説明

車体後部ハッチ構造

【課題】
この発明は、ライセンスプレートの視認性を確保しつつも、リヤハッチの開閉操作の操作性を向上させることができる車体後部リヤハッチ構造を提供することことを目的とする。
【解決手段】
庇部8の後端部よりも下方に、LEDランプ10と、該LEDランプ10を覆う透明カバー12とからなる照明部13を配置し、該透明カバー12は、リヤハッチ1を開閉操作するハンドル部14を構成するようにした。これにより、車幅方向において手掛けができる範囲を広げることができるとともに、ライセンスプレート7へ投光された光をハンドル部14の位置を特定するための目印とすることができる。従って、ライセンスプレート7の視認性をLEDランプ10により確保しつつも、リヤハッチ1の開閉操作の操作性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、後面パネルに凹設されたライセンスプレート取付面部と、該取付面部の上端部から後方に突出する庇部と、上記取付面部に投光する照明部とを含む車体後部ハッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、個々の車体を識別するためのライセンスプレートが車体の前端側と後端側とに取付けられている。その中でも、車体の後端側を開閉可能とするためのリヤハッチが備えられたものにおいては、該リヤハッチの後面パネルに凹設された特別な取付面部に上記ライセンスプレートが取付けられているものがある。
【0003】
また、車体後端側のライセンスプレートについては、その視認性を向上させるために、専用のライセンスランプが備えられており、ライセンスプレートが上述のようにリヤハッチに取付けられているものでは、ライセンスランプをもリヤハッチに取付けられているのが一般的である。
【0004】
上述のような、リヤハッチの後面パネルにライセンスプレートが取付けられたものにおいては、リヤハッチを開閉操作するためのハンドル部材がライセンスプレートの近傍に配置されるとともに、このハンドル部材の両側の離間された箇所にライセンスランプが配置され、ライセンスプレートに投光すべくレイアウトされたものが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3083860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、前記特許文献1に開示されているようなリヤハッチでは、その多くがライセンスランプとして電球を採用しており、電球からの発熱によりその近傍の温度は高い状態になる。故に、リヤハッチの開閉操作を行うべくハンドル部材に乗員が手を掛けると、その手触りに熱さを感じてしまう場合がある。これにより、乗員ができるだけ電球の熱を感じない離間した箇所にハンドル部材を設けている。ところが、ハンドル部材の配設位置を、電球の熱を感じない箇所に設定すると、ハンドル部材の幅が制約されてしまうため、これが操作性を低下させる原因となっていた。
【0007】
また、リヤハッチの後面パネルの見栄えを考慮する等の理由から、前記ハンドル部材が車体後方からは露出しない位置に配置されているために、乗員がリヤハッチの開閉操作を行うにあたっては、そのハンドルの位置を手探りで探すという面倒があった。この場合、上述した理由によりハンドル部材の幅が制限されているため、手掛けが可能なハンドル部材の場所を探す作業は余計に面倒なものとなっていた。
【0008】
この発明は、ライセンスプレートの視認性を確保しつつも、リヤハッチの開閉操作の操作性を向上させることができる車体後部リヤハッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の車体後部リヤハッチ構造は、後面パネルに凹設されたライセンスプレート取付面部と、該取付面部の上端部から後方に突出する庇部と、上記取付面部に投光する照明部とを含む車体後部ハッチ構造であって、上記照明部は、上記庇部の上端部よりも下方に配置されるとともに、発光ダイオードからなる光源部と、該光源部を覆う透明カバー部とを含み、該透明カバー部は、上記後部ハッチを開閉操作する手掛け部を構成するものである。
【0010】
この構成によれば、光源部を発光ダイオードとすることにより、周囲が加熱されないため、乗員が開閉操作する際の手掛け部の範囲を広げることができる。
