棒30がリリース状態から復帰方向T2に該阻止棒30は非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達したことを検知する役割を有している。この第一検知部89aは、例えば補助復帰駆動部本体80a内の下部に設置されており、図15に示すように、上方に向かって照射するレーザーによって阻止棒30の基部32後端に取り付けられた被係止部88の有無を検知する。これによって、阻止棒30が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達したか否かを検出している。なお、この第一検知部89aとしては、レーザー照射式の他、種々の構成のものを採用することができる。
【0069】
ここで、阻止棒30の非リリース状態に到達する手前の所定位置とは、阻止棒30がリリース状態から復帰方向T2に回動する際に、上記非リリース状態保持部70の付勢突起73が阻止棒30の基部32に対して当接する際の阻止棒30の角度位置を意味している。したがって、リリース状態の阻止棒30が復帰方向T2に回動し、該阻止棒30が非リリース状態保持部70の付勢突起73に当接した際に、第一検知部89aが阻止棒30の基部32後端の被係止部88を検知する。
【0070】
第二検知部89bは、リリース状態の阻止棒30が復帰方向T2に回動した結果、該阻止棒30がリリース状態に到達したことを検知する役割を有している。この第二検知部89bとしては、図15に示すように、支持アーム20のアーム本体21における中板部21cの内面に設けられたスイッチセンサを採用することができる。これにより、阻止棒30が非リリース状態となった際には、該阻止棒30の基部32が第二検知部89bに当接することにより、該第二検知部89bが阻止棒30の非リリース状態への復帰を検知する。なお、この第二検知部89bとしては、スイッチセンサの他、種々の構成のものを採用することができる。
【0071】
次に、制御部90について、遮断機10の機能構成を踏まえて説明する。図16は遮断機10及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機10における制御部90には、開閉用モータ13と、復帰駆動部40の復帰用モータ41と、補助復帰駆動部80の補助復帰用モータ81と、リリース状態保持部60の解除用モータ66と、第一検知部89aと、第二検知部89bとがそれぞれ接続されている。
【0072】
この制御部90は、第一検知部89a及び第二検知部89bからの信号の入力に基づいて補助復帰用モータ81の駆動制御を行う。具体的には、制御部90は、第一検知部89aから信号が入力された際には、補助復帰用モータ81の出力軸を正回転させ、第二検知部89bから信号が入力された際には、補助復帰用モータ81の出力軸を逆回転させる。
【0073】
また、遮断機10の外部には、周辺機器として、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133がそれぞれ接続された車線サーバ130が設けられている。この車線サーバ130は、遮断機10内における制御部90に接続されており、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133からの入力に応じて制御部90に対して信号を送出する。
【0074】
車両検知器131は、例えば車両通行路Rの両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入と退出を検知するように構成されている。即ち、車両検知器131は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機10の車両進行方向G後方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。車両検知器131は、この車両の進入と退出との検知に基づいて、車両の進入と退出に応じた信号を車線サーバ130に対して出力する。
【0075】
路側アンテナ132は、例えば遮断機10よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信し、当該情報の送受信に基づく信号を車線サーバ130に対して出力する。
そして、車線サーバ130は、これら車両検知器131及び路側アンテナ132からの信号の入力に基づいて、制御部90に対して車両通行許可指令及び車両退出検知信号を送出する。制御部90は、車両通行許可指令に基づいて開閉用モータ13を正回転駆動させることにより阻止棒30に開動作を行わせる。一方、制御部90は、車両退出検知信号に基づいて開閉用モータ13を逆回転駆動させることにより、開動作後の阻止棒30に閉動作を行わせる。
