説明

車両遠隔操作装置及びシステム

【課題】遠隔操作を要求した車両ユーザへの結果通知の応答性を向上させた車両遠隔操作装置及びシステムを提供すること。
【解決手段】車両ユーザからの遠隔操作要求に応じて要求された操作を車両に実行させるセンタである車両遠隔操作装置であって、前記車両の車両状態情報を取得する取得手段と、
前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容と前記車両状態情報とを比較し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行可能である場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行できない場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信せずに前記車両ユーザに結果通知を送信により行う操作命令送信制御手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両ユーザからの遠隔操作要求に応じて要求された操作を車両に実施させる車両遠隔操作装置に係り、特に、遠隔操作を要求した車両ユーザへの結果通知の応答性を向上させた車両遠隔操作装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ユーザからの遠隔操作要求に応じて要求された操作を車両に実行させる装置/システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された装置/システムは、ユーザが携帯電話を利用してウィンドウ閉やハザードランプ消灯などの車両操作を遠隔で実行させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−102939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の従来装置/システムは、ユーザが携帯電話を用いてセンタ経由で車両を遠隔操作するものであるが、遠隔操作時にユーザは車両を直接見ることは通常できないため、携帯電話を通じて最後に確認された車両状態と遠隔操作要求時点での車両の状態とが異なっている場合(例えば、別のユーザによって車両ローカルで操作が行われた場合等)、既に実現されている操作が不必要に遠隔操作要求される可能性がある。例えば、既にウィンドウは閉まっている状態であるのに、ウィンドウを閉めるようにとの遠隔操作が要求される、などの可能性がある。
【0006】
上記特許文献1記載の従来装置/システムでは、センタはユーザから要求された遠隔操作が不必要なものであるか否かを判断せずに車両へ送信し、車両もセンタから伝達されたユーザ遠隔操作要求が不必要なものであるか否かを判断せずに実行してしまう(それぞれ特許文献1の段落[0052]及び[0028]参照)。
【0007】
これは、遠隔操作を要求した車両ユーザへの結果通知(この場合、要求された遠隔操作が完了したこと、又は、要求された遠隔操作自体は失敗したが、現在の車両状態はその目的を既に達していること、をユーザへ伝える通知)の応答性を悪くする。また、結果としてセンタからの操作命令により車両が何らの操作も実行しないことから、センタ〜車両間の通信も不必要であった、とも言い得る。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、遠隔操作を要求した車両ユーザへの結果通知の応答性を向上させた車両遠隔操作装置及びシステムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の第一の態様は、車両ユーザからの遠隔操作要求に応じて要求された操作を車両に実行させるセンタである車両遠隔操作装置であって、該車両の車両状態情報を取得する取得手段と、上記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容と上記車両状態情報とを比較し、上記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が上記車両において実行可能である場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行できない場合、上記車両に上記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信せずに前記車両ユーザに結果通知を送信により行う操作命令送信制御手段とを有する車両遠隔操作装置である。
【0010】
この第一の態様において、上記取得手段は、例えば、上記車両において検出され、上記車両遠隔操作装置へ送信された車両状態情報を受信することによって、上記車両状態情報を取得する。
【0011】
また、この第一の態様において、上述の「車両ユーザから要求された遠隔操作内容が車両において既に実現されていて実行できない場合」とは、例えば、ウィンドウが閉まっているという車両状態下において当該ウィンドウを閉めるという内容の遠隔操作が要求された場合、などを指す。
【0012】
