説明

車両部品の支持構造

【課題】車両部品から車体部材に向けて荷重入力したとき、ブラケット部材を適切に変形して衝撃吸収できる車両部品の支持構造を提供すること。
【解決手段】車体部材6に対し、第1車両部品3を支持するブラケット部材10が、車体部材6に固定する車体固定部11と、第1車両部品3を支持する部品支持部12と、車体固定部11と部品支持部12を連結する一対の連結部13,13と、を備えている。そして、一対の連結部13,13は、部品支持部12側であって所定の間隔を有する部品側連結部14bと、車体固定部11側であって部品側連結部14bの間隔よりも拡大した間隔を有する車体側連結部14aと、車体側連結部14aと部品側連結部14bの間に設けられ、第1車両部品3に荷重が入力したときに変形する脆弱連結部14cと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体部材にブラケット部材を介して車両部品を支持する車両部品の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車体フロアにブラケット部材を介してコンソールボックスを支持する車両部品の支持構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-269522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両部品の支持構造では、ブラケット部材の支持剛性が高く、コンソールボックスから車体フロアに向けて荷重入力したときに生じる反力が高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、車両部品から車体部材に向けて荷重入力したとき、ブラケット部材を適切に変形して衝撃吸収することができる車両部品の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車両部品の支持構造は、車体部材に対し、第1車両部品を支持するブラケット部材が、車体部材に固定する車体固定部と、第1車両部品を支持する部品支持部と、車体固定部と部品支持部を連結する一対の連結部と、を備えている。そして、一対の連結部は、部品支持部側であって所定の間隔を有する部品側連結部と、車体固定部側であって部品側連結部の所定の間隔よりも拡大した間隔を有する車体側連結部と、部品側連結部と車体側連結部の間に設けられ、第1車両部品に荷重が入力したときに変形する脆弱連結部と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明にあっては、一対の連結部において、荷重を支持する車体側連結部の間隔を、荷重が入力する部品側連結部の間隔よりも拡大した。このため、その間に設けられた脆弱連結部が変形すると、部品側連結部が一対の脆弱連結部の間に入り込み、脆弱連結部が荷重入力方向に沿って変形するようにブラケット部材の変形方向を規制できる。このため、ブラケット部材を適切に変形して衝撃吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の車両部品の支持構造が適用されたコンソールユニットを示す斜視図である。
【図2】図1に示すコンソールユニットの要部断面説明図である。
【図3】実施例1の車両部品の支持構造のブラケット部を示す斜視図である。
【図4】(a)は図3におけるA−A断面図であり、(b)は図3におけるB−B断面図である。
【図5】比較例の車両部品の支持構造の要部断面説明図である。
【図6】実施例1の車両部品の支持構造が適用されたコンソールユニットに荷重入力があったときの要部断面説明図である。
【図7】実施例1の車両部品の支持構造の変形例を示す要部断面説明図である。
【図8】図7に示す車両部品の支持構造が適用されたコンソールユニットに荷重入力があったときの要部断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車両部品の支持構造を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両部品の支持構造が適用されたコンソールユニットを示す斜視図である。図2は、図1に示すコンソールユニットの要部断面説明図である。図1において矢印FRで示す方は車両前方である。
【0011】
