説明

車内の床下収納構造

【課題】収納品のサイズに柔軟に対応することが可能な車内の床下収納構造を提供する。
【解決手段】車内の床下収納構造は、車内16の床に形成された収納部18と、収納部の一対の対向壁18A間に架設される複数の支軸体36と、それらによって支持され、変形可能な収納材34と、少なくとも1つの支軸体36をスライド移動可能とするスライド機構23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内の床下収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車内の床下空間が荷物等の収納品を収納するために利用されることがある。例えば、床下に収納トレイを形成し、当該収納トレイ内に仕切り板にて複数に区画できるようにした技術がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−114104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の上記技術では、仕切り板が固定であるため、様々なサイズの収納品に柔軟に対応することができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、収納品のサイズに柔軟に対応することが可能な車内の床下収納構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る車内の床下収納構造は、車内の床下収納構造であって、前記車内の床に形成された収納部と、前記収納部の一対の対向壁間に架設される複数の支軸体と、前記複数の支軸体によって支持され、変形可能な収納材と、前記複数の支軸体のうち少なくとも1つの支軸体を、前記複数の支軸体の並び方向に沿ってスライド移動可能とするスライド機構と、を備える。
【0006】
この発明によれば、少なくとも1つの支軸体をスライド移動させることで他の支軸体との距離を変位させることができるので、これにより収納材が形成する収納スペースの大きさを収納品のサイズに応じて変えることができる。
【0007】
(2)第2の発明は、第1の発明の車内の床下収納構造であって、前記スライド機構によりスライド移動可能な支軸体をスライド移動範囲内の各位置で固定する固定機構を備える。
この発明によれば、支軸体を各位置で固定することができるので、収納品をより安定的に収納することができる。
【0008】
(3)第3の発明は、第2の発明の車内の床下収納構造であって、前記スライド機構は、前記一対の対向壁の少なくとも一方側に設けられ前記並び方向に沿って延びるガイド部と、前記スライド移動可能な支軸体の端部側に設けられ前記ガイド部に着脱可能な被ガイド部とを有して構成され、前記固定機構は、前記一対の対向壁の少なくとも一方側において前記並び方向に沿って設けられた複数の係合部と、前記被ガイド部に設けられ前記各係合部と係合可能な被係合部とを有して構成される。
【0009】
この発明によれば、スライド移動のための被ガイド部に、各位置での固定のための被係合部が設けられているので、支軸体を操作することで支軸体のスライド移動と固定とを容易に行うことができる。
【0010】
(4)第4の発明は、第3の発明の車内の床下収納構造であって、前記被ガイド部は前記ガイド部に対して上下方向に着脱可能とされ、前記被係合部は、上方向に変位されることで前記係合部との係合が解除される構成である。
【0011】
この発明によれば、床下収納構造において、支軸体のスライド移動と固定との切り替えを上下方向の操作で行うことができるため、操作性が高い。
【0012】
(5)第5の発明は、第2の発明の車内の床下収納構造であって、前記スライド機構は、前記一対の対向壁の少なくとも一方側に設けられ前記並び方向に沿って延びるガイド部と、当該各ガイド部にガイドされる被ガイド部とを有して構成され、前記固定機構は、前記各ガイド部に回動可能に設けられ回動端側で前記支軸体を保持する回動部材と、前記収納部側に前記並び方向に沿って複数設けられ、前記回動端側が前記回動部材の回動軸よりも低い所定の回動位置において前記支軸体が他の支軸体に近づく方向への前記回動部材の回動を規制する第1規制部と、を有して構成される。
【0013】
この発明によれば、回動端側が回動軸よりも高くなるように回動部材を回動させることで支軸体をスライド移動可能とすることができる。一方、回動端側が回動軸よりも低くなるように回動部材を回動させることで支軸体を収納部に対して固定することができる。従って、被ガイド部をガイド部から着脱させることなく、支軸体のスライド移動と固定との切り替えを行うことができる。