この第一の態様によれば、車両遠隔操作装置が遠隔操作の対象となる車両の車両状態を把握しており、操作命令を車両に送信しても意味のない操作については送信が回避されるため、遠隔操作を要求した車両ユーザへ結果通知を発するまでに要する時間が短縮される。
【0013】
なお、この第一の態様において、上記車両遠隔操作装置は、上記取得手段により上記車両の車両状態情報が取得されたときに、該車両状態情報に基づいて上記車両ユーザに実行可能な遠隔操作項目を提示する提示手段を更に有することが好ましい。
【0014】
この場合、上記提示手段は、1)すべての遠隔操作項目を上記車両ユーザに提示すると共に、該すべての遠隔操作項目のうち上記車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目だけを選択可能としてもよく、或いは、2)上記車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目だけを上記車両ユーザに提示してもよい。
【0015】
また、この第一の態様において、上記提示手段は、上記取得手段により取得された上記車両の車両状態情報によって所定期間作動が確認されない操作項目については、故障の可能性があると判断して、実行可能な遠隔操作項目ではないと判断するようにしてもよい。
【0016】
上記目的を達成するための本発明の第二の態様は、車両ユーザからの遠隔操作要求に応じて要求された操作を車両に実行させる車両遠隔操作システムであって、該車両は、車載装置を有し、該車載装置は、センタである車両遠隔操作装置からの操作命令に従って上記車両の操作を実行すると共に、上記車両の車両状態を検出して上記車両遠隔操作装置に通知し、上記車両遠隔操作装置は、上記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容と上記車載装置から取得した上記車両の車両状態情報とを比較し、上記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が上記車両において実行可能である場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行できない場合、上記車両に上記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信せずに前記車両ユーザに結果通知を送信により行う車両遠隔操作システムである。
【0017】
この第二の態様において、上述の「車両ユーザから要求された遠隔操作内容が車両において既に実現されていて実行できない場合」とは、例えば、ウィンドウが閉まっているという車両状態下において当該ウィンドウを閉めるという内容の遠隔操作が要求された場合、などを指す。
【0018】
この第二の態様によれば、車両遠隔操作装置が遠隔操作の対象となる車両の車両状態を把握しており、操作命令を車両に送信しても意味のない操作については送信が回避されるため、遠隔操作を要求した車両ユーザへ結果通知を発するまでに要する時間が短縮される。
【0019】
なお、この第二の態様において、上記車両遠隔操作装置は、上記車載装置から上記車両の車両状態情報が取得されたときに、該車両状態情報に基づいて上記車両ユーザの通信端末装置に実行可能な遠隔操作項目情報を送信することが好ましい。
【0020】
この場合、上記車両遠隔操作装置は、上記車載装置から上記車両の車両状態情報が取得されたときに、1)該車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目が識別可能なようにしてすべての遠隔操作項目情報を上記通信端末装置に送信してもよく、或いは、2)該車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目情報のみを上記通信端末装置に送信してもよい。
【0021】
また、上記車両遠隔操作装置は、上記車載装置から取得された上記車両の車両状態情報によって所定期間作動が確認されない操作項目については、実行可能な遠隔操作項目ではないと判断するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、遠隔操作を要求した車両ユーザへの結果通知の応答性を向上させた車両遠隔操作装置及びシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】車両遠隔操作システムの全体の概略を示す図である。
【図2】遠隔操作対象車両に搭載された本発明の一実施例に係る車載装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施例に係るセンタ(車両遠隔操作装置)の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施例に係る通信端末の概略構成図である。
【図5】本発明の実施例1に係る遠隔操作処理のシーケンス図である。
【図6】本発明の実施例1に係る遠隔操作要求用Webページの画面表示の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る遠隔操作処理のシーケンス図である。