図1に示すように、車両の運転席と助手席の間に配置されたセンターコンソール(コンソールユニット)1は、コンソールケース2と、コンソールボックス(第1車両部品)3と、リッド4と、カップホルダユニット(第2車両部品)5と、ブラケット部材10と、を有している。
【0012】
前記コンソールケース2は、センターコンソール1の外郭を形成するものであり、中空に形成されると共に、下端部2aが車体フロアパネル(車体部材)6に固定されている。
【0013】
前記コンソールボックス3は、上方に開放した樹脂製筐体であり、コンソールケース2の内側に配置され、底面3aがブラケット部材10によって支持されている。ここでは、コンソールボックス3は、コンソールケース2の後部に配置されている。なお、コンソールボックス3の前側には、図示しないシフトノブが設けられる。
【0014】
前記リッド4は、コンソールボックス3の開口を開閉するものであり、コンソールケース2に後端4aが回動可能に取り付けられている。
【0015】
前記カップホルダユニット5は、ホルダケース5aと、カップホルダ部5bと、を有し、コンソールケース1の内側に配置されている。前記ホルダケース5aは、両端が開放した中空ケースであり、コンソールボックス3の下側において、ブラケット部材10に垂下支持されている。前記カップホルダ部5bは、ホルダケース5a内を摺動し、ホルダケース5aの一端から出没可能に設けられている。このカップホルダ部5bは、コンソールボックス3の下側から車両後方に向かって引き出し可能となっている。
【0016】
前記ブラケット部材10は、図2に示すように、車幅方向断面が略ハット状の鋼板材によって形成された、いわゆる門型ブラケットであり、コンソールケース2の内部に配置されている。ここで、コンソールケース2は、ブラケット部材10に隣接している。そして、このブラケット部材10は、車体固定部11と、部品支持部12と、一対の連結部13,13と、を有している。
【0017】
図3は、実施例1の車両部品の支持構造のブラケット部を示す斜視図である。図4は、(a)は図3におけるA−A断面図であり、(b)は図3におけるB−B断面図である。図3において矢印FRで示す方は車両前方である。
【0018】
前記車体固定部11は、ブラケット部材10を車体フロアパネル6に固定する部分であり、車体フロアパネル6に沿った一対の平板鋼板となっている。
【0019】
前記部品支持部12は、コンソールボックス3及びカップホルダユニット5を支持する部分である。この部品支持部12は、コンソールボックス3の底面3aを支持する第一支持部12aと、カップホルダユニット5を第一支持部12aの下側に垂下支持する第二支持部12bと、を有している。前記第一支持部12aは、底面3aに沿った平板鋼板であり、コンソールボックス3を固定するためのネジ(図示せず)が貫通する複数のネジ穴12cが形成されている。前記第二支持部12bは、第一支持部12aの車両前後両端部から下方に延びると共に、先端が互いに反対方向に屈曲されている。なお、この第二支持部12bの高さ寸法は連結部13の高さ寸法よりも短く、垂下支持したカップホルダユニット5が車体フロアパネル6から浮くようになっている(図4(b)参照)。
【0020】
前記一対の連結部13,13は、車体固定部11と部品支持部12を連結する部分である。この一対の連結部13,13は、車幅方向に沿って並ぶと共に、車両上下方向に延びて、その間に内部空間K1を形成する。なお、カップホルダユニット5は、内部空間K1を貫通して配置される。そして、一対の連結部13,13は、車体側連結部14aと、部品側連結部14bと、蛇腹連結部14cと、を有している。
【0021】
前記車体側連結部14aは、車体固定部11側、すなわち車体固定部11から連続した部分であり、平板鋼板からなる。この車体側連結部14aは、部品側連結部14bにおける部品側連結部間隔W2よりも拡大した車体側連結部間隔W1を有している。
【0022】
前記部品側連結部14bは、部品支持部12側、すなわち第一支持部12aから連続した部分であり、平板鋼板からなる。この部品側連結部14bが有する部品側連結部W2は、少なくともカップホルダユニット5と接触しない大きさになっている。
【0023】
前記蛇腹連結部14cは、ブラケット部材10によって支持されたコンソールボックス3に荷重が入力したときに変形する脆弱連結部であり、荷重入力方向に沿って縮む蛇腹状に屈曲している。この蛇腹連結部14cは、車体側連結部14aとの境界である境界折り目Pαからブラケット部材10の内側に入り込み、最初の折り目P1でブラケット部材10の外側に折り返され、折り目P2で再びブラケット部材10の内側に入り込み、折り目P3で再びブラケット部材10の外側に折り返され、境界折り目Pβから部品側連結部14bとなっている。つまり、境界折り目Pαに対して折り目P1はブラケット部材10の内側に位置し、境界折り目Pβに対して折り目P3はブラケット部材10の内側に位置している。