【0014】
(6)第6の発明は、第5の発明の車内の床下収納構造であって、前記固定機構は、更に、前記被ガイド部に設けられ、前記所定の回動位置において前記支軸体が他の支軸体に近づく方向への前記回動部材の回動を規制する第2規制部を有する。
この発明によれば、収納部側の第1規制部と被ガイド部の第2規制部とによって支軸体をより確実に各位置に固定することができる。
【0015】
(7)第7の発明は、第2〜第6のいずれか一つの発明の車内の床下収納構造であって、前記収納部を塞ぐ蓋部材を備え、前記固定機構は、前記蓋部材と前記支軸体との接触によって当該支軸体のスライド移動を規制する構成を有する。
この発明によれば、蓋部材と支軸体との接触によって支軸体のスライド移動を規制することができる。
【0016】
第8の発明は、第1〜第7のいずれか一つの発明の車内の床下収納構造であって、前記収納部を塞ぐ蓋部材を備え、前記スライド機構は、前記蓋部材の下方に位置する構成である。
【0017】
この発明によれば、スライド機構を蓋部材により隠すことができるため、スライド機構の存在により意匠性が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、収納品のサイズに柔軟に対応することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図8を参照しつつ説明する。
【0020】
(1)収納ユニットの構成
図1は本実施形態の床下収納構造を有する収納ユニット12を車両10の斜め後方から見た斜視図である。以下、車両10のフロント側を「前(図中のX正方向)」、左側を「左(図中のY正方向」、天井側を「上(図中のZ正方向)」として各構成を説明する。
【0021】
同図に示すように、車両10は、例えばミニバンやステーションワゴンなどであって、後部ドア(図示省略)を有し、後部ドアとリアシート14との間に荷室16(本発明の「車内」の一例)が確保されている。後部ドアを開放すると荷室16が後方に開口し、この開口部から荷物(図示せず)を搬入できる。そして、収納ユニット12は、この荷室16の床下に配置され、小型荷物等(以下、「収納品W」という)を収納するために使用される。
【0022】
図2は収納ユニット12を分解した斜視図であり、図3は収納ユニット12の側断面図である。同図に示すように、収納ユニット12は、収納部18、ネットユニット20、デッキボード22(本発明の「蓋部材」の一例)、スライド機構23、及び、固定機構25を備える。ネットユニット20は、スライド機構23により収納部18内においてスライド移動可能されることで各収納品Wのサイズに応じて収納スペースを広狭できるようになっている。また、固定機構25によりネットユニット20をスライド移動範囲内の各位置において固定することができる。
【0023】
(1−1)収納部の構成
図3に示すように、収納部18は、荷室16の床下において箱状に形成され、開口側の内周壁部に荷室16の床面16Aよりも低い第1段差部24が形成されている。この第1段差部24は、デッキボード22が収納部18を閉塞する際に当該デッキボード22の周縁部を係止する。また、このときスライド機構23及び固定機構25を含む床下収納構造全体がデッキボード22の下に隠され、また、デッキボード22の上面は床面16Aと面一になるように設計されており、高い意匠性が確保されている。なお、デッキボード22には上面側に取っ手部22Aが設けられている(図2参照)。
【0024】
また、収納部18は、左右内壁部18A,18A(本発明の「収納部の対向壁」の一例)それぞれに上記段差部24よりも更に低い第2段差部26が形成され、この各第2段差部26にガイド部28が形成されている。具体的には、各ガイド部28は、前後方向(本発明の「並び方向」の一例)に延び、且つ、上方に開放したガイド溝(例えば断面円形)である。また、各ガイド部28はその開放端に、奥側(下側)よりも径小な径小部30,30を有する。
【0025】
図4、図5はガイド部28を示した斜視図である。各ガイド部28は、上記ガイド溝の断面形状に対応した形状の穴を有する係合部32を複数有する。具体的には、各係合部32は円形状を有し、ガイド部28の全長に亘って所定間隔ごとに形成されている。
【0026】
(1−2)ネットユニットの構成