【図8】本発明の実施例2に係る遠隔操作要求用Webページの画面表示の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係る遠隔操作要求用Webページの画面表示の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、ここでは、車両駐車(IGオフ)後に車両からセンタへ通信を利用して車両状態について通知されると共に、この通知は、以降、車両状態に変更が生じた場合にも行われるシステムを前提とする。
【実施例1】
【0025】
図1〜6を用いて、本発明の一実施例(実施例1)に係る車両遠隔操作システムについて説明する。本実施例に係る車両遠隔操作システム100は、センタ(車両遠隔操作装置)が車両状態を予め把握しておき、車両ユーザから要求された遠隔操作が既に実現済みの場合には車両に対して操作命令を発せずに車両ユーザに遠隔操作完了又は失敗通知を発する。
【0026】
まず、本実施例に係る車両遠隔操作について、システム全体の概略を図1を用いて説明する。
【0027】
本実施例に係る車両遠隔操作システム100は、遠隔操作の対象となる車両101と、例えば車両製造業者や自動車小売店や或いは専門業者などにより管理・運営された通信局であるセンタ(遠隔操作装置)102と、車両ユーザ(オーナー)が保持する通信端末103とから構成される。
【0028】
車両ユーザは、通信端末103を利用して、センタ102を通じて車両101に所定の操作を実行させる。また、この遠隔操作は、原則として、車両101がIGオフの状態でないと許容されない。
【0029】
遠隔操作の対象となる車両101は、IGオフされたときに、自車両の車両状態(例えば、ドアがロックされていない、運転席ウィンドウが開いている、助手席ウィンドウが閉まっている、ハザードランプが点灯(点滅)している、など)をセンタ102へ通知する。
【0030】
以降、車両101は、車両状態が(例えばローカル操作により)変更されるたびに、自車両の車両状態をセンタ102へ通知する。
【0031】
通知を受けたセンタ102は、上記車両状態について記憶保持・更新すると共に、車両ユーザの通信端末103に電子メールの形式で送信・通知する。
【0032】
通知を受けた車両ユーザは、通信端末103を利用してセンタ102へ遠隔操作命令(例えば、ドアロック、ハザードランプ消灯、パワーウィンドウ/サンルーフ閉)を送信することができる。これは、センタ102が提供するWebページに通信端末103を利用してアクセスし、ユーザ認証を行った上で、Webページ上にて行われる。
【0033】
センタ102は、車両ユーザから遠隔操作要求を受信すると、記憶保持してある車両101の車両状態に照らして、その要求された遠隔操作が実行可能であるか否かを判断し、実行可能である場合のみ、当該操作の実行を車両101に指示する。指示を受けた車両101は、当該操作を自動で実行する。
【0034】
車両101は、操作が完了すると、その旨センタ102へ報告する。センタ102は、車両101から操作完了の報告を受けると、車両ユーザの通信端末103へ電子メールの形式で遠隔操作が完了した旨の通知を送る。
【0035】
このような本実施例に係る車両遠隔操作システムについて、以下、図2〜6を用いて、構成及び処理の流れをより詳細に説明する。
【0036】
図2は、遠隔操作の対象となる車両101に搭載され、センタ102から指示された操作を実行する車載装置101'の概略構成図である。
【0037】
車載装置101'は、センタ102との間で情報を送受信するための送受信部201と、車載装置101'の各部を制御する制御部202とを有する。
【0038】
車載装置101'は、更に、車両状態を監視すると共に、各種操作を実行して車両状態を切り替える車両状態監視・制御部203を有する。
【0039】
制御部202は、車両101のIGがオフにされると、車両状態監視・制御部203により検出された自車両101の車両状態情報を送受信部201を通じてセンタ102へ通知する。
【0040】
さらに、制御部202は、送受信部201によりセンタ102から車両状態に関する操作命令が受信されると、車両状態監視・制御部203を制御して当該操作を実行させる。
【0041】
図3は、車両ユーザからの要求に応じて車両101(の車載装置101')に要求された操作を実行させるセンタ(車両遠隔操作装置)102の概略構成図である。
【0042】
センタ102は、車載装置101'との間で情報を送受信するための送受信部301と、センタ102の各部を制御する制御部302とを有する。
【0043】
センタ102は、更に、所定のデータをデータベースの形式で記憶保持可能な記憶部303を有する。記憶部303は、任意の記憶媒体でよい。
【0044】
センタ102は、更に、車両ユーザが通信端末103を利用してアクセス可能なWebページを提供すると共に、通信端末103へ電子メールを送信することが可能なインターネットサーバ機能部304を有する。
【0045】
