説明

車室内照明装置

【課題】使用者がサンバイザ内の鏡を使用する時にもグレアを感じることなく、手元を見る場合にも、十分な光量を得ることができる、車室内照明装置を提供する。
【解決手段】サンバイザ5内に設置されている鏡(バニティミラー)4を使用して化粧をする場合は、光源の出力が大きいとグレアによって不快感を感じるとともにまぶしさによって化粧行為などがうまくできなくなる一方で、サンバイザの鏡4を使用する場合は、鏡の略法線上に視線がないと顔が鏡に映らないため、必ず鏡の略法線上に視線が来るという点に着目し、光源(発光部10)の出力を調整し、特定領域で光量を低減することで、グレアを低減するようにしている。グレアは視線方向の光の量によって決まるため、視線方向以外の光ではグレアは感じない。ゆえに、鏡近傍に設置されている光源の視線方向の出力を低減し、それ以外の方向については光を増加させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内照明装置にかかり、車両の内部に設置されるサンバイザに取り付けられる照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には、運転中の日よけのために、フロントウインド(フロントガラス)の近傍にサンバイザが設置されており、このようなサンバイザに、バニティミラー(化粧用の鏡)を設置する試みが広くなされてきている。
【0003】
バニティミラーは、サンバイザの使用時に、サンバイザにおけるフロントウインド側と反対側となる面に設置されており、車内の座席に着席している人が、バニティミラーを見ながら、化粧直しや、髪型の確認(直し)など、種々の用途に用いることができるようになっている。
【0004】
ところで、バニティミラーを使用しての化粧直しを行いやすくするために、バニティミラーを使用している人を照明する照明装置を車室内に設ける技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、サンバイザに組み込まれた照明器具(例えば特許文献2)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−080735号公報
【特許文献2】特開2008−222209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2では、サンバイザ近傍に光源を有し、その光源からの光で顔を照射することで顔の見え方を向上させ、化粧行為を快適にさせるように構成できる。しかしながら、サンバイザ中の鏡を使用して化粧をする際には、その近傍にある光源の出力が大きいと、使用者にグレア(まぶしさ)を与えてしまう。一方、グレア対策のために光源の出力を抑えようとすると、地図などの手元を照明するような場合に十分な照度を得ることができない。
しかしながら上記特許文献2の照明器具では、サンバイザ内の鏡を使用した場合と手元を見る場合との光源の出力を適切に制御できない場合があった。
【0008】
サンバイザ内に設置されている鏡を使用して化粧をする場合の光源と被照射対象である顔との距離と、地図観測などで手元を見る場合の光源と被照射対象である手元との距離を比較すると、化粧をする場合の距離の方が手元を照らす場合の距離よりも明らかに短い。さらに、化粧をする場合と手元の資料を読む場合とで要求される照度は、大きく変わらない。よって、化粧をする場合の光源の出力は、手元を照らす時の出力に比べて低くても問題ない。また、サンバイザ中の鏡と光源との距離は、一般的に近いため、光源の出力が高いと、使用者がグレアを感じてしまうことから、化粧時には光源の出力を低下させることが望ましい。
【0009】
以上のように、サンバイザ内に設置されている鏡を使用して化粧をする場合は、光源の出力が大きいとグレアによって不快感を感じるとともにまぶしさによって化粧行為がうまくできなくなるという問題があった。
【0010】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、使用者がサンバイザ内の鏡を使用する時にもグレアを感じることなく、手元を見る場合にも、十分な光量を得ることができる、車室内照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明では、サンバイザ内に設置されている鏡を使用して化粧をする場合は、光源の出力が大きいとグレアによって不快感を感じるとともにまぶしさによって化粧行為がうまくできなくなる一方で、サンバイザの鏡を使用する場合は、鏡の略法線上に視線がないと顔が鏡に映らないため、必ず鏡の略法線上に視線が来るという点に着目し、特定領域で光量を低減することで、グレアを低減するようにしている。
すなわち、グレアは視線方向の光の量によって決まるため、視線方向以外の光ではグレアは感じない。ゆえに、鏡近傍に設置されている光源の視線方向の出力を低減し、それ以外の方向については光を増加させるようにしている。