【0076】
また、操作部133は、料金所周辺に設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ130に対して阻止棒30の開閉要求を出力する。車線サーバ130は、この開閉要求に基づいて制御部90に対し開閉指令を送出し、制御部90はこの開閉指令に基づいて開閉用モータ13を回転駆動させることで阻止棒30の開閉動作を行う。なお、操作部133は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0077】
さらに、この操作部133は、上記制御部90に対しても接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」を押下に基づいて制御部90に対して阻止棒30のリリース復帰指令を送出する。制御部90は、このリリース復帰指令が入力された際には、解除用モータ66を駆動させ、次いで復帰用モータ41を駆動させる。
【0078】
次に、本実施形態の遮断機10の作用について説明する。
車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、図1及び図3に示すように、支持アーム20が水平状態とされるとともに阻止棒30が非リリース状態とされ、即ち、阻止棒30はホームポジションである阻止位置Sにある。
【0079】
この非リリース状態において復帰駆動部40は、図5に示すように、クラッチ機構48の第一ギア49及び第二ギア50を初期状態に位置させている。また、状態検知手段55における円盤検知用センサ57のレーザ照射領域には、被検知円盤56における第一スリット56aが位置した状態とされており、これによって、阻止棒30が非リリース状態にあることが検知されている。
さらに、リリース状態保持部60においては、係止解除部65のボールナット68及びブラケット69が最下位置にあり、付勢係止部62のスライドバー63は付勢部材収容部64の付勢部材の付勢に従って最下位置にある。
【0080】
また、非リリース状態保持部70においては、付勢突起73がその付勢に従って阻止棒30における基部32の凹部32a,32bに係合していることで、阻止棒30のリリース方向T1への回動を阻止しており、即ち、阻止棒30を非リリース状態に保持している。これにより、阻止棒30が不用意にリリース動作をしてしまうことを防止している。
【0081】
さらに、この非リリース状態において、補助復帰駆動部80における引き込み用ギア87は、図13及び図14に示すように、阻止棒30の基部32に設けられた被係止部88に係合することのない初期位置に位置している。
【0082】
始めに、上記のように待機状態の遮断機10を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒30の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒30の開閉動作は、車線サーバ130の制御によって行われる。図17は、車線サーバ130が実行する阻止棒30の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
まず、車線サーバ130は、車両検知器131が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器131からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S11)。その結果、車両検知器131からOFF信号が入力されていると判定した場合(S11:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からからON信号が入力されたと判断した場合(S11:Yes)、車線サーバ130は、路側アンテナ132に対して車載器情報の受信指令を送出し(S12)、路側アンテナ132はこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0084】
次いで、車線サーバ130は、路側アンテナ132が受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S13)。その結果、異常車両であると判断した場合(S13:No)、車線サーバ130は異常処理を行い(S14)、阻止棒30の開動作を行うことなく該阻止棒30を阻止位置Sに維持する。これにより、S13にて異常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0085】