ネットユニット20は、図1,2に示すように、矩形状のネット材34(本発明の「収納材」の一例)と、当該ネット材34を支持する一対の支軸体36,36とを備える。具体的には、ネット材34はロープ等を網目状にしたものである。一対の支軸体36,36は前後方向に並べられ、各支軸体36は左右内壁部18A,18A間に架けられるように配置され、一方の支軸体36にネット材34の前端部が支持され、他方の支軸体36にネット材34の後端部が支持されている。
【0027】
図6はネットユニット20を分解した斜視図である。各支軸体36は例えば樹脂製または金属製であって筒形を有し、ネット材34の前後端部の環状部分に通される。また、各支軸体36の左右両端には、例えば樹脂製または金属製の被ガイド部材38,38が装着される。本実施形態では、各被ガイド部材38に突出部38Aが形成されており、この突出部38Aが支軸体36の端部に挿入される。この際、支軸体36と両被ガイド部材38とは圧入や接着剤等によって相対的に回転不能とされている。このように回転不能とすれば、両被ガイド部材38が独立に回転することを防止でき、ネットユニット20のスライド移動を円滑に行うことができる。
【0028】
また、被ガイド部材38は、支軸体36の軸方向に沿った側面に被ガイド部40が一体的に設けられている。この被ガイド部40は、上記軸方向に直交する方向に延び、上記ガイド部28のガイド溝に対応した断面形状をなす。また、被ガイド部40は、その一端部が、被ガイド部材38の本体から突出しており、この突出部分が、上記収納部18側の係合部32に係合可能な被係合部42とされている。更に、被ガイド部材38には、一側面にマグネット44が設けられている。
【0029】
(1−3)スライド機構の構成
スライド機構23は、ガイド部28と被ガイド部40とで構成される。支軸体36を収納部18に対してスライド可能とするためには、図4に示すように、被ガイド部材38の被ガイド部40を、ガイド部28に沿わせるように挿入する。これにより、被ガイド部材38は、ガイド部28に沿って自由にスライド移動可能となり、一対の支軸体36,36の間隔を変位させてネット材34が形成する収納スペースを広狭させることができる。なお、ガイド部28は例えば樹脂製で形成され撓み変形可能とされているため、上記径小部30,30を撓み変形させつつ被ガイド部材38をガイド部28から上下方向に着脱できるようになっている。
【0030】
(1−4)固定機構の構成
固定機構25は、係合部32と被係合部42とで構成される。支軸体36を収納部18に対して固定するためには、図5に示すように、被ガイド部材38の被ガイド部40を、ガイド部28から取り外し、被係合部42をガイド部28の係合部32に係合させる。これにより、被ガイド部材38を、収納部18及びガイド部28に対して固定することができる。
【0031】
(2)収納ユニットの使用態様
図7は収納ユニットの一使用態様を示す斜視図であり、図8は他の使用態様を示す側断面図である。
【0032】
上述したように、本実施形態の収納ユニット12は、一対の支軸体36,36を収納部18に対してスライド可能であり、また、各位置で固定することもできる。従って、図1に示すように、一対の支軸体36,36の離間距離を変更し各位置で固定することで各収納品Wのサイズに合った収納スペースを形成することができ、例えば車両10の走行中に収納品Wが転がったりすることを抑制することができる。
【0033】
また、例えば収納品Wが卵パックなど衝撃に弱いものである場合には、図7に示すように、ネット材34が収納部18の底面から十分に浮いた状態になるまで一対の支軸体36,36を離間させて固定する。これにより、収納品Wを衝撃から守るようにして収納することができる。
【0034】
更に、図8に示すように、一方の支軸体36を固定し、他方の支軸体36をスライド可能としてもよい。このようにすれば、収納品Wの自重及びサイズに応じて一対の支軸体36,36の離間距離を自由に変位させることができる。なお、本実施形態では、図3に示すように被ガイド部材38とデッキボード22の下面との間にクリアランスが確保されているため、デッキボード22で収納部18を塞いでも被ガイド部材38が自由にスライド移動可能になっている。また、一対の支軸体36,36が接近したときには、被ガイド部材38に設けられたマグネット44によって磁気的に連結されるようになっている。従って、ネット材34を、上端側を閉じた袋のように利用することもできる。
【0035】
(3)本実施形態の効果
本実施形態によれば、少なくとも1つの支軸体36をスライド移動させることで他の支軸体36との距離を変位させることができるので、これによりネット材34が形成する収納スペースの大きさを収納品Wのサイズに応じて変えることができる。
