車室内格納式補助ステップ
【課題】車両ステップと、これの下部前方に張り出すステップの各奥行きを乗降時には旅客車両としての使用基準に適合させる。
【解決手段】車内フロアＦに段差を以て既設された車両ステップＳ上で奥行き長さを伸縮可能に設けた車内ステップ１と、該車内ステップ１上と車外の車両ステップＳ前方下部との間を往復動自在にして、且つ奥行き長さが伸縮可能な車外ステップ２とから構成する。
【解決手段】車内フロアＦに段差を以て既設された車両ステップＳ上で奥行き長さを伸縮可能に設けた車内ステップ１と、該車内ステップ１上と車外の車両ステップＳ前方下部との間を往復動自在にして、且つ奥行き長さが伸縮可能な車外ステップ２とから構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、乗降時にバス、ワンボックスカー等の車両ステップ上にこれよりも面積拡張する様に展開される車内ステップとこの車内ステップと地上面間に同様に面積拡張する様に張り出される車外ステップとから成る車室内格納式補助ステップに関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、ドアによる車両乗降口の閉鎖時に既設の車両ステップ上に踏板が水平に格納配置され、車両乗降口の開放時に踏板を車両ステップ上から車外の下方へ水平に張り出す様に構成された車室内格納式補助ステップが開示されている。
この補助ステップは、格納状態で車室内の車両ステップ上に踏板が水平配置されることから、未使用時において雨水、泥はね等の車外環境から踏板を保護できる共に、踏板の車外への張出し不要時においても踏板を車両ステップとして自由に乗降でき、使用時には車両ステップ（車両乗降口）の前方下部となる車外へ踏板を張り出し、車両ステップへの安全な足継ぎとしての役割を果たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０１０−１８８８４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記補助ステップでは、格納時に踏板を車両ステップ上に水平配置する様に構成されているため、踏板の奥行きは必然的に車両ステップと同等かそれより短く設定されることとなる。
当然ながら乗降時において踏板の面積は広い方が足継ぎとして具合が良いし、又踏板の奥行きが旅客車両としての使用基準に適合しない場合なども想定される。
【０００５】
そこで、本発明では、たとえ既設の車両ステップが旅客車両としての使用基準に不適合であっても、乗降時にはその基準に適合する様に、車両ステップ上に配置してこれに代える車内ステップと、該車内ステップ上に未使用時に水平配置されて使用時に乗降口の下部前方に張り出す車外ステップの夫々が奥行き方向に伸展する様にした車室内格納式補助ステップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記課題に鑑み、本発明の車室内格納式補助ステップは、既設の車両ステップ上にこれより外方へ食み出ない様に水平配置した固定踏板と、車両ステップより前端部が車外前方へ突出しない様に固定踏板上でオーバーラップする下段格納位置と、車両ステップより前端部が車外前方へ所定長さ突出する様に固定踏板の前方でこれと同一平面上に連接する張出位置との間を往復動自在に設けた進退踏板とから成る車内ステップと、進退踏板の格納状態でこれの上方に車両ステップより外方へ食み出ない様にオーバーラップする上段格納位置と、進退踏板の張出状態で車両ステップ前方下部に水平配置する車外張出位置との間を進退踏板に連動して往復動自在に設けた出没踏板と、該出没踏板に連動する様に取付けられ、出没踏板の格納状態で車両ステップより前端部が突出しない様に出没踏板上にオーバーラップし、出没踏板の張出状態でこれの前方にして同一平面上に連接する連動踏板とから成る車外ステップとにより構成したことを特徴とする。
そして、出没踏板は左右に支柱を垂直立設し、各支柱と車両ステップとの間に車外張出位置で支柱を懸垂する左右一対のアームの夫々を枢着連結し、各アームの適所にベルクランクの屈曲部を枢着し、該ベルクランクの一端と支柱との間、及びベルクランクの他端と車両ステップとの間の夫々にリンクを枢着連結し、基端軸を車両ステップに枢着されるアーム又はリンクと同一と成した揺動クランクを適宜進退機構を介して進退踏板に連繋したことを特徴とする。
又、連動踏板は出没踏板に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱におけるアーム又はリンクの枢軸に基端を固定したクランクに連繋したことを特徴とする。
更に、上記基端軸を正逆回転自在に駆動装置に連繋したことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
要するに本発明は、上記の様に構成したので、車両乗降口を開放した乗降時には、車内ステップ上の上段格納位置から車外張出位置へ移動する車外ステップは、出没踏板の前方にして同一平面上に連動踏板が連接することにより車両ステップよりも奥行きが長くなった状態で全体が車両ステップ前方下部に張り出され、車内ステップは、車両ステップより進退踏板の前端部が所定長さ突出する様に固定踏板の前方でこれと同一平面上に連接することにより車両ステップより奥行きが長くなってその前方が乗降口より車外へ張り出される。
よって、不使用時には、各々の構成部材である踏板が相互にオーバラップして車両ステップ上に重層格納されている車内ステップ及び車外ステップが、使用時には定位置で各奥行きを旅客車両としての使用基準に適合する様に長くすることができると共に、各ステップの面積を拡張できるため、乗降時の安全性を確保でき、各ステップを踏み込む足元を気にすることもなく、安心して乗降できる。
【０００８】
