説明

車体側部構造

【課題】ストッパ部を構成するドア開放規制手段を配置するために、ピラーの断面を縮小化した場合であっても、ピラーとサイドシルとの交差部における剛性を高めることを可能にする。
【解決手段】車体11のフロアパネル23の車幅外側で前後に延在するサイドシル26と、サイドシル26にピラー下端25が結合されて上下に延在するピラー24と、フロアパネル23上で且つサイドシル26及びピラー24の交差部103に配置され、スライドドア21の開放を規制するストッパ部162を有するドア開放規制手段164と、を備えた車体側部構造であって、ドア開放規制手段164に、サイドシル26若しくはフロアパネル23に結合される第1結合部171と、ピラー24に結合される第2結合部172と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のフロアパネルの車幅外側にサイドシルが配置され、サイドシルにピラー下端が結合されるピラーが配置され、スライドドアの開放を規制するストッパ部を有するドア開放規制手段が配置される車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体側部構造に利用できる技術として、スライドドアとフューエルフラップの同時開放を防止するスライドドア車のフラップオープナシステムがある。
この技術は、フューエルフラップの開放状態において、スライドドアの移動軌跡上に突出するストッパ(ストッパ部)を設け、フューエルフラップの開放時にスライドドアの開放を防止するものである。
【0003】
この車体側部構造に利用できる技術では、スライドドアとフューエルフラップの同時開放を防止することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−207162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の自動車においては、乗降性を向上するためにドア開口の地上からの高さ(開口地上高)を低くした車両が多く、それらの車両はサイドシル断面内あるいはフロアパネル下にスライドレールを配置している。
この構成とした場合、ストッパ(ストッパ部)はフロアパネル上に設けられ、スライドレールに向けて下方側に突出する構成となっている。
【0006】
この場合、フロアパネル上でのレイアウト制約が厳しく、例えばピラーの断面を削ってストッパを配置する等の対策が必要であり、ピラー断面が削られた分、剛性が低下する。
そこで、ピラー断面が削られ、剛性が低下した部分を何らかの手段で補完する技術が望まれる。
【0007】
本発明は、ストッパ部を構成するドア開放規制手段を配置するために、ピラーの断面を縮小化した場合であっても、ピラーとサイドシルとの交差部における剛性を高めることができる車体側部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、
車体のフロアパネルの車幅外側で前後に延在するサイドシルと、サイドシルにピラー下端が結合されて上下に延在するピラーと、フロアパネル上で且つサイドシル及びピラーの交差部に配置され、スライドドアの開放を規制するストッパ部を有するドア開放規制手段と、を備えた車体側部構造であって、ドア開放規制手段に、サイドシル若しくはフロアパネルに結合される第1結合部と、ピラーに結合される第2結合部と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、ピラーに、車幅方向に対向するピラー側壁と、ピラー側壁の前端及び後端から車幅外側に延出するピラー前壁及びピラー後壁と、ピラー前壁及びピラー後壁により形成される車幅方向に開口する断面コ字状部と、ピラー下端側に向かうに連れて断面コ字状部の車体前後方向の幅が徐々に広がる末広がり形状部と、交差部においてピラー後壁若しくはピラー前壁の一部を断面コ字状部内に向けて凹ませた凹部と、を備えドア開放規制手段は、凹部に配置されるとともに、第2結合部は車両前後方向に延びてピラー側壁に結合されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、ピラーに、ピラー側壁とピラー前壁との間に形成された第1稜線部と、ピラー側壁とピラー後壁との間に形成された第2稜線部と、を備え、第2結合部が、第1稜線部若しくは第2稜線部の近傍に結合されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、ドア開放規制手段に、断面コ字状に形成されるブラケットを備え、ブラケットは、ストッパ部の車幅方向一方の面を覆う側面部と、側面部の下端から車幅方向に延在するとともに、サイドシル若しくはフロアパネルに結合される下面部と