説明

車両通行遮断機

【課題】簡易な構成で、リリース動作後の阻止棒を迅速に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供する。
【解決手段】復帰駆動部61と、該復帰駆動部61によって、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒30と、該阻止棒30を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸22と、阻止棒30がリリース方向に回動した際にのみ復帰駆動部61の回転をリリース軸22に伝達する伝達機構70とを設け、復帰駆動部61の回転によってリリース軸22が回動することで、阻止棒30がリリース方向とは反対方向である復帰方向に回動するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの料金所に設置され、車両の通行を阻止または許可可能な車両
通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所において、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCにおいては、料金所ゲートへの車両の進入を車両検知器が検知すると、車線サーバが路側アンテナに対して通信指令を発し、これに基づいて路側アンテナが車両に搭載された車載器との通信を開始する。次いで、車線サーバは路側アンテナにより車載器から得られた情報に基づいて、正常車両か異常車両かの別を判断する。そして、正常車両と判断した際には車両通行遮断機の阻止棒を開状態とし、異常車両と判断した際には阻止棒を閉状態に維持することで、車両の通行を阻止又は許可するようになっている。
【0003】
このETCにおいては、阻止棒が閉じた状態であるにも拘わらず車両が強行的に車両通行遮断機を通過した場合、車両が阻止棒に衝突することによって阻止棒や車両が損傷するという事故が生じる。そこで、このような問題に対処すべく、車両の衝突時に阻止棒が受けた衝撃を逃がすように該阻止棒がリリース動作を行うように構成された車両通行遮断機が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
これら特許文献1,2に記載の車両通行遮断機は、車両が阻止棒に衝突することなく通常に使用されている間は、その阻止棒が鉛直面内で回転し、水平に倒伏した状態で車両の通行を阻止する一方、鉛直に起立した状態で車両の進入を許可するような開閉動作を行う。そして、車両が阻止棒に衝突した際には、その衝撃に従って阻止棒が車両進行方向へと向かって水平面に沿って折れ曲がり、リリース状態となる。このようにして車両通行遮断機のリリース動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594957号公報
【特許文献2】特開2003−336232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2の車両通行遮断機においては、リリース動作後の折れ曲がった阻止棒をリリース動作前の状態に自動復帰させるための機構はなく、例えば料金所係員が、車両通行遮断機の箇所まで近寄って、手動にて阻止棒を非リリース状態に復帰させる作業を行わなければならなかった。
【0007】
したがって、リリース動作後の阻止棒の復帰作業に長時間を要する場合もあり、その間に車両通行路で車両の渋滞が発生してしまうという問題があった。
この点、リリース動作後の阻止棒を非リリース状態に復帰させるための電動機等の駆動部を別途設けることも考えられるが、車両通行遮断機の構成が複雑となってしまい、コストやメンテナンス等の観点から好ましくない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、リリース動作後の阻止棒を迅速に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る車両通行遮断機は、復帰駆動部と、該復帰駆動部によって、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸と、前記阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ前記復帰駆動部の回転を前記リリース軸に伝達させて該リリース軸を回転させる伝達機構とを備え、前記復帰駆動部により前記リリース軸が回動することで、前記阻止棒が前記リリース方向とは反対方向である復帰方向に回動することを特徴とする。
【0010】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒がリリース方向に回動していない非リリース状態の際には、復帰駆動部の回転がリリース軸に伝達されることはなく、該復帰駆動部によって阻止棒の開閉動作のみが行われる。
一方、阻止棒に車両が衝突することにより該阻止棒がリリース方向に回動した際には、復帰駆動部の回転がリリース軸に伝達されることとなるため、復帰駆動部により阻止棒に開閉動作を行わせると同時にリリース軸も回転し、これに伴って、阻止棒がリリース方向とは反対方向である復帰方向に回動する。
【0011】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸と、該阻止棒を前記リリース方向とは反対方向に回動可能な復帰駆動部と、前記阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ前記復帰駆動部の回転を前記リリース軸に伝達させる伝達機構とを備え、前記復帰駆動部による前記リリース軸の回転によって、前記阻止棒が前記リリース方向とは反対方向である復帰方向に回動することを特徴とするものであってもよい。
【0012】
このような特徴の車両通行遮断機においては、阻止棒を開閉動作させる動力とは別個に復帰駆動部が設けられている。そして、阻止棒がリリース方向に回動していない非リリース状態の際には、復帰駆動部の回転がリリース軸に伝達されることはない。一方、阻止棒に車両が衝突することにより該阻止棒がリリース方向に回動した際には、復帰駆動部の回転がリリース軸に伝達され、阻止棒がリリース方向とは反対方向である復帰方向に回動する。
【0013】
また、本発明に係る車両通行遮断機においては、前記伝達機構が、前記阻止棒の前記開閉動作と連動して所定角度範囲を往復回転する第一回転盤と、前記リリース軸の回動と連動して回転する第二回転盤と、前記第一回転盤に設けられ、該第一回転盤の往復回転に伴って該第一回転盤の周方向に往復移動する伝達部と、前記第二回転盤に設けられ、前記阻止棒の前記リリース方向の回動に伴って前記第二回転盤が回転した際に、前記伝達部の往復移動範囲に侵入する被伝達部とを備えることを特徴とする。
【0014】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒のリリース方向への回動によりリリース軸が回転し、これに伴って第二回転盤が回転すると、該第二回転盤の被伝達部が第一回転盤の伝達部の往復移動範囲に侵入する。
この際、阻止棒の開閉動作に連動して第一回転盤が往復回転することにより伝達部が第一回転盤の周方向に往復移動を行うと、該伝達部が被伝達部に当接して被伝達部を往復移動範囲から排除する。即ち、伝達部の往復移動によって、被伝達部が往復移動範囲に侵入する前の初期位置に移動される。このように被伝達部が移動すると、これに伴って第二回転盤及びリリース軸が回転することにより、阻止棒が復帰方向に回動する。
即ち、阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ復帰駆動部の回転をリリース軸に伝達させて、阻止棒を復帰方向に回転させることができる。
【0015】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機においては、前記第一回転盤と前記第二回転盤とは、互いの中心軸線を一致させて対向配置され、前記伝達部は、前記第一回転盤の対向面から突出する第一凸部であって、前記被伝達部は、前記第二回転盤の対向面から突出して前記第一凸部に当接可能な第二凸部であることが好ましい。
【0016】
これにより、阻止棒のリリース方向への回動によりリリース軸及び第二回転盤が回転した際に、第二回転盤の第二凸部が第一回転盤の第一凸部の往復移動範囲に侵入する。そして、阻止棒の開閉動作に連動した第一回転盤の往復回転により第一凸部が往復移動をすると、該第一凸部が第二凸部を往復移動範囲から押し出すようにして排除する。これによって、簡易な構成で、阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ復帰駆動部の回転をリリース軸に確実に伝達させることができる。
【0017】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機においては、前記第一回転盤と前記第二回転盤とは、互いの中心軸線が平行をなすように離間して配置され、前記伝達部は、前記第二回転盤から径方向外側に向かって延びる爪部であって、前記被伝達部は、前記第二回転盤の表面から突出して前記爪部に当接可能な凸部であってもよい。
【0018】
これにより、阻止棒のリリース方向への回動によりリリース軸及び第二回転盤が回転した際に、第二回転盤の第二凸部が第一回転盤の爪部の往復移動範囲に侵入する。そして、阻止棒の開閉動作に連動した第一回転盤の往復回転により爪部が往復移動をすると、該爪部が凸部を案内するように往復移動範囲から排除する。これによって、上記同様、簡易な構成で、阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ復帰駆動部の回転をリリース軸に確実に伝達させることができる。
【0019】
また、本発明に係る車両通行遮断機においては、前記第一回転盤と前記第二回転盤とは、互いの中心軸線を一致させて対向配置され、前記伝達部は、第一回転盤の対向面から突出する爪部であって、前記被伝達部は、前記第二回転盤の周方向に沿って形成された溝部における前記周方向の端部であってもよい。
【0020】
これにより、阻止棒のリリース方向への回動によりリリース軸及び第二回転盤が回転した際に、第二回転盤の溝部の端部が第一回転盤の爪部の往復移動範囲に侵入する。そして、阻止棒の開閉動作に連動した第一回転盤の往復回転により爪部が往復移動をすると、該爪部が溝部の端部に当接して該端部を案内するように往復移動範囲から排除する。これによって、上記同様、簡易な構成で、阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ復帰駆動部の回転をリリース軸に確実に伝達させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車両通行遮断機によれば、阻止棒に開閉動作をさせるための復帰駆動部の回転を、該阻止棒がリリース方向に回動した際にのみリリース軸に伝達される構成とすることによって、別途リリース復帰用の駆動部を設けることなく、簡易な構成で、リリース動作後の阻止棒を迅速に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す正面図である。
