車両通行遮断機
【課題】車両が阻止棒に接触した際のリリース動作をスムーズに行うことができ、阻止棒や車両の損傷を防止することが可能な車両通行遮断機を提供する。
【解決手段】本発明に係る車両通行遮断機は、車両の通行を阻止する阻止位置と、車両の衝突による衝撃を解放するリリース位置とへ移動可能に設けられた阻止棒と、車両の前記阻止棒への衝突を検知して検知信号を発する衝突検知センサと、該衝突検知センサからの検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へと移動させることによって前記阻止棒にリリース動作をさせる制御部と、を備えるものである。
【解決手段】本発明に係る車両通行遮断機は、車両の通行を阻止する阻止位置と、車両の衝突による衝撃を解放するリリース位置とへ移動可能に設けられた阻止棒と、車両の前記阻止棒への衝突を検知して検知信号を発する衝突検知センサと、該衝突検知センサからの検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へと移動させることによって前記阻止棒にリリース動作をさせる制御部と、を備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの料金所に設置され、車両の通行を阻止または許可可能な車両通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所において、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection System)が導入されている。このETCにおいては、料金所ゲートへの車両の進入を車両検知器が検知すると、車線サーバが路側アンテナに対して通信指令を発し、これに基づいて路側アンテナが車両に搭載された車載器と通信を開始する。次いで、車線サーバは路側アンテナにより車載器から得られた情報に基づいて、正常車両か異常車両かの別を判断する。そして、正常車両と判断した際には車両通行遮断機の阻止棒を開状態に回動させる一方、異常車両と判断した際には阻止棒を閉状態に維持することで、車両の通行を阻止又は許可するようになっている。このETCでは、阻止棒が閉じた状態であるにも拘わらず車両が強行的に車両通行遮断機を通過した場合、車両が阻止棒に衝突することによって阻止棒や車両が損傷する。従って、このような問題を防止すべく、車両の衝突時に阻止棒が受けた衝撃を逃がすようなリリース動作を行う車両通行遮断機が従来提唱されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両通行遮断機は、車両が阻止棒に衝突することなく通常に使用されている間は、その阻止棒が鉛直面内で回転し、水平に倒伏した状態で車両の通行を阻止する一方、鉛直に起立した状態で車両の進入を許可するようになっている。そして、車両が阻止棒に衝突すると、その衝撃で阻止棒が車両の進行方向に回動するリリース動作が行われる。
【0004】
また、特許文献2に記載の車両通行遮断機は、上記特許文献1の構成に加えて、阻止棒の車両進行方向への回動角度が所定範囲までの場合に当該回動にブレーキ力を生じさせるブレーキ軸受と、車両進行方向に向かって阻止棒に回転モーメントを与えるバネ機構とを備えている。これにより、通常時においては、ブレーキ軸受によって阻止棒が車両の通行を阻止する状態に保持される一方、車両の衝突により阻止棒が所定角度以上回動した場合には、バネ機構によって阻止棒が車両進行方向に回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594957号公報
【特許文献2】特開2003−336232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車両通行遮断機は、車両の衝突による衝撃のみによって受動的にリリース動作を行うため、車両の速度が低速の場合や車両の衝突角度が阻止棒の折れ曲がり方向と適合しない場合は、リリース動作がスムーズに行われず阻止棒または車両が損傷する場合がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の車両通行遮断機は、阻止棒の所定角度以上回動した際にのみバネ機構の作用によって阻止棒がリリース動作を行うため、車両の衝突角度が阻止棒の折れ曲がり方向と適合せず阻止棒が適切に回動しない場合、やはりリリース動作をスムーズに行うことができず、阻止棒または車両が損傷するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、車両が阻止棒に接触した際のリリース動作をスムーズに行うことができ、阻止棒や車両の損傷を防止することが可能な車両通行遮断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明に係る車両通行遮断機は、車両の通行を阻止する阻止位置と、車両の通行を許可する許可位置、及び車両の衝突による衝撃を解放するリリース位置とへ移動可能に設けられた阻止棒と、車両の前記阻止棒への衝突を検知して検知信号を発する衝突検知センサと、該衝突検知センサからの検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へと移動させることによって前記阻止棒にリリース動作をさせる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、阻止棒への車両の衝突を検知した衝突検知センサが検知信号を発すると、この検知信号を受けた制御部が、阻止棒を阻止位置からリリース位置へと移動させることでリリース動作をさせる。
【0011】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒は、車両通行許可指令に基づいて前記許可位置まで開動作するとともに、前記制御部は、前記車両通行許可指令にかかわらず、前記検知信号に基づいて前記許可位置と略同一となる前記リリース位置まで前記阻止棒にリリース動作させることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、リリース動作と開閉動作を同じ動作にすることができ、リリース動作用の機構と開閉動作用の機構とを別々に設ける必要がない分、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0013】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記制御部が、リリース復帰指令に基づいて、前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へと移動させることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、制御部に対してリリース復帰指令を発することにより、より確実に阻止棒にリリース復帰動作をさせることができる。
【0015】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記リリース復帰指令が、前記阻止棒を遠隔操作可能な操作部から発せられることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、リリース動作が完了した後の阻止棒をリリース動作前の状態に復帰させる作業を遠隔操作によって行うことができる。従って、料金所係員が遮断機のところまで近寄って手動で阻止棒をリリース動作前の状態に復帰させる必要がなく、遠隔操作により阻止棒の復帰作業が行える。これにより、阻止棒の復帰作業に要する時間を短縮することができ、リリース動作の復帰作業中に生じる車両の渋滞を緩和することができる。
【0017】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記許可位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、リリース位置から阻止位置への復帰動作を、同一の駆動源にて行うことができ、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0019】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒を前記阻止位置から前記許可位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、リリース動作を開閉動作と同じ駆動源により動作することにで、リリース動作用の機構と通常時の開閉動作用の機構とを別々に設ける必要がない分、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0021】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、水平状態であって且つ車両の進行方向に略平行する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、阻止棒が水平面内で回動するので、車両の衝突による衝撃を車両進行方向に逃がしながら車両の衝突を検知し、後、リリース動作を行うので、車両や阻止棒への負荷が少ない状態でリリース動作を行うことができる。また、車両を運転する人間にとっては、視覚的にゆっくりと阻止棒が開閉するように見え、車両の進入速度の抑制効果があり、安全性の向上が図れる。
【0023】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、起立状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、阻止棒は車両の進行方向と略垂直に開閉及びリリースするので、料金所等における設置スペースの広さによらず、近隣の機器の邪魔になることなく車両通行遮断機を設置することができる。
【0025】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒を支持する支持アームが、遮断機本体に取り付けられた第1アームと、該第1アームに対して車両の進行方向前方側に回動可能に取り付けられて、前記阻止棒を保持する第2アームと、該第2アームが車両の進行方向前方側に回動した際に、前記阻止棒が車両の進行方向に略直交する方向へ延びるように、前記第2アームを付勢する復帰バネと、を有することを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、阻止棒に車両が衝突すると、阻止棒を支持する第2アームが、第1アームに対して車両の進行方向前方側に向かって回動することで、車両の衝突による衝撃を緩和することができる。そして、このように回動した第2アームは、復帰バネの付勢力によって、阻止棒が車両の進行方向に略直交する方向へ延びる状態に復帰することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る車両通行遮断機によれば、阻止棒への車両の衝突を検知すると、能動的に阻止棒を回動させることで阻止棒が車両から受ける衝撃を緩和するので、衝撃による阻止棒や車両の損傷を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を許可する状態での概略平面図である。
【図4】遮断機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】制御部が実行する阻止棒の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】制御部が実行する阻止棒の遠隔操作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】制御部が実行する阻止棒のリリース動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る遮断機の車両衝突時における動作説明図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を許可する状態での概略側面図である。
【図12】遮断機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図13】変形例に係る遮断機の構成を示す説明図である。
【図14】回転軸及びプーリの動作説明図である。