【0011】
さらに、光源部を透明カバー部により覆い、透明カバー部が手掛け部を構成することにより、光源部より透明カバー部を透過してライセンスプレートに投光された光を手掛け部の位置を特定するための目印として利用することができる。従って、手掛け部の位置を手探りで探す必要がなく、手掛け部が光源部によって加熱されていないため、容易に手掛け部に到達することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、前記庇部の上端部よりも下方に、前記後部ハッチによる車体後部の閉状態の保持を解除する解除操作部が配置され、該解除操作部は、前記照明部と車幅方向に重複して位置するものである。
【0013】
この構成によれば、光源部より透明カバー部を透過してライセンスプレートに投光された光を解除操作部の位置を特定するための目印として利用することができる。従って、解除操作部の位置を手探りで探す必要がなく、解除操作部が光源部によって加熱されていないため、容易に解除操作部に到達することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、前記ライセンスプレート取付面部から見て、前記光源部と前記解除操作部とが離間して配置され、上記光源部は車幅方向に沿って複数並設されているものである。
【0015】
この構成によれば、前記光源部と前記解除操作部とを離間して配置することにより、解除操作部が光源から投光される光を遮ることなく確実にライセンスプレートへ投光することができる。
【0016】
さらに、光源部を車幅方向に沿って複数並設することにより、複数の光源部でライセンスプレートを広範囲に投光することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記庇部の上端部よりも下方に突出するガーニッシュ部材が取付けられ、該ガーニッシュ部材の、前記ライセンスプレート取付面部と対向する側に上記照明部が配置されているものである。
【0018】
この構成によれば、照明部を下方に配置することができるため、ライセンスプレートに対する照射角を高くすることができる。結果として、相対的にライセンスプレートを上向きに傾斜させて取付ける取付面部の凹部の深さを浅くできる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記ガーニッシュ部材と、前記照明部とが一体的に形成され、前記後面パネルに取付けられているものである。
【0020】
この構成によれば、予めガーニッシュ部材と照明部とからなるユニットを一体化加工するため、照明部の密閉性が向上する。
【0021】
さらに、ガーニッシュ部材と照明部との間で余分な隙間が発生することを防止できるため、乗員が手掛け部を触った時の感触が損なわれない。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、乗員が開閉操作する際の手掛け部において、手掛けができる範囲を広げることができるとともに、乗員が容易に手掛け部に容易に到達することができるため、ライセンスプレートの視認性を確保しつつも、リヤハッチの開閉操作の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る車体後部を示す正面図であり、自動車の車体後部には、該車体後部に形成された開口部を開閉可能に覆う開閉体としてのリヤハッチ1が取付けられている。
【0024】
前記リヤハッチ1は、主に、図1のA−A線矢視断面図となる図2に示すような、予め所定の形状に成形されたインナパネル2とアウタパネル3とを組み合わせることにより構成され、両パネル2、3の周縁部を接合することにより、両パネル2、3間に空間部4を有して形成されている。
【0025】
また、前記リヤハッチ1を構成するアウタパネル3においては、その後面側に、車体側、即ち空間部4側に沈み込むように形成された凹部が設けられ、この凹部がライセンスプレート取付面部(以下、取付面部という)5に設定されており、該取付面部5内に収まるようにボルト等の所定の取付部材6によりライセンスプレート7が取付けられている。
【0026】
ここで、取付面部5は、下方に向かうにつれて徐々に車体後部側にせり出すように形成された傾斜面となっており、ライセンスプレート7は、上記傾斜面に合わせるようにして傾斜して取付けられている。