出没踏板は、左右に支柱を垂直立設し、各支柱と車両ステップとの間に車外張出位置で支柱を懸垂する左右一対のアームの夫々を枢着連結し、各アームの適所にベルクランクの屈曲部を枢着し、該ベルクランクの一端と支柱との間、及びベルクランクの他端と車両ステップとの間の夫々にリンクを枢着連結し、基端軸を車両ステップに枢着されるアーム又はリンクと同一と成した揺動クランクを適宜進退機構を介して進退踏板に連繋したので、車内ステップと車外ステップを基端軸の回動操作により簡単容易に連動させられる。
【０００９】
連動踏板は出没踏板に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱におけるアーム又はリンクの枢軸に基端を固定したクランクに連繋したので、上記基端軸の回動が、これによって出没踏板を上段格納位置と車外張出位置の間を移動させる支持部材（アーム、ベルクランク、リンク）を介してクランクに伝わり、該クランクの回動にて動作するリンク機構により連動踏板を出没踏板の前記移動中の動作に連動させることができ、車内外ステップの使い勝手の良い格納及び張出操作を行える。
【００１０】
更に、上記基端軸を正逆回転自在に駆動装置に連繋することにより、車内ステップと車外ステップの格納及び張出動作を自動化でき、乗降口付近でそれらを手動操作する様な煩わしさが解消される等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明に係る車室内格納式補助ステップの張出状態を示す斜視図である。
【図２】同上格納状態を示す斜視図である。
【図３】同上補助ステップの張出状態を示す一部省略断面図である。
【図４】同上格納状態を示す一部省略断面図である。
【図５】図３における車内ステップの拡大図である。
【図６】図４における車内ステップとこれの支持部材との連繋を示す断面図である。
【図７】図４における車外ステップとこれの支持部材との連繋を示す断面図である。
【図８】図３における車外ステップの拡大図である。
【図９】図４における出没踏板と連動踏板とリンク機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る車室内格納式補助ステップは、車内フロアＦに段差を以て車両乗降口下部に既設された車両ステップＳ上において奥行き長さを伸縮可能に設けた車内ステップ１と、該車内ステップ１上と車外の車両ステップＳ前方下部との間を往復動自在にして、且つ奥行き長さが伸縮可能な車外ステップ２とから構成されている。
【００１３】
車内ステップ１は、車両ステップＳ上にこれより外方へ食み出ない様に、図示例の如く車両ステップＳ上の奥行き方向後部に水平配置した固定踏板３と、車両ステップＳより前端部4aが車外となる前方へ突出しない様に固定踏板３の前端部上で後端部がオーバーラップする下段格納位置X1と、車両ステップＳより前端部4aが車外となる前方へ所定長さ突出する様に固定踏板３の前方でこれと同一平面上に連接する張出位置Y1との間を往復動自在に設けた進退踏板４とから成る。
【００１４】
車両ステップＳ上には、その前後と左右の夫々で平行な前後左右壁５、5a、６、6aを対向立設し、後壁5aの中央上端に固定踏板３を水平に支持している。
固定踏板３は、前後壁５、5a間でこれらと平行な前端部3aと、左右壁６、6aの内側で平行な左右端部と、後壁5aの後方で車両ステップＳの蹴込に沿って斜行する後端部とを有する平面視台形状の薄板から成り、前端部3aには前方降下状の傾斜壁3bを連続形成している。
【００１５】
又、固定踏板３の左右側縁には前壁５から後壁5aの後方へ渡って側壁７、7aが形成されており、該側壁７、7aの前端部は前壁５に固着され、後端部は、後壁5aにおいて固定踏板３を支持する中央部に比し背丈が低く形成された左右側部を越えて後方へ突出して後壁5aに固着されている。
【００１６】
進退踏板４は、固定踏板３より横幅が長く、前壁５と後壁5aの間隔に略等しい奥行きを有する横長矩形板と、該横長矩形板の前端縁及び左右側縁に連続して垂下固着したコ字状の補強枠とから成り、該補強枠は進退踏板４の前端部4aと側壁4bを構成している。
尚、側壁4bの後方は、その下端縁が後端へ向って下り傾斜する様に突出形成され、進退踏板４の側壁4b内側において、その下り傾斜状の後方下端縁における傾斜始端側と終端側の夫々に転子８、8aを設けている。
【００１７】
そして、進退踏板４は、車両ステップＳ上に前後に揺動可能に設けた左右一対の揺動クランク９を適宜進退機構を介して連繋している。
各揺動クランク９は、基端（クランク）軸10を共有し、該基端軸10は側壁７、7aを貫通して左右壁６、6a間に回転自在に架設されている。
【００１８】
進退機構は、揺動クランク９と進退踏板４との間に連杆11を枢着連結するものにして、該連杆11における進退踏板４との枢軸12であって、これを支軸とする傾斜始端側の転子８（枢軸12）を、固定踏板３の側壁７、7aにおいて進退踏板４の軌道に沿って貫通形成した案内溝13に摺動自在に装着すると共に、側壁７、7aにおいて案内溝13の下側斜め後方へ平行移動した同形の案内溝13ａに傾斜終端側の転子8aを摺動自在に装着することにより構成されている。
【００１９】
上記構成の進退機構における揺動クランク９と連杆11は、前端部3a及び傾斜壁3bの左右側縁に切欠した固定踏板３の側壁７、7a内側との空隙に配置されているため、揺動クランク９と連杆11は何らの支障なく屈伸動作できる。
【００２０】
そして、揺動クランク９の前後揺動による連杆11との屈伸動作で転子８（枢軸12）が案内溝13内を前後へ移動することにより、進退踏板４は案内溝13に沿って下段格納位置X1と張出位置Y1との間を往復移動する。
尚、進退踏板４の張出状態では、後方は転子８、8aが案内溝13、13ａの前端に係止され、前方は前壁５上端に装着したゴム製の緩衝材14が側壁4bの下端を支えることで進退踏板４の水平状態を保持している。
【００２１】
車外ステップ２は、進退踏板４の上記格納状態でこれの上方に車両ステップＳより外方へ食み出ない様にオーバーラップする上段格納位置X2と、進退踏板４の張出状態で車両ステップＳ前方下部に水平配置する車外張出位置Y2との間を進退踏板４に連動して往復動自在に設けた出没踏板15と、該出没踏板15に連動する様に取付けられ、出没踏板15の格納状態で車両ステップＳより前端部16ａが突出しない様に出没踏板15上にオーバーラップし、出没踏板15の張出状態でこれの前方にして同一平面上に連接する連動踏板16とから成る。