【0036】
また、固定機構25により、支軸体36を各位置で固定することができるので、収納品Wをより安定的に収納することができる。また、スライド移動のための被ガイド部40に、各位置での固定のための被係合部42が設けられているので、支軸体36を操作することで支軸体36のスライド移動と固定とを容易に行うことができる。
【0037】
更に、床下収納構造において、支軸体36のスライド移動と固定との切り替えを上下方向の操作で行うことができるため、操作性が高い。また、スライド機構23をデッキボード22により隠すことができるため、スライド機構23の存在により荷室16内の意匠性が低下することを抑制することができる。
【0038】
<実施形態2>
図9から図11は実施形態2を示す。図9,図10はスライド機構50及び固定機構52を拡大した斜視図であり、図11はスライド機構50及び固定機構52の断面図である。前記実施形態1との相違は、主としてスライド機構の構成にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0039】
(1)スライド機構及び固定機構の構成
上記実施形態1のスライド機構23は、収納部18側のガイド部28がガイド溝であり、支軸体36側の被ガイド部40がガイド部28によりガイド可能な形状であった。これに対して、実施形態2のスライド機構50は、収納部18側に設けたガイド部54が突条のレール部であり、支軸体36の端部に設けられる被ガイド部56がガイド部54によりガイド可能なガイド溝である構成になっている。
【0040】
具体的には、一対のガイド部54は、収納部18の各第2段差部26において前後方向に配列され、互いに分割された複数の分割レール部から構成されている。各分割レール部は例えば樹脂製であって、側面に係止部54Aを有する。また、各分割レール部同士間には凹状の係合部58が形成されている。
【0041】
各支軸体36の左右両端には、例えば樹脂製または金属製の被ガイド部材60,60が相対回転不能に装着される。各被ガイド部材60には、支軸体36の軸方向に沿った側面に被係合部62が突出するように設けられており、また、この突出方向(上記軸方向に直交する方向)に沿って被係合部62を貫くようにガイド溝としての被ガイド部56が形成されている。被係合部62は収納部18側の係合部58に係合可能である。被ガイド部56はガイド部54の断面形状に対応した形状を有し、下側内面に上記係止部54Aに係止する被係止部56Aが設けられており、ガイド部54に対して上下方向に着脱可能とされている。
【0042】
(2)収納ユニットの使用態様
(2−1)スライド可能時
支軸体36を収納部18に対してスライド可能とするためには、図9に示すように、被ガイド部材60の被ガイド部56を、ガイド部54に沿わせるように挿入する。これにより、被ガイド部材60は、ガイド部54に沿って自由にスライド移動可能となり、一対の支軸体36,36の間隔を変位させてネット材34が形成する収納スペースを広狭させることができる。
【0043】
(2−2)固定時
固定機構52は、係合部58と被係合部62とで構成される。支軸体36を収納部18に対して固定するためには、図10に示すように、被ガイド部材60の被ガイド部56を、ガイド部54から取り外し、被係合部62を収納部18側の係合部58に係合させる。これにより、被ガイド部材60を、収納部18及びガイド部54に対して固定することができる。
【0044】
このような構成であっても、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、ガイド部54が突状のレール部なので、被ガイド部38がガイド溝である上記実施形態1に比べて埃などの異物が詰まりにくく、また、清掃しやすい。
【0045】
<実施形態3>
図12から図14は本発明の実施形態3を示す。図12はスライド機構70及び固定機構72を拡大した斜視図であり、図13、図14はスライド機構70及び固定機構72の側面図である。前記実施形態1との相違は、主としてスライド機構及び固定機構の構成にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0046】
(1)スライド機構及び固定機構の構成
各第2段差部26には前後方向に延びる溝状の一対のガイド部74が形成されている。また、各左右内壁部18A,18Aには凹所75が前後方向に沿って複数形成されている。そして、各凹所75の前後壁面が第1規制部73として機能する。なお、各凹所75は、前壁面が上下方向に沿いつつ全体として扇状に形成されており、次述アーム部材80の一端側が円滑に進入できるようになっている。