【図15】回転軸及びプーリの動作説明図である。
【図16】回転軸及びプーリの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る車両通行遮断機(以下、「遮断機」と略す)の構成について説明する。図1から図3は、第1実施形態に係る遮断機10の外観を示す図であって、図1は車両の通行を阻止する状態での概略平面図、図2は同じく車両の通行を阻止する状態での概略側面図、図3は車両の通行を許可する状態での概略平面図である。遮断機10は、図1及び図2に示すように、高速道路の料金所における車両通行路に面した位置に固定設置された遮断機本体11と、この遮断機本体11から突出して回転駆動される開閉リリース駆動軸12(以下、単に「駆動軸12」と略す)と、この駆動軸12に固定された支持アーム13と、この支持アーム13の先端に取り付けられた長尺な阻止棒14と、遮断機本体11の内部に設けられて駆動軸12を回転駆動する電動機(図に点線で記載)15と、を備えるものである。尚、電動機15は、いわゆるサーボモータであって、不図示のギア伝達機構やベルト伝達機構を介し、その回転が駆動軸12に伝達される。また、遮断機本体11を設置する位置は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0030】
支持アーム13は、図1及び図2に示すように、本体部131と、該本体部131の先端に設けられて阻止棒14を保持するホルダ部132と、を有している。このように構成される支持アーム13は、略水平方向を向いた状態で、その本体部131が駆動軸12に固定されている。これにより、支持アーム13は、駆動軸12の回転に伴って水平面内で回動し、その回動範囲は、図1及び図2に示すように阻止棒14が阻止位置Sにある状態から、図3に示すように阻止棒14が許可位置(リリース位置)Kに位置する状態までとなっている。本実施形態のようにリリース位置を許可位置Kと一致させることで、阻止棒14のリリース動作と開閉動作を同じ動作にすることができ、リリース動作用の機構と開閉動作用の機構とを別々に設ける必要がない分、装置構成を簡略化できるという利点がある。
尚、本実施形態における阻止棒14の阻止位置Sとは、図1及び図2に示すように、阻止棒14が水平状態であって且つ車両進行方向Gに略直交して延びる状態を意味する。一方、本実施形態における阻止棒14の許可位置Kとは、図3に示すように、阻止棒14が水平状態であって且つ車両進行方向Gに略平行して延びる状態を意味する。
【0031】
阻止棒14は、図1及び図2に示すように、その表面に、車両の衝突を検知するための衝突検知センサ(検知部)141が設けられている。この衝突検知センサ141は、いわゆる圧電素子であって、車両の衝突によって阻止棒14に変形が生じると、その機械的変位を電気信号に変換し、制御部に対して検知信号を発する。尚、衝突検知センサ141としては、本実施形態の圧電素子に代えて、いわゆるマイクロスイッチ等を用いてもよい。
【0032】
次に、第1実施形態に係る遮断機10の機能構成について説明する。図4は遮断機10及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機10においては、阻止棒14に設けられた衝突検知センサ141と、駆動軸12の電動機15と、がそれぞれ制御部16に対して電気的に接続されている。さらに、この制御部16には、遮断機10の外部に設けられた操作部17が電気的に接続されている。そして、制御部16は、衝突検知センサ141又は操作部17からの入力に基づいて、電動機15の制御を行うように構成されている。
【0033】
また、遮断機10の外部には、周辺機器として、車両検知器18、路側アンテナA及び上記操作部17がそれぞれ接続された車線サーバ19が設けられている。また、この車線サーバ19は、遮断機10の電動機15に対して電気的に接続されている。
【0034】
車両検知器18は、例えば車両通行路の両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入と退出を検知するように構成されている。即ち、この車両検知器18は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。
【0035】
路側アンテナAは、例えば遮断機10よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信するように構成されている。
そして、車線サーバ19は、車両検知器18及び路側アンテナAからの出力に基づいて、遮断機10の電動機15の制御を行うように構成されている。
【0036】
また、操作部17は、料金所周辺に設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ19に対して阻止棒の開閉要求を出力する。車線サーバ19は、この開閉要求に基づいて電動機15に指令を発することで阻止棒14を開閉させる。なお、操作部17は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0037】
さらに、この操作部17は、上述したように、遮断機10の制御部16に対しても接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」操作することにより送出されるリリース復帰指令が制御部16に入力されるように構成されている。
なお、操作部17は車線サーバ19に接続されておらず、制御部16のみに接続された構成であってもよい。この場合、操作部17を操作することにより出力される開閉要求は制御部16に入力され、該制御部16はこの開閉要求に基づいて電動機15を制御することで阻止棒14の開閉動作を行う。
【0038】
次に、本実施形態の遮断機10の作用について説明する。
車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、図1に示すように、阻止棒14はホームポジションである阻止位置Sにある。
【0039】
始めに、上記のように待機状態の遮断機10を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒14の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒14の開閉動作は、車線サーバ19の制御によって行われる。図5は、車線サーバ19が実行する阻止棒14の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、車線サーバ19は、車両検知器18が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器18からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S11)。その結果、車両検知器18からOFF信号が入力されていると判定した場合(S11:No)、車線サーバ19は、車両検知器18からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器18からからON信号が入力されたと判断した場合(S11:Yes)、車線サーバ19は、路側アンテナAに対して車載器情報の受信指令を送出し(S12)、路側アンテナAはこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0041】
次いで、車線サーバ19は、路側アンテナAが受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S13)。その結果、異常車両であると判断した場合(S13:No)、車線サーバ19は異常処理を行い(S14)、阻止棒14を阻止位置Sに維持する。これにより、車線サーバ19の処理が終了する。
一方、S13にて正常車両であると判断した場合、車線サーバ19は、電動機15に車両通行許可指令を送出し、該電動機15の駆動軸12を正回転させることにより、阻止棒14を阻止位置Sから許可位置Kへと回動させる(S15)。このようにして、遮断機10の阻止棒14は、車両通行許可指令に応じて車両の通行を許可した状態となる。
【0042】
S15の後、車線サーバ19は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器18による車両の検知が終了した結果、車両検知器18からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S16)。そして、車両検知器18から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S16:No)、車線サーバ19は、車両検知器18からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器18からOFF信号が入力されたと判断した場合(S17:Yes)、車線サーバ19は、電動機15に信号を送出し駆動軸12を逆回転させることにより、阻止棒14を許可位置Kから阻止位置Sへと回動させる(S17)。これにより、遮断機10が車両の通行を阻止した状態となる。これにより、車線サーバ19の処理が終了する。
【0043】
次に、通常時における阻止棒14の遠隔操作の処理手順について説明する。図6は、車線サーバ19が実行する阻止棒14の遠隔操作の処理の流れを示すフローチャートである。車線サーバ19は、まず阻止棒14の現在位置を認識する(S21)。すなわち、車線サーバ19は、阻止棒14が図1に示す阻止位置Sから図3に示す許可位置Kの間でいずれの場所に位置しているかを確認する。次に、車線サーバ19は、操作盤の開ボタンが押下されたか否かを判定する(S22)。その結果、開ボタンが押下されたと判断した場合(S22:Yes)、車線サーバ19は、阻止棒14の現在位置が許可位置Kであるか否かを更に判定する(S23)。その結果、阻止棒14の現在位置が許可位置Kではないと判断した場合(S23:No)、車線サーバ19は、電動機15を所定角度だけ正回転させることにより、阻止棒14を現在位置から許可位置Kへと回動させる(S24)。これにより、遮断機10は、車両の通行を許可した状態となる。そして、車線サーバ19は処理を終了する。
【0044】
一方、S23の判定において阻止棒14の現在位置が許可位置Kであると判断した場合(S23:Yes)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま次の工程S25へ進む。また、S22の判定において開ボタンが押下されていないと判断した場合(S22:No)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま次の工程S25へ進む。
【0045】
その後、車線サーバ19は、操作盤の閉ボタンが押下されたか否かを判定する(S25)。その結果、閉ボタンが押下されたと判断した場合(S25:Yes)、車線サーバ19は、阻止棒14の現在位置が阻止位置Sであるか否かを更に判定する(S26)。その結果、阻止棒14の現在位置が阻止位置Sではないと判断した場合(S26:No)、車線サーバ19は、電動機15を所定角度だけ逆回転させることにより、阻止棒14を現在位置から阻止位置Sへと回動させる(S27)。これにより、遮断機10は、車両の通行を阻止した状態となる。そして、車線サーバ19は処理を終了する。
【0046】
一方、S26の判定において阻止棒14の現在位置が阻止位置Sであると判断した場合(S26:Yes)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま処理を終了する。また、S25の判定において操作盤の閉ボタンが押下されていないと判断した場合(S25:No)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま処理を終了する。
【0047】
尚、本実施形態では阻止棒14の開放動作と閉止動作の両方を遠隔操作可能としたが、これに限られず、少なくとも阻止棒14の閉止動作だけが遠隔操作可能であれば足りる。閉止動作だけを遠隔操作可能とする場合、操作盤に閉ボタンだけを設けて操作部17を構成し、車線サーバ19は閉ボタンが押下されたか否かの判定だけを行えばよい。
【0048】