【図2】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す平面図である。
【図3】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す正面図である。
【図4】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す平面図である。
【図5】第一実施形態に係る車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す垂直断面図である。
【図6】第一実施形態に係る車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す水平断面図である。
【図7】第一実施形態に係る車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す水平断面図である。
【図8】第一実施形態に係る車両通行遮断機の復帰駆動部及び伝達機構を備えた駆動ユニットの構成を示す正面透過図である。
【図9】第一実施形態に係る車両通行遮断機の伝達機構におけるクラッチ機構を説明する図である。
【図10】第一実施形態に係る車両通行遮断機及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図11】第一実施形態に係る車両通行遮断機において車線サーバが実行する阻止棒の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第一実施形態に係る車両通行遮断機において制御部が実行する阻止棒の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第一実施形態に係る車両通行遮断機の伝達機構におけるクラッチ機構を説明する図である。
【図14】第二実施形態に係る車両通行遮断機の復帰駆動部及び伝達機構を備えた駆動ユニットの構成を示す正面透過図である。
【図15】第二実施形態に係る車両通行遮断機の伝達機構におけるクラッチ機構を説明する図である。
【図16】第二実施形態に係る車両通行遮断機の伝達機構におけるクラッチ機構を説明する図である。
【図17】第三実施形態に係る車両通行遮断機の復帰駆動部及び伝達機構を備えた駆動ユニットの構成を示す正面透過図である。
【図18】第三実施形態に係る車両通行遮断機の伝達機構におけるクラッチ機構を説明する図である。
【図19】第三実施形態に係る車両通行遮断機の伝達機構におけるクラッチ機構を説明する図である。
【図20】ラッチ装置に代えてボールキャッチを設けた場合における、車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す水平断面図である。
【図21】第四実施形態に係る遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図22】第四実施形態に係る遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図23】第四実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す斜視図である。
【図24】第四実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図25】第四実施形態のクラッチ機構における第一ギア及び第二ギアの斜視図である。
【図26】第四実施形態の復帰駆動部における復帰用モータ、第一ウォームギア、第一回転軸、第二ウォームギア、第一平歯車、第二回転軸、第一ギアの斜視図である。
【図27】第四実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図28】第四実施形態の支持アームにおけるアーム本体、リリース軸、及び、復帰駆動部における第二ギア、第二平歯車、第三平歯車の斜視図である。
【図29】第四実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図30】第四実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第一実施形態に係る車両通行遮断機(以下、単に「遮断機」と称する)について、図面を参照して詳細に説明する。
遮断機10は、図1〜図4に示すように、遮断機本体11と、該遮断機本体11に支持された支持アーム20と、該支持アーム20に支持された阻止棒30とを備えている。さらに、この遮断機10は、リリース機構40と、駆動ユニット60と、制御部90とを備えている。
【0024】
遮断機本体11は、図1及び図2に示すように、高速道路の料金所における車両通行路Rの側方に固定設置されている。この遮断機本体11における車両進行方向G後方側を向く側面には、車両進行方向G後方に向かって突出する開閉軸12が設けられている。
なお、遮断機本体11を設置する箇所は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0025】
支持アーム20は、図1及び図2に示すように、アーム本体21とリリース軸22とを備えている。
アーム本体21は、開閉軸12に回動可能に支持されており、該アーム本体21の長手方向が水平方向に平行な水平状態と鉛直方向に平行な鉛直状態との間で、鉛直面に沿って90°の範囲で開閉軸12の回りに回動可能とされている。
【0026】
また、リリース軸22は、上記アーム本体21の先端側、即ち、図1及び図2に示すように支持アーム20が水平状態の場合におけるアーム本体21の車両通行路R側(図1及び図2における左側)に支持されており、アーム本体21の長手方向に直交し、かつ、鉛直面に沿って延びる軸線回りに回動可能とされている。これによって、支持アーム20が水平状態とされている際にはリリース軸22は鉛直軸回りに回動可能とされ、支持アーム20が鉛直状態とされている際にはリリース軸22は水平軸回りに回動可能とされる。
【0027】
阻止棒30は、リリース軸22の直径方向に延在するように該リリース軸22に固定支持されている。そして、支持アーム20が水平状態とされている場合において、阻止棒30のリリース軸22から見た車両進行方向R側の部分が、長尺状をなして車両の進行を阻止する棒部31とされ、リリース軸22を挟んで棒部31の反対側の部分が、支持アーム20のアーム本体21に対して車両進行方向G後方側から当接する基部32とされている。
【0028】
この阻止棒30においては、図2に示すように、該阻止棒30の延在方向が支持アーム20の長手方向と平行な状態が非リリース状態とされており、図4に示すように、リリース軸22の回動に伴って非リリース状態から車両進行方向Gに90°回動して、阻止棒30の延在方向が支持アーム20の長手方向と直交する状態がリリース状態とされている。以下では、阻止棒30が非リリース状態からリリース状態に回動する方向、即ち、阻止棒30が車両による衝撃を解放するリリース動作を行う方向をリリース方向T1とし、これとは逆にリリース状態から非リリース状態に回動する方向、即ち、復帰動作を行う方向を復帰方向T2とする。
【0029】
また、阻止棒30においては、図1に示すように、支持アーム20が水平状態とされ、かつ、阻止棒30が非リリース状態とされていることにより、阻止棒30が略水平状態であるとともに車両進行方向Gに略直交する方向に延びて車両の進行を阻止する状態を阻止位置Sとする。さらに、図3に示すように、支持アーム20が鉛直状態とされ、かつ、阻止棒30が非リリース状態とされることにより、阻止棒30が鉛直方向に起立して車両の通行を許可する状態を許可位置Kとする。
【0030】
そして、本実施形態においては、支持アーム20が開閉軸12回りに90°の範囲で回動することで、非リリース状態とされた阻止棒30が、阻止位置Sと許可位置Kとの間での開閉動作を行うようになっている。以下では、支持アーム20が水平状態から鉛直状態に向かって回動する動作を開動作とし、該支持アーム20が鉛直状態から水平状態に向かって回動する動作を閉動作とする。
【0031】
リリース機構40は、通常時、即ち、阻止棒30に対して車両が衝突していない際においては、阻止棒30を非リリース状態に保持する一方、異常時、即ち、阻止棒30に車両が衝突した際においては、該阻止棒30にリリース動作をさせる機構であって、図5から図7に示すように、リリースバネ41と、トルクリミッタ50と、ラッチ機構57とを備えている。
【0032】
リリースバネ41は、阻止棒30を非リリース状態からリリース状態に向かってリリース方向T1に回動付勢するコイルスプリングであって、その一端がアーム本体21内に設けられた第一バネ固定部42に固定されるとともに、他端が阻止棒30の基端に設けられた第二バネ固定部43に固定されている。このリリースバネ41は、阻止棒30が非リリース状態にある場合において伸張状態とされており、阻止棒30に対してリリース軸22を支点としてリリース方向T1への回転モーメントを与えるように付勢している。
【0033】
トルクリミッタ50は、上記リリースバネ41の付勢によって与えられる阻止棒30へのリリース方向T1の回転モーメントに抗して、阻止棒30を非リリース状態に保持する役割を有しており、阻止棒30に設けられた被係止部51と、支持アーム20に設けられた係止部53及び保持バネ55とから構成されている。
【0034】
被係止部51は、阻止棒30が非リリース状態の際の基部32における車両進行方向G前方側を向く面から突出するように設けられており、非リリース状態ではアーム本体21の車両進行方向G後方側を向く面から該アーム本体21内に挿入されている。また、この被係止部51の先端には、図6に示すように、支持アーム20が水平状態の際に鉛直方向に延びる軸部51aが設けられている。
【0035】
また、係止部53は、アーム本体21内における車両進行方向G前方側寄りの箇所に設けられた支持軸54回りに回動可能に支持されている。これによって、該係止部53の先端は、アーム本体21内における車両進行方向G後方側の領域において、アーム本体21の長手方向に沿うように回動可能とされている。
【0036】
さらに、係止部53の先端には、被係止部51の軸部51aを係止するための引っ掛け溝53aが形成されている。この引っ掛け溝53aは、係止部53の先端において車両進行方向G後方側(図6における下側)を向くように開口しており、この引っ掛け溝53aにおける支持アーム20の後端側を向く面には、該支持アーム20の後端側に向かって凸状をなす山部53bが形成されている。
【0037】
これにより、係止部53の先端が支持アーム20の先端側に向かって回動した際には、引っ掛け溝53aに対する軸部51aの出入りが可能とされる一方、係止部53の先端がアーム本体21の後端側に向かって回動した際には、引っ掛け溝53aに入り込んだ軸部51aの該引っ掛け溝53aからの脱出が不能とされる。
【0038】
保持バネ55は、アーム本体21内の後端側の箇所に伸張状態で配置されたコイルスプリングであって、その一端がアーム本体21の内部後端に第一バネ支持部55aを介して接続される一方、他端が係止部53の先端に第二バネ支持部55bを介して接続されている。これによって、保持バネ55は、係止部53の先端をアーム本体21の後端に向かって付勢している。なお、該保持バネ55の付勢力は非リリース状態における上記リリースバネ41の付勢力よりも大きく設定されている。