【００２２】
出没踏板15は、進退踏板４より横幅が長く、後端がＬ字に起曲された奥行きが比較的短い帯板17と、該帯板17底部に固着した断面凹状の補強杆と、該補強杆の左右に固着した帯板17より奥行きが前方に長い側壁18とから成る。
各側壁18の後方には、支柱19を垂直立設しており、該支柱19は側壁18に平行な側板19ｂとこれの前後板19ａ、19ｃとにより内側が開放された平面視凹型に形成され、側壁18に固着される前後板19ａ、19ｃ下端はＬ型に突出形成され、側壁18と、これとの固着部位より上方の前後板19ａ、19ｃの間に支柱19の内側空間に通ずる間隙Ｐを設けている（図１、２参照）。
【００２３】
そして、各支柱19の側板19ｂ外側上部と、車両ステップＳ上の左右壁６、6aとの間に、車外張出位置Y2で支柱19を介して出没踏板15を懸垂する左右一対の屈曲状アーム20の夫々を枢着連結している。
【００２４】
又、各アーム20には、これらの揺動によって移動する出没踏板15を上段格納位置X2と車外張出位置Y2で水平配置させ、且つ、一定の軌道上を往復動可能に制御するアームリンク機構を装備している。
【００２５】
アームリンク機構は、アーム20の適所（図示例では内側の屈曲部）にベルクランク21の屈曲部を枢着し、該ベルクランク21の一端と支柱19の側板19ｂ外側におけるアーム20先端との枢着部より下方部位との間、及びベルクランク21の他端と車両ステップＳ上の左右壁６、6aにおけるアーム20基端との枢着部より後方部位との間の夫々にリンク22、23を枢着連結している。
【００２６】
尚、左右のアームリンク機構におけるリンク23の車両ステップＳ上の左右壁６、6aとの枢着は、各リンク23の基端部を揺動クランク９の基端軸10に固着することで成され、これにより左右のアーム20及びアームリンク機構の動作が同期する様に成している。
又、本実施例では、リンク23の基端を揺動クランク９の基端軸10に固定したが、アーム20の基端を基端軸10に固定しても良く、この場合リンク23の基端が左右壁６、6aに枢着される。
そして、図１、２に示す様に、支柱19、アーム20とベルクランク21の先端方、及びリンク22は２分節のリンクカバー24、24ａ（説明の便宜上、左側のみ図示）にて被覆されている。
【００２７】
連動踏板16は、出没踏板15より横幅が若干長く、奥行きが出没踏板15と奥行きが略等しい横長矩形板と、該横長矩形板の前端縁及び左右側縁には進退踏板４と同様にコ字状の補強枠を垂下固着し、該補強枠が連動踏板16の前端部16ａと側壁16ｂを構成しており、側壁16ｂは前記横長矩形板よりも後方へ延出している。
【００２８】
そして、連動踏板16は、出没踏板15に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱19におけるアーム20又はリンク22（図示例ではリンク22）の枢軸に基端を固定したクランク25に連繋しており、該クランク25は支柱19における側板19ｂの内側に配されている。
リンク機構は、出没踏板15と連動踏板16の左右に取付けられるものにして、出没踏板15の側壁18と、連動踏板16の側壁16ｂの間に前後一対の平行なリンク26、26ａを枢着連結した平行クランク機構（以下、リンク機構26、26ａとも称する。）から成り、後方リンク26ａは曲臂状に形成され、その屈曲部とクランク25との間に連接杆27を枢着連結している。
【００２９】
尚、連動踏板16の側壁16ｂは、出没踏板15の側壁18と支柱19（前後板19ａ、19ｃ）との間隙Ｐに挿通介在し、支柱19に阻まれることなく動作できる様に成している（図１、２参照）。
又、支柱19において、側板19ｂの外側にはアーム20とリンク22の端部が枢着され、側板19ｂの内側にクランク25が枢着されると共に、これに連結される連接杆27が配置されるので、後板19ｃの上方は幅小に形成され、クランク25と連接杆27の屈伸動作に支障がない様にしている。
【００３０】
上記の様に構成された車外ステップ２は、基端軸10の正逆回転によるアームリンク機構の作動で、出没踏板15を連動踏板16と共に、上段格納位置X2と車外張出位置Y2との間を移動させ、その移動中にアームリンク機構のリンク22の枢軸が正逆回転し、これと同一回転するクランク25が連接杆27、リンク機構26、26ａを介して連動踏板16を出没踏板15の上方と前方との間に移動させ、格納状態と張出状態に変形させられる。
【００３１】
そして、車内外ステップ１、２を自動操作するために、揺動クランク９とリンク23の基端軸10を正逆回転自在に駆動装置28に連繋している。
この駆動装置28は、左壁６の左側に対向立設したモータベース29左側に図示しない電動モータと減速装置を設置し、モータベース29を貫通して左壁６に向かって突出する駆動軸28ａと、左壁６より外側（左側）へ突出する基端軸10とは、一対の同長クランク30、30ａとこのクランク30、30ａ間に枢着連接される連杆31とから成る平行クランク機構を介して連繋されている。
【００３２】
これにより、駆動装置28が作動し、その駆動軸28ａが正逆回転することで、該駆動軸28ａのクランク30が前後に揺動し、連杆31及びクランク30ａを介して基端軸10が駆動軸28ａと同一回転することにより、車内外ステップ１、２を変形移動させる。
尚、車内外ステップ１、２の張出状態と格納状態に対応するクランク30の各揺動位置には、該クランク30に触突するストッパー32、32ａを設けている（図１参照）。
【００３３】
次に、上記の様に構成された補助ステップの動作について説明する。
車内外ステップ１、２の室内格納状態では、駆動軸28ａのクランク30は後方へ傾倒してストッパー32に触突し、連杆31、クランク30ａ及び基端軸10を介して揺動クランク９及びリンク23は車両ステップＳ上に後倒している。
【００３４】