次に、異常時すなわち車両が阻止棒14に衝突した時の阻止棒14のリリース動作について説明する。図7は、制御部16が実行する阻止棒14のリリース動作の処理の流れを示すフローチャートである。制御部16は、まず衝突検知センサ141が車両の衝突を検知したか否か、すなわち衝突検知センサ141からON信号が入力されたか否かを判定する(S31)。その結果、衝突検知センサ141からOFF信号が入力されていると判断した場合(S31:No)、制御部16は、衝撃検知センサからON信号が入力されるまで待機する。一方、衝撃検知センサからON信号が入力されたと判断した場合(S31:Yes)、制御部16は、電動機15を略90°正回転させることにより、阻止棒14を図1に示す阻止位置Sから図3に示す許可位置Kへと回動させる(S32)。このように、阻止棒14への車両の衝突を検知すると、能動的に阻止棒14を回動させることで阻止棒14が車両から受ける衝撃を緩和するので、衝撃による阻止棒14や車両の損傷を未然に防止することができる。また、本実施形態では、阻止棒14が阻止位置Sから回動を開始する方向が、阻止棒14が車両の衝突によって受ける衝撃の作用方向と一致しているので、衝突による衝撃を利用して阻止棒14の回動をよりスムーズに開始させることができる。尚、例え車両の衝突角度が阻止棒14の回動方向と一致しない場合でも、阻止棒14への車両の衝突を検知して能動的に阻止棒14を回動させるので、阻止棒14の回動をスムーズに開始させることができる。
【0049】
その後、制御部16は、操作部17で閉ボタンが押下されたか否かを判定する(S33)。その結果、閉ボタンが未だ押下されていないと判断した場合(S33:No)、制御部16は、ユーザによって閉ボタン押下されるまで待機する。一方、閉ボタンが押下されたと判断した場合(S33:Yes)、制御部16は、電動機15を略90°逆回転させることにより、阻止棒14を図3に示す許可位置Kから図1に示す阻止位置Sへと回動させる(S34)。これにより、遮断機10は、通常の開閉動作を実行可能な状態となる。
【0050】
このように、第1実施形態に係る遮断機10は、通常時における阻止棒14の開閉動作と異常時における阻止棒14のリリース動作とが同一の動作とされ、且つ、阻止棒14の開閉動作が遠隔操作可能とされている。これにより、リリース動作後の阻止棒14を、遠隔操作によってリリース動作前の状態に復帰させることができる。従って、車両の衝突によって阻止棒14がリリース動作を行っても、ユーザである料金所係員が遮断機10のところまで近寄って阻止棒14を許可位置Kから阻止位置Sへと手動で復帰させる必要がない。従って、リリース動作後の阻止棒14をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、リリース動作の復旧作業中に車両の渋滞が発生することを未然に防止することができる。
【0051】
本実施形態のように阻止棒14を能動的に回動させることで、阻止棒14に衝突した車両が低速であって阻止棒14に作用する衝撃が弱い場合でも、確実且つスムーズに阻止棒14を許可位置Kまで回動させることができる。なお、本実施形態では車両の衝突検知により阻止棒14を能動的に回動させるが、安全性向上のためにトルクリミッタを備え、例えば高速車両が衝突した際にはクラッチを切断することにより駆動軸12と電動機15とを切り離し、衝突力により受動的にリリースさせる機構を持たせてもよい。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態に係る遮断機の構成について説明する。図8から図11は、第2実施形態に係る遮断機20の外観を示す図であって、図8は車両の通行を阻止する状態での概略側面図、図9は同じく車両の通行を阻止する状態での概略平面図、図10は遮断機20の車両衝突時における動作説明図、図11は車両の通行を許可する状態での概略側面図である。遮断機20は、図8及び図9に示すように、高速道路の料金所における車両通行路Rに面した位置に固定設置された遮断機本体21と、この遮断機本体21から側方へ突出して回転駆動される開閉リリース駆動軸22(以下、単に「駆動軸22」と略す)と、この駆動軸22に固定された支持アーム23と、この支持アームの先端に取り付けられた長尺な阻止棒24と、遮断機本体21の内部に設けられて駆動軸22を回転駆動する電動機25(図に点線で記載)と、を備えるものである。尚、電動機25は、いわゆるサーボモータであって、不図示のギア伝達機構やベルト伝達機構を介し、その回転が駆動軸22に伝達される。
【0053】
支持アーム23は、図8及び図9に示すように、本体部231と、該本体部231の先端に設けられて阻止棒24を支持するホルダ部232と、を備えるものである。そして、本体部231は、遮断機本体21に取り付けられた第1アーム231aと、この第1アーム231aによって回転可能に支持された回転支軸231bと、この回転支軸231bに固定された第2アーム231cと、一端が第1アーム231aに他端が第2アーム231cにそれぞれ固定された復帰バネ231dと、を有している。
【0054】
このように構成される支持アーム23は、略水平方向を向いた状態で、その本体部231を構成する第1アーム231aが駆動軸22に固定されている。これにより、支持アーム23は、駆動軸22の回転に伴って鉛直面内で回動するようになっている。
また、支持アーム23は、外力の作用を受けると、第2アーム231cが回転支軸231bと一体的に回転することにより、復帰バネ231dの付勢力に抗して車両進行方向G前方側に回動可能となっている。
【0055】
阻止棒24は、図8及び図9に示すように、その表面に、車両の衝突を検知するための衝突検知センサ(検知部)241が設けられている。尚、衝突検知センサ241として圧電素子やマイクロスイッチを用いることができる点、及びその機能については第1実施形態と同じである。
【0056】
次に、第2実施形態に係る遮断機20の機能構成について説明する。図12は、遮断機20の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機20においては、阻止棒24に設けられた衝突検知センサ241と、駆動軸22の電動機25と、がそれぞれ制御部26に対して電気的に接続されている。さらに、この制御部26には、遮断機20の外部に設けられた操作部27が電気的に接続されている。尚、操作部27の構成は第1実施形態と同様である。
【0057】
そして、制御部26は、衝突検知センサ241及び操作部27からの入力に基づいて、電動機25の制御を行うように構成されている。
【0058】
また、遮断機20の外部には、周辺機器として、車両検知器28、路側アンテナA及び上記操作部27がそれぞれ接続された車線サーバ29が設けられている。ここで、車両検知器28,路側アンテナA,及び車線サーバ29の機能は、第1実施形態の車両検知器18,路側アンテナA,及び車線サーバ19と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
次に、第2実施形態に係る遮断機20の作用及び効果について説明する。まず、通常時すなわち車両が阻止棒24に衝突しない時における、阻止棒24の開閉動作の処理手順について説明する。第2実施形態における阻止棒24の開閉動作は、図5に示した第1実施形態の阻止棒14の開閉動作と同じ処理手順である。但し、阻止棒24の阻止位置S及び許可位置Kが、第1実施形態とは異なっている。具体的には、第2実施形態における阻止棒24の阻止位置Sとは、図8に示すように、水平状態であって且つ車両進行方向Gに略直交して延びる状態を意味する。一方、第2実施形態における阻止棒24の許可位置Kとは、図11に示すように、略鉛直に起立した状態であって且つ車両の進行方向Gに略直交する方向へ延びる状態を意味する。
【0060】
次に、第2実施形態において、通常時における阻止棒22の遠隔操作の処理手順について説明する。阻止棒24の遠隔操作の処理手順は、図6に示した第1実施形態の阻止棒14の遠隔操作と同じ処理手順である。但し、前述の開閉動作と同様に、阻止棒24の阻止位置S及び許可位置Kが第1実施形態とは異なっている。
【0061】
次に、第2実施形態において、異常時すなわち車両が阻止棒24に衝突した時の阻止棒24のリリース動作について説明する。阻止棒24のリリース動作の処理手順は、図7に示した第1実施形態の阻止棒14のリリース動作と同じ処理手順である。但し、前述の開閉動作と同様に、阻止棒24の阻止位置S及び許可位置Kが第1実施形態とは異なっている。
【0062】
但し、第2実施形態に係る遮断機20では、図9に示す状態において阻止棒24に車両が衝突すると、図10に示すように、その衝撃で第2アーム231cが復帰バネ231dの付勢力に抗して回動することにより、支持アーム23がその長手方向中間部において折れ曲がった状態となる。これにより車両の衝突による衝撃を緩和することが可能となっている。尚、折れ曲がった支持アーム23は、リリース位置(許可位置)Kへとリリース動作を行う間に、復帰バネ231dの付勢力によって元の真っ直ぐな状態へと復帰する。
なお、本実施例では復帰バネ231dを第一アーム231aと第二アーム231cとで固定する構成となっているが、これに限定されるものでなく、例えば第二アーム231cとホルダ部232を同様の復帰バネで固定する構成であってもよい。また、本実施例のバネ機構によらず、阻止棒が弾性を持った素材で構成され、車両衝突の衝撃を車両進行方向に緩和しながら、リリース位置(許可位置)Kへとリリース動作を行う間に、阻止棒自体の弾性力で元の真っ直ぐな状態へと復帰するものであってもよい。
【0063】
このように、第2実施形態に係る遮断機20によっても、第1実施形態と同様に、車両の衝突によって阻止棒24がリリース動作を行っても、遮断機20から離れた場所でユーザが操作部27を操作することにより、阻止棒24を許可位置Kから阻止位置Sへと容易に復帰させることができる。これにより、リリース動作後の遮断機20をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、復旧作業中に生じる車両の渋滞を低減することができる。
【0064】
また、第2実施形態に係る遮断機20も、第1実施形態と同様に、通常時における阻止棒24の開閉動作と異常時における阻止棒24のリリース動作とが同一の動作とされ、且つ、阻止棒24の開閉動作が遠隔操作可能とされている。これにより、リリース動作後の阻止棒24を、遠隔操作によってリリース動作前の状態に復帰させることができる。従って、リリース動作後の阻止棒24をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、リリース動作の復旧作業中に発生する車両の渋滞を緩和することができる。
【0065】
尚、第1実施形態及び第2実施形態では、車線サーバ19,29が電動機15,25に対して直接的に車両通行許可指令を送出することにより該電動機15,25を駆動させる構成としたが、車線サーバ19,29が制御部16,26に対して車両通行許可指令を送出して、この制御部16,26が車両通行許可指令に基づいて電動機15,25を駆動させる構成であってもよい。即ち、車両通行許可指令が直接的に電動機15,25に入力される構成、あるいは、該車両通行許可指令が制御部16,26を介して間接的に電動機15,25に入力される構成のいずれであるかによらず、電動機15,25が車両通行許可指令に基づいて駆動されることにより、阻止棒14,24が許可位置まで開動作すればよい。
【0066】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、阻止棒14,24を駆動軸12,22廻りに回動させることで阻止位置Sから許可位置Kへと移動させたが、阻止棒14,24の阻止位置Sから許可位置Kへの移動はこの形態に限られず、例えば阻止棒14,24を長手方向にスライド移動させることによって、或いは阻止棒14,24を長手方向に伸縮させることによって、阻止位置Sから許可位置Kへと移動させてもよい。
【0067】
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0068】