【0039】
ラッチ機構57は、阻止棒30をリリース状態に保持する役割を有しており、図6及び図7に示すように、阻止棒30の基部32に設けられて突没可能なラッチ58aを有するラッチ装置58と、支持アーム20の先端における車両進行方向G後方側を向く面に設けられて、阻止棒30がリリース状態の際にラッチ装置58のラッチ58aが係合するラッチ掛け部59とから構成されている。
【0040】
ラッチ装置58は、阻止棒30が非リリース状態の場合における基部32の車両進行方向G前方側を向く面に設けられており、該ラッチ装置58のラッチ58aは、リリース軸22側に向かって突没可能とされている。このラッチ58aは、図示しないバネ等の弾性体によって突出する方向に向かって付勢されており、操作摘み58bを操作することによって手動にてラッチ58aを後退させることができるように構成されている。また、ラッチ装置58の内部には、図示しないソレノイドが収納されており、制御部90の指令によってソレノイドに電流が流されることで、ラッチ58aが弾性体の付勢に抗して後退するようになっている。
【0041】
次に、駆動ユニット60について、図8から図9を参照して説明する。
この駆動ユニット60は、支持アーム20と遮断機本体11との間から支持アーム20の下方にわたって設けられており、図8に示すように、支持アーム20を開閉軸12回りに回転駆動する復帰駆動部61と、阻止棒30が非リリース状態からリリース方向に回動した際にのみ復帰駆動部61の回転をリリース軸22に伝達する伝達機構70とを備えている。
【0042】
復帰駆動部61は、電動機62と、該電動機62の出力軸62aに減速機63を介して接続された駆動軸64と、該駆動軸64のトルクを開閉軸12回りのトルクに変換して支持アーム20を開閉軸回りに回転させる開閉機構65とを備えている。
【0043】
電動機62は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータである。この電動機62は正逆回転可能とされており、制御部90及び後述する車線サーバ130の指令に基づいて作動するように構成されている。電動機62が作動した際には、該電動機62の出力軸62aのトルクが減速機63により回転数が減少させられて駆動軸64及び開閉機構65に伝達される。この開閉機構65には、図示しない傘型ギア又はベベルギア等が設けられており、これにより、駆動軸64の回転が開閉軸12回りの回転に変換され、支持アーム20及び阻止棒30を90°の回転範囲で回動させる開閉動作が行われる。
【0044】
伝達機構70は、駆動軸64に一体に固定された第一プーリ71と、該第一プーリ71の下方において該第一プーリと中心軸を平行に設置された第二プーリ72と、これら第一プーリ71及び第二プーリ72に巻き掛けられた第一ベルト73と、第二プーリ72に接続されて一体に回転する第一傘型ギア74と、該第一傘型ギア74と噛み合って連動する第二傘型ギア76と、該第二傘型ギア76に接続されて一体に回転する第三プーリ77と、リリース軸22の下方において第三プーリ77と中心軸を平行に設置された第四プーリ78と、これら第三プーリ77及び第四プーリ78に巻き掛けられた第二ベルト79と、第四プーリ78及びリリース軸22の間に介装されたクラッチ機構80とから構成されている。
【0045】
この伝達機構70におけるクラッチ機構80は、第四プーリ78に接続されて該第四プーリ78と一体に回転する第一回転盤81と、リリース軸22に接続されて該リリース軸22と一体に回転する第二回転盤82とを備えている。これら第一回転盤81と第二回転盤82とは、互いに中心軸線を一致させた状態で上下に対向配置されている。
【0046】
上記第一回転盤81には、復帰駆動部61の駆動軸64の回転が、第一プーリ71、第一ベルト73、第二プーリ72、第一傘型ギア74、第二傘型ギア76、第三プーリ77、第二ベルト79及び第四プーリ78を経て伝達される。これにより、この第一回転盤81は阻止棒30の開閉動作と常時連動して所定範囲内で往復回転するように構成されている。本実施形態においては、阻止棒30が阻止位置Sと許可位置Kとの間で90°回動することに連動して、第一回転盤81も90°の範囲で回転するように構成されている。
【0047】
また、第一回転盤81の第二回転盤82との対抗面における外周側の箇所には、第一凸部(伝達部)81aが第二回転盤82に向かって突出するように設けられている。この第一凸部81aは、阻止棒30が阻止位置Sにある場合には、図9(a)に示す角度位置0°に配置されている。そして、阻止棒30が阻止位置Sから許可位置Kに向かって回動すると、第一回転盤81の回転に伴って、図9(b)に示すように第一凸部81aが半時計回りに移動し、最終的には角度位置90°に配置された状態となる。一方、阻止棒30が許可位置Kから阻止位置Sに回動すると、第一回転盤81の回転に伴って、角度位置90°にある第一凸部81aが時計回りに回転して、最終的には角度位置0°に配置された状態となる。
【0048】
即ち、阻止棒30の開閉動作に連動して第一回転盤81が所定角度範囲を往復回転することに伴って、第一凸部81aが第一回転盤81の周方向に当該所定角度範囲(本実施形態においては90°の角度範囲)を往復移動するように構成されているのである。この第一凸部81aが往復移動する範囲である角度位置0°から90°にわたっての移動軌跡を、第一凸部81aの往復移動範囲とする。
【0049】
また、上記第二回転盤82は、リリース軸22と接続されていることから該リリース軸22と連動して回転するように構成されている。この第二回転盤82の第一回転盤81との対抗面における外周側の部分には、第二凸部82aが第一回転盤81に向かって突出するように設けられている。なお、第二凸部82aにおける第二回転盤82の中心軸線からの径方向の位置は、第一凸部81aにおける第一回転盤81の中心軸線からの径方向の位置と同様とされている。
【0050】
この第二凸部82aは、阻止棒30が非リリース状態にある場合においては、図9(a)に示す角度位置90°に配置されている。そして、阻止棒30が阻止位置Sからリリース方向T1に回転すると、リリース軸22及び第二回転盤82の回転に伴って、第二凸部82aが時計回りに移動して第一凸部81aの往復移動範囲に侵入し、最終的には図9(c)に示すように、角度位置0°に配置された状態となる。
【0051】
次に、制御部90について、遮断機10の機能構成を踏まえて説明する。図10は遮断機10及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機10においては、復帰駆動部61の電動機62と、ラッチ機構57のラッチ装置58とがそれぞれ制御部90に対して接続されている。さらに、この制御部90には、遮断機10の外部に設けられた操作部133が接続されている。そして、制御部90は、操作部133の入力に基づいて、電動機62、ラッチ装置58の制御を行うように構成されている。
【0052】
また、遮断機10の外部には、周辺機器として、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133がそれぞれ接続された車線サーバ130が設けられている。この車線サーバ130は、遮断機10内における制御部90に接続されており、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133からの入力に応じて制御部90に対して信号を送出する。
【0053】
車両検知器131は、例えば車両通行路Rの両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入と退出を検知するように構成されている。即ち、車両検知器131は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機10の車両進行方向G後方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。この車両検知器131は、この車両の進入と退出との検知に基づいて、車両の進入と退出に応じた信号を車線サーバ130に対して出力する。
【0054】
路側アンテナ132は、例えば遮断機10よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信し、当該情報の送受信に基づく信号を車線サーバ130に対して出力する。
そして、車線サーバ130は、これら車両検知器131及び路側アンテナ132からの信号の入力に基づいて、制御部90に対して車両通行許可指令及び車両退出検知信号を送出する。制御部90は、車両通行許可指令に基づいて電動機62を正回転駆動させることにより阻止棒30に開動作を行わせる。一方、制御部90は、車両退出検知信号に基づいて電動機62を逆回転駆動させることにより、開動作後の阻止棒30に閉動作を行わせる。
【0055】
また、操作部133は、料金所周辺に設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ130に対して阻止棒30の開閉要求を出力する。車線サーバ130は、この開閉要求に基づいて制御部90に対し開閉指令を送出し、制御部90はこの開閉指令に基づいて当該電動機62を回転駆動させることで阻止棒30の開閉動作を行う。なお、操作部133は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0056】
さらに、この操作部133は、上記制御部90に対して直列的に接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」を押下に基づいて制御部90に対して阻止棒30のリリース復帰指令を送出する。制御部90は、このリリース復帰指令が入力された際には、ラッチ装置58を駆動させ、次いで電動機62を駆動させる。
【0057】
次に、本実施形態の遮断機10の作用について説明する。車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、図1及び図2に示すように、阻止棒30は非リリース状態とされて、ホームポジションである阻止位置Sにある。なお、この非リリース状態においては、図6に示すように、保持バネ55が係止部53を支持アーム20の後端側に向かって付勢することで、引っ掛け溝53aに入り込んだ軸部51aの該引っ掛け溝53aからの脱出を不能とし、これにより、阻止棒30のリリース方向T1への回動を阻止している。なお、該保持バネ55の付勢力は非リリース状態におけるリリースバネ41の付勢力よりも大きく設定されているため、リリースバネ41の付勢のみによって引っ掛け溝53a内から軸部51aが脱出して阻止棒30がリリース方向T1に回動してしまうことはない。
【0058】
始めに、上記のように待機状態の遮断機10を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒30の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒30の開閉動作は、車線サーバ130の制御によって行われる。図11は、車線サーバ130が実行する阻止棒30の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