一方、S13にて正常車両であると判断した場合(S13:Yes)、車線サーバ130は、制御部90に対して車両通行許可指令を送出する。これにより、制御部90は、開閉用モータ13の出力軸を正回転させることにより、支持アーム20及び阻止棒30を阻止位置Sから許可位置Kへと回動させる(S15)。これによって、遮断機10が、車両の通行を許可した状態となる。
【0086】
S15の後、車線サーバ130は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器131による車両の検知が終了した結果、車両検知器131からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S16)。そして、車両検知器131から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S16:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からOFF信号が入力されたと判断した場合(S16:Yes)、車線サーバ130は、制御部90に対して車両退出検知信号を送出する。この車両退出検知信号に基づいて制御部90は開閉用モータ13の出力軸を逆回転させることにより、支持アーム20及び阻止棒30をリリース位置Kから阻止位置Sへと回動させる(S17)。これによって、遮断機10が、車両の通行を阻止した状態となり、S13にて正常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0087】
ここで、上記のように、車線サーバ130が異常車両と判断して異常処理を行った際には、阻止棒30が阻止位置Sに維持されることにより、該阻止棒30に車両が衝突する場合がある。また、車線サーバ130が正常車両と判断して阻止棒30に開動作を行わせた際であっても、車両の進入速度が速すぎる場合には、阻止棒30に車両が衝突し得る。この際、本実施形態においては、阻止棒30のリリース動作が行われる。
【0088】
即ち、阻止棒30の棒部31に対して車両進行方向Gに進行する車両が衝突すると、当該衝撃力が阻止棒30をリリース方向T1に回動させる回転モーメントとして作用する。そして、非リリース状態保持部70においては、当該回転モーメントにより付勢突起73がその付勢力に抗してそれぞれ凹部32a,32bから脱出し、これら付勢突起73と凹部32a,32bとの係合が解除される。これによって、阻止棒30の非リリース状態の保持が解除され、当該阻止棒30がリリース方向T1に回動させられる。
【0089】
このように、阻止棒30がリリース方向T1に回動すると、リリース軸22の回転に伴って、図10に示すように、復帰駆動部40の動力伝達機構42においては、第三平歯車52及び第二平歯車51を介してクラッチ機構48の第二ギア50がリリース連動動作を行う。そして、阻止棒30がリリース状態となった際には、第二ギア50の溝部50a,50aにおける当接端部50b,50bが、初期位置の第一ギア49の爪部49a,49aにそれぞれ当接する。
【0090】
そして、このように阻止棒30がリリース状態となった際には、図11(a)に示すように、リリース状態保持部60の付勢係止部62におけるスライドバー63の係止端部63aが阻止棒30の基部32に係止した状態となり、即ち、阻止棒30のリリース状態が保持されたロック状態となる。これによって、阻止棒30のリリース動作が完了する。
また、このように阻止棒30がリリース動作をした際には、状態検知手段55における円盤検知用センサ57のレーザ照射領域が、第一スリット56a、被検知円盤56、第二スリット56bと変化する。これにより、状態検知手段55において阻止棒30がリリース状態となったことが検知される。
【0091】
次に、リリース動作の完了後、阻止棒30がリリース状態にある場合において、当該阻止棒30を復帰方向T2に回転させて非リリース状態に戻す復帰動作について説明する。
この復帰動作は、リリース動作後の阻止棒30がリリース状態にある場合において、例えば料金所の係員による操作部133の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。図18は、制御部90が実行する阻止棒30の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0092】
まず、制御部90は、操作部133からON信号が入力されたか否か、即ち、操作部133からリリース復帰指令が入力されたか否かを判定する(S21)。その結果、操作部133からOFF信号が入力されていると判断した場合(S21:No)、操作部133からON信号が入力されるまで待機する。
【0093】