例えば、変形例として、図13に示す遮断機50であってもよい。この遮断機50には第一実施形態と同様、阻止棒55が水平方向に回動する構成とされ、阻止棒55を支持するリリース軸122が遮断機本体11内の上面から上端が露出する回転軸52に同軸に固定されている。この回転軸52は、遮断機本体11内において一対のベアリング53,53に支持されることで鉛直軸線O回りに回転可能に設けられている。この回転軸52の回転に伴ってリリース軸122が回転することにより、阻止棒55が、阻止位置Sと許可位置(リリース位置)との間で回動する。なお、以下では、阻止棒55を阻止位置Sから許可位置に向かって回動させるリリース軸122及び回転軸52の回転方向をリリース回転方向T1とし、阻止棒55を許可位置から阻止位置Sに向かって回動させるリリース軸122及び回転軸52の回転方向を復帰回転方向T2とする。尚、本変形例における阻止棒55の阻止位置Sとは、図13に示すように、阻止棒55が水平状態であって且つ車両進行方向(図13で紙面に直交する方向)に略直交して延びる状態を意味する。一方、本変形例における阻止棒55の許可位置とは、図に詳細は示さないが、阻止棒55が水平状態であって且つ車両進行方向に略平行して延びる状態を意味する。
【0069】
そして、この遮断機50では、回転軸52を駆動させるための駆動軸60と、駆動軸60のトルクを回転軸52に伝達するクラッチ70と、回転軸52を回転させる回転機構80と、制御部100とをさらに備えている。
【0070】
駆動軸60は、回転軸52の下方側に配置されており、電動機65と、該電動機65の出力軸65aにカップリング61を介して連結される第一駆動軸62と、減速機63を介して第一駆動軸62に接続された第二駆動軸64とを備えている。
【0071】
電動機65は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータである。この電動機65は正逆回転可能とされており、制御部100の指令に基づいて作動するように構成されている。電動機65が作動した際には、該電動機65の出力軸65aのトルクが第一駆動軸62に伝達され、さらにこのトルクは減速機63により回転数が減少させられた上で第二駆動軸64に伝達される。
【0072】
クラッチ70は、回転軸52と駆動軸60の第二駆動軸64との間に介装されており、第二駆動軸64のトルクを回転軸52に断接可能に伝達する部材である。このクラッチ70は、制御部100の指令に基づいて、第二駆動軸64から回転軸52へのトルクの伝達を可能とする接続状態と、該トルクの伝達を不能とする切断状態とに切り換えるように構成されている。
【0073】
回転機構80は、プーリ81と、ワイヤ82と、ローラ83と、ウェイト84と、ウェイト支持部85と、上部ウェイト検知センサ86と、下部ウェイト検知センサ87とを備えている。
【0074】
プーリ81は、回転軸52に対して鉛直軸線O回りに相対回転可能に設けられた円筒状の部材であって、より詳細には、図14に示すように、該プーリ81の内周面と回転軸52の外周面との間に介装されたベアリング54を介して回転軸52に対して相対回転可能に外嵌されている。
【0075】
ここで、上記回転軸52には、図14に示すように、該回転軸52の外周面から径方向外側に向かって突出する凸部52aが形成されている。また、プーリ81には、回転軸52の凸部52aに対して、阻止棒55をリリース回転方向T1後方側から当接可能な当接部81aが形成されている。
【0076】
ワイヤ82は、図14に示すように、一端側がプーリ81の外周面に対してリリース回転方向T1前方側に向かって繰り出し可能に巻き掛けられている。該プーリ81から繰り出されたワイヤ82は、図14に示すように、遮断機本体11に固定されたローラ83に巻き掛けられて下方に延びており、該ワイヤ82の他端にはウェイト84が固定されている。これによってウェイト84の下方への移動に伴ってプーリ81の外周面からワイヤ82が順次繰り出されることにより、プーリ81がリリース回転方向T1に回転する。
【0077】
ウェイト支持部85は、ウェイト84を下方から支持する機構であって、水平方向に沿って進退可能とされて上面にウェイト84が載置される進退板85aを備えている。この進退板85aは、制御部100によってその進退移動が制御されており、進退板85aが進出状態にある場合にウェイト64を支持する一方、該進退板85aが後退することでウェイト84の支持が解除されるようになっている。
【0078】
上部ウェイト検知センサ86は、ウェイト84がウェイト支持部85に支持されている状態、即ち、ウェイト84が最上位置にあることを検知するセンサであって、該ウェイト84の上面が当接可能なスイッチセンサが用いられている。
【0079】
下部ウェイト検知センサ87は、ウェイト支持部85による支持が解除されたウェイト84が落下して、該ウェイト84が最下位値にあることを検知するセンサであって、ウェイト84の下面が当接可能なスイッチセンサが用いられている。
【0080】
このような変形例の遮断機50において、車両通行路に車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、阻止棒55はホームポジションである阻止位置Sにあり、クラッチ70は接続状態とされている。この状態において、プーリ81は、図14に示すように、回転軸52の凸部52aに対してリリース回転方向T1後方側から当接した初期状態とされている。また、図13に示すように、ウェイト84は最上位置においてウェイト支持部85によって支持された状態にあり、上部ウェイト検知センサ86がON状態とされている。
【0081】
そして、車両を検知した際には、制御部100が電動機65を駆動することで回転軸52及びリリース軸122を回転させて、阻止棒55を阻止位置Sから許可位置まで回動させ、車両の検知が終了した際には、同様に、阻止棒55を許可位置から阻止位置Sまで回転させる。
【0082】
また、車両が阻止棒55に衝突して衝突検知センサ134から制御部100に信号が送出されると、制御部100はクラッチ70に対して信号を送出し、該クラッチ70を切断状態とし、回転軸52を駆動軸60から独立して回転可能とさせる。その後、制御部100は、ウェイト支持板85に信号を送出し、進退板85aを後退させる。これにより、ウェイト84の支持が解除され、該ウェイト84は重力に従って下方に落下する。すると、該ウェイト84に固定されたワイヤ82がプーリ81の外周面から繰り出されることにより、図15に示すように、プーリ81がリリース回転方向T1に回転する。そして、ウェイト84が最下位置にて下部ウェイト検知センサ87により検知されると、プーリ81は初期の状態からリリース回転方向T1に90°回転した状態となる。
【0083】
この際、プーリ81における当接部81aが回転軸82の凸部82aに対してリリース回転方向T1後方側から当接していることにより、図15に示すように、プーリ81のリリース回転方向T1への回転に連動して回転軸52もリリース回転方向T1に同様に90°だけ回転する。これに伴って、回転軸52に固定されたリリース軸122も同様に回転し、阻止棒55が阻止位置Sから許可位置まで回動する。これによって、リリース動作が完了する。
【0084】
そして、リリース動作から阻止棒55を復帰させる際には、例えば料金所係員が図示しない操作部を操作することにより制御部100に復帰信号を送出する。すると、制御部100はクラッチ70を接続状態とする信号を送出する。これによって、クラッチ70が接続状態となると、駆動軸60のトルクが回転軸52に対して伝達される状態となり、駆動軸60の駆動に伴って回転軸52が回転可能となる。
【0085】
次いで、制御部100は、電動機65を逆回転させて、回動軸52及びリリース軸122を復帰回転方向T2に90°回転させることで、阻止棒55を許可位置から阻止位置Sに回動させる、この際、図16に示すように、プーリ81における当接部81aが回転軸52の凸部52aに対してリリース回転方向T1後方側から当接していることにより、回転軸52の復帰回転方向T2への回転に連動してプーリ81も復帰回転方向T2に同様に回転する。これにより、プーリ81が初期状態に復帰すると、該プーリ81がワイヤ82を巻き取ることによりワイヤ82に固定されたウェイト84が上方に移動し、該ウェイト84が最上位置にて上部ウェイト検知センサ86により検知される。
【0086】
続いて、制御部100は、上部ウェイト検知センサ86からの検知信号に基づいて、ウェイト支持部85に対して進退板85aを進出させる信号を送出する。これにより、ウェイト84が再びウェイト支持部85によって支持され、復帰動作が完了し、遮断機50が当初の待機状態となる。これによって、復帰動作の処理が完了する。
【0087】
このように、この変形例における遮断機50においても、第1実施形態と同様に、通常時における阻止棒55の開閉動作と異常時における阻止棒55のリリース動作とが同一の動作とされ、且つ、阻止棒55の開閉動作が遠隔操作可能とされている。これにより、リリース動作後の阻止棒55を、遠隔操作によってリリース動作前の状態に復帰させることができる。従って、本変形例でも、第1実施形態と同様に、リリース動作後の阻止棒55をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、リリース動作の復旧作業中に車両の渋滞が発生することを未然に防止することができるという効果が得られる。尚、本変形例では、第1実施形態と同様に阻止棒55を水平面内で回動させる構成としたが、第2実施形態と同様に阻止棒55を鉛直面内で回動させる構成としてもよい。この場合、阻止棒55の許可位置とは、阻止棒55が鉛直に起立した状態を意味する。
【符号の説明】
【0088】
10,20,50…遮断機(車両通行遮断機)
14,24,55…阻止棒
16,26,100…制御部
18,28…車両検知器
17,27…操作部
134,141,241…衝突検知センサ
K…許可位置(リリース位置)
S…阻止位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの料金所に設置され、車両の通行を阻止または許可可能な車両通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所において、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection System)が導入されている。このETCにおいては、料金所ゲートへの車両の進入を車両検知器が検知すると、車線サーバが路側アンテナに対して通信指令を発し、これに基づいて路側アンテナが車両に搭載された車載器と通信を開始する。次いで、車線サーバは路側アンテナにより車載器から得られた情報に基づいて、正常車両か異常車両かの別を判断する。そして、正常車両と判断した際には車両通行遮断機の阻止棒を開状態に回動させる一方、異常車両と判断した際には阻止棒を閉状態に維持することで、車両の通行を阻止又は許可するようになっている。このETCでは、阻止棒が閉じた状態であるにも拘わらず車両が強行的に車両通行遮断機を通過した場合、車両が阻止棒に衝突することによって阻止棒や車両が損傷する。従って、このような問題を防止すべく、車両の衝突時に阻止棒が受けた衝撃を逃がすようなリリース動作を行う車両通行遮断機が従来提唱されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両通行遮断機は、車両が阻止棒に衝突することなく通常に使用されている間は、その阻止棒が鉛直面内で回転し、水平に倒伏した状態で車両の通行を阻止する一方、鉛直に起立した状態で車両の進入を許可するようになっている。そして、車両が阻止棒に衝突すると、その衝撃で阻止棒が車両の進行方向に回動するリリース動作が行われる。
【0004】
また、特許文献2に記載の車両通行遮断機は、上記特許文献1の構成に加えて、阻止棒の車両進行方向への回動角度が所定範囲までの場合に当該回動にブレーキ力を生じさせるブレーキ軸受と、車両進行方向に向かって阻止棒に回転モーメントを与えるバネ機構とを備えている。これにより、通常時においては、ブレーキ軸受によって阻止棒が車両の通行を阻止する状態に保持される一方、車両の衝突により阻止棒が所定角度以上回動した場合には、バネ機構によって阻止棒が車両進行方向に回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594957号公報