【0024】
さらにこのとき、車体側連結部14aから最初の折り目P1までの寸法、すなわち境界折り目Pαから折り目P1までの寸法S1は、部品側連結部14bから最初の折り目P3までの寸法、すなわち境界折り目Pβから折り目P3までの寸法S2よりも長い寸法に設定している。つまり、ここでは次式(1)が成立する。
S1>S2 ・・・(1)
【0025】
さらに、この蛇腹連結部14cは、コンソールボックス3に荷重入力があった時の変形限界寸法H1を、車体フロアパネル6からブラケット部材10に垂下支持されたカップホルダユニット5までの空間寸法H2よりも短くなるように規定している。ここで、「変形限界寸法」とは、蛇腹連結部14cの最大縮小寸法であり、変形前の蛇腹連結部14cの高さ寸法H3と車体側連結部14aから最初の折り目P1までの寸法S1との和である。また、「空間寸法」とは、車体フロアパネル6から部品支持部12までの寸法H4とカップホルダユニット5の高さ寸法、ここではカップホルダユニット5の高さと第二支持部12bの高さとの合計寸法H5との差である。そして、ここでは次式(2)が成立する。
H4−H5=H2>H1=H3+S1 ・・・(2)
【0026】
次に、作用を説明する。
まず、「車両部品の支持構造の技術課題」の説明を行い、続いて、実施例1の車両部品の支持構造における作用を「衝撃吸収作用」、「部品支持作用」に分けて説明する。
【0027】
[車両部品の支持構造の技術課題]
図5は、比較例の車両部品の支持構造の要部断面説明図である。
【0028】
比較例の車両部品の支持構造では、断面ハット型のいわゆる門型ブラケット100によって、コンソールボックス3の底面3aを、車体フロアパネル6上に支持している。この門型ブラケット100の内側空間Kには、空調ダクトやパーキングブレーキケーブル、そしてカップホルダユニット等が配置されることがある。
【0029】
このような門型ブラケット100は、車体フロアパネル6に固定される車体固定部101と、コンソールボックス3を支持する部品支持部102と、車体固定部101と部品支持部102を連結する一対の連結部103,103と、を備えている。そして、車体固定部101、部品支持部102、一対の連結部103,103は、それぞれ平板鋼板によって形成されている。そのため、この門型ブラケット100は、全体の支持剛性がほぼ均一であり、門型ブラケット100全体で荷重を支えるために支持剛性が高くなっている。これにより、門型ブラケット100の内側空間Kに配置された車両部品を、車両走行時に生じる衝撃から保護することができる。
【0030】
一方、コンソールボックス3は上方に開放した筐体であり、側面3b及び底面3aともに平坦な樹脂製平板によって形成されている。そのため、このコンソールボックス3は、門型ブラケット100同様に全体の支持剛性がほぼ均一であり、コンソールボックス3全体で荷重を支えるために剛性が高くなっている。
【0031】
このように、コンソールボックス3及び門型ブラケット100は共に剛性が高いので、コンソールボックス3の上方から車体フロアパネル6に向けて荷重入力があった場合に、衝撃吸収することができず、反力が高くなってしまうという問題があった。
【0032】
また、荷重入力時の衝撃を吸収するために門型ブラケット100の剛性を弱めると、コンソールボックス3を支持する支持剛性が低下してしまう。この結果、ブラケットとコンソールボックス3との相対位置がずれてしまったり、車両振動にコンソールボックス3が共振してしまったりするおそれがある。
【0033】
したがって、車両部品を支持する部品支持剛性を確保しつつ、荷重入力時には衝撃吸収して反力が高くなることを防止する必要があった。
【0034】
[衝撃吸収作用]
図6は、実施例1の車両部品の支持構造が適用されたコンソールユニットに荷重入力があったときの要部断面説明図である。
【0035】
実施例1のセンターコンソール1に、コンソールボックス3の上方から車体フロアパネル6に向けて荷重入力があると、樹脂製筐体のコンソールボックス3は変形することなく、荷重はブラケット部材10に伝達される。ここで、ブラケット部材10の一対の連結部13,13は、コンソールボックス3に荷重が入力したときに変形する蛇腹連結部14cを有しているため、ブラケット部材10の蛇腹連結部14cが変形する。