【0027】
また、アウタパネル3の、取付面部5よりも上方の部分では、該取付面部5の上端部から後方に向かって斜め上方に突出するように傾斜部が形成され、庇部8を構成している。さらに、該庇部8の上端部には、ガーニッシュ9の一端側が取付けられ、該ガーニッシュ9は、上記庇部8を後方から覆うように斜め下方に突出している。
【0028】
前記ガーニッシュ9の、車体後部側に露出している側と反対側、即ち、取付面部5およびライセンスプレート7と対向する側には、光源部としての発光ダイオードランプ(以下、LEDランプという)10が、基板11を介して、車幅方向に沿って複数取付けられている。これにより、車幅方向の広範囲に渡ってライセンスプレート7を照らすことができる。
【0029】
ガーニッシュ9は、その長手方向に沿って、取付面部5およびライセンスプレート7側の上下でそれぞれ取付凸部9aが突出しており、前記基板11は、この取付凸部9aの間に挟持されるか、または溶着される等してガーニッシュ9に取付けられている。
【0030】
前記LEDランプ10、基板11は、樹脂製の透明カバー12に覆われており、これらLEDランプ10、基板11、透明カバー12により照明部13を構成している。透明カバー12は、庇部8とガーニッシュ9との間に形成されたくさび状の間隙を埋めるように配置され、上下端部それぞれが前記ガーニッシュ9に取付けられている。透明カバー12は、LEDランプ10、基板11等の外周を雨露等から保護しつつ、LEDランプ10から投光される光を透過して、前記ライセンスプレート7に光を到達させる役割を果たす。
【0031】
また、前記庇部8と、透明カバー12と、ガーニッシュ9とにより囲まれ、下方が開放されるよう形成された凹部空間は、リヤハッチ1を開閉操作する際に、乗員が手を掛けるためのハンドル部14となっており、図1に示すようにライセンスプレート7の車幅方向の長さに略相応する幅を有している。
【0032】
乗員が、リヤハッチ1を開操作しようとする場合、乗員は先ずリヤハッチ1による後部開口部の閉状態の保持を適宜のリッドオープナにより解除する。そして、図2の二点鎖線で示すようにハンドル部14の下方から手を掛けて持ち上げることにより、リヤハッチ1を車体ルーフの後端側に接続している不図示のヒンジユニットを中心に上方へ回動させ、車体後部の開口部を開放する。
【0033】
この時、LEDランプ10からライセンスプレート7に対して投光されていることにより、発光熱を伴わないLEDランプの特性からして、透明カバー12、ハンドル部14が加熱されるといった現象は発生しない。
【0034】
従って、従来の如くライセンスランプに電球を用いたもののように、電球からの発熱により乗員の手掛け部分が制約されることはないため、車幅方向において手掛けができる範囲を従来のものよりも広げることができる。
【0035】
さらに、LEDランプ10を透明カバー12により覆い、透明カバー12がハンドル部14を構成することにより、LEDランプ10からは発光熱を伴っていないので、LEDランプ10より透明カバー12を透過してライセンスプレート7に投光された光を目印としてそこに手を伸ばせば容易にハンドル部14に到達することができる。
【0036】
以上より、ハンドル部14によって車幅方向の手掛けができる範囲が広がり、且つ、ハンドル部14の位置を特定するための目印があることにより、ライセンスプレート7の視認性をLEDランプ10により確保しつつも、リヤハッチ1の開閉操作の操作性を向上させることができる。
【0037】
なお、前記LEDランプ10について、これを発光させるための信号線や電力供給線を束ねた制御線群15は図2に示すように基板11から延びて、前記透明カバー12の孔12aから突出しており、アウタパネル3の制御線挿通孔3aを貫通する中空筒状の中空通路16を通じて図示しない車体後部全体の電気系統を統括制御する回路基板に接続されている。ここで、孔12aとアウタパネル3との間において雨露、外気等からLEDランプ10、基板11等を保護するよう中空通路16の筒部によりシールされているのが好ましい。
【0038】
次に、LEDランプ10の配置についてであるが、図3を参照しながら、前記LEDランプ10を含む照明部13を庇部8に取付けて配置した場合(図3(a)参照)と、ガーニッシュ9の、取付面部5およびライセンスプレート7と対向する側に配置した場合(図3(b)参照)とを比較してみる。なお、これら両者を比較するにあたっては便宜上同一の符号を付して説明する。