【特許文献2】特開2003−336232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車両通行遮断機は、車両の衝突による衝撃のみによって受動的にリリース動作を行うため、車両の速度が低速の場合や車両の衝突角度が阻止棒の折れ曲がり方向と適合しない場合は、リリース動作がスムーズに行われず阻止棒または車両が損傷する場合がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の車両通行遮断機は、阻止棒の所定角度以上回動した際にのみバネ機構の作用によって阻止棒がリリース動作を行うため、車両の衝突角度が阻止棒の折れ曲がり方向と適合せず阻止棒が適切に回動しない場合、やはりリリース動作をスムーズに行うことができず、阻止棒または車両が損傷するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、車両が阻止棒に接触した際のリリース動作をスムーズに行うことができ、阻止棒や車両の損傷を防止することが可能な車両通行遮断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明に係る車両通行遮断機は、車両の通行を阻止する阻止位置と、車両の通行を許可する許可位置、及び車両の衝突による衝撃を解放するリリース位置とへ移動可能に設けられた阻止棒と、車両の前記阻止棒への衝突を検知して検知信号を発する衝突検知センサと、該衝突検知センサからの検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へと移動させることによって前記阻止棒にリリース動作をさせる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、阻止棒への車両の衝突を検知した衝突検知センサが検知信号を発すると、この検知信号を受けた制御部が、阻止棒を阻止位置からリリース位置へと移動させることでリリース動作をさせる。
【0011】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒は、車両通行許可指令に基づいて前記許可位置まで開動作するとともに、前記制御部は、前記車両通行許可指令にかかわらず、前記検知信号に基づいて前記許可位置と略同一となる前記リリース位置まで前記阻止棒にリリース動作させることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、リリース動作と開閉動作を同じ動作にすることができ、リリース動作用の機構と開閉動作用の機構とを別々に設ける必要がない分、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0013】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記制御部が、リリース復帰指令に基づいて、前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へと移動させることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、制御部に対してリリース復帰指令を発することにより、より確実に阻止棒にリリース復帰動作をさせることができる。
【0015】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記リリース復帰指令が、前記阻止棒を遠隔操作可能な操作部から発せられることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、リリース動作が完了した後の阻止棒をリリース動作前の状態に復帰させる作業を遠隔操作によって行うことができる。従って、料金所係員が遮断機のところまで近寄って手動で阻止棒をリリース動作前の状態に復帰させる必要がなく、遠隔操作により阻止棒の復帰作業が行える。これにより、阻止棒の復帰作業に要する時間を短縮することができ、リリース動作の復帰作業中に生じる車両の渋滞を緩和することができる。
【0017】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記許可位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、リリース位置から阻止位置への復帰動作を、同一の駆動源にて行うことができ、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0019】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒を前記阻止位置から前記許可位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、リリース動作を開閉動作と同じ駆動源により動作することにで、リリース動作用の機構と通常時の開閉動作用の機構とを別々に設ける必要がない分、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0021】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、水平状態であって且つ車両の進行方向に略平行する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、阻止棒が水平面内で回動するので、車両の衝突による衝撃を車両進行方向に逃がしながら車両の衝突を検知し、後、リリース動作を行うので、車両や阻止棒への負荷が少ない状態でリリース動作を行うことができる。また、車両を運転する人間にとっては、視覚的にゆっくりと阻止棒が開閉するように見え、車両の進入速度の抑制効果があり、安全性の向上が図れる。
【0023】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、起立状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、阻止棒は車両の進行方向と略垂直に開閉及びリリースするので、料金所等における設置スペースの広さによらず、近隣の機器の邪魔になることなく車両通行遮断機を設置することができる。
【0025】
また、本発明に係る車両通行遮断機は、前記阻止棒を支持する支持アームが、遮断機本体に取り付けられた第1アームと、該第1アームに対して車両の進行方向前方側に回動可能に取り付けられて、前記阻止棒を保持する第2アームと、該第2アームが車両の進行方向前方側に回動した際に、前記阻止棒が車両の進行方向に略直交する方向へ延びるように、前記第2アームを付勢する復帰バネと、を有することを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、阻止棒に車両が衝突すると、阻止棒を支持する第2アームが、第1アームに対して車両の進行方向前方側に向かって回動することで、車両の衝突による衝撃を緩和することができる。そして、このように回動した第2アームは、復帰バネの付勢力によって、阻止棒が車両の進行方向に略直交する方向へ延びる状態に復帰することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る車両通行遮断機によれば、阻止棒への車両の衝突を検知すると、能動的に阻止棒を回動させることで阻止棒が車両から受ける衝撃を緩和するので、衝撃による阻止棒や車両の損傷を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を許可する状態での概略平面図である。
【図4】遮断機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】制御部が実行する阻止棒の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】制御部が実行する阻止棒の遠隔操作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】制御部が実行する阻止棒のリリース動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を阻止する状態での概略平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る遮断機の車両衝突時における動作説明図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る遮断機の外観を示す図であって、車両の通行を許可する状態での概略側面図である。
【図12】遮断機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図13】変形例に係る遮断機の構成を示す説明図である。
【図14】回転軸及びプーリの動作説明図である。
【図15】回転軸及びプーリの動作説明図である。
【図16】回転軸及びプーリの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る車両通行遮断機(以下、「遮断機」と略す)の構成について説明する。図1から図3は、第1実施形態に係る遮断機10の外観を示す図であって、図1は車両の通行を阻止する状態での概略平面図、図2は同じく車両の通行を阻止する状態での概略側面図、図3は車両の通行を許可する状態での概略平面図である。遮断機10は、図1及び図2に示すように、高速道路の料金所における車両通行路に面した位置に固定設置された遮断機本体11と、この遮断機本体11から突出して回転駆動される開閉リリース駆動軸12(以下、単に「駆動軸12」と略す)と、この駆動軸12に固定された支持アーム13と、この支持アーム13の先端に取り付けられた長尺な阻止棒14と、遮断機本体11の内部に設けられて駆動軸12を回転駆動する電動機(図に点線で記載)15と、を備えるものである。尚、電動機15は、いわゆるサーボモータであって、不図示のギア伝達機構やベルト伝達機構を介し、その回転が駆動軸12に伝達される。また、遮断機本体11を設置する位置は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0030】
支持アーム13は、図1及び図2に示すように、本体部131と、該本体部131の先端に設けられて阻止棒14を保持するホルダ部132と、を有している。このように構成される支持アーム13は、略水平方向を向いた状態で、その本体部131が駆動軸12に固定されている。これにより、支持アーム13は、駆動軸12の回転に伴って水平面内で回動し、その回動範囲は、図1及び図2に示すように阻止棒14が阻止位置Sにある状態から、図3に示すように阻止棒14が許可位置(リリース位置)Kに位置する状態までとなっている。本実施形態のようにリリース位置を許可位置Kと一致させることで、阻止棒14のリリース動作と開閉動作を同じ動作にすることができ、リリース動作用の機構と開閉動作用の機構とを別々に設ける必要がない分、装置構成を簡略化できるという利点がある。
尚、本実施形態における阻止棒14の阻止位置Sとは、図1及び図2に示すように、阻止棒14が水平状態であって且つ車両進行方向Gに略直交して延びる状態を意味する。一方、本実施形態における阻止棒14の許可位置Kとは、図3に示すように、阻止棒14が水平状態であって且つ車両進行方向Gに略平行して延びる状態を意味する。
【0031】
阻止棒14は、図1及び図2に示すように、その表面に、車両の衝突を検知するための衝突検知センサ(検知部)141が設けられている。この衝突検知センサ141は、いわゆる圧電素子であって、車両の衝突によって阻止棒14に変形が生じると、その機械的変位を電気信号に変換し、制御部に対して検知信号を発する。尚、衝突検知センサ141としては、本実施形態の圧電素子に代えて、いわゆるマイクロスイッチ等を用いてもよい。
【0032】
次に、第1実施形態に係る遮断機10の機能構成について説明する。図4は遮断機10及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機10においては、阻止棒14に設けられた衝突検知センサ141と、駆動軸12の電動機15と、がそれぞれ制御部16に対して電気的に接続されている。さらに、この制御部16には、遮断機10の外部に設けられた操作部17が電気的に接続されている。そして、制御部16は、衝突検知センサ141又は操作部17からの入力に基づいて、電動機15の制御を行うように構成されている。
【0033】
また、遮断機10の外部には、周辺機器として、車両検知器18、路側アンテナA及び上記操作部17がそれぞれ接続された車線サーバ19が設けられている。また、この車線サーバ19は、遮断機10の電動機15に対して電気的に接続されている。