これにより、揺動クランク９とこれに連結している連杆11とは後方へ伸長し、転子８（枢軸12）、8aを案内溝13、13ａの後端に位置させて、進退踏板４を固定踏板３上の下段格納位置X1に後退させ、その後端部を固定踏板３の前端部3a上でオーバーラップさせ、進退踏板４の前端部4aを車両ステップＳより車外前方へ突出させずに、車両ステップＳ上に固定踏板３を介して格納配置している。
【００３５】
又、支柱19及びリンク22、23は車両ステップＳ上で三つ折り状に屈曲、即ち支柱19は直立し、これに連結されたリンク22は後方へ倒立し、リンク23にベルクランク21を介して連結されたアーム20も車両ステップＳ上に後倒して、出没踏板15を進退踏板４上の上段格納位置X2に水平配置させている。
【００３６】
そして、リンク22と同様に後倒するクランク25によって、該クランク25とこれに連結された連接杆27とは後方へ伸長し、リンク26、26ａを後倒させて連動踏板16を出没踏板15上にオバーラップさせ、その前端部16ａを車両ステップＳより車外へ突出させずに、出没踏板15上に水平に格納配置している。
よって、車内外ステップ１、２は、車両ステップＳ上にその奥行きに対応すべく、夫々を構成する踏板３、４、15、16が収縮する様に重層格納され、車両ドアの開閉に何らの支障を来すことがない。
【００３７】
上記格納状態から車内外ステップ１、２を張り出すには、駆動装置28を作動し、クランク30、30ａ及び連接杆31を介して基端軸10を回動させることにより、後倒状態の揺動クランク９及びリンク23を前方へ揺動させる。
これにより揺動クランク９と連杆11が前方で屈曲し、転子８（枢軸12）、8aを案内溝13、13ａの後端より下方に位置する前端へ位置させて、進退踏板４を固定踏板３前方の張出位置Y1に配置させ、進退踏板４と固定踏板３を同一平面上の前後に連接させて車内ステップ１を車両ステップＳよりも奥行きが長くなった状態で車両ステップＳより乗降口前方の車外へ張り出させる。
【００３８】
同時に、三つ折り状に屈曲していた支柱19、リンク22、23が徐々に伸張すると共に、ベルクランク21を介してアーム20も同様に前方へ揺動し、出没踏板15を連動踏板16と共に進退踏板４上の上段格納位置X2から離脱させながら前方へ繰り出し、やがて車両ステップＳの前方下部の張出位置Y2への一定の軌道上を移動して車外張出位置Y2に到達させる。
【００３９】
車外張出位置Y2への移動過程では、車両ステップ２上で倒立状態であったリンク22が徐々に前転して立ち上がることで、後倒していたクランク25を直立させ、これによりクランク25と連接杆27が屈曲し、リンク26、26ａを前傾させ、出没踏板15が車外張出位置Y2に到達した時に連動踏板16を出没踏板15の前方にして同一平面上に連接させて車外ステップ２を車両ステップＳよりも奥行きが長くなった状態で全体が車両ステップＳ（乗降口）前方下部に張り出させる。
【００４０】
かかる状態では駆動装置28は停止し、クランク30は前方へ倒伏してストッパー32ａに触突する。
以上の様に、奥行きが長く面積が拡張された車外ステップ２は、車両ステップＳ上で同じく乗降口前方に面積拡張された車内ステップ１と地上間の足継ぎとして利用される。
【００４１】
上記張出状態の車内外ステップ１、２を格納するには、駆動装置28を作動して、基端軸10を上記と逆の後方へ揺動させることにより、車内外ステップ１、２を上記と逆の手順で動作させ、夫々を構成する踏板３、４、15、16を車両ステップＳ上に重層格納させる。
【符号の説明】
【００４２】
１ 車内ステップ
２ 車外ステップ
３ 固定踏板
４ 進退踏板
4a 前端部
９ 揺動クランク
15 出没踏板
16 連動踏板
16ａ 前端部
19 支柱
20 アーム
21 ベルクランク
22 リンク
23 リンク
25 クランク
26、26ａ リンク機構
28 駆動装置
Ｓ 車両ステップ
X1 下段格納位置
X2 上段格納位置
Y1 張出位置
Y2 車外張出位置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、乗降時にバス、ワンボックスカー等の車両ステップ上にこれよりも面積拡張する様に展開される車内ステップとこの車内ステップと地上面間に同様に面積拡張する様に張り出される車外ステップとから成る車室内格納式補助ステップに関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、ドアによる車両乗降口の閉鎖時に既設の車両ステップ上に踏板が水平に格納配置され、車両乗降口の開放時に踏板を車両ステップ上から車外の下方へ水平に張り出す様に構成された車室内格納式補助ステップが開示されている。
この補助ステップは、格納状態で車室内の車両ステップ上に踏板が水平配置されることから、未使用時において雨水、泥はね等の車外環境から踏板を保護できる共に、踏板の車外への張出し不要時においても踏板を車両ステップとして自由に乗降でき、使用時には車両ステップ（車両乗降口）の前方下部となる車外へ踏板を張り出し、車両ステップへの安全な足継ぎとしての役割を果たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０１０−１８８８４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記補助ステップでは、格納時に踏板を車両ステップ上に水平配置する様に構成されているため、踏板の奥行きは必然的に車両ステップと同等かそれより短く設定されることとなる。
当然ながら乗降時において踏板の面積は広い方が足継ぎとして具合が良いし、又踏板の奥行きが旅客車両としての使用基準に適合しない場合なども想定される。
【０００５】