【0039】
LEDランプ10の役割は、その照射光をライセンスプレート7に投光し、該ライセンスプレート7の視認性を向上させることである。そこで、できるだけライセンスプレート7の下端まで照射光が届くように予め照射角αが定められているのが一般的である。
【0040】
故に、図3(a)の如く庇部8に照明部13を取付けた場合は、所定の角度αを確保すべく上記照射角を高くするために、LEDランプ10の位置をできるだけ車体後端部側へ配置しなければならない。従って、その分庇部8の後端側が車体後部へ大きく突き出してしまうため、庇部8は幅(取付面部5の凹部の深さ)D1を有する。
【0041】
これに対し、図3(b)の如く照明部13をガーニッシュ9に配置した場合は、LEDランプ10とライセンスプレート7とが対向しているため、LEDランプ10はライセンスプレート7から見て高い位置に配されることになる。これにより、ライセンスプレート7に対する高い照射角を確保しつつも、照明部13を図3(a)の場合よりもΔhだけ下方に配置することができるため、LEDランプ10等の設置スペースを確保すべく庇部8の幅D2を広くする必要がない。
【0042】
結果として、図3(b)において、庇部8の幅D2を小さくすることができるため、相対的にライセンスプレート7を上向きに傾斜させて取付ける取付面部5の凹部の深さを浅くすることができる。従って、取付面部5を形成する凹部が目立たなくなり、見栄えを向上させることができる。
【0043】
ところで、ガーニッシュ9、透明カバー12(照明部13)の、アウタパネル3への取付けにあたっては、図4に示すように、透明カバー12とガーニッシュ9とが、溶着等の適宜の接合方法により既に一体化されたハンドルユニットU1を、前記中空通路16を制御線挿通孔3aに一致させるように位置決めした状態で互いを組付ければよい。即ち、ガーニッシュ9の、透明カバー12が取付けられた側に形成された3箇所以上のネジ挿入口9b、ネジ孔ボード9cに形成されたネジ孔9dを対応するアウタパネル3のネジ孔3bに位置合わせをした状態で、図5に示すように、ネジ17でネジ止めすることにより、アウタパネル3に対するガーニッシュ9、照明部13の組み付けが行われるようになっている。
【0044】
このように、ガーニッシュ9と照明部13(透明カバー12)とを予め一体加工することにより、これらの間で余分な隙間が発生することを防止できる。従って、照明部13の密閉性が向上する。また、乗員がハンドル部14を触った時、隙間により無意味な凹凸を感じることがないため、ハンドル部14に接触した際の感触が損なわれない。
【0045】
なお、照明部13をガーニッシュ9に取付けるものにおいては、必ずしも透明カバー12を、庇部8とガーニッシュ9との間のくさび状の空間を埋める形状とすることに限定されない。例えば、図6に示すように、庇部28との間に間隙Gが形成されるような形状の透明カバー32を備えることもできる。
【0046】
例えば、間隙Gの幅を指の太さに合わせて設定すれば、リヤハッチ21の開閉操作において乗員が指を入れた時、指の位置が安定し、開閉操作の操作性を向上させることができる。
【0047】
また、この発明に係る車体後部ハッチ構造においては、リヤハッチの開閉操作を行うにあたって手を掛けるために設けられたハンドル部のみならず、リヤハッチによる後部開口部の閉状態の保持を解除し、アンロック操作するためのリッドオープナの位置をも、照明部による光を目印として特定させることができる。
【0048】
そこで、図7乃至図10とともに、リヤハッチ101による後部開口部の閉状態を解除するためのリッドオープナを設けた実施形態について説明する。なお、後述する実施形態において作用等が上述したものと同様のものについては詳述を略することとする。
【0049】
具体的には、図7の断面図、図7のB線矢視図である図8のように、前記リッドオープナに対応するマイクロスイッチ118が、庇部108の上端部よりも下方に配置されるものであり、マイクロスイッチ118は、ライセンスプレート107に投光する照明部113と車幅方向で重複して位置するものである。
【0050】