まず、車線サーバ130は、車両検知器131が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器131からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S11)。その結果、車両検知器131からOFF信号が入力されていると判定した場合(S11:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からからON信号が入力されたと判断した場合(S11:Yes)、車線サーバ130は、路側アンテナ132に対して車載器情報の受信指令を送出し(S12)、路側アンテナ132はこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0060】
次いで、車線サーバ130は、路側アンテナ132が受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S13)。その結果、異常車両であると判断した場合(S13:No)、車線サーバ130は異常処理を行い(S14)、阻止棒30の開動作を行うことなく該阻止棒30を阻止位置Sに維持する。これにより、S13にて異常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0061】
一方、S13にて正常車両であると判断した場合(S13:Yes)、車線サーバ130は、電動機62に車両通行許可指令を送出し、出力軸62aを正回転させることにより支持アーム20及び阻止棒30を阻止位置Sから許可位置Kへと回動させる(S15)。即ち、車線サーバ130が、支持アーム20及び阻止棒30に開動作を行わせる。これによって、遮断機10が、車両の通行を許可した状態となる。
【0062】
S15の後、車線サーバ130は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器131による車両の検知が終了した結果、車両検知器131からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S16)。そして、車両検知器131から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S16:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からOFF信号が入力されたと判断した場合(S16:Yes)、車線サーバ130は、制御部90に対して車両退出検知信号を送出する。この車両退出検知信号に基づいて制御部90は電動機62の出力軸62aを逆回転させることにより、支持アーム20及び阻止棒30をリリース位置Kから阻止位置Sへと回動させる(S17)。これによって、遮断機10が、車両の通行を阻止した状態となり、S13にて正常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0063】
ここで、上記のように、車線サーバ130が異常車両と判断して異常処理を行った際には、阻止棒30が阻止位置Sに維持されることにより、該阻止棒30に車両が衝突する場合がある。また、車線サーバ130が正常車両と判断して阻止棒30に開動作を行わせた際であっても、車両の進入速度が速すぎる場合には、阻止棒30に車両が衝突し得る。この際、本実施形態においては、阻止棒30のリリース動作が行われる。
即ち、阻止棒30の棒部31に対して車両進行方向Gに進行する車両が衝突すると、当該衝撃力が阻止棒30をリリース方向T1に回動させる回転モーメントとして作用する。そして、当該回転モーメントにより、被係止部51の軸部51aが保持バネ55の付勢力に抗して山部53bを乗り越え、軸部51aが引っ掛け溝53aから脱出する。これによって、阻止棒30の非リリース状態の保持が解除され、図7に示すように、阻止棒30が、リリースバネ41の付勢にしたがってリリース方向T1に回動させられる。
【0064】
このように、阻止棒30がリリース方向T1に回動すると、リリース軸22の回転に伴って、クラッチ機構80における第二回転盤82が回転する。これによって、図9(c)に示すように、角度位置90°に配置された第二凸部82aが第一回転盤81における第一凸部81aの往復移動範囲に侵入し、阻止棒30がリリース状態まで回動した際には、該第二凸部82aが角度位置0°まで移動して第一凸部81aに当接する。
【0065】
なお、阻止棒30がリリース方向T1に回動する際には、阻止棒30のリリース方向T1への回動の中途において、ラッチ58aの先端がラッチ掛け部59に当接することでラッチ58a自体が後退し、該ラッチ58aがラッチ掛け部59を乗り越える。そして、阻止棒30がリリース状態となった際には、図7に示すように、ラッチ掛け部59における車両通行路R側を向く面にラッチ58aが当接可能となることで、阻止棒30の復帰方向T2への回動を阻止し、当該阻止棒30のリリース状態が保持されたロック状態となる。これによって、リリース動作が完了する。
【0066】
次に、リリース動作の完了後、阻止棒30がリリース状態にある場合において、当該阻止棒30を復帰方向T2に回転させて非リリース状態に戻す復帰動作について説明する。この復帰動作は、リリース動作後の阻止棒30がリリース状態にある場合において、例えば料金所の係員による操作部133の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。図12は、制御部90が実行する阻止棒30の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
まず、制御部90は、操作部133からON信号が入力されたか否か、即ち、操作部133からリリース復帰指令が入力されたか否かを判定する(S21)。その結果、操作部133からOFF信号が入力されていると判断した場合(S21:No)、操作部133からON信号が入力されるまで待機する。
【0068】
制御部90が、操作部133からON信号が入力されたと判断した場合(S21:Yes)、制御部90は、ラッチ装置58におけるソレノイドに電流を流す指令を送出し、これによってラッチ58aを後退させることで該ラッチ装置58のロック状態を解除する(S22)。これにより、阻止棒30のリリース状態における保持状態が解除されて、阻止棒30が復帰方向T2に回動可能な状態となる。
【0069】
次いで、制御部90は、復帰駆動部61の電動機62を正回転させて、支持アーム20に開動作をさせる(S23)。即ち、電動機62を正回転させることで、支持アーム20を水平状態から鉛直状態まで90°回動させる。すると、この支持アーム20の回動に連動して、図13に示すように、第一回転盤81が反時計回りに回転する。これにより、該第一回転盤81の第一凸部81aが、角度位置0°から角度位置90°に移動する。
【0070】
この際、第一凸部81aに対して第二凸部82aが該第一凸部81aに当接していることにより、第一凸部81aの移動に伴って第二凸部82aも同方向に移動する。そして、第一凸部81aが角度位置90°まで移動すると、第一凸部81aによって押し出されるようにして第二凸部82aが該第一凸部81aの往復移動範囲から排除される。これによって、第二凸部82aは、角度位置0°から当初の位置である角度位置90°まで移動することになる。
【0071】
このように第二凸部82aが移動すると、第二回転盤82も反時計回りに90°回転し、これに連動してリリース軸22及び阻止棒30も復帰方向T2に90°回動する。これにより、阻止棒30は支持アーム20に対して平行をなす非リリース状態に復帰し、阻止棒30が鉛直方向に起立した許可位置Kの状態となる。以上のように、阻止棒30が非リリース状態からリリース方向T1に回動した際は、復帰駆動部61の回転がリリース軸22に伝達され、これによって阻止棒30が復帰方向T2に回動する。
【0072】
なお、ここでは、阻止棒30が非リリース位置から90°回動した非リリース状態の際に支持アーム20に開動作させる例について説明したが、阻止棒30は必ずしもリリース状態まで回動されていなくともよく、少なくとも阻止棒30が非リリース状態からリリース方向T1に回動した状態において支持アーム20に開動作をさせればよい。これにより、第二回転盤82の第二凸部82aが第一回転盤81の第一凸部81aの往復移動範囲に侵入するため、支持アーム20の開動作に連動した第一凸部81aの移動によって第二凸部82aが当初の位置に移動し、阻止棒30が非リリース状態に復帰する。
【0073】
その後、制御部90は復帰駆動部61の電動機62を逆回転させて、支持アーム20に閉動作をさせる(S24)。即ち、電動機62を逆回転させることで、支持アーム20を鉛直状態から水平状態まで90°回動させる。これにより、阻止棒30は、許可位置Kから阻止位置Sの状態に復帰する。また、この支持アーム20の回動に連動して、第一回転盤81の第一凸部81aは、角度位置90°から0°まで移動する。この際、当該第一凸部81aが第二凸部82aに干渉することはなく、第一凸部81a及び第二凸部82aは図9(a)に示す初期の状態となる。これによって、復帰動作が完了する。
【0074】
以上のように、本実施形態の遮断機10によれば、阻止棒30が非リリース状態の際には、復帰駆動部61の回転がリリース軸22に伝達されることはなく、該復帰駆動部61によって阻止棒30の開閉動作のみが行われる。
一方、阻止棒30に車両が衝突することにより該阻止棒30がリリース方向T1に回動した際には、復帰駆動部61の回転がリリース軸22に伝達されることとなるため、復帰駆動部61により阻止棒30に開動作を行わせると同時にリリース軸22も回転し、これに伴って、阻止棒30が復帰方向T2に回動する。
【0075】
これによって、別途リリース復帰用の駆動部等を設けることなく、簡易な構成で、リリース動作後の阻止棒30を迅速に復帰させることができる。したがって、例えば料金所係員等の手動による阻止棒30の復帰作業を行わなくともよいため、車両通行路Rに車両の渋滞が発生してしまうことを回避することができる。また、駆動源は復帰駆動部61一つで足りるため、低コスト化及び省メンテナンス化を図ることが可能となる。
【0076】
また、本実施形態の遮断機10においては、阻止棒30のリリース方向T1への回動によりリリース軸22が回転し、これに伴って第二回転盤82が回転すると、該第二回転盤82の第二凸部82aが第一回転盤81の第一凸部81aの往復移動範囲に侵入する。この際、阻止棒30の開閉動作に連動して第一回転盤81が往復回転することにより、第一凸部81aが第一回転盤の周方向に往復移動を行うと、第一凸部81aが第二凸部82aに当接して、該第二凸部82aを往復移動範囲から押し出すようにして排除する。
【0077】
即ち、第一凸部81aの往復移動によって、第二凸部82aの往復移動範囲に侵入する前の初期位置に移動され、これに伴って第二回転盤82及びリリース軸22が回転し、阻止棒30が復帰方向に回動することになる。これにより、阻止棒30がリリース方向T1に回動した際にのみ復帰駆動部61の回転をリリース軸22に伝達させて阻止棒30を復帰方向T2に回転させる機構を容易に実現することができる。
【0078】