そこで、本発明では、たとえ既設の車両ステップが旅客車両としての使用基準に不適合であっても、乗降時にはその基準に適合する様に、車両ステップ上に配置してこれに代える車内ステップと、該車内ステップ上に未使用時に水平配置されて使用時に乗降口の下部前方に張り出す車外ステップの夫々が奥行き方向に伸展する様にした車室内格納式補助ステップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記課題に鑑み、本発明の車室内格納式補助ステップは、既設の車両ステップ上にこれより外方へ食み出ない様に水平配置した固定踏板と、車両ステップより前端部が車外前方へ突出しない様に固定踏板上でオーバーラップする下段格納位置と、車両ステップより前端部が車外前方へ所定長さ突出する様に固定踏板の前方でこれと同一平面上に連接する張出位置との間を往復動自在に設けた進退踏板とから成る車内ステップと、進退踏板の格納状態でこれの上方に車両ステップより外方へ食み出ない様にオーバーラップする上段格納位置と、進退踏板の張出状態で車両ステップ前方下部に水平配置する車外張出位置との間を進退踏板に連動して往復動自在に設けた出没踏板と、該出没踏板に連動する様に取付けられ、出没踏板の格納状態で車両ステップより前端部が突出しない様に出没踏板上にオーバーラップし、出没踏板の張出状態でこれの前方にして同一平面上に連接する連動踏板とから成る車外ステップとにより構成したことを特徴とする。
そして、出没踏板は左右に支柱を垂直立設し、各支柱と車両ステップとの間に車外張出位置で支柱を懸垂する左右一対のアームの夫々を枢着連結し、各アームの適所にベルクランクの屈曲部を枢着し、該ベルクランクの一端と支柱との間、及びベルクランクの他端と車両ステップとの間の夫々にリンクを枢着連結し、基端軸を車両ステップに枢着されるアーム又はリンクと同一と成した揺動クランクを適宜進退機構を介して進退踏板に連繋したことを特徴とする。
又、連動踏板は出没踏板に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱におけるアーム又はリンクの枢軸に基端を固定したクランクに連繋したことを特徴とする。
更に、上記基端軸を正逆回転自在に駆動装置に連繋したことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
要するに本発明は、上記の様に構成したので、車両乗降口を開放した乗降時には、車内ステップ上の上段格納位置から車外張出位置へ移動する車外ステップは、出没踏板の前方にして同一平面上に連動踏板が連接することにより車両ステップよりも奥行きが長くなった状態で全体が車両ステップ前方下部に張り出され、車内ステップは、車両ステップより進退踏板の前端部が所定長さ突出する様に固定踏板の前方でこれと同一平面上に連接することにより車両ステップより奥行きが長くなってその前方が乗降口より車外へ張り出される。
よって、不使用時には、各々の構成部材である踏板が相互にオーバラップして車両ステップ上に重層格納されている車内ステップ及び車外ステップが、使用時には定位置で各奥行きを旅客車両としての使用基準に適合する様に長くすることができると共に、各ステップの面積を拡張できるため、乗降時の安全性を確保でき、各ステップを踏み込む足元を気にすることもなく、安心して乗降できる。
【０００８】
出没踏板は、左右に支柱を垂直立設し、各支柱と車両ステップとの間に車外張出位置で支柱を懸垂する左右一対のアームの夫々を枢着連結し、各アームの適所にベルクランクの屈曲部を枢着し、該ベルクランクの一端と支柱との間、及びベルクランクの他端と車両ステップとの間の夫々にリンクを枢着連結し、基端軸を車両ステップに枢着されるアーム又はリンクと同一と成した揺動クランクを適宜進退機構を介して進退踏板に連繋したので、車内ステップと車外ステップを基端軸の回動操作により簡単容易に連動させられる。
【０００９】
連動踏板は出没踏板に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱におけるアーム又はリンクの枢軸に基端を固定したクランクに連繋したので、上記基端軸の回動が、これによって出没踏板を上段格納位置と車外張出位置の間を移動させる支持部材（アーム、ベルクランク、リンク）を介してクランクに伝わり、該クランクの回動にて動作するリンク機構により連動踏板を出没踏板の前記移動中の動作に連動させることができ、車内外ステップの使い勝手の良い格納及び張出操作を行える。
【００１０】
更に、上記基端軸を正逆回転自在に駆動装置に連繋することにより、車内ステップと車外ステップの格納及び張出動作を自動化でき、乗降口付近でそれらを手動操作する様な煩わしさが解消される等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明に係る車室内格納式補助ステップの張出状態を示す斜視図である。
【図２】同上格納状態を示す斜視図である。
【図３】同上補助ステップの張出状態を示す一部省略断面図である。
【図４】同上格納状態を示す一部省略断面図である。
【図５】図３における車内ステップの拡大図である。
【図６】図４における車内ステップとこれの支持部材との連繋を示す断面図である。
【図７】図４における車外ステップとこれの支持部材との連繋を示す断面図である。
【図８】図３における車外ステップの拡大図である。
【図９】図４における出没踏板と連動踏板とリンク機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る車室内格納式補助ステップは、車内フロアＦに段差を以て車両乗降口下部に既設された車両ステップＳ上において奥行き長さを伸縮可能に設けた車内ステップ１と、該車内ステップ１上と車外の車両ステップＳ前方下部との間を往復動自在にして、且つ奥行き長さが伸縮可能な車外ステップ２とから構成されている。
【００１３】
車内ステップ１は、車両ステップＳ上にこれより外方へ食み出ない様に、図示例の如く車両ステップＳ上の奥行き方向後部に水平配置した固定踏板３と、車両ステップＳより前端部4aが車外となる前方へ突出しない様に固定踏板３の前端部上で後端部がオーバーラップする下段格納位置X1と、車両ステップＳより前端部4aが車外となる前方へ所定長さ突出する様に固定踏板３の前方でこれと同一平面上に連接する張出位置Y1との間を往復動自在に設けた進退踏板４とから成る。
【００１４】