【0036】
このとき、蛇腹連結部14cは、境界折り目Pα,Pβ、折り目P1〜折り目P3のそれぞれが折れ曲がり、蛇腹連結部14cの高さが変化する。ここで、一対の連結部13,13において、車体側連結部14aの車体側連結部間隔W1が部品側連結部14bの部品側連結部間隔W2よりも拡大している。そのため、境界折り目Pβよりも境界折り目Pαは車幅方向外側に位置しており、折り目P1及び折り目P3は、連結部13,13の間の内側空間K1に向かって屈曲する。これにより、蛇腹連結部14cは、部品支持部12が一対の連結部13,13の間に入り込むように変形し、蛇腹連結部14cの変形方向が荷重入力方向に沿うように規制される。この結果、荷重入力時に蛇腹連結部14cを適切に変形することができ、衝撃吸収することができる。
【0037】
また、蛇腹連結部14cは、車体側連結部14aから最初の折り目P1までの寸法S1が、部品側連結部14bから最初の折り目P3までの寸法S2よりも長い寸法に設定している。このため、折り目P1及び折り目P3は、連結部13の内側に向かって確実に屈曲することができる。そして、荷重入力方向が車体フロアパネル6に対して厳密な鉛直方向でなくとも、蛇腹連結部14cは、部品支持部12が車体固定部11の間に入り込むように変形することができる。また、この寸法S1を設定することで、蛇腹連結部14cの変形限界寸法H1を規定することができ、荷重入力時のブラケット部材10の縮み高さを管理することができる。
【0038】
そして、部品支持部12が一対の連結部13,13の間に入り込むように蛇腹連結部14cが変形することで、ブラケット部材10に隣接したコンソールケース2と接触することがなく、蛇腹連結部14cのスムーズな変形が阻害されることはない。
【0039】
さらに、ブラケット部材10の蛇腹連結部14cは、変形限界寸法H1が空間寸法H3よりも短くなるように規定している。そのため、部品支持部12の第二支持部12bに垂下支持して、内部空間K内に配置されたカップホルダユニット5が、荷重入力時に車体フロアパネル6と干渉することはない。つまり、蛇腹連結部14cが変形してもカップホルダユニット5と車体フロアパネル6との間には空間が確保される。これにより、蛇腹連結部14cの変形による衝撃吸収が妨げられず、カップホルダユニット5の底づきによる反力発生を防止することができる。
【0040】
そして、実施例1の車両部品の支持構造では、カップホルダユニット5をブラケット部材10に垂下支持して、カップホルダユニット5を内部空間K1内に配置しているため、荷重入力によってブラケット部材10の位置がずれた場合であっても、ブラケット部材10と共にカップホルダユニット5も移動する。つまり、カップホルダユニット5とブラケット部材10との相対的な位置関係は変化しない。これにより、ブラケット部材10とカップホルダユニット5が干渉せず、カップホルダユニット5によって蛇腹連結部14cの変形が阻害されることはなく、スムーズな衝撃吸収を行うことができる。
【0041】
[部品支持作用]
実施例1の車両部品の支持構造では、図2に示すように、センターコンソール1内において、ブラケット部材10によりコンソールボックス3を支持している。このとき、ブラケット部材10は、車体固定部11が車体フロアパネル6に固定され、部品支持部12の第一支持部12aによってコンソールボックス3を支持し、第二支持部12bによってカップホルダユニット5を垂下支持している。
【0042】
ここで、車体固定部11、第一支持部12a、第二支持部12bと、連結部13の車体側連結部14a及び部品側連結部14bは、全て平板鋼板によって形成されている。すなわち、ブラケット部材10において、脆弱連結部である蛇腹連結部14cによって衝撃吸収する範囲を限定し、それ以外の部分は剛性を上げることができる。このため、コンソールボックス3及びカップホルダユニット5を支持するための支持剛性を確保することができ、部品の位置ずれや共振等の問題が発生することが防止できる。
【0043】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両部品の支持構造にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
【0044】