制御部90が、操作部133からON信号が入力されたと判断した場合(S21:Yes)、リリース状態保持部60に対して阻止棒30の保持を解除させる指令を送出する(S22)。即ち、制御部90は、係止解除部65における解除用モータ66を駆動させることにより、図11(b)に示すように、付勢係止部62のスライドバー63を上方に向かって移動させ、阻止棒30の基部32に対するスライドバー63の係止端部63aの係止を解除させる。これによって、阻止棒30のリリース状態における保持状態が解除され、阻止棒30が復帰方向T2に回動可能な状態となる。
【0094】
次いで、制御部90は、復帰駆動部40における復帰用モータ41の出力軸41aを正回転させることによって(S23)、動力伝達機構42におけるクラッチ機構48の第一ギア49に軸線回り90°の正回転動作をさせる。この際、図19に示すように、該第一ギア49の爪部49a,49aの回転方向前方側に第二ギア50の溝部50a,50aの当接端部50b,50bが当接しているため、第一ギア49の正回転動作に連動して第二ギア50も同様の方向に回転する。即ち、第一ギア49の爪部49a,49aが第二ギア50の溝部50a,50aにおける当接端部50b,50bを押圧することによって、当該第一ギア49の正回転動作に連動して第二ギア50が復帰連動動作を行う。
【0095】
このように第二ギア50が復帰連動動作を行うと、この復帰連動動作に基づく回転が第二平歯車51及び第三平歯車52を介してリリース軸22に伝達され、リリース軸22が復帰方向T2に回転する。これにともなって、該リリース軸22に支持された阻止棒30が復帰方向T2に回動する。
【0096】
その後、制御部90は、第一検知部89aから信号が入力されたか否かを判定する(S24)。即ち、復帰駆動部40の寄与により阻止棒30が復帰方向T2に回動して当該阻止棒30が非リリース状態の手前の所定位置に到達した結果、第一検知部89aに検知されたか否かを判定する。なお、この所定位置において、非リリース状態保持部70の付勢突起73が阻止棒30に対して当接し、当該当接が阻止棒30の復帰動作の抵抗となる。
そして、第一検知部89aから信号が未入力と判断した場合(S24:No)、該第一検知部89aから信号が入力されるまで待機する。
【0097】
一方、制御部90が、第一検知部89aから信号が入力されたと判断した場合(S24:Yes)、制御部90は、補助復帰駆動部80における補助復帰用モータ81の出力軸を正回転させる。すると、当該補助復帰用モータ81の正回転に連動して、引き込み用ギア87が係止回転方向U1に回転し、図15に示すように、引き込み部87bが被係止部88に対して阻止棒30の復帰方向T2後方側から引っ掛かるようにして係合する。そして、このように係合した状態における補助復帰用モータ81の出力軸のさらなる正回転に伴って引き込み用ギア87が係止回転方向U1に回転すると、引き込み部87bが被係止部88を当該係止回転方向U1に引き込んでいく。即ち、引き込み用ギア87の引き込み部87bが被係止部88を係止回転方向U1に引き込むことによって、阻止棒30に対して復帰方向T2に向かってのトルクが付与されるのである。このようにして、復帰駆動部40に加えて補助復帰駆動部80の寄与によって、阻止棒30は復帰方向T2に回動させられる。
【0098】
次いで、制御部90は、第二検知部89bから信号が入力されたか否かを判定する(S26)。即ち、復帰駆動部40及び補助復帰駆動部80の寄与により、図20に示すように、阻止棒30が復帰方向T2に回動して該阻止棒30がリリース状態に到達した結果、第二検知部89bに検知されたか否かを判定する。なお、このように阻止棒30がリリース状態に到達すると、非リリース状態保持部70の付勢突起73が基部32の凹部32a,32bに係合し、阻止棒30が非リリース状態に保持される。
そして、第二検知部89bから信号が未入力と判断した場合(S26:No)、該第二検知部89bから信号が入力されるまで待機する。
【0099】
一方、制御部90が、第二検知部89bから信号が入力されたと判断した場合(S26:Yes)、補助復帰駆動部80における補助復帰用モータ81の出力軸を逆回転させる(S27)。すると、この逆回転に連動して引き込み用ギア87が解除回転方向U2に回転し、当該引き込み用ギア87の引き込み部87bによる被係止部88に対する係止が解除されるとともに引き込み用ギア87が図14に示す初期位置に復帰する。
【0100】
続いて、制御部90は、復帰駆動部40における復帰用モータ41を逆回転させることにより(S28)、図21に示すように、動力伝達機構42におけるクラッチ機構48の第一ギア49に軸線回り90°の逆回転動作をさせる。これにより、第一ギア49及び爪部49a,49aが初期位置に復帰し、阻止棒30の復帰動作が完了する。
【0101】