車両ステップＳ上には、その前後と左右の夫々で平行な前後左右壁５、5a、６、6aを対向立設し、後壁5aの中央上端に固定踏板３を水平に支持している。
固定踏板３は、前後壁５、5a間でこれらと平行な前端部3aと、左右壁６、6aの内側で平行な左右端部と、後壁5aの後方で車両ステップＳの蹴込に沿って斜行する後端部とを有する平面視台形状の薄板から成り、前端部3aには前方降下状の傾斜壁3bを連続形成している。
【００１５】
又、固定踏板３の左右側縁には前壁５から後壁5aの後方へ渡って側壁７、7aが形成されており、該側壁７、7aの前端部は前壁５に固着され、後端部は、後壁5aにおいて固定踏板３を支持する中央部に比し背丈が低く形成された左右側部を越えて後方へ突出して後壁5aに固着されている。
【００１６】
進退踏板４は、固定踏板３より横幅が長く、前壁５と後壁5aの間隔に略等しい奥行きを有する横長矩形板と、該横長矩形板の前端縁及び左右側縁に連続して垂下固着したコ字状の補強枠とから成り、該補強枠は進退踏板４の前端部4aと側壁4bを構成している。
尚、側壁4bの後方は、その下端縁が後端へ向って下り傾斜する様に突出形成され、進退踏板４の側壁4b内側において、その下り傾斜状の後方下端縁における傾斜始端側と終端側の夫々に転子８、8aを設けている。
【００１７】
そして、進退踏板４は、車両ステップＳ上に前後に揺動可能に設けた左右一対の揺動クランク９を適宜進退機構を介して連繋している。
各揺動クランク９は、基端（クランク）軸10を共有し、該基端軸10は側壁７、7aを貫通して左右壁６、6a間に回転自在に架設されている。
【００１８】
進退機構は、揺動クランク９と進退踏板４との間に連杆11を枢着連結するものにして、該連杆11における進退踏板４との枢軸12であって、これを支軸とする傾斜始端側の転子８（枢軸12）を、固定踏板３の側壁７、7aにおいて進退踏板４の軌道に沿って貫通形成した案内溝13に摺動自在に装着すると共に、側壁７、7aにおいて案内溝13の下側斜め後方へ平行移動した同形の案内溝13ａに傾斜終端側の転子8aを摺動自在に装着することにより構成されている。
【００１９】
上記構成の進退機構における揺動クランク９と連杆11は、前端部3a及び傾斜壁3bの左右側縁に切欠した固定踏板３の側壁７、7a内側との空隙に配置されているため、揺動クランク９と連杆11は何らの支障なく屈伸動作できる。
【００２０】
そして、揺動クランク９の前後揺動による連杆11との屈伸動作で転子８（枢軸12）が案内溝13内を前後へ移動することにより、進退踏板４は案内溝13に沿って下段格納位置X1と張出位置Y1との間を往復移動する。
尚、進退踏板４の張出状態では、後方は転子８、8aが案内溝13、13ａの前端に係止され、前方は前壁５上端に装着したゴム製の緩衝材14が側壁4bの下端を支えることで進退踏板４の水平状態を保持している。
【００２１】
車外ステップ２は、進退踏板４の上記格納状態でこれの上方に車両ステップＳより外方へ食み出ない様にオーバーラップする上段格納位置X2と、進退踏板４の張出状態で車両ステップＳ前方下部に水平配置する車外張出位置Y2との間を進退踏板４に連動して往復動自在に設けた出没踏板15と、該出没踏板15に連動する様に取付けられ、出没踏板15の格納状態で車両ステップＳより前端部16ａが突出しない様に出没踏板15上にオーバーラップし、出没踏板15の張出状態でこれの前方にして同一平面上に連接する連動踏板16とから成る。
【００２２】
出没踏板15は、進退踏板４より横幅が長く、後端がＬ字に起曲された奥行きが比較的短い帯板17と、該帯板17底部に固着した断面凹状の補強杆と、該補強杆の左右に固着した帯板17より奥行きが前方に長い側壁18とから成る。
各側壁18の後方には、支柱19を垂直立設しており、該支柱19は側壁18に平行な側板19ｂとこれの前後板19ａ、19ｃとにより内側が開放された平面視凹型に形成され、側壁18に固着される前後板19ａ、19ｃ下端はＬ型に突出形成され、側壁18と、これとの固着部位より上方の前後板19ａ、19ｃの間に支柱19の内側空間に通ずる間隙Ｐを設けている（図１、２参照）。
【００２３】
そして、各支柱19の側板19ｂ外側上部と、車両ステップＳ上の左右壁６、6aとの間に、車外張出位置Y2で支柱19を介して出没踏板15を懸垂する左右一対の屈曲状アーム20の夫々を枢着連結している。
【００２４】
又、各アーム20には、これらの揺動によって移動する出没踏板15を上段格納位置X2と車外張出位置Y2で水平配置させ、且つ、一定の軌道上を往復動可能に制御するアームリンク機構を装備している。
【００２５】
アームリンク機構は、アーム20の適所（図示例では内側の屈曲部）にベルクランク21の屈曲部を枢着し、該ベルクランク21の一端と支柱19の側板19ｂ外側におけるアーム20先端との枢着部より下方部位との間、及びベルクランク21の他端と車両ステップＳ上の左右壁６、6aにおけるアーム20基端との枢着部より後方部位との間の夫々にリンク22、23を枢着連結している。
【００２６】
尚、左右のアームリンク機構におけるリンク23の車両ステップＳ上の左右壁６、6aとの枢着は、各リンク23の基端部を揺動クランク９の基端軸10に固着することで成され、これにより左右のアーム20及びアームリンク機構の動作が同期する様に成している。
又、本実施例では、リンク23の基端を揺動クランク９の基端軸10に固定したが、アーム20の基端を基端軸10に固定しても良く、この場合リンク23の基端が左右壁６、6aに枢着される。
そして、図１、２に示す様に、支柱19、アーム20とベルクランク21の先端方、及びリンク22は２分節のリンクカバー24、24ａ（説明の便宜上、左側のみ図示）にて被覆されている。
【００２７】
連動踏板16は、出没踏板15より横幅が若干長く、奥行きが出没踏板15と奥行きが略等しい横長矩形板と、該横長矩形板の前端縁及び左右側縁には進退踏板４と同様にコ字状の補強枠を垂下固着し、該補強枠が連動踏板16の前端部16ａと側壁16ｂを構成しており、側壁16ｂは前記横長矩形板よりも後方へ延出している。
【００２８】