制御部302は、送受信部301によりIGオフされた車両101の車載装置101'から車両状態情報が受信されると、送信元の車両101と関連付けて記憶部303に記憶保持する。すなわち、記憶部303には、各車両101の最新の車両状態に関する情報が記憶保持されていることになる。
【0046】
また、制御部302は、送受信部301により車両101の車載装置101'から車両状態情報が受信されると、インターネットサーバ機能部304を制御してその車両状態情報を車両ユーザに伝達する内容の電子メールを当該車両のオーナーの通信端末103(のメールアドレス)へ送信する。
【0047】
図4は、車両ユーザが遠隔操作を実行するのに利用する通信端末103の概略構成図である。本実施例において、通信端末103は、例えば、インターネット接続が可能な携帯電話である。あるいは、代替例として、PDAやノートブックPCなどのコンピュータ端末であってもよく、或いは、デスクトップPCなどの固定端末であってもよい。
【0048】
通信端末103は、センタ102のインターネットサーバ機能部304から電子メールを受信すると共に、インターネットサーバ機能部304が提供するWebページへアクセスするためのインターネット接続部401と、通信端末103の各部を制御する制御部402とを有する。
【0049】
通信端末103は、更に、車両ユーザが通信端末103に任意の文字列を入力したり、メニュー項目を選択・決定したりするためのユーザ入力部403を有する。
【0050】
通信端末103は、更に、受信した電子メールやアクセスしたWebページをユーザに視覚的に提示する表示部404を有する。本実施例において、表示部404は、例えば、小型のLCD(液晶ディスプレイ)を含む。あるいは、代替例として、ユーザ入力部403及び表示部404が一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
【0051】
各装置がこのような構成を有する本実施例における車両遠隔操作の処理の流れについて、次いで、図5を用いて説明する。図5は、本実施例に係る遠隔操作処理のシーケンス図である。
【0052】
車両101がIGオフされると、車両101の車載装置101'の制御部202は、車両状態監視・制御部203により検出された車両101の車両状態を送受信部201によりセンタ102へ報告する(S501)。この車両状態のセンタ102への通知は、車両101において例えば別のユーザによるローカル操作により車両状態が変更されるたびに適宜行われ、センタ102が常に車両101の最新の車両状態を把握できるようにする。
【0053】
センタ102側では、送受信部301により車両101の車両状態情報が受信されると、制御部302は、その車両状態情報を車両101と関連付けて記憶部303に記憶保持すると共に、インターネットサーバ機能部304によりその車両状態情報を電子メールの形式で車両101のユーザの通信端末103宛に送信する(S502)。
【0054】
このとき、上記電子メールには、遠隔操作要求のためのWebページへのリンクが含まれており、通信端末103においてこの電子メールを受信し、表示部404を通じて確認した車両ユーザは、ユーザ入力部403を利用して当該リンクを選択することにより、ユーザ認証を経て遠隔操作を要求するためにWebページにアクセスすることができる。
【0055】
このように、上記車両状態を車両ユーザに通知する電子メールには、その車両状態を踏まえて何らかの遠隔操作を要求するか否かについての車両ユーザへの問い合わせを含む。
【0056】
車両ユーザが通信端末103から上記遠隔操作要求のためのWebページにアクセスしたとき、センタ102のインターネットサーバ機能部304は、そのWebページにサービスとして提供しているすべての遠隔操作可能項目を提示し、車両ユーザに選択・決定を求める。
【0057】
このようなWebページの表示画面の一例を図6に示す。ここでは、一例として、運転席及び助手席のウィンドウの開閉についての項目が表示されており、他の操作項目については下スクロールにより表示させることができる。実行ボタンはスクロール位置によらず常に表示されており、車両ユーザは、いずれかの所望の操作を選択して実行ボタンを押す(選択する/クリックする)ことにより、センタ102へ当該選択した操作項目の実行を要求することができる。
【0058】
このようにして遠隔操作を所望する車両ユーザにより操作項目が選択され、操作の実行が要求されると(S503)、センタ102は、要求された操作項目を記憶保持されている車両状態情報に照らして、その要求された操作項目が実際に実行可能であるか否かを判断する(S504)。
【0059】
例えば、運転席ウィンドウが閉まっている状態下において、運転席ウィンドウを閉めるという遠隔操作要求は、その操作内容が既に実現されているため、実行不可能と判断される。
【0060】
センタ102の制御部302は、車両ユーザから遠隔操作要求された項目が実行可能でないと判断した場合(S504の「NO」)、車両101(の車載装置101')には何らの命令も送信せず、要求された遠隔操作はその操作内容が既に実現されているために実行に失敗した旨を車両ユーザに伝達する通知を通信端末103に送信する(S505)。