次に、本発明の第二実施形態に係る遮断機について、図14〜図16を参照して詳細に説明する。なお、この第二実施形態においては、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
第二実施形態の遮断機10は、図14に示すように、駆動ユニット60における伝達機構100の構成について、第一実施形態の伝達機構70とは相違する。
第二実施形態の伝達機構100は、駆動軸64に一体に固定された第一プーリ101と、該第一プーリ101の下方において該第一プーリと中心軸を平行に設置された第二プーリ102と、これら第一プーリ101及び第二プーリ102に巻き掛けられた第一ベルト103と、第二プーリ102に接続されて一体に回転する第一傘型ギア104と、該第一傘型ギア104と噛み合って連動する第二傘型ギア106と、該第二傘型ギア106とリリース軸22の間に介装されたクラッチ機構110とから構成されている。
【0080】
この伝達機構100におけるクラッチ機構110は、第二傘型ギア106に接続されて該第二傘型ギア106と一体に回転する第一回転盤111と、リリース軸22に接続されて該リリース軸22と一体に回転する第二回転盤112とを備えている。これら第一回転盤111と第二回転盤112とは、それぞれの中心軸線が平行をなすように、支持アーム20の長手方向に離間して配置されている。
【0081】
上記第一回転盤111には、復帰駆動部61の駆動軸64の回転が、第一プーリ101、第一ベルト103、第二プーリ102、第一傘型ギア104、第二傘型ギア106を順次経て伝達される。これにより、この第一回転盤111は阻止棒30の開閉動作と常時連動して所定範囲内で往復回転するように構成されている。本実施形態においては、阻止棒30が阻止位置Sと許可位置Kとの間で90°回動することに連動して、第一回転盤111も所定角度範囲で回転するように構成されている。
【0082】
また、第一回転盤111の外周面には、第二回転盤112の下面の中心付近まで延びる爪部111aが設けられている。この爪部111aは、図15に示すように、第一回転盤111の径方向外側に向かうに従って、支持アーム20の開動作に連動する第一回転盤111の回転方向(以下、正回転方向と称する)後方側に向かって傾斜するように延在している。
【0083】
阻止棒30が阻止位置Sにある場合においては、図15(a)に示すように、爪部111aの先端が第二回転盤112の角度位置270°の箇所に位置している。そして、阻止棒30が阻止位置Sから許可位置Kに向かって回動すると、図15(b)に示すように、第一回転盤81の正回転に伴って爪部111aの先端が第一回転盤111を中心とした円弧mを描くようにして第二回転盤112の角度位置90°の箇所まで移動する。なお、当該円弧mの内側の領域に、上記第二回転盤112の中心軸線が含まれている。
【0084】
即ち、阻止棒30の開閉動作に連動して第一回転盤111が所定角度範囲を往復回転することに伴って、爪部111aが第一回転盤111の周方向に当該所定角度範囲だけ周方向に往復移動するように構成されているのである。この爪部111aが往復移動する範囲である円弧mの内側の領域が、爪部111aの往復移動範囲とされている。
【0085】
また、上記第二回転盤112は、リリース軸22と接続されていることから該リリース軸22と連動して回転するように構成されている。この第二回転盤112の下面における外周側の位置には、下方に向かって突出する凸部112aが設けられている。この凸部112aは、阻止棒30が非リリース状態にある場合においては、図15(a)に示す角度位置90°に配置されている。そして、阻止棒30が阻止位置Sからリリース方向T1に回転すると、リリース軸22及び第二回転盤112の回転に伴って、凸部112aが移動して爪部111aの往復移動範囲に侵入し、最終的には図15(c)に示すように、凸部112aが角度位置0°に配置され、爪部111aの正回転方向前方側を向く面に当接した状態とされる。
【0086】
このような第二実施形態の遮断機10において、阻止棒30がリリース状態とされた後、当該阻止棒30を非リリース状態に復帰させるには、第一実施形態と同様、図12のフローチャートに示す制御部90による処理が行われる。
【0087】
阻止棒30がリリース状態とされて、第一回転盤111の爪部111aと第二回転盤112の凸部112aが図15(c)の状態にある場合に、制御部90による支持アーム20の開動作(S23)が行われると、電動機62が正回転され、支持アーム20が水平状態から鉛直状態まで90°回動させられる。すると、この支持アーム20の回動に連動して第一回転盤81が正回転方向に回転することで、図16に示すように、第一回転盤81の爪部111aが円弧mに沿って正回転方向に移動する。
【0088】
この際、第二回転盤112の凸部112aが第一回転盤111の爪部111aに正回転方向前方側から当接していることから、爪部111aの移動に伴って凸部112aが第二回転盤の周方向に移動する。これにより、凸部112aが爪部111aに案内されるようにして、該第一凸部81aの往復移動範囲から排除される。これによって、第二凸部82aは、角度位置0°から当初の位置である角度位置90°まで移動することになる。
【0089】
このように第二凸部82aが移動すると、第二回転盤82も図16の反時計回りに90°回転し、これに連動してリリース軸22及び阻止棒30も復帰方向T2に90°回動する。これにより、阻止棒30は支持アーム20に対して平行をなす非リリース状態に復帰する。
【0090】
第二実施形態の遮断機10においても、第一実施形態と同様、阻止棒30に車両が衝突することにより該阻止棒30がリリース方向T1に回動した際には、復帰駆動部61の回転がリリース軸22に伝達されることとなるため、復帰駆動部61により阻止棒30に開動作を行わせると同時にリリース軸22も回転し、これに伴って、阻止棒30が復帰方向T2に回動する。したがって、別途リリース復帰用の駆動部等を設けることなく、簡易な構成で、リリース動作後の阻止棒を迅速に復帰させることができる。
【0091】
また、第二実施形態の遮断機10においては、阻止棒30のリリース方向T1への回動によりリリース軸22が回転し、これに伴って第二回転盤112が回転すると、該第二回転盤112の凸部112aが第一回転盤111の爪部111aの往復移動範囲に侵入する。この際、阻止棒30の開閉動作に連動して第一回転盤111が往復回転することにより、爪部111aが第一回転盤111の周方向に往復移動を行い、これによって、爪部111aが凸部112aを案内するようにして往復移動範囲から排除する。即ち、爪部111aの往復移動によって、凸部112aが往復移動範囲に侵入する前の初期位置に移動され、これに伴って第二回転盤112及びリリース軸22が回転し、阻止棒30が復帰方向に回動することになる。これにより、第一実施形態と同様、阻止棒30がリリース方向T1に回動した際にのみ復帰駆動部61の回転をリリース軸22に伝達させて阻止棒30を復帰方向T2に回転させる機構を容易に実現することができる。
【0092】
次に、本発明の第三実施形態に係る遮断機について、図17〜図19を参照して詳細に説明する。なお、この第三実施形態においては、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0093】
第三実施形態の遮断機10は、図17に示すように、駆動ユニット60の伝達機構70におけるクラッチ機構180の構成について、第一実施形態のクラッチ機構80とは相違する。
【0094】
第三実施形態のクラッチ機構180は、第四プーリ78に接続されて該第四プーリ78と一体に回転する第一回転盤181と、リリース軸22に接続されて該リリース軸22と一体に回転する第二回転盤182とを備えている。これら第一回転盤181と第二回転盤182とは、互いに中心軸線を一致させた状態で上下に対向して重なるように配置されている。
【0095】
上記第一回転盤181には、復帰駆動部61の駆動軸64の回転が、第一プーリ71、第一ベルト73、第二プーリ72、第一傘型ギア74、第二傘型ギア76、第三プーリ77、第二ベルト79及び第四プーリ78を経て伝達される。これにより、この第一回転盤181は阻止棒30の開閉動作と常時連動して所定範囲内で往復回転するように構成されている。本実施形態においては、阻止棒30が阻止位置Sと許可位置Kとの間で90°回動することに連動して、第一回転盤181も90°の範囲で回転するように構成されている。
【0096】
また、第一回転盤181の第二回転盤182との対向面における外周側の箇所には、図18に示すように、第一回転盤181の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称をなす一対の爪部(伝達部)181a,181aが突出するように設けられている。これら爪部181a,181aはそれぞれ第一回転盤181の軸線に平行に延びる円柱状をなしている。
【0097】
これら爪部181a,181aは、阻止棒30が阻止位置Sにある場合には、図18(a)に示す角度位置0°,180°に配置されている。そして、阻止棒30が阻止位置Sから許可位置Kに向かって回動すると、第一回転盤181の回転に伴って、図18(b)に示すように爪部181a,181aが半時計回りに移動し、最終的には角度位置90°270°に配置された状態となる。一方、阻止棒30が許可位置Kから阻止位置Sに回動すると、第一回転盤181の回転に伴って、角度位置90°,270°にある爪部181a,181aが時計回りに回転して、最終的には角度位置0°,180°に配置された状態となる。
【0098】
即ち、阻止棒30の開閉動作に連動して第一回転盤181が所定角度範囲を往復回転することに伴って、爪部181a,181aが第一回転盤181の周方向に当該所定角度範囲(本実施形態においては90°の角度範囲)を往復移動するように構成されている。これら爪部181a,181aが往復移動する範囲である角度位置0°から90°にわたっての移動軌跡を、爪部181a,181aの往復移動範囲とする。
【0099】
また、上記第二回転盤182は、リリース軸22と接続されていることから該リリース軸22と連動して回転するように構成されている。この第二回転盤182の第一回転盤181との対抗面における外周側の部分には、該第二回転盤182の厚み方向に貫通する一対の溝部182a,182aが形成されている。これら溝部182a,182aは、第二回転盤182の軸線回りに延びる円弧状をなしており、第二回転盤182の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称となるように配置されている。
なお、溝部182aにおける第二回転盤182の中心軸線からの径方向の位置は、爪部181a,181aにおける第一回転盤181の中心軸線からの径方向の位置と同様とされている。これにより、溝部182a,182aには、上記第一回転盤181の爪部181a,181aが一対一の関係で挿入される。
【0100】
これら溝部182a,182aそれぞれにおける周方向の一対の端部のうち図18の時計回り方向後方側に位置する端部は、溝部182a,182aに挿入された爪部181a,181aが当接可能な当接端部182b,182bとされている。