そして、連動踏板16は、出没踏板15に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱19におけるアーム20又はリンク22（図示例ではリンク22）の枢軸に基端を固定したクランク25に連繋しており、該クランク25は支柱19における側板19ｂの内側に配されている。
リンク機構は、出没踏板15と連動踏板16の左右に取付けられるものにして、出没踏板15の側壁18と、連動踏板16の側壁16ｂの間に前後一対の平行なリンク26、26ａを枢着連結した平行クランク機構（以下、リンク機構26、26ａとも称する。）から成り、後方リンク26ａは曲臂状に形成され、その屈曲部とクランク25との間に連接杆27を枢着連結している。
【００２９】
尚、連動踏板16の側壁16ｂは、出没踏板15の側壁18と支柱19（前後板19ａ、19ｃ）との間隙Ｐに挿通介在し、支柱19に阻まれることなく動作できる様に成している（図１、２参照）。
又、支柱19において、側板19ｂの外側にはアーム20とリンク22の端部が枢着され、側板19ｂの内側にクランク25が枢着されると共に、これに連結される連接杆27が配置されるので、後板19ｃの上方は幅小に形成され、クランク25と連接杆27の屈伸動作に支障がない様にしている。
【００３０】
上記の様に構成された車外ステップ２は、基端軸10の正逆回転によるアームリンク機構の作動で、出没踏板15を連動踏板16と共に、上段格納位置X2と車外張出位置Y2との間を移動させ、その移動中にアームリンク機構のリンク22の枢軸が正逆回転し、これと同一回転するクランク25が連接杆27、リンク機構26、26ａを介して連動踏板16を出没踏板15の上方と前方との間に移動させ、格納状態と張出状態に変形させられる。
【００３１】
そして、車内外ステップ１、２を自動操作するために、揺動クランク９とリンク23の基端軸10を正逆回転自在に駆動装置28に連繋している。
この駆動装置28は、左壁６の左側に対向立設したモータベース29左側に図示しない電動モータと減速装置を設置し、モータベース29を貫通して左壁６に向かって突出する駆動軸28ａと、左壁６より外側（左側）へ突出する基端軸10とは、一対の同長クランク30、30ａとこのクランク30、30ａ間に枢着連接される連杆31とから成る平行クランク機構を介して連繋されている。
【００３２】
これにより、駆動装置28が作動し、その駆動軸28ａが正逆回転することで、該駆動軸28ａのクランク30が前後に揺動し、連杆31及びクランク30ａを介して基端軸10が駆動軸28ａと同一回転することにより、車内外ステップ１、２を変形移動させる。
尚、車内外ステップ１、２の張出状態と格納状態に対応するクランク30の各揺動位置には、該クランク30に触突するストッパー32、32ａを設けている（図１参照）。
【００３３】
次に、上記の様に構成された補助ステップの動作について説明する。
車内外ステップ１、２の室内格納状態では、駆動軸28ａのクランク30は後方へ傾倒してストッパー32に触突し、連杆31、クランク30ａ及び基端軸10を介して揺動クランク９及びリンク23は車両ステップＳ上に後倒している。
【００３４】
これにより、揺動クランク９とこれに連結している連杆11とは後方へ伸長し、転子８（枢軸12）、8aを案内溝13、13ａの後端に位置させて、進退踏板４を固定踏板３上の下段格納位置X1に後退させ、その後端部を固定踏板３の前端部3a上でオーバーラップさせ、進退踏板４の前端部4aを車両ステップＳより車外前方へ突出させずに、車両ステップＳ上に固定踏板３を介して格納配置している。
【００３５】
又、支柱19及びリンク22、23は車両ステップＳ上で三つ折り状に屈曲、即ち支柱19は直立し、これに連結されたリンク22は後方へ倒立し、リンク23にベルクランク21を介して連結されたアーム20も車両ステップＳ上に後倒して、出没踏板15を進退踏板４上の上段格納位置X2に水平配置させている。
【００３６】
そして、リンク22と同様に後倒するクランク25によって、該クランク25とこれに連結された連接杆27とは後方へ伸長し、リンク26、26ａを後倒させて連動踏板16を出没踏板15上にオバーラップさせ、その前端部16ａを車両ステップＳより車外へ突出させずに、出没踏板15上に水平に格納配置している。
よって、車内外ステップ１、２は、車両ステップＳ上にその奥行きに対応すべく、夫々を構成する踏板３、４、15、16が収縮する様に重層格納され、車両ドアの開閉に何らの支障を来すことがない。
【００３７】
上記格納状態から車内外ステップ１、２を張り出すには、駆動装置28を作動し、クランク30、30ａ及び連接杆31を介して基端軸10を回動させることにより、後倒状態の揺動クランク９及びリンク23を前方へ揺動させる。
これにより揺動クランク９と連杆11が前方で屈曲し、転子８（枢軸12）、8aを案内溝13、13ａの後端より下方に位置する前端へ位置させて、進退踏板４を固定踏板３前方の張出位置Y1に配置させ、進退踏板４と固定踏板３を同一平面上の前後に連接させて車内ステップ１を車両ステップＳよりも奥行きが長くなった状態で車両ステップＳより乗降口前方の車外へ張り出させる。
【００３８】
同時に、三つ折り状に屈曲していた支柱19、リンク22、23が徐々に伸張すると共に、ベルクランク21を介してアーム20も同様に前方へ揺動し、出没踏板15を連動踏板16と共に進退踏板４上の上段格納位置X2から離脱させながら前方へ繰り出し、やがて車両ステップＳの前方下部の張出位置Y2への一定の軌道上を移動して車外張出位置Y2に到達させる。
【００３９】
車外張出位置Y2への移動過程では、車両ステップ２上で倒立状態であったリンク22が徐々に前転して立ち上がることで、後倒していたクランク25を直立させ、これによりクランク25と連接杆27が屈曲し、リンク26、26ａを前傾させ、出没踏板15が車外張出位置Y2に到達した時に連動踏板16を出没踏板15の前方にして同一平面上に連接させて車外ステップ２を車両ステップＳよりも奥行きが長くなった状態で全体が車両ステップＳ（乗降口）前方下部に張り出させる。