【0061】
他方、センタ102の制御部302は、車両ユーザから遠隔操作要求された項目が実行可能であると判断した場合(S504の「YES」)、送受信部301を利用して、車両101(の車載装置101')へ操作命令を送信する(S506)。
【0062】
次いで、車両101側では、送受信部201によりセンタ102からの操作命令が受信されると、制御部202は、車両状態監視・制御部203に指示して、当該操作項目を実行させる(S507)。
【0063】
操作が完了すると、車載装置101'の制御部202は、送受信部201を通じて、センタ102に操作完了通知を送信する(S508)。
【0064】
次いで、センタ102側では、送受信部301により車両101からの操作完了通知が受信されると、制御部302は、インターネットサーバ機能部304に指示して、車両ユーザが要求した遠隔操作が実行完了した旨を伝達する完了通知メールを生成させ、通信端末103宛に送信させる(S509)。
【0065】
このように、本実施例によれば、車両101から常に最新の車両状態情報がセンタ102へアップロードされており、センタ102が車両101の車両状態を把握しているため、車両ユーザから要求された遠隔操作がその時点での車両状態に照らして実行できないものであるとセンタ102側で判断した場合には車両101へ操作命令は送信されないため、車両101〜センタ102間の通信費が削減されると共に、遠隔操作要求に対する応答としての操作結果の通知を迅速に車両ユーザへ返すことができ、応答性が向上する。
【実施例2】
【0066】
次いで、図7〜9を用いて、本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両遠隔操作システムについて説明する。なお、本実施例に係るシステム構成及び各装置の構成は上記実施例1のものと同一であるため、図示及び詳しい説明を省略する。
【0067】
上述の実施例1は、遠隔操作を要求しようとしている車両ユーザにサービスとして提供しているすべての操作項目を選択肢として提示するものであったが、この点、本実施例は、提示する時点において操作可能な項目か否かを判断するものである。
【0068】
図7は、本実施例に係る遠隔操作処理のシーケンス図である。車両101がIGオフされると、車両101の車載装置101'の制御部202は、車両状態監視・制御部203により検出された車両101の車両状態を送受信部201によりセンタ102へ報告する(S701)。この車両状態のセンタ102への通知は、車両101において例えば別のユーザによるローカル操作により車両状態が変更されるたびに適宜行われ、センタ102が常に車両101の最新の車両状態を把握できるようにする。
【0069】
センタ102側では、送受信部301により車両101の車両状態情報が受信されると、制御部302は、その車両状態情報を車両101と関連付けて記憶部303に記憶保持すると共に、サービスとして提供しているすべての遠隔操作項目の中で受信された車両状態情報に照らして実際に実行可能な操作項目はいずれであるかを判断する(S702)。
【0070】
次いで、制御部302は、インターネットサーバ機能部304により上記車両状態情報を電子メールの形式で車両101のユーザの通信端末103宛に送信する(S703)。
【0071】
このとき、上記電子メールには、遠隔操作要求のためのWebページへのリンクが含まれており、通信端末103においてこの電子メールを受信し、表示部404を通じて確認した車両ユーザは、ユーザ入力部403を利用して当該リンクを選択することにより、ユーザ認証を経て遠隔操作を要求するためにWebページにアクセスすることができる。
【0072】
このように、上記車両状態を車両ユーザに通知する電子メールには、その車両状態を踏まえて何らかの遠隔操作を要求するか否かについての車両ユーザへの問い合わせを含む。
【0073】
車両ユーザが通信端末103から上記遠隔操作要求のためのWebページにアクセスしたとき、センタ102のインターネットサーバ機能部304は、そのWebページに選択可能な遠隔操作項目を提示し、車両ユーザに選択・決定を求める(S703)。
【0074】
このようなWebページの表示画面の例を図8及び9に示す。ここでは、車両101について、運転席ウィンドウが閉まっており、且つ、助手席ウィンドウが開いている、という車両状態であるものとする。図8は、S702において実際に操作可能と判断された操作項目のみを表示する場合の一例を示しており、図9は、サービスとして提供可能なすべての操作項目を表示しつつ、S702において実際に操作可能でないと判断された操作項目については選択できないようにした場合の一例を示している。前者の場合、データ・トラフィックの削減になると共に、表示項目が少なくなる分、ユーザが画面をスクロールさせる量の低減が見込める。後者の場合、車両ユーザは、選択の可否/是非を問わず、サービスとして提供されているすべての操作項目を確認することができる。
【0075】