これら阻止棒30が非リリース状態にある場合においては、角度位置0°の爪部181aが挿入された溝部182aの当接端部182bが角度位置90°に配置され、角度位置180°の爪部181aが挿入された溝部182aの当接端部182bが角度位置270°に配置されている。
【0101】
そして、阻止棒30が阻止位置Sからリリース方向T1に回転すると、リリース軸22及び第二回転盤182の回転に伴って、溝部182a,182aが時計回りに移動することにより当接端部182b,182bが爪部181a,181aの往復移動範囲に侵入する。これにより、溝部182a,182aは、当初角度位置90°に配置されていたものが角度位置0°に配置され、当初角度位置270°に配置されていたものが角度位置180°に配置される。
【0102】
このような第二実施形態の遮断機10において、阻止棒30がリリース状態とされた後、当該阻止棒30を非リリース状態に復帰させるには、第一実施形態と同様、図12のフローチャートに示す制御部90による処理が行われる。
【0103】
阻止棒30がリリース状態とされて、第一回転盤181の爪部181a,181aと第二回転盤182の当接端部182b,182bが図18(c)の状態にある場合に、制御部90による支持アーム20の開動作(S23)が行われると、電動機62が正回転され、支持アーム20が水平状態から鉛直状態まで90°回動させられる。すると、この支持アーム20の回動に連動して第一回転盤81が正回転方向に回転することで、図19に示すように、第一回転盤181の爪部181a,181aが正回転方向に、即ち、反時計回り方向に90°移動する。
【0104】
この際、第二回転盤182の溝部182a,182aにおける当接端部182b,が第一回転盤181の爪部181a,181aに正回転方向前方側から当接していることから、爪部181a,181aの移動に伴って当接端部182b,182b及び溝部182a,182aが第二回転盤182の周方向に移動する。即ち、当接端部182b,182bが爪部181a,181aに案内されるようにして、該爪部181a,181aの往復移動範囲から排除される。これによって、当接端部182b,182bは、それぞれ角度位置180°,0°から当初の角度位置90°,270°まで移動することになる。
【0105】
このように当接端部182b,182bが移動すると、第二回転盤182も図19の反時計回りに90°回転し、これに連動してリリース軸22及び阻止棒30も復帰方向T2に90°回動する。これにより、阻止棒30は支持アーム20に対して平行をなす非リリース状態に復帰する。
【0106】
第三実施形態の遮断機10においても、第一、第二実施形態と同様、阻止棒30に車両が衝突することにより該阻止棒30がリリース方向T1に回動した際には、復帰駆動部61の回転がリリース軸22に伝達されることとなるため、復帰駆動部61により阻止棒30に開動作を行わせると同時にリリース軸22も回転し、これに伴って、阻止棒30が復帰方向T2に回動する。したがって、別途リリース復帰用の駆動部等を設けることなく、簡易な構成で、リリース動作後の阻止棒30を迅速に復帰させることができる。
【0107】
また、第二実施形態の遮断機10においては、阻止棒30のリリース方向T1への回動によりリリース軸22が回転し、これに伴って第二回転盤182が回転すると、該第二回転盤182の溝部182a,182aにおける当接端部182b,182bが第一回転盤181の爪部181a,181aの往復移動範囲に侵入する。この際、阻止棒30の開閉動作に連動して第一回転盤181が往復回転することにより、爪部181a,181aが第一回転盤111の周方向に往復移動を行い、これによって、爪部181a,181aが当接端部182b,182bを案内するようにして往復移動範囲から排除する。
【0108】
即ち、爪部181a,181aの往復移動によって、当接端部182b,182bが往復移動範囲に侵入する前の初期位置に移動され、これに伴って第二回転盤182及びリリース軸22が回転し、阻止棒30が復帰方向に回動することになる。これにより、第一、第二実施形態と同様、阻止棒30がリリース方向T1に回動した際にのみ復帰駆動部61の回転をリリース軸22に伝達させて阻止棒30を復帰方向T2に回転させる機構を容易に実現することができる。
【0109】
なお、上記実施形態においては、復帰駆動部61の回転がリリース軸22に伝達される構成としたが、リリース軸22が復帰駆動部61とは別のモータ等の駆動部によって回転される構成であってもよい。
【0110】
また、ラッチ機構57に代えて、図20に示すように、ボールキャッチ120を設けた構成であってもよい。このボールキャッチ120は、阻止棒30における棒部31に設けられた雄部材121と遮断機本体11の車両進行路R側を向く側面に設けられた雌部材122とから構成されている。そして、阻止棒30が非リリース状態からリリース状態に回動すると、阻止棒30側の雄部材121の凸部121aが雌部材122の凹部122aに入り込む。
【0111】
この際、凹部122aの側面から付勢された一対のボール122b,122bが凸部121aを押さえ込むことによって雄部材121と雌部材122とが係合した状態となる。これによって、阻止棒30がリリース状態において固定され、リリース状態にある阻止棒30が不用意に回動してしまうことを防止することができる
【0112】
なお、阻止棒30がリリース状態から非リリース状態Sに回動する際には、阻止棒30の復帰方向T2への回転力によってボール122b,122bの付勢力に抗して凸部121aが凹部122a内から脱出ことにより、雄部材121と雌部材122との係合状態が解除される。これにより、制御部90の指令によらずとも阻止棒30のロック状態を解除することができるため、遮断機10の構成自体をより簡易なものとすることができる。
【0113】
次に、本発明の第四実施形態に係る遮断機について、図面を参照して詳細に説明する。
第二実施形態の遮断機410は、図21〜図22に示すように、遮断機本体411と、該遮断機本体411に支持された支持アーム420と、該支持アーム420に支持された阻止棒430とを備えている。さらに、この遮断機410には、復帰駆動部440と、制御部(図示省略)とが設けられている。この遮断機410においては、阻止棒430を開閉動作させる動力と阻止棒430に復帰動作をさせる動力が別個に設けられている。
【0114】
遮断機本体411は、高速道路の料金所における車両通行路Rの側方に固定設置されている。この遮断機本体411における車両進行方向G後方側を向く面には、開閉軸412(図22参照)が設けられている。この開閉軸412は、遮断機本体411内に設けられた開閉用モータ(図示省略)によって車両進行方向Gに沿った水平軸回りに回転駆動可能とされている。開閉用モータは回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、後述する制御部490と接続されており、該制御部490の指令に基づいて正逆回転するように構成されている。なお、遮断機本体411を設置する箇所は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0115】
支持アーム420は、アーム本体421とリリース軸422(図21、図22において図示省略、図23参照)とを備えている。
アーム本体421は開閉軸412の直径方向を長手方向とするように該開閉軸412に固定支持されている。このアーム本体421は、開閉軸412の回転に伴って、該アーム本体421の長手方向が水平方向に平行な水平状態と鉛直方向に平行な鉛直状態との間で、鉛直面に沿って90°の範囲で開閉軸412の軸線回りに回動可能とされている。
【0116】
このアーム本体421は、水平状態とされている場合において上下方向に対向する上板部421a、下板部421b、及び、これら上板部421aと下板部421bとを接続する中板部421cを備えている。即ち、アーム本体421は、長手方向に直交する断面形状が略コの字状をなしている。そして、上記断面コの字状において上下に対抗する二辺を接続する一辺となる中板部421cが開閉軸412に固定支持されている。
【0117】
リリース軸422は、上記アーム本体421の先端、即ち、支持アーム420が水平状態の場合におけるアーム本体421の車両通行路R側の端部(図21及び図22における左側)に支持されている。このリリース軸422は、アーム本体421の長手方向に直交し、かつ、鉛直面に沿って延びる軸線回りに回動可能とされている。これによって、支持アーム420が水平状態とされている際にはリリース軸422は鉛直軸回りに回動可能とされる。
【0118】
阻止棒430は、リリース軸422の直径方向に延在するように該リリース軸422に固定支持されている。そして、支持アーム420が水平状態とされている場合における阻止棒430のリリース軸422から見た車両通行路R側の部分が、長尺状をなして車両の進行を阻止する棒部431とされている。また、阻止棒430におけるリリース軸422を挟んで棒部431の反対側の部分が、アーム本体421の上記断面コの字状の内側に収納可能な基部432とされている。
このような阻止棒430は、リリース軸422の回転に伴って該リリース軸422の軸線回りに回動可能とされている。
【0119】
この阻止棒430においては、図21に示すように、該阻止棒430の延在方向が支持アーム420の長手方向と平行な状態、即ち、阻止棒430が開閉軸412の径方向に延在する状態が非リリース状態とされている。
また、阻止棒430においては、図22に示すように、リリース軸422の回動に伴って非リリース状態から車両進行方向Gに90°回動し、阻止棒30の延在方向が支持アーム420の長手方向と直交する状態、即ち、阻止棒430が開閉軸412及び車両進行方向Gと平行に延在する状態がリリース状態とされている。
以下では、阻止棒430が非リリース状態からリリース状態に回動する方向、即ち、リリース動作を行う方向をリリース方向T1とし、これとは逆にリリース状態から非リリース状態に回動する方向、即ち、復帰動作を行う方向を復帰方向T2とする。
【0120】
また、阻止棒430においては、図21に示すように、支持アーム420が水平状態とされ、かつ、阻止棒430が非リリース状態とされていることにより、該阻止棒430が略水平状態であるとともに車両進行方向Gに略直交する方向に延びて車両の進行を阻止する状態が阻止位置Sとされている。また、支持アーム420が鉛直状態とされ、かつ、阻止棒430が非リリース状態とされることにより、阻止棒430が鉛直方向に起立して車両の通行を許可する状態が許可位置Kとされている。
【0121】
そして、本実施形態においては、開閉軸412の回転に伴って支持アーム420が90°の範囲で回動することで、非リリース状態とされた阻止棒430が阻止位置Sと許可位置Kとの間での開閉動作を行うようになっている。以下では、支持アーム420が水平状態から鉛直状態に向かって回動する動作を開動作とし、該支持アーム420が鉛直状態から水平状態に向かって回動する動作を閉動作とする。
【0122】
次に、復帰駆動部440の構成について説明する。
復帰駆動部440は、阻止棒430を開閉動作させる動力とは別個の動力として、リリース方向T1に回動した阻止棒430を復帰方向T2に回動させて非リリース状態に復帰させるための機構であって、図21及び図22に示すように水平状態とされた支持アーム420の下部に一体に固定されている。この復帰駆動部440は、図23及び図24に示すように、筐体状をなす復帰駆動部本体440a内に収納された復帰用モータ(回転駆動部)441と、該復帰用モータ441の正回転をリリース軸422に伝達させる伝達機構442と、阻止棒430の非リリース状態又はリリース状態を検知する状態検知手段455とを備えている。