マイクロスイッチ118は、透明カバー112の一部から、庇部108と、透明カバー112と、ガーニッシュ109とにより囲まれ形成されたハンドル部114の凹部空間に向けて押ボタン118aが突出するように配置されており、スイッチ本体118bが透明カバー112に固着されている。
【0051】
さらに、LEDランプ110を発光させるための信号線や電力供給線を束ねた制御線群115は、上述した実施形態と同様に、図7に示すように基板111から延びて、前記透明カバー112の孔112aから突出しており、アウタパネル103の制御線挿通孔103aを貫通し、マイクロスイッチ118の制御線群118cと共通の中空通路116を通じて、車体後部全体の電気系統を統括する回路基板に接続されている。
【0052】
これにより、乗員は、LEDランプ110より透明カバー112を透過してライセンスプレート107に投光された光を目印として、そこに手を伸ばせば容易にマイクロスイッチ118に到達することができる。
【0053】
また、マイクロスイッチ118の操作を行った後は、該マイクロスイッチ118がハンドル部114の領域内に配置されているため、一旦手を離すことなくそのままハンドル部114を把持してリヤハッチ101を持ち上げればよい。
【0054】
ところで、前記ライセンスプレート取付面部105から見た図8の他、図9、図10に示すように、前記LEDランプ110は、前記マイクロスイッチ118の近傍ではあるものの、車幅方向において若干離間して複数並設されている。
【0055】
これにより、マイクロスイッチ118がLEDランプ110から投光される光を遮ることがないため、図7に示すように、LEDランプ110の光を確実にライセンスプレート107へ投光することができる。
【0056】
さらに、LEDランプ110を車幅方向に沿って複数並設しているため、ライセンスプレート107の車幅方向に渡って広範囲に投光することができる。
【0057】
また、車体前後方向においては両者を重ねて、またはできるだけ近づけて配置することができるため、特に、図7に示すように、照明部113がガーニッシュ109に取付けられている場合は、ガーニッシュ109が車体後方へ突出する幅D3をできるだけ小さくすることができる。結果として、アウタパネル103の、庇部108よりも上方の外面と、ガーニッシュ109の外面との間に連続性を持たせ、車体後方からの見栄えを向上させることができる。
【0058】
ところで、ガーニッシュ109、透明カバー112(照明部113)の、アウタパネル103への取付けにあたっては、図10に示すように既に一体化されたハンドルユニットU2とすることにより、上述した実施形態と同様に照明部113の密閉性が向上し、ハンドル部114に触った時の感触が損なわれない。
【0059】
ここで、リッドオープナを備えるものにおいては、必ずしもリッドオープナとLEDランプとを車幅方向において離間して配置しなくてもよい場合もある。
【0060】
例えば、図11に示すリヤハッチ201のように、LEDランプ210の直ぐ下方に、透明カバー212と同質の透明の第1押ボタン219を配置し、該第1押ボタン219の押動により、内側の凹部にLEDランプ210が嵌まるようにし、第1押ボタン219が押されていない初期位置では、照明部213を構成する透明カバー212の一部から、第1押ボタン219がハンドル部214の凹部空間に向けて突出するようにしてもよい。
【0061】
具体的には、第1押ボタン219が押動されることにより、該押ボタン219に形成された押圧片219aが、マイクロスイッチ218のマイクロスイッチ本体218bから突出する第2押ボタン218aを押動し、アンロック操作が行えるようにしたものである。
【0062】
これにより、第1押ボタン219自身がライセンスプレート207(取付面部205)に対して投光しているため、乗員は、ライセンスプレート207が最も明るい位置を目印とすることができ、第1押ボタン219の位置をより明確に特定することができる。
【0063】
なお、透明カバー212と第1押ボタン219との間には、上下方向に伸縮自在なシール部材220を設けることが好ましい。
【0064】
ところで、上述した実施形態においては、リッドオープナをマイクロスイッチとしたが、これに必ずしも限定されない。例えば、マイクロスイッチに代えて、乗員の手指の接触を検出する検出ヘッドとなるタッチセンサを備えるものに適用することができる。また、図12に示すように、車体側に固定されたストライカ319と係合し得るラッチ320をリヤハッチ301側に備え、外側からストライカ319に対するラッチ320の係合、非係合状態を切り換えることができる解除レバー318aを有する解除機構318を備えるものに適用することもできる。