【0034】
車両検知器18は、例えば車両通行路の両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入と退出を検知するように構成されている。即ち、この車両検知器18は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。
【0035】
路側アンテナAは、例えば遮断機10よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信するように構成されている。
そして、車線サーバ19は、車両検知器18及び路側アンテナAからの出力に基づいて、遮断機10の電動機15の制御を行うように構成されている。
【0036】
また、操作部17は、料金所周辺に設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ19に対して阻止棒の開閉要求を出力する。車線サーバ19は、この開閉要求に基づいて電動機15に指令を発することで阻止棒14を開閉させる。なお、操作部17は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0037】
さらに、この操作部17は、上述したように、遮断機10の制御部16に対しても接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」操作することにより送出されるリリース復帰指令が制御部16に入力されるように構成されている。
なお、操作部17は車線サーバ19に接続されておらず、制御部16のみに接続された構成であってもよい。この場合、操作部17を操作することにより出力される開閉要求は制御部16に入力され、該制御部16はこの開閉要求に基づいて電動機15を制御することで阻止棒14の開閉動作を行う。
【0038】
次に、本実施形態の遮断機10の作用について説明する。
車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、図1に示すように、阻止棒14はホームポジションである阻止位置Sにある。
【0039】
始めに、上記のように待機状態の遮断機10を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒14の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒14の開閉動作は、車線サーバ19の制御によって行われる。図5は、車線サーバ19が実行する阻止棒14の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、車線サーバ19は、車両検知器18が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器18からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S11)。その結果、車両検知器18からOFF信号が入力されていると判定した場合(S11:No)、車線サーバ19は、車両検知器18からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器18からからON信号が入力されたと判断した場合(S11:Yes)、車線サーバ19は、路側アンテナAに対して車載器情報の受信指令を送出し(S12)、路側アンテナAはこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0041】
次いで、車線サーバ19は、路側アンテナAが受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S13)。その結果、異常車両であると判断した場合(S13:No)、車線サーバ19は異常処理を行い(S14)、阻止棒14を阻止位置Sに維持する。これにより、車線サーバ19の処理が終了する。
一方、S13にて正常車両であると判断した場合、車線サーバ19は、電動機15に車両通行許可指令を送出し、該電動機15の駆動軸12を正回転させることにより、阻止棒14を阻止位置Sから許可位置Kへと回動させる(S15)。このようにして、遮断機10の阻止棒14は、車両通行許可指令に応じて車両の通行を許可した状態となる。
【0042】
S15の後、車線サーバ19は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器18による車両の検知が終了した結果、車両検知器18からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S16)。そして、車両検知器18から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S16:No)、車線サーバ19は、車両検知器18からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器18からOFF信号が入力されたと判断した場合(S17:Yes)、車線サーバ19は、電動機15に信号を送出し駆動軸12を逆回転させることにより、阻止棒14を許可位置Kから阻止位置Sへと回動させる(S17)。これにより、遮断機10が車両の通行を阻止した状態となる。これにより、車線サーバ19の処理が終了する。
【0043】
次に、通常時における阻止棒14の遠隔操作の処理手順について説明する。図6は、車線サーバ19が実行する阻止棒14の遠隔操作の処理の流れを示すフローチャートである。車線サーバ19は、まず阻止棒14の現在位置を認識する(S21)。すなわち、車線サーバ19は、阻止棒14が図1に示す阻止位置Sから図3に示す許可位置Kの間でいずれの場所に位置しているかを確認する。次に、車線サーバ19は、操作盤の開ボタンが押下されたか否かを判定する(S22)。その結果、開ボタンが押下されたと判断した場合(S22:Yes)、車線サーバ19は、阻止棒14の現在位置が許可位置Kであるか否かを更に判定する(S23)。その結果、阻止棒14の現在位置が許可位置Kではないと判断した場合(S23:No)、車線サーバ19は、電動機15を所定角度だけ正回転させることにより、阻止棒14を現在位置から許可位置Kへと回動させる(S24)。これにより、遮断機10は、車両の通行を許可した状態となる。そして、車線サーバ19は処理を終了する。
【0044】
一方、S23の判定において阻止棒14の現在位置が許可位置Kであると判断した場合(S23:Yes)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま次の工程S25へ進む。また、S22の判定において開ボタンが押下されていないと判断した場合(S22:No)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま次の工程S25へ進む。
【0045】
その後、車線サーバ19は、操作盤の閉ボタンが押下されたか否かを判定する(S25)。その結果、閉ボタンが押下されたと判断した場合(S25:Yes)、車線サーバ19は、阻止棒14の現在位置が阻止位置Sであるか否かを更に判定する(S26)。その結果、阻止棒14の現在位置が阻止位置Sではないと判断した場合(S26:No)、車線サーバ19は、電動機15を所定角度だけ逆回転させることにより、阻止棒14を現在位置から阻止位置Sへと回動させる(S27)。これにより、遮断機10は、車両の通行を阻止した状態となる。そして、車線サーバ19は処理を終了する。
【0046】
一方、S26の判定において阻止棒14の現在位置が阻止位置Sであると判断した場合(S26:Yes)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま処理を終了する。また、S25の判定において操作盤の閉ボタンが押下されていないと判断した場合(S25:No)、車線サーバ19は、電動機15を駆動することなく、そのまま処理を終了する。
【0047】
尚、本実施形態では阻止棒14の開放動作と閉止動作の両方を遠隔操作可能としたが、これに限られず、少なくとも阻止棒14の閉止動作だけが遠隔操作可能であれば足りる。閉止動作だけを遠隔操作可能とする場合、操作盤に閉ボタンだけを設けて操作部17を構成し、車線サーバ19は閉ボタンが押下されたか否かの判定だけを行えばよい。
【0048】
次に、異常時すなわち車両が阻止棒14に衝突した時の阻止棒14のリリース動作について説明する。図7は、制御部16が実行する阻止棒14のリリース動作の処理の流れを示すフローチャートである。制御部16は、まず衝突検知センサ141が車両の衝突を検知したか否か、すなわち衝突検知センサ141からON信号が入力されたか否かを判定する(S31)。その結果、衝突検知センサ141からOFF信号が入力されていると判断した場合(S31:No)、制御部16は、衝撃検知センサからON信号が入力されるまで待機する。一方、衝撃検知センサからON信号が入力されたと判断した場合(S31:Yes)、制御部16は、電動機15を略90°正回転させることにより、阻止棒14を図1に示す阻止位置Sから図3に示す許可位置Kへと回動させる(S32)。このように、阻止棒14への車両の衝突を検知すると、能動的に阻止棒14を回動させることで阻止棒14が車両から受ける衝撃を緩和するので、衝撃による阻止棒14や車両の損傷を未然に防止することができる。また、本実施形態では、阻止棒14が阻止位置Sから回動を開始する方向が、阻止棒14が車両の衝突によって受ける衝撃の作用方向と一致しているので、衝突による衝撃を利用して阻止棒14の回動をよりスムーズに開始させることができる。尚、例え車両の衝突角度が阻止棒14の回動方向と一致しない場合でも、阻止棒14への車両の衝突を検知して能動的に阻止棒14を回動させるので、阻止棒14の回動をスムーズに開始させることができる。
【0049】
その後、制御部16は、操作部17で閉ボタンが押下されたか否かを判定する(S33)。その結果、閉ボタンが未だ押下されていないと判断した場合(S33:No)、制御部16は、ユーザによって閉ボタン押下されるまで待機する。一方、閉ボタンが押下されたと判断した場合(S33:Yes)、制御部16は、電動機15を略90°逆回転させることにより、阻止棒14を図3に示す許可位置Kから図1に示す阻止位置Sへと回動させる(S34)。これにより、遮断機10は、通常の開閉動作を実行可能な状態となる。
【0050】
このように、第1実施形態に係る遮断機10は、通常時における阻止棒14の開閉動作と異常時における阻止棒14のリリース動作とが同一の動作とされ、且つ、阻止棒14の開閉動作が遠隔操作可能とされている。これにより、リリース動作後の阻止棒14を、遠隔操作によってリリース動作前の状態に復帰させることができる。従って、車両の衝突によって阻止棒14がリリース動作を行っても、ユーザである料金所係員が遮断機10のところまで近寄って阻止棒14を許可位置Kから阻止位置Sへと手動で復帰させる必要がない。従って、リリース動作後の阻止棒14をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、リリース動作の復旧作業中に車両の渋滞が発生することを未然に防止することができる。
【0051】
本実施形態のように阻止棒14を能動的に回動させることで、阻止棒14に衝突した車両が低速であって阻止棒14に作用する衝撃が弱い場合でも、確実且つスムーズに阻止棒14を許可位置Kまで回動させることができる。なお、本実施形態では車両の衝突検知により阻止棒14を能動的に回動させるが、安全性向上のためにトルクリミッタを備え、例えば高速車両が衝突した際にはクラッチを切断することにより駆動軸12と電動機15とを切り離し、衝突力により受動的にリリースさせる機構を持たせてもよい。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態に係る遮断機の構成について説明する。図8から図11は、第2実施形態に係る遮断機20の外観を示す図であって、図8は車両の通行を阻止する状態での概略側面図、図9は同じく車両の通行を阻止する状態での概略平面図、図10は遮断機20の車両衝突時における動作説明図、図11は車両の通行を許可する状態での概略側面図である。遮断機20は、図8及び図9に示すように、高速道路の料金所における車両通行路Rに面した位置に固定設置された遮断機本体21と、この遮断機本体21から側方へ突出して回転駆動される開閉リリース駆動軸22(以下、単に「駆動軸22」と略す)と、この駆動軸22に固定された支持アーム23と、この支持アームの先端に取り付けられた長尺な阻止棒24と、遮断機本体21の内部に設けられて駆動軸22を回転駆動する電動機25(図に点線で記載)と、を備えるものである。尚、電動機25は、いわゆるサーボモータであって、不図示のギア伝達機構やベルト伝達機構を介し、その回転が駆動軸22に伝達される。