(1) 車体部材(車体フロアパネル)6に対しブラケット部材10を介して第1車両部品(コンソールボックス)3を支持する構造であって、前記ブラケット部材10は、前記車体部材6に固定する車体固定部11と、前記第1車両部品3を支持する部品支持部12と、前記車体固定部11と前記部品支持部12を連結する一対の連結部13,13と、を備えた車両部品の支持構造において、前記一対の連結部13,13は、前記部品支持部12側であって所定の間隔(部品側連結部間隔)W2を有する部品側連結部14bと、前記車体固定部11側であって前記部品側連結部14bの所定の間隔W2よりも拡大した間隔(車体側連結部間隔)W1を有する車体側連結部14aと、前記車体側連結部14aと前記部品側連結部14bの間に設けられ、前記第1車両部品3に荷重が入力したときに変形する脆弱連結部(蛇腹連結部)14cと、を有すること構成とした。
このため、第1車両部品3から車両部材6に向けて荷重入力したとき、ブラケット部材10を適切に変形して衝撃吸収することができる。
【0045】
(2) 前記脆弱連結部は、前記荷重入力方向に沿って縮む蛇腹状に屈曲した蛇腹連結部14cであり、前記蛇腹連結部14cは、前記車体側連結部14aから最初の折り目P1までの寸法S1を、前記部品側連結部14bから最初の折り目P3までの寸法S2よりも長い寸法に設定した構成とした。
このため、各折り目P1,P3を、連結部13,13の間の内側空間Kに向かって確実に屈曲させることができる。このため、荷重入力方向が車体フロアパネル6に対して厳密な鉛直方向でなくとも、部品支持部12が一対の連結部13,13の間に入り込むことができる。また、この寸法S1の長さを適切な値に設定することで、蛇腹連結部14cの変形限界寸法H1を規定することができ、荷重入力時のブラケット部材10の縮み高さを管理することができる。
【0046】
(3) 前記ブラケット部材10の内部空間K1内に第2車両部品(カップホルダユニット)5を配置し、前記脆弱連結部(蛇腹連結部)14cは、荷重入力時の変形限界寸法H1を、前記車体部材6から前記部品支持部12までの寸法H4と前記第2車両部品5の高さ寸法H5の差である空間寸法H2よりも短くなるように規定した構成とした。
このため、第2車両部品5が車体部材6に当接することがなくなり、荷重入力による脆弱連結部14cの変形を第2車両部品5が阻害することを防止できて、確実に衝撃吸収することができる。
【0047】
(4) 前記第2車両部品(カップホルダユニット)5は、前記部品支持部12に垂下支持され、前記ブラケット部材10の内部空間K1内に配置した構成とした。
このため、荷重入力によりブラケット部材10の位置がずれても、ブラケット部材10と第2車両部品5との相対的な位置関係が変わることはなく、ブラケット部材10の円滑な変形が阻害されることを防止できる。
【0048】
(5) 前記ブラケット部材10は、車室内に設けられるコンソールユニット(センターコンソール)1内に配置され、前記第1車両部品は、前記コンソールユニット1に設けられた上方に開放したコンソールボックス3であり、前記第2車両部品は、前記コンソールユニット1に設けられ、前記コンソールボックス3の下側から引き出し可能なカップホルダユニット5である構成とした。
このため、本発明の車両部品の支持構造を適切な位置に適用することができ、高い効果を得ることができる。
【0049】
以上、本発明の車両部品の支持構造を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0050】
例えば、実施例1の車両部品の支持構造では、ブラケット部材10における蛇腹連結部14cにおいて、折り目P1と折り目P3の二個所がブラケット部材10の内側に折りこまれている。しかしこれに限らず、例えば、図7に示す変形例のブラケット部材20のように、折り目P4の一箇所のみがブラケット部材20の内側に折りこまれたものであってもよい。
【0051】
この変形例のブラケット部材20における蛇腹連結部20cでは、車体側連結部20aとの境界である境界折り目Pαからブラケット部材20の内側に入り込み、最初の折り目P4でブラケット部材20の外側に折り返され、部品側連結部20bとの境界である境界折り目Pβに連続している。また、この場合であっても、車体側連結部20aから折り目P4までの寸法S1´を、部品側連結部20bから折り目P4までの寸法S2´よりも長い寸法に設定している。
【0052】