【0012】
すなわち、本発明は、車室内天井に対して、任意の開き角をもって回動可能に配設され、前記車室内天井に接するように収容可能な鏡面部を有する車室内サンバイザと、前記車室内サンバイザの前記車室内天井に臨む面に取り付けられる発光部と、を有する車室内照明器具であって、前記発光部は、前記車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線よりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域よりも低出力となるように構成される。
この構成により、車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行でありかつこれらの距離を等分する点を通る仮想線で、天井側遠接領域にある光源が、天井側近接領域にある光源よりも相対的に高い出力で、発光するようにしているため、化粧時などにおいて、バニティミラーを見た時に、高出力の光源からの光は直接視界に入らないようにすることができ、グレアを低減することができる。一方、天井側遠接領域すなわちシート側にある光源を高出力としているため、手元を見た時には、より効率よく手元を照射することができる。
【0013】
また本発明は、上記照明装置において、前記仮想的境界線は、前記車室内天井側に近接する辺とこれと対向する辺との距離を等分するものである。
【0014】
また本発明は、上記照明装置において、前記発光部は、前記鏡面部の周囲を囲むように配設された複数の光源を具備し、前記複数の光源の出力を制御する出力制御部を具備している。
この構成によれば、LED・EL・電球・蛍光灯など、サンバイザ中に収納できる大きさとなるようにして、サンバイザ内の鏡の周辺に複数の光源を配置し、その一部を鏡の法線より上方に、その一部を鏡の法線よりも下方に光軸を持つよう照射させ、かつその出力の比率を上方よりも下方が大きくなるようにする。例えば粒数の違いにより上方と下方の出力の比率を制御しているが、同じ粒数で光源の出力自体を変えることで、上方と下方の出力を制御しても良い。以上により、化粧時にはグレアを感じることがなく、かつ化粧時に適切な明るさを得ることができる。この構成により、化粧時にはグレアを感じることがなく、かつ化粧時に適切な明るさを得ることができる。
【0015】
また本発明は、上記照明装置において、前記発光部は、前記鏡面部の周囲を囲むように配設された複数の光源と、前記光源の近傍に取り付けられ、前記光源からの出力を制御する光学部材とを具備したものを含む。
この構成により、集光レンズなどの光学部材を制御することで、上方と下方の出力を制御することができ、化粧時にはグレアを感じることがなく、かつ化粧時に適切な明るさを得ることができる。
【0016】
また本発明は、上記照明装置において、前記発光部は、仮想的境界線を跨ぐように配置された一対の光源で構成され、前記光源の近傍に取り付けられ、前記光源の出力を制御する光学部材とを具備したものを含む。
この構成によれば、1対の光源であっても、光学部材の制御により、光軸を変更したり、光量を調整したりすることができ、化粧時にはグレアを感じることがなく、かつ化粧時に適切な明るさを得ることができ、かつ手元照明としても良好な光量を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、化粧時にはグレアを感じることがなく、かつ化粧時や読書時に適切な明るさを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1の照明装置を示す説明図、(a)は化粧時を示す図、(b)は車内で地図などを見ている状態を示す図
【図2】同上における照明装置の光量分布を示す説明図
【図3】同上における照明装置の概略説明図、(a)はカバーを閉じた状態を示す図、(b)はカバーを開いた状態を示す図
【図4】同上における照明装置の設置状態の概略説明図
【図5】本発明の実施の形態1の照明装置のブロック図
【図6】本発明の実施の形態2の照明装置を示す説明図
【図7】本発明の実施の形態3の照明装置を示す説明図
【図8】本発明の実施の形態3の照明装置における光量分布を示す図
【図9】本発明の実施の形態4の照明装置における光量分布を示す図
【図10】本発明の実施の形態5の照明装置における光量分布を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態の車室内照明装置について説明する。図1に本実施の形態の車室内照明装置の使用形態を示す。図1(a)はサンバイザに設置されたバニティミラー(鏡)4を用いたひげそり、整髪あるいは化粧時を示す図、図1(b)は車内で地図を見ている状態を示す図である。本実施の形態では、図2に示すように、発光部10を構成する光源であるLEDランプは、その光量分布Lが前記車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線lよりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域R1で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域R2よりも低出力となるように構成される。