【0123】
復帰用モータ441は、回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御部490からの指令に基づいて出力軸441aが正逆回転可能とされている。
【0124】
伝達機構442は、阻止棒430がリリース方向T1に回動した際にのみ復帰用モータ441の回転をリリース軸422に伝達させる第一ウォームギア443と、第一回転軸444と、第二ウォームギア445と、第一平歯車446と、第二回転軸447と、クラッチ機構448と、第二平歯車451と、第三平歯車452とを備えている。
【0125】
第一ウォームギア443は、図23から図26に示すように、出力軸441aの先端に該出力軸441aと同軸に固定されており、その外周面には、軸線回りに捩れる雄ネジが形成されている。
第一回転軸444は、支持アーム420が水平状態とされた場合における復帰駆動部本体440aの上下方向(以下、復帰駆動部440の説明においては単に上下方向と称する。)に延在する軸であって、例えば復帰駆動部本体440aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0126】
第二ウォームギア445は、第一回転軸に同軸に固定された略円盤状をなす部材であって、該第一回転軸444と一体に回転するようになっている。この第二ウォームギア445の外周面には第一ウォームギア443の雄ネジと螺合するギア歯が形成されており、これによって、第一ウォームギア443と第二ウォームギア445とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0127】
第一平歯車446は、第一回転軸444に同軸に固定された略円盤状をなすギアであって、その外周面にはギア歯が形成されている。この第一平歯車446は、第二ウォームギア445の上部に一体に固定されており、これによって、第二ウォームギア445及び第一回転軸444と連動して軸線回りに回転するようになっている。
第二回転軸447は、第一回転軸444と平行をなして上下方向に延在する軸であって、例えば復帰駆動部本体440aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0128】
クラッチ機構448は、第二回転軸447に対してそれぞれ同軸に配置された第一ギア449及び第二ギア450を備えている。
第一ギア449は、第二回転軸447に対して同軸かつ一体に固定された略円盤状をなしており、第二回転軸447とともに軸線回りに回転するように構成されている。この第一ギア449の外周面にはギア歯が形成されており、当該ギア歯は第一平歯車446のギア歯と互いに噛み合っている。これによって、第一ギア449と第一平歯車446とは、それぞれの軸線回りに互いに連動回転可能とされている。
【0129】
この第一ギア449の上面には、図25(a)に示すように、該第一ギア449の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称をなす一対の爪部449a,449aが設けられている。これら爪部449a,449aはそれぞれ第一ギア449の軸線に平行に延びる円柱状をなしている。
【0130】
第二ギア450は、図23及び図24に示すように、第二回転軸447に対して軸線回りに相対回転可能に配置された円盤状をなしており、第一ギア449の上部に重なるように配置されている。
この第二ギア450には、図25(a)に示すように、該第二ギア450の厚み方向に貫通する一対の溝部450a,450aが形成されている。これら溝部450a,450aは、第二ギア450の軸線回りに延びる円弧状をなしており、第二ギア450の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称となるように配置されている。
【0131】
このような第二ギア450の溝部450a,450aには、図25(b)に示すように、第一ギア449の一対の爪部449a,449bが一対一の関係で挿入されている。これによって、第一ギア449と第二ギア450とは、溝部450a,450a内における爪部449a,449aの移動許容範囲に応じて軸線回りに相対回転可能とされている。
【0132】
第二平歯車451は、第二回転軸447に対して同軸かつ相対回転可能に配されたギアであって、水平状態とされた支持アーム420における第二ギア450の上部に一体に固定されている。これによって、第二平歯車451は第二ギア450と一体に回転する。また、第二平歯車451の外周面にはギア歯が形成されている。
【0133】
第三平歯車452は、支持アーム420に設けられたリリース軸422の下方において、該リリース軸422に対して同軸かつ一体に設けられたギアであって、当該リリース軸422と連動して回転可能とされている。また、第三平歯車452の外周面にはギア歯が形成されており、当該ギア歯は第二平歯車451のギア歯と互いに噛み合っている。これによって、第二平歯車451と第三平歯車452とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0134】
ここで、制御部の指令によって復帰用モータ441の出力軸441aが正回転すると、図26に示すように、当該出力軸441aの正回転が伝達機構442における第一ウォームギア443、第二ウォームギア445、第一平歯車446を介してクラッチ機構448の第一ギア449に伝達される。これによって、第一ギア449及び爪部449a,449aは、図24に示す初期位置から図27に示すように時計回りに90°だけ回転する。以下、このような第一ギア449及び爪部449a,449aの動作を正回転動作と称する。
【0135】
一方、第一ギア449,449及び爪部449a,449aが初期位置から正回転動作した後に、制御部490の指令によって復帰用モータ441の出力軸441aが逆回転すると、上記同様、当該出力軸441aの逆回転が、伝達機構442における第一ウォームギア443、第二ウォームギア445、第一平歯車446を介してクラッチ機構448の第一ギア449に伝達される。これによって、第一ギア449及び爪部449a,449aは、図27における反時計回り、即ち、正回転動作と反対回りに90°回転して初期位置に復帰する。以下、この第一ギア449及び爪部449a,449aの動作を逆回転動作を称する。
以上のように、第一ギア449及び爪部449a,449aは、復帰用モータ441の出力軸441aの正逆回転に応じて90°の角度範囲を往復回動する。
【0136】
また、阻止棒430がリリース動作を行い、非リリース状態からリリース状態となると、図28に示すように、このリリース動作に伴うリリース軸422のリリース方向T1への回転が、伝達機構442における第三平歯車452、第二平歯車451を介して第二ギア450に伝達される。これによって、第二ギア450は、図24に示す初期位置から図29に示すように反時計回りに90°だけ回転する。以下、この第二ギア450の動作をリリース連動動作と称する。
第二ギア450がリリース連動動作を行った後は、図29に示すように、第一ギア449における初期位置の爪部449a,449aが、溝部450a,450aにおける図29の時計回り前方側の端部となる当接端部450bにそれぞれ当接する。
【0137】
一方、リリース連動動作後の第二ギア450が当該リリース連動動作と反対回り90°に回転すると、当該回転が伝達機構442における第二平歯車451及び第三平歯車452を介してリリース軸422に伝達される。これによってリリース軸422は、復帰方向T2に回転する。これに伴って、阻止棒430がリリース状態から復帰動作を行って非リリース状態に復帰する。以下、このように第二ギア450の動作を復帰連動動作と称する。
以上のように、第二ギア450と阻止棒430とは、互いに連動する構成とされ、即ち、第二ギア450のリリース連動動作と阻止棒430のリリース動作とが対応するように、また、第二ギア450の復帰連動動作と阻止棒430の復帰動作とが対応するように互いに連動する。
【0138】
状態検知手段455は、被検知円盤456と、円盤検知用センサ457とから構成されている。
被検知円盤456は、図24、図27及び図29に示すように、略円盤状をなす部材であって、上記クラッチ機構448における第二ギア450の上面に同軸かつ一体に固定されている。被検知円盤456は、その外径が第二ギア450の外径よりも大きく形成されており、さらに、外周縁部から径方向内側に向かって切り欠くように形成された第一スリット456a及び第二スリット456bを備えている。これら第一スリット456a,第二スリット456bは、被検知円盤456の周方向に互いに90°の間隔をあけて配置されている。
【0139】
円盤検知用センサ457は、復帰駆動部本体440aの内壁に保持されたセンサであって、例えばレーザーを照射することによって対象物までの距離を測定可能とされた距離センサが採用されている。本実施形態において、円盤検知用センサ457は、被検知円盤456の外周部に対して水平状態とされた支持アーム420の上下方向に沿うようにレーザーを照射している。これにより、被検知円盤456の回転角度に応じて、レーザーの照射領域に第一スリット456a又は第二スリット456bが存在する場合と、当該照射領域に被検知円盤456が存在する場合とをそれぞれ検出するようになっている。
【0140】
このような円盤検知用センサ457は、図24及び図27に示すように、阻止棒430が非リリース状態とされて第二ギア450が初期位置とされている場合には、第一スリット456aに向かってレーザーを照射しており、即ち、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に第一スリット456aが位置している。この場合、状態検知手段455は、阻止棒430が非リリース状態にあるものと認識する。
【0141】
そして、図29に示すように、第二ギア450がリリース連動動作を行った際には、これに伴って第二ギア450に固定された円盤検知用センサ457も回転することにより、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に第二スリット456bが存在することになる。このように、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に当初第一スリット456aが位置している場合に被検知円盤456が回転することにより、当該レーザー照射領域に位置する対象物が被検知円盤456自体、第二スリット456bと変化した場合に、状態検知手段455は阻止棒430がリリース状態に変化したものと認識する。
【0142】