、側面部の上端から車幅方向に延在して下面部に対向する上面部と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、ストッパ部は側面部に取付けられるとともに、第1結合部は下面部に形成され、第2結合部は上面部に形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、ピラーの下部にシートベルトアンカの取付点を備え、第2結合部は、シートベルトアンカの取付点の近傍に結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車体側部構造に、車体のフロアパネルの車幅外側で前後に延在するサイドシルと、サイドシルにピラー下端が結合されて上下に延在するピラーと、フロアパネル上で且つサイドシル及びピラーの交差部に配置され、スライドドアの開放を規制するストッパ部を有するドア開放規制手段と、を備える。
ドア開放規制手段に、サイドシル若しくはフロアパネルに結合される第1結合部と、ピラーに結合される第2結合部と、を有するので、ドア開放規制手段によって、ピラーとサイドシルとの交差部を補強することができる。これにより、例えばドア開放規制手段をフロアパネルやサイドシル上に配置するために、ピラーの断面が縮小された場合であっても、サイドシル及びピラーの交差部における剛性を補完することができる。
また、別体の補強部材を設ける必要がないため、部品点数やコストを削減することができるとともに、補強部材を配置するスペースを設ける必要もないため、レイアウト上有利となる。
【0015】
請求項2に係る発明では、ピラーに、車幅方向に対向するピラー側壁と、ピラー側壁の前端及び後端から車幅外側に延出するピラー前壁及びピラー後壁と、ピラー前壁及びピラー後壁により形成される車幅方向に開口する断面コ字状部と、ピラー下端側に向かうに連れて断面コ字状部の車体前後方向の幅が徐々に広がる末広がり形状部と、交差部においてピラー後壁若しくはピラー前壁の一部を断面コ字状部内に向けて凹ませた凹部と、を備える。
ドア開放規制手段は、凹部に配置されるとともに、第2結合部は車両前後方向に延びてピラー側壁に結合される。
すなわち、ピラーに、ピラー下端側に向かうに連れて断面コ字状部の車体前後方向の幅が徐々に広がる末広がり形状部が形成されたので、末広がり形状部により、ピラー下端の稜線(ピラー側壁とピラー前壁及びピラー後壁の間の角部)をサイドシル(前後方向)に沿わせて連続させることができる。この結果、サイドシル及びピラーの交差部の剛性の向上を図ることができる。
また、凹部が形成されることで第1稜線部(稜線)を前後方向に沿わせることができない部位においては、第2結合部が前後方向に延びてピラー側壁に結合されることで、ピラー下端における稜線に第2結合部が連続することとなり、稜線を補強することができる。よって、ドア開放規制手段を配置するために凹部を形成した場合であっても、ピラーの剛性を確保することができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、ピラーに、ピラー側壁とピラー前壁との間に形成された第1稜線部と、ピラー側壁とピラー後壁との間に形成された第2稜線部と、を備える。
第2結合部が、第1稜線部若しくは第2稜線部の近傍に結合されるので、第1稜線部若しくは第2稜線部から第2結合部への荷重伝達が円滑に(スムーズに)おこなわれ、交差部における剛性及び強度をより向上できる。
【0017】
請求項4に係る発明では、ドア開放規制手段に、断面コ字状に形成されるブラケットを備える。
ブラケットは、ストッパ部の車幅方向一方の面を覆う側面部と、側面部の下端から車幅方向に延在するとともに、サイドシル若しくはフロアパネルに結合される下面部と、側面部の上端から車幅方向に延在して下面部に対向する上面部と、を有する。
すなわち、ピラーとサイドシルとの間をコ字状断面に形成された剛性及び強度の高い部材であるブラケットでサイドシル若しくはフロアパネル、ピラー間を補強することができる。
【0018】
請求項5に係る発明では、ストッパ部は側面部に取付けられるとともに、第1結合部は下面部に形成されたので、形状自由度及び取付自由度の高い上面部に第2結合部を形成することができ、ブラケットの成形性が向上する。
【0019】
請求項6に係る発明では、ピラーの下部にシートベルトアンカの取付点を備え、第2結合部は、シートベルトアンカの取付点の近傍に結合される。シートベルトアンカの取付けには高い取付剛性が必要とされるため、取付剛性の高い部位に第2結合部を結合することで、第2結合部の取付剛性も向上するとともに、交差部における剛性及び強度をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る車体側部構造が採用された車両を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車体側部構造の分解斜視図である。