サンバイザを開き角120度程度に開いた状態でサンバイザに設置されたバニティミラー4を用いた化粧時を示す場合(図1(a))の照明手段としてのLEDランプの光量が、サンバイザを開き角180度程度に開いた状態で地図をみる場合(図1(b))の照明手段としてのLEDランプの光量の約半分となるように、LEDランプの数量を調整し、出力を制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
図3に同車室内照明装置の概略説明図、図4に設置状態の概略説明図を示す。
本実施の形態の車室内照明装置は、図4に示すように、自動車などの車両100の車室110内に設置されたバニティミラー4を使用している人200を照らすために用いられるものである。
【0021】
ところで、バニティミラー4は、図4に示すように、座席120に対応して設置されたサンバイザ5に設けられている。サンバイザ5は、車室110内におけるフロントウィンド(フロントガラス)130の上部近傍のルーフ(屋根)140に設置されるサンバイザ本体50を備えている。サンバイザ本体50は、水平方向(図3における左右方向)を長手方向とする長方形の平板状に形成されており、その一面側(サンバイザ5の使用時に座席120と対向する面側)の中央部には、図3(a)および(b)に示すように、サンバイザ本体50の長手方向を自身の長手方向とする長方形状の凹部50aが形成されている。サンバイザ本体50の凹部50aの底面には、図3(b)に示すように、矩形状のバニティミラー4が設置されている。また、サンバイザ5は、サンバイザ本体50に凹部50aを開閉自在となるように取り付けられたバニティミラー4用のカバー51を備えている。カバー51は、バニティミラー4を使用しない場合には、図3(a)に示すように閉じられ、バニティミラー4を使用する場合には、図3(b)に示すように開かれる。図3ではカバー51の図示を省略している。
【0022】
照明手段1は、図2乃至4に示すように、スポット光を照射する2つの発光部10を有している。2つの発光部10は、図3(a)および(b)に示すように、サンバイザ本体50の前記一面側におけるバニティミラー4の左右両側それぞれに設けられている。以下、必要に応じて、2つの発光部10を区別するために、サンバイザ本体5の前記一面側においてバニティミラー4の左側(図3(a)における左側)に設けられた発光部10としてのLEDランプを符号10Aで示し、右側(図3(a)における右側)に設けられた発光部10としてのLEDランプを符号10Bで示す。いずれも3個づつのLEDランプで構成され、仮想境界線よりも上に位置する第1の領域R1において第2の領域R2よりも低出力となるように、下部で配設密度が小さくなるように構成されている。
なお、サンバイザ5において発光部10を設ける位置は、バニティミラー4を効率よく照明することができる範囲内でバニティミラー4からある程度離間させた位置とすることが好ましい。
【0023】
ここで、発光部10をサンバイザ本体50に設置するにあたっては、図5に示すように、各発光部10の光軸11同士が座席120の前面側(好ましくは、座席120に着席した人200の頭部210(図4参照)が位置する空間部)で交差するようにしている。つまり、照明手段1は、発光部10Aの光軸11と、発光部10Bの光軸とが座席120の前面側で交差するように構成されている。なお、サンバイザ5において発光部10を設ける位置は、バニティミラー4を効率よく照明することができる範囲内でバニティミラー4からある程度離間させた位置とすることが好ましい。
【0024】
さらに、発光部10には、水平方向(本実施の形態ではサンバイザ本体50の長手方向)を回転軸方向として光軸11方向を手動により調整可能な光軸調整機構(図示せず)を具備しており、この光軸調整機構によって、座席120において照明手段1により最も明るく照らされる位置を鉛直方向(上下方向)に調整できるようにしている。なお、このような光軸調整機構は、各発光部10の光軸11同士の関係が維持できるように、各発光部10の光軸11の方向を一括して調整できるように構成されている。
【0025】
本実施の形態では、発光部10としてのLEDランプには、個別に明るさを設定可能な赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、および青色発光ダイオードから構成された発光ダイオード(図示せず)を利用している。なお、発光部10としては、他の構成の発光ダイオード(有機ELを含む)を利用してもよいし、白熱灯を利用してもよい。また、単一の光源と複数の光ファイバとを用いることで、単一の光源から複数の光ファイバを通じてスポット光を照射するように構成したものを利用してもよい。