【0053】
支持アーム23は、図8及び図9に示すように、本体部231と、該本体部231の先端に設けられて阻止棒24を支持するホルダ部232と、を備えるものである。そして、本体部231は、遮断機本体21に取り付けられた第1アーム231aと、この第1アーム231aによって回転可能に支持された回転支軸231bと、この回転支軸231bに固定された第2アーム231cと、一端が第1アーム231aに他端が第2アーム231cにそれぞれ固定された復帰バネ231dと、を有している。
【0054】
このように構成される支持アーム23は、略水平方向を向いた状態で、その本体部231を構成する第1アーム231aが駆動軸22に固定されている。これにより、支持アーム23は、駆動軸22の回転に伴って鉛直面内で回動するようになっている。
また、支持アーム23は、外力の作用を受けると、第2アーム231cが回転支軸231bと一体的に回転することにより、復帰バネ231dの付勢力に抗して車両進行方向G前方側に回動可能となっている。
【0055】
阻止棒24は、図8及び図9に示すように、その表面に、車両の衝突を検知するための衝突検知センサ(検知部)241が設けられている。尚、衝突検知センサ241として圧電素子やマイクロスイッチを用いることができる点、及びその機能については第1実施形態と同じである。
【0056】
次に、第2実施形態に係る遮断機20の機能構成について説明する。図12は、遮断機20の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機20においては、阻止棒24に設けられた衝突検知センサ241と、駆動軸22の電動機25と、がそれぞれ制御部26に対して電気的に接続されている。さらに、この制御部26には、遮断機20の外部に設けられた操作部27が電気的に接続されている。尚、操作部27の構成は第1実施形態と同様である。
【0057】
そして、制御部26は、衝突検知センサ241及び操作部27からの入力に基づいて、電動機25の制御を行うように構成されている。
【0058】
また、遮断機20の外部には、周辺機器として、車両検知器28、路側アンテナA及び上記操作部27がそれぞれ接続された車線サーバ29が設けられている。ここで、車両検知器28,路側アンテナA,及び車線サーバ29の機能は、第1実施形態の車両検知器18,路側アンテナA,及び車線サーバ19と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
次に、第2実施形態に係る遮断機20の作用及び効果について説明する。まず、通常時すなわち車両が阻止棒24に衝突しない時における、阻止棒24の開閉動作の処理手順について説明する。第2実施形態における阻止棒24の開閉動作は、図5に示した第1実施形態の阻止棒14の開閉動作と同じ処理手順である。但し、阻止棒24の阻止位置S及び許可位置Kが、第1実施形態とは異なっている。具体的には、第2実施形態における阻止棒24の阻止位置Sとは、図8に示すように、水平状態であって且つ車両進行方向Gに略直交して延びる状態を意味する。一方、第2実施形態における阻止棒24の許可位置Kとは、図11に示すように、略鉛直に起立した状態であって且つ車両の進行方向Gに略直交する方向へ延びる状態を意味する。
【0060】
次に、第2実施形態において、通常時における阻止棒22の遠隔操作の処理手順について説明する。阻止棒24の遠隔操作の処理手順は、図6に示した第1実施形態の阻止棒14の遠隔操作と同じ処理手順である。但し、前述の開閉動作と同様に、阻止棒24の阻止位置S及び許可位置Kが第1実施形態とは異なっている。
【0061】
次に、第2実施形態において、異常時すなわち車両が阻止棒24に衝突した時の阻止棒24のリリース動作について説明する。阻止棒24のリリース動作の処理手順は、図7に示した第1実施形態の阻止棒14のリリース動作と同じ処理手順である。但し、前述の開閉動作と同様に、阻止棒24の阻止位置S及び許可位置Kが第1実施形態とは異なっている。
【0062】
但し、第2実施形態に係る遮断機20では、図9に示す状態において阻止棒24に車両が衝突すると、図10に示すように、その衝撃で第2アーム231cが復帰バネ231dの付勢力に抗して回動することにより、支持アーム23がその長手方向中間部において折れ曲がった状態となる。これにより車両の衝突による衝撃を緩和することが可能となっている。尚、折れ曲がった支持アーム23は、リリース位置(許可位置)Kへとリリース動作を行う間に、復帰バネ231dの付勢力によって元の真っ直ぐな状態へと復帰する。
なお、本実施例では復帰バネ231dを第一アーム231aと第二アーム231cとで固定する構成となっているが、これに限定されるものでなく、例えば第二アーム231cとホルダ部232を同様の復帰バネで固定する構成であってもよい。また、本実施例のバネ機構によらず、阻止棒が弾性を持った素材で構成され、車両衝突の衝撃を車両進行方向に緩和しながら、リリース位置(許可位置)Kへとリリース動作を行う間に、阻止棒自体の弾性力で元の真っ直ぐな状態へと復帰するものであってもよい。
【0063】
このように、第2実施形態に係る遮断機20によっても、第1実施形態と同様に、車両の衝突によって阻止棒24がリリース動作を行っても、遮断機20から離れた場所でユーザが操作部27を操作することにより、阻止棒24を許可位置Kから阻止位置Sへと容易に復帰させることができる。これにより、リリース動作後の遮断機20をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、復旧作業中に生じる車両の渋滞を低減することができる。
【0064】
また、第2実施形態に係る遮断機20も、第1実施形態と同様に、通常時における阻止棒24の開閉動作と異常時における阻止棒24のリリース動作とが同一の動作とされ、且つ、阻止棒24の開閉動作が遠隔操作可能とされている。これにより、リリース動作後の阻止棒24を、遠隔操作によってリリース動作前の状態に復帰させることができる。従って、リリース動作後の阻止棒24をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、リリース動作の復旧作業中に発生する車両の渋滞を緩和することができる。
【0065】
尚、第1実施形態及び第2実施形態では、車線サーバ19,29が電動機15,25に対して直接的に車両通行許可指令を送出することにより該電動機15,25を駆動させる構成としたが、車線サーバ19,29が制御部16,26に対して車両通行許可指令を送出して、この制御部16,26が車両通行許可指令に基づいて電動機15,25を駆動させる構成であってもよい。即ち、車両通行許可指令が直接的に電動機15,25に入力される構成、あるいは、該車両通行許可指令が制御部16,26を介して間接的に電動機15,25に入力される構成のいずれであるかによらず、電動機15,25が車両通行許可指令に基づいて駆動されることにより、阻止棒14,24が許可位置まで開動作すればよい。
【0066】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、阻止棒14,24を駆動軸12,22廻りに回動させることで阻止位置Sから許可位置Kへと移動させたが、阻止棒14,24の阻止位置Sから許可位置Kへの移動はこの形態に限られず、例えば阻止棒14,24を長手方向にスライド移動させることによって、或いは阻止棒14,24を長手方向に伸縮させることによって、阻止位置Sから許可位置Kへと移動させてもよい。
【0067】
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0068】
例えば、変形例として、図13に示す遮断機50であってもよい。この遮断機50には第一実施形態と同様、阻止棒55が水平方向に回動する構成とされ、阻止棒55を支持するリリース軸122が遮断機本体11内の上面から上端が露出する回転軸52に同軸に固定されている。この回転軸52は、遮断機本体11内において一対のベアリング53,53に支持されることで鉛直軸線O回りに回転可能に設けられている。この回転軸52の回転に伴ってリリース軸122が回転することにより、阻止棒55が、阻止位置Sと許可位置(リリース位置)との間で回動する。なお、以下では、阻止棒55を阻止位置Sから許可位置に向かって回動させるリリース軸122及び回転軸52の回転方向をリリース回転方向T1とし、阻止棒55を許可位置から阻止位置Sに向かって回動させるリリース軸122及び回転軸52の回転方向を復帰回転方向T2とする。尚、本変形例における阻止棒55の阻止位置Sとは、図13に示すように、阻止棒55が水平状態であって且つ車両進行方向(図13で紙面に直交する方向)に略直交して延びる状態を意味する。一方、本変形例における阻止棒55の許可位置とは、図に詳細は示さないが、阻止棒55が水平状態であって且つ車両進行方向に略平行して延びる状態を意味する。
【0069】
そして、この遮断機50では、回転軸52を駆動させるための駆動軸60と、駆動軸60のトルクを回転軸52に伝達するクラッチ70と、回転軸52を回転させる回転機構80と、制御部100とをさらに備えている。
【0070】
駆動軸60は、回転軸52の下方側に配置されており、電動機65と、該電動機65の出力軸65aにカップリング61を介して連結される第一駆動軸62と、減速機63を介して第一駆動軸62に接続された第二駆動軸64とを備えている。
【0071】
電動機65は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータである。この電動機65は正逆回転可能とされており、制御部100の指令に基づいて作動するように構成されている。電動機65が作動した際には、該電動機65の出力軸65aのトルクが第一駆動軸62に伝達され、さらにこのトルクは減速機63により回転数が減少させられた上で第二駆動軸64に伝達される。
【0072】
クラッチ70は、回転軸52と駆動軸60の第二駆動軸64との間に介装されており、第二駆動軸64のトルクを回転軸52に断接可能に伝達する部材である。このクラッチ70は、制御部100の指令に基づいて、第二駆動軸64から回転軸52へのトルクの伝達を可能とする接続状態と、該トルクの伝達を不能とする切断状態とに切り換えるように構成されている。
【0073】
回転機構80は、プーリ81と、ワイヤ82と、ローラ83と、ウェイト84と、ウェイト支持部85と、上部ウェイト検知センサ86と、下部ウェイト検知センサ87とを備えている。
【0074】
プーリ81は、回転軸52に対して鉛直軸線O回りに相対回転可能に設けられた円筒状の部材であって、より詳細には、図14に示すように、該プーリ81の内周面と回転軸52の外周面との間に介装されたベアリング54を介して回転軸52に対して相対回転可能に外嵌されている。
【0075】
ここで、上記回転軸52には、図14に示すように、該回転軸52の外周面から径方向外側に向かって突出する凸部52aが形成されている。また、プーリ81には、回転軸52の凸部52aに対して、阻止棒55をリリース回転方向T1後方側から当接可能な当接部81aが形成されている。
【0076】
ワイヤ82は、図14に示すように、一端側がプーリ81の外周面に対してリリース回転方向T1前方側に向かって繰り出し可能に巻き掛けられている。該プーリ81から繰り出されたワイヤ82は、図14に示すように、遮断機本体11に固定されたローラ83に巻き掛けられて下方に延びており、該ワイヤ82の他端にはウェイト84が固定されている。これによってウェイト84の下方への移動に伴ってプーリ81の外周面からワイヤ82が順次繰り出されることにより、プーリ81がリリース回転方向T1に回転する。
【0077】
ウェイト支持部85は、ウェイト84を下方から支持する機構であって、水平方向に沿って進退可能とされて上面にウェイト84が載置される進退板85aを備えている。この進退板85aは、制御部100によってその進退移動が制御されており、進退板85aが進出状態にある場合にウェイト64を支持する一方、該進退板85aが後退することでウェイト84の支持が解除されるようになっている。