そして、この変形例のブラケット部材20に、コンソールボックス3の上方から車体フロアパネル6に向けて荷重入力があると、図8に示すように、蛇腹連結部20cは、部品支持部21が一対の連結部22,22の間に入り込むように、折り目P4が折れ曲がる。これにより、蛇腹連結部20cの変形方向が荷重入力方向に沿うように規制され、荷重入力時に蛇腹連結部20cを適切に変形することができ、衝撃吸収することができる。
【0053】
また、例えば、実施例1の車両部品の支持構造では、センターコンソール1に適用されているが、これに限らない。例えば、ダッシュパネルにブラケット部材を介してグローブボックスを支持する部分に適用しても良いし、ピラーにブラケット部材を介してピラートリムを支持する部分に適用しても良い。要するに、車体部材にブラケット部材を介して車両部品を支持する車両部品の支持構造であれば、本発明を適用することができる。
【0054】
さらに、実施例1の車両部品の支持構造では、ブラケット部材10が第2車両部品であるカップホルダユニット5を垂下支持し、ブラケット部材10が2つの車両部品を支持する構成になっているが、これに限らない。第2車両部品が車体部材である車体フロアパネル6に支持されていてもよい。この場合であっても、脆弱連結部の変形限界寸法を、第2車両部品とブラケット部材との間に生じる空間寸法よりも短くすることで、荷重入力時に部品支持部と第2車両部品との接触を防止できる。
【符号の説明】
【0055】
1 センターコンソール(コンソールユニット)
2 コンソールケース
3 コンソールボックス(第1車両部品)
3a 底面
5 カップホルダユニット(第2車両部品)
5a ホルダケース
5b カップホルダ部
6 車体フロアパネル(車体部材)
10 ブラケット部材
11 車体固定部
12 部品支持部
12a 第一支持部
12b 第二支持部
13 連結部
14a 車体側連結部
14b 部品側連結部
14c 蛇腹連結部(脆弱連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体部材に対しブラケット部材を介して第1車両部品を支持する構造であって、前記ブラケット部材は、前記車体部材に固定する車体固定部と、前記第1車両部品を支持する部品支持部と、前記車体固定部と前記部品支持部を連結する一対の連結部と、を備えた車両部品の支持構造において、
前記一対の連結部は、前記部品支持部側であって所定の間隔を有する部品側連結部と、
前記車体固定部側であって前記部品側連結部の所定の間隔よりも拡大した間隔を有する車体側連結部と、
前記車体側連結部と前記部品側連結部の間に設けられ、前記第1車両部品に荷重が入力したときに変形する脆弱連結部と、
を有することを特徴とする車両部品の支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載された車両部品の支持構造において、
前記脆弱連結部は、前記荷重入力方向に沿って縮む蛇腹状に屈曲した蛇腹連結部であり、
前記蛇腹連結部は、前記車体側連結部から最初の折り目までの寸法を、前記部品側連結部から最初の折り目までの寸法よりも長い寸法に設定したことを特徴とする車両部品の支持構造。
【請求項3】
請求項2に記載された車両部品の支持構造において、
前記ブラケット部材の内部空間内に第2車両部品を配置し、
前記脆弱連結部は、荷重入力時の変形限界寸法を、前記車体部材から前記部品支持部までの寸法と前記第2車両部品の高さ寸法の差である空間寸法よりも短くなるように規定したことを特徴とする車両部品の支持構造。
【請求項4】
請求項3に記載された車両部品の支持構造において、
前記第2車両部品は、前記部品支持部に垂下支持され、前記ブラケット部材の内部空間内に配置したことを特徴とする車両部品の支持構造。
【請求項5】
請求項4に記載された車両部品の支持構造において、
前記ブラケット部材は、車室内に設けられるコンソールユニット内に配置され、
前記第1車両部品は、前記コンソールユニットに設けられた上方に開放したコンソールボックスであり、
前記第2車両部品は、前記コンソールユニットに設けられ、前記コンソールボックスの下側から引き出し可能なカップホルダユニットであることを特徴とする車両部品の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−20614(P2012−20614A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158469(P2010−158469)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】