さらに、第二ギア450が復帰連動動作を行った際には、これに伴って第二ギア450に固定された円盤検知用センサ457も回転することにより、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に第一スリット456aが存在することになる。このように、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に当初第二スリット456bが位置している場合に被検知円盤456が回転することにより、当該レーザー照射領域に位置する対象物が被検知円盤456自体、第一スリット456aと変化した場合に、状態検知手段455は阻止棒430がリリース状態に変化したものと認識する。
以上のようにして、状態検知手段455は、阻止棒430が非リリース状態にあるかリリース状態にあるのかを検知する。
【0143】
なお、本実施形態の遮断機410には、上記構成に加えて、図21及び図22に示すように、リリース状態保持部460と、非リリース状態保持部470と、補助復帰駆動部480とが設けられていてもよい。
リリース状態保持部460は、阻止棒430をリリース状態において保持する機構であって、図21及び図22に示すように、水平状態とされた支持アーム420の先端における上面に設けられている。
【0144】
また、非リリース状態保持部470は、阻止棒430を非リリース状態に保持するための機構であって、図21及び図22に示すように、水平状態とされ支持アーム20のアーム本体21に上下一対が設けられている。
さらに、補助復帰駆動部480は、復帰方向T2に回動する阻止棒430が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達した際に、該阻止棒30に対して復帰方向T2に向かってのトルクを付与する役割を有している。
【0145】
次に、本実施形態の遮断機410の作用について説明する。
車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機410が待機状態の際には、図21に示すように、支持アーム20が水平状態とされるとともに阻止棒430は非リリース状態とされ、即ち、阻止棒430はホームポジションである阻止位置Sにある。
【0146】
この非リリース状態において復帰駆動部440は、図24に示すように、クラッチ機構448の第一ギア449及び第二ギア450を初期状態に位置させている。また、状態検知手段455における円盤検知用センサ457のレーザ照射領域には、被検知円盤456における第一スリット456aが位置した状態とされており、これによって、阻止棒430が非リリース状態にあることが検知されている。
【0147】
このように待機状態の遮断機410を備えた料金所ゲートに車両が進入した際には、当該車両の進入に基づいて制御部が開閉用モータの出力軸を正回転させることにより、支持アーム420及び阻止棒430を阻止位置Sから許可位置Kへと回動させる。これによって、遮断機410が、車両の通行を許可した状態となる。
一方、料金所ゲートから車両が退出した際には、当該車両の退出に基づいて制御部が開閉用モータの出力軸を逆回転させることにより、支持アーム420及び阻止棒430を許可位置Kから阻止位置Sへと回転させる。これによって遮断機410が車両の通行を阻止した状態となる。
なお、料金所ゲートに進入した車両が異常車両である場合には、開閉用モータは駆動されず、支持アーム420及び阻止棒430は車両の通行を阻止した状態とされる。
【0148】
次に、リリース動作の完了後、阻止棒430がリリース状態にある場合において、当該阻止棒430を復帰方向T2に回転させて非リリース状態に戻す復帰動作について説明する。
この復帰動作は、リリース動作後の阻止棒430がリリース状態にある場合において、例えば料金所の係員の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。
【0149】
このリリース復帰指令が制御部に入力されると、該制御部は、復帰駆動部440における復帰用モータ441の出力軸441aを正回転させることによって、伝達機構442におけるクラッチ機構448の第一ギア449に軸線回り90°の正回転動作をさせる。
この際、図30に示すように、該第一ギア449の爪部449a,449aの回転方向前方側に第二ギア450の溝部450a,450aの当接端部450b,450bが当接しているため、第一ギア449の正回転動作に連動して第二ギア450も同様の方向に回転する。即ち、第一ギア449の爪部449a,449aが第二ギア450の溝部450a,450aにおける当接端部450b,450bを押圧することによって、当該第一ギア449の正回転動作に連動して第二ギア450が復帰連動動作を行う。
【0150】
このように第二ギア450が復帰連動動作を行うと、この復帰連動動作に基づく回転が第二平歯車451及び第三平歯車452を介してリリース軸422に伝達され、リリース軸422が復帰方向T2に回転する。これにともなって、該リリース軸422に支持された阻止棒430が復帰方向T2に回動する。そして、阻止棒430がリリース状態に到達すると、非リリース状態保持部470の付勢突起473が基部432の凹部432a,432bに係合し、阻止棒430が非リリース状態に保持される。
【0151】
以上のように、本実施形態の遮断機410においては、阻止棒430に車両が衝突することにより該阻止棒430がリリース方向T1に回動した際には、阻止棒430の開閉とは別個の動力を備えた復帰駆動部440を駆動させることによって、阻止棒430を復帰方向T2に回動させることができる。
即ち、リリース軸422がリリース状態となった際にのみ、第二ギア450の溝部450a,450aの当接端部450b,450bが爪部449a,449aに当接することによって、第一ギア449及び爪部449a,449aの正回転動作が第二ギア450に伝達される。これによって、リリース軸422と連動する阻止棒430を復帰方向T2に回動させることができる。
【0152】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
なお、第一、第二及び第三実施形態では、阻止棒30の開閉動作とリリース動作との動力が同一とされた構成について、第四実施形態では、阻止棒430の開閉動作とリリース動作との動力が別個とされた構成について説明したが、阻止棒30,430のリリース動作及び開閉動作が可能である限り、実施形態の構成に限定されることはなく、他の構成を採用してもよい。例えば、第一、第二及び第三実施形態について、開閉動作とリリース動作との動力を別個とした構成を採用してもよいし、第四実施形態について、開閉動作とリリース動作との動力を同一とした構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0153】
10…遮断機
12…開閉軸
20…支持アーム
22…リリース軸
30…阻止棒
40…リリース機構
57…ラッチ機構
58…ラッチ装置
60…駆動ユニット
61…復帰駆動部
62…電動機
70…伝達機構
80…クラッチ機構
81…第一回転盤
81a…第一凸部(伝達部)
82…第二回転盤
82a…第二凸部(被伝達部)
90…制御部
100…伝達機構
110…クラッチ機構
111…第一回転盤
111a…爪部(伝達部)
112…第二回転盤
112a…凸部(被伝達部)
180…クラッチ機構
181…第一回転盤
181a…爪部(伝達部)
182…第二回転盤
182a…溝部
182b…当接端部(被伝達部)
410…遮断機
412…開閉軸
413…開閉用モータ
420…支持アーム
422…リリース軸
430…阻止棒
440…復帰駆動部
441…復帰用モータ(回転駆動部)
442…伝達機構
448…クラッチ機構
449…第一ギア
449a…爪部
450…第二ギア
450a…溝部
450b…当接端部
460…リリース状態保持部
470…非リリース状態保持部
480…補助復帰駆動部
T1…リリース方向
T2…復帰方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
復帰駆動部と、
該復帰駆動部によって、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、
該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸と、
前記阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ前記復帰駆動部の回転を前記リリース軸に伝達させる伝達機構とを備え、
前記復帰駆動部による前記リリース軸の回転によって、前記阻止棒が前記リリース方向とは反対方向である復帰方向に回動することを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項2】
車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、
該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸と、
該阻止棒を前記リリース方向とは反対方向に回動可能な復帰駆動部と、
前記阻止棒が前記リリース方向に回動した際にのみ前記復帰駆動部の回転を前記リリース軸に伝達させる伝達機構とを備え、
前記復帰駆動部による前記リリース軸の回転によって、前記阻止棒が前記リリース方向とは反対方向である復帰方向に回動することを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項3】
前記伝達機構が、
前記阻止棒の前記開閉動作と連動して所定角度範囲を往復回転する第一回転盤と、
前記リリース軸の回転と連動して回転する第二回転盤と、
前記第一回転盤に設けられ、該第一回転盤の往復回転に伴って該第一回転盤の周方向に往復移動する伝達部と、
前記第二回転盤に設けられ、前記阻止棒の前記リリース方向の回動に伴って前記第二回転盤が回転した際に、前記伝達部の往復移動範囲に侵入する被伝達部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両通行遮断機。
【請求項4】
前記第一回転盤と前記第二回転盤とは、互いの中心軸線を一致させて対向配置され、
前記伝達部は、前記第一回転盤の対向面から突出する第一凸部であって、
前記被伝達部は、前記第二回転盤の対向面から突出して前記第一凸部に当接可能な第二凸部であることを特徴とする請求項2に記載の車両通行遮断機。
【請求項5】
前記第一回転盤と前記第二回転盤とは、互いの中心軸線が平行をなすように離間して配置され、
前記伝達部は、前記第二回転盤から径方向外側に向かって延びる爪部であって、
前記被伝達部は、前記第二回転盤の表面から突出して前記爪部に当接可能な凸部であることを特徴とする請求項2に記載の車両通行遮断機。
【請求項6】
前記第一回転盤と前記第二回転盤とは、互いの中心軸線を一致させて対向配置され、
前記伝達部は、第一回転盤の対向面から突出する爪部であって、
前記被伝達部は、前記第二回転盤の周方向に沿って形成された溝部における前記周方向の端部であることを特徴とする請求項2に記載の車両通行遮断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−17643(P2012−17643A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251084(P2010−251084)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】