【0026】
制御手段2は、照明手段1の動作制御を行うためのものであって、例えば、車載のバッテリ(図示せず)などの電源から照明手段1用の動作電源を生成する電源回路部(図示せず)と、照明手段1の明るさを制御する調光回路部(図示せず)と、照明手段1の光色を制御する調色回路部(図示せず)と、調光回路部および調色回路部の制御を行う制御回路部(図示せず)とを備えている。このような制御手段2によれば、照明手段1のオン(点灯)/オフ(消灯)、明るさ(調光)、色合い(調色)それぞれの制御が行えるようになっている。また、制御手段2は、図3(a)に示すように、サンバイザ本体50内に収納され、図示しない電源線により照明手段1としてのLEDランプおよび前記バッテリと電気的に接続される。なお、前記電源は、車載のバッテリに限られるものではなく、乾電池などの車両とは独立した電源を用いるようにしてもよい。
【0027】
ところで、照明手段1としてのLEDランプのオン/オフは、手動により行われるように構成してもよいが、カバー51の開閉に連動して行うように構成してもよい。すなわち、カバー51を開いた際には、バニティミラー4の使用意思があるとして、照明手段としてのLEDランプをオンし、カバー51を閉じた際には、バニティミラー4の使用意思がないとして、照明手段1をオフするように制御手段2を構成してもよい。このような制御手段2は、例えば、カバー51の開閉に対応してオン/オフするスイッチなどを利用することにより実現できる。
【0028】
操作手段3は、例えば、有線または無線によって制御手段2と通信可能に構成されたユーザインタフェースであって、照明手段1のオン/オフ用のスイッチや、調光用スイッチ、調色用スイッチなどを具備している。この操作手段3としては、車両に直接設置されたものであってもよいし、リモコンであってもよい。
【0029】
以上のように本実施の形態の照明装置によれば、車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行でありかつこれらの距離を等分する点を通る仮想線で、天井側遠接領域にある光源が、天井側近接領域にある光源よりも相対的に高い出力で、発光するようにしているため、化粧時などにおいて、バニティミラーを見た時に、高出力の光源からの光は直接視界に入らないようにすることができ、グレアを低減することができる。一方、天井側遠接領域すなわちシート側にある光源を高出力としているため、手元を見た時には、より効率よく手元を照射することができる。
【0030】
また、照明手段1の発光部10に設けられた光軸調整機構によって、照明手段1で照らす座席120の鉛直方向(上下方向)における位置を調整できるようにしているので、照明手段1の発光部10の光軸方向が固定されているような場合に比べて、照明手段1により最も明るく照らされる位置を、バニティミラー4を使用する人200に適した位置に設定できるので、さらに良好な照明効果を得ることができる。なお、このような光軸調整機構は、前述のような手動ではなく、操作手段3より出力された信号によって動作するように構成してもよい。
【0031】
加えて、操作手段3の操作によって発光部10の光量制御だけでなく調色制御を行うことができるため、目的地における車外の照明環境に応じて発光部10の光色を変更できるから、目的地における車外の照明環境に合わせた化粧などを行うことができて、車室110内で化粧などをした後に車外に出た際に、照明環境の違いによって化粧の印象(見え方)が異なってしまうことを防止できる。
【0032】
なお、本実施の形態では、発光部10の調色制御を行うために、個別に明るさを設定可能な赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、および青色発光ダイオードから構成された発光ダイオードを利用しているが、このような発光ダイオードを用いない場合には、2色性色素を有するネマティック液晶を用いて形成され印加電圧に応じて所定の色温度の光の透過率が変化する液晶フィルタ(図示せず)を用いて発光部10の調色制御を行うようにすればよい。また、発光部10の調色制御を行う方法は上記構成に限らず、従来周知の構成を採用できる。
【0033】
なお、照明手段すなわち光源としてはLEDランプの他、EL・電球・蛍光灯などであり、サンバイザ中に収納できる大きさで、かつ出力が制御できる機能を有するものであればよい。
また、サンバイザにはサンバイザの開き角を判定するための機構を有し、かつその判定結果によってサンバイザの出力を決定し、その信号を光源に伝達する機能を有する物を用いるのが望ましい。そして、開き角の判定については、一般的な傾斜検知センサー(DSやWiiに使用されている既知の技術)などを適用可能である。