【図3】図2に示された車体側部構造の斜視図である。
【図4】図3に示された車体側部構造のシートベルトアンカを外した状態を示す側面図である。
【図5】図3の5部拡大図である。
【図6】図4の6部拡大図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図3に示された車体側部構造のドア開放規制手段の斜視図である。
【図9】図3に示された車体側部構造のドア開放規制手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0022】
図1〜図3に示されたように、車両10は、車体11に、車体上部11Aを覆うルーフパネル15と、このルーフパネル15を支えるルーフアーチ16と、車体側部11Bを覆うサイドパネル17と、このサイドパネル17に設けられた前後のドア開口部18,19と、後のドア開口部19にスライド自在に設けられたスライドドア21と、サイドパネル17の後部に設けられたフューエルリッド22と、車体下部11Cを覆うフロアパネル23と、を備える。
ルーフパネル15、サイドパネル17、スライドドア21及びフロアパネル23は、車室(車内)12を構成する部材である。
【0023】
サイドパネル17は、車室(車内)12側に設けられるインナ骨格27と、車外側に設けられるサイドアウタパネル(外板パネル)28と、サイドアウタパネル28の上下に渡されるセンタピラーアウタ29と、からなる。
【0024】
インナ骨格27は、フロントピラーインナ31、センタピラーインナ32、リヤピラーインナ33、ルーフサイドレール34、及びサイドシルインナ35とからなる。
サイドアウタパネル28は、フロントピラーアウタ(フロントピラー部)41、リヤピラーアウタ(リヤピラー部)43、ルーフサイドレールアウタ(ルーフサイドレール部)44、サイドシルアウタ(サイドシル部)45、及びリヤフェンダ46が形成される。
【0025】
センタピラー24は、センタピラーインナ32と、センタピラーアウタ29と、センタピラースティフナ47と、からなる。
ルーフサイドレール34は、上部がサイドアウタパネル28のルーフサイドレール部44で覆われる。ルーフサイドレール34とセンタピラーインナ32とは、ブラケット(補強ブラケット)48で連結される。
サイドシル26は、サイドシルインナ35と、サイドシル部45と、からなる。
【0026】
ルーフサイドレール34には、スライドドア21用のスライドレール51が配置される。スライドレール51は、レールハウジングロア52と、レールハウジングアッパ53とに格納されている。レールハウジングロア52と、レールハウジングアッパ53とでレール格納部55が構成される。
スライドレール51、レール格納部55(レールハウジングロア52及びレールハウジングアッパ53)でレールハウジングコンポーネント54が構成される。サイドシル26には、ドア開放規制手段164が配置される。
【0027】
ドア開放規制手段164は、ケーブル165を介してフューエルリッド22に連結され、後述するように、フューエルリッド22が開放状態のときに、スライドドア21の開放を規制する機構である。ドア開放規制手段164とケーブル165とでドア開放規制装置56が構成されている。
センタピラー24及びサイドシル26廻りに、乗員を拘束するシートベルト装置57が配置される。
【0028】
以下、車体側部構造を詳細に説明する。
図3〜図9に示されたように、車体側部構造は、車体11のフロアパネル23(図1参照)の車幅外側で前後に延在するサイドシル26と、サイドシル26にピラー下端25が結合されて上下に延在するピラー24と、フロアパネル23上で且つサイドシル26及びピラー24の交差部103に配置され、スライドドア21の開放を規制するストッパ部162を有するドア開放規制手段164と、を備える。
【0029】
ドア開放規制手段164は、ケーブル165を介してフューエルリッド22に連結され、フューエルリッド22が開放状態のときに、スライドドア21の開放を規制する。なお、ドア開放規制手段164と、ケーブル165と、でドア開放規制装置56が構成される。
【0030】
サイドシル26のサイドシルインナ35には、ドア開放規制手段164を結合するサイドシル側取付部116と、ドア開放規制手段164を臨ませるサイドシル側開口部117と、が形成される。
【0031】