図8及び9のいずれにおいても、ここでは、一例として、運転席及び助手席のウィンドウの開閉についての項目が表示されており、他の操作項目については下スクロールにより表示させることができる。実行ボタンはスクロール位置によらず常に表示されており、車両ユーザは、いずれかの所望の操作を選択して実行ボタンを押す(選択する/クリックする)ことにより、センタ102へ当該選択した操作項目の実行を要求することができる。
【0076】
このようにして遠隔操作を所望する車両ユーザにより操作項目が選択され、操作の実行が要求されると(S704)、センタ102は、要求された操作項目を記憶保持されている車両状態情報に照らして、車両ユーザへ通知後車両101から受信された最新の車両状態通知も踏まえて、再度、その要求された操作項目が実際に実行可能であるか否かを判断する(S705)。
【0077】
例えば、運転席ウィンドウが閉まっている状態下において、運転席ウィンドウを閉めるという遠隔操作要求は、その操作内容が既に実現されているため、実行不可能と判断される。
【0078】
センタ102の制御部302は、車両ユーザから遠隔操作要求された項目が実行可能でないと判断した場合(S705の「NO」)、車両101(の車載装置101')には何らの命令も送信せず、要求された遠隔操作はその操作内容が既に実現されているために実行に失敗した旨を車両ユーザに伝達する通知を通信端末103に送信する(S706)。
【0079】
他方、センタ102の制御部302は、車両ユーザから遠隔操作要求された項目が実行可能であると判断した場合(S705の「YES」)、送受信部301を利用して、車両101(の車載装置101')へ操作命令を送信する(S707)。
【0080】
次いで、車両101側では、送受信部201によりセンタ102からの操作命令が受信されると、制御部202は、車両状態監視・制御部203に指示して、当該操作項目を実行させる(S708)。
【0081】
操作が完了すると、車載装置101'の制御部202は、送受信部201を通じて、センタ102に操作完了通知を送信する(S508)。
【0082】
次いで、センタ102側では、送受信部301により車両101からの操作完了通知が受信されると、制御部302は、インターネットサーバ機能部304に指示して、車両ユーザが要求した遠隔操作が実行完了した旨を伝達する完了通知メールを生成させ、通信端末103宛に送信させる(S710)。
【0083】
このように、本実施例によれば、上記実施例1に比して、センタ102〜通信端末103間のデータ・トラフィックを削減できると共に、車両ユーザに要求した遠隔操作が失敗した旨を通知する可能性を低減させることができる。
【0084】
以上、本発明の実施例を2つ挙げて説明したが、本発明はこれら実施例の内容に限定されるものではなく、他の様々な実施例も可能である。
【0085】
例えば、車両からセンタへの車両状態の通知に関して、センタは、所定期間経過しても一度も状態変更が通知されてこない操作項目(例えば、所定期間経過しても一度も開閉動作が発生した旨の通知のないウィンドウ、など)については、当該操作項目に機器の故障等の異常が発生しているものと推定して、車両ユーザから当該操作項目に対する遠隔操作が要求されても実行可能でないと判断し、車両に操作命令を送信しないようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、車両遠隔操作装置及びシステムに利用できる。遠隔操作の対象となる車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【符号の説明】
【0087】
100 車両遠隔操作システム
101 車両
101'車載装置
102 センタ(通信局)
103 通信端末
201 送受信部
202 制御部
203 車両状態監視・制御部
301 送受信部
302 制御部
303 記憶部
304 インターネットサーバ機能部
401 インターネット接続部
402 制御部
403 ユーザ入力部
404 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ユーザからの遠隔操作要求に応じて要求された操作を車両に実行させるセンタである車両遠隔操作装置であって、
前記車両の車両状態情報を取得する取得手段と、
前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容と前記車両状態情報とを比較し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行可能である場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行できない場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信せずに前記車両ユーザに結果通知を送信により行う操作命令送信制御手段と、を有することを特徴とする車両遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両遠隔操作装置であって、