【0047】
各ガイド部74には、当該ガイド部74によってガイドされる一対の被ガイド部材76が着脱可能または着脱不能に設けられている。各被ガイド部材76は、その下面に、ガイド部74に挿入される被ガイド部78が設けられている。また、各被ガイド部材76には、アーム部材80が回転可能に設けられており、このアーム部材80(本発明の「回動部材」の一例)の一端部80A側(本発明の「回動端側」の一例)に支軸体36の端部が保持されている。これにより、支軸体36は、アーム部材80の回動軸82を中心に揺動可能とされ、図12に示すようにアーム部材80の一端部80Aは、回動軸82よりも低い位置になると、収納部18側の凹所75に進入するよう設計されている。
【0048】
また、各被ガイド部材76には第2規制部84が設けられている。この第2規制部84は、アーム部材80の一端部80Aが回動軸82よりも低い位置になると、当該アーム部材80が保持する支軸体36が他の支軸体36に近づく方向に、アーム部材80が回動することを規制する。具体的には、アーム部材80が、その一端部80Aを回動軸82の下に垂下した位置(以下、「固定回動位置」という 本発明の「所定の回動位置」の一例)になったときに、アーム部材80の他端部80Bと接触する。
【0049】
そして、スライド機構70は、ガイド部74と被ガイド部78とで構成される。固定機構72は、アーム部材80、第1規制部73、第2規制部84で構成される。なお、支軸体36には、ユーザが把持するためのストラップ90が設けられている。
【0050】
(2)収納ユニットの使用態様
まず、図12及び図13では、アーム部材80が上記固定回動位置にある。このとき、例えば後方の支軸体36を保持するアーム部材80は、ネット材34の自重等(収納品Wがあるときはその重量を含む)によって前方の支軸体36に近づく方向(図13の白抜き矢印F1)に力を受ける。しかし、このとき、第1規制部73及び第2規制部84によってアーム部材80の回動が規制される。これにより、被ガイド部材76は収納部18に対して固定される。
【0051】
後方の支軸体36を収納部18に対してスライド可能とするためには、ユーザがストラップ90を把持して後方の支軸体36を白抜き矢印F2方向に持ち上げる。そうすると、図14に示すように、アーム部材80が凹所75から抜けて第2段差部26に横たわるようになり、これにより、被ガイド部材76は収納部18に対してスライド可能になる。
【0052】
(3)本実施形態の効果
この実施形態によれば、アーム部材80の一端部80Aが回動軸82以上に高くなるようにアーム部材80を回動させることで支軸体36をスライド移動可能とすることができる。一方、一端部80Aが回動軸82よりも低くなるようにアーム部材80を回動させることで支軸体36を収納部18に対して固定することができる。従って、被ガイド部78をガイド部74から着脱させることなく、支軸体36のスライド移動と固定との切り替えを行うことができる。
【0053】
また、収納部18側の第1規制部73と被ガイド部78の第2規制部84とによって支軸体36をより確実に各位置に固定することができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
【0055】
(1)上記実施形態では、収納ユニット12を車両10の荷室16床下に配置したが、本発明はこれに限られない。車内であれば、例えば乗車室の床下やセダンタイプの車両のトランクの床下などに配置してもよい。
【0056】
(2)上記実施形態では、係合部32はガイド部28内に形成したが、本発明はこれに限られない。例えばガイド部28の側方に前後方向に並べて設けてもよい。但し、上記実施形態の構成であれば、ガイド部28と係合部32との配置スペースを狭くすることができる。
【0057】
(3)上記実施形態において、ネット材34の代わりに、シート材であってもよい。ネット材34やシート材は伸縮性を有するものがより好ましい。
【0058】
(4)上記実施形態では、ネットユニット20は支軸体36を一対だけ有していたが、本発明はこれに限られない。3本以上であってもよい。
【0059】
(5)上記実施形態では、一対の支軸体36が前後方向に並ぶようにネットユニット20を収納部18に配置し、前後方向にスライド可能としたが、本発明はこれに限られない。例えば支軸体36が左右方向に並ぶようにネットユニット20を収納部18に配置し、左右方向にスライド可能としてもよい。
【0060】