ピラー24は、車幅方向に対向するピラー側壁93と、ピラー側壁93の前端93a及び後端93bから車幅外側に延出するピラー前壁94及びピラー後壁95と、ピラー前壁94及びピラー後壁95により形成される車幅方向に開口する断面コ字状部101と、ピラー下端25側に向かうに連れて断面コ字状部101の車体前後方向の幅が徐々に広がる末広がり形状部102と、交差部103においてピラー後壁95若しくはピラー前壁94の一部を断面コ字状部101内に向けて凹ませた凹部104と、を備える。
凹部104は、ピラー後壁95の後部側に位置する。
【0032】
ピラー(センタピラー)24は、ピラー側壁93とピラー前壁94との間に形成された第1稜線部106と、ピラー側壁93とピラー後壁95との間に形成された第2稜線部107と、を備える。
【0033】
ドア開放規制手段164は、基部となるブラケット(支持ブラケット)161と、ブラケット161に揺動自在に取付けるストッパ部(ストッパ)162と、ストッパ部162を回転自在に支持する支持軸163と、ストッパ部162を初期位置に復帰するリターンスプリングと、からなる。
ドア開放規制手段164のストッパ部162とフューエルリッド22(図1参照)にケーブル165が延出される。
【0034】
ドア開放規制手段164は、サイドシル26若しくはフロアパネル23に結合される第1結合部171と、ピラー24に結合される第2結合部172と、を有する。
ドア開放規制手段164は、凹部104に配置されるとともに、第2結合部172は車両前後方向に延びてピラー側壁93に結合される。
また、ドア開放規制手段164は、断面コ字状に形成されるブラケット161を備える。
【0035】
第2結合部172は、第1稜線部106若しくは第2に稜線部107の近傍に結合される。
第1稜線部106は、ピラー24の前の稜線であり、ピラー側壁93の前端93aと一致する。第2稜線部107は、ピラー24の後の稜線であり、ピラー側壁93の後端93bと一致する。
【0036】
図8に示されたように、実線で示される非規制状態では、スライドドア21は自由にスライド開閉可能である。二点鎖線で示される規制状態では、スライドドア21の開放を規制する。すなわち、ドア開放規制手段164は、フューエルリッド22が開状態に有るときに、スライドドア21の係止部21aにストッパ部162を係止してスライドドア21の開放を規制し、開状態のフューエルリッド22との干渉を防止するために、スライドドア21の開放を規制す手段である。
【0037】
図9(a)に非規制状態のドア開放規制手段164が示され、図9(b)に非規制状態のドア開放規制手段164が示される。図9(a)ではスライドドア21の係止部21aにストッパ部162が嵌合していないので、スライドドア21は矢印D1の如くスライド可能である。
【0038】
図1に示されたフューエルリッド22が開けられることで、ケーブル165が矢印c1の如く引っ張られ、ストッパ部162は矢印c2の如く回転し、ドア開放規制手段164は、図9(b)に示された規制状態に移行される。
ドア開放規制手段164の規制状態では、スライドドア21の係止部21aにストッパ部162が入り込んだ状態であるので、スライドドア21を矢印D1の如くスライドするときに、ストッパ部162が係止部21aを係止し、スライドドア21の開放が規制される。
【0039】
図3〜図9に示されたように、ブラケット(支持ブラケット)161は、ストッパ部162の車幅方向一方の面を覆う側面部166と、側面部166の下端166bから車幅方向に延在するとともに、サイドシル26若しくはフロアパネル23に結合される下面部167と、側面部166の上端166aから車幅方向に延在して下面部167に対向する上面部168と、上面部168から延出されたアーム部169と、下面部167から下方に延ばされた縦壁部175と、縦壁部175から車体後方に延ばされた下面延長部176と、下面延長部176から車体上方に延ばされたケーブル支持部177と、を有する。
【0040】
下面部167に第1結合部171が形成され、上面部168に第2結合部172が形成される。
ストッパ部(ストッパ)162は、側面部166に取付けられる。
【0041】
第1結合部171は、下面部167に形成される。第1結合部171は、サイドシル26側の結合部分である。
第2結合部172は、上面部168に形成される。第2結合部172は、ピラー24側の結合部分である。第2結合部172は、シートベルトアンカ181の取付点111の近傍に結合される。
【0042】
図3に示されたように、シートベルト装置57は、乗員を拘束するシートベルト182と、シートベルト182の一端をピラー24側に取付けるシートベルトアンカ181と、シートベルト182の他端が巻き取られるリトラクタ183と、シートベルト182が通過するスルーアンカ184と、車体11側に設けられるバックル(不図示)に嵌合するタング186と、からなる。
【0043】