このように阻止棒30の復帰動作が完了した際には、リリース状態保持部60の解除用モータ66が逆回転駆動されることにより、ブラケット69が下方に移動する。すると、付勢係止部62のスライドバー63が付勢部材収容部64の付勢に従って下方に移動する。これによって、係止端部63aが、リリース状態の阻止棒30の基部32に係止可能な最下位置に復帰する。
なお、ここでは、阻止棒30の復帰動作が完了した後に係止端部63aが最下位置に復帰する構成としたが、これに限定されることはなく、復帰動作をする阻止棒30の基部32が最下位置の係止端部63aに係止不能となる位置まで回動した時点で、係止端部63aが最下位置に復帰する構成であってもよい。
【0102】
以上のように、本実施形態の遮断機10においては、阻止棒30に車両が衝突することにより該阻止棒30がリリース方向T1に回動した際には、復帰駆動部40を駆動させることによって阻止棒30を復帰方向T2に回動させることができる。
即ち、リリース軸22がリリース状態となった際にのみ、第二ギア50の溝部50a,50aの当接端部50b,50bが爪部49a,49aに当接することによって、第一ギア49及び爪部49a,49aの正回転動作が第二ギア50に伝達される。これによって、リリース軸22と連動する阻止棒30を復帰方向T2に回動させることができる。
【0103】
ここで、本実施形態においては、阻止棒30の非リリース状態からの不用意な回動を回避すべく非リリース状態保持部70が設けられているため、阻止棒30が復帰方向T2に回動すると、非リリース状態の手前の所定位置において阻止棒30の基部32が非リリース状態保持部70の付勢突起73に当接する。したがって、この付勢突起73の当接が復帰方向T2に回動している阻止棒30の抵抗となり、復帰駆動部40の寄与のみでは阻止棒30が非リリース状態まで復帰仕切れなくなるおそれがある。
【0104】
これに対して、本実施形態においては、阻止棒30が非リリース状態の手前の所定位置に到達した際、即ち、阻止棒30の基部32が非リリース状態保持部70の付勢突起73に当接した際には、阻止棒30に対して補助復帰駆動部80による復帰方向T2へのトルクが付与される。したがって、当該補助復帰駆動部80及び上記復帰駆動部40の寄与によって、阻止棒30を迅速かつ円滑に非リリース状態に復帰させることが可能となる。
【0105】
また、本実施形態における補助復帰駆動部80は、阻止棒30の上記所定位置への到達を検知する第一検知部89aを備えており、当該第一検知部89aの阻止棒30の検知に基づいて該阻止棒30に対して復帰方向T2へのトルクを付与する構成とされている。したがって、阻止棒30が復帰方向T2に回動して上記所定位置に至った際に、該阻止棒30に対して復帰方向T2へのトルクを速やかに付与することができる。これによって、より一層迅速かつ確実に阻止棒30を非リリース状態に復帰させることができる。
【0106】
さらに、本実施形態における上記補助復帰駆動部80は、阻止棒30の非リリース状態への到達を検知する第二検知部89bをさらに備え、当該第二検知部89bの検知に基づいて阻止棒30へのトルクの付与を解除する構成とされている。これにより、阻止棒30が復帰方向T2に回動した結果として非リリース状態となった際に、補助復帰駆動部80による阻止棒30に対する復帰方向T2へのトルクの付与を速やかに解除することができる。
したがって、例えば、阻止棒30が非リリース状態に復帰した直後に車両が阻止棒30に衝突した場合であっても、該阻止棒30のリリース動作が妨げられることなく、当該車両による衝突を円滑に逃がすことが可能となる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【0108】
例えば、実施形態の状態検知手段55は、円盤検知用センサ57のレーザー照射領域における第一スリット56a,第二スリット56b又は被検知円盤56自体の変化に基づいて、阻止棒30が非リリース状態とされているかリリース状態とされているかを検知するものとしたが、これに限定されることはなく、阻止棒30の非リリース状態とリリース状態とを判別することができれば他の構成を採用としてもよい。例えば、阻止棒30の支持アーム20に対する相対角度を検知する構成や、リリース軸22自体の回動角度を検知する構成を採用することが挙げられる。
【0109】
また、非リリース状態保持部70としては、付勢突起73の付勢により阻止棒30を保持する構成のみならず、阻止棒30を非リリース状態に保持することが可能な限り他の構成を採用してもよい。例えば、ボールキャッチにより阻止棒30を保持する構成や、支持アーム20側又は阻止棒30側の少なくとも一方に設けられた磁石により、阻止棒30を非リリース状態に保持する構成を採用することができる。
【0110】