このようにして、化粧時にはグレアを感じることがなく、かつ化粧時や読書時に適切な明るさを得ることができる。
【0034】
なお、本実施の形態の照明装置では、操作手段3により発光部10の調光制御を行えるようにしているが、制御手段2に車室110内の明るさを検出する明るさセンサを設けて、明るさセンサで検出した車室110内の明るさに応じて、制御手段2が発光部10の調光制御を自動的に行うように構成してもよい。また、制御手段2による自動的な発光部10の調光制御、または操作手段3による発光部10の調光制御のいずれを行うかを選択可能としてもよい。
【0035】
また、本実施の形態では、発光部10を左右3個づつ6個設けているが、発光部10の数は6つに限られるものではなく、また、配設位置についても適宜変更可能である。さらに、照明手段1、制御手段2、および操作手段3の構成は、上記の例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない程度の範囲で変更してもよい。これらの点は後述する実施の形態2および3においても同様である。
【0036】
(実施の形態2)
本実施の形態の照明装置は、主として照明手段の配置および構成が実施の形態1と異なっており、その他の構成は実施の形態1と同様であるから説明を省略する。
【0037】
本実施の形態における照明手段は、図6に示すように、サンバイザ本体5の前記一面側においてバニティミラー4の上下に設けられた発光部10の光量分布Lが前記車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線lよりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域R1で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域R2よりも低出力となるように、LEDランプの数を第1の領域R1では5個、第2の領域R2では11個配設して構成される。
【0038】
この構成によれば、すべてのLEDランプをオンオフすることで、複雑な点灯制御なしに、容易にグレアを低減しつつ、読書などにも適用可能な照明を実現することができる。
【0039】
(実施の形態3)
前記実施の形態1、2では、複数の光源を用いた例について説明したが、本実施の形態では1対の光源を車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線l上に配置し、バニティミラーについて説明したが、本実施の形態の照明装置では、図7に照明装置の概要断面図、及び図8に光量分布を示すように、車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線lよりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域R1で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域R2よりも低出力、すなわち、光量分布Lが小さくなるように、光学部材を用いて点灯制御を行うものである。ここで発光部10を構成するのはLEDチップであり、反射部材10aによって前方に光を導出するように構成されており、前面ガラス12,13が、車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線lよりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域R1で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域R2よりも透過率が低くなるように構成され、第1の領域R1で、第2の領域R2よりも光量分布Lが小さくなっている。
この構成によっても、容易にグレアを低減しつつ、読書などにも適用可能な照明を実現することができる。
【0040】
(実施の形態4)
前記実施の形態3では、光学部材を配することで、光量分布を調整したが、本実施の形態では、図9に示すように、前記実施の形態3の前面ガラスに代えて、反射性の遮光部材14を配し、光路を変更することで、シート側に近接する第2の領域R2よりも低出力、すなわち、光量分布Lが小さくなるように、反射性の遮光部材14を用いて点灯制御を行うものである。ここでも前記実施の形態3と同様、発光部10を構成するのはLEDチップであり、反射部材10aによって前方に光を導出するように構成されている。そしてこの反射性の遮光部材14を調整することで、車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線lよりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域R1で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域R2よりも光量分布Lが小さくなっている。