図3及び図4に示されたように、センタピラーインナ32には、シートベルトアンカ181を取付けるシートベルトアンカ181の取付点111と、リトラクタ183を収納するリトラクタ開口部112と、リトラクタ183を取付けるリトラクタ取付部113と、スルーアンカ184を取付けるスルーアンカ取付部114と、ドア開放規制手段164のブラケット161を固定するピラー側取付部115と、が形成される。
シートベルトアンカ181の取付点111は、ピラー24(センタピラーインナ32)の下部24bに形成される。
【0044】
図1〜図9に示されたように、車体側部構造では、ドア開放規制手段164に、サイドシル26若しくはフロアパネル23に結合される第1結合部171と、ピラー24に結合される第2結合部172と、を有するので、ドア開放規制手段164によって、ピラー24とサイドシル26との交差部103を補強することができる。これにより、例えばドア開放規制手段164をフロアパネル23やサイドシル26上に配置するために、ピラー24の断面が縮小された場合であっても、サイドシル26及びピラー24の交差部103における剛性を補完することができる。
また、別体の補強部材を設ける必要がないため、部品点数やコストを削減することができるとともに、補強部材を配置するスペースを設ける必要もないため、レイアウト上有利となる。
【0045】
車体側部構造では、ピラー24に、車幅方向に対向するピラー側壁93と、ピラー側壁93の前端93a及び後端93bから車幅外側に延出するピラー前壁94及びピラー後壁95と、ピラー前壁94及びピラー後壁95により形成される車幅方向に開口する断面コ字状部101と、ピラー下端25側に向かうに連れて断面コ字状部101の車体前後方向の幅が徐々に広がる末広がり形状部102と、交差部103においてピラー後壁95若しくはピラー前壁94の一部を断面コ字状部101内に向けて凹ませた凹部104と、を備える。
【0046】
ドア開放規制手段164は、凹部104に配置されるとともに、第2結合部172は車両前後方向に延びてピラー側壁93に結合される。
すなわち、ピラー24に、ピラー下端25側に向かうに連れて断面コ字状部101の車体前後方向の幅が徐々に広がる末広がり形状部102が形成されたので、末広がり形状部102により、ピラー下端25の稜線25a(ピラー側壁93とピラー前壁94及びピラー後壁95の間の角部)をサイドシル26(前後方向)に沿わせて連続させることができる。この結果、サイドシル26及びピラー24の交差部103の剛性の向上を図ることができる。
【0047】
また、凹部104が形成されることで第1稜線部(稜線)106を前後方向に沿わせることができない部位においては、第2結合部172が前後方向に延びてピラー側壁93に結合されることで、ピラー下端25における稜線25aに第2結合部172が連続することとなり、稜線25aを補強することができる。よって、ドア開放規制手段164を配置するために凹部104を形成した場合であっても、ピラー24の剛性を確保することができる。
【0048】
車体側部構造では、ピラー24に、ピラー側壁93とピラー前壁94との間に形成された第1稜線部106と、ピラー側壁93とピラー後壁95との間に形成された第2稜線部107と、を備える。
第2結合部172が、第1稜線部106若しくは第2稜線部107の近傍に結合されるので、第1稜線部106若しくは第2稜線部107から第2結合部172への荷重伝達が円滑に(スムーズに)おこなわれ、交差部103における剛性及び強度をより向上できる。
【0049】
車体側部構造では、ドア開放規制手段164に、断面コ字状に形成されるブラケット161を備える。
ブラケット161は、ストッパ部162の車幅方向一方の面を覆う側面部166と、側面部166の下端166bから車幅方向に延在するとともに、サイドシル26若しくはフロアパネル23に結合される下面部167と、側面部166の上端166aから車幅方向に延在して下面部167に対向する上面部168と、を有する。
【0050】
すなわち、ピラー24とサイドシル26との間をコ字状断面に形成された剛性及び強度の高い部材であるブラケット161でサイドシル26若しくはフロアパネル23、ピラー24間を補強することができる。
【0051】
車体側部構造では、ストッパ部162は側面部166に取付けられるとともに、第1結合部171は下面部167に形成されたので、形状自由度及び取付自由度の高い上面部168に第2結合部172を形成することができ、ブラケット161の成形性が向上する。
【0052】