(6)上記実施形態では、マグネット44によって一対の支軸体36,36を連結したが、本発明はこれに限られない。例えば一対の支軸体36,36に係合部と被係合部を設けて互いに連結するようにしてもよい。
【0061】
(7)上記実施形態では一対の支軸体36,36の両方がスライド可能であったが、本発明はこれに限られない。いずれか一方だけをスライド可能としてもよい。
【0062】
(8)上記実施形態の固定機構25,52、72に代えて、或いは、固定機構25,52、72に加えてデッキボードを利用して支軸体36を収納部18に対して固定する構成としてもよい。例えば図15では、デッキボード92の下面側が、水直面と傾斜面とからなる溝92Aが複数並べられて断面ノコギリ刃状に形成されている。一方、被ガイド部材93の上面も上記デッキボード92の溝92Aに対応した形状になっている。従って、被ガイド部材93は上記傾斜面に案内されるようにしてデッキボード92の下面の各溝92Aに進入して固定される。
【0063】
図16では、デッキボード94の下面側が、複数の円弧状の溝94Aが並べられた形状に形成されている。一方、被ガイド部材95の上面も上記デッキボード94の溝94Aに対応した形状になっている。従って、被ガイド部材95は上記円弧面に案内されるようにしてデッキボード94の各溝94Aに進入して固定される。
【0064】
更に、図17では、デッキボード96の下面にゴムなどの弾性体98を貼り付けて、この弾性体98によって被ガイド部材97を押さえ込んで固定するようになっている。
【0065】
(9)図18には上記実施形態2の変形例4が示されている。上記実施形態2との相違点は、被ガイド部材60の被係合部62が係合される係合部(実施形態2の係合部58)の形状、ガイド部(実施形態2のガイド部54)の形状にある。
【0066】
具体的には、係合部100は、その底面の左右方向の中央部分に突出部102が形成されている。そして、この突出部102が、支軸体36の固定時に、被ガイド部材60の一対の被係合部62の間に挟まれる。これにより、被ガイド部材60を左右方向において安定的に固定することができる。
【0067】
ガイド部104の各分割レール部は、例えば樹脂製であって、側面に係止部104Aを有する。更に、各分割レール部の前後部分は、その左右端にテーパ面106,106が形成されることで先端先細り状になっている。これにより、支軸体36のスライド移動可能時には、被ガイド部材60を、分割レール部の前後部分との干渉を抑制して円滑にスライド移動させることができる。
【0068】
(9)図19には上記実施形態2の変形例5が示されている。但し、ネット材34は省略されている。上記実施形態2との相違点は、被ガイド部材60の被係合部62が係合される係合部(実施形態2の係合部58)の形状、ガイド部(実施形態2のガイド部54)の形状にある。
【0069】
具体的には、ガイド部110は、実施形態2のガイド部54とは異なり、全長に亘って連続的につながったレール形状をなす。ガイド部54は、例えば樹脂製であって、側面に係合部110Aを有する。但し、この係合部110Aは、所定間隔ごとに分割されており、その分割部分には、ガイド部54の左右位置に一対の凹形状の係合部112,112が形成されている。
【0070】
このような構成によれば、ガイド部110が連続的につながった形状をなすので、支軸体36のスライド移動可能時には、被ガイド部材60を円滑にスライドさせることができる。また、支軸体36の固定時には、被ガイド部材60の一対の被係合部62が、ガイド部110を挟むようにして、それぞれ係合部110Aの分割部分に挿入されつつ各係合部112と係合する。これにより、被ガイド部材60を前後左右方向において安定的に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の床下収納構造を有する収納ユニットの斜視図
【図2】収納ユニットを分解した斜視図
【図3】収納ユニットの側断面図
【図4】ガイド部を示した斜視図(スライド移動可能時)
【図5】ガイド部を示した斜視図(固定時)
【図6】ネットユニットを分解した斜視図
【図7】収納ユニットの一使用態様を示す斜視図
【図8】他の使用態様を示す側断面図
【図9】実施形態2のスライド機構及び固定機構を拡大した斜視図(スライド可能時)
【図10】スライド機構及び固定機構を拡大した斜視図(固定時)
【図11】スライド機構及び固定機構の断面図
【図12】スライド機構及び固定機構を拡大した斜視図
【図13】スライド機構及び固定機構の側面図(固定時)
【図14】スライド機構及び固定機構の側面図(スライド可能時)