【0065】
そこで、図12とともに、前記ストライカ319、ラッチ320との間の係合を解除するための解除機構318を有する車体後部リヤハッチ構造の実施形態について説明する。
【0066】
上記リヤハッチ301は、車体側に固定されたストライカ319と係合し得るラッチ320と、ハンドル操作によって外側からストライカ319に対するラッチ320の係合、非係合状態を切り換えるための解除レバー318aを有する解除機構318とを備えている。そして、解除レバー318aは、伝達ロッド318bを介して、ラッチ320に連結されている。
【0067】
アウタパネル303には、解除機構318を取付けるためのハンドル取付用開口部303aが、インナパネル302には、ラッチ320を取付けるためのラッチ取付用開口部302aがそれぞれ形成されている。
【0068】
また、この実施形態の場合、アウタパネル303と、ガーニッシュ309とにより囲まれた凹部空間がハンドル部314となり、アウタパネル303と、ガーニッシュ309とにより下方が開放されており、これがハンドル開口部314aを構成している。
【0069】
解除機構318は、そのハンドル本体318cが上記ハンドル取付用開口部303aを外側から挿通した上で、アウタパネル303に取付けられている。そして、解除レバー318aは、ハンドル部314内に位置し、上記ハンドル開口部314aに臨むように配設されている。
【0070】
解除レバー318aをラッチ320に連結し、ラッチ320のアンロック状態において、解除レバー318aの操作によって外側からストライカ319に対するラッチ320の係合/非係合状態を切り換える伝達ロッド318bは、その上端部がハンドル本体318cの内側端部に連結されている。
【0071】
そして、解除レバー318aを上下方向へ回動操作することにより、伝達ロッド318bを上下動させて、ストライカ319に対するラッチ320の係合/非係合状態を切り換えることができるようになっている。
【0072】
さらに、この実施形態においては、前記ハンドル部314上方の、庇部308とガーニッシュ309との間のくさび状の空間に、透明カバー312に覆われたLEDランプ310を備えるものとし、照明部313を構成している。解除レバー318aは上端位置で二点鎖線で示すように透明カバー312と当接することによりその回動が規制されている。
【0073】
これにより、LEDランプ310からライセンスプレート307(取付面部305)へ投光される光でライセンスプレート307の視認性が確保されるとともに、リヤハッチ301を開閉操作するにあたっては、透明カバー312、ハンドル開口部314aを透過する光を目印にして、乗員はハンドル部314、解除レバー318aの位置を容易に特定することができる。
【0074】
また、解除レバー318aを有する解除機構318とすることにより、信号線、電力供給線を必要とするのはLEDランプ310のみであり、専用の制御線郡315のみを配線すればよいので、透明カバー312内側の限られたスペースであっても、その配線レイアウトを簡素化することができる。
【0075】
また、LEDランプ310は、上述した実施形態と同様に、ライセンスプレート取付面305から見た図13(図12のC線矢視図)に示すように、LEDランプ310と解除レバー318aとが離間するように配置されており、LEDランプ310は車幅方向に沿って複数並設されている。
【0076】
なお、その他の作用効果については、最初の実施形態と同様である。
【0077】
上述した各実施形態に係るLEDランプ10、110、210、310において、投光されるライセンスプレートの印字部の視認性をより向上させるには、できるだけ白色光に近いものを使用することが好ましく、この場合、例えば白色発光ダイオードを用いることができる。
【0078】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の後部ハッチは、リヤハッチ1、21、101、201、301に対応し、
以下同様に、
後面パネルは、アウタパネル3、103、303に対応し、