【００４０】
かかる状態では駆動装置28は停止し、クランク30は前方へ倒伏してストッパー32ａに触突する。
以上の様に、奥行きが長く面積が拡張された車外ステップ２は、車両ステップＳ上で同じく乗降口前方に面積拡張された車内ステップ１と地上間の足継ぎとして利用される。
【００４１】
上記張出状態の車内外ステップ１、２を格納するには、駆動装置28を作動して、基端軸10を上記と逆の後方へ揺動させることにより、車内外ステップ１、２を上記と逆の手順で動作させ、夫々を構成する踏板３、４、15、16を車両ステップＳ上に重層格納させる。
【符号の説明】
【００４２】
１ 車内ステップ
２ 車外ステップ
３ 固定踏板
４ 進退踏板
4a 前端部
９ 揺動クランク
15 出没踏板
16 連動踏板
16ａ 前端部
19 支柱
20 アーム
21 ベルクランク
22 リンク
23 リンク
25 クランク
26、26ａ リンク機構
28 駆動装置
Ｓ 車両ステップ
X1 下段格納位置
X2 上段格納位置
Y1 張出位置
Y2 車外張出位置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
既設の車両ステップ上にこれより外方へ食み出ない様に水平配置した固定踏板と、車両ステップより前端部が車外前方へ突出しない様に固定踏板上でオーバーラップする下段格納位置と、車両ステップより前端部が車外前方へ所定長さ突出する様に固定踏板の前方でこれと同一平面上に連接する張出位置との間を往復動自在に設けた進退踏板とから成る車内ステップと、進退踏板の格納状態でこれの上方に車両ステップより外方へ食み出ない様にオーバーラップする上段格納位置と、進退踏板の張出状態で車両ステップ前方下部に水平配置する車外張出位置との間を進退踏板に連動して往復動自在に設けた出没踏板と、該出没踏板に連動する様に取付けられ、出没踏板の格納状態で車両ステップより前端部が突出しない様に出没踏板上にオーバーラップし、出没踏板の張出状態でこれの前方にして同一平面上に連接する連動踏板とから成る車外ステップとにより構成したことを特徴とする車室内格納式補助ステップ。
【請求項２】
出没踏板は左右に支柱を垂直立設し、各支柱と車両ステップとの間に車外張出位置で支柱を懸垂する左右一対のアームの夫々を枢着連結し、各アームの適所にベルクランクの屈曲部を枢着し、該ベルクランクの一端と支柱との間、及びベルクランクの他端と車両ステップとの間の夫々にリンクを枢着連結し、基端軸を車両ステップに枢着されるアーム又はリンクと同一と成した揺動クランクを適宜進退機構を介して進退踏板に連繋したことを特徴とする請求項１記載の車室内格納式補助ステップ。
【請求項３】
連動踏板は出没踏板に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱におけるアーム又はリンクの枢軸に基端を固定したクランクに連繋したことを特徴とする請求項２記載の車室内格納式補助ステップ。
【請求項４】
上記基端軸を正逆回転自在に駆動装置に連繋したことを特徴とする請求項２又は３記載の車室内格納式補助ステップ。
【請求項１】
既設の車両ステップ上にこれより外方へ食み出ない様に水平配置した固定踏板と、車両ステップより前端部が車外前方へ突出しない様に固定踏板上でオーバーラップする下段格納位置と、車両ステップより前端部が車外前方へ所定長さ突出する様に固定踏板の前方でこれと同一平面上に連接する張出位置との間を往復動自在に設けた進退踏板とから成る車内ステップと、進退踏板の格納状態でこれの上方に車両ステップより外方へ食み出ない様にオーバーラップする上段格納位置と、進退踏板の張出状態で車両ステップ前方下部に水平配置する車外張出位置との間を進退踏板に連動して往復動自在に設けた出没踏板と、該出没踏板に連動する様に取付けられ、出没踏板の格納状態で車両ステップより前端部が突出しない様に出没踏板上にオーバーラップし、出没踏板の張出状態でこれの前方にして同一平面上に連接する連動踏板とから成る車外ステップとにより構成したことを特徴とする車室内格納式補助ステップ。
【請求項２】
出没踏板は左右に支柱を垂直立設し、各支柱と車両ステップとの間に車外張出位置で支柱を懸垂する左右一対のアームの夫々を枢着連結し、各アームの適所にベルクランクの屈曲部を枢着し、該ベルクランクの一端と支柱との間、及びベルクランクの他端と車両ステップとの間の夫々にリンクを枢着連結し、基端軸を車両ステップに枢着されるアーム又はリンクと同一と成した揺動クランクを適宜進退機構を介して進退踏板に連繋したことを特徴とする請求項１記載の車室内格納式補助ステップ。
【請求項３】
連動踏板は出没踏板に適宜リンク機構を介して取付けられ、該リンク機構は、支柱におけるアーム又はリンクの枢軸に基端を固定したクランクに連繋したことを特徴とする請求項２記載の車室内格納式補助ステップ。
【請求項４】
上記基端軸を正逆回転自在に駆動装置に連繋したことを特徴とする請求項２又は３記載の車室内格納式補助ステップ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１２−１２１４３５（Ｐ２０１２−１２１４３５Ａ）
【公開日】平成２４年６月２８日（２０１２．６．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２７３３３２（Ｐ２０１０−２７３３３２）
【出願日】平成２２年１２月８日（２０１０．１２．８）
【出願人】（３９３０２０１２２）トーシンテック株式会社 (20)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年６月２８日（２０１２．６．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１２月８日（２０１０．１２．８）
【出願人】（３９３０２０１２２）トーシンテック株式会社 (20)
【Ｆターム（参考）】
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