【図15】変形例1の固定機構の側面図
【図16】変形例2の固定機構の側面図
【図17】変形例3の固定機構の側面図
【図18】変形例4のスライド機構及び固定機構を拡大した斜視図
【図19】変形例5のスライド機構及び固定機構を拡大した斜視図
【符号の説明】
【0072】
16...荷室(車内)
18...収納部
18A...左右内壁部(収納部の対向壁)
22...デッキボード(蓋部材)
23,50、70...スライド機構
25,52、72...固定機構
28,54,74...ガイド部
32,58...係合部
34...ネット材(収納材)
36...支軸体
40,56,78...被ガイド部
42,62...被係合部
73...第1規制部
80...アーム部材(回動部材)
82...回動軸
84...第2規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内の床下収納構造であって、
前記車内の床に形成された収納部と、
前記収納部の一対の対向壁間に架設される複数の支軸体と、
前記複数の支軸体によって支持され、変形可能な収納材と、
前記複数の支軸体のうち少なくとも1つの支軸体を、前記複数の支軸体の並び方向に沿ってスライド移動可能とするスライド機構と、を備える車内の床下収納構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車内の床下収納構造であって、
前記スライド機構によりスライド移動可能な支軸体をスライド移動範囲内の各位置で固定する固定機構を備える、車内の床下収納構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車内の床下収納構造であって、
前記スライド機構は、前記一対の対向壁の少なくとも一方側に設けられ前記並び方向に沿って延びるガイド部と、前記スライド移動可能な支軸体の端部側に設けられ前記ガイド部に着脱可能な被ガイド部とを有して構成され、
前記固定機構は、前記一対の対向壁の少なくとも一方側において前記並び方向に沿って設けられた複数の係合部と、前記被ガイド部に設けられ前記各係合部と係合可能な被係合部とを有して構成される、車内の床下収納構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車内の床下収納構造であって、
前記被ガイド部は前記ガイド部に対して上下方向に着脱可能とされ、
前記被係合部は、上方向に変位されることで前記係合部との係合が解除される構成である、車内の床下収納構造。
【請求項5】
請求項2に記載の車内の床下収納構造であって、
前記スライド機構は、前記一対の対向壁の少なくとも一方側に設けられ前記並び方向に沿って延びるガイド部と、当該各ガイド部にガイドされる被ガイド部とを有して構成され、
前記固定機構は、前記各ガイド部に回動可能に設けられ回動端側で前記支軸体を保持する回動部材と、前記収納部側に前記並び方向に沿って複数設けられ、前記回動端側が前記回動部材の回動軸よりも低い所定の回動位置において前記支軸体が他の支軸体に近づく方向への前記回動部材の回動を規制する第1規制部とを有して構成される、車内の床下収納構造。
【請求項6】
請求項5に記載の車内の床下収納構造であって、
前記固定機構は、更に、前記被ガイド部に設けられ、前記所定の回動位置において前記支軸体が他の支軸体に近づく方向への前記回動部材の回動を規制する第2規制部を有する、車内の床下収納構造。
【請求項7】
請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の車内の床下収納構造であって、
前記収納部を塞ぐ蓋部材を備え、
前記固定機構は、前記蓋部材と前記支軸体との接触によって当該支軸体のスライド移動を規制する構成を有する、車内の床下収納構造。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の車内の床下収納構造であって、
前記収納部を塞ぐ蓋部材を備え、
前記スライド機構は、前記蓋部材の下方に位置する構成である、車内の床下収納構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2010−167810(P2010−167810A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9778(P2009−9778)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】