手掛け部は、ハンドル部14、114、214、314に対応し、
解除操作部は、マイクロスイッチ118、マイクロスイッチ218、第1押ボタン219、解除レバー318aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明の実施形態に係る車体後部を示す正面図。
【図2】図1におけるA−A線矢視断面図。
【図3】LEDランプを含む照明部を、(a)庇部に取付けて配置した場合と、(b)ガーニッシュの、ライセンスプレート取付面部およびライセンスプレートと対向する側に配置した場合とを比較説明するための対比図。
【図4】透明カバーとガーニッシュとが一体化されたハンドルユニットを示す斜視図。
【図5】図4における、ガーニッシュのネジ挿入口、ネジ孔ボードのネジ孔と、アウタパネルのネジ孔と、ネジとの組付けを説明するための分解斜視図。
【図6】この発明の別の実施形態に係る車体後部ハッチ構造を示す断面図であり、間隙を形成すべく透明カバーを設けた場合を示す図。
【図7】この発明のさらに別の実施形態に係る車体後部ハッチ構造の断面図であり、マイクロスイッチを透明カバーに固着した場合を示す図。
【図8】図7のB線矢視図。
【図9】図7に示す実施形態に係る透明カバーを備えた場合の、リヤハッチを含む車体後部を示す正面図。
【図10】図7に示す透明カバーとガーニッシュとが一体化されたハンドルユニットを示す斜視図。
【図11】この発明のさらに別の実施形態に係る車体後部ハッチ構造を示す断面図であり、LEDランプの直ぐ斜め下前方に、透明の第1押ボタンを配置した場合を示す図。
【図12】この発明のさらに別の実施形態に係る車体後部ハッチ構造を示す側面図あり、外側からストライカに対するラッチの係合、非係合状態を切り換えることができる解除レバーを有する場合を示す図。
【図13】図12のC線矢視図。
【符号の説明】
【0080】
1、21、101、201、301…リヤハッチ
3、103、303…アウタパネル
5、105、305…ライセンスプレート取付面部
8、28、108、308…庇部
9、109、309…ガーニッシュ
10、110、210、310…発光ダイオードランプ
12、32、112、212、312…透明カバー
13、113、213、313…照明部
14、114、214、314…ハンドル部
118、218…マイクロスイッチ
219…第1押ボタン
318a…解除レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面パネルに凹設されたライセンスプレート取付面部と、
該取付面部の上端部から後方に突出する庇部と、
上記取付面部に投光する照明部とを含む車体後部ハッチ構造であって、
上記照明部は、上記庇部の上端部よりも下方に配置されるとともに、
発光ダイオードからなる光源部と、
該光源部を覆う透明カバー部とを含み、
該透明カバー部は、上記後部ハッチを開閉操作する手掛け部を構成する
車体後部ハッチ構造。
【請求項2】
前記庇部の上端部よりも下方に、前記後部ハッチによる車体後部の閉状態の保持を解除する解除操作部が配置され、
該解除操作部は、前記照明部と車幅方向に重複して位置する
請求項1記載の車体後部ハッチ構造。
【請求項3】
前記ライセンスプレート取付面部から見て、前記光源部と前記解除操作部とが離間して配置され、
上記光源部は車幅方向に沿って複数並設されている
請求項2記載の車体後部ハッチ構造。
【請求項4】
前記庇部の上端部よりも下方に突出するガーニッシュ部材が取付けられ、
該ガーニッシュ部材の、前記ライセンスプレート取付面部と対向する側に上記照明部が配置されている
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の車体後部ハッチ構造。
【請求項5】
前記ガーニッシュ部材と、前記照明部とが一体的に形成され、前記後面パネルに取付けられている
請求項4記載の車体後部ハッチ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−1524(P2007−1524A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186507(P2005−186507)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】