車体側部構造では、ピラー24の下部24bにシートベルトアンカ181の取付点111を備え、第2結合部172は、シートベルトアンカ181の取付点111の近傍に結合される。シートベルトアンカ181の取付けには高い取付剛性が必要とされるため、取付剛性の高い部位に第2結合部172を結合することで、第2結合部172の取付剛性も向上するとともに、交差部103における剛性及び強度をより向上できる。
【0053】
尚、本発明に係る車体側部構造は、図4に示すように、ブラケット161でサイドシル26及びピラー24間を補強したが、これに限るものではなく、ブラケット161でフロアパネル23及びピラー24間を補強するものであってもよい。
【0054】
本発明に係る車体側部構造は、図4に示すように、ピラーはセンタピラー24であったが、これに限るものではなく、フロントピラーやリヤピラーなどのその他のピラーであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る車体側部構造は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0056】
11…車体、11B…車体側部、21…スライドドア、23…フロアパネル、24…ピラー(センタピラー)、24b…ピラーの下部、25…ピラー下端、26…サイドシル、93…ピラー側壁、93a…ピラー側壁の前端、93b…ピラー側壁の後端、94…ピラー前壁、95…ピラー後壁、101…断面コ字状部、102…末広がり形状部、103…サイドシル及びピラーの交差部、104…凹部、106…第1稜線部、107…第2稜線部、111…シートベルトアンカの取付点、161…ブラケット(支持ブラケット)、
162…ストッパ部(ストッパ)、164…ドア開放規制手段、166…側面部、166a…側面部の上端、166b…側面部の下端、167…下面部、168…上面部、171…第1結合部、172…第2結合部、181…シートベルトアンカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロアパネルの車幅外側で前後に延在するサイドシルと、
該サイドシルにピラー下端が結合されて上下に延在するピラーと、
前記フロアパネル上で且つ前記サイドシル及びピラーの交差部に配置され、スライドドアの開放を規制するストッパ部を有するドア開放規制手段と、を備えた車体側部構造であって、
前記ドア開放規制手段は、前記サイドシル若しくは前記フロアパネルに結合される第1結合部と、前記ピラーに結合される第2結合部と、を有することを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記ピラーは、
車幅方向に対向するピラー側壁と、該ピラー側壁の前端及び後端から車幅外側に延出するピラー前壁及びピラー後壁と、
該ピラー前壁及びピラー後壁により形成される車幅方向に開口する断面コ字状部と、
ピラー下端側に向かうに連れて前記断面コ字状部の車体前後方向の幅が徐々に広がる末広がり形状部と、
前記交差部において前記ピラー後壁若しくはピラー前壁の一部を前記断面コ字状部内に向けて凹ませた凹部と、を備え、
前記ドア開放規制手段は、前記凹部に配置されるとともに、前記第2結合部は車両前後方向に延びて前記ピラー側壁に結合されることを特徴とする請求項1記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記ピラーは、前記ピラー側壁とピラー前壁との間に形成された第1稜線部と、前記ピラー側壁とピラー後壁との間に形成された第2稜線部と、を備え、
前記第2結合部は、前記第1稜線部若しくは第2稜線部の近傍に結合されることを特徴とする請求項2記載の車体側部構造。
【請求項4】
前記ドア開放規制手段は、断面コ字状に形成されるブラケットを備え、
前記ブラケットは、前記ストッパ部の車幅方向一方の面を覆う側面部と、該側面部の下端から車幅方向に延在するとともに、前記サイドシル若しくは前記フロアパネルに結合される下面部と、前記側面部の上端から車幅方向に延在して前記下面部に対向する上面部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車体側部構造。
【請求項5】
前記ストッパ部は前記側面部に取付けられるとともに、前記第1結合部は前記下面部に形成され、前記第2結合部は前記上面部に形成されることを特徴とする請求項4記載の車体側部構造。
【請求項6】
前記ピラーは、下部にシートベルトアンカの取付点を備え、
前記第2結合部は、前記シートベルトアンカの取付点の近傍に結合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体側部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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