前記取得手段により前記車両の車両状態情報が取得されたときに、該車両状態情報に基づいて前記車両ユーザに実行可能な遠隔操作項目を提示する提示手段を更に有する、ことを特徴とする車両遠隔操作装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両遠隔操作装置であって、
前記提示手段は、すべての遠隔操作項目を前記車両ユーザに提示すると共に、該すべての遠隔操作項目のうち前記車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目だけを選択可能とする、ことを特徴とする車両遠隔操作装置。
【請求項4】
請求項2記載の車両遠隔操作装置であって、
前記提示手段は、前記車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目だけを前記車両ユーザに提示する、ことを特徴とする車両遠隔操作装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項記載の車両遠隔操作装置であって、
前記提示手段は、前記取得手段により取得された前記車両の車両状態情報によって所定期間作動が確認されない操作項目については、実行可能な遠隔操作項目ではないと判断する、ことを特徴とする車両遠隔操作装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両遠隔操作装置であって、
前記取得手段が、前記車両の車両状態情報をIGオフされたとき又はローカル操作により車両状態が変更されたときに取得する、ことを特徴とする車両遠隔操作装置。
【請求項7】
車両ユーザからの遠隔操作要求に応じて要求された操作を車両に実行させる車両遠隔操作システムであって、
前記車両は、車載装置を有し、
前記車載装置は、
センタである車両遠隔操作装置からの操作命令に従って前記車両の操作を実行すると共に、
前記車両の車両状態を検出して前記車両遠隔操作装置に通知し、
前記車両遠隔操作装置は、
前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容と前記車載装置から取得した前記車両の車両状態情報とを比較し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行可能である場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信し、前記車両ユーザから送信により要求された遠隔操作内容が前記車両において実行できない場合、前記車両に前記遠隔操作要求に基づく操作命令を送信せずに前記車両ユーザに結果通知を送信により行う、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項8】
請求項7記載の車両遠隔操作システムであって、
前記車両遠隔操作装置は、前記車載装置から前記車両の車両状態情報が取得されたときに、該車両状態情報に基づいて前記車両ユーザの通信端末装置に実行可能な遠隔操作項目情報を送信する、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項9】
請求項8記載の車両遠隔操作システムであって、
前記車両遠隔操作装置は、前記車載装置から前記車両の車両状態情報が取得されたときに、該車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目が識別可能なようにしてすべての遠隔操作項目情報を前記通信端末装置に送信する、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項10】
請求項8記載の車両遠隔操作システムであって、
前記車両遠隔操作装置は、前記車載装置から前記車両の車両状態情報が取得されたときに、該車両状態情報に基づいて実行可能な遠隔操作項目情報のみを前記通信端末装置に送信する、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項記載の車両遠隔操作システムであって、
前記車両遠隔操作装置は、前記車載装置から取得された前記車両の車両状態情報によって所定期間作動が確認されない操作項目については、実行可能な遠隔操作項目ではないと判断する、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか一項に記載の車両遠隔システムであって、
前記車両の車両状態情報をIGオフされたとき又はローカル操作により車両状態が変更されたときに取得する、ことを特徴とする車両遠隔操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−273387(P2010−273387A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187891(P2010−187891)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【分割の表示】特願2005−115981(P2005−115981)の分割
【原出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】