さらに、第一検知部89aとしては、例えば被検知円盤56に引き込み用ギア87を駆動させるためのスリットをさらに設ける構成でもよく、あるいは、該阻止棒30が非リリース状態保持部70の付勢突起73に当接し、もしくは押圧したことにより、引き込み用ギア87を駆動させるための検知を行う構成としてもよい。
【0111】
また、第二検知部として上記実施形態のように新たに検知器を設ける構成ではなく、被検知円盤56の検知にて阻止棒30が非リリース状態まで回動したことを検知することにより、引き込み用ギア87を初期位置に復帰させる構成としてもよい。
【0112】
さらに、実施形態における補助復帰駆動部80は、引き込み用ギア87が阻止棒30を引き込むことによって該阻止棒30に対して復帰方向T2のトルクを付与する構成とされていたが、これに限定されることはなく、例えば、支持アーム20に電磁石を配置し、阻止棒30が上記所定位置に到達した際に当該電磁石に通電することにより、磁力によって阻止棒30にトルクを付与する構成であってもよい。この場合、電磁石を阻止棒30に配置してもよい。
【0113】
また、実施形態においては、阻止棒30が非リリース状態に到達する手前の所定位置を、阻止棒30がリリース状態から復帰方向T2に回動する際に、上記非リリース状態保持部70の付勢突起73が阻止棒30の基部32に対して当接する際の阻止棒30の角度位置と定義したが、これに限定されることはなく、非リリース状態に到達する前の角度位置ならば、遮断機10の設計に応じて適宜採用することができる。
なお、非リリース状態保持部70を設置しない構成の場合であっても、補助復帰駆動部80があることにより、阻止棒30の迅速かつ円滑な非リリース状態への復帰が可能となる。
【符号の説明】
【0114】
10 …遮断機
11 …遮断機本体
12 …開閉軸
13 …開閉用モータ
20 …支持アーム
21 …アーム本体
22 …リリース軸
30 …阻止棒
31 …棒部
32 …基部
40 …復帰駆動部
41 …復帰用モータ(電動機)
41a …出力軸
42 …動力伝達機構
48 …クラッチ機構
49 …第一ギア
49a …爪部
50 …第二ギア
50a …溝部
50b …当接端部
55 …状態検知手段
60 …リリース状態保持部
62 …付勢係止部
65 …係止解除部
70 …非リリース状態保持部
80 …補助復帰駆動部
81 …補助復帰用モータ
87 …カム
87a …ギア部
87b …引き込み部
88 …被係止部
89a …第一検知部
89b …第二検知部
90 …制御部
T1 …リリース方向
T2 …復帰方向
R …車両通行路
G …車両進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、
該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動可能に支持するリリース軸と、
リリース状態とされた前記阻止棒を前記リリース方向の反対方向である復帰方向に回動させる復帰駆動部と、
前記復帰方向に回動する前記阻止棒が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達した際に、該阻止棒に対して前記復帰方向に向かってのトルクを付与する補助復帰駆動部とを備えることを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項2】
前記阻止棒の前記所定位置への到達を検知する第一検知部をさらに備え、
前記補助復帰駆動部は、該第一検知部による前記阻止棒の検知に基づいて該阻止棒に対して前記トルクを付与することを特徴とする請求項1に記載の車両通行遮断機。
【請求項3】
前記阻止棒の前記非リリース状態への到達を検知する第二検知部をさらに備え、
前記補助復帰駆動部は、前記第二検知部の検知に基づいて前記阻止棒へのトルクの付与を解除することを特徴とする請求項2に記載の車両通行遮断機。
【請求項4】
前記補助復帰駆動部は、
前記第一検知部の検知に基づいて正回転する電動機と、
前記電動機の正回転に連動することで初期位置から回動して前記阻止棒を復帰方向に引き込む引き込み用ギアとを備えていることを特徴とする請求項3に記載の車両通行遮断機。
【請求項5】
前記電動機は、前記第二検知部の検知に基づいて逆回転し、
前記引き込み用ギアが、前記電動機の逆回転に連動することで前記初期位置に復帰することを特徴とする請求項4に記載の車両通行遮断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−102512(P2012−102512A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251128(P2010−251128)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】