この構成によっても、容易にグレアを低減しつつ、読書などにも適用可能な照明を実現することができる。
【0041】
(実施の形態5)
前記実施の形態4では、光学部材を配することで、光量分布を調整したが、本実施の形態では図10に示すように、前記実施の形態4の反射性の遮光部材14に代えて、LEDチップの前方に遮光部材15を配し、直射光の一部をカットすることで、シート側に近接する第2の領域R2よりも低出力、すなわち、光量分布Lが小さくなるように、反射性の遮光部材14を用いて点灯制御を行うものである。ここでも前記実施の形態4と同様発光部10を構成するのはLEDチップであり、反射部材10aによって前方に光を導出するように構成されている。そしてこの遮光部材15の存在により、一部の直射光がカットされて車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線lよりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域R1で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域R2よりも光量分布Lが小さくなっている。
この構成によっても、容易にグレアを低減しつつ、読書などにも適用可能な照明を実現することができる。
【0042】
(実施の形態6)
前記実施の形態1、2ではバニティミラーについて説明したが、本実施の形態の照明装置では、後部座席用のミラーのための照明装置についても適用可能である。本実施の形態の照明装置では、主として設置位置が異なり、そのため床面に向けた照射により乗降時の補助灯としてなど他の用途にも使用可能なように形成されているが、照明手段1の構成は実施の形態1と同様である。
【0043】
また、この構成は車室内における座席用ミラーの照明手段に限定されるものではなく、前記実施の形態1のバニティミラー用の照明手段を助手席あるいは運転席の床面と車室外とを照らすことができるように構成してもよい。
【0044】
以上説明してきたように、本発明によれば、化粧時にはグレアを感じることがなく、かつ化粧時や読書時に適切な明るさを得ることができることから、車室内照明装置として、自動車だけでなく、新幹線などの列車など、各種車両に有効な照明装置である。
【符号の説明】
【0045】
1 照明手段
2 制御手段
3 操作手段
4 バニティミラー
5 サンバイザ
10、10A、10B 発光部
10a 反射部材
11 光軸
101 天井
110 車室
120 座席
200 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内天井に対して、任意の開き角をもって回動可能に配設され、前記車室内天井に接するように収容可能な鏡面部を有する車室内サンバイザと、
前記車室内サンバイザの前記車室内天井に臨む面に取り付けられる発光部と、を有する車室内照明器具であって、
前記発光部は、前記車室内天井側に近接する辺及びこれと対向する辺に対して、これらと略平行な仮想的境界線よりも前記車室内天井側に近接する辺側に位置する第1の領域で、前記境界線よりもシート側に近接する第2の領域よりも低出力となるように構成された車室内照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車室内照明装置であって、
前記仮想的境界線は、前記車室内天井側に近接する辺とこれと対向する辺との距離を等分するものである車室内照明装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車室内照明装置であって、
前記発光部は、前記鏡面部の周囲を囲むように配設された複数の光源を具備し、
前記複数の光源の出力を制御する出力制御部を具備した車室内照明装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の車室内照明装置であって、
前記発光部は、前記鏡面部の周囲を囲むように配設された複数の光源と、
前記光源の近傍に取り付けられ、前記光源からの出力を制御する光学部材とを具備した車室内照明装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の車室内照明装置であって、
前記発光部は、仮想的境界線を跨ぐように配置された一対の光源で構成され、
前記光源の近傍に取り付けられ、前記光源の出力を制御する光学部材とを具備した車室内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−269739(P2010−269739A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124561(P2009−124561)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】