【0078】
上部ウェイト検知センサ86は、ウェイト84がウェイト支持部85に支持されている状態、即ち、ウェイト84が最上位置にあることを検知するセンサであって、該ウェイト84の上面が当接可能なスイッチセンサが用いられている。
【0079】
下部ウェイト検知センサ87は、ウェイト支持部85による支持が解除されたウェイト84が落下して、該ウェイト84が最下位値にあることを検知するセンサであって、ウェイト84の下面が当接可能なスイッチセンサが用いられている。
【0080】
このような変形例の遮断機50において、車両通行路に車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、阻止棒55はホームポジションである阻止位置Sにあり、クラッチ70は接続状態とされている。この状態において、プーリ81は、図14に示すように、回転軸52の凸部52aに対してリリース回転方向T1後方側から当接した初期状態とされている。また、図13に示すように、ウェイト84は最上位置においてウェイト支持部85によって支持された状態にあり、上部ウェイト検知センサ86がON状態とされている。
【0081】
そして、車両を検知した際には、制御部100が電動機65を駆動することで回転軸52及びリリース軸122を回転させて、阻止棒55を阻止位置Sから許可位置まで回動させ、車両の検知が終了した際には、同様に、阻止棒55を許可位置から阻止位置Sまで回転させる。
【0082】
また、車両が阻止棒55に衝突して衝突検知センサ134から制御部100に信号が送出されると、制御部100はクラッチ70に対して信号を送出し、該クラッチ70を切断状態とし、回転軸52を駆動軸60から独立して回転可能とさせる。その後、制御部100は、ウェイト支持板85に信号を送出し、進退板85aを後退させる。これにより、ウェイト84の支持が解除され、該ウェイト84は重力に従って下方に落下する。すると、該ウェイト84に固定されたワイヤ82がプーリ81の外周面から繰り出されることにより、図15に示すように、プーリ81がリリース回転方向T1に回転する。そして、ウェイト84が最下位置にて下部ウェイト検知センサ87により検知されると、プーリ81は初期の状態からリリース回転方向T1に90°回転した状態となる。
【0083】
この際、プーリ81における当接部81aが回転軸82の凸部82aに対してリリース回転方向T1後方側から当接していることにより、図15に示すように、プーリ81のリリース回転方向T1への回転に連動して回転軸52もリリース回転方向T1に同様に90°だけ回転する。これに伴って、回転軸52に固定されたリリース軸122も同様に回転し、阻止棒55が阻止位置Sから許可位置まで回動する。これによって、リリース動作が完了する。
【0084】
そして、リリース動作から阻止棒55を復帰させる際には、例えば料金所係員が図示しない操作部を操作することにより制御部100に復帰信号を送出する。すると、制御部100はクラッチ70を接続状態とする信号を送出する。これによって、クラッチ70が接続状態となると、駆動軸60のトルクが回転軸52に対して伝達される状態となり、駆動軸60の駆動に伴って回転軸52が回転可能となる。
【0085】
次いで、制御部100は、電動機65を逆回転させて、回動軸52及びリリース軸122を復帰回転方向T2に90°回転させることで、阻止棒55を許可位置から阻止位置Sに回動させる、この際、図16に示すように、プーリ81における当接部81aが回転軸52の凸部52aに対してリリース回転方向T1後方側から当接していることにより、回転軸52の復帰回転方向T2への回転に連動してプーリ81も復帰回転方向T2に同様に回転する。これにより、プーリ81が初期状態に復帰すると、該プーリ81がワイヤ82を巻き取ることによりワイヤ82に固定されたウェイト84が上方に移動し、該ウェイト84が最上位置にて上部ウェイト検知センサ86により検知される。
【0086】
続いて、制御部100は、上部ウェイト検知センサ86からの検知信号に基づいて、ウェイト支持部85に対して進退板85aを進出させる信号を送出する。これにより、ウェイト84が再びウェイト支持部85によって支持され、復帰動作が完了し、遮断機50が当初の待機状態となる。これによって、復帰動作の処理が完了する。
【0087】
このように、この変形例における遮断機50においても、第1実施形態と同様に、通常時における阻止棒55の開閉動作と異常時における阻止棒55のリリース動作とが同一の動作とされ、且つ、阻止棒55の開閉動作が遠隔操作可能とされている。これにより、リリース動作後の阻止棒55を、遠隔操作によってリリース動作前の状態に復帰させることができる。従って、本変形例でも、第1実施形態と同様に、リリース動作後の阻止棒55をリリース動作前の状態に復帰させるのに要する時間を短縮することができ、リリース動作の復旧作業中に車両の渋滞が発生することを未然に防止することができるという効果が得られる。尚、本変形例では、第1実施形態と同様に阻止棒55を水平面内で回動させる構成としたが、第2実施形態と同様に阻止棒55を鉛直面内で回動させる構成としてもよい。この場合、阻止棒55の許可位置とは、阻止棒55が鉛直に起立した状態を意味する。
【符号の説明】
【0088】
10,20,50…遮断機(車両通行遮断機)
14,24,55…阻止棒
16,26,100…制御部
18,28…車両検知器
17,27…操作部
134,141,241…衝突検知センサ
K…許可位置(リリース位置)
S…阻止位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通行を阻止する阻止位置と、車両の通行を許可する許可位置、及び車両の衝突による衝撃を解放するリリース位置とへ移動可能に設けられた阻止棒と、
車両の前記阻止棒への衝突を検知して検知信号を発する衝突検知センサと、
該衝突検知センサからの検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へと移動させることによって前記阻止棒にリリース動作をさせる制御部と、
を備えることを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項2】
前記阻止棒は、車両通行許可指令に基づいて前記許可位置まで開動作するとともに、
前記制御部は、前記車両通行許可指令にかかわらず、前記検知信号に基づいて前記許可位置と略同一となる前記リリース位置まで前記阻止棒にリリース動作させることを特徴とする請求項1に記載の車両通行遮断機。
【請求項3】
前記制御部が、リリース復帰指令に基づいて、前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へと移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両通行遮断機。
【請求項4】
前記リリース復帰指令が、前記阻止棒を遠隔操作可能な操作部から発せられることを特徴とする請求項3に記載の車両通行遮断機。
【請求項5】
前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記許可位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項6】
前記阻止棒を前記阻止位置から前記許可位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項7】
前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、水平状態であって且つ車両の進行方向に略平行する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項8】
前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、起立状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項9】
前記阻止棒を支持する支持アームが、
遮断機本体に取り付けられた第1アームと、
該第1アームに対して車両の進行方向前方側に回動可能に取り付けられて、前記阻止棒を保持する第2アームと、
該第2アームが車両の進行方向前方側に回動した際に、前記阻止棒が車両の進行方向に略直交する方向へ延びるように、前記第2アームを付勢する復帰バネと、
を有することを特徴とする請求項8に記載の車両通行遮断機。
【請求項1】
車両の通行を阻止する阻止位置と、車両の通行を許可する許可位置、及び車両の衝突による衝撃を解放するリリース位置とへ移動可能に設けられた阻止棒と、
車両の前記阻止棒への衝突を検知して検知信号を発する衝突検知センサと、
該衝突検知センサからの検知信号に基づいて、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へと移動させることによって前記阻止棒にリリース動作をさせる制御部と、
を備えることを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項2】
前記阻止棒は、車両通行許可指令に基づいて前記許可位置まで開動作するとともに、
前記制御部は、前記車両通行許可指令にかかわらず、前記検知信号に基づいて前記許可位置と略同一となる前記リリース位置まで前記阻止棒にリリース動作させることを特徴とする請求項1に記載の車両通行遮断機。
【請求項3】
前記制御部が、リリース復帰指令に基づいて、前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へと移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両通行遮断機。
【請求項4】
前記リリース復帰指令が、前記阻止棒を遠隔操作可能な操作部から発せられることを特徴とする請求項3に記載の車両通行遮断機。
【請求項5】
前記阻止棒を前記リリース位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記許可位置から前記阻止位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項6】
前記阻止棒を前記阻止位置から前記許可位置へ移動させる駆動源が、前記阻止棒を前記阻止位置から前記リリース位置へ移動させる駆動源と同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項7】
前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、水平状態であって且つ車両の進行方向に略平行する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項8】
前記阻止棒が、水平状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記阻止位置から、起立状態であって且つ車両の進行方向に略直交する方向へ延びる前記リリース位置へと回動することによって移動することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両通行遮断機。
【請求項9】
前記阻止棒を支持する支持アームが、
遮断機本体に取り付けられた第1アームと、
該第1アームに対して車両の進行方向前方側に回動可能に取り付けられて、前記阻止棒を保持する第2アームと、
該第2アームが車両の進行方向前方側に回動した際に、前記阻止棒が車両の進行方向に略直交する方向へ延びるように、前記第2アームを付勢する復帰バネと、
を有することを特徴とする請求項8に記載の車両通行遮断機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−7314(P2012−7314A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142082(P2010−142082)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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